2015年09月17日
レイ・チャールズがいい!
01

最近よく聴いているのがレイ・チャールズ。
先ず買ったのは、レイ・チャールズがAtlantic在籍時代の
1952年から1959年の間に録音し正式に発表した音源のすべてと、
幾つかの未発表曲が収められた7枚組のボックスセット。
8月に、Warner系の例の(チープな)紙ジャケット5枚組が
Amazonで安くなり、その中にレイ・チャールズのものもあって、
買おうかどうか考えつつネットで探したところ、この存在を知りました。
例の5枚組はまさにAtlantic時代のものだだから、
これを買えばすべてが聴けることになる。
ところが、届いてみると、微妙な問題が発生。
確かにその5枚組の音源はすべて入っているのですが、
アルバムごとに並んでいるわけではなく、編集されていて
ばらばらに収録されているのでした。
編集されたこと自体には異存ないのですが、でも、僕は、
アルバム単位で聴くことが好きであり、それが自然な形だから、
この場合は曲としてはすべて聴けても、アルバムとして聴くことには
ならないのが、どうにも困りました。
ただし、間違わないでいただきたいのは、
このボックスセット自体はこれはこれでとっても気に入りました。
02

PURE GENIUS - THE COMPLETE
ATLANTIC RECORDINGS (1952-1959)
Ray Charles
ピュア・ジーニアス:コンプリート・
アトランティック・レコーディングス(1952-1959)
レイ・チャールズ
これがそのボックスセット。
装丁がいい。
シンプルな網目状の黄色い箱に文字だけというアートワークは、
なぜかレイ・チャールズのイメージが湧いてきます。
ちなみに、ハウは家にいる時は首輪を外していますが、
ハウの首輪は黄色だから、このボックスセットはハウにも似合う(笑)。
音質がこれまた、1960年より前のものとは思えないほどよくて、
素晴らしい、さすがはリマスターのRHINOの仕事。
もちろん音楽も素晴らしい。
レイ・チャールズの音楽は、ソウルというには少し早いかな。
普通にR&Bといったほうが分かりやすい。
まあ、ジャンルなんて関係ないんだけど、「ソウル」というと、
僕のような後の時代の人間にとってはやはり、モータウンから
1970年代のディスコの前までをイメージしてしまう。
一方、レイ・チャールズのこの頃はまだまだ、
そこまでは洗練されてないと感じました。
聴いていてひとつちょっと驚いたことが。
未発表音源の中に、レイのヒット曲であり
ドクター・ジョンでも知られたMess Aroundが入っています。
これ、アトランティックの創始者でありソウル史上の最重要人物の
ひとりであるアーメット・アーティガンが作曲したものですが
これを歌っている人の声がドクター・ジョンにそっくりなのです。
一瞬、ドクター・ジョンが若い頃に録音していたのかと
本気で勘違いしてしまったくらい。
ブックレットには、リードヴォーカルがAhmet Ertegunと記されていて、
そういえば僕はアーメット・アーティガンの声を聞いたことがないんだ、
そこで漸く納得しました。
なお、ドクター・ジョンは1940年生まれ(ジョン・レノンと同い年)、
これが録音された時は16歳かそれくらい、まだ音楽活動を
始めていないか、始めたばかりの頃だったと思われます。
他、ロックサイドで知っている曲としては、
C.C.R.のカヴァーがいい(The Night Time Is) The Right Time、
ハニードリッパーズが演奏したI've Got A Woman、
エリック・クラプトンが歌ったHard Times、そして有名な
What'd I Sayなども入っています。
一方で、レイ・チャールズの代名詞ともいえる
I Can't Stop Loving YouとGeorgia On My Mindは
これより後の時代の録音であるため収録されていません。
まあそれはどうしようもないことだから、気にはならない。
この時期のレイ・チャールズは、ミルト・ジャクソンと組んだ
ジャズのアルバムを2枚出していましたが、僕はそのことは
まったく知らなくて、今回これを買って初めて知りました。
ミルト・ジャクソンは、一応書くと、ヴァイブラフォン奏者で、
主にMJQとして活躍して多数の名盤を残し、1960年代後半には
あのビートルズのアップルからもアルバムを出したという人。
ジャズが好きだった父がよくMJQやミルト・ジャクソンの話をしていて、
おまけにビートルズに関係があるので、僕も中学時代から
顔と名前は知っているジャズマンでした。
MJQはMilt Jackson Quartetだと思いきやさにあらず、
Modern Jazz Quartetのことだと、僕が中学時代に
父が得意げに言っていた思い出もあります。
ミルト・ジャクソンとの録音が入っているのは、偶然のようでいて、
僕はどちらかといえば運命論者だから(笑)、最近の僕に
ジャズの流れができた中の必然と受け止めました。
だから余計に、このボックスセットは満足感が高かったのでした。
レイ・チャールズは当時はピアニストとしても注目されていたようで、
ジャズのアルバムにおけるレイ・チャールズは、ほんとんど
ピアノに徹していて、歌がありません。
なお、ジャズ・ミュージシャンとしてのレイ・チャールズの
ピアノ演奏の力量は僕には分かりません。
もちろん、普通にとてもうまいな、とは思えるものですが
ところが、困ったことに、歌がないレイ・チャールズを聴いても、
なんだか楽しくないのです。
ジャズはよく分からないけれど、多分、何も意識しなければ、
ミルト・ジャクソンとの録音もかなりいいと思えるのでしょうけど、
レイ・チャールズがいるのに歌がないなんて・・・
そうか。
僕は、レイ・チャールズの声が好きだったんだ!
歌がないというだけでこんなにまでも気持ちが揺らぐなんて。
レイ・チャールズは、「100人の歌手」(記事はこちら)において
第2位ですが、1位は女性のアレサ・フランクリンだから、
男性では1番ということになりますね。
僕が考えるに、レイ・チャールズは声にアクや癖がなく、
それでいて個性的、だから万人に受け入れられるのでしょう。
多くの人が思い浮かべる上手い男性歌手の声、もしくは
多くの男性がこう歌いたいという声の持ち主、
それがレイ・チャールズはないかと。
もちろん女性が聴き惚れるのもありでしょうけど、とにかく、
安心して聴いていられる、ほっとする、そんな声。
マーヴィン・ゲイのような神経質そうなところもないし、
ジェームス・ブラウンのように声のアクが強いわけでもなく、
オーティス・レディングのように力任せには歌わずいつも冷静。
サム・クックはクセがある声だし、ボブ・ディランはだみ声。
エルヴィス・プレスリーとジョン・レノンはよく分からないけれど(笑)、
10人の中では、スティーヴィー・ワンダーが同じ傾向の声の人かな。
それでも時々妙に気持ちが入っていて、猫なで声を出したり、声が
引っくり返りかかったり、シャウトしたり、やっぱり聴かせる人ですね。
レイ・チャールズの声はとってもいい!
この年にして、すっかり夢中になってしまいました(笑)。
03

WHAT'D I SAY (1959)
というわけで、やっぱり買ってしまいました。
名曲中の名曲What'd I Sayが入ったオリジナルアルバムですが、
例の5枚組に入った1枚で、ということは音源としてはダブリだけど、
やっぱり僕は、名曲がどういう流れで最初に世に出たのか、
アルバムを聴くことで感じたいんです。
まあ、シングルで発表された曲もありますけどね(笑)。
このアルバムは、さすがジャズを本格的にやった人だなという感じ。
ジャズだって音楽としてはR&Bですが、ここでのレイ・チャールズは
自らもピアノを演奏するR&Bを通してジャズとソウルを結びつけている
そんな感じを受けます。
前述のように、ソウル、と言われるとまだ微妙に違うと感じるのですが、
ソウルの偉大な先駆者であることは誰も異論がないはず。
そのWhat'd I Sayといえば僕が先ず思い浮かべるのが、
映画「ブラック・レイン」のシーンですね。
マイケル・ダグラスに連れられてクラブに出向いた高倉健が、
レイ・チャールズばりのサングラスをかけられて、マイケルが好きな
この曲を一緒にカラオケで歌うのですが、高倉健は例の
「お~おおぅ」という部分が調子っ外れで面白かった。
この曲はまた、ビートルズがBBCで歌っていた
Some Other Guyに似てるなと、今回聴いて思いました。
その曲はリッチー・バレットの1962年の曲ということで、
こちらはレイのオリジナル、影響受けてますね、きっと。
いずれにせよ、初期のソウル、R&Bからソウルへの分岐点、
というべき音楽史に名を残す名曲中の名曲と実感しました。
04

MODERN SOUNDS
IN COUNTRY AND WESTERN MUSIC VOLUMES 1&2
(1962)
1枚では足りず、また買いました。
こうなったらあと2曲、Atlanticを出てから録音された
I Can't Stop Loving YouとGeorgia On My Mindが
最初に収めらたアルバムも聴きたいと思って。
先ずは前者から。
レイ・チャールズがカントリー&ウェスタンの曲を歌うという企画もので、
同じ年に2枚出されたものが1枚のCDに収められています。
全体的にはヴォーカルがあるスウィングジャズといった音作りで、
音自体はまるでカントリーではありません。
フランク・シナトラやトニー・ベネットと同じ世界といえばいいかな、
でも、レイの声には、白人にはない粘つきというか、味がありますね。
時々ゴスペル風の音作りの曲もありますが、ほぼそれで通しています。
しかし1曲目から驚いた。
Bye Bye Love、エヴァリー・ブラザーズの曲で、
サイモン&ガーファンクルが最後のアルバムで取り上げていて
印象的な曲ですが、エヴァリーは
当時はカントリー寄りという扱いだったんだなあ。
スウィングしまくるジャンプナンバーになっていて、
どこがバイバイなんだろうって(笑)。
他はかの有名なYou Are My Sunshineしか知らなかったのですが、
これはR&Bバラード風になっています。
そしてやっぱりI Can't Stop Loving You、「阿部のママ」ですね(笑)。
カントリーとソウルもやはりR&Bやブルーズを通じて
つながっていることが、レイ・チャールズを聴くとまた分かります。
この曲は別格の輝きを持っていますね。
ただ、"I can't stop wanting you"というくだり、"wanting"というのが
英語ネイティヴではない僕には違和感がありますね。
もしかしてネイティヴの人にもそうなのかな、他に聞いたことがない。
逆にこの曲の歌詞として有名かもしれないけれど。
また、当時このような発想を持って音楽を作っていたというのは、
レイ・チャールズがジャンルにとらわれない、自分が歌いたい、
演奏したい音楽だけをやっていたということでしょうね。
いいですね、いいですよ。
05

THE GENIUS HITS THE ROAD (1960)
もう1枚、ジョージアが最初に収められたアルバム。
なお、"Genius"とは、レイ・チャールズを表す代名詞で、
向こうではそれだけで分かるのだと思います。
ビートルズの"Fab Four"と同じですね。
こちらはアメリカの「ご当地ソング」を集めた企画盤。
聴いたことはある曲はあっても曲名と曲が一致するのは、
Blue Howaiiだけだったのですが、それでも楽しい。
これもやはりスウィングっぽいエンターテイメント系音楽だけど、
実は僕は昔はそれが苦手だったんだろうなあ・・・
今はもちろん、これはこれで楽しめます。
それにしてもGeorgia On My Mindの存在感といったら!
でも、レイ・チャールズのこの曲は久しぶりに聴いたのですが、
思っていたよりも若々しい感じがしました。
当たり前ですよね、レイ自身まだまだ若かったのだから(笑)。
I Can't Stop Loving Youとこの2曲は寝ながらでも口ずさみそう。
ところでこちらは、CD化に際して7曲のボーナストラックが
追加されていますが、それも興味深いので幾つか。
Hit The Road Jackはご当地ソングとは関係ない「ただの」
レイの大ヒット曲ですが、タイトルにちなんで入れられたのかな。
もしくは、商品として、シングルで有名な曲を入れたかったのか。
この曲は女性陣が歌う印象的で有名なコーラス、
♪ の~も~ の~も~ の~も~ の~も~
という部分をそらで歌うと、どうしても音が外れてしまう・・・
Ain't No Mountain High Enoughのマーヴィンの低音部か
ビリー・ジョエルのUptown Girlのハミング並に難しい(笑)。
Blue Moon On Kentucky (Swing Ova)は
ポール・マッカートニーがUNPLUGGEDで演奏したおなじみの曲。
Rainy Night In Georgiaは僕はブルック・ベントンで知った曲。
この曲自体がジョージアの続編という感じを持っていたのですが、
実際にレイ・チャールズも歌っていたんだなあ。
The Long And Winding Roadも入っているんですね。
曲の骨組みは変えておらず、歌はもちろんレイ・チャールズ節だけど、
となるとやはりこの曲には元々ジャズヴォーカルっぽい雰囲気が
あってそれを多くの人が感じていたんだな、と実感。
あ、誰のと書いてないけど言うまでもないビートルズの曲ですよ(笑)。
最後がTake Me Home, Country Roads、
ジョン・デンヴァーのこれも歌っていたんだ。
これはちょっと面白くて、レイ・チャールズなりにカントリーっぽく
素軽くやってみたというさらっとしたのりが結構いいですね。
なお、僕が買ったのは海外盤で、13曲目以降はいつ録音されたか
記されていないのですが、1970年頃以降でしょうね。
ともあれ、本編が終わったところで流れは一度切るとしても、
CDとしては最後まで楽しめる1枚です。
06

僕が最初に買ったレイ・チャールズのCDがこれ。
もう20年近く前だけど、その間に新しいベスト盤と、
グラミーを取った他の人とのデュエット曲を集めたアルバムは
買っていましたが、でも、次に進むのに時間がかかりました。
こちらは今は車用ですが、ケースが汚れてかすれてますね。
裏はひびが入っているし、交換して車で聴かないと。
レイ・チャールズは未開に近い人だから、
ここからいろいろ買って聴き進めてゆくのがとっても楽しみ。
そういう楽しみは幾つになっても失いたくないですね。

最近よく聴いているのがレイ・チャールズ。
先ず買ったのは、レイ・チャールズがAtlantic在籍時代の
1952年から1959年の間に録音し正式に発表した音源のすべてと、
幾つかの未発表曲が収められた7枚組のボックスセット。
8月に、Warner系の例の(チープな)紙ジャケット5枚組が
Amazonで安くなり、その中にレイ・チャールズのものもあって、
買おうかどうか考えつつネットで探したところ、この存在を知りました。
例の5枚組はまさにAtlantic時代のものだだから、
これを買えばすべてが聴けることになる。
ところが、届いてみると、微妙な問題が発生。
確かにその5枚組の音源はすべて入っているのですが、
アルバムごとに並んでいるわけではなく、編集されていて
ばらばらに収録されているのでした。
編集されたこと自体には異存ないのですが、でも、僕は、
アルバム単位で聴くことが好きであり、それが自然な形だから、
この場合は曲としてはすべて聴けても、アルバムとして聴くことには
ならないのが、どうにも困りました。
ただし、間違わないでいただきたいのは、
このボックスセット自体はこれはこれでとっても気に入りました。
02

PURE GENIUS - THE COMPLETE
ATLANTIC RECORDINGS (1952-1959)
Ray Charles
ピュア・ジーニアス:コンプリート・
アトランティック・レコーディングス(1952-1959)
レイ・チャールズ
これがそのボックスセット。
装丁がいい。
シンプルな網目状の黄色い箱に文字だけというアートワークは、
なぜかレイ・チャールズのイメージが湧いてきます。
ちなみに、ハウは家にいる時は首輪を外していますが、
ハウの首輪は黄色だから、このボックスセットはハウにも似合う(笑)。
音質がこれまた、1960年より前のものとは思えないほどよくて、
素晴らしい、さすがはリマスターのRHINOの仕事。
もちろん音楽も素晴らしい。
レイ・チャールズの音楽は、ソウルというには少し早いかな。
普通にR&Bといったほうが分かりやすい。
まあ、ジャンルなんて関係ないんだけど、「ソウル」というと、
僕のような後の時代の人間にとってはやはり、モータウンから
1970年代のディスコの前までをイメージしてしまう。
一方、レイ・チャールズのこの頃はまだまだ、
そこまでは洗練されてないと感じました。
聴いていてひとつちょっと驚いたことが。
未発表音源の中に、レイのヒット曲であり
ドクター・ジョンでも知られたMess Aroundが入っています。
これ、アトランティックの創始者でありソウル史上の最重要人物の
ひとりであるアーメット・アーティガンが作曲したものですが
これを歌っている人の声がドクター・ジョンにそっくりなのです。
一瞬、ドクター・ジョンが若い頃に録音していたのかと
本気で勘違いしてしまったくらい。
ブックレットには、リードヴォーカルがAhmet Ertegunと記されていて、
そういえば僕はアーメット・アーティガンの声を聞いたことがないんだ、
そこで漸く納得しました。
なお、ドクター・ジョンは1940年生まれ(ジョン・レノンと同い年)、
これが録音された時は16歳かそれくらい、まだ音楽活動を
始めていないか、始めたばかりの頃だったと思われます。
他、ロックサイドで知っている曲としては、
C.C.R.のカヴァーがいい(The Night Time Is) The Right Time、
ハニードリッパーズが演奏したI've Got A Woman、
エリック・クラプトンが歌ったHard Times、そして有名な
What'd I Sayなども入っています。
一方で、レイ・チャールズの代名詞ともいえる
I Can't Stop Loving YouとGeorgia On My Mindは
これより後の時代の録音であるため収録されていません。
まあそれはどうしようもないことだから、気にはならない。
この時期のレイ・チャールズは、ミルト・ジャクソンと組んだ
ジャズのアルバムを2枚出していましたが、僕はそのことは
まったく知らなくて、今回これを買って初めて知りました。
ミルト・ジャクソンは、一応書くと、ヴァイブラフォン奏者で、
主にMJQとして活躍して多数の名盤を残し、1960年代後半には
あのビートルズのアップルからもアルバムを出したという人。
ジャズが好きだった父がよくMJQやミルト・ジャクソンの話をしていて、
おまけにビートルズに関係があるので、僕も中学時代から
顔と名前は知っているジャズマンでした。
MJQはMilt Jackson Quartetだと思いきやさにあらず、
Modern Jazz Quartetのことだと、僕が中学時代に
父が得意げに言っていた思い出もあります。
ミルト・ジャクソンとの録音が入っているのは、偶然のようでいて、
僕はどちらかといえば運命論者だから(笑)、最近の僕に
ジャズの流れができた中の必然と受け止めました。
だから余計に、このボックスセットは満足感が高かったのでした。
レイ・チャールズは当時はピアニストとしても注目されていたようで、
ジャズのアルバムにおけるレイ・チャールズは、ほんとんど
ピアノに徹していて、歌がありません。
なお、ジャズ・ミュージシャンとしてのレイ・チャールズの
ピアノ演奏の力量は僕には分かりません。
もちろん、普通にとてもうまいな、とは思えるものですが
ところが、困ったことに、歌がないレイ・チャールズを聴いても、
なんだか楽しくないのです。
ジャズはよく分からないけれど、多分、何も意識しなければ、
ミルト・ジャクソンとの録音もかなりいいと思えるのでしょうけど、
レイ・チャールズがいるのに歌がないなんて・・・
そうか。
僕は、レイ・チャールズの声が好きだったんだ!
歌がないというだけでこんなにまでも気持ちが揺らぐなんて。
レイ・チャールズは、「100人の歌手」(記事はこちら)において
第2位ですが、1位は女性のアレサ・フランクリンだから、
男性では1番ということになりますね。
僕が考えるに、レイ・チャールズは声にアクや癖がなく、
それでいて個性的、だから万人に受け入れられるのでしょう。
多くの人が思い浮かべる上手い男性歌手の声、もしくは
多くの男性がこう歌いたいという声の持ち主、
それがレイ・チャールズはないかと。
もちろん女性が聴き惚れるのもありでしょうけど、とにかく、
安心して聴いていられる、ほっとする、そんな声。
マーヴィン・ゲイのような神経質そうなところもないし、
ジェームス・ブラウンのように声のアクが強いわけでもなく、
オーティス・レディングのように力任せには歌わずいつも冷静。
サム・クックはクセがある声だし、ボブ・ディランはだみ声。
エルヴィス・プレスリーとジョン・レノンはよく分からないけれど(笑)、
10人の中では、スティーヴィー・ワンダーが同じ傾向の声の人かな。
それでも時々妙に気持ちが入っていて、猫なで声を出したり、声が
引っくり返りかかったり、シャウトしたり、やっぱり聴かせる人ですね。
レイ・チャールズの声はとってもいい!
この年にして、すっかり夢中になってしまいました(笑)。
03

WHAT'D I SAY (1959)
というわけで、やっぱり買ってしまいました。
名曲中の名曲What'd I Sayが入ったオリジナルアルバムですが、
例の5枚組に入った1枚で、ということは音源としてはダブリだけど、
やっぱり僕は、名曲がどういう流れで最初に世に出たのか、
アルバムを聴くことで感じたいんです。
まあ、シングルで発表された曲もありますけどね(笑)。
このアルバムは、さすがジャズを本格的にやった人だなという感じ。
ジャズだって音楽としてはR&Bですが、ここでのレイ・チャールズは
自らもピアノを演奏するR&Bを通してジャズとソウルを結びつけている
そんな感じを受けます。
前述のように、ソウル、と言われるとまだ微妙に違うと感じるのですが、
ソウルの偉大な先駆者であることは誰も異論がないはず。
そのWhat'd I Sayといえば僕が先ず思い浮かべるのが、
映画「ブラック・レイン」のシーンですね。
マイケル・ダグラスに連れられてクラブに出向いた高倉健が、
レイ・チャールズばりのサングラスをかけられて、マイケルが好きな
この曲を一緒にカラオケで歌うのですが、高倉健は例の
「お~おおぅ」という部分が調子っ外れで面白かった。
この曲はまた、ビートルズがBBCで歌っていた
Some Other Guyに似てるなと、今回聴いて思いました。
その曲はリッチー・バレットの1962年の曲ということで、
こちらはレイのオリジナル、影響受けてますね、きっと。
いずれにせよ、初期のソウル、R&Bからソウルへの分岐点、
というべき音楽史に名を残す名曲中の名曲と実感しました。
04

MODERN SOUNDS
IN COUNTRY AND WESTERN MUSIC VOLUMES 1&2
(1962)
1枚では足りず、また買いました。
こうなったらあと2曲、Atlanticを出てから録音された
I Can't Stop Loving YouとGeorgia On My Mindが
最初に収めらたアルバムも聴きたいと思って。
先ずは前者から。
レイ・チャールズがカントリー&ウェスタンの曲を歌うという企画もので、
同じ年に2枚出されたものが1枚のCDに収められています。
全体的にはヴォーカルがあるスウィングジャズといった音作りで、
音自体はまるでカントリーではありません。
フランク・シナトラやトニー・ベネットと同じ世界といえばいいかな、
でも、レイの声には、白人にはない粘つきというか、味がありますね。
時々ゴスペル風の音作りの曲もありますが、ほぼそれで通しています。
しかし1曲目から驚いた。
Bye Bye Love、エヴァリー・ブラザーズの曲で、
サイモン&ガーファンクルが最後のアルバムで取り上げていて
印象的な曲ですが、エヴァリーは
当時はカントリー寄りという扱いだったんだなあ。
スウィングしまくるジャンプナンバーになっていて、
どこがバイバイなんだろうって(笑)。
他はかの有名なYou Are My Sunshineしか知らなかったのですが、
これはR&Bバラード風になっています。
そしてやっぱりI Can't Stop Loving You、「阿部のママ」ですね(笑)。
カントリーとソウルもやはりR&Bやブルーズを通じて
つながっていることが、レイ・チャールズを聴くとまた分かります。
この曲は別格の輝きを持っていますね。
ただ、"I can't stop wanting you"というくだり、"wanting"というのが
英語ネイティヴではない僕には違和感がありますね。
もしかしてネイティヴの人にもそうなのかな、他に聞いたことがない。
逆にこの曲の歌詞として有名かもしれないけれど。
また、当時このような発想を持って音楽を作っていたというのは、
レイ・チャールズがジャンルにとらわれない、自分が歌いたい、
演奏したい音楽だけをやっていたということでしょうね。
いいですね、いいですよ。
05

THE GENIUS HITS THE ROAD (1960)
もう1枚、ジョージアが最初に収められたアルバム。
なお、"Genius"とは、レイ・チャールズを表す代名詞で、
向こうではそれだけで分かるのだと思います。
ビートルズの"Fab Four"と同じですね。
こちらはアメリカの「ご当地ソング」を集めた企画盤。
聴いたことはある曲はあっても曲名と曲が一致するのは、
Blue Howaiiだけだったのですが、それでも楽しい。
これもやはりスウィングっぽいエンターテイメント系音楽だけど、
実は僕は昔はそれが苦手だったんだろうなあ・・・
今はもちろん、これはこれで楽しめます。
それにしてもGeorgia On My Mindの存在感といったら!
でも、レイ・チャールズのこの曲は久しぶりに聴いたのですが、
思っていたよりも若々しい感じがしました。
当たり前ですよね、レイ自身まだまだ若かったのだから(笑)。
I Can't Stop Loving Youとこの2曲は寝ながらでも口ずさみそう。
ところでこちらは、CD化に際して7曲のボーナストラックが
追加されていますが、それも興味深いので幾つか。
Hit The Road Jackはご当地ソングとは関係ない「ただの」
レイの大ヒット曲ですが、タイトルにちなんで入れられたのかな。
もしくは、商品として、シングルで有名な曲を入れたかったのか。
この曲は女性陣が歌う印象的で有名なコーラス、
♪ の~も~ の~も~ の~も~ の~も~
という部分をそらで歌うと、どうしても音が外れてしまう・・・
Ain't No Mountain High Enoughのマーヴィンの低音部か
ビリー・ジョエルのUptown Girlのハミング並に難しい(笑)。
Blue Moon On Kentucky (Swing Ova)は
ポール・マッカートニーがUNPLUGGEDで演奏したおなじみの曲。
Rainy Night In Georgiaは僕はブルック・ベントンで知った曲。
この曲自体がジョージアの続編という感じを持っていたのですが、
実際にレイ・チャールズも歌っていたんだなあ。
The Long And Winding Roadも入っているんですね。
曲の骨組みは変えておらず、歌はもちろんレイ・チャールズ節だけど、
となるとやはりこの曲には元々ジャズヴォーカルっぽい雰囲気が
あってそれを多くの人が感じていたんだな、と実感。
あ、誰のと書いてないけど言うまでもないビートルズの曲ですよ(笑)。
最後がTake Me Home, Country Roads、
ジョン・デンヴァーのこれも歌っていたんだ。
これはちょっと面白くて、レイ・チャールズなりにカントリーっぽく
素軽くやってみたというさらっとしたのりが結構いいですね。
なお、僕が買ったのは海外盤で、13曲目以降はいつ録音されたか
記されていないのですが、1970年頃以降でしょうね。
ともあれ、本編が終わったところで流れは一度切るとしても、
CDとしては最後まで楽しめる1枚です。
06

僕が最初に買ったレイ・チャールズのCDがこれ。
もう20年近く前だけど、その間に新しいベスト盤と、
グラミーを取った他の人とのデュエット曲を集めたアルバムは
買っていましたが、でも、次に進むのに時間がかかりました。
こちらは今は車用ですが、ケースが汚れてかすれてますね。
裏はひびが入っているし、交換して車で聴かないと。
レイ・チャールズは未開に近い人だから、
ここからいろいろ買って聴き進めてゆくのがとっても楽しみ。
そういう楽しみは幾つになっても失いたくないですね。
Posted by guitarbird at 20:41
│ソウル