2015年09月17日
レイ・チャールズがいい!
01

最近よく聴いているのがレイ・チャールズ。
先ず買ったのは、レイ・チャールズがAtlantic在籍時代の
1952年から1959年の間に録音し正式に発表した音源のすべてと、
幾つかの未発表曲が収められた7枚組のボックスセット。
8月に、Warner系の例の(チープな)紙ジャケット5枚組が
Amazonで安くなり、その中にレイ・チャールズのものもあって、
買おうかどうか考えつつネットで探したところ、この存在を知りました。
例の5枚組はまさにAtlantic時代のものだだから、
これを買えばすべてが聴けることになる。
ところが、届いてみると、微妙な問題が発生。
確かにその5枚組の音源はすべて入っているのですが、
アルバムごとに並んでいるわけではなく、編集されていて
ばらばらに収録されているのでした。
編集されたこと自体には異存ないのですが、でも、僕は、
アルバム単位で聴くことが好きであり、それが自然な形だから、
この場合は曲としてはすべて聴けても、アルバムとして聴くことには
ならないのが、どうにも困りました。
ただし、間違わないでいただきたいのは、
このボックスセット自体はこれはこれでとっても気に入りました。
02

PURE GENIUS - THE COMPLETE
ATLANTIC RECORDINGS (1952-1959)
Ray Charles
ピュア・ジーニアス:コンプリート・
アトランティック・レコーディングス(1952-1959)
レイ・チャールズ
これがそのボックスセット。
装丁がいい。
シンプルな網目状の黄色い箱に文字だけというアートワークは、
なぜかレイ・チャールズのイメージが湧いてきます。
ちなみに、ハウは家にいる時は首輪を外していますが、
ハウの首輪は黄色だから、このボックスセットはハウにも似合う(笑)。
音質がこれまた、1960年より前のものとは思えないほどよくて、
素晴らしい、さすがはリマスターのRHINOの仕事。
もちろん音楽も素晴らしい。
レイ・チャールズの音楽は、ソウルというには少し早いかな。
普通にR&Bといったほうが分かりやすい。
まあ、ジャンルなんて関係ないんだけど、「ソウル」というと、
僕のような後の時代の人間にとってはやはり、モータウンから
1970年代のディスコの前までをイメージしてしまう。
一方、レイ・チャールズのこの頃はまだまだ、
そこまでは洗練されてないと感じました。
聴いていてひとつちょっと驚いたことが。
未発表音源の中に、レイのヒット曲であり
ドクター・ジョンでも知られたMess Aroundが入っています。
これ、アトランティックの創始者でありソウル史上の最重要人物の
ひとりであるアーメット・アーティガンが作曲したものですが
これを歌っている人の声がドクター・ジョンにそっくりなのです。
一瞬、ドクター・ジョンが若い頃に録音していたのかと
本気で勘違いしてしまったくらい。
ブックレットには、リードヴォーカルがAhmet Ertegunと記されていて、
そういえば僕はアーメット・アーティガンの声を聞いたことがないんだ、
そこで漸く納得しました。
なお、ドクター・ジョンは1940年生まれ(ジョン・レノンと同い年)、
これが録音された時は16歳かそれくらい、まだ音楽活動を
始めていないか、始めたばかりの頃だったと思われます。
他、ロックサイドで知っている曲としては、
C.C.R.のカヴァーがいい(The Night Time Is) The Right Time、
ハニードリッパーズが演奏したI've Got A Woman、
エリック・クラプトンが歌ったHard Times、そして有名な
What'd I Sayなども入っています。
一方で、レイ・チャールズの代名詞ともいえる
I Can't Stop Loving YouとGeorgia On My Mindは
これより後の時代の録音であるため収録されていません。
まあそれはどうしようもないことだから、気にはならない。
この時期のレイ・チャールズは、ミルト・ジャクソンと組んだ
ジャズのアルバムを2枚出していましたが、僕はそのことは
まったく知らなくて、今回これを買って初めて知りました。
ミルト・ジャクソンは、一応書くと、ヴァイブラフォン奏者で、
主にMJQとして活躍して多数の名盤を残し、1960年代後半には
あのビートルズのアップルからもアルバムを出したという人。
ジャズが好きだった父がよくMJQやミルト・ジャクソンの話をしていて、
おまけにビートルズに関係があるので、僕も中学時代から
顔と名前は知っているジャズマンでした。
MJQはMilt Jackson Quartetだと思いきやさにあらず、
Modern Jazz Quartetのことだと、僕が中学時代に
父が得意げに言っていた思い出もあります。
ミルト・ジャクソンとの録音が入っているのは、偶然のようでいて、
僕はどちらかといえば運命論者だから(笑)、最近の僕に
ジャズの流れができた中の必然と受け止めました。
だから余計に、このボックスセットは満足感が高かったのでした。
レイ・チャールズは当時はピアニストとしても注目されていたようで、
ジャズのアルバムにおけるレイ・チャールズは、ほんとんど
ピアノに徹していて、歌がありません。
なお、ジャズ・ミュージシャンとしてのレイ・チャールズの
ピアノ演奏の力量は僕には分かりません。
もちろん、普通にとてもうまいな、とは思えるものですが
ところが、困ったことに、歌がないレイ・チャールズを聴いても、
なんだか楽しくないのです。
ジャズはよく分からないけれど、多分、何も意識しなければ、
ミルト・ジャクソンとの録音もかなりいいと思えるのでしょうけど、
レイ・チャールズがいるのに歌がないなんて・・・
そうか。
僕は、レイ・チャールズの声が好きだったんだ!
歌がないというだけでこんなにまでも気持ちが揺らぐなんて。
レイ・チャールズは、「100人の歌手」(記事はこちら)において
第2位ですが、1位は女性のアレサ・フランクリンだから、
男性では1番ということになりますね。
僕が考えるに、レイ・チャールズは声にアクや癖がなく、
それでいて個性的、だから万人に受け入れられるのでしょう。
多くの人が思い浮かべる上手い男性歌手の声、もしくは
多くの男性がこう歌いたいという声の持ち主、
それがレイ・チャールズはないかと。
もちろん女性が聴き惚れるのもありでしょうけど、とにかく、
安心して聴いていられる、ほっとする、そんな声。
マーヴィン・ゲイのような神経質そうなところもないし、
ジェームス・ブラウンのように声のアクが強いわけでもなく、
オーティス・レディングのように力任せには歌わずいつも冷静。
サム・クックはクセがある声だし、ボブ・ディランはだみ声。
エルヴィス・プレスリーとジョン・レノンはよく分からないけれど(笑)、
10人の中では、スティーヴィー・ワンダーが同じ傾向の声の人かな。
それでも時々妙に気持ちが入っていて、猫なで声を出したり、声が
引っくり返りかかったり、シャウトしたり、やっぱり聴かせる人ですね。
レイ・チャールズの声はとってもいい!
この年にして、すっかり夢中になってしまいました(笑)。
03

WHAT'D I SAY (1959)
というわけで、やっぱり買ってしまいました。
名曲中の名曲What'd I Sayが入ったオリジナルアルバムですが、
例の5枚組に入った1枚で、ということは音源としてはダブリだけど、
やっぱり僕は、名曲がどういう流れで最初に世に出たのか、
アルバムを聴くことで感じたいんです。
まあ、シングルで発表された曲もありますけどね(笑)。
このアルバムは、さすがジャズを本格的にやった人だなという感じ。
ジャズだって音楽としてはR&Bですが、ここでのレイ・チャールズは
自らもピアノを演奏するR&Bを通してジャズとソウルを結びつけている
そんな感じを受けます。
前述のように、ソウル、と言われるとまだ微妙に違うと感じるのですが、
ソウルの偉大な先駆者であることは誰も異論がないはず。
そのWhat'd I Sayといえば僕が先ず思い浮かべるのが、
映画「ブラック・レイン」のシーンですね。
マイケル・ダグラスに連れられてクラブに出向いた高倉健が、
レイ・チャールズばりのサングラスをかけられて、マイケルが好きな
この曲を一緒にカラオケで歌うのですが、高倉健は例の
「お~おおぅ」という部分が調子っ外れで面白かった。
この曲はまた、ビートルズがBBCで歌っていた
Some Other Guyに似てるなと、今回聴いて思いました。
その曲はリッチー・バレットの1962年の曲ということで、
こちらはレイのオリジナル、影響受けてますね、きっと。
いずれにせよ、初期のソウル、R&Bからソウルへの分岐点、
というべき音楽史に名を残す名曲中の名曲と実感しました。
04

MODERN SOUNDS
IN COUNTRY AND WESTERN MUSIC VOLUMES 1&2
(1962)
1枚では足りず、また買いました。
こうなったらあと2曲、Atlanticを出てから録音された
I Can't Stop Loving YouとGeorgia On My Mindが
最初に収めらたアルバムも聴きたいと思って。
先ずは前者から。
レイ・チャールズがカントリー&ウェスタンの曲を歌うという企画もので、
同じ年に2枚出されたものが1枚のCDに収められています。
全体的にはヴォーカルがあるスウィングジャズといった音作りで、
音自体はまるでカントリーではありません。
フランク・シナトラやトニー・ベネットと同じ世界といえばいいかな、
でも、レイの声には、白人にはない粘つきというか、味がありますね。
時々ゴスペル風の音作りの曲もありますが、ほぼそれで通しています。
しかし1曲目から驚いた。
Bye Bye Love、エヴァリー・ブラザーズの曲で、
サイモン&ガーファンクルが最後のアルバムで取り上げていて
印象的な曲ですが、エヴァリーは
当時はカントリー寄りという扱いだったんだなあ。
スウィングしまくるジャンプナンバーになっていて、
どこがバイバイなんだろうって(笑)。
他はかの有名なYou Are My Sunshineしか知らなかったのですが、
これはR&Bバラード風になっています。
そしてやっぱりI Can't Stop Loving You、「阿部のママ」ですね(笑)。
カントリーとソウルもやはりR&Bやブルーズを通じて
つながっていることが、レイ・チャールズを聴くとまた分かります。
この曲は別格の輝きを持っていますね。
ただ、"I can't stop wanting you"というくだり、"wanting"というのが
英語ネイティヴではない僕には違和感がありますね。
もしかしてネイティヴの人にもそうなのかな、他に聞いたことがない。
逆にこの曲の歌詞として有名かもしれないけれど。
また、当時このような発想を持って音楽を作っていたというのは、
レイ・チャールズがジャンルにとらわれない、自分が歌いたい、
演奏したい音楽だけをやっていたということでしょうね。
いいですね、いいですよ。
05

THE GENIUS HITS THE ROAD (1960)
もう1枚、ジョージアが最初に収められたアルバム。
なお、"Genius"とは、レイ・チャールズを表す代名詞で、
向こうではそれだけで分かるのだと思います。
ビートルズの"Fab Four"と同じですね。
こちらはアメリカの「ご当地ソング」を集めた企画盤。
聴いたことはある曲はあっても曲名と曲が一致するのは、
Blue Howaiiだけだったのですが、それでも楽しい。
これもやはりスウィングっぽいエンターテイメント系音楽だけど、
実は僕は昔はそれが苦手だったんだろうなあ・・・
今はもちろん、これはこれで楽しめます。
それにしてもGeorgia On My Mindの存在感といったら!
でも、レイ・チャールズのこの曲は久しぶりに聴いたのですが、
思っていたよりも若々しい感じがしました。
当たり前ですよね、レイ自身まだまだ若かったのだから(笑)。
I Can't Stop Loving Youとこの2曲は寝ながらでも口ずさみそう。
ところでこちらは、CD化に際して7曲のボーナストラックが
追加されていますが、それも興味深いので幾つか。
Hit The Road Jackはご当地ソングとは関係ない「ただの」
レイの大ヒット曲ですが、タイトルにちなんで入れられたのかな。
もしくは、商品として、シングルで有名な曲を入れたかったのか。
この曲は女性陣が歌う印象的で有名なコーラス、
♪ の~も~ の~も~ の~も~ の~も~
という部分をそらで歌うと、どうしても音が外れてしまう・・・
Ain't No Mountain High Enoughのマーヴィンの低音部か
ビリー・ジョエルのUptown Girlのハミング並に難しい(笑)。
Blue Moon On Kentucky (Swing Ova)は
ポール・マッカートニーがUNPLUGGEDで演奏したおなじみの曲。
Rainy Night In Georgiaは僕はブルック・ベントンで知った曲。
この曲自体がジョージアの続編という感じを持っていたのですが、
実際にレイ・チャールズも歌っていたんだなあ。
The Long And Winding Roadも入っているんですね。
曲の骨組みは変えておらず、歌はもちろんレイ・チャールズ節だけど、
となるとやはりこの曲には元々ジャズヴォーカルっぽい雰囲気が
あってそれを多くの人が感じていたんだな、と実感。
あ、誰のと書いてないけど言うまでもないビートルズの曲ですよ(笑)。
最後がTake Me Home, Country Roads、
ジョン・デンヴァーのこれも歌っていたんだ。
これはちょっと面白くて、レイ・チャールズなりにカントリーっぽく
素軽くやってみたというさらっとしたのりが結構いいですね。
なお、僕が買ったのは海外盤で、13曲目以降はいつ録音されたか
記されていないのですが、1970年頃以降でしょうね。
ともあれ、本編が終わったところで流れは一度切るとしても、
CDとしては最後まで楽しめる1枚です。
06

僕が最初に買ったレイ・チャールズのCDがこれ。
もう20年近く前だけど、その間に新しいベスト盤と、
グラミーを取った他の人とのデュエット曲を集めたアルバムは
買っていましたが、でも、次に進むのに時間がかかりました。
こちらは今は車用ですが、ケースが汚れてかすれてますね。
裏はひびが入っているし、交換して車で聴かないと。
レイ・チャールズは未開に近い人だから、
ここからいろいろ買って聴き進めてゆくのがとっても楽しみ。
そういう楽しみは幾つになっても失いたくないですね。

最近よく聴いているのがレイ・チャールズ。
先ず買ったのは、レイ・チャールズがAtlantic在籍時代の
1952年から1959年の間に録音し正式に発表した音源のすべてと、
幾つかの未発表曲が収められた7枚組のボックスセット。
8月に、Warner系の例の(チープな)紙ジャケット5枚組が
Amazonで安くなり、その中にレイ・チャールズのものもあって、
買おうかどうか考えつつネットで探したところ、この存在を知りました。
例の5枚組はまさにAtlantic時代のものだだから、
これを買えばすべてが聴けることになる。
ところが、届いてみると、微妙な問題が発生。
確かにその5枚組の音源はすべて入っているのですが、
アルバムごとに並んでいるわけではなく、編集されていて
ばらばらに収録されているのでした。
編集されたこと自体には異存ないのですが、でも、僕は、
アルバム単位で聴くことが好きであり、それが自然な形だから、
この場合は曲としてはすべて聴けても、アルバムとして聴くことには
ならないのが、どうにも困りました。
ただし、間違わないでいただきたいのは、
このボックスセット自体はこれはこれでとっても気に入りました。
02

PURE GENIUS - THE COMPLETE
ATLANTIC RECORDINGS (1952-1959)
Ray Charles
ピュア・ジーニアス:コンプリート・
アトランティック・レコーディングス(1952-1959)
レイ・チャールズ
これがそのボックスセット。
装丁がいい。
シンプルな網目状の黄色い箱に文字だけというアートワークは、
なぜかレイ・チャールズのイメージが湧いてきます。
ちなみに、ハウは家にいる時は首輪を外していますが、
ハウの首輪は黄色だから、このボックスセットはハウにも似合う(笑)。
音質がこれまた、1960年より前のものとは思えないほどよくて、
素晴らしい、さすがはリマスターのRHINOの仕事。
もちろん音楽も素晴らしい。
レイ・チャールズの音楽は、ソウルというには少し早いかな。
普通にR&Bといったほうが分かりやすい。
まあ、ジャンルなんて関係ないんだけど、「ソウル」というと、
僕のような後の時代の人間にとってはやはり、モータウンから
1970年代のディスコの前までをイメージしてしまう。
一方、レイ・チャールズのこの頃はまだまだ、
そこまでは洗練されてないと感じました。
聴いていてひとつちょっと驚いたことが。
未発表音源の中に、レイのヒット曲であり
ドクター・ジョンでも知られたMess Aroundが入っています。
これ、アトランティックの創始者でありソウル史上の最重要人物の
ひとりであるアーメット・アーティガンが作曲したものですが
これを歌っている人の声がドクター・ジョンにそっくりなのです。
一瞬、ドクター・ジョンが若い頃に録音していたのかと
本気で勘違いしてしまったくらい。
ブックレットには、リードヴォーカルがAhmet Ertegunと記されていて、
そういえば僕はアーメット・アーティガンの声を聞いたことがないんだ、
そこで漸く納得しました。
なお、ドクター・ジョンは1940年生まれ(ジョン・レノンと同い年)、
これが録音された時は16歳かそれくらい、まだ音楽活動を
始めていないか、始めたばかりの頃だったと思われます。
他、ロックサイドで知っている曲としては、
C.C.R.のカヴァーがいい(The Night Time Is) The Right Time、
ハニードリッパーズが演奏したI've Got A Woman、
エリック・クラプトンが歌ったHard Times、そして有名な
What'd I Sayなども入っています。
一方で、レイ・チャールズの代名詞ともいえる
I Can't Stop Loving YouとGeorgia On My Mindは
これより後の時代の録音であるため収録されていません。
まあそれはどうしようもないことだから、気にはならない。
この時期のレイ・チャールズは、ミルト・ジャクソンと組んだ
ジャズのアルバムを2枚出していましたが、僕はそのことは
まったく知らなくて、今回これを買って初めて知りました。
ミルト・ジャクソンは、一応書くと、ヴァイブラフォン奏者で、
主にMJQとして活躍して多数の名盤を残し、1960年代後半には
あのビートルズのアップルからもアルバムを出したという人。
ジャズが好きだった父がよくMJQやミルト・ジャクソンの話をしていて、
おまけにビートルズに関係があるので、僕も中学時代から
顔と名前は知っているジャズマンでした。
MJQはMilt Jackson Quartetだと思いきやさにあらず、
Modern Jazz Quartetのことだと、僕が中学時代に
父が得意げに言っていた思い出もあります。
ミルト・ジャクソンとの録音が入っているのは、偶然のようでいて、
僕はどちらかといえば運命論者だから(笑)、最近の僕に
ジャズの流れができた中の必然と受け止めました。
だから余計に、このボックスセットは満足感が高かったのでした。
レイ・チャールズは当時はピアニストとしても注目されていたようで、
ジャズのアルバムにおけるレイ・チャールズは、ほんとんど
ピアノに徹していて、歌がありません。
なお、ジャズ・ミュージシャンとしてのレイ・チャールズの
ピアノ演奏の力量は僕には分かりません。
もちろん、普通にとてもうまいな、とは思えるものですが
ところが、困ったことに、歌がないレイ・チャールズを聴いても、
なんだか楽しくないのです。
ジャズはよく分からないけれど、多分、何も意識しなければ、
ミルト・ジャクソンとの録音もかなりいいと思えるのでしょうけど、
レイ・チャールズがいるのに歌がないなんて・・・
そうか。
僕は、レイ・チャールズの声が好きだったんだ!
歌がないというだけでこんなにまでも気持ちが揺らぐなんて。
レイ・チャールズは、「100人の歌手」(記事はこちら)において
第2位ですが、1位は女性のアレサ・フランクリンだから、
男性では1番ということになりますね。
僕が考えるに、レイ・チャールズは声にアクや癖がなく、
それでいて個性的、だから万人に受け入れられるのでしょう。
多くの人が思い浮かべる上手い男性歌手の声、もしくは
多くの男性がこう歌いたいという声の持ち主、
それがレイ・チャールズはないかと。
もちろん女性が聴き惚れるのもありでしょうけど、とにかく、
安心して聴いていられる、ほっとする、そんな声。
マーヴィン・ゲイのような神経質そうなところもないし、
ジェームス・ブラウンのように声のアクが強いわけでもなく、
オーティス・レディングのように力任せには歌わずいつも冷静。
サム・クックはクセがある声だし、ボブ・ディランはだみ声。
エルヴィス・プレスリーとジョン・レノンはよく分からないけれど(笑)、
10人の中では、スティーヴィー・ワンダーが同じ傾向の声の人かな。
それでも時々妙に気持ちが入っていて、猫なで声を出したり、声が
引っくり返りかかったり、シャウトしたり、やっぱり聴かせる人ですね。
レイ・チャールズの声はとってもいい!
この年にして、すっかり夢中になってしまいました(笑)。
03

WHAT'D I SAY (1959)
というわけで、やっぱり買ってしまいました。
名曲中の名曲What'd I Sayが入ったオリジナルアルバムですが、
例の5枚組に入った1枚で、ということは音源としてはダブリだけど、
やっぱり僕は、名曲がどういう流れで最初に世に出たのか、
アルバムを聴くことで感じたいんです。
まあ、シングルで発表された曲もありますけどね(笑)。
このアルバムは、さすがジャズを本格的にやった人だなという感じ。
ジャズだって音楽としてはR&Bですが、ここでのレイ・チャールズは
自らもピアノを演奏するR&Bを通してジャズとソウルを結びつけている
そんな感じを受けます。
前述のように、ソウル、と言われるとまだ微妙に違うと感じるのですが、
ソウルの偉大な先駆者であることは誰も異論がないはず。
そのWhat'd I Sayといえば僕が先ず思い浮かべるのが、
映画「ブラック・レイン」のシーンですね。
マイケル・ダグラスに連れられてクラブに出向いた高倉健が、
レイ・チャールズばりのサングラスをかけられて、マイケルが好きな
この曲を一緒にカラオケで歌うのですが、高倉健は例の
「お~おおぅ」という部分が調子っ外れで面白かった。
この曲はまた、ビートルズがBBCで歌っていた
Some Other Guyに似てるなと、今回聴いて思いました。
その曲はリッチー・バレットの1962年の曲ということで、
こちらはレイのオリジナル、影響受けてますね、きっと。
いずれにせよ、初期のソウル、R&Bからソウルへの分岐点、
というべき音楽史に名を残す名曲中の名曲と実感しました。
04

MODERN SOUNDS
IN COUNTRY AND WESTERN MUSIC VOLUMES 1&2
(1962)
1枚では足りず、また買いました。
こうなったらあと2曲、Atlanticを出てから録音された
I Can't Stop Loving YouとGeorgia On My Mindが
最初に収めらたアルバムも聴きたいと思って。
先ずは前者から。
レイ・チャールズがカントリー&ウェスタンの曲を歌うという企画もので、
同じ年に2枚出されたものが1枚のCDに収められています。
全体的にはヴォーカルがあるスウィングジャズといった音作りで、
音自体はまるでカントリーではありません。
フランク・シナトラやトニー・ベネットと同じ世界といえばいいかな、
でも、レイの声には、白人にはない粘つきというか、味がありますね。
時々ゴスペル風の音作りの曲もありますが、ほぼそれで通しています。
しかし1曲目から驚いた。
Bye Bye Love、エヴァリー・ブラザーズの曲で、
サイモン&ガーファンクルが最後のアルバムで取り上げていて
印象的な曲ですが、エヴァリーは
当時はカントリー寄りという扱いだったんだなあ。
スウィングしまくるジャンプナンバーになっていて、
どこがバイバイなんだろうって(笑)。
他はかの有名なYou Are My Sunshineしか知らなかったのですが、
これはR&Bバラード風になっています。
そしてやっぱりI Can't Stop Loving You、「阿部のママ」ですね(笑)。
カントリーとソウルもやはりR&Bやブルーズを通じて
つながっていることが、レイ・チャールズを聴くとまた分かります。
この曲は別格の輝きを持っていますね。
ただ、"I can't stop wanting you"というくだり、"wanting"というのが
英語ネイティヴではない僕には違和感がありますね。
もしかしてネイティヴの人にもそうなのかな、他に聞いたことがない。
逆にこの曲の歌詞として有名かもしれないけれど。
また、当時このような発想を持って音楽を作っていたというのは、
レイ・チャールズがジャンルにとらわれない、自分が歌いたい、
演奏したい音楽だけをやっていたということでしょうね。
いいですね、いいですよ。
05

THE GENIUS HITS THE ROAD (1960)
もう1枚、ジョージアが最初に収められたアルバム。
なお、"Genius"とは、レイ・チャールズを表す代名詞で、
向こうではそれだけで分かるのだと思います。
ビートルズの"Fab Four"と同じですね。
こちらはアメリカの「ご当地ソング」を集めた企画盤。
聴いたことはある曲はあっても曲名と曲が一致するのは、
Blue Howaiiだけだったのですが、それでも楽しい。
これもやはりスウィングっぽいエンターテイメント系音楽だけど、
実は僕は昔はそれが苦手だったんだろうなあ・・・
今はもちろん、これはこれで楽しめます。
それにしてもGeorgia On My Mindの存在感といったら!
でも、レイ・チャールズのこの曲は久しぶりに聴いたのですが、
思っていたよりも若々しい感じがしました。
当たり前ですよね、レイ自身まだまだ若かったのだから(笑)。
I Can't Stop Loving Youとこの2曲は寝ながらでも口ずさみそう。
ところでこちらは、CD化に際して7曲のボーナストラックが
追加されていますが、それも興味深いので幾つか。
Hit The Road Jackはご当地ソングとは関係ない「ただの」
レイの大ヒット曲ですが、タイトルにちなんで入れられたのかな。
もしくは、商品として、シングルで有名な曲を入れたかったのか。
この曲は女性陣が歌う印象的で有名なコーラス、
♪ の~も~ の~も~ の~も~ の~も~
という部分をそらで歌うと、どうしても音が外れてしまう・・・
Ain't No Mountain High Enoughのマーヴィンの低音部か
ビリー・ジョエルのUptown Girlのハミング並に難しい(笑)。
Blue Moon On Kentucky (Swing Ova)は
ポール・マッカートニーがUNPLUGGEDで演奏したおなじみの曲。
Rainy Night In Georgiaは僕はブルック・ベントンで知った曲。
この曲自体がジョージアの続編という感じを持っていたのですが、
実際にレイ・チャールズも歌っていたんだなあ。
The Long And Winding Roadも入っているんですね。
曲の骨組みは変えておらず、歌はもちろんレイ・チャールズ節だけど、
となるとやはりこの曲には元々ジャズヴォーカルっぽい雰囲気が
あってそれを多くの人が感じていたんだな、と実感。
あ、誰のと書いてないけど言うまでもないビートルズの曲ですよ(笑)。
最後がTake Me Home, Country Roads、
ジョン・デンヴァーのこれも歌っていたんだ。
これはちょっと面白くて、レイ・チャールズなりにカントリーっぽく
素軽くやってみたというさらっとしたのりが結構いいですね。
なお、僕が買ったのは海外盤で、13曲目以降はいつ録音されたか
記されていないのですが、1970年頃以降でしょうね。
ともあれ、本編が終わったところで流れは一度切るとしても、
CDとしては最後まで楽しめる1枚です。
06

僕が最初に買ったレイ・チャールズのCDがこれ。
もう20年近く前だけど、その間に新しいベスト盤と、
グラミーを取った他の人とのデュエット曲を集めたアルバムは
買っていましたが、でも、次に進むのに時間がかかりました。
こちらは今は車用ですが、ケースが汚れてかすれてますね。
裏はひびが入っているし、交換して車で聴かないと。
レイ・チャールズは未開に近い人だから、
ここからいろいろ買って聴き進めてゆくのがとっても楽しみ。
そういう楽しみは幾つになっても失いたくないですね。
2015年07月26日
夏はジェームス・ブラウン!
01

最近なぜか車でよく聴いているのが
ジェームス・ブラウン。
このCDは車用ベスト盤としてずっと積んであるのですが、
先月の遠征の際に、聴いていたCDが終わり、目的地まで
アルバムもう1枚は聴けないくらいの時間だったので、
こま切れでもいいベスト盤の中からこれを取り出して聴いたところ、
もう抜け出せなくなりました(笑)。
夏に合うのでしょうね。
開放的で、自由で、野性味があって、カッコいい、
ある意味爽快さがある、そんな音楽だから。
ジェームス・ブラウンとの出会い。
僕の世代ではそういう人が多いかな、
「ロッキー4」のサントラのLiving In Americaでした。
その前に映画「ブルーズ・ブラザース」をテレビで見ていたのですが、
その曲のヒットにより、過去去の人から現在の人に戻ってきた、
僕の中ではそんな存在になりました。
「ロッキー4」では、ボクシングの試合の前の余興としてJB本人役で
ステージでショーを行い、伝説のマント・パフォーマンスも披露。
映画を劇場で観たのもいい思い出です。
「ロッキー4」はサントラのLPをすぐに買って聴きましたが、
JB自体はちょっと恐くてすぐには聴き始めませんでした。
CDの時代になり、収録時間が長くなった関係で、
いろいろな編集盤が企画され出回るようになりましたが、
このTHE CD OF JBは、選曲がすぐれた企画ものCDとして
当時話題になり、僕も買って聴きました。
このCDは、ジェームス・ブラウンという人がよく分かる
ほんとうに素晴らしい編集で気に入りまった。
1960年代を中心に1956年から1974年までの曲が集められていて、
足かけ18年の長きに及ぶわけで、それだけでも驚異的ですが、
通して聴くと、どの曲が古くてどれが新しいかが
にわかには分かりにくいことにもまた驚かされます。
編集のセンスが素晴らしい、もちろんですが、それ以前に
ロックに影響を与え、ロックからの影響が帰ってきても
彼自身は変わらなかったことを感じ取ることができます。
ジェームス・ブラウンは「リアルな人」、というのが僕の思い。
JBは奇声を雑音ではなく音楽に仕立て上げた人でもあるでしょう。
このCDを聴くと、普通にやると奇声にしか聴こえなかったり、
冷静に聴くと笑ってしまうような掛け声などがたくさん入っています。
奇声といえば、C.C.R.もカヴァーし映画「ストレンジャー・ザ・パラダイス」
でも注目されたI Put A Spell On Youを1956年に世に出した
スクリーミング・ジェイ・ホーキンスなどで既にレコードがありましたが、
当時は「きわもの」としてまともに扱ってもらえなかったのだとか。
しかしJBの奇声は訴えかけてくるものが違う。
なぜか。
JBはリアルな人であり、リアルな姿を通して
生きざま自体を音楽として聴かせる人だからでしょう。
それまでのポップスは「作り物」であって、きれいごとだけを歌い、
聴き手も演じ手もその考えを共有することで夢の世界が成り立っていた。
ロックが現れてもっと生々しいメッセージを発するようになり、
JBは「きれいごと」ではないリアルな姿を音楽にぶつけてさらけ出した。
「きれいごと」じゃないから、やっていることすべてがリアルであり、
聴く人はそのリアルさにひかれる。
リアルであることが表現者としてのJBの価値であるから、
奇声をそのまま受け入れることができるのだと、僕は思います。
そもそもJBは美声の持ち主ではないですよね。
でも、JBの場合は、だからこそワイルドでカッコいい。
これは一般的な概念というか感じ方として書いていますが、
JBはリアルであることにより、歌手としてのハンデともいえる部分を
魅力に変えてしまったのでしょう。
これはJBの天賦の才能というか、もちろん努力はあるに違いないけど、
それ以上は誰にも説明できない力があるとしか言いようがない。
THE CD OF JBは現在は廃盤となっているのですが、
今回は敢えてこのアルバムを聴いてゆきます。
どんな奇声が入っているか楽しみながら(笑)。
02

Tr1:Doing It To Death (1973)
「死ぬまでやってやる」
曲の前にショーの司会の声が入って、軽やかで切れがいい
ギターのリズムが始まり、リアルなJBが歌い始めます。
この曲は最後のほうで"yeah"と言うのが、ガキが喧嘩して
勝ちほこっているみたいでなんとも面白い。
またJBはバンドに指示しながら曲を作り上げているのもリアルで、
ここではトロンボーンのフレッド・ウェズリーに「もっと高みへ」と
呼びかけてフレッドのソロが始まるのはぞくぞくしてしまう。
Tr2:Super Bad (1970)
いきなり"Watch me ! "と叫ぶんだけど、あれ、どこかで聴いたぞ。
そうだ、クイーンのThe Invisible Manの最後のほうで
ロジャー・テイラーがこれを真似して叫ぶんだ!
ロジャーは大のR&Bフリーク、つながりました。
それにしても「超悪」と自分で言ってしまうなんて。
この曲は最初のほうの"hey"という叫びが威圧的で恐いくらい。
一方でブリッジの最後の部分の高音の軋むような叫びが、
音がよく似たテナーサックスにつながるのがなともすごい芸当。
強く打ちつけるドラムスと躍動的なベースそれに
同じ音をくりかえす粘っこいギターリフからは
どこかしらアフリカにつながる響きを感じます。
Tr3:Soul Power (1971)
その通りソウルらしさを感じるミドルテンポの曲。
この頃はソウルがメインストリームになっていた頃で、
JBも真っ向勝負に出たのでしょうけど、何をやっても様になる人です。
歌詞の中で"Love me tender"と歌っているのは、
ソウル側からのロックへのメッセージでしょうかね。
Tr4:Think (1973)
"come on"と叫ぶのが激しく声が軋む。
ギターでいえばディストーションをかけたような不思議な、凄い声。
シンコペーションで入るラッパが印象的。
ちなみに、この曲は以前はそれほど響いてこなかったんだけど、
先月の遠征でこれを聴いて、今までと違ってよく聴こえたことが
今回のジェームス・ブラウン熱につながりました。
Tr5:It's A Man's World (1964)
JBのバラードサイドの代表曲のひとつでしょうね。
シールのソウルのカヴァーアルバムでも出来がよかった。
曲自体はオーソドックスなR&Bバラードだけど、迫力が桁違い。
ストリングスを使った大仰なアレンジも自然となじんでいて、
JBにはこんなロマンティックな面もあるんだって最初は驚いたけど、
JBの懐の深さを思い知らされる名曲ですね。
Tr6:Try Me (I Need You) (1958)
ビートルズ以前の曲、この曲だけ取り出すと古臭さを感じるけれど、
このCDはほんとうに曲の並びが良くて、通して聴いていると、
結果としてそれがメリハリをつけていて違和感がありません。
ただ古臭いとはいっても、後のモータウンやスタックスと比べても
既に独自色が強く出ているのはさすが。
Tr7:Bewildered (1959)
古い曲が続きますが、やはり他に比べると似た傾向にあります。
曲の最後で"be-wil-dered"と伸ばすところはシナトラなどの
古い歌の部分を受け継いでいて、JBがただの新しい人ではなく、
ショービジネスの伝統を受け継いだ人であるのも分かります。
これも「ワイルド」な曲(記事こちら)ですが、でも、発音が
「ワイルド」ではないのでそこから外しました(笑)。
Tr8:Out Of Sight (1964)
ヴァースを受けて決めのセリフとラッパが入る、JBの標準スタイルの曲。
あ、書いていることが短いけど、決めの部分をよく口ずさみますよ(笑)。
Tr9:I Got You (1964)
ものすごく当たり前の事なんだけど、僕はここまで
JBは奇声が特徴だとか美声じゃないなどと言ってきましたが、
JBはとっても歌が上手い、それは間違いのないことですね。
中でも、上手いという意味、ソウルシンガーとしてみた場合、
僕はJBの歌唱のベストはこの曲じゃないかなと思う。
声が微妙に裏返って切なさを出したり、切れがよかったり。
僕は、JBを知らない人に1曲だけ聴いてもらうなら、これを選びます。
曲もAメロとBメロに分かれていてそれぞれに魅力的な上に、
Aメロの最後にそれまでの流れとは違うラッパの音が入って
短い中で曲が劇的に展開するもの素晴らしい。
Tr10:Prisoner Of Love (1962)
「愛の囚人」、実体験という意味でもリアルな人・・・
割とオーソドックスなR&Bバラードで、やはりビートルズ以前の曲で、
ここに選ばれた曲がたまたまそうだというだけかもしれないけれど、
JBも最初はバラードシンガーとして売り出していたのかな。
前の曲に続いて、当たり前だけどこうした曲も飛び抜けて上手い。
歌が上手いからずっと聴き継がれていることが分かる。
声が引っくり返って泣きそうになるところがまたリアル。
Tr11:I Got The Feelin' (1968)
この曲で面白いのは、"Baby baby baby"とJBが歌うところで、
音が欠けたり波を打ったりするように音を出しているところ。
JBは、歌手として歌が目立つよりも、声もサウンドのひとつとして
音楽全体に目配せしながら作り上げていたのかも。
Tr12:Maybe The Last Time (1964)
これまた正調R&Bバラードで、ファンクとはまだ言えない段階。
でもこのCDで聴かされると、JBには前に出よう出ようとする意欲が
強くて、そこがファンクにつながっていったのかもしれない、と思う。
Tr13:Licking Stick-Licking Stick (1968)
「なめる棒」って、きっとアイスキャンディのことだな、うん、そうだ。
母ちゃんそれを早く持ってきて、なんて、いかにも夏らしい曲。
と書いてはみたけれど・・・敢えて以下省略。
最初に聴いて、なんというか、驚いて恥ずかしくなりました。
そんな曲があることからもJBがリアルであることが分かりました。
この曲は最初にファンクギターが入り、JBが歌い始めたところで
"horns"と呼びかけてホーンが入ってくるのもカッコいい。
多分、曲の中でこうして指示するのは他の人にはないことで、
それも特徴として打ち出していたのでしょうね。
最後もサックスのメイシオ・パーカーに呼びかけてサックスが入ります。
また歌詞の中で"James Brown"と自ら歌うのも、我が強いというか、
やっぱりリアルな人以外のなにものでもないと。
Tr14:Mother Popcorn (1969)
この曲はいかに"yeah yeah yeah"を個性的に言うかを
歌いながら探っていったのではないかと思うくらいそこが印象的。
この頃になるともう完全なファンクですね。
Tr15:Papa's Got A Brand New Bag (1965)
「パパが新しいバッグを買った」、離婚するのかな・・・
それが後にテンプテーションズのPapa Was A Rolling Stone
につながっていくのかな・・・
ジュエルのYes U Canという曲に以下のような歌詞があり
"Papa's got a brand new bag
and Mama's got her hot pants on"
ここには入っていないけどJBにはHot Pantsという曲もあって、
ジュエルはそれを意識して家庭崩壊の図を描いたのかも。
まだ微妙にファンクではなくR&Bののりだけど、歌の最後に入る
カラカラカラというギターがとにかく印象的でカッコいい。
Tr16:Sex Machine
でたぁ~っ! ゲロンパ!
リアルであるというのは、その気がない聴き手にとっては
滑稽以外のなにものでもないのかもしれない。
しかしそれを真面目にやり通してしまう、すごいのひとこと。
体が勝手に乗ってしまう、条件反射以前に人間の感覚に
直接に訴えかけてくるすごい音楽。
やはりこの曲も途中で「ブリッジに行くぞ」みたいなことを言い、
最後は「頭に戻って終わりだ」とJBが指示を出しています。
この曲の枝葉の話がたくさんあって、まずはレッド・ツェッペリンの
The Crungeはこの曲のぱくりというかオマージュというか、でも、
そのままやるにはあまりにもオリジナルが強烈すぎるので、
Zepはわざと「ゲロッパ」のように目立つ部分を設けなかったのかな。
もこもこした音のキーボードの入れ方もぱくりに近く、傑作なのは、
最後の方でロバート・プラントが「ブリッジが見えるか?」と
問いかけたところ、「ブリッジは見たことがない」との呟きが入り
曲が急に終わってしまうこと。
上述のJBの「曲のブリッジに行くぞ」という部分のぱくりですね。
ちなみにブリッジとは、曲の中で一度しか出てこない部分、というのが
基本ですが、でも日本語の「サビ」のように使う人もいるようです。
もうひとつ、曲の後半で"Shake your money maker"と連呼しますが、
それはブラック・クロウズのデビューアルバムのタイトルですね。
ただ、この言葉はエルモア・ジェイムスの1961年の曲名であり、
JBもそこからいただいたのかな、後でそのことを知りましたが、
いずれにせよここでもソウル、ロック、ブルーズがつながっていますね。
Tr17:The Payback (1974)
この曲の最初のギターの部分は、ちょうど僕がこのCDを買った頃に、
大ヒットしたアン・ヴォーグのMy Lovin' (You're Never Gonna Get It)
で同じくイントロでサンプリングされてていました。
JBはサンプリングもたくさん使われているのでしょうけど、
僕ははっきりと分かるのはこれくらいしかないのが申し訳ない。
この曲はJBが黒人であることを強く感じる曲ですが、
黒人音楽がロックに与えたものが帰ってきた、ということかもしれない。
Tr18:Please, Please, Please (1956)
最後はなぜか僕がこのCDを買う前から知っていた古い代表曲。
やはり曲だけとると普通のR&Bでまだソウル黎明期でしょうけど、
同じ頃の他の音楽と比べる感覚で新しい。
だから、同じくらいの年代のオールディーズが流れている中で、
この曲がかかると逆に違和感があるかもしれない。
CDの最後に落ち着いた前向きの曲があるのがいい。
結局、今日も記事を書きながら聴き通してしまいました(笑)。
THE CD OF JBは現在は廃盤ですが、中古では買えて
あまり高くないので、一応リンクを施しておきました。
しかし、ジェームス・ブラウンのベスト盤で現行のものでは、
リンク右側の20 ALL TIME GREATEST HITS、
これがいちばんいい、僕も家ではこれを聴いています。
今回紹介した中には入っていない曲では
Say It Loud (I'm Black And I'm Proud), Pt.1
が、タイトルを見れば言いたいことが一目瞭然、
それをリアルなJBがやることで力のある曲になっています。
また先述のHot Pantsもこちらには収録されていますが、
残念ながらLiving In Americaは入っていません。
写真02は、先日、片づけ物をしていた際に見つけた
2006年の来日公演の2月の札幌公演のチラシです。
「祝 ソウルの帝王 50周年記念」と書いてあります。
当時はまだソウルを傾聴する前だったのですが、興味はあり
行ってみたいとは思ったけど、結局、行きませんでした。
今は、後悔に近い念が。
JBはその年の12月に亡くなっています。
その報に接したとき、あれ、つい最近札幌に来てたよな、
と驚いた記憶があります、もちろん、残念に。
亡くなった今も影響力が大きいJB。
その音楽があまりにもリアルな存在であるがために、かえって、
今でも亡くなったことが信じられない、そんな思いもあります。
なんて、しんみりしない、JBに怒られる。
夏はジェームス・ブラウンで乗り切りましょう!

最近なぜか車でよく聴いているのが
ジェームス・ブラウン。
このCDは車用ベスト盤としてずっと積んであるのですが、
先月の遠征の際に、聴いていたCDが終わり、目的地まで
アルバムもう1枚は聴けないくらいの時間だったので、
こま切れでもいいベスト盤の中からこれを取り出して聴いたところ、
もう抜け出せなくなりました(笑)。
夏に合うのでしょうね。
開放的で、自由で、野性味があって、カッコいい、
ある意味爽快さがある、そんな音楽だから。
ジェームス・ブラウンとの出会い。
僕の世代ではそういう人が多いかな、
「ロッキー4」のサントラのLiving In Americaでした。
その前に映画「ブルーズ・ブラザース」をテレビで見ていたのですが、
その曲のヒットにより、過去去の人から現在の人に戻ってきた、
僕の中ではそんな存在になりました。
「ロッキー4」では、ボクシングの試合の前の余興としてJB本人役で
ステージでショーを行い、伝説のマント・パフォーマンスも披露。
映画を劇場で観たのもいい思い出です。
「ロッキー4」はサントラのLPをすぐに買って聴きましたが、
JB自体はちょっと恐くてすぐには聴き始めませんでした。
CDの時代になり、収録時間が長くなった関係で、
いろいろな編集盤が企画され出回るようになりましたが、
このTHE CD OF JBは、選曲がすぐれた企画ものCDとして
当時話題になり、僕も買って聴きました。
このCDは、ジェームス・ブラウンという人がよく分かる
ほんとうに素晴らしい編集で気に入りまった。
1960年代を中心に1956年から1974年までの曲が集められていて、
足かけ18年の長きに及ぶわけで、それだけでも驚異的ですが、
通して聴くと、どの曲が古くてどれが新しいかが
にわかには分かりにくいことにもまた驚かされます。
編集のセンスが素晴らしい、もちろんですが、それ以前に
ロックに影響を与え、ロックからの影響が帰ってきても
彼自身は変わらなかったことを感じ取ることができます。
ジェームス・ブラウンは「リアルな人」、というのが僕の思い。
JBは奇声を雑音ではなく音楽に仕立て上げた人でもあるでしょう。
このCDを聴くと、普通にやると奇声にしか聴こえなかったり、
冷静に聴くと笑ってしまうような掛け声などがたくさん入っています。
奇声といえば、C.C.R.もカヴァーし映画「ストレンジャー・ザ・パラダイス」
でも注目されたI Put A Spell On Youを1956年に世に出した
スクリーミング・ジェイ・ホーキンスなどで既にレコードがありましたが、
当時は「きわもの」としてまともに扱ってもらえなかったのだとか。
しかしJBの奇声は訴えかけてくるものが違う。
なぜか。
JBはリアルな人であり、リアルな姿を通して
生きざま自体を音楽として聴かせる人だからでしょう。
それまでのポップスは「作り物」であって、きれいごとだけを歌い、
聴き手も演じ手もその考えを共有することで夢の世界が成り立っていた。
ロックが現れてもっと生々しいメッセージを発するようになり、
JBは「きれいごと」ではないリアルな姿を音楽にぶつけてさらけ出した。
「きれいごと」じゃないから、やっていることすべてがリアルであり、
聴く人はそのリアルさにひかれる。
リアルであることが表現者としてのJBの価値であるから、
奇声をそのまま受け入れることができるのだと、僕は思います。
そもそもJBは美声の持ち主ではないですよね。
でも、JBの場合は、だからこそワイルドでカッコいい。
これは一般的な概念というか感じ方として書いていますが、
JBはリアルであることにより、歌手としてのハンデともいえる部分を
魅力に変えてしまったのでしょう。
これはJBの天賦の才能というか、もちろん努力はあるに違いないけど、
それ以上は誰にも説明できない力があるとしか言いようがない。
THE CD OF JBは現在は廃盤となっているのですが、
今回は敢えてこのアルバムを聴いてゆきます。
どんな奇声が入っているか楽しみながら(笑)。
02

Tr1:Doing It To Death (1973)
「死ぬまでやってやる」
曲の前にショーの司会の声が入って、軽やかで切れがいい
ギターのリズムが始まり、リアルなJBが歌い始めます。
この曲は最後のほうで"yeah"と言うのが、ガキが喧嘩して
勝ちほこっているみたいでなんとも面白い。
またJBはバンドに指示しながら曲を作り上げているのもリアルで、
ここではトロンボーンのフレッド・ウェズリーに「もっと高みへ」と
呼びかけてフレッドのソロが始まるのはぞくぞくしてしまう。
Tr2:Super Bad (1970)
いきなり"Watch me ! "と叫ぶんだけど、あれ、どこかで聴いたぞ。
そうだ、クイーンのThe Invisible Manの最後のほうで
ロジャー・テイラーがこれを真似して叫ぶんだ!
ロジャーは大のR&Bフリーク、つながりました。
それにしても「超悪」と自分で言ってしまうなんて。
この曲は最初のほうの"hey"という叫びが威圧的で恐いくらい。
一方でブリッジの最後の部分の高音の軋むような叫びが、
音がよく似たテナーサックスにつながるのがなともすごい芸当。
強く打ちつけるドラムスと躍動的なベースそれに
同じ音をくりかえす粘っこいギターリフからは
どこかしらアフリカにつながる響きを感じます。
Tr3:Soul Power (1971)
その通りソウルらしさを感じるミドルテンポの曲。
この頃はソウルがメインストリームになっていた頃で、
JBも真っ向勝負に出たのでしょうけど、何をやっても様になる人です。
歌詞の中で"Love me tender"と歌っているのは、
ソウル側からのロックへのメッセージでしょうかね。
Tr4:Think (1973)
"come on"と叫ぶのが激しく声が軋む。
ギターでいえばディストーションをかけたような不思議な、凄い声。
シンコペーションで入るラッパが印象的。
ちなみに、この曲は以前はそれほど響いてこなかったんだけど、
先月の遠征でこれを聴いて、今までと違ってよく聴こえたことが
今回のジェームス・ブラウン熱につながりました。
Tr5:It's A Man's World (1964)
JBのバラードサイドの代表曲のひとつでしょうね。
シールのソウルのカヴァーアルバムでも出来がよかった。
曲自体はオーソドックスなR&Bバラードだけど、迫力が桁違い。
ストリングスを使った大仰なアレンジも自然となじんでいて、
JBにはこんなロマンティックな面もあるんだって最初は驚いたけど、
JBの懐の深さを思い知らされる名曲ですね。
Tr6:Try Me (I Need You) (1958)
ビートルズ以前の曲、この曲だけ取り出すと古臭さを感じるけれど、
このCDはほんとうに曲の並びが良くて、通して聴いていると、
結果としてそれがメリハリをつけていて違和感がありません。
ただ古臭いとはいっても、後のモータウンやスタックスと比べても
既に独自色が強く出ているのはさすが。
Tr7:Bewildered (1959)
古い曲が続きますが、やはり他に比べると似た傾向にあります。
曲の最後で"be-wil-dered"と伸ばすところはシナトラなどの
古い歌の部分を受け継いでいて、JBがただの新しい人ではなく、
ショービジネスの伝統を受け継いだ人であるのも分かります。
これも「ワイルド」な曲(記事こちら)ですが、でも、発音が
「ワイルド」ではないのでそこから外しました(笑)。
Tr8:Out Of Sight (1964)
ヴァースを受けて決めのセリフとラッパが入る、JBの標準スタイルの曲。
あ、書いていることが短いけど、決めの部分をよく口ずさみますよ(笑)。
Tr9:I Got You (1964)
ものすごく当たり前の事なんだけど、僕はここまで
JBは奇声が特徴だとか美声じゃないなどと言ってきましたが、
JBはとっても歌が上手い、それは間違いのないことですね。
中でも、上手いという意味、ソウルシンガーとしてみた場合、
僕はJBの歌唱のベストはこの曲じゃないかなと思う。
声が微妙に裏返って切なさを出したり、切れがよかったり。
僕は、JBを知らない人に1曲だけ聴いてもらうなら、これを選びます。
曲もAメロとBメロに分かれていてそれぞれに魅力的な上に、
Aメロの最後にそれまでの流れとは違うラッパの音が入って
短い中で曲が劇的に展開するもの素晴らしい。
Tr10:Prisoner Of Love (1962)
「愛の囚人」、実体験という意味でもリアルな人・・・
割とオーソドックスなR&Bバラードで、やはりビートルズ以前の曲で、
ここに選ばれた曲がたまたまそうだというだけかもしれないけれど、
JBも最初はバラードシンガーとして売り出していたのかな。
前の曲に続いて、当たり前だけどこうした曲も飛び抜けて上手い。
歌が上手いからずっと聴き継がれていることが分かる。
声が引っくり返って泣きそうになるところがまたリアル。
Tr11:I Got The Feelin' (1968)
この曲で面白いのは、"Baby baby baby"とJBが歌うところで、
音が欠けたり波を打ったりするように音を出しているところ。
JBは、歌手として歌が目立つよりも、声もサウンドのひとつとして
音楽全体に目配せしながら作り上げていたのかも。
Tr12:Maybe The Last Time (1964)
これまた正調R&Bバラードで、ファンクとはまだ言えない段階。
でもこのCDで聴かされると、JBには前に出よう出ようとする意欲が
強くて、そこがファンクにつながっていったのかもしれない、と思う。
Tr13:Licking Stick-Licking Stick (1968)
「なめる棒」って、きっとアイスキャンディのことだな、うん、そうだ。
母ちゃんそれを早く持ってきて、なんて、いかにも夏らしい曲。
と書いてはみたけれど・・・敢えて以下省略。
最初に聴いて、なんというか、驚いて恥ずかしくなりました。
そんな曲があることからもJBがリアルであることが分かりました。
この曲は最初にファンクギターが入り、JBが歌い始めたところで
"horns"と呼びかけてホーンが入ってくるのもカッコいい。
多分、曲の中でこうして指示するのは他の人にはないことで、
それも特徴として打ち出していたのでしょうね。
最後もサックスのメイシオ・パーカーに呼びかけてサックスが入ります。
また歌詞の中で"James Brown"と自ら歌うのも、我が強いというか、
やっぱりリアルな人以外のなにものでもないと。
Tr14:Mother Popcorn (1969)
この曲はいかに"yeah yeah yeah"を個性的に言うかを
歌いながら探っていったのではないかと思うくらいそこが印象的。
この頃になるともう完全なファンクですね。
Tr15:Papa's Got A Brand New Bag (1965)
「パパが新しいバッグを買った」、離婚するのかな・・・
それが後にテンプテーションズのPapa Was A Rolling Stone
につながっていくのかな・・・
ジュエルのYes U Canという曲に以下のような歌詞があり
"Papa's got a brand new bag
and Mama's got her hot pants on"
ここには入っていないけどJBにはHot Pantsという曲もあって、
ジュエルはそれを意識して家庭崩壊の図を描いたのかも。
まだ微妙にファンクではなくR&Bののりだけど、歌の最後に入る
カラカラカラというギターがとにかく印象的でカッコいい。
Tr16:Sex Machine
でたぁ~っ! ゲロンパ!
リアルであるというのは、その気がない聴き手にとっては
滑稽以外のなにものでもないのかもしれない。
しかしそれを真面目にやり通してしまう、すごいのひとこと。
体が勝手に乗ってしまう、条件反射以前に人間の感覚に
直接に訴えかけてくるすごい音楽。
やはりこの曲も途中で「ブリッジに行くぞ」みたいなことを言い、
最後は「頭に戻って終わりだ」とJBが指示を出しています。
この曲の枝葉の話がたくさんあって、まずはレッド・ツェッペリンの
The Crungeはこの曲のぱくりというかオマージュというか、でも、
そのままやるにはあまりにもオリジナルが強烈すぎるので、
Zepはわざと「ゲロッパ」のように目立つ部分を設けなかったのかな。
もこもこした音のキーボードの入れ方もぱくりに近く、傑作なのは、
最後の方でロバート・プラントが「ブリッジが見えるか?」と
問いかけたところ、「ブリッジは見たことがない」との呟きが入り
曲が急に終わってしまうこと。
上述のJBの「曲のブリッジに行くぞ」という部分のぱくりですね。
ちなみにブリッジとは、曲の中で一度しか出てこない部分、というのが
基本ですが、でも日本語の「サビ」のように使う人もいるようです。
もうひとつ、曲の後半で"Shake your money maker"と連呼しますが、
それはブラック・クロウズのデビューアルバムのタイトルですね。
ただ、この言葉はエルモア・ジェイムスの1961年の曲名であり、
JBもそこからいただいたのかな、後でそのことを知りましたが、
いずれにせよここでもソウル、ロック、ブルーズがつながっていますね。
Tr17:The Payback (1974)
この曲の最初のギターの部分は、ちょうど僕がこのCDを買った頃に、
大ヒットしたアン・ヴォーグのMy Lovin' (You're Never Gonna Get It)
で同じくイントロでサンプリングされてていました。
JBはサンプリングもたくさん使われているのでしょうけど、
僕ははっきりと分かるのはこれくらいしかないのが申し訳ない。
この曲はJBが黒人であることを強く感じる曲ですが、
黒人音楽がロックに与えたものが帰ってきた、ということかもしれない。
Tr18:Please, Please, Please (1956)
最後はなぜか僕がこのCDを買う前から知っていた古い代表曲。
やはり曲だけとると普通のR&Bでまだソウル黎明期でしょうけど、
同じ頃の他の音楽と比べる感覚で新しい。
だから、同じくらいの年代のオールディーズが流れている中で、
この曲がかかると逆に違和感があるかもしれない。
CDの最後に落ち着いた前向きの曲があるのがいい。
結局、今日も記事を書きながら聴き通してしまいました(笑)。
THE CD OF JBは現在は廃盤ですが、中古では買えて
あまり高くないので、一応リンクを施しておきました。
しかし、ジェームス・ブラウンのベスト盤で現行のものでは、
リンク右側の20 ALL TIME GREATEST HITS、
これがいちばんいい、僕も家ではこれを聴いています。
今回紹介した中には入っていない曲では
Say It Loud (I'm Black And I'm Proud), Pt.1
が、タイトルを見れば言いたいことが一目瞭然、
それをリアルなJBがやることで力のある曲になっています。
また先述のHot Pantsもこちらには収録されていますが、
残念ながらLiving In Americaは入っていません。
写真02は、先日、片づけ物をしていた際に見つけた
2006年の来日公演の2月の札幌公演のチラシです。
「祝 ソウルの帝王 50周年記念」と書いてあります。
当時はまだソウルを傾聴する前だったのですが、興味はあり
行ってみたいとは思ったけど、結局、行きませんでした。
今は、後悔に近い念が。
JBはその年の12月に亡くなっています。
その報に接したとき、あれ、つい最近札幌に来てたよな、
と驚いた記憶があります、もちろん、残念に。
亡くなった今も影響力が大きいJB。
その音楽があまりにもリアルな存在であるがために、かえって、
今でも亡くなったことが信じられない、そんな思いもあります。
なんて、しんみりしない、JBに怒られる。
夏はジェームス・ブラウンで乗り切りましょう!
2015年03月05日
サム・クック
01

僕はサム・クック Sam Cookeが大好き。
大好きという言葉は、でも何か違う。
尊敬している、というのが近いのだと思うけど、でもその言葉は
音楽活動をしていない人間がむやみに使っていいのかと
自問自答することもあります。
なんといえばいいんだろう。
今回、サム・クックの記事を上げようと思ったのは、
「レコードコレクターズ」3月号でサム・クックの特集をしているから。
CDであればCD店にあまり行かない人がサム・クックに触れるのは
あまりないかもしれないけど、雑誌の最新号であれば平積みか
目見せになっていて、普段は意識がない人でも書店で音楽雑誌の
棚の前を通ると、ふと、目につくかもしれず、ひとりでも多くのかたに
サム・クックに触れていただければと思ってのことでした。
02

中学時代にビートルズから音楽を真剣に聴き始めた僕が
サム・クックを初めて聴いたのは大学に入ってからのCDの時代。
最初に買ったCDが写真02左下のベスト盤。
SAM COOKE THE MAN AND HIS MUSIC
ソロデビュー前のゴスペルグループ「ソウル・スターラーズ」時代から、
ソウル史に残る名曲A Change Is Gonna Comeまで全28曲、
選曲、編集ともに素晴らしく、入り口には最適でした。
でも正直、それを聴いて僕は、肩透かしをくらったように感じました。
ソウルは当時はほとんど聴いておらず、あくまでもイメージだけ、
すごく熱くて力任せに歌うか、ファルセットで歌うが、いずれにせよ
気持ちを前面に出す音楽というイメージを持っていたのですが、
サム・クックはそうではありませんでした。
理路整然というか端正な歌い方、クールで熱くない、
むしろ気持ちは抑えようとしている、そんな感じに響いてきました。
だからサム・クックは、例えばオーティス・レディングや
ジャンルは違うけどジャニス・ジョプリンのように、
聴くともうただ圧倒される凄い人というのではなく、
聴いていて納得させられるタイプの歌手だと思い、だから
一発勝負では少し当たりが弱いのかもしれません。
僕が3枚目に買ったサム・クックのCDが02の下右のライヴ盤
SAM COOKE AT THE COPAでした(写真は近年の新盤)。
このライヴは定評があって楽しみにしていたのですが、
これを聴いてさらにがっかりしました。
ベスト盤よりももっともっとこちらはソウルではなかった。
ビッグバンドを従え、フランク・シナトラやトニー・ベネットのように
着飾ってスタンダードを歌う、そういう音楽でした。
まあ、あのポール・マッカートニーですらそのようなことをするようになった
今は逆にとってもいいと思うけど(笑)、二十歳の若者には早すぎた。
選曲も「天使のハンマー」「風に吹かれて」といったフォークソングも
あって、スウィングはしていてもソウルじゃないなあ、と。
サム・クックは白人にも売れるために敢えて黒人らしさを抑えていた、
というのはよく言われることです。
でも、サム・クックのその姿勢を否定する人はほとんどいません。
歌手である以上、より多くの人に気持ちを伝えた上で生きてゆきたい、
という思いがそうさせたのであり、妥協というのとは少し違う。
なにより1960年代当時は公民権運動の関係もあって、サムは
黒人としての主張よりも人間として受け入れられることを選んだ。
この辺のことは日本人には想像しにくい事情でしょう。
サム・クックがそうした路線で進み始めたのは、
ナット・キング・コールのことが頭にあったのかなと思います。
あのマーヴィン・ゲイも60年代にコールのカバーアルバムを出したりと、
当時の音楽業界における黒人音楽のひとつのカタだったのでしょう。
でも、ナット・キング・コールがソウルと言われることはないけれど、
サム・クックは「ソウルを作り出した人」と言われるように、
サムの音楽はソウルなのです。
それは、抑えているのに気持ちが、魂が伝わってくるから。
もちろん、ソウルだから熱いというのは短絡的に過ぎる、
という部分はあるにしても、やっぱりそこがサム・クックの魅力だと。
「ソウルを作り出した人」というのは、03右のボックスセットの
タイトルにもなっているように、サムの重要なキーワードです。
03

しかし、サム・クックが熱く歌うことができなかったわけではないのは、
ライヴとソウル・スターラーズを聴けば分かります。
03左は、サム・クックがソロデビューする前に属していた
ゴスペル・グループのソウル・スターラーズの全曲集CDボックス。
ソウル・スターラーズは訪れる教会に主に女性ファンが押しかけて
サムが歌うと女性が失神して倒れるという事態が相次いだというほどに
絶大な人気を博し、全米で話題になっていました。
件のCDの写真はまだティーンエイジャーの頃ですが、
歌声のみならずサムの容姿もそうさせたのでしょうね。
実際にこのCDを聴くとサムは熱く歌っているし、ライヴ音源では
観客の熱狂ぶりが尋常ではないことが聞いて分かります。
その人気がソロデビューにつながっていったわけですが、
サム・クックは実はデビュー前に「熱いソウルとはなんぞや」、
若くしてそこにたどり着いていたのではないかと思います。
でも、サム・クックはあまりの熱狂ぶりを見て、ほんとうに音楽を
聴いてもらえているのか、歌で感動しているのか、
という疑問を抱くようになったのではないか。
感情を露わにすれば上手い下手あまり関係なく人の心は動くもの
であるのは、音楽に限らず誰しも身近な経験があるのではないかと。
サム・クックは、スターラーズでの活動を通して、逆に
静かに歌いたいという思いが募ったのかもしれません。
だから、売れるために白人の音楽を身にまとったというのは、
仕方ないことであるようで実は、渡りに船だったのではないか。
クールにスマートに歌いつつどれだけしっかりと伝えられるか、
そこに自分の可能性を見出し、信じて進んで行ったのではないか。
しかもそれはレコード会社から反感を買うこともなく、レコード会社に
やらされているようでいて実は自由にできるという逆転の発想だった。
適応力や対応力が優れていて、しかし芯はしっかりしていてぶれず、
賢さがあって、そこが成功に結びついた部分だと考えています。
もうひとつ、レコードで聴くとよく聴こえる音楽を目指していた
という部分も少なからずあるのではないかと思います。
それは音質としても、音楽としても。
ライヴとレコードは別物というのは、自分こそがとんでもないライヴを
やって来ていただけによく分かっていたのでしょう。
そんなサムが目指した、抑えた中に感情を込めたレコードで聴く音楽、
それは1963年のNIGHT BEATに結実します。
ここでは普通のR&Bスタイルのミニマルなバンド形態で、
本物のソウル、本物のR&Bをたっぷりと聴かせてくれます。
録音にはビリー・プレストンも参加していました。
04

もうひとつのサムの熱さ、ライヴの話。
「コパ」はソウルじゃないと若い頃は感じたのですが、一方で、
SAM COOKE LIVE AT THE HARLEM SQUARE CLUB
では黒人の客を相手にほんとうに熱い歌を聴かせてくれます。
これは生前にはリリースされなかったのですがそれは、
スタジオ録音のものとはあまりにも雰囲気が違って、
レコード会社が許可を出さなかったのではないかと。
僕がこの世の中でいちばん好きなライヴ盤がこれなんです。
サム・クックでは2番目に買ったCDで、初CD化3008円の国内盤。
僕がサム・クックの名前を知ったのは、中学時代に聴いた
ジョン・レノンのアルバムROCK N ROLLでジョンが
Bring It On Home To Meを歌っていたことでしたが、これは
その後、僕が高校時代に発掘音源の新譜としてリリースされ、
「FMファン」の表紙になり、サム・クックという人に興味を持ち、
タワーレコードでLPを手に取ったけど当時は流行もののLPに
流されて買わなかったものでした。
今はLPを買っておけばよかったと、後悔しても仕方ないけど。
CDで初めて聴くと、思っていた以上に凄くて素晴らしくて、
自分の本能が間違っていなかったと思いました。
先ほどサム・クックは凄い人じゃないと書いたけど、
このライヴ盤は例外、ほんとうに凄い。
もっと語りたいけどそれはいつか記事で触れることとして、
ここではそのことだけを書き記しておきます。
このアルバムは実はうちに5枚あるんです。
写真04で既に3枚ありますが、他に2枚。
04で1枚だけジャケットが違うのが最初に出たCD。
あとの2枚はリイシューで出たものですが、当初輸入盤は
マスターテープに起因する音飛びを起こしていました。
しかもあろうことかそれがTwistin' The Night Awayで。
一度Amazonで理由を書いて返品交換をしてもらったのですが、
再び送られてきたものもやはり音飛びをしていて、これはまた
Amazonにいってもらちが明かないと思い、音飛びをしたものを
そのまま今でも持っています。
その後に国内盤SHM-CDで買い直したところ音飛びしていなくて、
国内盤は元からそうだったのか、手直ししたのか分からないですが、
今流通しているものは音飛びしていないと思います。
あと2枚のうち1枚は先述のボックスセット
THE MAN WHO INVENTED SOULの中で、当時は廃盤状態だった
このライヴ盤がまるごと再現されているもので、それはもちろんというか
音飛びはしていません。
そしてもう1枚が次。
05

THE RCA ALBUMS COLLECTION
昨年、当初はSONYの通販のみで販売された、
初CD化アルバムを含む8枚組の紙ジャケットボックスセットで、
この中にもハーレム・クスエアのライヴ盤が入っています。
このボックスセットはサム・クックを愛する者としては見逃せなくて、
アカウントを持っている弟に頼んでSONYで買ってもらいましたが、
今月、それらがブルースペックCDとして分売されます。
そうと分かっていれば買わなかったかな、とはしかし思っておらず、
サム・クックのファンを自称するものとしてはボックスセットは
ぜひとも買っておかなければならないと、だからよかった。
「レコードコレクターズ」2012年3月号がサム・クックの特集であるのは
それらの初CD化のCDがリリースされるからでしょうね。
いまだに初CD化のアイテムがあるというのも驚きですが、
でもうれしいですね。
さてそろそろまとめます。
06

僕が持っているサム・クックのCDを集めた1枚。
「レコードクレクターズ」を見ると、CD化されていて持っていない曲が
まだあるようなので、探して買わないと。
僕はしかし、ソウルという感じではないとは思いながらも、
最初に買ったベスト盤はとても気に入り、買ってすぐの頃は
ほんとに毎日聴いていました。
なぜか。
サム・クックのもうひとつ魅力、それは作曲能力でしょう。
とにかく素晴らしくて楽しくて口ずさむのにいい曲が多い人です。
僕は歌メロ優先主義だから、音楽の形状にはひとまず関係なく
ただ歌として曲がよければそれでいいと思う部分がある人間であって、
自分が思っていたソウルであるかどうかは関係ありませんでした。
サム・クックはほんとうにいい歌をたくさん作った人で、共作もあるけど
オリジナル曲は基本的には自ら作って歌うシンガーソングライターです。
だからある意味シンガーソングライターの道を開いた人でもあります。
サムは歌手としてあまりにも偉大で評価が高いけど、ともすれば
作曲家としての才能の話は後ろに置いておかれているような気もします。
ソウルは作曲者と歌手の分業がむしろ普通のスタイルですが、
その中にあってシンガーソングライターであるサム・クックは
孤高の輝きを放つ存在であるのも肯けます。
そして、サム・クックが歌手としても素晴らしいというのは、とりもなおさず、
作曲能力に長けていることにもつながっていくと思います。
サム・クックの歌を聴いた人が口ずさむとなると余計に、
サムの歌のうまさ、表現力の豊かさが身を持って分かることになりますね。
鼻歌は基本的には同じように歌うものだから、そうなるとサムは、
普通に歌っているようでいてなんて気持ちがこもっているんだろうと
自分で歌うことでそういう認識になる、少なくとも僕はそうです。
あんな歌い方できないですよ(笑)。
もちろん大前提としてサム・クックは声が素晴らしいのですが、言葉の
ひだが多いというか、音と音の間に感情が言葉として横たわっていて、
普通の人はそれを伝えられないのをサムは伝えることができる、
そんな感じの歌い方をする人だと思います。
あ、サム・クックの声が素晴らしいことを今初めてここで書いたけど、
それは強調しておかなければいけないのでもう一度書きます(笑)。
少し陰りがあって粘ついているけど張が強くてしっかりとした声。
高音も低音もほんとに無理なく素晴らしく歌いこなします。
サム・クックは凄い人ではないと書いたけど、それは
普通のことをどれだけ突き詰められる人であるか、だと思います。
誰にでもできるけど、誰もがそこまでできるわけではない。
ここでまたそういう結論になるのかと笑われるのを承知で書くと、この、
誰もがするけど突き詰めるのは難しいというのはビートルズと同じですね。
作曲能力が高いこと、後世への影響力の大きさも。
そう考えると、僕がどうして好きかはまったくもって自明になりました(笑)。
サム・クックは1964年12月11日にモーテルで射殺されました。
女性関係のもつれという見方が強いですが、一説によれば、
黒人歌手として発言力が増してきたのを恐れた何者かによって
殺されたのではないか、という話も聞いたことがあります。
信憑性は定かではないですが。
東京にいた頃に、マーヴィン・ゲイが大好きな友だちHと
サム・クックについて話していた時のHの言葉が印象的でした。
「サム・クックがもっと生きていればどういう音楽を作ったのだろう?」
Hの発言の根底は僕とほぼ同じで、いわゆるソウルとして聴くと
すっきりとしすぎていて物足りなというものでした。
それは僕も暫くは分からなかったのですが、その後もずっと
サム・クックを聴き続けて分かりました。
サム・クックはソウルを完成させたわけではなく、後に続く者たちに
道をつけて可能性を広げたことの功績が大きいのではないかなと。
サム・クックが音楽にもたらしたものは、イマジネーションなのです。
最後はAmazonのリンクを3つ。
左から、僕が最も好きなライヴ盤、本物のソウル、そしてベスト盤。
僕が特に好きな曲を列記しておきます。
You Send Me、Win Your Love For Me、
Chain Gang、Wonderful World、
Love Will Find A Way、Everybody Loves To Cha Cha Cha、
Another Saturday Night、Meet Me At Mary's Place、
Having A Party、Good Times、Cupid、
Twistin' The Night Away、Ain't That A Good News、
Bring It On Home To Me、Sooothe Me、そして
A Change Is Gonna Come
今回はサム・クックの人となりについて思うことを書きましたが、
それでも長くなったので、曲についてはまた近いうちに記事を上げて、
どんな曲か僕が思うところを書いてゆければと思います。
よかった、正直言うとこの記事を書き始めるにあたり、
サム・クックは確かに大好きだけどどこがどう好きなのか分からなくて、
うまく記事としてまとめられるか、不安があったのでした。
いつもより長い記事におつきあいいただきありがとうございました。
なお、明日が3月6日で「サム」だからサム・クックというのは、
記事を書いているうちに気づいたことです、念のため(笑)。
あ、でも、そうなると、9月9日は「クック」だから、
前日にでもまた記事を上げないといけないのかな・・・(笑)・・・
最後はアウトテイクの写真で。
07


僕はサム・クック Sam Cookeが大好き。
大好きという言葉は、でも何か違う。
尊敬している、というのが近いのだと思うけど、でもその言葉は
音楽活動をしていない人間がむやみに使っていいのかと
自問自答することもあります。
なんといえばいいんだろう。
今回、サム・クックの記事を上げようと思ったのは、
「レコードコレクターズ」3月号でサム・クックの特集をしているから。
CDであればCD店にあまり行かない人がサム・クックに触れるのは
あまりないかもしれないけど、雑誌の最新号であれば平積みか
目見せになっていて、普段は意識がない人でも書店で音楽雑誌の
棚の前を通ると、ふと、目につくかもしれず、ひとりでも多くのかたに
サム・クックに触れていただければと思ってのことでした。
02

中学時代にビートルズから音楽を真剣に聴き始めた僕が
サム・クックを初めて聴いたのは大学に入ってからのCDの時代。
最初に買ったCDが写真02左下のベスト盤。
SAM COOKE THE MAN AND HIS MUSIC
ソロデビュー前のゴスペルグループ「ソウル・スターラーズ」時代から、
ソウル史に残る名曲A Change Is Gonna Comeまで全28曲、
選曲、編集ともに素晴らしく、入り口には最適でした。
でも正直、それを聴いて僕は、肩透かしをくらったように感じました。
ソウルは当時はほとんど聴いておらず、あくまでもイメージだけ、
すごく熱くて力任せに歌うか、ファルセットで歌うが、いずれにせよ
気持ちを前面に出す音楽というイメージを持っていたのですが、
サム・クックはそうではありませんでした。
理路整然というか端正な歌い方、クールで熱くない、
むしろ気持ちは抑えようとしている、そんな感じに響いてきました。
だからサム・クックは、例えばオーティス・レディングや
ジャンルは違うけどジャニス・ジョプリンのように、
聴くともうただ圧倒される凄い人というのではなく、
聴いていて納得させられるタイプの歌手だと思い、だから
一発勝負では少し当たりが弱いのかもしれません。
僕が3枚目に買ったサム・クックのCDが02の下右のライヴ盤
SAM COOKE AT THE COPAでした(写真は近年の新盤)。
このライヴは定評があって楽しみにしていたのですが、
これを聴いてさらにがっかりしました。
ベスト盤よりももっともっとこちらはソウルではなかった。
ビッグバンドを従え、フランク・シナトラやトニー・ベネットのように
着飾ってスタンダードを歌う、そういう音楽でした。
まあ、あのポール・マッカートニーですらそのようなことをするようになった
今は逆にとってもいいと思うけど(笑)、二十歳の若者には早すぎた。
選曲も「天使のハンマー」「風に吹かれて」といったフォークソングも
あって、スウィングはしていてもソウルじゃないなあ、と。
サム・クックは白人にも売れるために敢えて黒人らしさを抑えていた、
というのはよく言われることです。
でも、サム・クックのその姿勢を否定する人はほとんどいません。
歌手である以上、より多くの人に気持ちを伝えた上で生きてゆきたい、
という思いがそうさせたのであり、妥協というのとは少し違う。
なにより1960年代当時は公民権運動の関係もあって、サムは
黒人としての主張よりも人間として受け入れられることを選んだ。
この辺のことは日本人には想像しにくい事情でしょう。
サム・クックがそうした路線で進み始めたのは、
ナット・キング・コールのことが頭にあったのかなと思います。
あのマーヴィン・ゲイも60年代にコールのカバーアルバムを出したりと、
当時の音楽業界における黒人音楽のひとつのカタだったのでしょう。
でも、ナット・キング・コールがソウルと言われることはないけれど、
サム・クックは「ソウルを作り出した人」と言われるように、
サムの音楽はソウルなのです。
それは、抑えているのに気持ちが、魂が伝わってくるから。
もちろん、ソウルだから熱いというのは短絡的に過ぎる、
という部分はあるにしても、やっぱりそこがサム・クックの魅力だと。
「ソウルを作り出した人」というのは、03右のボックスセットの
タイトルにもなっているように、サムの重要なキーワードです。
03

しかし、サム・クックが熱く歌うことができなかったわけではないのは、
ライヴとソウル・スターラーズを聴けば分かります。
03左は、サム・クックがソロデビューする前に属していた
ゴスペル・グループのソウル・スターラーズの全曲集CDボックス。
ソウル・スターラーズは訪れる教会に主に女性ファンが押しかけて
サムが歌うと女性が失神して倒れるという事態が相次いだというほどに
絶大な人気を博し、全米で話題になっていました。
件のCDの写真はまだティーンエイジャーの頃ですが、
歌声のみならずサムの容姿もそうさせたのでしょうね。
実際にこのCDを聴くとサムは熱く歌っているし、ライヴ音源では
観客の熱狂ぶりが尋常ではないことが聞いて分かります。
その人気がソロデビューにつながっていったわけですが、
サム・クックは実はデビュー前に「熱いソウルとはなんぞや」、
若くしてそこにたどり着いていたのではないかと思います。
でも、サム・クックはあまりの熱狂ぶりを見て、ほんとうに音楽を
聴いてもらえているのか、歌で感動しているのか、
という疑問を抱くようになったのではないか。
感情を露わにすれば上手い下手あまり関係なく人の心は動くもの
であるのは、音楽に限らず誰しも身近な経験があるのではないかと。
サム・クックは、スターラーズでの活動を通して、逆に
静かに歌いたいという思いが募ったのかもしれません。
だから、売れるために白人の音楽を身にまとったというのは、
仕方ないことであるようで実は、渡りに船だったのではないか。
クールにスマートに歌いつつどれだけしっかりと伝えられるか、
そこに自分の可能性を見出し、信じて進んで行ったのではないか。
しかもそれはレコード会社から反感を買うこともなく、レコード会社に
やらされているようでいて実は自由にできるという逆転の発想だった。
適応力や対応力が優れていて、しかし芯はしっかりしていてぶれず、
賢さがあって、そこが成功に結びついた部分だと考えています。
もうひとつ、レコードで聴くとよく聴こえる音楽を目指していた
という部分も少なからずあるのではないかと思います。
それは音質としても、音楽としても。
ライヴとレコードは別物というのは、自分こそがとんでもないライヴを
やって来ていただけによく分かっていたのでしょう。
そんなサムが目指した、抑えた中に感情を込めたレコードで聴く音楽、
それは1963年のNIGHT BEATに結実します。
ここでは普通のR&Bスタイルのミニマルなバンド形態で、
本物のソウル、本物のR&Bをたっぷりと聴かせてくれます。
録音にはビリー・プレストンも参加していました。
04

もうひとつのサムの熱さ、ライヴの話。
「コパ」はソウルじゃないと若い頃は感じたのですが、一方で、
SAM COOKE LIVE AT THE HARLEM SQUARE CLUB
では黒人の客を相手にほんとうに熱い歌を聴かせてくれます。
これは生前にはリリースされなかったのですがそれは、
スタジオ録音のものとはあまりにも雰囲気が違って、
レコード会社が許可を出さなかったのではないかと。
僕がこの世の中でいちばん好きなライヴ盤がこれなんです。
サム・クックでは2番目に買ったCDで、初CD化3008円の国内盤。
僕がサム・クックの名前を知ったのは、中学時代に聴いた
ジョン・レノンのアルバムROCK N ROLLでジョンが
Bring It On Home To Meを歌っていたことでしたが、これは
その後、僕が高校時代に発掘音源の新譜としてリリースされ、
「FMファン」の表紙になり、サム・クックという人に興味を持ち、
タワーレコードでLPを手に取ったけど当時は流行もののLPに
流されて買わなかったものでした。
今はLPを買っておけばよかったと、後悔しても仕方ないけど。
CDで初めて聴くと、思っていた以上に凄くて素晴らしくて、
自分の本能が間違っていなかったと思いました。
先ほどサム・クックは凄い人じゃないと書いたけど、
このライヴ盤は例外、ほんとうに凄い。
もっと語りたいけどそれはいつか記事で触れることとして、
ここではそのことだけを書き記しておきます。
このアルバムは実はうちに5枚あるんです。
写真04で既に3枚ありますが、他に2枚。
04で1枚だけジャケットが違うのが最初に出たCD。
あとの2枚はリイシューで出たものですが、当初輸入盤は
マスターテープに起因する音飛びを起こしていました。
しかもあろうことかそれがTwistin' The Night Awayで。
一度Amazonで理由を書いて返品交換をしてもらったのですが、
再び送られてきたものもやはり音飛びをしていて、これはまた
Amazonにいってもらちが明かないと思い、音飛びをしたものを
そのまま今でも持っています。
その後に国内盤SHM-CDで買い直したところ音飛びしていなくて、
国内盤は元からそうだったのか、手直ししたのか分からないですが、
今流通しているものは音飛びしていないと思います。
あと2枚のうち1枚は先述のボックスセット
THE MAN WHO INVENTED SOULの中で、当時は廃盤状態だった
このライヴ盤がまるごと再現されているもので、それはもちろんというか
音飛びはしていません。
そしてもう1枚が次。
05

THE RCA ALBUMS COLLECTION
昨年、当初はSONYの通販のみで販売された、
初CD化アルバムを含む8枚組の紙ジャケットボックスセットで、
この中にもハーレム・クスエアのライヴ盤が入っています。
このボックスセットはサム・クックを愛する者としては見逃せなくて、
アカウントを持っている弟に頼んでSONYで買ってもらいましたが、
今月、それらがブルースペックCDとして分売されます。
そうと分かっていれば買わなかったかな、とはしかし思っておらず、
サム・クックのファンを自称するものとしてはボックスセットは
ぜひとも買っておかなければならないと、だからよかった。
「レコードコレクターズ」2012年3月号がサム・クックの特集であるのは
それらの初CD化のCDがリリースされるからでしょうね。
いまだに初CD化のアイテムがあるというのも驚きですが、
でもうれしいですね。
さてそろそろまとめます。
06

僕が持っているサム・クックのCDを集めた1枚。
「レコードクレクターズ」を見ると、CD化されていて持っていない曲が
まだあるようなので、探して買わないと。
僕はしかし、ソウルという感じではないとは思いながらも、
最初に買ったベスト盤はとても気に入り、買ってすぐの頃は
ほんとに毎日聴いていました。
なぜか。
サム・クックのもうひとつ魅力、それは作曲能力でしょう。
とにかく素晴らしくて楽しくて口ずさむのにいい曲が多い人です。
僕は歌メロ優先主義だから、音楽の形状にはひとまず関係なく
ただ歌として曲がよければそれでいいと思う部分がある人間であって、
自分が思っていたソウルであるかどうかは関係ありませんでした。
サム・クックはほんとうにいい歌をたくさん作った人で、共作もあるけど
オリジナル曲は基本的には自ら作って歌うシンガーソングライターです。
だからある意味シンガーソングライターの道を開いた人でもあります。
サムは歌手としてあまりにも偉大で評価が高いけど、ともすれば
作曲家としての才能の話は後ろに置いておかれているような気もします。
ソウルは作曲者と歌手の分業がむしろ普通のスタイルですが、
その中にあってシンガーソングライターであるサム・クックは
孤高の輝きを放つ存在であるのも肯けます。
そして、サム・クックが歌手としても素晴らしいというのは、とりもなおさず、
作曲能力に長けていることにもつながっていくと思います。
サム・クックの歌を聴いた人が口ずさむとなると余計に、
サムの歌のうまさ、表現力の豊かさが身を持って分かることになりますね。
鼻歌は基本的には同じように歌うものだから、そうなるとサムは、
普通に歌っているようでいてなんて気持ちがこもっているんだろうと
自分で歌うことでそういう認識になる、少なくとも僕はそうです。
あんな歌い方できないですよ(笑)。
もちろん大前提としてサム・クックは声が素晴らしいのですが、言葉の
ひだが多いというか、音と音の間に感情が言葉として横たわっていて、
普通の人はそれを伝えられないのをサムは伝えることができる、
そんな感じの歌い方をする人だと思います。
あ、サム・クックの声が素晴らしいことを今初めてここで書いたけど、
それは強調しておかなければいけないのでもう一度書きます(笑)。
少し陰りがあって粘ついているけど張が強くてしっかりとした声。
高音も低音もほんとに無理なく素晴らしく歌いこなします。
サム・クックは凄い人ではないと書いたけど、それは
普通のことをどれだけ突き詰められる人であるか、だと思います。
誰にでもできるけど、誰もがそこまでできるわけではない。
ここでまたそういう結論になるのかと笑われるのを承知で書くと、この、
誰もがするけど突き詰めるのは難しいというのはビートルズと同じですね。
作曲能力が高いこと、後世への影響力の大きさも。
そう考えると、僕がどうして好きかはまったくもって自明になりました(笑)。
サム・クックは1964年12月11日にモーテルで射殺されました。
女性関係のもつれという見方が強いですが、一説によれば、
黒人歌手として発言力が増してきたのを恐れた何者かによって
殺されたのではないか、という話も聞いたことがあります。
信憑性は定かではないですが。
東京にいた頃に、マーヴィン・ゲイが大好きな友だちHと
サム・クックについて話していた時のHの言葉が印象的でした。
「サム・クックがもっと生きていればどういう音楽を作ったのだろう?」
Hの発言の根底は僕とほぼ同じで、いわゆるソウルとして聴くと
すっきりとしすぎていて物足りなというものでした。
それは僕も暫くは分からなかったのですが、その後もずっと
サム・クックを聴き続けて分かりました。
サム・クックはソウルを完成させたわけではなく、後に続く者たちに
道をつけて可能性を広げたことの功績が大きいのではないかなと。
サム・クックが音楽にもたらしたものは、イマジネーションなのです。
最後はAmazonのリンクを3つ。
左から、僕が最も好きなライヴ盤、本物のソウル、そしてベスト盤。
僕が特に好きな曲を列記しておきます。
You Send Me、Win Your Love For Me、
Chain Gang、Wonderful World、
Love Will Find A Way、Everybody Loves To Cha Cha Cha、
Another Saturday Night、Meet Me At Mary's Place、
Having A Party、Good Times、Cupid、
Twistin' The Night Away、Ain't That A Good News、
Bring It On Home To Me、Sooothe Me、そして
A Change Is Gonna Come
今回はサム・クックの人となりについて思うことを書きましたが、
それでも長くなったので、曲についてはまた近いうちに記事を上げて、
どんな曲か僕が思うところを書いてゆければと思います。
よかった、正直言うとこの記事を書き始めるにあたり、
サム・クックは確かに大好きだけどどこがどう好きなのか分からなくて、
うまく記事としてまとめられるか、不安があったのでした。
いつもより長い記事におつきあいいただきありがとうございました。
なお、明日が3月6日で「サム」だからサム・クックというのは、
記事を書いているうちに気づいたことです、念のため(笑)。
あ、でも、そうなると、9月9日は「クック」だから、
前日にでもまた記事を上げないといけないのかな・・・(笑)・・・
最後はアウトテイクの写真で。
07

2014年10月12日
「愛さずにはいられない」 レイ・チャールズ
01

I Can't Stop Loving You Ray Charles
愛さずにはいられない レイ・チャールズ (1962)
今日は久々に本家BLOGでもこの1曲の記事を上げます。
今朝から、この曲が頭の中でずっと流れていて止まりません。
直接的には、今朝は車の中でレイ・チャールズのベスト盤を聴いていて、
もちろんこの曲も入っているから。
なぜ止まらなくなったかは、後半で話します。
あ、もったいぶるほどのことでもないのですが(笑)。
◇
I Can't Stop Loving You 「愛さずにはいれられない」は、
ビルボード誌Hot100において、1962年6月2日から5週間に渡り
No.1を獲得した曲。
レイ・チャールズにとって3曲目、そして意外にも最後のNo.1ヒット曲。
もっとも、彼が参加したWe Are The Worldは1位になっていますが。
この曲を僕はいつ、どこで知っていたかなあ。
高校1年の時には誰の何という曲か知っていたと記憶しています。
これくらいの名曲になると、洋楽に興味があって聴いている人であれば、
若いうちに自然と知ることになる曲だと思います。
レコードを初めて買ったのは、先述の今は車の中で聴いている
ベスト盤のCDで、まだ大学生だったかな。
その頃から、名曲と言われる曲は自分でCDを欲しいと思うようになり、
それが今でも続いていて、きっと永遠に続くことでしょう。
この曲の背景を、「ビルボード・ナンバー・1・ヒット」(上)から引用します。
なお、引用者は改行を施し、その他適宜文章に手を加えています。
プロデューサーのシド・フェラーは、レイ・チャールズに、過去20年間に
ヒットしたカントリー・ソングのレコードを聴きたいと言われた時、
理由も分からないままに、ともかく150曲を選びレイに渡した。
その中に1958年ドン・ギブソンが自作自演した曲があった。
これはテネシー州ノックスヴィルのエアコンもないトレーラーハウスで、
ある暑い日の午後作られた曲である。
もちろんマイクスタンドもなかったので鉄のハンガーが代用された。
ギブソンは最初、Top10ヒットにもならなかった「オー・ロンサム・ミー」
を書き、次にバラードを1曲書き始めた。
題は決めずに作曲をしたのだが、
♪アイ・キャント・ストップ・ラヴィング・ユーと歌詞が始まるこのバラードは
I Can't Stop Loving Youと名付けられた。
そして4年後、レイ・チャールズが同じフレーズに魅せられたのである。
レイは、この曲の最初の2行を聴いて、すぐにアルバム
『愛さずにはいられない/レイ・チャールズ・カントリー・アンド・
ウェスタン・ソングを歌う』に入れることにした。
「もしカントリー&ウェスタンなんか歌ったら今までのファンをみんな
失うことになるぜ、とたくさんの人に言われたけど、
とにかくやってみるよと答えた。
チャーリー・プライド(注:黒人のカントリー歌手)のように
なりたくなかったしな。
それが悪いってわけじゃないが、俺のやろうとしていることとは
違っていたね。
俺はカントリー&ウェスタンの名曲をを取り上げてみたかったんだ。
「愛さずにはいられない」だって、カントリー&ウェスタン風じゃなくて、
ちゃんと俺流に歌ってるんだぜ」
(1973年「ローリング・ストーン」誌のインタビューより)
事実、ABC-パラマウント・レコードのラリー・ニュートン重役も、
カントリー&ウェスタンのレコードを作ることに猛反対、
レイ・チャールズがC&Wだなんてレイのジョークだと受け取った。
がアルバムはミリオンセラーとなり、ABC-パラマウントの
初のゴールドアルバムとなったのである。
そしてレイ・チャールズの「カントリー&ウェスタン・ソングを歌う」
は第2集がリリースされているのは、今日よく知られていることだ。
カントリーでもありソウルでもある、または、
ソウルのようでもありカントリーのようでもあるがそのどちらでもない、
まさにレイ・チャールズの歌がここに出来上がったわけですね。
パーシー・スレッジのWhen A Man Loves A Woman、かの有名な
「男が女を愛する時」も、カントリーっぽいソウルの名曲。
ソウルとカントリーといえば、ボビー・ウーマックも「カントリーに行く」
というタイトルのアルバムを70年代に作っていました。
僕は考えはこうです。
「ソウル」というのは元々、例えば「カントリー&ウェスタン」のような
特定の音楽のジャンルではなく、歌手の「表現方法」であったものが、
これは売れるということで(いい意味で言ってます)、それを前面に
押し出して音楽ジャンルとして後付けで確立されたもの。
だから、白人のキャロル・キングが曲を書いていようが、
ビートルズのカヴァーを歌おうが、そしてC&Wであろうが、
「ソウル歌手」が歌うとソウルになるのです。
まあ、でも僕は、音楽を話題にしたりCDを買う時などは(必要があって)
音楽ジャンルのことは考えますが、聴くに際しては特に気にしない。
いいなと思ったら聴いているだけなのですが。
なお、写真01の現行盤CDは、第1集と第2集が1枚になったものです。
02

今日はまたN公園の日でした。
さて、なぜ「愛さずにはいられない」が止まらなくなったか。
本日は快晴。
昼にN公園で紅葉散撮をしていました。
周りを色づいた木々に囲まれた中、シャッターを切った瞬間
「愛さずにはいられない」が頭の中に浮かんできました。
その時、自分がいた場所、色づく木々、その場の雰囲気が、
この曲にあまりにもぴったりだったのです。
今日は人が多かったので、周りに誰もいないことを確認して
この曲を歌ったところで、涙が出そうなほどに感動しました。
こんな体験は僕でもそうは多くない。
なぜぴったりだったか。
紅葉がきれいで「撮らずにはいられない」、だったのかもしれない。
いや、これこそほんとうにただそう感じただけでしょう。
03

レイ・チャールズの歌のおかげで、今日は、
自分としてはとても気に入った写真が2枚撮れました。
これもまた「歌の力」なのかもしれないですね。
レイ・チャールズは今はひと頃のように頻繁に聴くということはないけれど、
時々むしょうに聴きたくなるし、一度聴くと数日は止まらなくなりますね。
30代までは、レイ・チャールズをそれほどいいとは思わなかったけれど、
やっぱり、年を取るにつれて音楽の好みは変わってゆくのでしょうね。
そうじゃない人もいらっしゃるかと思うけれど、僕は典型的に、そうです。
ただし、昔好きだったものが今は好きではない、
という意味ではもちろんありません。
引かれる音楽の傾向が変ってきた、という意味で、
元々あったものは大部分が残ったままではありますが。
ちなみに、僕はもちろん、この曲はリアルタイムではありません。
生れてもいないし。
04

おまけに今日は、珍しくカメラ目線のハウも撮れたし(笑)。
今日はいい1日だった、いろんな意味で。
さて、今回はYou-Tube映像を。
この曲のライヴを見つけました。
1982年の日本公演の音源・映像、とのことです。

I Can't Stop Loving You Ray Charles
愛さずにはいられない レイ・チャールズ (1962)
今日は久々に本家BLOGでもこの1曲の記事を上げます。
今朝から、この曲が頭の中でずっと流れていて止まりません。
直接的には、今朝は車の中でレイ・チャールズのベスト盤を聴いていて、
もちろんこの曲も入っているから。
なぜ止まらなくなったかは、後半で話します。
あ、もったいぶるほどのことでもないのですが(笑)。
◇
I Can't Stop Loving You 「愛さずにはいれられない」は、
ビルボード誌Hot100において、1962年6月2日から5週間に渡り
No.1を獲得した曲。
レイ・チャールズにとって3曲目、そして意外にも最後のNo.1ヒット曲。
もっとも、彼が参加したWe Are The Worldは1位になっていますが。
この曲を僕はいつ、どこで知っていたかなあ。
高校1年の時には誰の何という曲か知っていたと記憶しています。
これくらいの名曲になると、洋楽に興味があって聴いている人であれば、
若いうちに自然と知ることになる曲だと思います。
レコードを初めて買ったのは、先述の今は車の中で聴いている
ベスト盤のCDで、まだ大学生だったかな。
その頃から、名曲と言われる曲は自分でCDを欲しいと思うようになり、
それが今でも続いていて、きっと永遠に続くことでしょう。
この曲の背景を、「ビルボード・ナンバー・1・ヒット」(上)から引用します。
なお、引用者は改行を施し、その他適宜文章に手を加えています。
プロデューサーのシド・フェラーは、レイ・チャールズに、過去20年間に
ヒットしたカントリー・ソングのレコードを聴きたいと言われた時、
理由も分からないままに、ともかく150曲を選びレイに渡した。
その中に1958年ドン・ギブソンが自作自演した曲があった。
これはテネシー州ノックスヴィルのエアコンもないトレーラーハウスで、
ある暑い日の午後作られた曲である。
もちろんマイクスタンドもなかったので鉄のハンガーが代用された。
ギブソンは最初、Top10ヒットにもならなかった「オー・ロンサム・ミー」
を書き、次にバラードを1曲書き始めた。
題は決めずに作曲をしたのだが、
♪アイ・キャント・ストップ・ラヴィング・ユーと歌詞が始まるこのバラードは
I Can't Stop Loving Youと名付けられた。
そして4年後、レイ・チャールズが同じフレーズに魅せられたのである。
レイは、この曲の最初の2行を聴いて、すぐにアルバム
『愛さずにはいられない/レイ・チャールズ・カントリー・アンド・
ウェスタン・ソングを歌う』に入れることにした。
「もしカントリー&ウェスタンなんか歌ったら今までのファンをみんな
失うことになるぜ、とたくさんの人に言われたけど、
とにかくやってみるよと答えた。
チャーリー・プライド(注:黒人のカントリー歌手)のように
なりたくなかったしな。
それが悪いってわけじゃないが、俺のやろうとしていることとは
違っていたね。
俺はカントリー&ウェスタンの名曲をを取り上げてみたかったんだ。
「愛さずにはいられない」だって、カントリー&ウェスタン風じゃなくて、
ちゃんと俺流に歌ってるんだぜ」
(1973年「ローリング・ストーン」誌のインタビューより)
事実、ABC-パラマウント・レコードのラリー・ニュートン重役も、
カントリー&ウェスタンのレコードを作ることに猛反対、
レイ・チャールズがC&Wだなんてレイのジョークだと受け取った。
がアルバムはミリオンセラーとなり、ABC-パラマウントの
初のゴールドアルバムとなったのである。
そしてレイ・チャールズの「カントリー&ウェスタン・ソングを歌う」
は第2集がリリースされているのは、今日よく知られていることだ。
カントリーでもありソウルでもある、または、
ソウルのようでもありカントリーのようでもあるがそのどちらでもない、
まさにレイ・チャールズの歌がここに出来上がったわけですね。
パーシー・スレッジのWhen A Man Loves A Woman、かの有名な
「男が女を愛する時」も、カントリーっぽいソウルの名曲。
ソウルとカントリーといえば、ボビー・ウーマックも「カントリーに行く」
というタイトルのアルバムを70年代に作っていました。
僕は考えはこうです。
「ソウル」というのは元々、例えば「カントリー&ウェスタン」のような
特定の音楽のジャンルではなく、歌手の「表現方法」であったものが、
これは売れるということで(いい意味で言ってます)、それを前面に
押し出して音楽ジャンルとして後付けで確立されたもの。
だから、白人のキャロル・キングが曲を書いていようが、
ビートルズのカヴァーを歌おうが、そしてC&Wであろうが、
「ソウル歌手」が歌うとソウルになるのです。
まあ、でも僕は、音楽を話題にしたりCDを買う時などは(必要があって)
音楽ジャンルのことは考えますが、聴くに際しては特に気にしない。
いいなと思ったら聴いているだけなのですが。
なお、写真01の現行盤CDは、第1集と第2集が1枚になったものです。
02

今日はまたN公園の日でした。
さて、なぜ「愛さずにはいられない」が止まらなくなったか。
本日は快晴。
昼にN公園で紅葉散撮をしていました。
周りを色づいた木々に囲まれた中、シャッターを切った瞬間
「愛さずにはいられない」が頭の中に浮かんできました。
その時、自分がいた場所、色づく木々、その場の雰囲気が、
この曲にあまりにもぴったりだったのです。
今日は人が多かったので、周りに誰もいないことを確認して
この曲を歌ったところで、涙が出そうなほどに感動しました。
こんな体験は僕でもそうは多くない。
なぜぴったりだったか。
紅葉がきれいで「撮らずにはいられない」、だったのかもしれない。
いや、これこそほんとうにただそう感じただけでしょう。
03

レイ・チャールズの歌のおかげで、今日は、
自分としてはとても気に入った写真が2枚撮れました。
これもまた「歌の力」なのかもしれないですね。
レイ・チャールズは今はひと頃のように頻繁に聴くということはないけれど、
時々むしょうに聴きたくなるし、一度聴くと数日は止まらなくなりますね。
30代までは、レイ・チャールズをそれほどいいとは思わなかったけれど、
やっぱり、年を取るにつれて音楽の好みは変わってゆくのでしょうね。
そうじゃない人もいらっしゃるかと思うけれど、僕は典型的に、そうです。
ただし、昔好きだったものが今は好きではない、
という意味ではもちろんありません。
引かれる音楽の傾向が変ってきた、という意味で、
元々あったものは大部分が残ったままではありますが。
ちなみに、僕はもちろん、この曲はリアルタイムではありません。
生れてもいないし。
04

おまけに今日は、珍しくカメラ目線のハウも撮れたし(笑)。
今日はいい1日だった、いろんな意味で。
さて、今回はYou-Tube映像を。
この曲のライヴを見つけました。
1982年の日本公演の音源・映像、とのことです。
2014年09月27日
BAD 25周年記念盤 マイケル・ジャクソン
01

BAD Michael Jackson (1987)
BAD 25周年記念盤
マイケル・ジャクソンのBADの25周年記念盤が出ました。
内容は、Disc1がオリジナルアルバムの最新リマスター、
Disc2がデモなど未発表ヴァージョン。
Disc3が1988年7月16日、ロンドン・ウェンブリーのライヴ。
DVDにはその映像が収められていますが、このDVDは
単売されているものと同内容のようです。
他にツアーパンフレットをイメージした写真満載のブックレット、
日本盤には日本語解説など、とにかく豪華なもの。
今回はこれを聴きましょう。
BADとは何だったのか。
あのTHRILLERを受けて発売が待たれていたこのアルバム。
僕がちょうど二十歳の頃にリリースされましたが、
当時は「アルバム至上主義者」であった僕は、
アルバムとしてはすごくいいとは思わなくて、
期待が大きかっただけに、正直、拍子抜けしました。
まるで、「だるま落とし」で間が2つくらいなくなったかのように。
流れがないというか、ベスト盤を聴いているような感覚でした。
しかし1曲1曲の素晴らしさは言うまでもなく、そのうち、
アルバムとしての流れは気にせず、というよりも、
流れ以上の魅力を感じて普通に聴くようになりました。
コンセプトがどうのこうのは関係なく、楽しければそれでいい。
マイケル・ジャクソンはそこに全力を尽くすだけ。
だから「キング・オヴ・ポップ」なのでしょう。
ベスト盤のような感覚というのもそれで肯けます。
その姿勢はモータウンから受け継いでいるに違いない。
モータウン後に時代の流れでアルバム作りに力を入れましましたが、
基本は圧倒的によい歌で魅了する音楽だったはず。
つまり、BADとは結局、モータウンだった、ということでしょう。
当時はスティーヴィー・ワンダーはまだ頑張っていたけれど、
モータウンは全盛期の勢いをほぼ完全に失っていました。
マイケルは70年代にモータウンを出ていましたが、そんな
「心の故郷」の状況を外から見てエールを贈りたかったのでしょう。
温故知新、古きよきものがあるからこそ前に進める。
なお、作曲者は明記されていないものは
マイケル・ジャクソンひとりが作曲しています。
(All songs written by Michael Jackson except as noted)
02

Tr1:BAD
イントロのインパクトの大きさはポピュラー音楽史最大級でしょうね。
もうとにかく最初からものすごい勢いで引き込まれてゆきます。
僕は当時聴いた時、妙に子どもっぽい曲だなと思いました。
ちょうど二十歳の頃で大人に向かっていたのでそう感じたのかな。
まあ、男にはそういうところがあると言いたいのでしょう、きっと。
間奏のハモンドオルガンはジャズの名オルガにストである
ジミー・スミスが演奏していますが、僕はそのことを、つい先日の
「ベスト・ヒットUSA」のこの25周年記念盤の特集で知りました。
小林克也さんは、前に進みながらも昔からのいいものは取り入れて
敬意は忘れない、その姿勢にいたく感動していました。
ビデオクリップも話題になりましたが、この曲については、
そんな話をここでしてもしょうがないくらいに膾炙していますね。
なお、これは曲名としてもすべて大文字で書くのが正しいようで。
Tr2:The Way You Make Me Feel
僕がマイケルをほんとうにすごい作曲家だと思ったのがこの曲。
なぜって、コード進行が目に見えるくらいに単純な3コードの曲で、
暴言として受け止めてもらえば(笑)、誰でも書けそうな曲を、
これだけ聴かせてしまうなんて。
しかもこの曲、明確なサビといえるものがなくて、
曲名を歌う部分はあるけれどコーラスといえるものではない、
でも口ずさんでしまう、そこもまたすごい。
さらにはBメロで入る短いラッパも印象的でそれも口ずさむ。
初期ソウルのまだR&Bともいえる古臭いスタイルだけど、
マイケルの感覚は新鮮で、まさに新しいモータウン。
ただ、僕は昔は、曲がシンプルな割にマイケルの歌い方が
力が入りすぎてるな、と思ったけど、それは個性だから今は好き。
この中でいちばんよく口ずさむのはこの曲です。
Tr3:Speed Demon
このアルバムは数年前にリイシュー・リマスター盤が出た時に
10何年振りに聴きましたが、その時は1、2回だけ聴きました。
今回は記事にするにあたり割とよく聴いていますが、この曲は
サビしか覚えていませんでした・・・
この曲はビデオクリップが作られなかったはずですが、やはり、
良くも悪くも、この頃の音楽はビデオクリップと一緒に
覚えたということでしょうね。
Tr4:Liberian Girl
この曲のビデオクリップは、マイケルが主演のはずの映画を
撮影していてマイケルが行方不明になってみんなで探したところ、
マイケルはカメラクルーで撮影していた、というオチでした。
エディ・マーフィーも出演していました。
この曲は美しい旋律のバラードで大好き。
エキゾティックな要素もマイケルは昔から自然にできますね。
「ライベリアン」と発音するのは、英語としては当然でしょうけど、
マイケルが言うと妙にカッコよかった(笑)。
Tr5:Just Good Friends (with Stevie Wonder)
(Terry Britten, Graham Lyle)
すいません、この曲もよく覚えていませんでした。
当時、よく聴いたようであまり聴いてなかったのかな。
やはり、ビデオクリップがなかった曲だし。
逆にいえば、あまり聴かなくてもインパクトが大きい曲は
曲の覚えが悪い僕でも覚えられた、マイケルはすごい、
ということになるのでしょうけど。
スティーヴィー・ワンダーとのデュエットといえば、
ポール・マッカートニーを巡っていろいろあったようで、
そんあ2人が和解した、ということなのかと当時は思いました。
2人とも作曲には絡んでいないけれど、だからなのか、
マイケルらしさ7割の中にスティーヴィーらしさが3割くらい
織り込まれている、そんな感じの響き。
Tr6:Another Part Of Me
この曲は歌の流れや全体に合わせるには不思議な響きの
イントロのキーボードが印象的ですね。
BADの頃のマイケルの標準的な曲という感じ、もちろんいい意味で。
この曲はディズニーランドで限定公開された
「キャプテン・イオ」の曲として当時とても話題になりましたね。
03 今回はなんとなくBADな感じの犬たちの写真を

Tr7:Man in the Mirror
(Siedah Garrett, Glen Ballard)
先日のベストヒットによれば、サイーダ・ギャレットがこの曲を
持っていたのを聴いてマイケルが歌うことになり、さらには
最初のシングル曲をデュエットする話に発展したそうです。
もうひとりの作曲者グレン・バラードは後にアラニス・モリセット
などで大成功するプロデューサー・ミュージシャンですが、
マイケルの周りには若い才能が溢れていたのですね。
コーラスにゴスペルの影響が色濃く感じられますが、当時は漸く
ポップスにゴスペル的要素が普通に取り入れられるようになり、
かつ不自然ではなく聴かせるようになった頃でした。
ただ、当時の日本はまだまだゴスペルの知名度は低くて、
今のように小学生でも分かるということはなかったですね。
この曲、夜中にひとりで聴くと、「俺はこんなでいいのだろうか?」
と悩んでどん底に落ちる、そんな感じを昔から受けています。
でも、マイケルは、それでいい、それだから人間だ、と
歌ってくれているような気もします、信じています。
多くの人の心に寄り添う曲ですね。
Tr8:I Just Can't Stop Loving You
(duet with Siedah Garret)
これがそのサイーダ・ギャレットとのデュエット。
この曲はビデオクリップが作られず、一緒に歌っている人も当時は
知らなかったので、あのTHRILLERの後に何年も待たされて
これというのは何か地味だな、と感じました。
でもそれは、あのTHRILLERの後だから、静めたかったのかな。
ブーム的なもので終わらせず、じっくりと歌を聴いてほしい。
それは当時からなんとなく感じていました。
実際、歌は最初からとても気に入ったから。
これも古いモータウンを彷彿とさせますね、今ならそう思う。
一方で1980年代はデュエットものが流行っていたことがあって、
これがいかにもその時代の曲という部分でもありますね。
ああそれで、この曲もサビの曲名を歌うところの音程が、僕には、
ソラで口ずさむには微妙に取りにくいのです、なぜだろう。
Tr9:Dirty Diana
マイケルとダイアナ・ロスの心の関係は複雑で、話を聞くだけでは
周りの人にはなかなか理解できないものでしょうね。
まあ外野の人間がそれはおせっかいでしょうけど。
それはともかく、ダークでハードなロック的なこの曲は、
スティーヴ・スティーヴンスがギターでゲスト参加しています。
スティーヴは当時、ビリー・アイドルのバンドのメンバーであり、
No.1になったMony Monyなどで注目を浴びていました。
THRILLLERではエドワード・ヴァン・ヘイレンが参加していましたが、
当時の旬なギタリストを呼ぶのもマイケルはお好きだったようで。
Bメロで微妙にろれつが回らなくなりそうな歌い方になるのが
上手いというか表現力豊かな歌手だと思いました。
Tr10:Smooth Criminal
マイケルのリズム感と歌メロ作りのうまさを堪能できる曲。
たたみかけるサビもすごいけれど、ヴァースもうまく旋律が流る。
マイケルの軸がソウルであることもまたよく分かる1曲。
「パン、茶、宿直」の空耳で有名ですが、さらには歌い出しが
「朝からちょっと運動、表参道、赤信号」、空耳が2つあり、
しかもどちらもとんでもなく面白いのが、別の意味ですごい(笑)。
ところでこれ、邦題は「スムー「ズ」・クリミナル」なのかい・・・
Tr11:Leave Me Alone
マイケルの家族だったチンパンジーのBubbles君が出てくる
アニメのビデオクリップが印象的だった曲。
当時のゴシップ渦に嫌気をさして書いた曲でこの曲名だけど、
最後の最後に「放っておいてくれ」と言って終わってしまうのは
アルバムの流れとして、不満、というか、物足りない部分でした。
ただそれも、アルバムは流れを考えて聴くものという頭があるから
かえって突き放すほうが効果的、ということかもしれないですね。
僕にとってはマイナス側とはいえ、強く印象に残ったから。
曲はいいですね、こんな力強いバラードを歌える人はマイケルだけ。
でも僕はこの曲、CDを買って半年くらいはずっと、サビで
"Baby you know"と歌っていると思い込んでそう口ずさんでいて、
少しして曲名までそう覚えてしまったのですが、
ビデオクリップを初めて見た時、間違いに気づきました・・・
ともあれ、とにかくいい歌ばかりが並んだアルバムはこれにて幕。
04 誰が悪い!?

Disc2は6曲の完全未発表曲、以前のリイシューで出たデモなど。
穏やかな曲が多くて、逆にいえば、BADというアルバムは
まさに力を入れて作ったことが感じ取れます。
さすがはマイケル、未発表でもデモでもちゃんと歌になっている。
I Just Can't Stop Loving Youの
スペイン語とフランス語のヴァージョンが収められていますが、
やはり僕はいつも思う、英語のために書かれた曲を、他の言語に
「訳して」歌うのは、響きに違和感がありますね。
この2つについてどれだけ真剣に作詞したのか分からないけれど、
大胆に1から作詞してしまうくらいの気構えが必要だと思います。
でも、合わないところが微笑ましくもありますが。
日本盤ボーナストラックとして収められているのが、
Disc3-Tr15:BAD、1987年9月の横浜公演のライヴ音源です。
だからやっぱり日本盤を買うべきでしょうね。
しかし今回の25周年記念盤でうれしいのは、ライヴ音源。
マイケル・ジャクソンの全盛期のライヴが見られるのも
うれしいのですが、僕にとってもうひとつうれしいことのは
デビュー前のシェリル・クロウがバックシンガーとして
このツアーに参加していて、彼女の歌声を聴けることです。
I Just Can't Stop Loving Youをサイーダ・ギャレットの代わりに
デュエットしていて、DVDでは姿もはっきりと写っています。
シェリル・クロウがマイケルのツアーにバックシンガーとして
参加していたことはもはや有名な話で、シェリルも一昨年のアルバム
200 MILES FROM MEMPHISにおいて、ボーナストラックとして
I Want You Backを歌い、マイケルへの思いを表しています。
でも、実際に歌を聴くと、声と言うか歌唱法が今とはぜんぜん違い、
正直、僕は、最初に聴いた時はシェリルだとは思えなくて、
ブックレットで確かめて、ああ、そうなんだ、と思ったくらい。
映像も、化粧が濃くて髪が80年代バブル風で、ジュリアナ風、
それはもう死語なのかな(笑)、とにかくまるで別人。
でも、マイケルと向き合い寄り添って歌う姿には感動しますね。
マイケルはほんとに若い才能を大切にしていたこともよく分かります。
最近は25周年をはじめとして何周年記念盤がよく出ますが、
それらはだいたい、実際には26年目に入っていたり、
リリースが遅れがちのものが多かった。
編集が間に合わない、もっと詰めたい、ということかな。
でもこれは、1987年8月31日にリリースされていたので、
ほぼ予定通りに出たのは珍しい、と、思ってしまった(笑)。
箱を開けるとつんと鼻につく昔の輸入盤の匂いがして懐かしかった。
実はそれ、殺虫剤の匂いなんですけどね(笑)。
日本盤解説のブックレットには、日本のアーティストなどが
寄せた言葉が載っていますが、その中に、
小林克也さんが先述のベストヒットで言った言葉もあります。
マイケルはTHRILLERの大成功を受けても攻撃的で
前を向いて作ったのがこのアルバムだ、という趣旨です。
テレビで小林克也さんのその言葉を聴いた時、ああそうか、
やっぱりBADがアルバムとしての流れを半ば無視したのは、
そういう意図だったのか、と、理解できました。
1987年の永遠が刻み込まれたアルバム、ですね。

BAD Michael Jackson (1987)
BAD 25周年記念盤
マイケル・ジャクソンのBADの25周年記念盤が出ました。
内容は、Disc1がオリジナルアルバムの最新リマスター、
Disc2がデモなど未発表ヴァージョン。
Disc3が1988年7月16日、ロンドン・ウェンブリーのライヴ。
DVDにはその映像が収められていますが、このDVDは
単売されているものと同内容のようです。
他にツアーパンフレットをイメージした写真満載のブックレット、
日本盤には日本語解説など、とにかく豪華なもの。
今回はこれを聴きましょう。
BADとは何だったのか。
あのTHRILLERを受けて発売が待たれていたこのアルバム。
僕がちょうど二十歳の頃にリリースされましたが、
当時は「アルバム至上主義者」であった僕は、
アルバムとしてはすごくいいとは思わなくて、
期待が大きかっただけに、正直、拍子抜けしました。
まるで、「だるま落とし」で間が2つくらいなくなったかのように。
流れがないというか、ベスト盤を聴いているような感覚でした。
しかし1曲1曲の素晴らしさは言うまでもなく、そのうち、
アルバムとしての流れは気にせず、というよりも、
流れ以上の魅力を感じて普通に聴くようになりました。
コンセプトがどうのこうのは関係なく、楽しければそれでいい。
マイケル・ジャクソンはそこに全力を尽くすだけ。
だから「キング・オヴ・ポップ」なのでしょう。
ベスト盤のような感覚というのもそれで肯けます。
その姿勢はモータウンから受け継いでいるに違いない。
モータウン後に時代の流れでアルバム作りに力を入れましましたが、
基本は圧倒的によい歌で魅了する音楽だったはず。
つまり、BADとは結局、モータウンだった、ということでしょう。
当時はスティーヴィー・ワンダーはまだ頑張っていたけれど、
モータウンは全盛期の勢いをほぼ完全に失っていました。
マイケルは70年代にモータウンを出ていましたが、そんな
「心の故郷」の状況を外から見てエールを贈りたかったのでしょう。
温故知新、古きよきものがあるからこそ前に進める。
なお、作曲者は明記されていないものは
マイケル・ジャクソンひとりが作曲しています。
(All songs written by Michael Jackson except as noted)
02

Tr1:BAD
イントロのインパクトの大きさはポピュラー音楽史最大級でしょうね。
もうとにかく最初からものすごい勢いで引き込まれてゆきます。
僕は当時聴いた時、妙に子どもっぽい曲だなと思いました。
ちょうど二十歳の頃で大人に向かっていたのでそう感じたのかな。
まあ、男にはそういうところがあると言いたいのでしょう、きっと。
間奏のハモンドオルガンはジャズの名オルガにストである
ジミー・スミスが演奏していますが、僕はそのことを、つい先日の
「ベスト・ヒットUSA」のこの25周年記念盤の特集で知りました。
小林克也さんは、前に進みながらも昔からのいいものは取り入れて
敬意は忘れない、その姿勢にいたく感動していました。
ビデオクリップも話題になりましたが、この曲については、
そんな話をここでしてもしょうがないくらいに膾炙していますね。
なお、これは曲名としてもすべて大文字で書くのが正しいようで。
Tr2:The Way You Make Me Feel
僕がマイケルをほんとうにすごい作曲家だと思ったのがこの曲。
なぜって、コード進行が目に見えるくらいに単純な3コードの曲で、
暴言として受け止めてもらえば(笑)、誰でも書けそうな曲を、
これだけ聴かせてしまうなんて。
しかもこの曲、明確なサビといえるものがなくて、
曲名を歌う部分はあるけれどコーラスといえるものではない、
でも口ずさんでしまう、そこもまたすごい。
さらにはBメロで入る短いラッパも印象的でそれも口ずさむ。
初期ソウルのまだR&Bともいえる古臭いスタイルだけど、
マイケルの感覚は新鮮で、まさに新しいモータウン。
ただ、僕は昔は、曲がシンプルな割にマイケルの歌い方が
力が入りすぎてるな、と思ったけど、それは個性だから今は好き。
この中でいちばんよく口ずさむのはこの曲です。
Tr3:Speed Demon
このアルバムは数年前にリイシュー・リマスター盤が出た時に
10何年振りに聴きましたが、その時は1、2回だけ聴きました。
今回は記事にするにあたり割とよく聴いていますが、この曲は
サビしか覚えていませんでした・・・
この曲はビデオクリップが作られなかったはずですが、やはり、
良くも悪くも、この頃の音楽はビデオクリップと一緒に
覚えたということでしょうね。
Tr4:Liberian Girl
この曲のビデオクリップは、マイケルが主演のはずの映画を
撮影していてマイケルが行方不明になってみんなで探したところ、
マイケルはカメラクルーで撮影していた、というオチでした。
エディ・マーフィーも出演していました。
この曲は美しい旋律のバラードで大好き。
エキゾティックな要素もマイケルは昔から自然にできますね。
「ライベリアン」と発音するのは、英語としては当然でしょうけど、
マイケルが言うと妙にカッコよかった(笑)。
Tr5:Just Good Friends (with Stevie Wonder)
(Terry Britten, Graham Lyle)
すいません、この曲もよく覚えていませんでした。
当時、よく聴いたようであまり聴いてなかったのかな。
やはり、ビデオクリップがなかった曲だし。
逆にいえば、あまり聴かなくてもインパクトが大きい曲は
曲の覚えが悪い僕でも覚えられた、マイケルはすごい、
ということになるのでしょうけど。
スティーヴィー・ワンダーとのデュエットといえば、
ポール・マッカートニーを巡っていろいろあったようで、
そんあ2人が和解した、ということなのかと当時は思いました。
2人とも作曲には絡んでいないけれど、だからなのか、
マイケルらしさ7割の中にスティーヴィーらしさが3割くらい
織り込まれている、そんな感じの響き。
Tr6:Another Part Of Me
この曲は歌の流れや全体に合わせるには不思議な響きの
イントロのキーボードが印象的ですね。
BADの頃のマイケルの標準的な曲という感じ、もちろんいい意味で。
この曲はディズニーランドで限定公開された
「キャプテン・イオ」の曲として当時とても話題になりましたね。
03 今回はなんとなくBADな感じの犬たちの写真を

Tr7:Man in the Mirror
(Siedah Garrett, Glen Ballard)
先日のベストヒットによれば、サイーダ・ギャレットがこの曲を
持っていたのを聴いてマイケルが歌うことになり、さらには
最初のシングル曲をデュエットする話に発展したそうです。
もうひとりの作曲者グレン・バラードは後にアラニス・モリセット
などで大成功するプロデューサー・ミュージシャンですが、
マイケルの周りには若い才能が溢れていたのですね。
コーラスにゴスペルの影響が色濃く感じられますが、当時は漸く
ポップスにゴスペル的要素が普通に取り入れられるようになり、
かつ不自然ではなく聴かせるようになった頃でした。
ただ、当時の日本はまだまだゴスペルの知名度は低くて、
今のように小学生でも分かるということはなかったですね。
この曲、夜中にひとりで聴くと、「俺はこんなでいいのだろうか?」
と悩んでどん底に落ちる、そんな感じを昔から受けています。
でも、マイケルは、それでいい、それだから人間だ、と
歌ってくれているような気もします、信じています。
多くの人の心に寄り添う曲ですね。
Tr8:I Just Can't Stop Loving You
(duet with Siedah Garret)
これがそのサイーダ・ギャレットとのデュエット。
この曲はビデオクリップが作られず、一緒に歌っている人も当時は
知らなかったので、あのTHRILLERの後に何年も待たされて
これというのは何か地味だな、と感じました。
でもそれは、あのTHRILLERの後だから、静めたかったのかな。
ブーム的なもので終わらせず、じっくりと歌を聴いてほしい。
それは当時からなんとなく感じていました。
実際、歌は最初からとても気に入ったから。
これも古いモータウンを彷彿とさせますね、今ならそう思う。
一方で1980年代はデュエットものが流行っていたことがあって、
これがいかにもその時代の曲という部分でもありますね。
ああそれで、この曲もサビの曲名を歌うところの音程が、僕には、
ソラで口ずさむには微妙に取りにくいのです、なぜだろう。
Tr9:Dirty Diana
マイケルとダイアナ・ロスの心の関係は複雑で、話を聞くだけでは
周りの人にはなかなか理解できないものでしょうね。
まあ外野の人間がそれはおせっかいでしょうけど。
それはともかく、ダークでハードなロック的なこの曲は、
スティーヴ・スティーヴンスがギターでゲスト参加しています。
スティーヴは当時、ビリー・アイドルのバンドのメンバーであり、
No.1になったMony Monyなどで注目を浴びていました。
THRILLLERではエドワード・ヴァン・ヘイレンが参加していましたが、
当時の旬なギタリストを呼ぶのもマイケルはお好きだったようで。
Bメロで微妙にろれつが回らなくなりそうな歌い方になるのが
上手いというか表現力豊かな歌手だと思いました。
Tr10:Smooth Criminal
マイケルのリズム感と歌メロ作りのうまさを堪能できる曲。
たたみかけるサビもすごいけれど、ヴァースもうまく旋律が流る。
マイケルの軸がソウルであることもまたよく分かる1曲。
「パン、茶、宿直」の空耳で有名ですが、さらには歌い出しが
「朝からちょっと運動、表参道、赤信号」、空耳が2つあり、
しかもどちらもとんでもなく面白いのが、別の意味ですごい(笑)。
ところでこれ、邦題は「スムー「ズ」・クリミナル」なのかい・・・
Tr11:Leave Me Alone
マイケルの家族だったチンパンジーのBubbles君が出てくる
アニメのビデオクリップが印象的だった曲。
当時のゴシップ渦に嫌気をさして書いた曲でこの曲名だけど、
最後の最後に「放っておいてくれ」と言って終わってしまうのは
アルバムの流れとして、不満、というか、物足りない部分でした。
ただそれも、アルバムは流れを考えて聴くものという頭があるから
かえって突き放すほうが効果的、ということかもしれないですね。
僕にとってはマイナス側とはいえ、強く印象に残ったから。
曲はいいですね、こんな力強いバラードを歌える人はマイケルだけ。
でも僕はこの曲、CDを買って半年くらいはずっと、サビで
"Baby you know"と歌っていると思い込んでそう口ずさんでいて、
少しして曲名までそう覚えてしまったのですが、
ビデオクリップを初めて見た時、間違いに気づきました・・・
ともあれ、とにかくいい歌ばかりが並んだアルバムはこれにて幕。
04 誰が悪い!?

Disc2は6曲の完全未発表曲、以前のリイシューで出たデモなど。
穏やかな曲が多くて、逆にいえば、BADというアルバムは
まさに力を入れて作ったことが感じ取れます。
さすがはマイケル、未発表でもデモでもちゃんと歌になっている。
I Just Can't Stop Loving Youの
スペイン語とフランス語のヴァージョンが収められていますが、
やはり僕はいつも思う、英語のために書かれた曲を、他の言語に
「訳して」歌うのは、響きに違和感がありますね。
この2つについてどれだけ真剣に作詞したのか分からないけれど、
大胆に1から作詞してしまうくらいの気構えが必要だと思います。
でも、合わないところが微笑ましくもありますが。
日本盤ボーナストラックとして収められているのが、
Disc3-Tr15:BAD、1987年9月の横浜公演のライヴ音源です。
だからやっぱり日本盤を買うべきでしょうね。
しかし今回の25周年記念盤でうれしいのは、ライヴ音源。
マイケル・ジャクソンの全盛期のライヴが見られるのも
うれしいのですが、僕にとってもうひとつうれしいことのは
デビュー前のシェリル・クロウがバックシンガーとして
このツアーに参加していて、彼女の歌声を聴けることです。
I Just Can't Stop Loving Youをサイーダ・ギャレットの代わりに
デュエットしていて、DVDでは姿もはっきりと写っています。
シェリル・クロウがマイケルのツアーにバックシンガーとして
参加していたことはもはや有名な話で、シェリルも一昨年のアルバム
200 MILES FROM MEMPHISにおいて、ボーナストラックとして
I Want You Backを歌い、マイケルへの思いを表しています。
でも、実際に歌を聴くと、声と言うか歌唱法が今とはぜんぜん違い、
正直、僕は、最初に聴いた時はシェリルだとは思えなくて、
ブックレットで確かめて、ああ、そうなんだ、と思ったくらい。
映像も、化粧が濃くて髪が80年代バブル風で、ジュリアナ風、
それはもう死語なのかな(笑)、とにかくまるで別人。
でも、マイケルと向き合い寄り添って歌う姿には感動しますね。
マイケルはほんとに若い才能を大切にしていたこともよく分かります。
最近は25周年をはじめとして何周年記念盤がよく出ますが、
それらはだいたい、実際には26年目に入っていたり、
リリースが遅れがちのものが多かった。
編集が間に合わない、もっと詰めたい、ということかな。
でもこれは、1987年8月31日にリリースされていたので、
ほぼ予定通りに出たのは珍しい、と、思ってしまった(笑)。
箱を開けるとつんと鼻につく昔の輸入盤の匂いがして懐かしかった。
実はそれ、殺虫剤の匂いなんですけどね(笑)。
日本盤解説のブックレットには、日本のアーティストなどが
寄せた言葉が載っていますが、その中に、
小林克也さんが先述のベストヒットで言った言葉もあります。
マイケルはTHRILLERの大成功を受けても攻撃的で
前を向いて作ったのがこのアルバムだ、という趣旨です。
テレビで小林克也さんのその言葉を聴いた時、ああそうか、
やっぱりBADがアルバムとしての流れを半ば無視したのは、
そういう意図だったのか、と、理解できました。
1987年の永遠が刻み込まれたアルバム、ですね。
2014年09月20日
アル・グリーンに凝っている
いつものように
写真へのコメントも
大歓迎です!
またまた音楽ネタです。
最近、それしか書けないんです・・・(笑)
01

EXPLORES YOUR MIND Al Green released in 1974
エクスプロアーズ・ユア・マインド アル・グリーン
最近凝っているアーティスト
アル・グリーン
ご存知でしょうか・・・?
僕も今回聴くまで、ほとんど名前くらいしか知りませんでした。
僕が、アル・グリーンを聴くにあたって、
さいたまのソウルマニアの友達Mにメールで相談したところ、
こんな答えが返ってきました。
「1970年代のソウルといえば、
マーヴィン・ゲイかアル・グリーンか
というくらいに人気を博した人だよ」
アル・グリーンはしかし、聞くところによると、
人気があった1970年代後半に、牧師になって
ポピュラー音楽の世界からは身を引いたそうです。
だから、僕が洋楽を聴き始めた頃には、
既に「過去のアーティスト」になっていたわけです。
近年は活動も再開し、アルバムも出しています。
でも僕は、復活してからのはひとまず後回しにして、
70年代、人気絶頂期のアルバムを2枚買いました。
冒頭の写真は、そのうち1枚、今日の話題となるアルバムです。
最初は、ちょっとしたきっかけで「買ってみた」という程度でした。
そのきっかけは、後に詳しく触れます。
最初に買った2枚のうち、今回は取り上げないアルバムは
LET'S STAY TOGETHER。
これは、表題曲が、ビルボードNO.1になる
彼の最大のヒット曲にして代表曲、ソウルの名曲です。
このアルバムもとっても気に入りました。
ビー・ジーズのHow Can You Mend This Broken Heartを、
オリジナルとはまた違った繊細さで歌いこなし、
これは、意表をついた好カバーでした。
そして今回の記事のEXPLORES YOUR MIND、
これが、アルバムとしてほんとに素晴らしい!
ソウルマニアの友達Mに、かつて、こうも言われたんです。
「ソウル系は、アルバムに1、2曲いい曲が入っていれば、
あとは、アルバムとしていいものを作ろうなんて
ハナから考えいないので、そこは気軽に聴いたほうがいいし、
ベストで押さえていくのもひとつの手だと思うよ」
ビートルズから洋楽を聴き始めた人間としては、
「アルバムとして良いものこそが良い」というのが、
ほとんど思想といえるまでに心身にしみ込んでいるので、
友だちの発言はちょっとショックだったのと同時に、
なるほど、そういう見方もあるのか、とも思いました。
だからアル・グリーンも、最初はベストを買おうと思いました。
でも一方で、名曲が最初に発表されたアルバムは
ぜひとも押さえたいという僕自身の昔からの考えもあって、
ずいぶんと迷い、友達Mに何度も相談したところ
「俺は君の考え方は尊重するよ」と言われ、
自分の考えを貫き、オリジナルアルバムを買いました。
これが、予想や期待に反して、
アルバムとして、素晴らしく良かったんです!
02 知床のトドマツと青空

閑話休題、僕とソウルについて。
ソウルは、大ヒット曲・名曲は、リアルタイムでもその前でも
知っているものも多くて、モータウン系はCDを持っている、
リアルタイムでは何人か新譜が出る度に買うアーティストがいる、
という、まあ、そこそこ親しんできたかな、という感じでしょうか。
マーヴィン・ゲイだけは、先述の友達Mともうひとり、
神と崇めるほど好きな友達がいて、割と古くから聴いてきていて、
亡くなった時は、とてもショックでした。
モータウン系以外では、サム・クック、アレサ・フランクリン、
オーティス・レディングそしてアース、ウィンド&ファイアは
結構CDを持っていて、まあ、好んで聴くアーティストです。
と書いてきて、さらに外れます。
今回、この記事を上げるにあたり、
ソウルというかR&Bというかブラック系は、
今後も少し力を入れて聴いてゆこうと思い、
「ソウル」というカテゴリを新たに設けました。
しかし、人によって、ものによって、本によっては、
スティーヴィー・ワンダーやプリンスをロックとして扱ったり、
僕自身も、「ロックバラード」の記事で、
「ソウル」と認識されている人の曲を取り上げたこともあったり、
「ロック」という言葉は幅広く解釈できることもあって、
その辺は微妙ではありますね。
ただ、上記2人は10代の頃から聴き続けているので、
僕の意識としては「ロック」の範疇に入っています。
でも、せっかくカテゴリを設けたことだし(笑)、
その2人も、そしてマイケル・ジャクソンも、
これからは「ソウル」として扱ってゆくかな、とも思います。
ただ、タグには「ロック」とも入れます。
まあ、ジャンル分けにこだわる必要もないのかもしれないですが。
03 「シティ」の夜明け

アル・グリーンに戻って、さて、どこがどう良かったのか、実は
うまく説明できないんですが、それでも、感じたことを書きます。
ソウルは、僕の数少ない体験から、
「寂しい」か、「都会的(オシャレ)」か、「激しい(力強い)」か
のどれかだと思っていたのですが(ずいぶんと極端ですが)、
アル・グリーンは、そのどれでもないというのが、
まずは気づいた、感じたところです。
音的には、「ロックっぽい」と言うと違うと思うんですが、
「ロックばかり聴いている人間にもとっつきやすい音」でした。
これはどういうことかというと、
ソウルもロックも、遡っていくとブルーズにたどり着くと思うんですが、
アル・グリーンの音楽は、ロックとソウルがそれぞれ
ブルーズから分岐した頃の音と比較的近いのではないかなと。
実際、彼は1970年代に出てきた人ですが、
1960年代のロックバンドが好んでカバーしそうな
少し古臭い音の響きに聴こえます。
もうひとつ。
アル・グリーンは、申し遅れましたが、
「サザンソウル」に分類される人ですが、
「サザンソウル」といえばなんといっても、
オーティス・レディング。
アルの、ほんとに最初にCDをかけた時の第一印象は、
「オーティス・レディングのような響きだ!」でした。
オーティスは、キャリアの全盛期、いや、
まだまだキャリアの上り坂だった1967年に事故死しましたが、
もし生きていれば、アル・グリーンが出てきた頃が、
まさにキャリアの絶頂期だったのではないか。
そしてアルは、オーティスの「穴を埋める存在」となった・・・
ということも、頭をよぎりました。
「穴を埋める」というと、あまりいい意味ばかりでもないですが、
アルの場合は、もちろん真似とかそういうことではなく、
しっかりとしたオリジナリティがあった上での存在で、
それこそ「同じ魂を受け継ぐ人」です。
実際、聴いてゆくと、「似ている」とは思わなくなりましたし。
「サザンソウル」は、「田舎臭い」ソウルであるとも言われます。
僕がアルを聴いてもうひとつ思ったこと。
友達Mがマーヴィンと並んで語っていたのが頭にあったので、
「同じソウルでも、マーヴィンの洗練された音とは全然違う・・・」
でした。
しかし僕には、そこが、とっつきやすい部分でした。
もちろん、マーヴィンの音はそれでそれで好きですが、
そこの部分が、「ロックと近い」と感じるようになったのでしょう。
細かいこと、歌唱法、音楽的背景、ファッションその他は
まだまだ聴き始めたばかりでよく分かっていないので、
今回は、これくらいの「さわり」にて、アルバムに行きます。
04 この2枚のCDについては後ほど

Tr1:Sha-La-La (Make Me Happy)
タイトル通り、おしゃれな感じの軽いポップソング。
シングルもTop10入りするヒットになっています。
晴れた日の少し湿った南風のような感じかな。
つかみは抜群!
Tr2:Take Me To The River
僕がアル・グリーンを聴くきっかけとなったのが、この曲です。
この曲は、トーキング・ヘッズが、素晴らしいライヴアルバム
STOP MAKING SENSE
でカバーしていたのを聴いて知り、
さらには、アニー・レノックスが、全曲カバーアルバム
MEDUSA
で歌っていて、どちらもよく聴いてきていました。
(上記2枚はそれぞれ文字がAmazonのリンクになっています)。
ここで打ち明け話になりますが、キンクスの記事を上げて、
自分にとっての「アメリカ音楽探究」ということを考えた時、
トーキング・ヘッズのそのアルバムを次に記事にしよう、
と思ったのですが、諸事情でまだ実現出来ていないのです。
今回、話の流れでヘッズのものにも少し触れると、彼らは、
♪ てぃくみとぅざりぃばぁ
どろっぷみいんざうぉぉたぁ
というオリジナルにはない明確な「サビ」を新たに作っていますが、
そのことにより、より歌として印象的になっていて、
彼らの中でもかなりの出来映えの曲になっているでしょう。
事実、ヘッズのを聴くと、この部分ばかり口ずさみますし(笑)、
その点では、カバーがオリジナルを超えた、とも言えます。
なお、アニー・レノックスは、曲としてはほぼオリジナル通りです。
しかし、聴き込んでゆくと、やっぱり、
オリジナルを超えられない部分は確かにある、と思いました。
思わせぶりなイントロの語り、もこもこと動き回るベース、
タイミングよく盛り上げるホーンとストリングス。
そして、ヴァースの部分で2小節に1回シンコペーションで入る
ギターのフレーズがたまらなくかっこいい!
そして気持ちいい!
曲の展開も素晴らしい。
そしてもちろん、アルの歌がまた素晴らしい!
間違いなく、僕が選ぶ、アルのベストソング!
05 川に横たわる苔むした枯損木

Tr3:God Blessed Our Love
これは典型的なワルツスタイルのソウルバラードですね。
曲名その通りという歌、音、雰囲気。
Tr4:The City
これは最初、地方から都会に出てきた人が、
都会の波に飲まれそうになっている、という感じを受けました。
イントロのピアノの音が都会のきらびやかさを、
ちょっと跳ねたリズムが楽しさやせわしなさを表していて、
歌い方、というか言葉の発音の仕方がみずみずしく繊細。
印象に残りやすい曲です。
Tr5:One Nite Stand
まっすぐなソウル。
間奏のストリングスが奏でる旋律が、
オーティスのFa-Fa-Fa-Fa-Fa(Sad Song)
によく似てるなぁと思ったことが、そもそもの
この人への印象の始まりだったかもしれません。
Tr6:I'm Hooked On You
これなんて、古臭くていい感じに響いてきますね。
曲は割と単調だけど、アレンジで聴かせる曲で、
ホーンと女声コーラスの絡みがまたいい。
Tr7:Stay With Me Forever
決して大仰でも感傷的に過ぎるわけでもないんだけど、
繊細な感じの、なんだか優しさがしみてくる曲。
こういう曲、歌い方が得意なのかな!?
アル・グリーンは、「繊細さ」がひとつの武器かもしれません。
Tr8:Hangin' On
やはりソウルといえばファルセットも聴きたい。
違いますか・・・!?・・・(笑)。
前の曲からうまく流れてきています。
Tr9:School Days
ラストはしんみりとした、ノスタルジー系の曲。
タイトルを見て、もっと賑やかな曲をイメージしていたので、
その落差に最初は驚きました。
じわっとしみてくる曲ですね。
なお、9曲全て、共作者がいる曲はあるものの、
アル・グリーンがペンをとっていて、それもまた、
僕にはとても魅力的に映る部分です。
(カバーが悪いという意味ではないです、念のため)。
最初に買った2枚があまりにも良かったので、
他に出ているHiレコード時代の3枚のリマスター盤も、
一気に買ってしまいました。
また記事にするかもしれないので、それはとっておきますが(笑)。
そして下のリンク、やっぱりベスト盤も買ってしまいました。
僕が持っていないアルバムに入っている曲もありますし、
キャリアを概観するには、やっぱりベスト盤はいいですし。
でも、じゃあ、友達Mに相談して悩むこともなかったんじゃないか、
と自分でも思わなくもないですが(笑)、やはり年を取ったせいか、
始めからあまり大きな賭けもしたくはなくて。
でも、きっかけさえあれば、こうして買ってしまうんですよね・・・
ただし、今回についてはなぜか、
「これはいいに違いない」という直感のようなものがあって、
どうしても、ベストではなくアルバムにこだわった、
というのもありました。
音楽聴きとして、まあそれ以外でも何でもですが、
そういう直感を信じてみるのも必要ですね。
というわけで、ソウルの道にまっしぐら・・・
かと思うのですが、でも実は、この秋は、
ロック系の超大物の新譜が次々と出てくるので、
まあぼちぼち、というところでしょうかね(笑)。
もちろんソウルも、心に、魂に、いつも留めておきつつ。
06 ベスト盤がうちにある証拠写真も・・・(笑)

写真へのコメントも
大歓迎です!
またまた音楽ネタです。
最近、それしか書けないんです・・・(笑)
01

EXPLORES YOUR MIND Al Green released in 1974
エクスプロアーズ・ユア・マインド アル・グリーン
最近凝っているアーティスト
アル・グリーン
ご存知でしょうか・・・?
僕も今回聴くまで、ほとんど名前くらいしか知りませんでした。
僕が、アル・グリーンを聴くにあたって、
さいたまのソウルマニアの友達Mにメールで相談したところ、
こんな答えが返ってきました。
「1970年代のソウルといえば、
マーヴィン・ゲイかアル・グリーンか
というくらいに人気を博した人だよ」
アル・グリーンはしかし、聞くところによると、
人気があった1970年代後半に、牧師になって
ポピュラー音楽の世界からは身を引いたそうです。
だから、僕が洋楽を聴き始めた頃には、
既に「過去のアーティスト」になっていたわけです。
近年は活動も再開し、アルバムも出しています。
でも僕は、復活してからのはひとまず後回しにして、
70年代、人気絶頂期のアルバムを2枚買いました。
冒頭の写真は、そのうち1枚、今日の話題となるアルバムです。
最初は、ちょっとしたきっかけで「買ってみた」という程度でした。
そのきっかけは、後に詳しく触れます。
最初に買った2枚のうち、今回は取り上げないアルバムは
LET'S STAY TOGETHER。
これは、表題曲が、ビルボードNO.1になる
彼の最大のヒット曲にして代表曲、ソウルの名曲です。
このアルバムもとっても気に入りました。
ビー・ジーズのHow Can You Mend This Broken Heartを、
オリジナルとはまた違った繊細さで歌いこなし、
これは、意表をついた好カバーでした。
そして今回の記事のEXPLORES YOUR MIND、
これが、アルバムとしてほんとに素晴らしい!
ソウルマニアの友達Mに、かつて、こうも言われたんです。
「ソウル系は、アルバムに1、2曲いい曲が入っていれば、
あとは、アルバムとしていいものを作ろうなんて
ハナから考えいないので、そこは気軽に聴いたほうがいいし、
ベストで押さえていくのもひとつの手だと思うよ」
ビートルズから洋楽を聴き始めた人間としては、
「アルバムとして良いものこそが良い」というのが、
ほとんど思想といえるまでに心身にしみ込んでいるので、
友だちの発言はちょっとショックだったのと同時に、
なるほど、そういう見方もあるのか、とも思いました。
だからアル・グリーンも、最初はベストを買おうと思いました。
でも一方で、名曲が最初に発表されたアルバムは
ぜひとも押さえたいという僕自身の昔からの考えもあって、
ずいぶんと迷い、友達Mに何度も相談したところ
「俺は君の考え方は尊重するよ」と言われ、
自分の考えを貫き、オリジナルアルバムを買いました。
これが、予想や期待に反して、
アルバムとして、素晴らしく良かったんです!
02 知床のトドマツと青空

閑話休題、僕とソウルについて。
ソウルは、大ヒット曲・名曲は、リアルタイムでもその前でも
知っているものも多くて、モータウン系はCDを持っている、
リアルタイムでは何人か新譜が出る度に買うアーティストがいる、
という、まあ、そこそこ親しんできたかな、という感じでしょうか。
マーヴィン・ゲイだけは、先述の友達Mともうひとり、
神と崇めるほど好きな友達がいて、割と古くから聴いてきていて、
亡くなった時は、とてもショックでした。
モータウン系以外では、サム・クック、アレサ・フランクリン、
オーティス・レディングそしてアース、ウィンド&ファイアは
結構CDを持っていて、まあ、好んで聴くアーティストです。
と書いてきて、さらに外れます。
今回、この記事を上げるにあたり、
ソウルというかR&Bというかブラック系は、
今後も少し力を入れて聴いてゆこうと思い、
「ソウル」というカテゴリを新たに設けました。
しかし、人によって、ものによって、本によっては、
スティーヴィー・ワンダーやプリンスをロックとして扱ったり、
僕自身も、「ロックバラード」の記事で、
「ソウル」と認識されている人の曲を取り上げたこともあったり、
「ロック」という言葉は幅広く解釈できることもあって、
その辺は微妙ではありますね。
ただ、上記2人は10代の頃から聴き続けているので、
僕の意識としては「ロック」の範疇に入っています。
でも、せっかくカテゴリを設けたことだし(笑)、
その2人も、そしてマイケル・ジャクソンも、
これからは「ソウル」として扱ってゆくかな、とも思います。
ただ、タグには「ロック」とも入れます。
まあ、ジャンル分けにこだわる必要もないのかもしれないですが。
03 「シティ」の夜明け

アル・グリーンに戻って、さて、どこがどう良かったのか、実は
うまく説明できないんですが、それでも、感じたことを書きます。
ソウルは、僕の数少ない体験から、
「寂しい」か、「都会的(オシャレ)」か、「激しい(力強い)」か
のどれかだと思っていたのですが(ずいぶんと極端ですが)、
アル・グリーンは、そのどれでもないというのが、
まずは気づいた、感じたところです。
音的には、「ロックっぽい」と言うと違うと思うんですが、
「ロックばかり聴いている人間にもとっつきやすい音」でした。
これはどういうことかというと、
ソウルもロックも、遡っていくとブルーズにたどり着くと思うんですが、
アル・グリーンの音楽は、ロックとソウルがそれぞれ
ブルーズから分岐した頃の音と比較的近いのではないかなと。
実際、彼は1970年代に出てきた人ですが、
1960年代のロックバンドが好んでカバーしそうな
少し古臭い音の響きに聴こえます。
もうひとつ。
アル・グリーンは、申し遅れましたが、
「サザンソウル」に分類される人ですが、
「サザンソウル」といえばなんといっても、
オーティス・レディング。
アルの、ほんとに最初にCDをかけた時の第一印象は、
「オーティス・レディングのような響きだ!」でした。
オーティスは、キャリアの全盛期、いや、
まだまだキャリアの上り坂だった1967年に事故死しましたが、
もし生きていれば、アル・グリーンが出てきた頃が、
まさにキャリアの絶頂期だったのではないか。
そしてアルは、オーティスの「穴を埋める存在」となった・・・
ということも、頭をよぎりました。
「穴を埋める」というと、あまりいい意味ばかりでもないですが、
アルの場合は、もちろん真似とかそういうことではなく、
しっかりとしたオリジナリティがあった上での存在で、
それこそ「同じ魂を受け継ぐ人」です。
実際、聴いてゆくと、「似ている」とは思わなくなりましたし。
「サザンソウル」は、「田舎臭い」ソウルであるとも言われます。
僕がアルを聴いてもうひとつ思ったこと。
友達Mがマーヴィンと並んで語っていたのが頭にあったので、
「同じソウルでも、マーヴィンの洗練された音とは全然違う・・・」
でした。
しかし僕には、そこが、とっつきやすい部分でした。
もちろん、マーヴィンの音はそれでそれで好きですが、
そこの部分が、「ロックと近い」と感じるようになったのでしょう。
細かいこと、歌唱法、音楽的背景、ファッションその他は
まだまだ聴き始めたばかりでよく分かっていないので、
今回は、これくらいの「さわり」にて、アルバムに行きます。
04 この2枚のCDについては後ほど

Tr1:Sha-La-La (Make Me Happy)
タイトル通り、おしゃれな感じの軽いポップソング。
シングルもTop10入りするヒットになっています。
晴れた日の少し湿った南風のような感じかな。
つかみは抜群!
Tr2:Take Me To The River
僕がアル・グリーンを聴くきっかけとなったのが、この曲です。
この曲は、トーキング・ヘッズが、素晴らしいライヴアルバム
STOP MAKING SENSE
さらには、アニー・レノックスが、全曲カバーアルバム
MEDUSA
(上記2枚はそれぞれ文字がAmazonのリンクになっています)。
ここで打ち明け話になりますが、キンクスの記事を上げて、
自分にとっての「アメリカ音楽探究」ということを考えた時、
トーキング・ヘッズのそのアルバムを次に記事にしよう、
と思ったのですが、諸事情でまだ実現出来ていないのです。
今回、話の流れでヘッズのものにも少し触れると、彼らは、
♪ てぃくみとぅざりぃばぁ
どろっぷみいんざうぉぉたぁ
というオリジナルにはない明確な「サビ」を新たに作っていますが、
そのことにより、より歌として印象的になっていて、
彼らの中でもかなりの出来映えの曲になっているでしょう。
事実、ヘッズのを聴くと、この部分ばかり口ずさみますし(笑)、
その点では、カバーがオリジナルを超えた、とも言えます。
なお、アニー・レノックスは、曲としてはほぼオリジナル通りです。
しかし、聴き込んでゆくと、やっぱり、
オリジナルを超えられない部分は確かにある、と思いました。
思わせぶりなイントロの語り、もこもこと動き回るベース、
タイミングよく盛り上げるホーンとストリングス。
そして、ヴァースの部分で2小節に1回シンコペーションで入る
ギターのフレーズがたまらなくかっこいい!
そして気持ちいい!
曲の展開も素晴らしい。
そしてもちろん、アルの歌がまた素晴らしい!
間違いなく、僕が選ぶ、アルのベストソング!
05 川に横たわる苔むした枯損木

Tr3:God Blessed Our Love
これは典型的なワルツスタイルのソウルバラードですね。
曲名その通りという歌、音、雰囲気。
Tr4:The City
これは最初、地方から都会に出てきた人が、
都会の波に飲まれそうになっている、という感じを受けました。
イントロのピアノの音が都会のきらびやかさを、
ちょっと跳ねたリズムが楽しさやせわしなさを表していて、
歌い方、というか言葉の発音の仕方がみずみずしく繊細。
印象に残りやすい曲です。
Tr5:One Nite Stand
まっすぐなソウル。
間奏のストリングスが奏でる旋律が、
オーティスのFa-Fa-Fa-Fa-Fa(Sad Song)
によく似てるなぁと思ったことが、そもそもの
この人への印象の始まりだったかもしれません。
Tr6:I'm Hooked On You
これなんて、古臭くていい感じに響いてきますね。
曲は割と単調だけど、アレンジで聴かせる曲で、
ホーンと女声コーラスの絡みがまたいい。
Tr7:Stay With Me Forever
決して大仰でも感傷的に過ぎるわけでもないんだけど、
繊細な感じの、なんだか優しさがしみてくる曲。
こういう曲、歌い方が得意なのかな!?
アル・グリーンは、「繊細さ」がひとつの武器かもしれません。
Tr8:Hangin' On
やはりソウルといえばファルセットも聴きたい。
違いますか・・・!?・・・(笑)。
前の曲からうまく流れてきています。
Tr9:School Days
ラストはしんみりとした、ノスタルジー系の曲。
タイトルを見て、もっと賑やかな曲をイメージしていたので、
その落差に最初は驚きました。
じわっとしみてくる曲ですね。
なお、9曲全て、共作者がいる曲はあるものの、
アル・グリーンがペンをとっていて、それもまた、
僕にはとても魅力的に映る部分です。
(カバーが悪いという意味ではないです、念のため)。
最初に買った2枚があまりにも良かったので、
他に出ているHiレコード時代の3枚のリマスター盤も、
一気に買ってしまいました。
また記事にするかもしれないので、それはとっておきますが(笑)。
そして下のリンク、やっぱりベスト盤も買ってしまいました。
僕が持っていないアルバムに入っている曲もありますし、
キャリアを概観するには、やっぱりベスト盤はいいですし。
でも、じゃあ、友達Mに相談して悩むこともなかったんじゃないか、
と自分でも思わなくもないですが(笑)、やはり年を取ったせいか、
始めからあまり大きな賭けもしたくはなくて。
でも、きっかけさえあれば、こうして買ってしまうんですよね・・・
ただし、今回についてはなぜか、
「これはいいに違いない」という直感のようなものがあって、
どうしても、ベストではなくアルバムにこだわった、
というのもありました。
音楽聴きとして、まあそれ以外でも何でもですが、
そういう直感を信じてみるのも必要ですね。
というわけで、ソウルの道にまっしぐら・・・
かと思うのですが、でも実は、この秋は、
ロック系の超大物の新譜が次々と出てくるので、
まあぼちぼち、というところでしょうかね(笑)。
もちろんソウルも、心に、魂に、いつも留めておきつつ。
06 ベスト盤がうちにある証拠写真も・・・(笑)

2014年08月09日
INNERVISIONS スティーヴィー・ワンダー
01

INNERVISIONS Stevie Wonder released in 1973
インナーヴィジョンズ スティーヴィー・ワンダー
先週の木曜日だったかな、
NHKの午後7時のニュースを見ていたところ、
「スティーヴィー・ワンダーさんが3年振りの来日」
というニュースが、映像つきで流れてきました。
今年の夏のフェスティバルに参加することは知っていましたが、
洋楽バカの僕は、おお、NHKでもこんな話題を取り上げるんだと、
うれしくなったり、不思議だったり、でもうれしかった。
翌日の「めざましテレビ」でもその話題が取り上げられていましたが、
スティーヴィーは、記者会見の場で息子さんと一緒に歌ったり、
即興で歌も披露したそうで、やはりいくつになっても
根っからのエンターティナーであると分り、またくれしくなりました。
そのニュースを見てふと、そういえばと思い、
僕のBLOGの記事の下書きを確かめると・・・やっぱりあった。
この記事は、もう1年以上前から下書きに入っていましたが、
でも、記事を上げるタイミングをなんとなく逸し続けていて、
その間に思ったことを何度も書き足していました。
そして、今回の来日はそのいい機会だと、上げることにしました。
僕は、まだ洋楽を聴いていなかった小学生の頃から、
スティーヴィー・ワンダーの名前は知っていました。
後に僕が聴くようになって、彼の曲は何曲も聞き知っていたように、
スティーヴィー・ワンダーは時代を象徴する存在だったのでしょう。
やがて僕はビートルズをきっかけに洋楽を聴くようになりますが、
その過程で「ソウルの壁」に何度も跳ね返されてきたことは、
今まで何度か記事で書きました。
ソウル、ブラック、R&B、つまり黒人のポップスは、僕は、
興味を持って時々買って聴くけどすぐに飽きる、それが20年以上続き、
一昨年、40歳を過ぎて、ようやく本気で聴けるようになりました。
どうしてすぐに飽きるのか、漠然と思っていたのは
「ソウルは曲がよくて楽しければそれでいい、それ以上は望まない」
という姿勢で作られている音楽ではないかな、ということでした。
積年の謎を解きほぐしてくれたのは、さいたまのソウルマニア友達でした。
僕がソウルを傾聴するようになってから会って音楽談義をした際に、
彼は、僕の積年の思いを、異口同音にほぼそのまま言いました。
僕は、そうかやっぱりと、膝を打つ前に友だちに言いました。
僕はビートルズから聴き始め、本を読みながら聴き進めたせいで、
10代の頃から、アルバムとしてどれだけしっかりと作られているかを、
主眼に置いて聴き続けてきました。
いわゆる「アルバム至上主義」ですね。
いい曲、すごい曲、名曲中の名曲が入っていても、
アルバムとして通して聴いて良くないものはあまり好きではない。
若くてとんがったロック野郎だったころは、はい、そうでした。
今はもう年をとり、幾らかでも心も丸くなりましたし、
音楽の聴き方も変わったので、それだけが観点ではありません。
しかし、今でもそういう視点を失って聴いているわけでもなく、
流れが素晴らしいアルバムに出会うと、やっぱり感動します。
スティーヴィー・ワンダー。
僕が初めて買って聴いたのは、70年代の自作自演時代のベスト盤
ORIGINAL MUSIQUARIUM I (記事はこちら)で、その後に、
I Just Called To Say I Love Youの12インチシングルを買い、
さらにPart Time Loverが入ったIN SQUARE CIRCLEが、
オリジナルアルバムの新作としては初めて買ったものでした。
しかし、僕は、そのアルバム、当時はやはりロック人間で、
アルバムとしてはそれほど面白くないかなとすぐに飽きました。
世の中というか評論家の間でも、昔ほどの作品じゃないと言われていて、
そういう外野の声も、当時は影響したのだと思います。
でも後年、Overjoyedという名曲に高校時代に出会えてよかった、
と思うに至りましたが。
少しして、今回記事にしたこのアルバムは、
「ロックのようにアルバムとしてしっかり作ることを目指していた」
ということをレコード評の本などで読んでいたので、
いつか買おうと思っている間にCDの時代になり、ついに買いました。
そして実際に買って聴くと、期待通り、或いは期待以上に、
曲はもちろんだけど流れが素晴らしいアルバムだと実感しました。
アルバムとして良いというのは、
「コンセプトもしくは主眼がぶれていないこと」「アルバムの流れ」
「曲の配置」「曲のばらつきの(少)なさ」
「聴き終って残るものの大きさ」「メッセージ性の有無」などなど
いろいろありますが、意外と重要な要素が
「緊張感が漂っていること」だと思っています。
それは「集中力」「創作意欲の高さ」といえるかもしれないし、
バンドの場合は「メンバー間の関係性」も反映されるでしょう。
もちろん、そうではない名作傑作アルバムも多数あるでしょうけど、
僕が今ぱっと浮かぶものは「緊張感」がないものはあまりないです。
ただし、緊張ばかりしていても聴いていて疲れるだけ。
ユーモアや楽しさと緊張感との兼ね合いが絶妙なアルバム、
それが、聴いていて本当に素晴らしいと僕が感じる作品です。
このアルバムにある「緊張感」は、僕がそれまで抱いていた、
ソウルという音楽へのイメージとはまったく違うものでした。
それもそうですね。
このアルバムは、もはや有名な話ですが一応説明すると、
モータウンの看板歌手であったスティーヴィー・ワンダーが、
二十歳を過ぎて自分のお金を自由に使えるようになり、
当時最先端だったシンセサイザーを買ってスタジオにこもり、
驚異的なアルバム「作品群」を作り上げた、その中の1枚ですから。
そして当時、マーヴィン・ゲイとともに、
自作自演が基本的には認められていなかったモータウンにおいて
「自作自演革命」を起こした画期的なアルバムの1枚。
このアルバムはそういう側面を持っていることもあって、
ロック人間がすんなりと入っていけたのだと思います。
しかし、アルバムには「緊張感」が大切だというのは、
僕が「アルバム至上主義」だったことの名残りかもしれません。
今は、繰り返しますが、「とにかく楽しくていいなぁ」
それで満足するものも多くなりました。
多少のアラはその人らしさと捉え、むしろ好きな要素にもなりました。
まあしかし、そんな小難しいことを振りかざさなくても、
このアルバムがとにかく素晴らしいことは、誰もが感じるはず。
僕は物事について考えることが好きなので、
とにかく大仰に考え過ぎるきらいがあるのですが、
音楽というのは実際はそういうものだと思いますし。
ただ、僕もまだ若かったので、スティーヴィーもマーヴィンも、
自作自演時代のは大学生の頃に一通り買って聴きましたが、
60年代の「歌手」時代のものは聴かずにずっときていました。
マーヴィンなんて、60年代のものは、
今年になってようやく聴くようになったくらいですからね(笑)。
なおこのアルバムは、
何曲かに何人かのミュージシャンが参加していますが、
基本的にはすべての楽器をスティーヴィーひとりが演奏しています。
そして曲もすべてを彼1人が作曲しています。
(All tunes written by Stevie Wonder)
02 ガムをくわえたポーラとCDと

Tr1:Too High
歌よりはサウンド志向の曲でアルバムがスタート。
「とぅるっとぅとぅとぅ~るる」という女性コーラスからして、
緊張感、緊迫感がいきなりいっきに襲ってくる感じがします。
この曲を最初に聴いて、昔あった「ウィークエンダー」というテレビ番組、
「新聞によりますと」という、あの番組を思い出しました。
その番組はテーマ曲なども70年代ソウルの世界だったし、
この曲は時代の音なのだなと思います。
でも、永遠に残る時代の音ではあります。
スキップしながら動くベースがすごいですが、これは、
moogにより演奏されているもののようです、つまりキーボード。
ところで、この曲の歌いだしはこうです。
♪ I'm too high but I ain't touch the sky
ジョン・レノンのNobody Told Meにもこんな歌詞があります。
♪ Everybody's flying, but never touch the sky
空ってやっぱり、触れないものなのかな(笑)。
Tr2:Visions
ジャズという音楽が特別なものではなく身近にあるものだ
ということを感じさせる音作りのスローな曲。
「心で見ること」の大切さを語る、アルバムのタイトル曲ともいえる曲。
♪ I know that leaves are green
They only turn to brown when autumn comes around
このアルバムがリリースされたのは1973年8月3日だそうですが、
歌詞のこの部分は今の季節感ですね。
そしてたまたまだけど、今の時期に記事にしてよかった(笑)。
Tr3:Living For The City
この曲は、タイトルがなくても、イントロの音を聞けば
何かが路地裏でうごめき眠らない「街」をイメージできます。
そこが「内なる世界」、視覚を聴覚に訴えるこのアルバムらしさ。
曲は珍しく単純なブルーズ形式で、単調になりそうなところを、
間奏の部分で3拍子になるアイディアが効果的。
その間奏のキーボードはまさに「歌うキーボード」の真骨頂。
最後はオペラティックな歌い方でコミカルに盛り上げて終わるのも
雑然とした都会の華やかさ、はかなさをうまく音で表しています。
ビルボードのポップチャート最高位8位を記録。
「いい曲」かと言われると必ずしもそうではないとは思うけど
シングル向きのインパクトがある曲。
Tr4:Golden Lady
ちょっと湿った夏の風という雰囲気。
軽くてポップな曲調だけど、歌声がどこか重くて湿っている。
♪ A touch of rain and sunshine made the flower grow
Tr2の引用部分といい、スティーヴィー・ワンダーの歌詞は、
時々、彼が目が不自由なことを忘れてしまうものですね。
♪ Golden lady, golden lady, I'd like to go there
の「go there」が「golden」に聞こえる「韻」が面白く、
その印象的な部分は聴いてすぐに口ずさんでいました。
この曲は誰かがカバーして大ヒットしそうなポップな曲ですね。
珍しくフォーク調の曲で、それも彼のルーツ音楽のひとつなのかな。
03 暑くて風景写真もなく夏バテ気味のハウをもう1枚

Tr5:Higher Ground
この曲は僕が最初に買って聴いたベスト盤に入っていますが、
ああ、ベスト盤に入るんだからヒットした有名な曲なのだろうな、
以上の存在ではありませんでした、正直言えば。
しかし、先日ラジオで耳にして、こんなにいい曲だったかと驚いた。
音楽の感じ方は面白いというか、現金なものですね(笑)。
レゲエとソウルが最高の形で融合した迫力ある曲。
メッセージもまた強烈で説得力がありますね。
特に、それまでずっと誰それが何をし続けると歌ってきたところで、
♪ Sleepers, just stop sleeping
とまるで怒るように歌うところがぞくぞくっときます。
レッド・ホット・チリ・ペッパーズもカバーしていました。
僕は、このアルバムがスティーヴィー・ワンダーで最も好きですが、
でも、超名曲が数多ある彼の中で、このアルバムには
「超」名曲クラスの曲がないのが唯一の泣き所だと思っていました。
しかしそれも、この曲への思いが変わったことにより「解消」されました。
シェリルのおかげです(笑)。
ビルボードのポップチャートでは最高位4位。
Tr6:Jesus Children Of America
スティーヴィー・ワンダーらしい曲というと
僕はこうした、少し暗くてぴんと張り詰めた歌、
ベースがよく響くもこもこした感じのサウンド中心の曲、
そんな曲のスタイルを思い浮かべます。
前半は細い声で囁くように歌う表現力は、
歌手としてもやはり成長していたことをうかがわせます。
ゴスペル風のコーラスに緊張感が増してきます。
Tr7:All In Love Is Fair
メランコリックで繊細なピアノの旋律が心に刺さり込んでくる。
届かぬ思いを切々と歌い込むこの曲は、悲しみを誘います。
そう書くと、叶わない状況のラブソングと捉えることができます。
しかし、そこでふと思いました。
この曲のタイトルは、諺からとられています。
All is fair in love and war 「恋愛と戦争にルールはない」
でも、この曲からは"war"は省かれています。
直接的に歌の内容には関係ないからと言われればそれまでですが、
でも、この曲が生まれたのは、まさにベトナム戦争の時代。
Warは要らない、Warなんてフェアではない。
歌詞には"I had to go away"というくだりを見出すこともでき
これは、ラブソングに込めた反戦歌なのかもしれません。
そして今日は8月9日です。
Tr8:Don't You Worry 'Bout A Thing
ファンキーなピアノの音で始まり、猿の叫びのような声に続き、
スペイン語で激しく口論するイントロを聞いて、
この曲はどうなってしまうんだろうと思ってしまう。
そのスペイン語の会話が関西弁っぽく聞こえるなと思ったら、
0:14辺りが、「どないやねんそれ」という空耳として
実際に「空耳アワー」で取り上げられていました。
曲は、90年代にMTVをよく観ていた頃に誰かがカバーして
よくかかっていたのでおなじみでした。
ラテンの強い響きで、曲調はからっと明るくはないんだけど、
なんだか聴いていると妙に元気はつらつにさせられる曲。
曲にメリハリがあって歌メロが良い、まさに「スティーヴィー節」全開。
ビルボード最高16位と中ヒットしました。
Tr9:He's Misstra Know-It-All
アルバム最後のミドルテンポの明るい曲は、
それまでの喧騒や不安をすべて吹き飛ばすような、
爽やかな初秋の風のような一編。
Tr4も風のようなと表現していて、確かに僕は語彙力ないですが(笑)、
でも、どちらもその面の最後に置かれたこの2曲を聴き比べると、
こちらにはより爽やかさがあることが感じ取れます。
タイトルのごとく達観したようなすがすがしい曲の響き。
スティーヴィーの心根のきれいさ、優しさが素直に現れていて、
この優しさは逆に暴力的でもあるくらい、感動的な曲。
それが最後にあるからこそ、このアルバムは素晴らしい。
シングルヒットはしなかった、まさに隠れた名曲。
国内盤のリンクを施しましたが、Amazonで3,631位と、
来日のせいもあるのか、割と動いているようですね。
このアルバムは、言ってしまえば、「次元」が違います。
最初に聴いた時から、うまく言い表せないけど、
そのことはびしっと感じました。
世の中には名作傑作アルバム数多あれど、
これはそうした存在自体の次元が違う1枚だと思います。
そういうアルバムはたいてい、
時代と個性が高次元で融合したものから生まれます。
そしてそういうアルバムは、時代を超えて残ってゆきます。
今回、記事にするにあたり、久し振りに何度も聴きましたが、
このアルバムは、あっという間に終わってしまいますね。
45分近くあるので、特に短いということはないのですが、
それだけ、聴いていて充実感があるのでしょうね。

INNERVISIONS Stevie Wonder released in 1973
インナーヴィジョンズ スティーヴィー・ワンダー
先週の木曜日だったかな、
NHKの午後7時のニュースを見ていたところ、
「スティーヴィー・ワンダーさんが3年振りの来日」
というニュースが、映像つきで流れてきました。
今年の夏のフェスティバルに参加することは知っていましたが、
洋楽バカの僕は、おお、NHKでもこんな話題を取り上げるんだと、
うれしくなったり、不思議だったり、でもうれしかった。
翌日の「めざましテレビ」でもその話題が取り上げられていましたが、
スティーヴィーは、記者会見の場で息子さんと一緒に歌ったり、
即興で歌も披露したそうで、やはりいくつになっても
根っからのエンターティナーであると分り、またくれしくなりました。
そのニュースを見てふと、そういえばと思い、
僕のBLOGの記事の下書きを確かめると・・・やっぱりあった。
この記事は、もう1年以上前から下書きに入っていましたが、
でも、記事を上げるタイミングをなんとなく逸し続けていて、
その間に思ったことを何度も書き足していました。
そして、今回の来日はそのいい機会だと、上げることにしました。
僕は、まだ洋楽を聴いていなかった小学生の頃から、
スティーヴィー・ワンダーの名前は知っていました。
後に僕が聴くようになって、彼の曲は何曲も聞き知っていたように、
スティーヴィー・ワンダーは時代を象徴する存在だったのでしょう。
やがて僕はビートルズをきっかけに洋楽を聴くようになりますが、
その過程で「ソウルの壁」に何度も跳ね返されてきたことは、
今まで何度か記事で書きました。
ソウル、ブラック、R&B、つまり黒人のポップスは、僕は、
興味を持って時々買って聴くけどすぐに飽きる、それが20年以上続き、
一昨年、40歳を過ぎて、ようやく本気で聴けるようになりました。
どうしてすぐに飽きるのか、漠然と思っていたのは
「ソウルは曲がよくて楽しければそれでいい、それ以上は望まない」
という姿勢で作られている音楽ではないかな、ということでした。
積年の謎を解きほぐしてくれたのは、さいたまのソウルマニア友達でした。
僕がソウルを傾聴するようになってから会って音楽談義をした際に、
彼は、僕の積年の思いを、異口同音にほぼそのまま言いました。
僕は、そうかやっぱりと、膝を打つ前に友だちに言いました。
僕はビートルズから聴き始め、本を読みながら聴き進めたせいで、
10代の頃から、アルバムとしてどれだけしっかりと作られているかを、
主眼に置いて聴き続けてきました。
いわゆる「アルバム至上主義」ですね。
いい曲、すごい曲、名曲中の名曲が入っていても、
アルバムとして通して聴いて良くないものはあまり好きではない。
若くてとんがったロック野郎だったころは、はい、そうでした。
今はもう年をとり、幾らかでも心も丸くなりましたし、
音楽の聴き方も変わったので、それだけが観点ではありません。
しかし、今でもそういう視点を失って聴いているわけでもなく、
流れが素晴らしいアルバムに出会うと、やっぱり感動します。
スティーヴィー・ワンダー。
僕が初めて買って聴いたのは、70年代の自作自演時代のベスト盤
ORIGINAL MUSIQUARIUM I (記事はこちら)で、その後に、
I Just Called To Say I Love Youの12インチシングルを買い、
さらにPart Time Loverが入ったIN SQUARE CIRCLEが、
オリジナルアルバムの新作としては初めて買ったものでした。
しかし、僕は、そのアルバム、当時はやはりロック人間で、
アルバムとしてはそれほど面白くないかなとすぐに飽きました。
世の中というか評論家の間でも、昔ほどの作品じゃないと言われていて、
そういう外野の声も、当時は影響したのだと思います。
でも後年、Overjoyedという名曲に高校時代に出会えてよかった、
と思うに至りましたが。
少しして、今回記事にしたこのアルバムは、
「ロックのようにアルバムとしてしっかり作ることを目指していた」
ということをレコード評の本などで読んでいたので、
いつか買おうと思っている間にCDの時代になり、ついに買いました。
そして実際に買って聴くと、期待通り、或いは期待以上に、
曲はもちろんだけど流れが素晴らしいアルバムだと実感しました。
アルバムとして良いというのは、
「コンセプトもしくは主眼がぶれていないこと」「アルバムの流れ」
「曲の配置」「曲のばらつきの(少)なさ」
「聴き終って残るものの大きさ」「メッセージ性の有無」などなど
いろいろありますが、意外と重要な要素が
「緊張感が漂っていること」だと思っています。
それは「集中力」「創作意欲の高さ」といえるかもしれないし、
バンドの場合は「メンバー間の関係性」も反映されるでしょう。
もちろん、そうではない名作傑作アルバムも多数あるでしょうけど、
僕が今ぱっと浮かぶものは「緊張感」がないものはあまりないです。
ただし、緊張ばかりしていても聴いていて疲れるだけ。
ユーモアや楽しさと緊張感との兼ね合いが絶妙なアルバム、
それが、聴いていて本当に素晴らしいと僕が感じる作品です。
このアルバムにある「緊張感」は、僕がそれまで抱いていた、
ソウルという音楽へのイメージとはまったく違うものでした。
それもそうですね。
このアルバムは、もはや有名な話ですが一応説明すると、
モータウンの看板歌手であったスティーヴィー・ワンダーが、
二十歳を過ぎて自分のお金を自由に使えるようになり、
当時最先端だったシンセサイザーを買ってスタジオにこもり、
驚異的なアルバム「作品群」を作り上げた、その中の1枚ですから。
そして当時、マーヴィン・ゲイとともに、
自作自演が基本的には認められていなかったモータウンにおいて
「自作自演革命」を起こした画期的なアルバムの1枚。
このアルバムはそういう側面を持っていることもあって、
ロック人間がすんなりと入っていけたのだと思います。
しかし、アルバムには「緊張感」が大切だというのは、
僕が「アルバム至上主義」だったことの名残りかもしれません。
今は、繰り返しますが、「とにかく楽しくていいなぁ」
それで満足するものも多くなりました。
多少のアラはその人らしさと捉え、むしろ好きな要素にもなりました。
まあしかし、そんな小難しいことを振りかざさなくても、
このアルバムがとにかく素晴らしいことは、誰もが感じるはず。
僕は物事について考えることが好きなので、
とにかく大仰に考え過ぎるきらいがあるのですが、
音楽というのは実際はそういうものだと思いますし。
ただ、僕もまだ若かったので、スティーヴィーもマーヴィンも、
自作自演時代のは大学生の頃に一通り買って聴きましたが、
60年代の「歌手」時代のものは聴かずにずっときていました。
マーヴィンなんて、60年代のものは、
今年になってようやく聴くようになったくらいですからね(笑)。
なおこのアルバムは、
何曲かに何人かのミュージシャンが参加していますが、
基本的にはすべての楽器をスティーヴィーひとりが演奏しています。
そして曲もすべてを彼1人が作曲しています。
(All tunes written by Stevie Wonder)
02 ガムをくわえたポーラとCDと

Tr1:Too High
歌よりはサウンド志向の曲でアルバムがスタート。
「とぅるっとぅとぅとぅ~るる」という女性コーラスからして、
緊張感、緊迫感がいきなりいっきに襲ってくる感じがします。
この曲を最初に聴いて、昔あった「ウィークエンダー」というテレビ番組、
「新聞によりますと」という、あの番組を思い出しました。
その番組はテーマ曲なども70年代ソウルの世界だったし、
この曲は時代の音なのだなと思います。
でも、永遠に残る時代の音ではあります。
スキップしながら動くベースがすごいですが、これは、
moogにより演奏されているもののようです、つまりキーボード。
ところで、この曲の歌いだしはこうです。
♪ I'm too high but I ain't touch the sky
ジョン・レノンのNobody Told Meにもこんな歌詞があります。
♪ Everybody's flying, but never touch the sky
空ってやっぱり、触れないものなのかな(笑)。
Tr2:Visions
ジャズという音楽が特別なものではなく身近にあるものだ
ということを感じさせる音作りのスローな曲。
「心で見ること」の大切さを語る、アルバムのタイトル曲ともいえる曲。
♪ I know that leaves are green
They only turn to brown when autumn comes around
このアルバムがリリースされたのは1973年8月3日だそうですが、
歌詞のこの部分は今の季節感ですね。
そしてたまたまだけど、今の時期に記事にしてよかった(笑)。
Tr3:Living For The City
この曲は、タイトルがなくても、イントロの音を聞けば
何かが路地裏でうごめき眠らない「街」をイメージできます。
そこが「内なる世界」、視覚を聴覚に訴えるこのアルバムらしさ。
曲は珍しく単純なブルーズ形式で、単調になりそうなところを、
間奏の部分で3拍子になるアイディアが効果的。
その間奏のキーボードはまさに「歌うキーボード」の真骨頂。
最後はオペラティックな歌い方でコミカルに盛り上げて終わるのも
雑然とした都会の華やかさ、はかなさをうまく音で表しています。
ビルボードのポップチャート最高位8位を記録。
「いい曲」かと言われると必ずしもそうではないとは思うけど
シングル向きのインパクトがある曲。
Tr4:Golden Lady
ちょっと湿った夏の風という雰囲気。
軽くてポップな曲調だけど、歌声がどこか重くて湿っている。
♪ A touch of rain and sunshine made the flower grow
Tr2の引用部分といい、スティーヴィー・ワンダーの歌詞は、
時々、彼が目が不自由なことを忘れてしまうものですね。
♪ Golden lady, golden lady, I'd like to go there
の「go there」が「golden」に聞こえる「韻」が面白く、
その印象的な部分は聴いてすぐに口ずさんでいました。
この曲は誰かがカバーして大ヒットしそうなポップな曲ですね。
珍しくフォーク調の曲で、それも彼のルーツ音楽のひとつなのかな。
03 暑くて風景写真もなく夏バテ気味のハウをもう1枚

Tr5:Higher Ground
この曲は僕が最初に買って聴いたベスト盤に入っていますが、
ああ、ベスト盤に入るんだからヒットした有名な曲なのだろうな、
以上の存在ではありませんでした、正直言えば。
しかし、先日ラジオで耳にして、こんなにいい曲だったかと驚いた。
音楽の感じ方は面白いというか、現金なものですね(笑)。
レゲエとソウルが最高の形で融合した迫力ある曲。
メッセージもまた強烈で説得力がありますね。
特に、それまでずっと誰それが何をし続けると歌ってきたところで、
♪ Sleepers, just stop sleeping
とまるで怒るように歌うところがぞくぞくっときます。
レッド・ホット・チリ・ペッパーズもカバーしていました。
僕は、このアルバムがスティーヴィー・ワンダーで最も好きですが、
でも、超名曲が数多ある彼の中で、このアルバムには
「超」名曲クラスの曲がないのが唯一の泣き所だと思っていました。
しかしそれも、この曲への思いが変わったことにより「解消」されました。
シェリルのおかげです(笑)。
ビルボードのポップチャートでは最高位4位。
Tr6:Jesus Children Of America
スティーヴィー・ワンダーらしい曲というと
僕はこうした、少し暗くてぴんと張り詰めた歌、
ベースがよく響くもこもこした感じのサウンド中心の曲、
そんな曲のスタイルを思い浮かべます。
前半は細い声で囁くように歌う表現力は、
歌手としてもやはり成長していたことをうかがわせます。
ゴスペル風のコーラスに緊張感が増してきます。
Tr7:All In Love Is Fair
メランコリックで繊細なピアノの旋律が心に刺さり込んでくる。
届かぬ思いを切々と歌い込むこの曲は、悲しみを誘います。
そう書くと、叶わない状況のラブソングと捉えることができます。
しかし、そこでふと思いました。
この曲のタイトルは、諺からとられています。
All is fair in love and war 「恋愛と戦争にルールはない」
でも、この曲からは"war"は省かれています。
直接的に歌の内容には関係ないからと言われればそれまでですが、
でも、この曲が生まれたのは、まさにベトナム戦争の時代。
Warは要らない、Warなんてフェアではない。
歌詞には"I had to go away"というくだりを見出すこともでき
これは、ラブソングに込めた反戦歌なのかもしれません。
そして今日は8月9日です。
Tr8:Don't You Worry 'Bout A Thing
ファンキーなピアノの音で始まり、猿の叫びのような声に続き、
スペイン語で激しく口論するイントロを聞いて、
この曲はどうなってしまうんだろうと思ってしまう。
そのスペイン語の会話が関西弁っぽく聞こえるなと思ったら、
0:14辺りが、「どないやねんそれ」という空耳として
実際に「空耳アワー」で取り上げられていました。
曲は、90年代にMTVをよく観ていた頃に誰かがカバーして
よくかかっていたのでおなじみでした。
ラテンの強い響きで、曲調はからっと明るくはないんだけど、
なんだか聴いていると妙に元気はつらつにさせられる曲。
曲にメリハリがあって歌メロが良い、まさに「スティーヴィー節」全開。
ビルボード最高16位と中ヒットしました。
Tr9:He's Misstra Know-It-All
アルバム最後のミドルテンポの明るい曲は、
それまでの喧騒や不安をすべて吹き飛ばすような、
爽やかな初秋の風のような一編。
Tr4も風のようなと表現していて、確かに僕は語彙力ないですが(笑)、
でも、どちらもその面の最後に置かれたこの2曲を聴き比べると、
こちらにはより爽やかさがあることが感じ取れます。
タイトルのごとく達観したようなすがすがしい曲の響き。
スティーヴィーの心根のきれいさ、優しさが素直に現れていて、
この優しさは逆に暴力的でもあるくらい、感動的な曲。
それが最後にあるからこそ、このアルバムは素晴らしい。
シングルヒットはしなかった、まさに隠れた名曲。
国内盤のリンクを施しましたが、Amazonで3,631位と、
来日のせいもあるのか、割と動いているようですね。
このアルバムは、言ってしまえば、「次元」が違います。
最初に聴いた時から、うまく言い表せないけど、
そのことはびしっと感じました。
世の中には名作傑作アルバム数多あれど、
これはそうした存在自体の次元が違う1枚だと思います。
そういうアルバムはたいてい、
時代と個性が高次元で融合したものから生まれます。
そしてそういうアルバムは、時代を超えて残ってゆきます。
今回、記事にするにあたり、久し振りに何度も聴きましたが、
このアルバムは、あっという間に終わってしまいますね。
45分近くあるので、特に短いということはないのですが、
それだけ、聴いていて充実感があるのでしょうね。
2014年08月04日
OFF THE WALL マイケル・ジャクソン
01

OFF THE WALL Michael Jackson
オフ・ザ・ウォール マイケル・ジャクソン (1979)
何を唐突にと思われるかもしれないですが今日は
マイケル・ジャクソンのアルバム記事です。
昨日、札幌ドームにファイターズ戦を見に行ったことは既に
稲葉選手の誕生日の記事(こちら)で報告しました。
ファイターズの1番のスケールズ選手の入場テーマ曲として
マイケル・ジャクソンのDon't Stop 'Til You Get Enough
が使われていたので記事にしたというわけです。
5月に行ったヤクルトとの交流戦ではホフパワー選手のテーマ曲が
AC/DCのBack In Blackであると知って記事(こちら)にしましたが、
今回は続編みたいなものですかね(笑)。
スケールズ選手は田中賢介選手が負傷し今季の復帰は難しい
という状況に陥り急きょ6月に補強され来日した選手です。
賢介を受けてセカンドを守るか指名打者として出場し続けていて
満塁ホームランを2本打つ一方で四球を選ぶことも多く、
すっかりファイターズの一員として活躍しており、選手の間でも
「スケさん」と呼ばれてすっかりなじんでいるようです。
スケールズ選手は僕が思うにはアメリカ人にしては生真面目で、
硬くはないけどあまりジョークを言う感じではない人なのですが、
そのスケさんのテーマがマイケルのこの曲と知って、僕としては、
少しイメージが違うなかなぁと思いました。
具体的にはあまりダンスとか好きじゃなさそうに思えるので(笑)。
しかしそれはまだ来日したばかりで僕がよく分からないだけで、
ほんとうは普通に陽気なアメリカンなのかもしれないですね。
だからここはあくまでも僕個人の意見や思いです。
僕のイメージには合わないけど昨日一緒に見に行った友だちが、
この曲は知らなかったけど陽気ではつらつとしてやる気になりそうな
曲だから合ってるんじゃないかなとも言っていましたし。
そしてきっと本人が好きで選んだのでしょうから、
他人がとやかくいうことではないかもしれません。
曲は最初のマイケルの喋りとベースの部分はカットされ、ドラムスから
演奏がフルになる部分から始まってマイケルのヴォーカルが入る前に
フェイドアウトしていました。
ホフパワー選手の曲はドームでの知名度は小数点以下だろうけど、
スケールズ選手のマイケルは数%はあるでしょうかね(笑)。
大好きな曲が札幌ドームで断片だけでも聴けたのは
洋楽バカとしてはうれしい限り。
02 LPとポーラ

僕がこのアルバムを初めて聴いたのは高校時代のこと。
もちろんあのTHRILLERのヒットを受けてLPを買ったものです。
THRILLERのウルトラヒットによりマイケルの情報が巷にあふれたため、
このアルバムの存在はすぐに知りいつか聴いてみたいと思いました。
高校のクラスメートで今も友だちのさいたまのソウルマニアM君が
僕がTHRILLERがとってもいいと浮かれながら話していたのを受けて
「マイケルはOFF THE WALLを聴かないと(ダメだ)ね」
と言い放ち僕はかちんときた、いや、心に留めておきました。
少ししてTHRILLERからカットされたシングル
Wanna Be Startin' Somethingの12インチシングルレコードのB面に
ここに収録されたNo.1ヒットRock With Youが入っていることが分かり、
まずはそれを買いその曲がとっても気に入ったのでLPも買いました。
タワーレコードで1290円、もちろん輸入盤。
最初に聴いた印象は「THRILLERにつながって流れていく音」でした。
似ているとかそういうことではなくマイケルの成長の跡がよく分かり、
気持ちが自然と入り込んでいきました。
もうひとつは「やっぱり音がディスコサウンドだな」です。
この中の曲が当時ディスコでかかりまくっていたであろうことは、
行ったことがない僕でも容易に想像できる音作りでした。
だから逆にTHRILLERではロック的要素が強まったんだな、とも。
もちろんバラードもあって曲は多彩でマイケル・ジャクソンという人は
早熟なだけではなくその後の成長がものすごいことも分かりました。
マイケルがすごい部分は、今これを聴くともっとよく分かると思います。
ディスコサウンドはロックへの「悪影響」も指摘されて一部の人には
否定的な受け止め方をされ、あくまでもその時代だけの音であり、
今聴くと或る意味おかしく或る意味悲しい、そんな音楽でしょう。
僕はディスコの時代は洋楽を聴いてはおらず父が聴くラジオやCMなどで
そういうものが流行っていることを知っていたくらいですが、でも
僕だってディスコの時代のCDを今初めて聴くと「ああぅ・・・」と
ため息が漏れてしまうものも結構あります。
いわば時代に閉じ込められた音楽という感じでしょう。
一方でマイケルのこのアルバム、僕は当時はディスコと感じましたが、
今聴いても古くささは感じません。
それはマイケルがディスコサウンドを基盤としつつもまったく新しい
音楽を作り上げていたからでしょう。
これはもはやどう聴いてもマイケル・ジャクソンの音楽でしかない。
このアルバムはクインシー・ジョーンズがプロデュースをしていますが、
若きマイケルの意欲を最大限に生かす素晴らしい仕事をしています。
若いだけではなく大人びて落ち着いた部分も強く感じるサウンドは
クインシーにして初めてなし得た技であり、またそれが今聴いても
色あせておらず大人でもじっくりと聴き込める部分でしょう。
考えてみればすごいですよ、若いのに落ち着いているって。
ただしもちろん溌剌とした若さに包まれたアルバムであって、
落ち着いているというのは気持ちの部分ではなく、
エンターティメントとして充実しているという意味です。
兄弟によるバンドでの活動に正式に終止符を打ち、
真のエンターティナーとしての道を歩み始めたこのアルバムは
まさに「壁」を打ち破った歴史的な1枚といえるでしょう。
マイケルは自ら素晴らしい曲を書く一方で、外部作曲家の曲も
積極的に採り入れて音楽の幅を広げていますが、
このアルバムではそのスタイルが既に確立されています。
作曲者は曲ごとに記してゆきます。
03

Tr1:Don't Stop 'Til You Get Enough
(Michael Jackson)
スケさんのテーマ曲(笑)。
僕の中学時代にスクーターのCMでこの曲が使われマイケル本人も
写っていたことで僕はマイケル・ジャクソンという人を知りました。
でも記憶が少し曖昧でスクーターのCMは別の曲でありこの曲は
また別のCMで使われていたのかもしれません。
いずれにせよCM絡みで存在を知り興味が出てきた流れの中で
あのTHRILLERが出てすぐに買ったのでした。
この曲は独特のリズム感にファルセットでインパクトが大きく、また
自作であるゆえいかにもマイケルらしい曲といえるでしょうね。
スケさんのテーマになったおかげで札幌市内ではこの曲のCDが
少しは売れるようになるのかな(笑)。
Tr2:Rock With You
(Rod Temperton)
マイケルが完全にソロとして活動を始めてからの初のNo.1ヒット。
アップテンポだけど切なくて雰囲気があって美しい歌メロで、
僕が洋楽の奥深さを知った重要な1曲でもあります。
もぎたてのオレンジを不器用に絞ってジュースがしたたるたような
みずみずしさにあふれる、永遠に輝き続ける真の名曲。
Tr3:Workin' Day And Night
(Michael Jackson)
まさにディスコで日常を一瞬でも忘れようというのりの曲。
マイケルの切れのよさは天性のものだけど演奏陣もマイケルに
負けじと切れまくっている爽快な曲。
Tr4:Get On The Floor
(Michael Jackson, Louis Johnson)
基本的にはのりがよくディスコで栄える曲が続きます。
でも、繰り返しになるけど、その場しのぎの軽い音楽では決してなく
今でも充実して聴けるのがこのアルバムのすごいところ。
ブラスの使い方もソウルの伝統にのっとりつつも新しい感覚。
Tr5:Off The Wall
(Rod Temperton)
当時聴いて楽曲のThrillerはこれの発展型かなと思いました。
周りを取り囲まれるように迫ってくる印象的なベースラインもだけど、
マイケルの笑い声が入ったり曲自体そして全体的にそう感じさせます。
僕は後追いだからそう感じましたが、当時これを聴いた人は、
何かこの先につながるものを感じたかもしれません。
ところでスクーターのCMはこっちの曲だったかなとも思うけど、
昔は洋楽アーティストのCMが結構ありましたね。
ロッド・スチュワートのニッカのCMが僕は印象に残っていますが、
懐かしいな、また見たい(笑)。
04 あっ、右側の人はもしかして・・・

Tr6:Girlfriend
(Paul McCartney)
そうです右側の人はポール・マッカートニー!
ウィングス時代のLONDON TOWNに収録されたこの曲を
マイケルが割と早くカバーしていますが、これがはっきり言って
僕はポールよりマイケルのこのヴァージョンが好きかもしれない。
それくらいマイケルにはぴったりのイメージで、もしかしてポールは
マイケルをイメージして作曲した、なんてことも邪推してしまうくらい。
途中の「いぇ~っ」という唐突な高い声が特にそんな感じがする。
実は僕、この曲はオリジナルよりこちらを先に聴いて知ったのです。
ポールのそのアルバムはCD時代になって初めて聴いたのですが、
高校時代になると新しいものを買う比率がどんどん増え、
ポールの旧作は後回しになっていたというわけ。
僕がポールの曲でオリジナルよりカバーを先に聴いたのは
多分この曲だけだと思いますが、だからかな、この曲は
マイケルのヴァージョンのほうがより好きなのは。
ポールが歌うと微妙におちゃらけの部分が強すぎる気がするし。
まあいずれにせよ作曲家としてのポールの素晴らしさを再認識する
甘い歌メロの曲をマイケルは自分の色に染め切っていますね。
写真04はこのアルバム25周年記念特別盤のブックレットのもので
これはLPになかったので僕にも新鮮な写真でした。
なお、マイケルはこの曲をカバーするほどポールが大好きなのに、
そのポールはマイケルを差し置いてスティーヴィー・ワンダーを呼んで
Ebony & Ivoryを共演しNo.1ヒットとなったことでマイケルが嫉妬し、
次のアルバムではなにがなんでもポールを呼ぶと決めてあの
The Girl Is Mineを録音したという逸話を聞いたことがあります。
マイケルのそういうところはいい意味で子どもっぽくていい部分ですね。
もしかしてThe Girl...の2人の男性が一人の女性を奪い合うというのは
マイケルとスティーヴィーがポールを奪い合っていたということの
皮肉なのかもしれないですね(笑)。
Tr7:She's Out Of My Life
(Tom Bahler)
この繊細さはマイケルにしか出せない味。
聴いているとこちらもほろりとしてしまうあまりにも清らかな曲。
青春の傷あと、子どもから大人への成長の証のバラード。
Tr8:I Can't Help It
(Stevie Wonder, Susaye Greene)
マイケルとスティーヴィー・ワンダーはライバルなんだけど
それ以上に仲がいい友だちだったのかな。
ちゃんとスティーヴィーの曲があるのもまたマイケルらしくて
なんだかほっとします。
これはそう言われるとイントロから続くベースラインとメロディが
どう聴いてもスティーヴィーそのものと感じられ、作曲の個性とは
面白いものだなと思います。
Tr9:It's The Falling In Love
(Carole Bayer Sager, David Foster)
キャロル・ベイヤー・セイガーにデヴィッド・フォスターと、
いわばAOR路線の御大2人による曲も歌ってしまうマイケル。
別にしっとりとしたバラードが大人だけのものでもないわけだし
マイケルにしては当たり前の曲なのでしょうね。
しかしそれももちろん自分の色で歌いきっているのがすごい。
ところでこの曲名は英語ネイティヴではない僕には昔から
舌足らずというかなんだかしっくりとこないものがあります。
Tr10:Burn This Disco Out
(Rod Temperton)
ブラック系で多くの名曲を書いているロッド・テンパートンの3曲目。
ディスコを燃やすというのは自らの音楽で熱中させるというよりは、
ディスコの時代はもう終わったと言いたかったのかもしれない。
このアルバムは正直言えば最後の3曲が落ち着きすぎているかな
と昔は思ったものです、印象がじゃっかん薄いというか。
でもやっぱりアルバム通して素晴らしい1枚には違いありません。
僕にとっては高校時代の思い出も絡めて、このアルバムは
いまだに聴く度に気持ちがフレッシュになる1枚ですね。
最後に野球の話を、愚痴交じりでちょっと(笑)。
実は、僕が札幌ドームに見に行った試合のファイターズは
昨日の負けで昨年から4連敗となってしまいました。
今年も2連敗、昨年も2連敗、暫く勝ち試合を見ていない・・・
でもだからといってもちろん僕が行くから負けるんだというほど
僕は思い上がった人間ではないんだけど、でも、次に行くと
また負けを見ることになるのかと心配なのも事実です。
こうなったら次はなるべく早く行ってジンクスを打ち破りたい。
なんか虚しいですね。
ちなみにファイターズは今は「死んだふり作戦」を敢行していて、
相手を油断させておいて逆襲し最後に仕上げるつもりなのですよ。
と強がりを言ってみたり(笑)。
そうそうドームに行くならお茶を入れた水筒は必需品ですね、
昨日それがよく分かりました。
それからもうひとつ、昨日は稲葉選手の誕生日でしたが、
本日8月4日は続いて梨田監督の誕生日です。
監督、おめでとう!
稲葉選手と梨田監督はお互いにうれしかったりするのかな(笑)。
最後にマイケル・ジャクソンのこのアルバムもBLOGを始めてから
いつか記事にしようとずっと思っていた1枚でしたが、
よもやこうしたきっかけで記事にするとは思っておらず、
それもまたうれしいところですね。
スケールズ選手通称「スケさん」、期待してますよ!
05


OFF THE WALL Michael Jackson
オフ・ザ・ウォール マイケル・ジャクソン (1979)
何を唐突にと思われるかもしれないですが今日は
マイケル・ジャクソンのアルバム記事です。
昨日、札幌ドームにファイターズ戦を見に行ったことは既に
稲葉選手の誕生日の記事(こちら)で報告しました。
ファイターズの1番のスケールズ選手の入場テーマ曲として
マイケル・ジャクソンのDon't Stop 'Til You Get Enough
が使われていたので記事にしたというわけです。
5月に行ったヤクルトとの交流戦ではホフパワー選手のテーマ曲が
AC/DCのBack In Blackであると知って記事(こちら)にしましたが、
今回は続編みたいなものですかね(笑)。
スケールズ選手は田中賢介選手が負傷し今季の復帰は難しい
という状況に陥り急きょ6月に補強され来日した選手です。
賢介を受けてセカンドを守るか指名打者として出場し続けていて
満塁ホームランを2本打つ一方で四球を選ぶことも多く、
すっかりファイターズの一員として活躍しており、選手の間でも
「スケさん」と呼ばれてすっかりなじんでいるようです。
スケールズ選手は僕が思うにはアメリカ人にしては生真面目で、
硬くはないけどあまりジョークを言う感じではない人なのですが、
そのスケさんのテーマがマイケルのこの曲と知って、僕としては、
少しイメージが違うなかなぁと思いました。
具体的にはあまりダンスとか好きじゃなさそうに思えるので(笑)。
しかしそれはまだ来日したばかりで僕がよく分からないだけで、
ほんとうは普通に陽気なアメリカンなのかもしれないですね。
だからここはあくまでも僕個人の意見や思いです。
僕のイメージには合わないけど昨日一緒に見に行った友だちが、
この曲は知らなかったけど陽気ではつらつとしてやる気になりそうな
曲だから合ってるんじゃないかなとも言っていましたし。
そしてきっと本人が好きで選んだのでしょうから、
他人がとやかくいうことではないかもしれません。
曲は最初のマイケルの喋りとベースの部分はカットされ、ドラムスから
演奏がフルになる部分から始まってマイケルのヴォーカルが入る前に
フェイドアウトしていました。
ホフパワー選手の曲はドームでの知名度は小数点以下だろうけど、
スケールズ選手のマイケルは数%はあるでしょうかね(笑)。
大好きな曲が札幌ドームで断片だけでも聴けたのは
洋楽バカとしてはうれしい限り。
02 LPとポーラ

僕がこのアルバムを初めて聴いたのは高校時代のこと。
もちろんあのTHRILLERのヒットを受けてLPを買ったものです。
THRILLERのウルトラヒットによりマイケルの情報が巷にあふれたため、
このアルバムの存在はすぐに知りいつか聴いてみたいと思いました。
高校のクラスメートで今も友だちのさいたまのソウルマニアM君が
僕がTHRILLERがとってもいいと浮かれながら話していたのを受けて
「マイケルはOFF THE WALLを聴かないと(ダメだ)ね」
と言い放ち僕はかちんときた、いや、心に留めておきました。
少ししてTHRILLERからカットされたシングル
Wanna Be Startin' Somethingの12インチシングルレコードのB面に
ここに収録されたNo.1ヒットRock With Youが入っていることが分かり、
まずはそれを買いその曲がとっても気に入ったのでLPも買いました。
タワーレコードで1290円、もちろん輸入盤。
最初に聴いた印象は「THRILLERにつながって流れていく音」でした。
似ているとかそういうことではなくマイケルの成長の跡がよく分かり、
気持ちが自然と入り込んでいきました。
もうひとつは「やっぱり音がディスコサウンドだな」です。
この中の曲が当時ディスコでかかりまくっていたであろうことは、
行ったことがない僕でも容易に想像できる音作りでした。
だから逆にTHRILLERではロック的要素が強まったんだな、とも。
もちろんバラードもあって曲は多彩でマイケル・ジャクソンという人は
早熟なだけではなくその後の成長がものすごいことも分かりました。
マイケルがすごい部分は、今これを聴くともっとよく分かると思います。
ディスコサウンドはロックへの「悪影響」も指摘されて一部の人には
否定的な受け止め方をされ、あくまでもその時代だけの音であり、
今聴くと或る意味おかしく或る意味悲しい、そんな音楽でしょう。
僕はディスコの時代は洋楽を聴いてはおらず父が聴くラジオやCMなどで
そういうものが流行っていることを知っていたくらいですが、でも
僕だってディスコの時代のCDを今初めて聴くと「ああぅ・・・」と
ため息が漏れてしまうものも結構あります。
いわば時代に閉じ込められた音楽という感じでしょう。
一方でマイケルのこのアルバム、僕は当時はディスコと感じましたが、
今聴いても古くささは感じません。
それはマイケルがディスコサウンドを基盤としつつもまったく新しい
音楽を作り上げていたからでしょう。
これはもはやどう聴いてもマイケル・ジャクソンの音楽でしかない。
このアルバムはクインシー・ジョーンズがプロデュースをしていますが、
若きマイケルの意欲を最大限に生かす素晴らしい仕事をしています。
若いだけではなく大人びて落ち着いた部分も強く感じるサウンドは
クインシーにして初めてなし得た技であり、またそれが今聴いても
色あせておらず大人でもじっくりと聴き込める部分でしょう。
考えてみればすごいですよ、若いのに落ち着いているって。
ただしもちろん溌剌とした若さに包まれたアルバムであって、
落ち着いているというのは気持ちの部分ではなく、
エンターティメントとして充実しているという意味です。
兄弟によるバンドでの活動に正式に終止符を打ち、
真のエンターティナーとしての道を歩み始めたこのアルバムは
まさに「壁」を打ち破った歴史的な1枚といえるでしょう。
マイケルは自ら素晴らしい曲を書く一方で、外部作曲家の曲も
積極的に採り入れて音楽の幅を広げていますが、
このアルバムではそのスタイルが既に確立されています。
作曲者は曲ごとに記してゆきます。
03

Tr1:Don't Stop 'Til You Get Enough
(Michael Jackson)
スケさんのテーマ曲(笑)。
僕の中学時代にスクーターのCMでこの曲が使われマイケル本人も
写っていたことで僕はマイケル・ジャクソンという人を知りました。
でも記憶が少し曖昧でスクーターのCMは別の曲でありこの曲は
また別のCMで使われていたのかもしれません。
いずれにせよCM絡みで存在を知り興味が出てきた流れの中で
あのTHRILLERが出てすぐに買ったのでした。
この曲は独特のリズム感にファルセットでインパクトが大きく、また
自作であるゆえいかにもマイケルらしい曲といえるでしょうね。
スケさんのテーマになったおかげで札幌市内ではこの曲のCDが
少しは売れるようになるのかな(笑)。
Tr2:Rock With You
(Rod Temperton)
マイケルが完全にソロとして活動を始めてからの初のNo.1ヒット。
アップテンポだけど切なくて雰囲気があって美しい歌メロで、
僕が洋楽の奥深さを知った重要な1曲でもあります。
もぎたてのオレンジを不器用に絞ってジュースがしたたるたような
みずみずしさにあふれる、永遠に輝き続ける真の名曲。
Tr3:Workin' Day And Night
(Michael Jackson)
まさにディスコで日常を一瞬でも忘れようというのりの曲。
マイケルの切れのよさは天性のものだけど演奏陣もマイケルに
負けじと切れまくっている爽快な曲。
Tr4:Get On The Floor
(Michael Jackson, Louis Johnson)
基本的にはのりがよくディスコで栄える曲が続きます。
でも、繰り返しになるけど、その場しのぎの軽い音楽では決してなく
今でも充実して聴けるのがこのアルバムのすごいところ。
ブラスの使い方もソウルの伝統にのっとりつつも新しい感覚。
Tr5:Off The Wall
(Rod Temperton)
当時聴いて楽曲のThrillerはこれの発展型かなと思いました。
周りを取り囲まれるように迫ってくる印象的なベースラインもだけど、
マイケルの笑い声が入ったり曲自体そして全体的にそう感じさせます。
僕は後追いだからそう感じましたが、当時これを聴いた人は、
何かこの先につながるものを感じたかもしれません。
ところでスクーターのCMはこっちの曲だったかなとも思うけど、
昔は洋楽アーティストのCMが結構ありましたね。
ロッド・スチュワートのニッカのCMが僕は印象に残っていますが、
懐かしいな、また見たい(笑)。
04 あっ、右側の人はもしかして・・・

Tr6:Girlfriend
(Paul McCartney)
そうです右側の人はポール・マッカートニー!
ウィングス時代のLONDON TOWNに収録されたこの曲を
マイケルが割と早くカバーしていますが、これがはっきり言って
僕はポールよりマイケルのこのヴァージョンが好きかもしれない。
それくらいマイケルにはぴったりのイメージで、もしかしてポールは
マイケルをイメージして作曲した、なんてことも邪推してしまうくらい。
途中の「いぇ~っ」という唐突な高い声が特にそんな感じがする。
実は僕、この曲はオリジナルよりこちらを先に聴いて知ったのです。
ポールのそのアルバムはCD時代になって初めて聴いたのですが、
高校時代になると新しいものを買う比率がどんどん増え、
ポールの旧作は後回しになっていたというわけ。
僕がポールの曲でオリジナルよりカバーを先に聴いたのは
多分この曲だけだと思いますが、だからかな、この曲は
マイケルのヴァージョンのほうがより好きなのは。
ポールが歌うと微妙におちゃらけの部分が強すぎる気がするし。
まあいずれにせよ作曲家としてのポールの素晴らしさを再認識する
甘い歌メロの曲をマイケルは自分の色に染め切っていますね。
写真04はこのアルバム25周年記念特別盤のブックレットのもので
これはLPになかったので僕にも新鮮な写真でした。
なお、マイケルはこの曲をカバーするほどポールが大好きなのに、
そのポールはマイケルを差し置いてスティーヴィー・ワンダーを呼んで
Ebony & Ivoryを共演しNo.1ヒットとなったことでマイケルが嫉妬し、
次のアルバムではなにがなんでもポールを呼ぶと決めてあの
The Girl Is Mineを録音したという逸話を聞いたことがあります。
マイケルのそういうところはいい意味で子どもっぽくていい部分ですね。
もしかしてThe Girl...の2人の男性が一人の女性を奪い合うというのは
マイケルとスティーヴィーがポールを奪い合っていたということの
皮肉なのかもしれないですね(笑)。
Tr7:She's Out Of My Life
(Tom Bahler)
この繊細さはマイケルにしか出せない味。
聴いているとこちらもほろりとしてしまうあまりにも清らかな曲。
青春の傷あと、子どもから大人への成長の証のバラード。
Tr8:I Can't Help It
(Stevie Wonder, Susaye Greene)
マイケルとスティーヴィー・ワンダーはライバルなんだけど
それ以上に仲がいい友だちだったのかな。
ちゃんとスティーヴィーの曲があるのもまたマイケルらしくて
なんだかほっとします。
これはそう言われるとイントロから続くベースラインとメロディが
どう聴いてもスティーヴィーそのものと感じられ、作曲の個性とは
面白いものだなと思います。
Tr9:It's The Falling In Love
(Carole Bayer Sager, David Foster)
キャロル・ベイヤー・セイガーにデヴィッド・フォスターと、
いわばAOR路線の御大2人による曲も歌ってしまうマイケル。
別にしっとりとしたバラードが大人だけのものでもないわけだし
マイケルにしては当たり前の曲なのでしょうね。
しかしそれももちろん自分の色で歌いきっているのがすごい。
ところでこの曲名は英語ネイティヴではない僕には昔から
舌足らずというかなんだかしっくりとこないものがあります。
Tr10:Burn This Disco Out
(Rod Temperton)
ブラック系で多くの名曲を書いているロッド・テンパートンの3曲目。
ディスコを燃やすというのは自らの音楽で熱中させるというよりは、
ディスコの時代はもう終わったと言いたかったのかもしれない。
このアルバムは正直言えば最後の3曲が落ち着きすぎているかな
と昔は思ったものです、印象がじゃっかん薄いというか。
でもやっぱりアルバム通して素晴らしい1枚には違いありません。
僕にとっては高校時代の思い出も絡めて、このアルバムは
いまだに聴く度に気持ちがフレッシュになる1枚ですね。
最後に野球の話を、愚痴交じりでちょっと(笑)。
実は、僕が札幌ドームに見に行った試合のファイターズは
昨日の負けで昨年から4連敗となってしまいました。
今年も2連敗、昨年も2連敗、暫く勝ち試合を見ていない・・・
でもだからといってもちろん僕が行くから負けるんだというほど
僕は思い上がった人間ではないんだけど、でも、次に行くと
また負けを見ることになるのかと心配なのも事実です。
こうなったら次はなるべく早く行ってジンクスを打ち破りたい。
なんか虚しいですね。
ちなみにファイターズは今は「死んだふり作戦」を敢行していて、
相手を油断させておいて逆襲し最後に仕上げるつもりなのですよ。
と強がりを言ってみたり(笑)。
そうそうドームに行くならお茶を入れた水筒は必需品ですね、
昨日それがよく分かりました。
それからもうひとつ、昨日は稲葉選手の誕生日でしたが、
本日8月4日は続いて梨田監督の誕生日です。
監督、おめでとう!
稲葉選手と梨田監督はお互いにうれしかったりするのかな(笑)。
最後にマイケル・ジャクソンのこのアルバムもBLOGを始めてから
いつか記事にしようとずっと思っていた1枚でしたが、
よもやこうしたきっかけで記事にするとは思っておらず、
それもまたうれしいところですね。
スケールズ選手通称「スケさん」、期待してますよ!
05

2014年02月27日
THRILLER 25周年記念盤 マイケル・ジャクソン
最近、わが家で話題沸騰のアルバムを。
なお、今回は風景写真は使いませんでした。
01:虹色に輝いているのはホログラム加工のせい

THRILLER (25th Anniversary Edition) Michael Jackson
スリラー25周年記念盤 マイケル・ジャクソン
同世代より上ではもはや知らない人はいないであろう
怪物アルバムの、リリース25周年記念盤が出ました。
ジャケットにも
THE WORLD'S BIGGEST SELLING ALBUM OF ALL TIME
と、誇らしげに書かれていますが、3000万枚売れたという話。
内容は、アルバムのリマスター、
彼を敬愛する人たちとの収録曲の新録音、
そして、かの有名なビデオクリップが入ったDVDと
充実しています。
しかし、実際には、1982年11月20日にリリースされており、
年でいえば1年ずれているかたちです。
11月リリースの計画が、諸事情で延びたのかな(笑)。
それとも、流行っていた年から数えているのか。
まあ、大した問題ではないでしょう。
思い出もたくさんありますが、
それは曲の項で触れることにします。
02:25周年記念盤の裏は当時のジャケット写真

Tr1:Wanna Be Startin' Something
このアルバムは、9曲中7曲がシングルカットされ、
そのすべてがTop10入りし、うち2曲がNo.1になりました。
これは第4弾シングル。
1曲目としては景気づけられていいですね。
途中の手拍子が軽快で、体が自然に動いてしまう曲。
パーカッションの音が胡椒みたいな感じがします(笑)。
しかし、これは、曲そのものがいいというよりも、
マイケル・ジャクソンの個人技のすごさで聴かせる曲かな。
だって、鼻歌で歌ってもあまりしっくりこないもん(笑)。
といいつつ僕は当時、この12インチシングルレコードを買いました。
この曲ではなく、B面に入っていた
Rock With Youのライヴバージョンが目当てで。
なぜか。
このアルバムが出た時は中3、すぐに高校に入り、
ソウルが大好きでロックも聴く友達が出来ましたが、
その友達がある日、こんなことを言いました。
「THRILLERなんて、屁みたいなもんさ」
どちらかというとミーハーな僕は、その言葉に驚き、
友達に促して続きを聞くと、こんな答えが返ってきました。
「前のアルバムOFF THE WALLのほうが数倍マシ」
それを聞いた途端、そのアルバムを聴きたくなりましたが、
たまたまその頃リリースされたこの曲の12インチシングルに
そのアルバムからのその曲が入っていたのです。
ほんと、とってもいい曲でした!
今にして思うと、流行っているものに対しても惑わされずに
きちんと自分の考えで接していた友達は偉いなと思います。
(見てますか、さいたまのMK君)。
ああ、すっかりこの曲から外れました(笑)。
Tr2:Baby Be Mine
シングルカットされなかった2曲のうちの1曲。
まあ、普通の曲でこの中ではインパクトは弱いかな、確かに。
いい曲だけどねぇ。
03:LPインナースリーヴのイラスト、PM vs MJ

Tr3:The Girl Is Mine
もう言うことはお分かりかと思います(笑)。
ポール・マッカートニーが参加している!!
アルバムからの先行シングル、全米第2位。
だけど当時、若くてとんがったロック野郎だった僕は、
マイケル・ジャクソンをよく知らず、アルバム購入を躊躇しました。
なんでこんなもんにポールが参加しているのだ、という具合・・・
さらにはこれ、ビデオクリップもないので、
FMでエアチェックして聴いていました。
ポールが参加した経緯は、確かこうです。
ポールがEbony & Ivoryでスティーヴィー・ワンダーと共演し、
マイケルはそれにライバル心を燃やして、
次の自分のアルバムにポールを招いた。
それにしても他愛のない曲ですよね。
ひと回り以上違う男2人が、女性を奪い合っている・・・
でも、声はポールのほうが若く(幼く?)聞こえたりもします。
しかも最後はトークで喧嘩しているし(笑)。
だけどそのトークの部分のポールの喋り方が
なんだか聴いてて気持ちいいな、と思いました。
当時はまだラップというものが
少なくともシーンには存在していなかったのですが、
ラップが気持ちいいのと近いものがあると思います。
それと、曲はよくあるソウルバラードだと思うのですが、
いわゆる「黒っぽさ」をほとんど感じないですね。
それはポールが歌っていることを差し引いても。
80年代前半は、ソウルというかブラックミュージックが
ロック側に寄ってきていた時代だったと思います。
だけど、「ブラックを真似た」ビートルズから入って
音楽を聴き始めた僕には、それはむしろ「追い風」で、
ヒットするような曲であれば、ブラック系でもすんなりと聴けた、
そんな時代でした。
それからもうひとつ。
この曲は惜しくも最高位が第2位でしたが、
もしこれが1位になっていれば、
ウィングスも含めたポール・マッカートニーのNo.1ヒットが
10曲になっていたところで、そういう点も含め
いろんな意味で苦い思い出がある曲です(笑)。
おまけにもひとつ。
この曲はポールが参加しているだけに、
鼻歌としても歌いやすいですね。
これは10年くらい経ってからようやく大好きになりました。
Tr4:Thriller
5枚目のシングル。
ビデオクリップがとにかく話題になりましたね。
25周年記念盤にももちろん、ビデオクリップも収録されています。
監督はジョン・ランディス。
これを機に本格的にMTV時代に突入し、ビデオもよく売れました。
でも正直、僕も当時は若かったせいで、気まぐれでもあり、
この頃になるともうこのアルバムには飽きていて、
特に思い入れというほどのものはないんです。
ただ、洋楽の枠を超えてセンセーショナルに取り上げられ、
周りではむしろこの頃がいちばん盛り上がっていたのもあって、
「つき合い」で観て聴いてはいました。
ませガキだったんですね(笑)。
それと、この曲にあまり思い入れがない理由が
もうひとつあるのですが、それは最後の曲で。
LPではここまでがA面。
04:こちらは数年前に出たリマスター盤、DVDなし

Tr5:Beat It
アルバムからの3枚目のシングル、2曲目の全米No.1。
これまた有名な逸話。
間奏のギターソロがエドワード・ヴァン・ヘイレン!
ヴァン・ヘイレンは当時絶頂期の一歩手前、
熱心なファン以外にも注目されてきていた頃で
そんな「旬な」ギタリストを起用したのは、
ロックのフィールドの聴き手も取り込むという意味で、
音楽的に、そしてそれ以上に戦略的にも上手いですね。
エドワードの演奏の素晴らしさは言うに及ばず。
でもエドワードは、日当程度のお金しか貰わなかったらしいです。
もし売り上げ1枚につき幾らかでも貰える契約なら、
3000万枚売れてますからね・・・。
まあそれはともかく、ビデオクリップも話題になりました。
「ウェスト・サイド物語」を模した戦いのシーンに、
マイケルがやってきて仲裁するというものですが、
その前にマイケルはみんなにこてんぱんにされそう・・・
などと言ってました(笑)。
今回の25周年記念盤のDVDにももちろん入っていますが、
今観てもやっぱり、マイケル、弱そうです・・・(笑)。
インパクトの強さは、ポピュラーソング史でも屈指の曲かも。
Tr6:Billie Jean
2枚目のシングル、全米No.1。
この曲は、リアルタイムで聴いた中でも印象深い、
思い出も思い入れも強い曲十指に入るでしょうね。
Tr3でアルバムを買うのを躊躇したと書きましたが、
これをラジオで聴いて、ある意味衝撃を受けました。
なにがどうよかったかって、すべてが。
なんていうと身も蓋もないですが・・・
そして次の日、確かクリスマス前の雪が舞う日に、
タワーレコードに行って、写真のLPを買いました。
その時、やっぱりポールが参加していることを知った時に
買っておけばよかったと後悔・・・
一方で、その1年以上経ってもまだまだ売れていて、
ついにLP買っちゃったよという友達もいましたが、
僕は密かに、早いうちから買っていたことが自慢でした(笑)。
余談ですが、そのLPを今出してみたところ
「輸入盤の臭い」に襲われました。
化繊のような、薬品のような、ツンと鼻に来る臭いです。
当時は輸入盤を買い始めたばかりで、
この臭いが僕にはとってもうれしかったんです。
だけど何年かして、その臭いが実は
「殺虫剤」の臭いだと知ったのですが(笑)、
だからといってその思い出が色褪せることはなく、
僕には好きな、懐かしい臭いです。
この曲を聴くとやはり、心が昔に戻ります。
他の曲よりも素早く、そして素直に。
「アッ」という息を吸う時に出す声やその他奇声が新鮮で、
歌いながら真似たりもしていました。
今でもやってます。
鼻歌で歌っても力が入ってしまう歌です。
人が見ると引くでしょうね(笑)。
それから、今回の25周年記念盤には、
「モータウン・レコード25周年記念コンサート」の際の
この曲のライヴ映像が収録されています。
ライヴといっても明らかな口パクですが(笑)。
でも、そのパフォーマンスにおいて、
かの有名な「ムーンウォーク」が初めて披露されたという
記念すべき映像でもあります。
確かに「見せる人」ですね。動きだけでも十分(笑)。
むむむ、ということは、
モータウンもそろそろ半世紀かぁ・・・
05:LPを引っ張り出してきました

Tr7:Human Nature
第6弾シングル。
たまにはCDの解説に書いてあることも触れましょう。
これは、バックにTOTOのメンバーが参加していて、
マイケルの中でも最も美しい曲のひとつ、とあります。
まったくそう思います。だから引用しました。
いい曲というより、ほんと、美しい曲。
この曲はしかし、最初はそれほど印象が強くありませんでした。
そりゃそうですよね、前の2曲が強烈ですから。
しかし、シングルカットされ、ラジオで聴いた瞬間、
まるで別の曲であるかのように美しく響いてきて、
とりつかれたかのようにその曲だけ聴くようになりました。
シングルカットすると違って=よく聞こえるようになる
という例はその後も多々あったのですが、
そういうことを教わった曲でもあるでしょう。
いや、ほんと、美しい曲だ。
Tr8:P.Y.T. (Pretty Young Thing)
最後のシングルカット。
この頃になると、これまでシングル切るかぁ、という感じ・・・
曲は嫌いじゃないけど。軽快な曲。
略語が妙にかっこよかった思い出があります(笑)。
Tr9:The Lady In My Life
もうひとつ、シングルカットしなかった曲。
大人しいソウルバラード。
この曲は、群を抜いて印象が薄いですね、この中では。
というのも・・・
僕は当時、LPを買うと、
46分のカセットテープに録音して聴いていました。
足りない場合は60分テープ。
当時はまだ50分や54分というテープがなかったので。
だから僕のLPはあまり回数を聴いておらず、
音質の状態はかなりいいはずです(笑)。
それはともかく、
テープに録音して、主に寝る前にラジカセで聴いていましたが、
寝る前に聴くので、面の後ろのほうに入っている曲まで
たどり着かないうちに眠ってしまうこともよくあり、
だからこのようなB面の最後となると、もうあまり覚えてなくて・・・
しかし、僕のラジカセはオートリバースではなかったので、
A面が終わると、カセットテープが、
「ガチャッ」というかなり大きな音を立てて止まり、
その音でふっと意識が戻ることもよくありました。
その場合、半分眠りながらも
カセットテープを取り出し、裏返してからまたかけていました。
だから、B面の頭のほうの曲はまたよく覚えています。
このアルバムの場合、B面の頭2曲が強烈なので、なおのこと。
だからB面3曲目のTr7は
眠りに落ちる頃で印象が薄かったでしょうし、
Tr8は、なんとなく覚えていた、という感じでもありましたし、
かの有名なThrillerですら、A面最後、そんなものなのでしょう。
そして、B面の最後となると、
カセットが止まる音でも意識が戻ることもなく終わって・・・
ついでにいえば、Tr7は、眠りに落ちるには
とっても心地よい曲であったんだなと、今にして思いますね(笑)。
というわけで、
それまでの喧騒がまるで嘘か幻であるかのように
怪物アルバムは静かに幕を下ろします。
なお、この後には、先に書いた
彼を敬愛するアーティストと再録音した曲が入っていますが、
ここでは思い出を語るということで、
あえてそれらには触れないでおきます。
興味があるかた、申し訳ないのですが、どうかお許しを。
懐かしい。
というよりも最近、この中の曲をよく聴いていて、
さらにはこれを買ったのを機にアルバムも聴いているので、
懐かしいという感じがだんだん薄れてきました(笑)。
思い出にひたれるかもしれないですし、
新たな発見もあるでしょう。
いいアルバムには間違いありません。
でも一方で、もちろん、
これよりいいと思う、大好きな、思い入れがあるアルバムは
100は下らないというくらいにあるのも事実です。
しかし、それもまた、若くて頭が柔らかい頃に
このような怪物アルバムに接したことから
いろいろと見えるようになったからかもしれません。
マイケル・ジャクソンが真のエンタティナーであることも
今回、あらためて、当時より強く感じましたし。
いずれにせよ、時代を語るアルバムでもあり、
一方で音楽的には色褪せないアルバムでもあります。
P.S. そういえば、
George Harrisonをジョージ・ハリスンと書くのに
Michael Jacksonをマイケル・ジャクソンと書くのは
なんでだろうと、自分でも思う今日この頃・・・
なお、今回は風景写真は使いませんでした。
01:虹色に輝いているのはホログラム加工のせい

THRILLER (25th Anniversary Edition) Michael Jackson
スリラー25周年記念盤 マイケル・ジャクソン
同世代より上ではもはや知らない人はいないであろう
怪物アルバムの、リリース25周年記念盤が出ました。
ジャケットにも
THE WORLD'S BIGGEST SELLING ALBUM OF ALL TIME
と、誇らしげに書かれていますが、3000万枚売れたという話。
内容は、アルバムのリマスター、
彼を敬愛する人たちとの収録曲の新録音、
そして、かの有名なビデオクリップが入ったDVDと
充実しています。
しかし、実際には、1982年11月20日にリリースされており、
年でいえば1年ずれているかたちです。
11月リリースの計画が、諸事情で延びたのかな(笑)。
それとも、流行っていた年から数えているのか。
まあ、大した問題ではないでしょう。
思い出もたくさんありますが、
それは曲の項で触れることにします。
02:25周年記念盤の裏は当時のジャケット写真

Tr1:Wanna Be Startin' Something
このアルバムは、9曲中7曲がシングルカットされ、
そのすべてがTop10入りし、うち2曲がNo.1になりました。
これは第4弾シングル。
1曲目としては景気づけられていいですね。
途中の手拍子が軽快で、体が自然に動いてしまう曲。
パーカッションの音が胡椒みたいな感じがします(笑)。
しかし、これは、曲そのものがいいというよりも、
マイケル・ジャクソンの個人技のすごさで聴かせる曲かな。
だって、鼻歌で歌ってもあまりしっくりこないもん(笑)。
といいつつ僕は当時、この12インチシングルレコードを買いました。
この曲ではなく、B面に入っていた
Rock With Youのライヴバージョンが目当てで。
なぜか。
このアルバムが出た時は中3、すぐに高校に入り、
ソウルが大好きでロックも聴く友達が出来ましたが、
その友達がある日、こんなことを言いました。
「THRILLERなんて、屁みたいなもんさ」
どちらかというとミーハーな僕は、その言葉に驚き、
友達に促して続きを聞くと、こんな答えが返ってきました。
「前のアルバムOFF THE WALLのほうが数倍マシ」
それを聞いた途端、そのアルバムを聴きたくなりましたが、
たまたまその頃リリースされたこの曲の12インチシングルに
そのアルバムからのその曲が入っていたのです。
ほんと、とってもいい曲でした!
今にして思うと、流行っているものに対しても惑わされずに
きちんと自分の考えで接していた友達は偉いなと思います。
(見てますか、さいたまのMK君)。
ああ、すっかりこの曲から外れました(笑)。
Tr2:Baby Be Mine
シングルカットされなかった2曲のうちの1曲。
まあ、普通の曲でこの中ではインパクトは弱いかな、確かに。
いい曲だけどねぇ。
03:LPインナースリーヴのイラスト、PM vs MJ

Tr3:The Girl Is Mine
もう言うことはお分かりかと思います(笑)。
ポール・マッカートニーが参加している!!
アルバムからの先行シングル、全米第2位。
だけど当時、若くてとんがったロック野郎だった僕は、
マイケル・ジャクソンをよく知らず、アルバム購入を躊躇しました。
なんでこんなもんにポールが参加しているのだ、という具合・・・
さらにはこれ、ビデオクリップもないので、
FMでエアチェックして聴いていました。
ポールが参加した経緯は、確かこうです。
ポールがEbony & Ivoryでスティーヴィー・ワンダーと共演し、
マイケルはそれにライバル心を燃やして、
次の自分のアルバムにポールを招いた。
それにしても他愛のない曲ですよね。
ひと回り以上違う男2人が、女性を奪い合っている・・・
でも、声はポールのほうが若く(幼く?)聞こえたりもします。
しかも最後はトークで喧嘩しているし(笑)。
だけどそのトークの部分のポールの喋り方が
なんだか聴いてて気持ちいいな、と思いました。
当時はまだラップというものが
少なくともシーンには存在していなかったのですが、
ラップが気持ちいいのと近いものがあると思います。
それと、曲はよくあるソウルバラードだと思うのですが、
いわゆる「黒っぽさ」をほとんど感じないですね。
それはポールが歌っていることを差し引いても。
80年代前半は、ソウルというかブラックミュージックが
ロック側に寄ってきていた時代だったと思います。
だけど、「ブラックを真似た」ビートルズから入って
音楽を聴き始めた僕には、それはむしろ「追い風」で、
ヒットするような曲であれば、ブラック系でもすんなりと聴けた、
そんな時代でした。
それからもうひとつ。
この曲は惜しくも最高位が第2位でしたが、
もしこれが1位になっていれば、
ウィングスも含めたポール・マッカートニーのNo.1ヒットが
10曲になっていたところで、そういう点も含め
いろんな意味で苦い思い出がある曲です(笑)。
おまけにもひとつ。
この曲はポールが参加しているだけに、
鼻歌としても歌いやすいですね。
これは10年くらい経ってからようやく大好きになりました。
Tr4:Thriller
5枚目のシングル。
ビデオクリップがとにかく話題になりましたね。
25周年記念盤にももちろん、ビデオクリップも収録されています。
監督はジョン・ランディス。
これを機に本格的にMTV時代に突入し、ビデオもよく売れました。
でも正直、僕も当時は若かったせいで、気まぐれでもあり、
この頃になるともうこのアルバムには飽きていて、
特に思い入れというほどのものはないんです。
ただ、洋楽の枠を超えてセンセーショナルに取り上げられ、
周りではむしろこの頃がいちばん盛り上がっていたのもあって、
「つき合い」で観て聴いてはいました。
ませガキだったんですね(笑)。
それと、この曲にあまり思い入れがない理由が
もうひとつあるのですが、それは最後の曲で。
LPではここまでがA面。
04:こちらは数年前に出たリマスター盤、DVDなし

Tr5:Beat It
アルバムからの3枚目のシングル、2曲目の全米No.1。
これまた有名な逸話。
間奏のギターソロがエドワード・ヴァン・ヘイレン!
ヴァン・ヘイレンは当時絶頂期の一歩手前、
熱心なファン以外にも注目されてきていた頃で
そんな「旬な」ギタリストを起用したのは、
ロックのフィールドの聴き手も取り込むという意味で、
音楽的に、そしてそれ以上に戦略的にも上手いですね。
エドワードの演奏の素晴らしさは言うに及ばず。
でもエドワードは、日当程度のお金しか貰わなかったらしいです。
もし売り上げ1枚につき幾らかでも貰える契約なら、
3000万枚売れてますからね・・・。
まあそれはともかく、ビデオクリップも話題になりました。
「ウェスト・サイド物語」を模した戦いのシーンに、
マイケルがやってきて仲裁するというものですが、
その前にマイケルはみんなにこてんぱんにされそう・・・
などと言ってました(笑)。
今回の25周年記念盤のDVDにももちろん入っていますが、
今観てもやっぱり、マイケル、弱そうです・・・(笑)。
インパクトの強さは、ポピュラーソング史でも屈指の曲かも。
Tr6:Billie Jean
2枚目のシングル、全米No.1。
この曲は、リアルタイムで聴いた中でも印象深い、
思い出も思い入れも強い曲十指に入るでしょうね。
Tr3でアルバムを買うのを躊躇したと書きましたが、
これをラジオで聴いて、ある意味衝撃を受けました。
なにがどうよかったかって、すべてが。
なんていうと身も蓋もないですが・・・
そして次の日、確かクリスマス前の雪が舞う日に、
タワーレコードに行って、写真のLPを買いました。
その時、やっぱりポールが参加していることを知った時に
買っておけばよかったと後悔・・・
一方で、その1年以上経ってもまだまだ売れていて、
ついにLP買っちゃったよという友達もいましたが、
僕は密かに、早いうちから買っていたことが自慢でした(笑)。
余談ですが、そのLPを今出してみたところ
「輸入盤の臭い」に襲われました。
化繊のような、薬品のような、ツンと鼻に来る臭いです。
当時は輸入盤を買い始めたばかりで、
この臭いが僕にはとってもうれしかったんです。
だけど何年かして、その臭いが実は
「殺虫剤」の臭いだと知ったのですが(笑)、
だからといってその思い出が色褪せることはなく、
僕には好きな、懐かしい臭いです。
この曲を聴くとやはり、心が昔に戻ります。
他の曲よりも素早く、そして素直に。
「アッ」という息を吸う時に出す声やその他奇声が新鮮で、
歌いながら真似たりもしていました。
今でもやってます。
鼻歌で歌っても力が入ってしまう歌です。
人が見ると引くでしょうね(笑)。
それから、今回の25周年記念盤には、
「モータウン・レコード25周年記念コンサート」の際の
この曲のライヴ映像が収録されています。
ライヴといっても明らかな口パクですが(笑)。
でも、そのパフォーマンスにおいて、
かの有名な「ムーンウォーク」が初めて披露されたという
記念すべき映像でもあります。
確かに「見せる人」ですね。動きだけでも十分(笑)。
むむむ、ということは、
モータウンもそろそろ半世紀かぁ・・・
05:LPを引っ張り出してきました

Tr7:Human Nature
第6弾シングル。
たまにはCDの解説に書いてあることも触れましょう。
これは、バックにTOTOのメンバーが参加していて、
マイケルの中でも最も美しい曲のひとつ、とあります。
まったくそう思います。だから引用しました。
いい曲というより、ほんと、美しい曲。
この曲はしかし、最初はそれほど印象が強くありませんでした。
そりゃそうですよね、前の2曲が強烈ですから。
しかし、シングルカットされ、ラジオで聴いた瞬間、
まるで別の曲であるかのように美しく響いてきて、
とりつかれたかのようにその曲だけ聴くようになりました。
シングルカットすると違って=よく聞こえるようになる
という例はその後も多々あったのですが、
そういうことを教わった曲でもあるでしょう。
いや、ほんと、美しい曲だ。
Tr8:P.Y.T. (Pretty Young Thing)
最後のシングルカット。
この頃になると、これまでシングル切るかぁ、という感じ・・・
曲は嫌いじゃないけど。軽快な曲。
略語が妙にかっこよかった思い出があります(笑)。
Tr9:The Lady In My Life
もうひとつ、シングルカットしなかった曲。
大人しいソウルバラード。
この曲は、群を抜いて印象が薄いですね、この中では。
というのも・・・
僕は当時、LPを買うと、
46分のカセットテープに録音して聴いていました。
足りない場合は60分テープ。
当時はまだ50分や54分というテープがなかったので。
だから僕のLPはあまり回数を聴いておらず、
音質の状態はかなりいいはずです(笑)。
それはともかく、
テープに録音して、主に寝る前にラジカセで聴いていましたが、
寝る前に聴くので、面の後ろのほうに入っている曲まで
たどり着かないうちに眠ってしまうこともよくあり、
だからこのようなB面の最後となると、もうあまり覚えてなくて・・・
しかし、僕のラジカセはオートリバースではなかったので、
A面が終わると、カセットテープが、
「ガチャッ」というかなり大きな音を立てて止まり、
その音でふっと意識が戻ることもよくありました。
その場合、半分眠りながらも
カセットテープを取り出し、裏返してからまたかけていました。
だから、B面の頭のほうの曲はまたよく覚えています。
このアルバムの場合、B面の頭2曲が強烈なので、なおのこと。
だからB面3曲目のTr7は
眠りに落ちる頃で印象が薄かったでしょうし、
Tr8は、なんとなく覚えていた、という感じでもありましたし、
かの有名なThrillerですら、A面最後、そんなものなのでしょう。
そして、B面の最後となると、
カセットが止まる音でも意識が戻ることもなく終わって・・・
ついでにいえば、Tr7は、眠りに落ちるには
とっても心地よい曲であったんだなと、今にして思いますね(笑)。
というわけで、
それまでの喧騒がまるで嘘か幻であるかのように
怪物アルバムは静かに幕を下ろします。
なお、この後には、先に書いた
彼を敬愛するアーティストと再録音した曲が入っていますが、
ここでは思い出を語るということで、
あえてそれらには触れないでおきます。
興味があるかた、申し訳ないのですが、どうかお許しを。
懐かしい。
というよりも最近、この中の曲をよく聴いていて、
さらにはこれを買ったのを機にアルバムも聴いているので、
懐かしいという感じがだんだん薄れてきました(笑)。
思い出にひたれるかもしれないですし、
新たな発見もあるでしょう。
いいアルバムには間違いありません。
でも一方で、もちろん、
これよりいいと思う、大好きな、思い入れがあるアルバムは
100は下らないというくらいにあるのも事実です。
しかし、それもまた、若くて頭が柔らかい頃に
このような怪物アルバムに接したことから
いろいろと見えるようになったからかもしれません。
マイケル・ジャクソンが真のエンタティナーであることも
今回、あらためて、当時より強く感じましたし。
いずれにせよ、時代を語るアルバムでもあり、
一方で音楽的には色褪せないアルバムでもあります。
P.S. そういえば、
George Harrisonをジョージ・ハリスンと書くのに
Michael Jacksonをマイケル・ジャクソンと書くのは
なんでだろうと、自分でも思う今日この頃・・・
2014年02月24日
ボビー・ウーマックという人
01

ボビー・ウーマック Bobby Womack
今僕が凝っていて熱心に聴いている人。
原音により忠実に書くと「ウォマック」だそうですが。
きっかけは、1月に、USMジャパンより、1968年のデビュー作から
70年代の創作意欲に満ち充実した頃のアルバム10枚が一気に
リマスター盤で発売されてそれをまとめて買ったこと。
すべてを一気には聴けないので、3枚ずつ順番に入れ替えて
1週間くらいで取り替えながら聴き続けています。
1枚はライヴだからそれを抜くとちょうど3枚が3組。
これがですね、ほんとうに素晴らしい。
ボビー・ウーマックは高校時代から名前と他の人がカヴァーした
幾つかの曲を知っていて、90年代に出た新譜を1枚だけ買い、
名盤といわれるPOETの1と2を聴き、ベスト盤も買いましたが、
そこから聴き広げることはなかった。
しかし一昨年のTHE BRAVEST MAN IN THE UNIVERSE(記事こちら)
が素晴らしく、その年のアルバム1位に選んだほど気に入り、
さていよいよ70年代の作品もと思いました。
しかし、2in1で出ていたり中抜けになったりと、すべてを集めることは
難しそうで、保留としていました。
そこへこのリマスターの情報、すぐに10枚まとめて予約しました。
まだすべてをよく聴き込んでいないので、ここはひとつ、
「ボビー・ウーマックはこんな人」という、これまで僕が聴いた中で
全体的に感じたことをさらりとまとめて書いてみました。
02 今朝のA公園、非イメージ映像・・・

1.ジェイムス・ブラウンに声が似ている
以前からなんとなくそうは思っていましたが、今回あらためて聴くと、
声や歌い方がJBに似ていますね、特に「ヘーイッ」と叫ぶところ。
音楽はJBほどファンクではないんだけど、でもこの「ヘーイッ」が来ると、
切れが鋭く、カッコいい、こっちも気持ちが盛り上がりますね。
ただ、この10枚の後半になると声がだいぶ荒くなっていて、
ボビー・ウーマックらしい迫力がある声になっています。
2.時々サム・クックが叙情的に顔を出す
声はJBですが、特にミドルテンポからスロウな曲で
サム・クックが顔を出してきます。
これは当たり前で、サム・クックについて作曲などをしていたのが
キャリアの始まりだから、自分の中でも後継者という面があるのでしょう。
サム・クックがもしあの時殺されなかったら、ソウル音楽はいったい
どうなっていただろう、とはよく言われますが、そのことが
想像の域を超えて実際の音となって表されている感じもします。
サム・クック大好き人間としては、それもうれしいところ。
3.知的である
ソウルではあるけれど、決して感情が先走らない。
ロックのような武骨さや不器用さ(いい意味での)もない。
しかし、確かに感情は伝わってくる。
押し付けられるのではなく、こちらが感じたいと自然に思う。
音の響きに、何かこう、知的なものを感じますが、それは、
音に対して繊細で、音の出し方、スタジオワークという意味、
そこにこだわりがあるのではないかと想像します。
そもそも外見からして理知的な感じは受ける人ですが。
4.ものすごくとっつきやすい曲とそうではない曲がある
まあ、これは、突き詰めて考えるとヒット曲がある人はみなそうですが、
彼の場合は印象が強い曲の強さが尋常ではない。
この中ではUNDERSTANDINGに収録のWoman's Gotta Have It、
これが僕はいちばん好き、強く印象に残ります。
ジェイムス・テイラーやネヴィル・ブラザースのカヴァーでも
やっぱりこの曲は「おおっ」と思わせるものがありました。
ベースが印象的な音を出す曲というのは僕は大好きです。
もう1曲、Looking For A Love Againは、どうしちゃったのというくらいに
浮かれたポップソングで、こういうのもできるんだと感心。
これ、「知的である」ことの換言ともいえますが、音楽に限らず芸術とは、
ほんとうに素晴らしいものは、決して難解ではなく、
むしろ驚くほどシンプルで親しみやすいものだと僕は思い、
それがよく分かるのがボビー・ウーマックという人でもあります。
ただ、やはり聴いてゆくとみな素晴らしい曲ではありますが。
5.ソウル音楽としてはかなり時代の先を行っている
そのような音だから、ソウル音楽としては先進的に感じますが、
「ニューソウル」と言われたダニー・ハサウェイとも通じる部分がありますね。
この10枚の後半はディスコに時代にかかってきていて、
一聴するとディスコといった響きの曲も出てくるのですが、
彼の場合はディスコが売れるから取り入れたというよりは、
自分が持っていたリズム感が時代の波に乗ってディスコになった、
だから自分は自分としてやる、といったニュアンスであり、
芯がしっかりとしたものを感じます。
そして、ボビー・ウーマックの後に似たような音楽があまり出ていない、
ということにも先進性を感じますね。
唯一無二、という感覚が強い音楽です。
6.有名な曲のカヴァーが好きで上手い
表向きの音楽の分かりやすい特徴はこれでしょうね。
カヴァー曲はその人の趣向が垣間見えて興味深いですが、
この人の特徴は、有名な曲やヒット曲のカヴァーが多いこと。
「臆面もなくそれをやるか」という曲もあるのですが、しかしそれが
見事に自分の色が出ていて素晴らしいものばかり。
有名は曲であればあるほど、同じにすればコピーでつまらないし、
かといって大きく変えすぎると拒否反応が起こりやすいものですが、
ボビー・ウーマックのカヴァーはどれも納得させられます。
或いはオリジナル以上に曲に潜んだ内面をうまく表していて、
フィギュアスケートの「曲の解釈」点では最高を得られるでしょう(笑)。
試しに、この10枚でどれだけ有名な曲のカヴァーがあるかを
アルバムタイトル紹介を兼ねて順に書き出してみます。
→の後がオリジナルもしくはその曲の有名なアーティストです。
なお、ここでは僕がそらで思い出せるものだけを取り上げますが、
もちろん、僕が知らないカヴァー曲もあると思います。
FLY ME TO THE MOON
・Fly Me To The Moon (In Other Words) → フランク・シナトラ
・California Dreamin' → ママス&パパス
MY PRESCRIPTION
・I Left My Heart In San Francisco → スタンダード
・Don't Look Back → テンプテーションズ
・Fly Me To The Moon (In Other Words)
COMMUNICATION
・Fire And Rain
・Close To You → カーペンターズ
UNDERSTANDING
・And I Love Her → ザ・ビートルズ
・Sweet Caroline → ニール・ダイアモンド
FACTS OF LIFE
・(You Make Me Feel Like A) Natural Man → キャロル・キング
・All Along The Watchtower → ボブ・ディラン
LOOKING FOR A LOVE AGAIN
I DON'T KNOW WHAT THE WORLD IS COMING TO
・It's All Over Now → ボビー・ウーマック(リメイク)
SAFETY ZONE
・I Wish It Would Rain → テンプテーションズ
BOBBY WOMACK GOES COUNTRY & WESTERN
なんといってもここはビートルズですよね(笑)。
And I Love Her、オリジナルよりテンポを落としほの暗くしていて、
この曲の裏に潜む不安をあぶりだしていて、共鳴しやすい。
これに比べるとポール・マッカートニーはいささか陽気すぎる。
まあ、その陽気さはポールならではの強がりなのですが。
それにしてもこれはビートルズのカヴァーとしても出色のできで、
この曲はポールが昨年のコンサートでも演奏してくれたこともあり、
余計に気持ちが入ってゆきました。
ところでAnd...は、ポールもUNPLUGGEDで再録音していますが、
それはテンポを落としたほの暗いアレンジになっていて、
もしかして、ボビー・ウーマックのこれを参考にしたのかもしれない
と今更ながらにして思いました、一応、付記として。
Fly Me To The Moon、僕はクリント・イーストウッド監督主演映画
『スペース・カウボーイ』で知りましたが、当時話題になりましたよね。
この曲はついつい口ずさんでしまう歌メロが印象的ですが、
ボビー・ウーマックはR&B的に捉えて聴かせています。
ところでこの曲、2枚続けて同じテイクが収録されているのですが、
ライナーノーツを見てもそれがなぜかは分かりませんでした。
California Dreamin'、これはひとりで切々と訴えかけるような響きで、
カリフォルニアが余計に遠く感じられます。
Don't Look Back、I Wish It Would Rainとテンプスが2曲は嬉しい。
後者はロッド・スチュワートのカヴァーもよかった。
Close To Youはメドレーの中の1曲ですが、
メロディの良さをそのまま生かしています。
Sweet Carolineはアメリカのケネディ駐日大使が着任する際に、
ニール・ダイアモンドが彼女に捧げた曲として話題になりましたが、
この曲は逆に軽くなっています。
It's All Over Now、これはロック人間にはローリング・ストーンズや
ロッド・スチュワートで有名ですが、すいません、実は、最初にこれを
聴いて、この曲だとは分からなかった・・・それくらい違います。
もしかして同じタイトルで別の曲を作ったのではないかと思いました。
まあ、この辺はキャリアを積んで余裕が出てきたのでしょうね。
ちなみにこの曲にはビル・ウィザースが客演しています。
とまあ、カヴァー曲が面白いしとっつきやすい。
有名な曲のカヴァーをするというのは、僕は大いに共鳴します。
というのも、僕の聴き方は、玄人受けするものを聴くのではなく、
ヒット曲を自分なりに解釈して自分のものにしてしまおうという
姿勢であって、それはボビー・ウーマックのカヴァーと同じだからです。
03

さて、熱心に楽しく聴いているのですが、ひとつだけ
僕としては「困った」ことがあります。
それが写真03、CDですが、何かお気づきになりませんか?
CDの「背」の部分、ふたが本体についている方の側面のことですが、
そこに書いてあるのが日本語なのです。
本題の前に、CDって普通はこの側を手前に起きますよね。
少なくとも僕がよく行く店の棚は新品中古すべてそうなっています。
僕は輸入盤を買うことが多いですが、国内盤でも、ワーナー系と
東芝EMIは、かつては「背」が日本語で反対側が英語になっていて、
並べると違和感があり困っていました。
よく見る棚の場合は、反対になるけど英語の側を手前に置いたりも。
ただ、どちらも5年くらい前からかな、「背」の側も
英語表記になったので困らなくなったのですが。
おそらく、経費節約で向こうのデザインをそのまま使うようになり、
CD番号の部分だけ変えるようにしたというのが僕の読みですが、
でも、日本独自の企画ものでもそうなりました。
もうひとつ、こういう部分で日本人は英語になじむようになったことも
あるのかもしれない。
ところが、時代に逆行するかのように、ボビー・ウーマックの
このシリーズは「背」が日本語でした。
それだけではありません。
04

なんと、反対側も日本語、つまり側面には英語の表記がないのです。
困った困った、これじゃどちらも立てられない、なんてことしてくれる・・・
なぜだろう、大いに疑問だし、これだけが小さな不満です。
余談ですが、「背」が英語であっても、国内盤は、CD番号の入れ方が
海外盤に比べると無粋でつまらないとも感じていました。
リンクは抜粋して2枚。
このシリーズ最初のFLY ME TO THE MOONと
名曲Woman's Gotta Have Itと秀逸なカヴァーAnd I Love Herが入った
UNDERSTANDINGのものを。
ボビー・ウーマックは、一昨年の大晦日のその年のアルバム記事(こちら)で
BRAVEST MAN IN THE UNIVERSEを1位にしました。
USMの担当者は、情報収集の一環としてそれを見たのではないかな。
これは僕のBLOGだからという意味ではなく、世間での受け止められ方を
探るという意味で言っていますが、でもその中に1位にした人がいる
と驚いてうれしかったかもしれない。
それならボビー・ウーマックが受け入れられる余地がまだありそうだとなり、
今回のリマスター盤につながった、というのは考え過ぎでしょうけど、
僕としては思いが通じたようで大変うれしいです。
でも、ボビー・ウーマック、今はどうなのだろう。
これを書くのにアメリカのWikipediaを見ましたが、ほとんどのアルバムは、
そのページはあっても内容がまだ書き足されておらず、リンクがない
ものもあって、情報集積がまだ進んでいないように思いました。
つまり、評価が固まっていないということ。
もちろん評価とは関係なく好きなものを聴けばいいのですが、でも
ボビー・ウーマックほどの大物がそれというのは、なにかこう
寂しいというか、物足りないものを感じました。
ともあれ、ボビー・ウーマック、いいですよ!
この後も少しずつ買い揃えたいと思います。
最後は今朝の犬たち。
05

写真を撮るのに呼びかけると、ポーラが後ろから出てきて、
マーサを隠してしまいましたとさ(笑)。

ボビー・ウーマック Bobby Womack
今僕が凝っていて熱心に聴いている人。
原音により忠実に書くと「ウォマック」だそうですが。
きっかけは、1月に、USMジャパンより、1968年のデビュー作から
70年代の創作意欲に満ち充実した頃のアルバム10枚が一気に
リマスター盤で発売されてそれをまとめて買ったこと。
すべてを一気には聴けないので、3枚ずつ順番に入れ替えて
1週間くらいで取り替えながら聴き続けています。
1枚はライヴだからそれを抜くとちょうど3枚が3組。
これがですね、ほんとうに素晴らしい。
ボビー・ウーマックは高校時代から名前と他の人がカヴァーした
幾つかの曲を知っていて、90年代に出た新譜を1枚だけ買い、
名盤といわれるPOETの1と2を聴き、ベスト盤も買いましたが、
そこから聴き広げることはなかった。
しかし一昨年のTHE BRAVEST MAN IN THE UNIVERSE(記事こちら)
が素晴らしく、その年のアルバム1位に選んだほど気に入り、
さていよいよ70年代の作品もと思いました。
しかし、2in1で出ていたり中抜けになったりと、すべてを集めることは
難しそうで、保留としていました。
そこへこのリマスターの情報、すぐに10枚まとめて予約しました。
まだすべてをよく聴き込んでいないので、ここはひとつ、
「ボビー・ウーマックはこんな人」という、これまで僕が聴いた中で
全体的に感じたことをさらりとまとめて書いてみました。
02 今朝のA公園、非イメージ映像・・・

1.ジェイムス・ブラウンに声が似ている
以前からなんとなくそうは思っていましたが、今回あらためて聴くと、
声や歌い方がJBに似ていますね、特に「ヘーイッ」と叫ぶところ。
音楽はJBほどファンクではないんだけど、でもこの「ヘーイッ」が来ると、
切れが鋭く、カッコいい、こっちも気持ちが盛り上がりますね。
ただ、この10枚の後半になると声がだいぶ荒くなっていて、
ボビー・ウーマックらしい迫力がある声になっています。
2.時々サム・クックが叙情的に顔を出す
声はJBですが、特にミドルテンポからスロウな曲で
サム・クックが顔を出してきます。
これは当たり前で、サム・クックについて作曲などをしていたのが
キャリアの始まりだから、自分の中でも後継者という面があるのでしょう。
サム・クックがもしあの時殺されなかったら、ソウル音楽はいったい
どうなっていただろう、とはよく言われますが、そのことが
想像の域を超えて実際の音となって表されている感じもします。
サム・クック大好き人間としては、それもうれしいところ。
3.知的である
ソウルではあるけれど、決して感情が先走らない。
ロックのような武骨さや不器用さ(いい意味での)もない。
しかし、確かに感情は伝わってくる。
押し付けられるのではなく、こちらが感じたいと自然に思う。
音の響きに、何かこう、知的なものを感じますが、それは、
音に対して繊細で、音の出し方、スタジオワークという意味、
そこにこだわりがあるのではないかと想像します。
そもそも外見からして理知的な感じは受ける人ですが。
4.ものすごくとっつきやすい曲とそうではない曲がある
まあ、これは、突き詰めて考えるとヒット曲がある人はみなそうですが、
彼の場合は印象が強い曲の強さが尋常ではない。
この中ではUNDERSTANDINGに収録のWoman's Gotta Have It、
これが僕はいちばん好き、強く印象に残ります。
ジェイムス・テイラーやネヴィル・ブラザースのカヴァーでも
やっぱりこの曲は「おおっ」と思わせるものがありました。
ベースが印象的な音を出す曲というのは僕は大好きです。
もう1曲、Looking For A Love Againは、どうしちゃったのというくらいに
浮かれたポップソングで、こういうのもできるんだと感心。
これ、「知的である」ことの換言ともいえますが、音楽に限らず芸術とは、
ほんとうに素晴らしいものは、決して難解ではなく、
むしろ驚くほどシンプルで親しみやすいものだと僕は思い、
それがよく分かるのがボビー・ウーマックという人でもあります。
ただ、やはり聴いてゆくとみな素晴らしい曲ではありますが。
5.ソウル音楽としてはかなり時代の先を行っている
そのような音だから、ソウル音楽としては先進的に感じますが、
「ニューソウル」と言われたダニー・ハサウェイとも通じる部分がありますね。
この10枚の後半はディスコに時代にかかってきていて、
一聴するとディスコといった響きの曲も出てくるのですが、
彼の場合はディスコが売れるから取り入れたというよりは、
自分が持っていたリズム感が時代の波に乗ってディスコになった、
だから自分は自分としてやる、といったニュアンスであり、
芯がしっかりとしたものを感じます。
そして、ボビー・ウーマックの後に似たような音楽があまり出ていない、
ということにも先進性を感じますね。
唯一無二、という感覚が強い音楽です。
6.有名な曲のカヴァーが好きで上手い
表向きの音楽の分かりやすい特徴はこれでしょうね。
カヴァー曲はその人の趣向が垣間見えて興味深いですが、
この人の特徴は、有名な曲やヒット曲のカヴァーが多いこと。
「臆面もなくそれをやるか」という曲もあるのですが、しかしそれが
見事に自分の色が出ていて素晴らしいものばかり。
有名は曲であればあるほど、同じにすればコピーでつまらないし、
かといって大きく変えすぎると拒否反応が起こりやすいものですが、
ボビー・ウーマックのカヴァーはどれも納得させられます。
或いはオリジナル以上に曲に潜んだ内面をうまく表していて、
フィギュアスケートの「曲の解釈」点では最高を得られるでしょう(笑)。
試しに、この10枚でどれだけ有名な曲のカヴァーがあるかを
アルバムタイトル紹介を兼ねて順に書き出してみます。
→の後がオリジナルもしくはその曲の有名なアーティストです。
なお、ここでは僕がそらで思い出せるものだけを取り上げますが、
もちろん、僕が知らないカヴァー曲もあると思います。
FLY ME TO THE MOON
・Fly Me To The Moon (In Other Words) → フランク・シナトラ
・California Dreamin' → ママス&パパス
MY PRESCRIPTION
・I Left My Heart In San Francisco → スタンダード
・Don't Look Back → テンプテーションズ
・Fly Me To The Moon (In Other Words)
COMMUNICATION
・Fire And Rain
・Close To You → カーペンターズ
UNDERSTANDING
・And I Love Her → ザ・ビートルズ
・Sweet Caroline → ニール・ダイアモンド
FACTS OF LIFE
・(You Make Me Feel Like A) Natural Man → キャロル・キング
・All Along The Watchtower → ボブ・ディラン
LOOKING FOR A LOVE AGAIN
I DON'T KNOW WHAT THE WORLD IS COMING TO
・It's All Over Now → ボビー・ウーマック(リメイク)
SAFETY ZONE
・I Wish It Would Rain → テンプテーションズ
BOBBY WOMACK GOES COUNTRY & WESTERN
なんといってもここはビートルズですよね(笑)。
And I Love Her、オリジナルよりテンポを落としほの暗くしていて、
この曲の裏に潜む不安をあぶりだしていて、共鳴しやすい。
これに比べるとポール・マッカートニーはいささか陽気すぎる。
まあ、その陽気さはポールならではの強がりなのですが。
それにしてもこれはビートルズのカヴァーとしても出色のできで、
この曲はポールが昨年のコンサートでも演奏してくれたこともあり、
余計に気持ちが入ってゆきました。
ところでAnd...は、ポールもUNPLUGGEDで再録音していますが、
それはテンポを落としたほの暗いアレンジになっていて、
もしかして、ボビー・ウーマックのこれを参考にしたのかもしれない
と今更ながらにして思いました、一応、付記として。
Fly Me To The Moon、僕はクリント・イーストウッド監督主演映画
『スペース・カウボーイ』で知りましたが、当時話題になりましたよね。
この曲はついつい口ずさんでしまう歌メロが印象的ですが、
ボビー・ウーマックはR&B的に捉えて聴かせています。
ところでこの曲、2枚続けて同じテイクが収録されているのですが、
ライナーノーツを見てもそれがなぜかは分かりませんでした。
California Dreamin'、これはひとりで切々と訴えかけるような響きで、
カリフォルニアが余計に遠く感じられます。
Don't Look Back、I Wish It Would Rainとテンプスが2曲は嬉しい。
後者はロッド・スチュワートのカヴァーもよかった。
Close To Youはメドレーの中の1曲ですが、
メロディの良さをそのまま生かしています。
Sweet Carolineはアメリカのケネディ駐日大使が着任する際に、
ニール・ダイアモンドが彼女に捧げた曲として話題になりましたが、
この曲は逆に軽くなっています。
It's All Over Now、これはロック人間にはローリング・ストーンズや
ロッド・スチュワートで有名ですが、すいません、実は、最初にこれを
聴いて、この曲だとは分からなかった・・・それくらい違います。
もしかして同じタイトルで別の曲を作ったのではないかと思いました。
まあ、この辺はキャリアを積んで余裕が出てきたのでしょうね。
ちなみにこの曲にはビル・ウィザースが客演しています。
とまあ、カヴァー曲が面白いしとっつきやすい。
有名な曲のカヴァーをするというのは、僕は大いに共鳴します。
というのも、僕の聴き方は、玄人受けするものを聴くのではなく、
ヒット曲を自分なりに解釈して自分のものにしてしまおうという
姿勢であって、それはボビー・ウーマックのカヴァーと同じだからです。
03

さて、熱心に楽しく聴いているのですが、ひとつだけ
僕としては「困った」ことがあります。
それが写真03、CDですが、何かお気づきになりませんか?
CDの「背」の部分、ふたが本体についている方の側面のことですが、
そこに書いてあるのが日本語なのです。
本題の前に、CDって普通はこの側を手前に起きますよね。
少なくとも僕がよく行く店の棚は新品中古すべてそうなっています。
僕は輸入盤を買うことが多いですが、国内盤でも、ワーナー系と
東芝EMIは、かつては「背」が日本語で反対側が英語になっていて、
並べると違和感があり困っていました。
よく見る棚の場合は、反対になるけど英語の側を手前に置いたりも。
ただ、どちらも5年くらい前からかな、「背」の側も
英語表記になったので困らなくなったのですが。
おそらく、経費節約で向こうのデザインをそのまま使うようになり、
CD番号の部分だけ変えるようにしたというのが僕の読みですが、
でも、日本独自の企画ものでもそうなりました。
もうひとつ、こういう部分で日本人は英語になじむようになったことも
あるのかもしれない。
ところが、時代に逆行するかのように、ボビー・ウーマックの
このシリーズは「背」が日本語でした。
それだけではありません。
04

なんと、反対側も日本語、つまり側面には英語の表記がないのです。
困った困った、これじゃどちらも立てられない、なんてことしてくれる・・・
なぜだろう、大いに疑問だし、これだけが小さな不満です。
余談ですが、「背」が英語であっても、国内盤は、CD番号の入れ方が
海外盤に比べると無粋でつまらないとも感じていました。
リンクは抜粋して2枚。
このシリーズ最初のFLY ME TO THE MOONと
名曲Woman's Gotta Have Itと秀逸なカヴァーAnd I Love Herが入った
UNDERSTANDINGのものを。
ボビー・ウーマックは、一昨年の大晦日のその年のアルバム記事(こちら)で
BRAVEST MAN IN THE UNIVERSEを1位にしました。
USMの担当者は、情報収集の一環としてそれを見たのではないかな。
これは僕のBLOGだからという意味ではなく、世間での受け止められ方を
探るという意味で言っていますが、でもその中に1位にした人がいる
と驚いてうれしかったかもしれない。
それならボビー・ウーマックが受け入れられる余地がまだありそうだとなり、
今回のリマスター盤につながった、というのは考え過ぎでしょうけど、
僕としては思いが通じたようで大変うれしいです。
でも、ボビー・ウーマック、今はどうなのだろう。
これを書くのにアメリカのWikipediaを見ましたが、ほとんどのアルバムは、
そのページはあっても内容がまだ書き足されておらず、リンクがない
ものもあって、情報集積がまだ進んでいないように思いました。
つまり、評価が固まっていないということ。
もちろん評価とは関係なく好きなものを聴けばいいのですが、でも
ボビー・ウーマックほどの大物がそれというのは、なにかこう
寂しいというか、物足りないものを感じました。
ともあれ、ボビー・ウーマック、いいですよ!
この後も少しずつ買い揃えたいと思います。
最後は今朝の犬たち。
05

写真を撮るのに呼びかけると、ポーラが後ろから出てきて、
マーサを隠してしまいましたとさ(笑)。