2014年01月15日
RUN WITH THE PACK バッド・カンパニー
01

RUN WITH THE PACK Bad Company
ラン・ウィズ・ザ・パック (バッド・カンパニーIII)
バッド・カンパニー (1976)
今回は僕が特別な思い入れがあるバンドのひとつ、
バッド・カンパニーのアルバムをいきます。
バッド・カンパニーは単独で記事にするのは初めてだから、
プロフィール的なものをさらっと書きます。
バッド・カンパニーは、いわゆるスーパーバンド、
実績があるバンドのメンバーが集まって結成されたバンドで、
ヴォーカルのポール・ロジャースは元フリー、
ギターのミック・ラルフスは元モット・ザ・フープル、
ベースのボズ・バレルは元キング・クリムゾン、そして
ドラムスのサイモン・カークも元フリー。
北米では、レッド・ツェッペリンが設立したSWANSONGレーベル
と契約し、鳴り物入りでデビュー、その1stが全米No.1を獲得。
日本でも人気があったようで、1stは当時日本盤がすぐに出なくて、
輸入盤を探し回ったというファンの話を聞いたことがあります。
「バドカン」という愛称でも親しまれていますし、
そして日本人はスーパーバンドが好きみたいですし。
スワンソングからは6枚をリリースしてロジャースが脱退、
その後もバンドは一応は続きましたが、僕の頭の中では、
ロジャースがいる間がバッド・カンパニーという意識です。
お気づきのように僕は単純なので、Zepのレーベルから出ている、
それだけでも思いが何倍も違うのです(笑)。
スワンソングのレーベルのLPも中古で探して集めました。
02 SWANSONGレーベル

最初に記事にするのは、プロフィールも兼ねて
普通は名盤といわれる1枚目だろ、と思われるかもしれません。
まあ、そうでしょうねぇ・・・
でも僕は敢えて、最初は変化球で入ってみたいと思いました。
バッド・カンパニーは昨年の秋に来日公演を行いました。
残念ながらボズ・バレルは2006年に急逝し、ラルフスは急病で
来られなかったようですが、それでも観たかった。
昨秋には、来日を記念するというかたちで、
6枚のロジャースのアルバムが新たにリマスター化され、
紙ジャケット盤として日本でリリースされました。
弟がそれを買い揃えたので僕も久しぶりに聴きましたが、
やっぱり僕はこの3rdがいちばん好きだ、と再認識しつつ、
このアルバムは存在がもうひとつ地味なようだから、
近いうちに僕がBLOGで記事にしたいなと思っていました。
もうひとつ、変化球を投じた理由、次の写真を見てください。
03

中ジャケットの写真の一部を写したもので、後ろの大きいのは
LPの一部の拡大、下の小さいのはCDのブックレット。
ホテルと思しき部屋に4人がいて、そこでついているテレビに
「バックス・バニー」が写っているのですが、僕は、
年始の「卯年はうさぎで音楽を」の記事(こちら)で、
その時は忘れていて、これを紹介していなかったのでした。
よい偶然ですが、だからやっぱりこのアルバムからいくのは
必定であったような気もしてきました(笑)。
なお、これ、LPのジャケットには
BUGS BUNNY C WARNER BROS., INC
とクレジットが明記されていますが、そうか、
スワンソングはアトランティック傘下でワーナーのグループ、
だからこれを出すのは問題ない、むしろ宣伝だったのかも(笑)。
もうひとつ、日本では「バックス・バニー」でも通じるので
そう書いていますが、ほんとは「バグズ・バニー」なんですね。
枝葉の話が長くなり、あまり語る余裕がなくなってきました。
まあ、元々彼らについては話したいことがたくさんあるので、
そう遠くないうち、年内に1stと2ndも記事にしたいです。
でもやはり、彼らの音楽のことだけはさらりと。
僕は、バッド・カンパニーを、ホワイトスネイクと並んで
ブリティッシュ・ハードロックの代表格だと思っています。
ブルーズ基調のブルージーで歌メロがポップでちょっと哀愁系。
ホワイトスネイクのデヴィッド・カヴァデイルが
尊敬する歌手のひとりにロジャースを挙げているのは
決して偶然ではないでしょう。
バッド・カンパニーは曲がとにかくシンプルで、
複雑な展開がある曲はありません。
あくまでもシンプルな曲でここまで聴かせる彼らの音楽は、
至芸と言っていいのではないかと思います。
シンプルだけど味わい深くてポップ、それがバッド・カンパニー。
ポール・ロジャースは尊敬を集めるロック界の「至宝」。
パワフルだけどスイート、きれいな声だけどシャウトは猛々しい、
こんな声の持ち主がいるんだて、僕は最初に聴いた時に、
驚き、感動しました。
ロジャースのヴォーカルについても、また追って話したいです。
このアルバムの話、今回の国内盤紙ジャケットCDでは、
銀色に輝くジャケットが再現されていますが、
海外盤の通常盤CDは明るい灰色の輝かないジャケットです。
僕はSWANSONG盤の両方の中古LPを見つけて買い、
それが写真04の2枚ですが、レコード番号も違っています。
ジャケットは、狼か犬が仔犬に母乳を飲ませているのですが、
仔犬の1頭だけが人間の子どもという示唆に富んだもの。
彼らのアートワークはヒプノシスが担当していたのですが、
この3枚目だけKosh / Agiという別の人が手がけています。
大きくて目立つLPを見せながら歩くのがカッコいいと言われていた、
この頃はまだそんな時代だったのかもしれないと思いました。
さて、聴いてゆきますか。
なお、各曲の作曲者は曲名の下に明記しています。
04 輝かないLPと輝くLP、でも内容はどちらも輝いている

Tr1:Live For The Music
(Mick Ralphs)
ミドルテンポの重たく沈むビートのブルージーな曲。
いきなり変化球でアルバムが始まりますが、1st、2ndが
アップテンポで軽快に走る曲で始まっていただけ余計にそう感じます。
しかしそう感じたのであれば彼らの思うつぼ。
あれれどうしたんだろう、どうなっちゃうんだろうと、
かえって心が引き込まれてゆくのを感じます。
そしてずっと聴いてゆくと、1曲目はこれでいいと納得する。
スタイルは古くさいけど感覚が新しいブルーズといった趣きで、
こうした曲はまさに彼らの存在意義を表していますね。
大人しい曲だけどギターは炸裂しベースは唸っていて、
渋いけどカッコよさ満点の曲。
Tr2:Simple Man
(Mick Ralphs)
「単純な男」という割には、2番打者もまた変化球から入る。
ブルージーでしんみりとした力唱系の曲。
これは日本人好みの哀愁系の歌メロで、サビの
♪ Freedom is the only song, sings a song for me
Oh, we gonna make it
もわっと上ってきれいに流れてゆくサビの歌メロがたまらない。
この頃は自由のかけらが散らばっていた時代だったのかな。
ギターの低音のダイナミックな展開がまたいい。
Tr3:Honey Child
(Mick Ralphs / Simon Kirke / Paul Rogers / Boz Burrell)
ようやくアップテンポのシンプルなロックンロールがきました。
タイトルを歌うサビもシンプルでポップスのお手本。
これは明るく楽しければそれでいいという曲、よい意味で。
作曲者は4人ですが、どうして4人の名前が、ABC順ではなく、
この順番で書いてあるんだろう・・・
曲にどれだけ貢献したかの順番かな、それとも年の順(笑)。
Tr4:Love Me Somebody
(Paul Rodgers)
正調R&B風、もっといえばゴスペル風のワルツのバラード。
ジョー・コッカーの記事で僕は、ジョーは存在自体がソウル、
と書きましたが、ポール・ロジャースもそうなのでしょうね。
黒っぽいとか真似ているとかそういう次元を超越した
まさにソウルな歌い方、歌声、存在の人。
感動的なこの曲はそんなロジャースの真骨頂。
真面目な話、男としては、彼のように歌いたいと思いますよ(笑)。
Tr5:Run With The Pack
(Paul Rodgers)
割れんばかりに叩きつけるようなピアノの音で始まり、
アルバムタイトル曲がA面の最後に登場。
"Pack"は犬などの群れや一群という意味で、猟犬もそうですが、
そうかやっぱりウサギにつながるし、だから中ジャケットで
バックス・バニーが写っていたのかな(笑)。
この曲が面白いのは、歌詞の中では
"I'm running with the pack"とrunが進行形になっていること。
タイトルは現在の状態、歌詞は瞬間の動作を表しているのかな。
あ、そのどこが面白いのかと言われると説明が難しいのですが、
いつも僕は割とどうでもいいことを考えてしまいます・・・
タイトル曲らしく全体をダイジェストした感じだけど、
後半に不気味に迫るような響きのストリングスが入ってきて、
曲ごとのアレンジのアイディアも冴えています。
05 銀色、青色と金色(・・・かな・・・)

Tr6:Silver, Blue & Gold
(Paul Rodgers)
自然と音楽を愛し写真を撮る者である僕はこの曲を
guitarbirdのテーマ曲にしたい、もうそれは感動的な曲。
朝日でも夕日でも朝焼けでも夕景でも雪の輝きでも、
光と空と大地が織り成す自然の美しさを目にした時、
僕はこの曲がよく頭に浮かんできます。
♪ Give me silver, blue & gold
The colour of the sky I'm told
My rainbow is overdue
歌詞の中では空に続いて虹も出てきます。
しかし歌詞をよく読むと、どうもこれは失恋の歌のようです。
だけどそれはこの場合は関係ありません。
聴いた人が聴いたように感じるのがポップソングの面白さ。
こういう曲にはよくありがちな、テンポが遅くてしんみりとした
曲調ではなく、アップテンポであるところに奥深さを感じます。
Silver, Blue & Goldという単語の並び方も、歌メロや語呂に
合うように考えられているのでしょう、よい響きです。
ラルフスが奏でる高音でカラカラと鳴るギターが全編を通じて流れ、
まさに空を感じさせるすがすがしい、だけど少し寂しい響き。
とてもいい曲だけど、でも、すっごくいい曲というわけでもなく、
さらっとしかし味わいが後から甦る、そんな曲ですね。
僕がいちばん好きなバッド・カンパニーの曲。
こういう曲があるのは幸せです。
Tr7:Young Blood
(Jerry Leiber/Mike Stoller/Doc Pomus)
打って変わってユーモラスな響き、「ロックの照れ隠し」曲。
前の曲で感動的なことをしてしまい、演じ手も聴き手も
ちょっと照れくさい、そんな気持ちをユーモアで表した曲ですね。
これはコースターズ The Coastersのカバーですが、
脂が乗り切っていた彼らはカバーのセンスもまたよろしい。
彼らはカバー曲が少ないのですが、でも、このアルバムでは
カバー曲があることにも必然性を感じてしまいます。
楽しいのは、サビに入る前のブレイク前の部分で、
ミックとボズもひとことずつ交代で歌っているところで、
バンドとしての一体感、充実度を感じますね。
まあ、元々2人ともヴォーカリストでもありますが。
ギターの低音が刺さるようにシャープに響いてきて、
簡単な曲でアレンジだけど手堅くしっかりと聴かせてくれます。
この曲はシングルカットされて20位を記録。
カバーがシングルというのは、忙しくてシングル向きの曲が
作れなかったのかな、なんて邪推もしてしまいますが(笑)。
Tr8:Do Right By Your Woman
(Paul Rodgers)
これは焚火を囲んでアコースティック・ギターで歌いながら
仲間で語り合う雰囲気、まさにフォークソングといった趣き。
(エレクトリックのギターとベースが入ってはいますが)。
犬や空そして焚火、このアルバムはアウトドア系ですね(笑)。
ワルツにゆったりと乗ったロジャースのヴォーカル。
この曲がここにあるのは落ち着きます、ほっとします。
隠れた名曲といっていい曲。
Tr9:Sweet Lil' Sister
(Mick Ralphs)
最後の前に疾走系のシンプルでカッコいいロックンロールが。
これはとことん変化球主体に組み立てたアルバムですね。
もし僕が当事者で、この10曲でアルバムを作れと言われれば、
この曲を1曲目に置くことを考えるでしょう。
2ndの1曲目とよく似ているので(短絡的に)そう考えるのですが、
でも、彼らは、似ているから敢えて変えたのかもしれない。
そのセンスが、凡人である僕と偉大なバンドの違いですね(笑)。
Tr10:Fade Away
(Paul Rodgers)
そうなんです、最後の最後に、聴く者を不安にさせる
思いっきり重たく暗く迫ってくる曲が控えているんです。
聴き終ると、放り出されたような気分になります。
Fade Awayといいつつフェイドアウトしておらず後に引かないのは、
路頭に迷うような気持ちにもなります。
でも、ここまで聴いてくると、これが変化球アルバムであることが
なんとなくつかめてきているので、ああ、これも一種の
ユーモアなんだなって解釈できます。
ブルージーなロック、彼らの本質的魅力が詰まった佳曲に、
アルバムを聴き終った充実感が残ります。
しかし、充実感があるだけに、聴き終ってすぐに、
10曲じゃ足りないという不満が頭をもたげてきます(笑)。
そうです、このアルバム、あまりにもあっさりとしすぎ!
だけど、だから、このアルバムは一度聴き終ると、
またすぐに聴きたくなり、いつしかエンドレスになりますが、
シンプルなだけ余計にそうなるのかもしれません。
左は国内盤紙ジャケ、右は海外通常盤のリンク。
このアルバムは、カバー曲をシングルカットしているように、
ヒット曲という観点ではいまひとつパンチ力が不足気味だけど、
じっくり聴き込むとじわじわと魅力が伝わり無限に広がってゆく、
そんな味わいがある曲が並んでいるのが特徴です。
これだけ曲が揃っているというのは、バンドとしても好調で、
多少の困難を乗り越えてもひとつのバンドとして表現しようという
意欲が何にも勝っていた時期だったのだと想像されます。
ただ、でも、僕は自分が言うことをよく翻しますが(笑)、
やっぱりこのアルバムは、オリジナルの大ヒット曲があれば、
名盤と言われていたかもしれない、とも思います。
しかしそれは、2ndで商業路線に舵を切り過ぎた反省から
原点に戻ってこのアルバムが作られたと考えれば納得できます。
まあともかく、これは、アルバムとして通して聴くことを
常としている人には、名盤として輝いてくると思います。
ところで、この紙ジャケは帯も当時のものを再現していますが、
当時は「バッド・カンパニーIII」という邦題がついていたことを、
僕は今回初めて知ってちょっと驚きました。
ライナーノーツを読むと、バッド・カンパニーは、元々英国では
ISLANDと契約しており(ロジャースの流れか)、アイランドは当時
日本では東芝EMIが配給しており、そこで邦題がつけられたそうです。
今はワーナーの扱いで、この紙ジャケ盤の邦題も
「ラン・ウィズ・ザ・パック」になっていますが、
そういうところにも時代を感じるのは紙ジャケの面白いところ。
◆◇◇
さて、写真をもう1枚。
07

ハウとポーラの「パック」で撮影したかったけど、
ポーラが来てくれなくて失敗、1頭だけにて(笑)。

RUN WITH THE PACK Bad Company
ラン・ウィズ・ザ・パック (バッド・カンパニーIII)
バッド・カンパニー (1976)
今回は僕が特別な思い入れがあるバンドのひとつ、
バッド・カンパニーのアルバムをいきます。
バッド・カンパニーは単独で記事にするのは初めてだから、
プロフィール的なものをさらっと書きます。
バッド・カンパニーは、いわゆるスーパーバンド、
実績があるバンドのメンバーが集まって結成されたバンドで、
ヴォーカルのポール・ロジャースは元フリー、
ギターのミック・ラルフスは元モット・ザ・フープル、
ベースのボズ・バレルは元キング・クリムゾン、そして
ドラムスのサイモン・カークも元フリー。
北米では、レッド・ツェッペリンが設立したSWANSONGレーベル
と契約し、鳴り物入りでデビュー、その1stが全米No.1を獲得。
日本でも人気があったようで、1stは当時日本盤がすぐに出なくて、
輸入盤を探し回ったというファンの話を聞いたことがあります。
「バドカン」という愛称でも親しまれていますし、
そして日本人はスーパーバンドが好きみたいですし。
スワンソングからは6枚をリリースしてロジャースが脱退、
その後もバンドは一応は続きましたが、僕の頭の中では、
ロジャースがいる間がバッド・カンパニーという意識です。
お気づきのように僕は単純なので、Zepのレーベルから出ている、
それだけでも思いが何倍も違うのです(笑)。
スワンソングのレーベルのLPも中古で探して集めました。
02 SWANSONGレーベル

最初に記事にするのは、プロフィールも兼ねて
普通は名盤といわれる1枚目だろ、と思われるかもしれません。
まあ、そうでしょうねぇ・・・
でも僕は敢えて、最初は変化球で入ってみたいと思いました。
バッド・カンパニーは昨年の秋に来日公演を行いました。
残念ながらボズ・バレルは2006年に急逝し、ラルフスは急病で
来られなかったようですが、それでも観たかった。
昨秋には、来日を記念するというかたちで、
6枚のロジャースのアルバムが新たにリマスター化され、
紙ジャケット盤として日本でリリースされました。
弟がそれを買い揃えたので僕も久しぶりに聴きましたが、
やっぱり僕はこの3rdがいちばん好きだ、と再認識しつつ、
このアルバムは存在がもうひとつ地味なようだから、
近いうちに僕がBLOGで記事にしたいなと思っていました。
もうひとつ、変化球を投じた理由、次の写真を見てください。
03

中ジャケットの写真の一部を写したもので、後ろの大きいのは
LPの一部の拡大、下の小さいのはCDのブックレット。
ホテルと思しき部屋に4人がいて、そこでついているテレビに
「バックス・バニー」が写っているのですが、僕は、
年始の「卯年はうさぎで音楽を」の記事(こちら)で、
その時は忘れていて、これを紹介していなかったのでした。
よい偶然ですが、だからやっぱりこのアルバムからいくのは
必定であったような気もしてきました(笑)。
なお、これ、LPのジャケットには
BUGS BUNNY C WARNER BROS., INC
とクレジットが明記されていますが、そうか、
スワンソングはアトランティック傘下でワーナーのグループ、
だからこれを出すのは問題ない、むしろ宣伝だったのかも(笑)。
もうひとつ、日本では「バックス・バニー」でも通じるので
そう書いていますが、ほんとは「バグズ・バニー」なんですね。
枝葉の話が長くなり、あまり語る余裕がなくなってきました。
まあ、元々彼らについては話したいことがたくさんあるので、
そう遠くないうち、年内に1stと2ndも記事にしたいです。
でもやはり、彼らの音楽のことだけはさらりと。
僕は、バッド・カンパニーを、ホワイトスネイクと並んで
ブリティッシュ・ハードロックの代表格だと思っています。
ブルーズ基調のブルージーで歌メロがポップでちょっと哀愁系。
ホワイトスネイクのデヴィッド・カヴァデイルが
尊敬する歌手のひとりにロジャースを挙げているのは
決して偶然ではないでしょう。
バッド・カンパニーは曲がとにかくシンプルで、
複雑な展開がある曲はありません。
あくまでもシンプルな曲でここまで聴かせる彼らの音楽は、
至芸と言っていいのではないかと思います。
シンプルだけど味わい深くてポップ、それがバッド・カンパニー。
ポール・ロジャースは尊敬を集めるロック界の「至宝」。
パワフルだけどスイート、きれいな声だけどシャウトは猛々しい、
こんな声の持ち主がいるんだて、僕は最初に聴いた時に、
驚き、感動しました。
ロジャースのヴォーカルについても、また追って話したいです。
このアルバムの話、今回の国内盤紙ジャケットCDでは、
銀色に輝くジャケットが再現されていますが、
海外盤の通常盤CDは明るい灰色の輝かないジャケットです。
僕はSWANSONG盤の両方の中古LPを見つけて買い、
それが写真04の2枚ですが、レコード番号も違っています。
ジャケットは、狼か犬が仔犬に母乳を飲ませているのですが、
仔犬の1頭だけが人間の子どもという示唆に富んだもの。
彼らのアートワークはヒプノシスが担当していたのですが、
この3枚目だけKosh / Agiという別の人が手がけています。
大きくて目立つLPを見せながら歩くのがカッコいいと言われていた、
この頃はまだそんな時代だったのかもしれないと思いました。
さて、聴いてゆきますか。
なお、各曲の作曲者は曲名の下に明記しています。
04 輝かないLPと輝くLP、でも内容はどちらも輝いている

Tr1:Live For The Music
(Mick Ralphs)
ミドルテンポの重たく沈むビートのブルージーな曲。
いきなり変化球でアルバムが始まりますが、1st、2ndが
アップテンポで軽快に走る曲で始まっていただけ余計にそう感じます。
しかしそう感じたのであれば彼らの思うつぼ。
あれれどうしたんだろう、どうなっちゃうんだろうと、
かえって心が引き込まれてゆくのを感じます。
そしてずっと聴いてゆくと、1曲目はこれでいいと納得する。
スタイルは古くさいけど感覚が新しいブルーズといった趣きで、
こうした曲はまさに彼らの存在意義を表していますね。
大人しい曲だけどギターは炸裂しベースは唸っていて、
渋いけどカッコよさ満点の曲。
Tr2:Simple Man
(Mick Ralphs)
「単純な男」という割には、2番打者もまた変化球から入る。
ブルージーでしんみりとした力唱系の曲。
これは日本人好みの哀愁系の歌メロで、サビの
♪ Freedom is the only song, sings a song for me
Oh, we gonna make it
もわっと上ってきれいに流れてゆくサビの歌メロがたまらない。
この頃は自由のかけらが散らばっていた時代だったのかな。
ギターの低音のダイナミックな展開がまたいい。
Tr3:Honey Child
(Mick Ralphs / Simon Kirke / Paul Rogers / Boz Burrell)
ようやくアップテンポのシンプルなロックンロールがきました。
タイトルを歌うサビもシンプルでポップスのお手本。
これは明るく楽しければそれでいいという曲、よい意味で。
作曲者は4人ですが、どうして4人の名前が、ABC順ではなく、
この順番で書いてあるんだろう・・・
曲にどれだけ貢献したかの順番かな、それとも年の順(笑)。
Tr4:Love Me Somebody
(Paul Rodgers)
正調R&B風、もっといえばゴスペル風のワルツのバラード。
ジョー・コッカーの記事で僕は、ジョーは存在自体がソウル、
と書きましたが、ポール・ロジャースもそうなのでしょうね。
黒っぽいとか真似ているとかそういう次元を超越した
まさにソウルな歌い方、歌声、存在の人。
感動的なこの曲はそんなロジャースの真骨頂。
真面目な話、男としては、彼のように歌いたいと思いますよ(笑)。
Tr5:Run With The Pack
(Paul Rodgers)
割れんばかりに叩きつけるようなピアノの音で始まり、
アルバムタイトル曲がA面の最後に登場。
"Pack"は犬などの群れや一群という意味で、猟犬もそうですが、
そうかやっぱりウサギにつながるし、だから中ジャケットで
バックス・バニーが写っていたのかな(笑)。
この曲が面白いのは、歌詞の中では
"I'm running with the pack"とrunが進行形になっていること。
タイトルは現在の状態、歌詞は瞬間の動作を表しているのかな。
あ、そのどこが面白いのかと言われると説明が難しいのですが、
いつも僕は割とどうでもいいことを考えてしまいます・・・
タイトル曲らしく全体をダイジェストした感じだけど、
後半に不気味に迫るような響きのストリングスが入ってきて、
曲ごとのアレンジのアイディアも冴えています。
05 銀色、青色と金色(・・・かな・・・)

Tr6:Silver, Blue & Gold
(Paul Rodgers)
自然と音楽を愛し写真を撮る者である僕はこの曲を
guitarbirdのテーマ曲にしたい、もうそれは感動的な曲。
朝日でも夕日でも朝焼けでも夕景でも雪の輝きでも、
光と空と大地が織り成す自然の美しさを目にした時、
僕はこの曲がよく頭に浮かんできます。
♪ Give me silver, blue & gold
The colour of the sky I'm told
My rainbow is overdue
歌詞の中では空に続いて虹も出てきます。
しかし歌詞をよく読むと、どうもこれは失恋の歌のようです。
だけどそれはこの場合は関係ありません。
聴いた人が聴いたように感じるのがポップソングの面白さ。
こういう曲にはよくありがちな、テンポが遅くてしんみりとした
曲調ではなく、アップテンポであるところに奥深さを感じます。
Silver, Blue & Goldという単語の並び方も、歌メロや語呂に
合うように考えられているのでしょう、よい響きです。
ラルフスが奏でる高音でカラカラと鳴るギターが全編を通じて流れ、
まさに空を感じさせるすがすがしい、だけど少し寂しい響き。
とてもいい曲だけど、でも、すっごくいい曲というわけでもなく、
さらっとしかし味わいが後から甦る、そんな曲ですね。
僕がいちばん好きなバッド・カンパニーの曲。
こういう曲があるのは幸せです。
Tr7:Young Blood
(Jerry Leiber/Mike Stoller/Doc Pomus)
打って変わってユーモラスな響き、「ロックの照れ隠し」曲。
前の曲で感動的なことをしてしまい、演じ手も聴き手も
ちょっと照れくさい、そんな気持ちをユーモアで表した曲ですね。
これはコースターズ The Coastersのカバーですが、
脂が乗り切っていた彼らはカバーのセンスもまたよろしい。
彼らはカバー曲が少ないのですが、でも、このアルバムでは
カバー曲があることにも必然性を感じてしまいます。
楽しいのは、サビに入る前のブレイク前の部分で、
ミックとボズもひとことずつ交代で歌っているところで、
バンドとしての一体感、充実度を感じますね。
まあ、元々2人ともヴォーカリストでもありますが。
ギターの低音が刺さるようにシャープに響いてきて、
簡単な曲でアレンジだけど手堅くしっかりと聴かせてくれます。
この曲はシングルカットされて20位を記録。
カバーがシングルというのは、忙しくてシングル向きの曲が
作れなかったのかな、なんて邪推もしてしまいますが(笑)。
Tr8:Do Right By Your Woman
(Paul Rodgers)
これは焚火を囲んでアコースティック・ギターで歌いながら
仲間で語り合う雰囲気、まさにフォークソングといった趣き。
(エレクトリックのギターとベースが入ってはいますが)。
犬や空そして焚火、このアルバムはアウトドア系ですね(笑)。
ワルツにゆったりと乗ったロジャースのヴォーカル。
この曲がここにあるのは落ち着きます、ほっとします。
隠れた名曲といっていい曲。
Tr9:Sweet Lil' Sister
(Mick Ralphs)
最後の前に疾走系のシンプルでカッコいいロックンロールが。
これはとことん変化球主体に組み立てたアルバムですね。
もし僕が当事者で、この10曲でアルバムを作れと言われれば、
この曲を1曲目に置くことを考えるでしょう。
2ndの1曲目とよく似ているので(短絡的に)そう考えるのですが、
でも、彼らは、似ているから敢えて変えたのかもしれない。
そのセンスが、凡人である僕と偉大なバンドの違いですね(笑)。
Tr10:Fade Away
(Paul Rodgers)
そうなんです、最後の最後に、聴く者を不安にさせる
思いっきり重たく暗く迫ってくる曲が控えているんです。
聴き終ると、放り出されたような気分になります。
Fade Awayといいつつフェイドアウトしておらず後に引かないのは、
路頭に迷うような気持ちにもなります。
でも、ここまで聴いてくると、これが変化球アルバムであることが
なんとなくつかめてきているので、ああ、これも一種の
ユーモアなんだなって解釈できます。
ブルージーなロック、彼らの本質的魅力が詰まった佳曲に、
アルバムを聴き終った充実感が残ります。
しかし、充実感があるだけに、聴き終ってすぐに、
10曲じゃ足りないという不満が頭をもたげてきます(笑)。
そうです、このアルバム、あまりにもあっさりとしすぎ!
だけど、だから、このアルバムは一度聴き終ると、
またすぐに聴きたくなり、いつしかエンドレスになりますが、
シンプルなだけ余計にそうなるのかもしれません。
左は国内盤紙ジャケ、右は海外通常盤のリンク。
このアルバムは、カバー曲をシングルカットしているように、
ヒット曲という観点ではいまひとつパンチ力が不足気味だけど、
じっくり聴き込むとじわじわと魅力が伝わり無限に広がってゆく、
そんな味わいがある曲が並んでいるのが特徴です。
これだけ曲が揃っているというのは、バンドとしても好調で、
多少の困難を乗り越えてもひとつのバンドとして表現しようという
意欲が何にも勝っていた時期だったのだと想像されます。
ただ、でも、僕は自分が言うことをよく翻しますが(笑)、
やっぱりこのアルバムは、オリジナルの大ヒット曲があれば、
名盤と言われていたかもしれない、とも思います。
しかしそれは、2ndで商業路線に舵を切り過ぎた反省から
原点に戻ってこのアルバムが作られたと考えれば納得できます。
まあともかく、これは、アルバムとして通して聴くことを
常としている人には、名盤として輝いてくると思います。
ところで、この紙ジャケは帯も当時のものを再現していますが、
当時は「バッド・カンパニーIII」という邦題がついていたことを、
僕は今回初めて知ってちょっと驚きました。
ライナーノーツを読むと、バッド・カンパニーは、元々英国では
ISLANDと契約しており(ロジャースの流れか)、アイランドは当時
日本では東芝EMIが配給しており、そこで邦題がつけられたそうです。
今はワーナーの扱いで、この紙ジャケ盤の邦題も
「ラン・ウィズ・ザ・パック」になっていますが、
そういうところにも時代を感じるのは紙ジャケの面白いところ。
◆◇◇
さて、写真をもう1枚。
07

ハウとポーラの「パック」で撮影したかったけど、
ポーラが来てくれなくて失敗、1頭だけにて(笑)。
Posted by guitarbird at 12:36
│ロックA-B