ナチュログ管理画面 エコロジーライフ エコロジーライフ 北海道・東北 アウトドア&フィッシングナチュラムアウトドア用品お買い得情報
ブログ作成はコチラ
あなたもナチュログでアウトドア生活を綴ってみませんか?
プロフィール
guitarbird
guitarbird
ゴジュウカラは、木の幹を下向きに歩ける唯一の鳥。 
ゴジュウカラを見習うと、違った視点が得られるかも・・・
僕が最も好きな鳥です。
これは北海道の亜種シロハラゴジュウカラ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 23人
Information
アウトドア用品の
ご購入なら!

QRコード
QRCODE


日本に生まれてよかった


鳥の名前と季節を追って


手軽な歳時記、改訂版


丸谷才一エッセイ傑作選


シェイクスピアに親しもう


4人は何を言ったのか


身の周りにある「遺産」


植物のすごさよ



友人著、「見る」とは・・・



写真による野鳥図鑑



これは使える!



野鳥の本のリンク



俳句の本のリンク



草思社の応援リンク



ちくま文庫のリンク


2015年03月05日

サム・クック

01
サム・クック

僕はサム・クック Sam Cookeが大好き。

大好きという言葉は、でも何か違う。
尊敬している、というのが近いのだと思うけど、でもその言葉は
音楽活動をしていない人間がむやみに使っていいのかと
自問自答することもあります。

なんといえばいいんだろう。

今回、サム・クックの記事を上げようと思ったのは、
「レコードコレクターズ」3月号でサム・クックの特集をしているから。
CDであればCD店にあまり行かない人がサム・クックに触れるのは
あまりないかもしれないけど、雑誌の最新号であれば平積みか
目見せになっていて、普段は意識がない人でも書店で音楽雑誌の
棚の前を通ると、ふと、目につくかもしれず、ひとりでも多くのかたに
サム・クックに触れていただければと思ってのことでした。


02
サム・クック

中学時代にビートルズから音楽を真剣に聴き始めた僕が
サム・クックを初めて聴いたのは大学に入ってからのCDの時代。
最初に買ったCDが写真02左下のベスト盤。
SAM COOKE THE MAN AND HIS MUSIC
ソロデビュー前のゴスペルグループ「ソウル・スターラーズ」時代から、
ソウル史に残る名曲A Change Is Gonna Comeまで全28曲、
選曲、編集ともに素晴らしく、入り口には最適でした。

でも正直、それを聴いて僕は、肩透かしをくらったように感じました。

ソウルは当時はほとんど聴いておらず、あくまでもイメージだけ、
すごく熱くて力任せに歌うか、ファルセットで歌うが、いずれにせよ
気持ちを前面に出す音楽というイメージを持っていたのですが、
サム・クックはそうではありませんでした。
理路整然というか端正な歌い方、クールで熱くない、
むしろ気持ちは抑えようとしている、そんな感じに響いてきました。

だからサム・クックは、例えばオーティス・レディングや
ジャンルは違うけどジャニス・ジョプリンのように、
聴くともうただ圧倒される凄い人というのではなく、
聴いていて納得させられるタイプの歌手だと思い、だから
一発勝負では少し当たりが弱いのかもしれません。

僕が3枚目に買ったサム・クックのCDが02の下右のライヴ盤
SAM COOKE AT THE COPAでした(写真は近年の新盤)。
このライヴは定評があって楽しみにしていたのですが、
これを聴いてさらにがっかりしました。
ベスト盤よりももっともっとこちらはソウルではなかった。
ビッグバンドを従え、フランク・シナトラやトニー・ベネットのように
着飾ってスタンダードを歌う、そういう音楽でした。
まあ、あのポール・マッカートニーですらそのようなことをするようになった
今は逆にとってもいいと思うけど(笑)、二十歳の若者には早すぎた。
選曲も「天使のハンマー」「風に吹かれて」といったフォークソングも
あって、スウィングはしていてもソウルじゃないなあ、と。

サム・クックは白人にも売れるために敢えて黒人らしさを抑えていた、
というのはよく言われることです。
でも、サム・クックのその姿勢を否定する人はほとんどいません。
歌手である以上、より多くの人に気持ちを伝えた上で生きてゆきたい、
という思いがそうさせたのであり、妥協というのとは少し違う。
なにより1960年代当時は公民権運動の関係もあって、サムは
黒人としての主張よりも人間として受け入れられることを選んだ。
この辺のことは日本人には想像しにくい事情でしょう。

サム・クックがそうした路線で進み始めたのは、
ナット・キング・コールのことが頭にあったのかなと思います。
あのマーヴィン・ゲイも60年代にコールのカバーアルバムを出したりと、
当時の音楽業界における黒人音楽のひとつのカタだったのでしょう。

でも、ナット・キング・コールがソウルと言われることはないけれど、
サム・クックは「ソウルを作り出した人」と言われるように、
サムの音楽はソウルなのです。
それは、抑えているのに気持ちが、魂が伝わってくるから。
もちろん、ソウルだから熱いというのは短絡的に過ぎる、
という部分はあるにしても、やっぱりそこがサム・クックの魅力だと。

「ソウルを作り出した人」というのは、03右のボックスセットの
タイトルにもなっているように、サムの重要なキーワードです。

03
サム・クック

しかし、サム・クックが熱く歌うことができなかったわけではないのは、
ライヴとソウル・スターラーズを聴けば分かります。

03左は、サム・クックがソロデビューする前に属していた
ゴスペル・グループのソウル・スターラーズの全曲集CDボックス。

ソウル・スターラーズは訪れる教会に主に女性ファンが押しかけて
サムが歌うと女性が失神して倒れるという事態が相次いだというほどに
絶大な人気を博し、全米で話題になっていました。
件のCDの写真はまだティーンエイジャーの頃ですが、
歌声のみならずサムの容姿もそうさせたのでしょうね。
実際にこのCDを聴くとサムは熱く歌っているし、ライヴ音源では
観客の熱狂ぶりが尋常ではないことが聞いて分かります。
その人気がソロデビューにつながっていったわけですが、
サム・クックは実はデビュー前に「熱いソウルとはなんぞや」、
若くしてそこにたどり着いていたのではないかと思います。
でも、サム・クックはあまりの熱狂ぶりを見て、ほんとうに音楽を
聴いてもらえているのか、歌で感動しているのか、
という疑問を抱くようになったのではないか。
感情を露わにすれば上手い下手あまり関係なく人の心は動くもの
であるのは、音楽に限らず誰しも身近な経験があるのではないかと。
サム・クックは、スターラーズでの活動を通して、逆に
静かに歌いたいという思いが募ったのかもしれません。

だから、売れるために白人の音楽を身にまとったというのは、
仕方ないことであるようで実は、渡りに船だったのではないか。
クールにスマートに歌いつつどれだけしっかりと伝えられるか、
そこに自分の可能性を見出し、信じて進んで行ったのではないか。
しかもそれはレコード会社から反感を買うこともなく、レコード会社に
やらされているようでいて実は自由にできるという逆転の発想だった。
適応力や対応力が優れていて、しかし芯はしっかりしていてぶれず、
賢さがあって、そこが成功に結びついた部分だと考えています。

もうひとつ、レコードで聴くとよく聴こえる音楽を目指していた
という部分も少なからずあるのではないかと思います。
それは音質としても、音楽としても。
ライヴとレコードは別物というのは、自分こそがとんでもないライヴを
やって来ていただけによく分かっていたのでしょう。

そんなサムが目指した、抑えた中に感情を込めたレコードで聴く音楽、
それは1963年のNIGHT BEATに結実します。
ここでは普通のR&Bスタイルのミニマルなバンド形態で、
本物のソウル、本物のR&Bをたっぷりと聴かせてくれます。
録音にはビリー・プレストンも参加していました。

04
サム・クック

もうひとつのサムの熱さ、ライヴの話。

「コパ」はソウルじゃないと若い頃は感じたのですが、一方で、
SAM COOKE LIVE AT THE HARLEM SQUARE CLUB
では黒人の客を相手にほんとうに熱い歌を聴かせてくれます。
これは生前にはリリースされなかったのですがそれは、
スタジオ録音のものとはあまりにも雰囲気が違って、
レコード会社が許可を出さなかったのではないかと。

僕がこの世の中でいちばん好きなライヴ盤がこれなんです。
サム・クックでは2番目に買ったCDで、初CD化3008円の国内盤。

僕がサム・クックの名前を知ったのは、中学時代に聴いた
ジョン・レノンのアルバムROCK N ROLLでジョンが
Bring It On Home To Meを歌っていたことでしたが、これは
その後、僕が高校時代に発掘音源の新譜としてリリースされ、
「FMファン」の表紙になり、サム・クックという人に興味を持ち、
タワーレコードでLPを手に取ったけど当時は流行もののLPに
流されて買わなかったものでした。
今はLPを買っておけばよかったと、後悔しても仕方ないけど。
CDで初めて聴くと、思っていた以上に凄くて素晴らしくて、
自分の本能が間違っていなかったと思いました。

先ほどサム・クックは凄い人じゃないと書いたけど、
このライヴ盤は例外、ほんとうに凄い。
もっと語りたいけどそれはいつか記事で触れることとして、
ここではそのことだけを書き記しておきます。

このアルバムは実はうちに5枚あるんです。
写真04で既に3枚ありますが、他に2枚。
04で1枚だけジャケットが違うのが最初に出たCD。
あとの2枚はリイシューで出たものですが、当初輸入盤は
マスターテープに起因する音飛びを起こしていました。
しかもあろうことかそれがTwistin' The Night Awayで。
一度Amazonで理由を書いて返品交換をしてもらったのですが、
再び送られてきたものもやはり音飛びをしていて、これはまた
Amazonにいってもらちが明かないと思い、音飛びをしたものを
そのまま今でも持っています。
その後に国内盤SHM-CDで買い直したところ音飛びしていなくて、
国内盤は元からそうだったのか、手直ししたのか分からないですが、
今流通しているものは音飛びしていないと思います。

あと2枚のうち1枚は先述のボックスセット
THE MAN WHO INVENTED SOULの中で、当時は廃盤状態だった
このライヴ盤がまるごと再現されているもので、それはもちろんというか
音飛びはしていません。

そしてもう1枚が次。

05
サム・クック

THE RCA ALBUMS COLLECTION

昨年、当初はSONYの通販のみで販売された、
初CD化アルバムを含む8枚組の紙ジャケットボックスセットで、
この中にもハーレム・クスエアのライヴ盤が入っています。

このボックスセットはサム・クックを愛する者としては見逃せなくて、
アカウントを持っている弟に頼んでSONYで買ってもらいましたが、
今月、それらがブルースペックCDとして分売されます。
そうと分かっていれば買わなかったかな、とはしかし思っておらず、
サム・クックのファンを自称するものとしてはボックスセットは
ぜひとも買っておかなければならないと、だからよかった。

「レコードコレクターズ」2012年3月号がサム・クックの特集であるのは
それらの初CD化のCDがリリースされるからでしょうね。
いまだに初CD化のアイテムがあるというのも驚きですが、
でもうれしいですね。

さてそろそろまとめます。

06
サム・クック

僕が持っているサム・クックのCDを集めた1枚。
「レコードクレクターズ」を見ると、CD化されていて持っていない曲が
まだあるようなので、探して買わないと。

僕はしかし、ソウルという感じではないとは思いながらも、
最初に買ったベスト盤はとても気に入り、買ってすぐの頃は
ほんとに毎日聴いていました。
なぜか。

サム・クックのもうひとつ魅力、それは作曲能力でしょう。
とにかく素晴らしくて楽しくて口ずさむのにいい曲が多い人です。

僕は歌メロ優先主義だから、音楽の形状にはひとまず関係なく
ただ歌として曲がよければそれでいいと思う部分がある人間であって、
自分が思っていたソウルであるかどうかは関係ありませんでした。

サム・クックはほんとうにいい歌をたくさん作った人で、共作もあるけど
オリジナル曲は基本的には自ら作って歌うシンガーソングライターです。
だからある意味シンガーソングライターの道を開いた人でもあります。
サムは歌手としてあまりにも偉大で評価が高いけど、ともすれば
作曲家としての才能の話は後ろに置いておかれているような気もします。
ソウルは作曲者と歌手の分業がむしろ普通のスタイルですが、
その中にあってシンガーソングライターであるサム・クックは
孤高の輝きを放つ存在であるのも肯けます。

そして、サム・クックが歌手としても素晴らしいというのは、とりもなおさず、
作曲能力に長けていることにもつながっていくと思います。

サム・クックの歌を聴いた人が口ずさむとなると余計に、
サムの歌のうまさ、表現力の豊かさが身を持って分かることになりますね。
鼻歌は基本的には同じように歌うものだから、そうなるとサムは、
普通に歌っているようでいてなんて気持ちがこもっているんだろうと
自分で歌うことでそういう認識になる、少なくとも僕はそうです。
あんな歌い方できないですよ(笑)。
もちろん大前提としてサム・クックは声が素晴らしいのですが、言葉の
ひだが多いというか、音と音の間に感情が言葉として横たわっていて、
普通の人はそれを伝えられないのをサムは伝えることができる、
そんな感じの歌い方をする人だと思います。

あ、サム・クックの声が素晴らしいことを今初めてここで書いたけど、
それは強調しておかなければいけないのでもう一度書きます(笑)。
少し陰りがあって粘ついているけど張が強くてしっかりとした声。
高音も低音もほんとに無理なく素晴らしく歌いこなします。

サム・クックは凄い人ではないと書いたけど、それは
普通のことをどれだけ突き詰められる人であるか、だと思います。
誰にでもできるけど、誰もがそこまでできるわけではない。
ここでまたそういう結論になるのかと笑われるのを承知で書くと、この、
誰もがするけど突き詰めるのは難しいというのはビートルズと同じですね。
作曲能力が高いこと、後世への影響力の大きさも。

そう考えると、僕がどうして好きかはまったくもって自明になりました(笑)。

サム・クックは1964年12月11日にモーテルで射殺されました。
女性関係のもつれという見方が強いですが、一説によれば、
黒人歌手として発言力が増してきたのを恐れた何者かによって
殺されたのではないか、という話も聞いたことがあります。
信憑性は定かではないですが。

東京にいた頃に、マーヴィン・ゲイが大好きな友だちHと
サム・クックについて話していた時のHの言葉が印象的でした。
「サム・クックがもっと生きていればどういう音楽を作ったのだろう?」
Hの発言の根底は僕とほぼ同じで、いわゆるソウルとして聴くと
すっきりとしすぎていて物足りなというものでした。
それは僕も暫くは分からなかったのですが、その後もずっと
サム・クックを聴き続けて分かりました。

サム・クックはソウルを完成させたわけではなく、後に続く者たちに
道をつけて可能性を広げたことの功績が大きいのではないかなと。

サム・クックが音楽にもたらしたものは、イマジネーションなのです。

  

最後はAmazonのリンクを3つ。
左から、僕が最も好きなライヴ盤、本物のソウル、そしてベスト盤。

僕が特に好きな曲を列記しておきます。
You Send Me、Win Your Love For Me、
Chain Gang、Wonderful World、
Love Will Find A Way、Everybody Loves To Cha Cha Cha、
Another Saturday Night、Meet Me At Mary's Place、
Having A Party、Good Times、Cupid、
Twistin' The Night Away、Ain't That A Good News、
Bring It On Home To Me、Sooothe Me、そして
A Change Is Gonna Come

今回はサム・クックの人となりについて思うことを書きましたが、
それでも長くなったので、曲についてはまた近いうちに記事を上げて、
どんな曲か僕が思うところを書いてゆければと思います。

よかった、正直言うとこの記事を書き始めるにあたり、
サム・クックは確かに大好きだけどどこがどう好きなのか分からなくて、
うまく記事としてまとめられるか、不安があったのでした。

いつもより長い記事におつきあいいただきありがとうございました。

なお、明日が3月6日で「サム」だからサム・クックというのは、
記事を書いているうちに気づいたことです、念のため(笑)。

あ、でも、そうなると、9月9日は「クック」だから、
前日にでもまた記事を上げないといけないのかな・・・(笑)・・・


最後はアウトテイクの写真で。

07
サム・クック






同じカテゴリー(ソウル)の記事画像
レイ・チャールズがいい!
夏はジェームス・ブラウン!
「愛さずにはいられない」 レイ・チャールズ
BAD 25周年記念盤 マイケル・ジャクソン
アル・グリーンに凝っている
INNERVISIONS スティーヴィー・ワンダー
OFF THE WALL マイケル・ジャクソン
THRILLER 25周年記念盤 マイケル・ジャクソン
ボビー・ウーマックという人
同じカテゴリー(ソウル)の記事
 レイ・チャールズがいい! (2015-09-17 20:41)
 夏はジェームス・ブラウン! (2015-07-26 20:24)
 「愛さずにはいられない」 レイ・チャールズ (2014-10-12 20:54)
 BAD 25周年記念盤 マイケル・ジャクソン (2014-09-27 19:54)
 アル・グリーンに凝っている (2014-09-20 21:29)
 INNERVISIONS スティーヴィー・ワンダー (2014-08-09 13:29)
 OFF THE WALL マイケル・ジャクソン (2014-08-04 17:15)
 THRILLER 25周年記念盤 マイケル・ジャクソン (2014-02-27 23:29)
 ボビー・ウーマックという人 (2014-02-24 22:16)

Posted by guitarbird at 19:54 │ソウル

削除
サム・クック