2017年11月04日
THE LAST D.J. トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ
01

THE LAST DJ
Tom Petty & The Hearbreakers
ザ・ラスト・DJ
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ
(2002)
超久し振りにアルバムの(長い)記事。
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズが2002年に発表した作品。
僕は当時
「ついに彼らはこんなにも素晴らしいアルバムを作ったか」
といたく感動したものです。
彼らはこの後2枚のスタジオアルバムを作っていますが、
「エンターテイメントとしてのロックミュージック」という点でいえば、
これがいちばんよくできたアルバムだと今でも思う、
今回聴き直しあらためてそうも思いましたし。
当時の僕は「エンターテイメントとしての」という条件がつかない、
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの最高傑作と思った。
しかし、その後2作を聴いた今はそうは思わない。
MOJO、HYPNOTIC EYEと、異様なほどに研ぎ澄まされた感覚、
あまりにもストイックで求道的な作品を聴いてしまうと、
このアルバムは贅肉が多すぎていささか太っちょに感じられます。
本人たちがそれで構わないというのであればいいのだけれど、
でも、トム達は実際にあれだけストイックで求道的な作品を
2枚も作ってしまったのだから、これが完成形とは思っていなかった。
むしろ、やり過ぎてしまったことを反省して次に進むことにした。
このアルバムは商業ロックの「総括」として捉える方が自然です。
実際このアルバムから次作MOJOまでの間は8年あいており、
その間にキャリアを総括するようなLIVE ANTHOLOGYを出し、
半ば活動休止状態になっていたことこからも、このアルバムの後に
次に進むための相当な心構えが必要だったことが窺えます。
ただし、(言いたくないけど)最後2作の求道精神がきつい、
という人にはむしろこれは聴きやすくていいでしょう。
曲はいいのはもちろん、仕掛けも多いし、メッセージ性もある、
それをうまくエンターテイメントとしてまとめた作品ではあります。
このアルバムの半分ほどの曲は、音楽業界やそれを牛耳る人を
皮肉った内容となっています。
全体がそうであるならこれは「コンセプトアルバム」と
呼べるのでしょうけれど、残り半分はそうではない。
音楽業界を皮肉った曲といえば僕が真っ先に思い浮かべるのは、
ジョン・フォガティのアルバムCENTERFIELDの幾つかの曲。
ジョン・フォガティはクリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル
時代の不当な契約により10年ほどレコードを出せなかった。
ようやく解放され出すことができたのがそのアルバムでしたが、
僕はその背景を知っていたので、高校時代に買ったLPにある
Mr. Greed「どん欲男」という曲名からすぐに内容が想像できました。
さらには豚のアニメが踊るビデオクリップが面白い
Vang Cunt Danzも同じ人のことを歌った曲であったりと。
ただですね、その皮肉られた対象の人が実は僕が好きな映画
10本に入る『アマデウス』を制作した人だと後で知って、
なんとも複雑な思いにはなりましたが、まあこれは余談。
トムに話を戻すと、しかし今作のトムは、ジョン・フォガティのように
実際に自分が被害や影響を受けたリアルな話というよりは、
寓話化して表現しているだけと受け取れます。
大なり小なり思う部分はあったのでしょうけれど
これはひとつのショーであって、ジョン・フォガティほど重くない。
どちらのモチーフの曲にも共通したテーマがありますが、それは
「見えないものの大切さ」
それは夢だったり、信念だったり、感情だったり、純真さだったり。
トムにはそうしたものはお金では買えないし
お金で動かすこともできないというひとつの信念がある。
そのことを象徴しているのが、小さい頃夢中になった
「DJ」だったのでしょう。
02

1曲目 The Last D.J.
タイトルから想像できるのは、例えば
バグルスのVideo Killed A Radio Starだったり、
クイーンのRadio Ga-Gaだったりという、音楽を通して
時代の流れ、時代に置いて行かれることを表しているということ。
ここではアナログからデジタルへの移行により
アナログ的なものが追いやられてしまうことを危惧している。
"The last human voice"というくだりがそれを象徴しています。
ただですね、それから時代が一回りを過ぎた今、
ここで危惧されたほどアナログ的なものは死んでいないですよね。
音楽でいえばむしろここ数年でレコードも復活してきている。
多分トム達も、アナログ的なものが死ぬまでは至らないだろう
という「読み」はあったと思う、願望以上に確かな「読み」が。
しかしそれをショーとして表現しきるためにここでは妥協せず
危惧する部分を中心に据えたのではないかな、と。
この曲はまあいかにもトム・ペティらしい憂いがありながらも、
基本アップテンポのロックンロールに適度に心地よい歌メロで、
トム達の中でもポップな曲としては上位に来るでしょう。
アルバムのつかみは最強。
The Last D.J.
Tom Petty & The Heartbreakers
(2002)
2曲目 Money Becomes King
子どもの頃はお金に踊らされなかった。
或いは、昔は世の中お金がすべてではなかった。
若い頃はお金のために音楽をしていたわけではなかった。
しかし、今やお金は王様となった。
大仰なストリングスとほの暗さがノスタルジーを煽る
ミディアムスロウの曲。
3曲目 Dreamville
「夢の村」というタイトルの通り、夢のような生活への憧れを歌う。
しかし子どもの頃はそうだったのではないかという思いもあるが、
それは幻想だったと大人になると気づく。
たおやかできれいな響きだけどどこか寂しい、
青空を見上げた時の虚しさのような曲。
4曲目 Joe
この曲でトムは壊れます。
1'11" ♪みゅぅぅぅ~~~ぢぃぇっっっくぅ
ジョーはレコード会社のCEOで、音楽により世の中を動かす人。
かわいい女の子をステージに上げてそれなりの演奏をすれば
音楽は売れるという安易な発想を持っている。
歌詞を読んで、何となく日本のYAという人を思い出した・・・
アルファベットと数字が名前の女性アイドルグループのボス。
トムはそれをあくまでも架空の物語として皮肉ったのだろうけれど。
そのアイドルの音楽について歌うトムの声が、壊れている。
トムの声は正直、苦手な人は苦手だと思う。
癖がある、ちょっと嫌みっぽく聞こえてしまう。
最後の呟きも嫌みたっぷり。
トムはそれを知ってか知らずか、ここでその声を最強の武器として
嫌みたっぷりに"music"と歌う。
最初に聴いて僕は「ついにやってしまったか」と思った。
あの声にしてこの曲。
そういう意味ではトムの歌手としてのひとつの頂点かもしれない。
そして蛇足ながら、この曲を最初に聴いた当時、
僕は芥川龍之介の「河童」を思い出しました。
人々の心に害を与える音楽を作る河童の名前が
「ロック」だった、ということを。
5曲目 When A Kid Goes Bad
子どもが悪くなる時。
自嘲的に物事を捉えるロックな考えでいうとそれは、
子どもがロックミュージックを聴くようになった時。
しかしこのアルバムは「信念を曲げるな」がテーマであり、
そのためには「子どもの心を持ち続けること」と説いている。
曲は鈍色の雲のような重たさ。
ルーツが見えやすい古臭いR&Bヒットソング風だけど、
歌の17小節目から10小節に及ぶパッセージでは
サイケデリック風の味付けになるのが面白い。
6曲目 Like A Diamond
この曲はあの素晴らしいトムのソロ2作目
WILDFLOWERS(記事こちら)の経験が生かされている、
夢見心地の美しい曲。
ダブルトラックで歌うトムの声もノスタルジーを感じさせる。
「彼女はまるで太陽にさらされたダイナモンドのように輝く」
と控えめに美しさを称えているけれど、聴きようによっては、
彼女は「永遠の存在」になってしまったの? と思わなくもない。
トムの個性である「陰り」が曲に深みを持たせています。
7曲目 Lost Children
ブルーズ風の大仰なギターリフによるイントロに続いて、
素っ頓狂な高い声でまろやかに歌い始めるトム。
この感覚はこの人このバンド独特のもので誰も真似できない。
ほんと、ギターからトムの声の切り替わりがユーモラスであり、
考えさせられる。
「失われた子どもたち」というタイトルだけ余計に。
彼らも当たり前にブルーズが大好きなことが分かり、
ある意味ほっとする曲ではないかとも思う。
ギターリフの上にのっかってくるマイク・キャンベルの
ギターソロもブルージーというよりはブルーズ。
ベンモント・テンチのオルガンはトラフィック風と言ってしまおう。
60年代英国ブルーズの香りがアメリカの中に復活した曲。
8曲目 Blue Sunday
カントリー調ではないけれどアコースティックギター基調の曲。
やっぱりトムの声は素っ頓狂と感じる、かも。
曲全体は落ち着いているのに、声は宙に浮いている。
よぉく読むと性的な比喩が使われている(うまくいかなかった)。
それもそのはず、彼女と何かがすれ違っている。
セブンイレブンで出会った2人の恋は短かった、のか。
9曲目 You And Me
これもWILDFLOWERSの流れといっていい。
軽やかなリズムと歌メロに心が踊り浮いてくる、
この中では珍しく陰りがあまり感じられない爽やかな曲。
短いけれど、ほんといい意味でそれだけの曲。
トムのベースが目立つ、ベース好きトム好きにはたまらない。
10曲目 The Man Who Loves Women
毎日誰かに一目惚れしてしまう惚れっぽい男の歌。
つれがちゃんといるにもかかわらず。
フレンチポップ風の軽やかな響きはトム達には珍しいスタイル。
でも、フレンチというところがこのモチーフに合っている、
というかもうこれしかないという旨味。
"Women, women,women"と猫みたいに歌うトムが
意外とかわいらしかったり!?
しかも、ゲストのコーラスがリンジー・バッキンガム。
女ったら・・・失礼、なんともユーモラスな曲。
そのコーラスの入り方、そこにしか使われない旋律など
なんとも素晴らしいいアイディア。
そして余談というか、リンジーの加入と入れ替わりで
フリートウッド・マックを辞めたボブ・ウェルチの初ソロ作が
FRENCH KISSだったことを思い出してします。
11曲目 Have Love, Will Travel
明るい曲が続き、結局は希望に満ちたままアルバムは終わる。
と思わせる1曲で、ラストという雰囲気がする曲。
救われたというか、道の前に希望が転がっている、そんな響き。
最初の8小節のAメロが終わったところで入る、
「じゃらじゃらじゃららーん」という強烈なギターリフがあまりにも
印象的で、気がつくと歌ではなくそれを口ずさんでしまう。
カントリーロック風だけど味付けはやっぱりブルーズという1曲。
さて、実はアルバムはまだ終わりではない。
その証拠にというか逃げるようにこの曲はあっさりと終わる。
そして。
12曲目 Can't Stop The Sun
音楽業界を皮肉った曲でアルバムは幕を下ろします。
あなたはたとえ僕のお金を持ち去ろうとも
僕のマイクをオフにしようとも
あなたには感じとれない僕の心を盗むことはできない
トムが音楽をしたいという気持ちは太陽と同じ。
誰にも止められない。
そう歌うこの曲はまるで太陽を覆い隠す灰色の雲。
聴いていると気持ちがふさいでしまう響き。
もしかしてほんとうにトム達はこの頃はもうやってゆけない
と思い詰めていたのかもしれない。
それが最初に書いたバンドのこの後につながってゆく。
曲の中で一度しか出てこない中間部で
"Hey Mr. Businessman"と歌う旋律があまりにも物悲しく、
かつこれ以上ないというほどに美しいのは、
音楽業界に対する最大級の皮肉と受け取れます。
ブルーズフィーリングに溢れるカッコいい曲ですが、
そのカッコよさゆえに余計に重くのしかかってきます。
すごい、こんな曲を作ってしまったなんて。
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ
最後のアルバムが最高傑作だったというアーティストを
僕は他には知りません。
ビートルズは、最後に作ったABBEY ROADを
最高傑作とすることはできるかもしれないですが、
これは好みの問題を別としても異論がありそうなところであり、
しかもリリース順ではLET IT BEの方が後ですし。
普通は、最高傑作を作るとそこから先は
壁を打ち破れないで終わるか趣味の世界に走って
長く続けるかのどちらかになるものでしょう。
トム達はこの傑作アルバムをものにした後にまた壁を破った。
しかも二度も続けて破った。
その間にキャリアを一度総括する必要はあったのですが、
それでも成し遂げた。
最新作HYPNOTIC EYE(記事こちら)を聴いて、次はどんな
アルバムを作ってしまうのか想像すると恐ろしくもあった。
一方、正直にいえば、これから先は趣味の世界で
ソフトランディングしてゆくかもしれないとも思った。
僕はファンだから、それはそれでも構わなかった。
少なくともずっと買って聴き続けてゆける。
それが終わってしまった。
趣味の世界でいいから続いて欲しかった。
最後に最高傑作を作ったあまりにも偉大なバンドとして、
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズは
歴史にのその名を刻むことになるのでしょう。
それがよかったのかどうか。
今は、それはよくないとしか言えません。
トム・ペティ、ありがとう。
これからも聴き続けます。
03


THE LAST DJ
Tom Petty & The Hearbreakers
ザ・ラスト・DJ
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ
(2002)
超久し振りにアルバムの(長い)記事。
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズが2002年に発表した作品。
僕は当時
「ついに彼らはこんなにも素晴らしいアルバムを作ったか」
といたく感動したものです。
彼らはこの後2枚のスタジオアルバムを作っていますが、
「エンターテイメントとしてのロックミュージック」という点でいえば、
これがいちばんよくできたアルバムだと今でも思う、
今回聴き直しあらためてそうも思いましたし。
当時の僕は「エンターテイメントとしての」という条件がつかない、
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの最高傑作と思った。
しかし、その後2作を聴いた今はそうは思わない。
MOJO、HYPNOTIC EYEと、異様なほどに研ぎ澄まされた感覚、
あまりにもストイックで求道的な作品を聴いてしまうと、
このアルバムは贅肉が多すぎていささか太っちょに感じられます。
本人たちがそれで構わないというのであればいいのだけれど、
でも、トム達は実際にあれだけストイックで求道的な作品を
2枚も作ってしまったのだから、これが完成形とは思っていなかった。
むしろ、やり過ぎてしまったことを反省して次に進むことにした。
このアルバムは商業ロックの「総括」として捉える方が自然です。
実際このアルバムから次作MOJOまでの間は8年あいており、
その間にキャリアを総括するようなLIVE ANTHOLOGYを出し、
半ば活動休止状態になっていたことこからも、このアルバムの後に
次に進むための相当な心構えが必要だったことが窺えます。
ただし、(言いたくないけど)最後2作の求道精神がきつい、
という人にはむしろこれは聴きやすくていいでしょう。
曲はいいのはもちろん、仕掛けも多いし、メッセージ性もある、
それをうまくエンターテイメントとしてまとめた作品ではあります。
このアルバムの半分ほどの曲は、音楽業界やそれを牛耳る人を
皮肉った内容となっています。
全体がそうであるならこれは「コンセプトアルバム」と
呼べるのでしょうけれど、残り半分はそうではない。
音楽業界を皮肉った曲といえば僕が真っ先に思い浮かべるのは、
ジョン・フォガティのアルバムCENTERFIELDの幾つかの曲。
ジョン・フォガティはクリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル
時代の不当な契約により10年ほどレコードを出せなかった。
ようやく解放され出すことができたのがそのアルバムでしたが、
僕はその背景を知っていたので、高校時代に買ったLPにある
Mr. Greed「どん欲男」という曲名からすぐに内容が想像できました。
さらには豚のアニメが踊るビデオクリップが面白い
Vang Cunt Danzも同じ人のことを歌った曲であったりと。
ただですね、その皮肉られた対象の人が実は僕が好きな映画
10本に入る『アマデウス』を制作した人だと後で知って、
なんとも複雑な思いにはなりましたが、まあこれは余談。
トムに話を戻すと、しかし今作のトムは、ジョン・フォガティのように
実際に自分が被害や影響を受けたリアルな話というよりは、
寓話化して表現しているだけと受け取れます。
大なり小なり思う部分はあったのでしょうけれど
これはひとつのショーであって、ジョン・フォガティほど重くない。
どちらのモチーフの曲にも共通したテーマがありますが、それは
「見えないものの大切さ」
それは夢だったり、信念だったり、感情だったり、純真さだったり。
トムにはそうしたものはお金では買えないし
お金で動かすこともできないというひとつの信念がある。
そのことを象徴しているのが、小さい頃夢中になった
「DJ」だったのでしょう。
02

1曲目 The Last D.J.
タイトルから想像できるのは、例えば
バグルスのVideo Killed A Radio Starだったり、
クイーンのRadio Ga-Gaだったりという、音楽を通して
時代の流れ、時代に置いて行かれることを表しているということ。
ここではアナログからデジタルへの移行により
アナログ的なものが追いやられてしまうことを危惧している。
"The last human voice"というくだりがそれを象徴しています。
ただですね、それから時代が一回りを過ぎた今、
ここで危惧されたほどアナログ的なものは死んでいないですよね。
音楽でいえばむしろここ数年でレコードも復活してきている。
多分トム達も、アナログ的なものが死ぬまでは至らないだろう
という「読み」はあったと思う、願望以上に確かな「読み」が。
しかしそれをショーとして表現しきるためにここでは妥協せず
危惧する部分を中心に据えたのではないかな、と。
この曲はまあいかにもトム・ペティらしい憂いがありながらも、
基本アップテンポのロックンロールに適度に心地よい歌メロで、
トム達の中でもポップな曲としては上位に来るでしょう。
アルバムのつかみは最強。
The Last D.J.
Tom Petty & The Heartbreakers
(2002)
2曲目 Money Becomes King
子どもの頃はお金に踊らされなかった。
或いは、昔は世の中お金がすべてではなかった。
若い頃はお金のために音楽をしていたわけではなかった。
しかし、今やお金は王様となった。
大仰なストリングスとほの暗さがノスタルジーを煽る
ミディアムスロウの曲。
3曲目 Dreamville
「夢の村」というタイトルの通り、夢のような生活への憧れを歌う。
しかし子どもの頃はそうだったのではないかという思いもあるが、
それは幻想だったと大人になると気づく。
たおやかできれいな響きだけどどこか寂しい、
青空を見上げた時の虚しさのような曲。
4曲目 Joe
この曲でトムは壊れます。
1'11" ♪みゅぅぅぅ~~~ぢぃぇっっっくぅ
ジョーはレコード会社のCEOで、音楽により世の中を動かす人。
かわいい女の子をステージに上げてそれなりの演奏をすれば
音楽は売れるという安易な発想を持っている。
歌詞を読んで、何となく日本のYAという人を思い出した・・・
アルファベットと数字が名前の女性アイドルグループのボス。
トムはそれをあくまでも架空の物語として皮肉ったのだろうけれど。
そのアイドルの音楽について歌うトムの声が、壊れている。
トムの声は正直、苦手な人は苦手だと思う。
癖がある、ちょっと嫌みっぽく聞こえてしまう。
最後の呟きも嫌みたっぷり。
トムはそれを知ってか知らずか、ここでその声を最強の武器として
嫌みたっぷりに"music"と歌う。
最初に聴いて僕は「ついにやってしまったか」と思った。
あの声にしてこの曲。
そういう意味ではトムの歌手としてのひとつの頂点かもしれない。
そして蛇足ながら、この曲を最初に聴いた当時、
僕は芥川龍之介の「河童」を思い出しました。
人々の心に害を与える音楽を作る河童の名前が
「ロック」だった、ということを。
5曲目 When A Kid Goes Bad
子どもが悪くなる時。
自嘲的に物事を捉えるロックな考えでいうとそれは、
子どもがロックミュージックを聴くようになった時。
しかしこのアルバムは「信念を曲げるな」がテーマであり、
そのためには「子どもの心を持ち続けること」と説いている。
曲は鈍色の雲のような重たさ。
ルーツが見えやすい古臭いR&Bヒットソング風だけど、
歌の17小節目から10小節に及ぶパッセージでは
サイケデリック風の味付けになるのが面白い。
6曲目 Like A Diamond
この曲はあの素晴らしいトムのソロ2作目
WILDFLOWERS(記事こちら)の経験が生かされている、
夢見心地の美しい曲。
ダブルトラックで歌うトムの声もノスタルジーを感じさせる。
「彼女はまるで太陽にさらされたダイナモンドのように輝く」
と控えめに美しさを称えているけれど、聴きようによっては、
彼女は「永遠の存在」になってしまったの? と思わなくもない。
トムの個性である「陰り」が曲に深みを持たせています。
7曲目 Lost Children
ブルーズ風の大仰なギターリフによるイントロに続いて、
素っ頓狂な高い声でまろやかに歌い始めるトム。
この感覚はこの人このバンド独特のもので誰も真似できない。
ほんと、ギターからトムの声の切り替わりがユーモラスであり、
考えさせられる。
「失われた子どもたち」というタイトルだけ余計に。
彼らも当たり前にブルーズが大好きなことが分かり、
ある意味ほっとする曲ではないかとも思う。
ギターリフの上にのっかってくるマイク・キャンベルの
ギターソロもブルージーというよりはブルーズ。
ベンモント・テンチのオルガンはトラフィック風と言ってしまおう。
60年代英国ブルーズの香りがアメリカの中に復活した曲。
8曲目 Blue Sunday
カントリー調ではないけれどアコースティックギター基調の曲。
やっぱりトムの声は素っ頓狂と感じる、かも。
曲全体は落ち着いているのに、声は宙に浮いている。
よぉく読むと性的な比喩が使われている(うまくいかなかった)。
それもそのはず、彼女と何かがすれ違っている。
セブンイレブンで出会った2人の恋は短かった、のか。
9曲目 You And Me
これもWILDFLOWERSの流れといっていい。
軽やかなリズムと歌メロに心が踊り浮いてくる、
この中では珍しく陰りがあまり感じられない爽やかな曲。
短いけれど、ほんといい意味でそれだけの曲。
トムのベースが目立つ、ベース好きトム好きにはたまらない。
10曲目 The Man Who Loves Women
毎日誰かに一目惚れしてしまう惚れっぽい男の歌。
つれがちゃんといるにもかかわらず。
フレンチポップ風の軽やかな響きはトム達には珍しいスタイル。
でも、フレンチというところがこのモチーフに合っている、
というかもうこれしかないという旨味。
"Women, women,women"と猫みたいに歌うトムが
意外とかわいらしかったり!?
しかも、ゲストのコーラスがリンジー・バッキンガム。
女ったら・・・失礼、なんともユーモラスな曲。
そのコーラスの入り方、そこにしか使われない旋律など
なんとも素晴らしいいアイディア。
そして余談というか、リンジーの加入と入れ替わりで
フリートウッド・マックを辞めたボブ・ウェルチの初ソロ作が
FRENCH KISSだったことを思い出してします。
11曲目 Have Love, Will Travel
明るい曲が続き、結局は希望に満ちたままアルバムは終わる。
と思わせる1曲で、ラストという雰囲気がする曲。
救われたというか、道の前に希望が転がっている、そんな響き。
最初の8小節のAメロが終わったところで入る、
「じゃらじゃらじゃららーん」という強烈なギターリフがあまりにも
印象的で、気がつくと歌ではなくそれを口ずさんでしまう。
カントリーロック風だけど味付けはやっぱりブルーズという1曲。
さて、実はアルバムはまだ終わりではない。
その証拠にというか逃げるようにこの曲はあっさりと終わる。
そして。
12曲目 Can't Stop The Sun
音楽業界を皮肉った曲でアルバムは幕を下ろします。
あなたはたとえ僕のお金を持ち去ろうとも
僕のマイクをオフにしようとも
あなたには感じとれない僕の心を盗むことはできない
トムが音楽をしたいという気持ちは太陽と同じ。
誰にも止められない。
そう歌うこの曲はまるで太陽を覆い隠す灰色の雲。
聴いていると気持ちがふさいでしまう響き。
もしかしてほんとうにトム達はこの頃はもうやってゆけない
と思い詰めていたのかもしれない。
それが最初に書いたバンドのこの後につながってゆく。
曲の中で一度しか出てこない中間部で
"Hey Mr. Businessman"と歌う旋律があまりにも物悲しく、
かつこれ以上ないというほどに美しいのは、
音楽業界に対する最大級の皮肉と受け取れます。
ブルーズフィーリングに溢れるカッコいい曲ですが、
そのカッコよさゆえに余計に重くのしかかってきます。
すごい、こんな曲を作ってしまったなんて。
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ
最後のアルバムが最高傑作だったというアーティストを
僕は他には知りません。
ビートルズは、最後に作ったABBEY ROADを
最高傑作とすることはできるかもしれないですが、
これは好みの問題を別としても異論がありそうなところであり、
しかもリリース順ではLET IT BEの方が後ですし。
普通は、最高傑作を作るとそこから先は
壁を打ち破れないで終わるか趣味の世界に走って
長く続けるかのどちらかになるものでしょう。
トム達はこの傑作アルバムをものにした後にまた壁を破った。
しかも二度も続けて破った。
その間にキャリアを一度総括する必要はあったのですが、
それでも成し遂げた。
最新作HYPNOTIC EYE(記事こちら)を聴いて、次はどんな
アルバムを作ってしまうのか想像すると恐ろしくもあった。
一方、正直にいえば、これから先は趣味の世界で
ソフトランディングしてゆくかもしれないとも思った。
僕はファンだから、それはそれでも構わなかった。
少なくともずっと買って聴き続けてゆける。
それが終わってしまった。
趣味の世界でいいから続いて欲しかった。
最後に最高傑作を作ったあまりにも偉大なバンドとして、
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズは
歴史にのその名を刻むことになるのでしょう。
それがよかったのかどうか。
今は、それはよくないとしか言えません。
トム・ペティ、ありがとう。
これからも聴き続けます。
03

2017年10月24日
2017年10月24日の洋楽ドライブCD-R
01

本日また写真撮影小旅行に出ています。
今回も新しい洋楽CD-Rを作りました。
の前に写真01、10月23日(月)、札幌でも雪が降りました。
◎1曲目
I Wanna Be Your Lover
Prince
(1979)
今回はプリンスでスタート。
このCD-Rの選曲は既に前回小旅行の後から始めていましたが、
はて、この曲がどこでリストに入ってきたのか、忘れてしまった・・・
まあいい、この曲は大好きだし1曲目にはふさわしいから。
◎2曲目
Get Together
The Youngbloods
(1967)
ヤングブラッズのこれは以前「吉田類の酒場放浪記」で
使われていたと記事にしましたが、爾来、その番組を観る度に、
僕の頭の中にこの曲が流れるようになりました。
そしてその番組で聴いてからこの曲のことを
ほんとうに大好きになりよく口ずさむようにもなりました。
◎3曲目
Wild World
Mr. Big
(1993)
HBCラジオの洋楽番組「Ban Ban Radio!」
通称「バンラジ」が、野球中継の季節が終わり
また週5で放送されるようになりました。
彼女とよく聴いていますが、これはそこでかかった曲。
オリジナルはキャット・スティーヴンスですが、
僕がこの曲を知ったのはMr.Bigのこのヴァージョンでした。
ヒットした当時より今の方が好きだな、うん。
◎4曲目
You Are Everything
Diana Ross & Marvin Gaye
(1973)
前回の美瑛撮影小旅行で立ち寄ったドイツ風カフェ
「ランド・カフェ」ではメロウな洋楽ヒット曲が流れていて、
ダイアナ・ロス&マーヴィン・ゲイのこれもかかりました。
他にはシンディ・ローパーTime After Time、
クリストファー・クロス「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」
などなど。
でも冷静に聴くとこれ、ダイアナ&マーヴィンの「調和」
というよりむしろ「対決」みたいな感じもしますね。
マーヴィンは一緒に歌う女性シンガーを好きになってしまうと
いい歌いい曲いい演奏ができる人だったそうですが、
ということは、ダイアナは・・・
◎5曲目
Everybody Needs Someone Sometimes
Jewel
(2001)
前回のCD-R(記事こちら)にジュエルを入れてから、
僕の中でジュエル再評価の流れができて、久し振りに棚から
手に取って聴いたのがこれが入ったアルバムTHIS WAY。
10年以上聴いていなかったのでところどころ忘れていたけれど、
やっぱり素晴らしいアルバムだと再認識。
中でもこれ、そうそう、最初に聴いた時、ローリング・ストーンズの
Honkey Tonk Womenに似てるなぁと思ったっけ。
極北のアラスカ出身ジュエルがアメリカ南部風の曲に挑戦し
見事こなしてみせたという図式ですが、
何をやってもやっぱり声がいい、これに尽きますね。
長い眠りから覚めて、これもまたより好きな曲になりました。
◎6曲目
Honkey Tonk Women
Rolling Stones
(1969)
というわけでローリング・ストーンズ本家登場?!
似てるといってもぱくりとかそういうことではなく、あくまでも
全体の雰囲気とリズムつまりサウンドプロダクションですね。
しかしその範疇でいえばやっぱりよく似てる。
ストーンズは基本オリジナルアルバム単位で聴いていて
ベスト盤はほとんど聴かないので、例えばこの曲のように
アルバム未収録のシングル発売のみの曲は
それまであまり聴いてこなかった、だから入れました。
◎7曲目
Till There Was You
The Beatles
(1963)
ストーンズに続いてビートルズ。
「続日本人の英語」マーク・ピーターセン(著)岩波新書
今読んでいますが、その中でマークさんは"meadow"という
言葉のアングロサクソン的な響きが大好きだと書いています。
僕も好きなんです、アングロサクソン的というのは別として、
何かいい響きの言葉だなって昔から思っていて、
同じ単語が好きな人に出会って驚いたり喜んだり。
その"meadow"という言葉がこの曲に出てきます。
Then there was music and wonderful roses
They tell in sweet fragrant meadows
of dawn and dews
というBメロの部分ですが、そもそも僕がこの"meadow"
という単語を覚えたのがこの曲でした。
"meadow"という単語は、この曲の美しくも寂しい響きを
まさに1語で象徴していると僕は思っています。
そこに"fragrant"という単語がついていればなおのこと。
◎8曲目
Battle Of Evermore
Lovemongers
(1991)
ラヴモンガーズとはなんぞや?
ハートのアン&ナンシー・ウィルソン姉妹のプロジェクト。
もちろんこの2人が歌っていますが、彼女たちが
レッド・ツェッペリン・フリークであるのは有名な話で、
ここではZep4枚目の3曲目に収められたこの曲をカヴァー。
グランジを扱った映画『シングルズ』のサントラの
リマスター盤CDを弟が買ってかけていたところ、
この曲が聞こえてきてCD-Rに入れることを即決。
彼女たちの妖艶さにこれは非常によく合っていますね。
まるで妖精が辺りあちこちに潜んでそう。
◎9曲目
Take It On The Run
REO Speedwagon
(1981)
彼女は「ホームタウン ~僕らの再会」という海外ドラマが好き。
洋楽ヒット曲が劇中で使われていますが、一緒に観ていたところ
流れてきた1曲がREOスピードワゴンのこれでした。
これはずっといつかCD-Rに入れようと思っていた曲ですが、
ついにその時が来ました。
◎10曲目
Mass Tequilla
Sammy Hagar
(1999)
NFLも「第1クォーター」を終了。
今年は応援しているチームがみな成績がよく、
特にフィラデルフィア・イーグルスは6試合を終えた時点で5勝1敗、
32チーム中唯一の1敗という驚くべき展開に。
既に0敗のチームはなく、今年は混戦模様ですね。
イーグルスには気を抜かないで最後まで行っていただきたい。
毎年楽しみなのがオードリー司会の日テレ「NFL倶楽部」。
番組ではパンチの効いた洋楽曲がよく使われますが、
サミー・ヘイガーの強烈なブギー・チューンのこれ、
次週のスケジュールのコーナーで元気よくバックに流れています。
言ってしまえば飲み過ぎたことを自慢するアホみたいな曲ですが、
陽気なサミーが歌うと某かの戒めにもなってしまう不思議。
◎11曲目
The Great Beyond
R.E.M.
(1999)
2017年10月8日(日)の「笑う洋楽展」、
お題は「歌うコメディアン (アメリカ編)」。
そこで紹介されたアンディ・カウフマンの映像が衝撃、いや笑激的。
派手なつなぎを着てI Trusted Youとただ繰り返すだけでしたが、
その仕草、表情、アクションが面白すぎ、みうらじゅん氏も
安斎肇さんも大爆笑、当然その回の最優秀作品賞に輝いた。
ミロス・フォアマン監督、ジム・キャリー主演の映画
『マン・オン・ザ・ムーン』はアンディ・カウフマンの伝記映画で、
僕も当時劇場に観に行きましたが、R.E.M.がサントラを担当し
テーマ曲を歌っていることも観に行ったひとつの理由でした。
そもそも1992年の曲Man On The Moonの歌詞にも
Andy Kaufmanが出てきて、僕はそこで彼の名前を知り、
映画で彼がどんな人かを知りました。
「大いなる向こう側の世界」、この曲はMan On The Moonの続き、
でもアンディは月にはいなかったのかな。
イントロから時々入る固い音のギターのアルペジオが好き。
◎12曲目
You Belong With Me
Taylor Swift
(2009)
「バンラジ」は午後7時からですが、たいていは
その少し前からHBCラジオをかけて待っています。
直前の番組が「井手大介の心の音楽」で、
基本的にはJPOPのリクエスト曲がかかるのですが、
先日は珍しくテイラー・スウィフトのこれがかかりました。
井手さんがどんな人かを僕は知らないのですが、曲を聴いて
これってテイラー・スウィフトがカントリーやってた頃の曲ですよね、
と話していて、僕はテイのカントリー時代の曲はよく知らなくて、
どうやらこれが日本では人気があるらしいと分かり、
早速CD-Rに入れることにしました。
だから他の曲と違ってまだなじみがない、これから慣れよう。
◎13曲目
Someplace Else
George Harrison
(1987)
ジョージ・ハリスンのこれはプリンスを除けば今回唯一
特にきっかけもなくただ頭に浮かんで口ずさんだ曲。
でも今回、これを、トム・ペティに贈る曲にしようと。
トラヴェリング・ウィルベリーズを通して友情を深めた
ジョージとトム、今頃は「どこか他の場所」で、
たばこをふかしながらセッションしているかも。
感傷的なメロディにエリック・クラプトンのギターが突き刺さる。
隠れた名曲と僕は信じています。
◎14曲目
Walls (Circus)
Tom Petty & The Heartbreakers
(1996)
2017年10月2日、トム・ペティ。
同じ月のCD-R、やはりミニ特集をすることにしました。
最初はこれ。
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズがサントラを担当した映画
『彼女は最高』 SHE'S THE ONEからのシングルカット曲ですが、
僕はこのアルバムをあまり聴いてこなかったので、
まずはこの曲からなじみになろうと。
皮肉っぽいけど優しい、そんなトムらしい前向きな曲。
◎15曲目
Leave Virginia Alone
Rod Stewart
(1995)
ロッド・スチュワートのこれはトム・ペティの書き下ろし。
当時日本でも話題に、、、ならなかった。
ロッドが好きな友だちSと新譜として出たこれを聴いて、
感想を求めましたが、Sは口を濁すだけ。
あのトム・ペティが作ったんだよ、カバーじゃないんだよ、
ロッドのために書いたんだ、すごいことなんだよと
力を込めて話してもSは立て板に水。
そんなことを思い出しました。
アメリカでもスマッシュヒットにまでは至らなかったこれ、
数多あるロッドのヒット曲の中でも印象が薄い、そうですかね。
余談、しかしロッドはこの後同じアルバムからのLady Luckが
ドラマで使われ日本で大ヒットしさすがと思わされました。
◎16曲目
Hard Luck Woman
Kiss
(1976)
トムの死に際し、キッスのポール・スタンレーも
追悼文を寄せていますが、曰く、俺たちの前座だった頃から
トムの音楽は大好きでずっと聴いている。
そういうことがあったんだ。
キッスの曲を選ぼうと思っていたらたまたま「バンラジ」で
かかったこれを入れることにしました。
ところでこの曲やっぱり、ロッド・スチュワートのMaggie Mayに
サウンドプロダクションが似てますよね。
ということでロッドの次に入れたのは、まあ偶然です、はい。
◎17曲目
Rainy Day Woman #12 & 35
Tom Petty & The Heartbreakers
(1993)
ボブ・ディラン30周年記念コンサートのライヴ盤から。
この曲は10月1日より前からここに入れると決めていましたが、
それは別に何かを予感したとかではなく、トムの曲を
毎回選ぼうとするのは僕には当たり前のことですからね。
ネットでボブ・ディランについて書かれた文章を見て、
この曲名を目にした瞬間頭の中に流れてきたのが、
なぜかボブ・ディランのオリジナルではなく、
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのこれでした。
アップテンポでいかにも彼ららしい仕上がり。
"Everybody must get stoned"のところで会場も歌うのが、
やっぱりアメリカはすごいなあと思いました。
◎18曲目
Heartbreaker
Dionne Warwick
(1983)
トム・ペティ&ザ・「ハートブレイカー」ズの後にこれ、
まあいってみれば洒落のようなもの。
でも、トムの死により心が傷つくのは洒落では済まない・・・
「バンラジ」でかかったこれを聞いた彼女、
これはビー・ジーズの曲だとひとこと。
半分当たり、歌っているのはディオンヌ・ワーウィックだけど、
作曲者はビー・ジーズのバリー・ギブ。
でもビー・ジーズが歌うヴァージョンも聴いたことがあるという。
僕も聴いたことがある、ライヴのメドレーの1曲だけど。
これが出た中学の頃、あの歌いいよねってみんなが言っていた。
僕も中学時代からずっと大好きな曲です。
◎19曲目
More Than I Can Say
Leo Sayer
(1980)
これも「バンラジ」でかかり、彼女がこの曲いいねとひとこと。
続けて、邦楽でこれと似た曲があるけど思い出せない、と。
ううん、僕も分からないけれど、洋楽の中でも
いかにも日本で受けそうな雰囲気の曲ではありますね。
オリジナルはソニー・カーティス&ジェリー・アリスンによる
1960年の曲ですが、レオ・セイヤーのこのカバーは
ビルボード最高2位の大ヒットを記録しました。
◎20曲目
Short People
Randy Newman
(1977)
最後はランディ・ニューマンに明るく締めてもらいましょう。
「背が低い人には生きる価値がない」と歌うこの曲、
当時は物議をかもしたそうで、皮肉屋ランディ・ニューマン
らしいといえばそうだけど、まあそうなるでしょうね。
この曲は、「笑う洋楽展」のコメディアンの回で
チェビー・チェイスがコメディ番組で歌うライヴものが
取り上げられていましたが、チェビーは歌詞を変えて歌い、
むしろそういう人たちを応援する歌にしていました。
で、チェビー・チェイスといえば、ポール・サイモン1986年の
You Can Call Me Alのビデオクリップに出てポールと一緒に
コメディタッチで歌って踊っていたことを思い出す。
当時は2人の顔が似ているからと言われていましたが、
ポール・サイモンは背が低いことで有名であり、実はこの曲が
背景にあってつながっていたのかって今更ながら分かりました。
そして僕もちょっとだけ遊んでみた。
最後「背の低い人」の歌が終わり、カーステレオでCDが
最初に戻るとそこには(背の低い)プリンスの曲が、というわけ。
02

いかがでしたか!
「バンラジ」が週5になり、車用CD-R作りのペースが
ますます早くなりそうです。

本日また写真撮影小旅行に出ています。
今回も新しい洋楽CD-Rを作りました。
の前に写真01、10月23日(月)、札幌でも雪が降りました。
◎1曲目
I Wanna Be Your Lover
Prince
(1979)
今回はプリンスでスタート。
このCD-Rの選曲は既に前回小旅行の後から始めていましたが、
はて、この曲がどこでリストに入ってきたのか、忘れてしまった・・・
まあいい、この曲は大好きだし1曲目にはふさわしいから。
◎2曲目
Get Together
The Youngbloods
(1967)
ヤングブラッズのこれは以前「吉田類の酒場放浪記」で
使われていたと記事にしましたが、爾来、その番組を観る度に、
僕の頭の中にこの曲が流れるようになりました。
そしてその番組で聴いてからこの曲のことを
ほんとうに大好きになりよく口ずさむようにもなりました。
◎3曲目
Wild World
Mr. Big
(1993)
HBCラジオの洋楽番組「Ban Ban Radio!」
通称「バンラジ」が、野球中継の季節が終わり
また週5で放送されるようになりました。
彼女とよく聴いていますが、これはそこでかかった曲。
オリジナルはキャット・スティーヴンスですが、
僕がこの曲を知ったのはMr.Bigのこのヴァージョンでした。
ヒットした当時より今の方が好きだな、うん。
◎4曲目
You Are Everything
Diana Ross & Marvin Gaye
(1973)
前回の美瑛撮影小旅行で立ち寄ったドイツ風カフェ
「ランド・カフェ」ではメロウな洋楽ヒット曲が流れていて、
ダイアナ・ロス&マーヴィン・ゲイのこれもかかりました。
他にはシンディ・ローパーTime After Time、
クリストファー・クロス「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」
などなど。
でも冷静に聴くとこれ、ダイアナ&マーヴィンの「調和」
というよりむしろ「対決」みたいな感じもしますね。
マーヴィンは一緒に歌う女性シンガーを好きになってしまうと
いい歌いい曲いい演奏ができる人だったそうですが、
ということは、ダイアナは・・・
◎5曲目
Everybody Needs Someone Sometimes
Jewel
(2001)
前回のCD-R(記事こちら)にジュエルを入れてから、
僕の中でジュエル再評価の流れができて、久し振りに棚から
手に取って聴いたのがこれが入ったアルバムTHIS WAY。
10年以上聴いていなかったのでところどころ忘れていたけれど、
やっぱり素晴らしいアルバムだと再認識。
中でもこれ、そうそう、最初に聴いた時、ローリング・ストーンズの
Honkey Tonk Womenに似てるなぁと思ったっけ。
極北のアラスカ出身ジュエルがアメリカ南部風の曲に挑戦し
見事こなしてみせたという図式ですが、
何をやってもやっぱり声がいい、これに尽きますね。
長い眠りから覚めて、これもまたより好きな曲になりました。
◎6曲目
Honkey Tonk Women
Rolling Stones
(1969)
というわけでローリング・ストーンズ本家登場?!
似てるといってもぱくりとかそういうことではなく、あくまでも
全体の雰囲気とリズムつまりサウンドプロダクションですね。
しかしその範疇でいえばやっぱりよく似てる。
ストーンズは基本オリジナルアルバム単位で聴いていて
ベスト盤はほとんど聴かないので、例えばこの曲のように
アルバム未収録のシングル発売のみの曲は
それまであまり聴いてこなかった、だから入れました。
◎7曲目
Till There Was You
The Beatles
(1963)
ストーンズに続いてビートルズ。
「続日本人の英語」マーク・ピーターセン(著)岩波新書
今読んでいますが、その中でマークさんは"meadow"という
言葉のアングロサクソン的な響きが大好きだと書いています。
僕も好きなんです、アングロサクソン的というのは別として、
何かいい響きの言葉だなって昔から思っていて、
同じ単語が好きな人に出会って驚いたり喜んだり。
その"meadow"という言葉がこの曲に出てきます。
Then there was music and wonderful roses
They tell in sweet fragrant meadows
of dawn and dews
というBメロの部分ですが、そもそも僕がこの"meadow"
という単語を覚えたのがこの曲でした。
"meadow"という単語は、この曲の美しくも寂しい響きを
まさに1語で象徴していると僕は思っています。
そこに"fragrant"という単語がついていればなおのこと。
◎8曲目
Battle Of Evermore
Lovemongers
(1991)
ラヴモンガーズとはなんぞや?
ハートのアン&ナンシー・ウィルソン姉妹のプロジェクト。
もちろんこの2人が歌っていますが、彼女たちが
レッド・ツェッペリン・フリークであるのは有名な話で、
ここではZep4枚目の3曲目に収められたこの曲をカヴァー。
グランジを扱った映画『シングルズ』のサントラの
リマスター盤CDを弟が買ってかけていたところ、
この曲が聞こえてきてCD-Rに入れることを即決。
彼女たちの妖艶さにこれは非常によく合っていますね。
まるで妖精が辺りあちこちに潜んでそう。
◎9曲目
Take It On The Run
REO Speedwagon
(1981)
彼女は「ホームタウン ~僕らの再会」という海外ドラマが好き。
洋楽ヒット曲が劇中で使われていますが、一緒に観ていたところ
流れてきた1曲がREOスピードワゴンのこれでした。
これはずっといつかCD-Rに入れようと思っていた曲ですが、
ついにその時が来ました。
◎10曲目
Mass Tequilla
Sammy Hagar
(1999)
NFLも「第1クォーター」を終了。
今年は応援しているチームがみな成績がよく、
特にフィラデルフィア・イーグルスは6試合を終えた時点で5勝1敗、
32チーム中唯一の1敗という驚くべき展開に。
既に0敗のチームはなく、今年は混戦模様ですね。
イーグルスには気を抜かないで最後まで行っていただきたい。
毎年楽しみなのがオードリー司会の日テレ「NFL倶楽部」。
番組ではパンチの効いた洋楽曲がよく使われますが、
サミー・ヘイガーの強烈なブギー・チューンのこれ、
次週のスケジュールのコーナーで元気よくバックに流れています。
言ってしまえば飲み過ぎたことを自慢するアホみたいな曲ですが、
陽気なサミーが歌うと某かの戒めにもなってしまう不思議。
◎11曲目
The Great Beyond
R.E.M.
(1999)
2017年10月8日(日)の「笑う洋楽展」、
お題は「歌うコメディアン (アメリカ編)」。
そこで紹介されたアンディ・カウフマンの映像が衝撃、いや笑激的。
派手なつなぎを着てI Trusted Youとただ繰り返すだけでしたが、
その仕草、表情、アクションが面白すぎ、みうらじゅん氏も
安斎肇さんも大爆笑、当然その回の最優秀作品賞に輝いた。
ミロス・フォアマン監督、ジム・キャリー主演の映画
『マン・オン・ザ・ムーン』はアンディ・カウフマンの伝記映画で、
僕も当時劇場に観に行きましたが、R.E.M.がサントラを担当し
テーマ曲を歌っていることも観に行ったひとつの理由でした。
そもそも1992年の曲Man On The Moonの歌詞にも
Andy Kaufmanが出てきて、僕はそこで彼の名前を知り、
映画で彼がどんな人かを知りました。
「大いなる向こう側の世界」、この曲はMan On The Moonの続き、
でもアンディは月にはいなかったのかな。
イントロから時々入る固い音のギターのアルペジオが好き。
◎12曲目
You Belong With Me
Taylor Swift
(2009)
「バンラジ」は午後7時からですが、たいていは
その少し前からHBCラジオをかけて待っています。
直前の番組が「井手大介の心の音楽」で、
基本的にはJPOPのリクエスト曲がかかるのですが、
先日は珍しくテイラー・スウィフトのこれがかかりました。
井手さんがどんな人かを僕は知らないのですが、曲を聴いて
これってテイラー・スウィフトがカントリーやってた頃の曲ですよね、
と話していて、僕はテイのカントリー時代の曲はよく知らなくて、
どうやらこれが日本では人気があるらしいと分かり、
早速CD-Rに入れることにしました。
だから他の曲と違ってまだなじみがない、これから慣れよう。
◎13曲目
Someplace Else
George Harrison
(1987)
ジョージ・ハリスンのこれはプリンスを除けば今回唯一
特にきっかけもなくただ頭に浮かんで口ずさんだ曲。
でも今回、これを、トム・ペティに贈る曲にしようと。
トラヴェリング・ウィルベリーズを通して友情を深めた
ジョージとトム、今頃は「どこか他の場所」で、
たばこをふかしながらセッションしているかも。
感傷的なメロディにエリック・クラプトンのギターが突き刺さる。
隠れた名曲と僕は信じています。
◎14曲目
Walls (Circus)
Tom Petty & The Heartbreakers
(1996)
2017年10月2日、トム・ペティ。
同じ月のCD-R、やはりミニ特集をすることにしました。
最初はこれ。
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズがサントラを担当した映画
『彼女は最高』 SHE'S THE ONEからのシングルカット曲ですが、
僕はこのアルバムをあまり聴いてこなかったので、
まずはこの曲からなじみになろうと。
皮肉っぽいけど優しい、そんなトムらしい前向きな曲。
◎15曲目
Leave Virginia Alone
Rod Stewart
(1995)
ロッド・スチュワートのこれはトム・ペティの書き下ろし。
当時日本でも話題に、、、ならなかった。
ロッドが好きな友だちSと新譜として出たこれを聴いて、
感想を求めましたが、Sは口を濁すだけ。
あのトム・ペティが作ったんだよ、カバーじゃないんだよ、
ロッドのために書いたんだ、すごいことなんだよと
力を込めて話してもSは立て板に水。
そんなことを思い出しました。
アメリカでもスマッシュヒットにまでは至らなかったこれ、
数多あるロッドのヒット曲の中でも印象が薄い、そうですかね。
余談、しかしロッドはこの後同じアルバムからのLady Luckが
ドラマで使われ日本で大ヒットしさすがと思わされました。
◎16曲目
Hard Luck Woman
Kiss
(1976)
トムの死に際し、キッスのポール・スタンレーも
追悼文を寄せていますが、曰く、俺たちの前座だった頃から
トムの音楽は大好きでずっと聴いている。
そういうことがあったんだ。
キッスの曲を選ぼうと思っていたらたまたま「バンラジ」で
かかったこれを入れることにしました。
ところでこの曲やっぱり、ロッド・スチュワートのMaggie Mayに
サウンドプロダクションが似てますよね。
ということでロッドの次に入れたのは、まあ偶然です、はい。
◎17曲目
Rainy Day Woman #12 & 35
Tom Petty & The Heartbreakers
(1993)
ボブ・ディラン30周年記念コンサートのライヴ盤から。
この曲は10月1日より前からここに入れると決めていましたが、
それは別に何かを予感したとかではなく、トムの曲を
毎回選ぼうとするのは僕には当たり前のことですからね。
ネットでボブ・ディランについて書かれた文章を見て、
この曲名を目にした瞬間頭の中に流れてきたのが、
なぜかボブ・ディランのオリジナルではなく、
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのこれでした。
アップテンポでいかにも彼ららしい仕上がり。
"Everybody must get stoned"のところで会場も歌うのが、
やっぱりアメリカはすごいなあと思いました。
◎18曲目
Heartbreaker
Dionne Warwick
(1983)
トム・ペティ&ザ・「ハートブレイカー」ズの後にこれ、
まあいってみれば洒落のようなもの。
でも、トムの死により心が傷つくのは洒落では済まない・・・
「バンラジ」でかかったこれを聞いた彼女、
これはビー・ジーズの曲だとひとこと。
半分当たり、歌っているのはディオンヌ・ワーウィックだけど、
作曲者はビー・ジーズのバリー・ギブ。
でもビー・ジーズが歌うヴァージョンも聴いたことがあるという。
僕も聴いたことがある、ライヴのメドレーの1曲だけど。
これが出た中学の頃、あの歌いいよねってみんなが言っていた。
僕も中学時代からずっと大好きな曲です。
◎19曲目
More Than I Can Say
Leo Sayer
(1980)
これも「バンラジ」でかかり、彼女がこの曲いいねとひとこと。
続けて、邦楽でこれと似た曲があるけど思い出せない、と。
ううん、僕も分からないけれど、洋楽の中でも
いかにも日本で受けそうな雰囲気の曲ではありますね。
オリジナルはソニー・カーティス&ジェリー・アリスンによる
1960年の曲ですが、レオ・セイヤーのこのカバーは
ビルボード最高2位の大ヒットを記録しました。
◎20曲目
Short People
Randy Newman
(1977)
最後はランディ・ニューマンに明るく締めてもらいましょう。
「背が低い人には生きる価値がない」と歌うこの曲、
当時は物議をかもしたそうで、皮肉屋ランディ・ニューマン
らしいといえばそうだけど、まあそうなるでしょうね。
この曲は、「笑う洋楽展」のコメディアンの回で
チェビー・チェイスがコメディ番組で歌うライヴものが
取り上げられていましたが、チェビーは歌詞を変えて歌い、
むしろそういう人たちを応援する歌にしていました。
で、チェビー・チェイスといえば、ポール・サイモン1986年の
You Can Call Me Alのビデオクリップに出てポールと一緒に
コメディタッチで歌って踊っていたことを思い出す。
当時は2人の顔が似ているからと言われていましたが、
ポール・サイモンは背が低いことで有名であり、実はこの曲が
背景にあってつながっていたのかって今更ながら分かりました。
そして僕もちょっとだけ遊んでみた。
最後「背の低い人」の歌が終わり、カーステレオでCDが
最初に戻るとそこには(背の低い)プリンスの曲が、というわけ。
02

いかがでしたか!
「バンラジ」が週5になり、車用CD-R作りのペースが
ますます早くなりそうです。
2017年10月03日
トム・ペティが
01

トム・ペティが死んだ。
亡くなったと書くべきかもしれないけれど、
衝撃はあまりにも大きくて他の言葉が思い当たらない。
まさかこの日が来るなんて。
訃報記事。
****
米ロックミュージシャンのトム・ペティさん死去 66歳
家族が発表
【AFP=時事】
米ロックミュージシャンのトム・ペティ(Tom Petty)さんが
2日未明、心停止の状態に陥り、その後死去した。66歳。
数時間前には米国のメディアが未確認情報として
訃報記事を流していたが、遺族がペティさんの死を確認した。
家族は、「私たちの父、夫、きょうだい、リーダー、
そして仲間であるトム・ペティの早過ぎる死を報告するに
当たって打ちのめされています」との声明を発表した。
ペティさんは2日未明、米カリフォルニア州マリブの自宅で
心停止の状態に陥った。
声明によると、ペティさんはすぐにロサンゼルスの病院に
搬送されたものの蘇生することがかなわず、
同日午前8時40分に家族やバンドのメンバー、友人らに
囲まれて安らかに息を引き取った」という。
****
今朝トムが危篤であると聞いた瞬間頭に流れてきた曲。
☆
Only A Broken Heart
Tom Petty
(1994)
ほんとうにこの曲が最初に浮かんだのですが、
ほんとうにそれが今の僕の気持ちを表している。
大好きなアーティストが亡くなると、
その人の音楽をたくさん聴く、聴きたくなる。
でも、僕は、トムの死を知り、トムの音楽を、声を、
聴きたくもなかった。
受け入れられないから。
しかし帰宅してやっぱり聴きたい気持ちに抗えなくなった。
最初は、結果として「遺作」ということになるのか、
トム生前最後のスタジオ録音アルバムである
マッドクラッチのMUDCRUTCH 2を聴きました。
☆
Dreams Of Flying
Mudcrutch
(2016)
早すぎる、もう飛んで行ってしまったなんて・・・
続いてトム・ペティ&ザ・ハートブレカーズ名義による
生前最後のアルバムを聴きました。
ビルボードNo.1に輝いた彼ら唯一の作品。
☆
Fault Lines
Tom Petty & The Heartbreakers
(2014)
このCDを手に取った時最初に思い浮かんで口ずさんだ曲。
訃報に接して2曲目に頭に浮かんできたのは、明るいこの曲。
☆
Feel A Whole Lot Better
Tom Petty
(1989)
トム・ペティ最初のソロアルバムにして80年代の名盤。
ザ・バーズの曲のまさに最高のカバー。
口ずさむには歌メロがあまりにも素晴らしすぎる。
その次に浮かんだのはこれでした。
☆
It Ain't Nothing To Me
Tom Petty & The Heartbreakers
(1985)
なぜだろう、自分でもこれが浮かんだのは不思議。
ディスコっぽいファンクっぽいソウルっぽい。
こういうのもできる人だったんだなあってあらためて。
そこからはもう次々とトムの曲が頭の中に、仕事中でしたが。
その中の1曲は、「死」を扱ったビデオクリップでした。
☆
Mary Jane's Last Dance
Tom Petty & The Heartbreakers
(1993)
キム・ベイシンガーが出演するこのビデオクリップは
当時話題になりました。
最後に、僕がトム・ペティと出会った曲を残しておかなければ。
☆
You Got Lucky
Tom Petty & The Heartbreakers
(1982)
中学3年の秋、NHK-FMでエアチェックした曲。
気持ちが動かされましたが、レコードは買わなかった。
まだ僕には早いと思ったのかな。
ついにコンサートに行くことができなかった。
日本でも、アメリカでも。
ありがとう、トム・ペティ、そしてさようなら

トム・ペティが死んだ。
亡くなったと書くべきかもしれないけれど、
衝撃はあまりにも大きくて他の言葉が思い当たらない。
まさかこの日が来るなんて。
訃報記事。
****
米ロックミュージシャンのトム・ペティさん死去 66歳
家族が発表
【AFP=時事】
米ロックミュージシャンのトム・ペティ(Tom Petty)さんが
2日未明、心停止の状態に陥り、その後死去した。66歳。
数時間前には米国のメディアが未確認情報として
訃報記事を流していたが、遺族がペティさんの死を確認した。
家族は、「私たちの父、夫、きょうだい、リーダー、
そして仲間であるトム・ペティの早過ぎる死を報告するに
当たって打ちのめされています」との声明を発表した。
ペティさんは2日未明、米カリフォルニア州マリブの自宅で
心停止の状態に陥った。
声明によると、ペティさんはすぐにロサンゼルスの病院に
搬送されたものの蘇生することがかなわず、
同日午前8時40分に家族やバンドのメンバー、友人らに
囲まれて安らかに息を引き取った」という。
****
今朝トムが危篤であると聞いた瞬間頭に流れてきた曲。
☆
Only A Broken Heart
Tom Petty
(1994)
ほんとうにこの曲が最初に浮かんだのですが、
ほんとうにそれが今の僕の気持ちを表している。
大好きなアーティストが亡くなると、
その人の音楽をたくさん聴く、聴きたくなる。
でも、僕は、トムの死を知り、トムの音楽を、声を、
聴きたくもなかった。
受け入れられないから。
しかし帰宅してやっぱり聴きたい気持ちに抗えなくなった。
最初は、結果として「遺作」ということになるのか、
トム生前最後のスタジオ録音アルバムである
マッドクラッチのMUDCRUTCH 2を聴きました。
☆
Dreams Of Flying
Mudcrutch
(2016)
早すぎる、もう飛んで行ってしまったなんて・・・
続いてトム・ペティ&ザ・ハートブレカーズ名義による
生前最後のアルバムを聴きました。
ビルボードNo.1に輝いた彼ら唯一の作品。
☆
Fault Lines
Tom Petty & The Heartbreakers
(2014)
このCDを手に取った時最初に思い浮かんで口ずさんだ曲。
訃報に接して2曲目に頭に浮かんできたのは、明るいこの曲。
☆
Feel A Whole Lot Better
Tom Petty
(1989)
トム・ペティ最初のソロアルバムにして80年代の名盤。
ザ・バーズの曲のまさに最高のカバー。
口ずさむには歌メロがあまりにも素晴らしすぎる。
その次に浮かんだのはこれでした。
☆
It Ain't Nothing To Me
Tom Petty & The Heartbreakers
(1985)
なぜだろう、自分でもこれが浮かんだのは不思議。
ディスコっぽいファンクっぽいソウルっぽい。
こういうのもできる人だったんだなあってあらためて。
そこからはもう次々とトムの曲が頭の中に、仕事中でしたが。
その中の1曲は、「死」を扱ったビデオクリップでした。
☆
Mary Jane's Last Dance
Tom Petty & The Heartbreakers
(1993)
キム・ベイシンガーが出演するこのビデオクリップは
当時話題になりました。
最後に、僕がトム・ペティと出会った曲を残しておかなければ。
☆
You Got Lucky
Tom Petty & The Heartbreakers
(1982)
中学3年の秋、NHK-FMでエアチェックした曲。
気持ちが動かされましたが、レコードは買わなかった。
まだ僕には早いと思ったのかな。
ついにコンサートに行くことができなかった。
日本でも、アメリカでも。
ありがとう、トム・ペティ、そしてさようなら
2016年11月26日
The Waiting トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ
01

The Waiting
Tom Petty & The Heaartbreakers
ザ・ウェイティング
トム・ペティ&ザ・ハートブレカーズ
本日の1曲、The Waiting トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ
先ずは曲から。
☆
The Waiting
Tom Petty & The Heartbreakers
(1981)
大好きなアーティストの曲を思わぬところで聴くと嬉しいですよね。
嬉しくないですか!?
しかもそれが、日本では人気がないアーティストとあっては。
僕がトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの
The Waitingを思わぬかたちえ聴いたのは、
アップルのお客様サポートセンターの電話口でした。
質問をしているのを横で聞いていて、
窓口の女性が「お待ちください」と言った後、
保留音の代わりに電話口から漏れてきたのは聴きなじみの曲。
イントロからちゃんと始まり、0.89秒くらいで曲が分かると胸が高鳴り、
は大袈裟か(笑)、歌に入ると思わず口ずさんでしまいました。
嬉しかったぁ。
終わりまで聴かせてぇと思ったけど、
半分くらいのところで女性が電話に出て残念(笑)。
いいセンスですねぇ、さすがアメリカの企業(の日本の部署)。
◇
トム・ペティ&ザ・ハートブレカーズのThe Waitingは、
先日亡くなられたレオン・ラッセルのShelterからデビュー作と
2作目の後MCAに移籍、3作目DAMN THE TORPEDOESで
ブレイクを果たし、全米が待ちに待った
4作目HARD PROMISESからのファーストシングル曲。
ビルボード誌シングルチャート最高19位、
ロックチャートでは1位に輝いています。
リリースされたのは1981年4月。
僕がビートルズを聴き始めたのがその年の8月、
トムのこの曲が出た時は洋楽を聴いておらず、
それから1年はビートルズとそのメンバーしか聴かなかったので、
この曲は知らなかった。
この曲はCDの時代になり、アルバムを買って聴いて知りました。
最初は正直こう思いました
「この歌がヒットするのはアメリカだからなんだろうなあ」
曲にメリハリがないというか、大きな流れそのままに
最後まで行ってしまってつかみどころがない、そんな感じ。
僕自身は一発で気に入って大好きになりましたが、
その頃はもう自分はアメリカのロックと相性がいいことが
分かっていたので、すんなりと受け入れられました。
それが日本の電話でかかったのだから、面白いですよね。
これを聴いて誰の何という曲と分かる人って
1%もいないのではないかな。
トム・ペティだと分かる人はもう少し多いかもしれないけれど。
あ、もしこの曲The Waitingを聴いてみたいと思われたのであれば、
Appleのお客様サポートセンターに電話して、
難しい質問をしてみるといいですよ(笑)。
02

Appleの電話でThe Waitingを聴く少し前、別の場所でも
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの曲をたまたま聴いた、
出くわしていました。
だから余計にこの偶然が嬉しくて驚きもしたのです。
☆
Christmas All Over Again
Tom Petty & The Heartbreakers
街角でクリスマスソングが流れる時期ですからね、
この曲が流れても不思議ではない。
ないんですが、でもやっぱり日本では人気がないトム達の曲が流れ、
しかもその瞬間その店に居合わせたという
小さな幸せを感じずにはいられませんでした。
今年もクリスマスソングやクリスマスアルバムを聴く時期か。
今年は新たに車用にCD-R編集しよう。
あ、CD-Rはもう古いのか・・・(笑)。
03


The Waiting
Tom Petty & The Heaartbreakers
ザ・ウェイティング
トム・ペティ&ザ・ハートブレカーズ
本日の1曲、The Waiting トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ
先ずは曲から。
☆
The Waiting
Tom Petty & The Heartbreakers
(1981)
大好きなアーティストの曲を思わぬところで聴くと嬉しいですよね。
嬉しくないですか!?
しかもそれが、日本では人気がないアーティストとあっては。
僕がトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの
The Waitingを思わぬかたちえ聴いたのは、
アップルのお客様サポートセンターの電話口でした。
質問をしているのを横で聞いていて、
窓口の女性が「お待ちください」と言った後、
保留音の代わりに電話口から漏れてきたのは聴きなじみの曲。
イントロからちゃんと始まり、0.89秒くらいで曲が分かると胸が高鳴り、
は大袈裟か(笑)、歌に入ると思わず口ずさんでしまいました。
嬉しかったぁ。
終わりまで聴かせてぇと思ったけど、
半分くらいのところで女性が電話に出て残念(笑)。
いいセンスですねぇ、さすがアメリカの企業(の日本の部署)。
◇
トム・ペティ&ザ・ハートブレカーズのThe Waitingは、
先日亡くなられたレオン・ラッセルのShelterからデビュー作と
2作目の後MCAに移籍、3作目DAMN THE TORPEDOESで
ブレイクを果たし、全米が待ちに待った
4作目HARD PROMISESからのファーストシングル曲。
ビルボード誌シングルチャート最高19位、
ロックチャートでは1位に輝いています。
リリースされたのは1981年4月。
僕がビートルズを聴き始めたのがその年の8月、
トムのこの曲が出た時は洋楽を聴いておらず、
それから1年はビートルズとそのメンバーしか聴かなかったので、
この曲は知らなかった。
この曲はCDの時代になり、アルバムを買って聴いて知りました。
最初は正直こう思いました
「この歌がヒットするのはアメリカだからなんだろうなあ」
曲にメリハリがないというか、大きな流れそのままに
最後まで行ってしまってつかみどころがない、そんな感じ。
僕自身は一発で気に入って大好きになりましたが、
その頃はもう自分はアメリカのロックと相性がいいことが
分かっていたので、すんなりと受け入れられました。
それが日本の電話でかかったのだから、面白いですよね。
これを聴いて誰の何という曲と分かる人って
1%もいないのではないかな。
トム・ペティだと分かる人はもう少し多いかもしれないけれど。
あ、もしこの曲The Waitingを聴いてみたいと思われたのであれば、
Appleのお客様サポートセンターに電話して、
難しい質問をしてみるといいですよ(笑)。
02

Appleの電話でThe Waitingを聴く少し前、別の場所でも
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの曲をたまたま聴いた、
出くわしていました。
だから余計にこの偶然が嬉しくて驚きもしたのです。
☆
Christmas All Over Again
Tom Petty & The Heartbreakers
街角でクリスマスソングが流れる時期ですからね、
この曲が流れても不思議ではない。
ないんですが、でもやっぱり日本では人気がないトム達の曲が流れ、
しかもその瞬間その店に居合わせたという
小さな幸せを感じずにはいられませんでした。
今年もクリスマスソングやクリスマスアルバムを聴く時期か。
今年は新たに車用にCD-R編集しよう。
あ、CD-Rはもう古いのか・・・(笑)。
03

2016年06月11日
2 マッドクラッチ新譜
01

2 Mudcrutch
2 マッドクラッチ (2016)
本日はマッドクラッチの新譜の記事です。
ロック系でいま僕がいちばんよく聴いているアルバム、
このところ毎日かけてます。
マッドクラッチとは、という話を一応もう一度だけすると
(といって8年振りですが)、トム・ペティが自身の名を冠した
バンドでデビューする前に仲間内で組んでいたバンド。
しかしバンドとして本格的に活動する前に消滅。
一方トム・ペティ&ザ・ハートブレカーズが
アメリカを代表するロックバンドに。
2008年、トム達が久し振りに以前の仲間で集まって録音した
MUDCRUTCHがアルバムとしての「デビュー作」。
そして今年8年振りに2作目が出ました。
メンバーは
トム・ペティ* (Bs)(Vo)
ベンモント・テンチ* (Key)(Vo)
トム・レドン (Gt)(Vo)
マイク・キャンベル* (Gt)
ランドール・マーシュ (Ds)
*がついた人が現行トム・ペティ&ザ・ハートブレカーズのメンバー。
トム・レドンはオリジナルメンバーのひとりで、
元イーグルスのバーニー・リードンの弟。
兄弟で苗字が違うのか、と思われるかもですが、
どちらもLeadonで同じ。
ただ、元イーグルスの兄の方は「リードン」の方が
日本では通りがいいのではと考えてのことです
(今は「バーニー・レドン」と書かれることも増えているようですが)。
今回2作目となりますが、前作よりもいい意味で軽い
つまりポップであると、カントリー色がやや薄まっている感じかな。
さらにひとことでいうと、
「自分たちが懐かしみながら音楽を作る感覚が強い」、
といったところ。
トム達本体のようなロック的はったりが強い曲ではなく、
趣味の世界を高めた、余裕のある演奏と曲を聴かせてくれます。
まあだから売れ線かといわれればそうではないのでしょうけど、
でもビルボード誌アルバムチャートでは10位に入っていて、
それなりに売れてはいます。
懐かしむ感覚は、アメリカのポップロックの
いいところを集めてみたという感覚にもつながります。
そんな彼ら自身も「70年代の生き残り」のようなバンドですからね。
そういう意味では二重の懐かしさを感じます。
02 こいつら泥"mud"は大嫌い・・・

1曲目 Trailer
元気に明るく前に進む曲でスタート。
いかにも広々としたアメリカを感じさせる曲ですが、聴いているうちに、
トラヴェリング・ウィルベリーズの名残のようだと思うようになりました。
しかし、さらっと聴き終るのではなく何か引きずった感覚が残る、
なるほどだから「トレイラー」なんだ。
この曲のオフィシャルオーディオがありました。
Trailer
Mudcrutch
2曲目 Dreams Of Flying
こちらはLearning To Flyの続編か、なあんて考え過ぎ(笑)。
「飛ぶことを夢見る」という内容でこの切迫感、重たさ。
自由に飛ぶこともままならない。
飛べたとしても落ちる不安が。
説得力があります。
この切迫感もトムの魅力。
3曲目 Beautiful Blue
トムらしいほのかな陰り、マイナー調のミイディアムスロウな曲。
タイトルの言葉を歌うトムの半分裏返りそうな声、
そうそうこれを聴きたかったんだ。
ブルージーなロックらしいギターソロが素晴らしいのですが、
ソロが2回に分かれて入っているのは、トム・レドンと
マイク・キャンベルがそれぞれ担当しているということかな。
ブックレットというものがないんですよね、今回、
ネットで調べれば分かるかもしれないですが。
"blue"という言葉、自然と反応してしまいますよね、
ブルーズがよく分からない僕でも・・・
じわっとしみてきます。
4曲目 Beautiful World
"beautiful"と入った曲が2曲続くのは何か意図があるのかな?
そういうことを考えずにはいられないのが悪い癖(笑)。
しかし前曲とは打って変わって明るくて軽く元気な曲。
歌うのはランドール・マーシュ、この軽さに声がよく合っていて、
トムではこうはいかなかったのではないか。
もちろんランドール・マーシュ自身が作った曲だから
歌うのは当たり前でしょうけど、この変化は効果的。
そして軽い声の彼が歌うことで、これはとっても
「かわいらしい曲」になっています。
なんて60前後の男性に言う言葉じゃないか(笑)。
この曲もオフィシャルのオーディオがありました。
Beautiful World
Mudcrutch
5曲目 I Forgive It All
こちらはカントリー調のトムらしい曲で僕がいちばん好きな
WILDFLOWERSの流れにあるかな。
そう思うだけで愛おしくなり、懐かしさのようなものにも襲われます。
「きれいな」曲ですね、「美しい」曲というよりは。
そんな心持だから、すべてを許せるのでしょう。
6曲目 The Other Side Of The Mountain
イントロから出てくる「だだんだだんだん~」
というギターフレーズが効果的。
バンジョーが全編に流れ、山を歌ったタイトルともども
カントリー色が濃い曲と思ったらそれもそのはず、
トム・レドンの作曲。
リードヴォーカルも2人のトムが分担していますが、
やっぱりトム・レドンは軽い声、
そこにトム・ペティのどっしりとした声が出てくるとしまりますね。
それんしても「だだんだだんだん~」がとにかく印象的でカッコいい。
7曲目 Hope
力強いマーチスタイルの元気な曲。
何かを宣言するような、選挙演説のような
トムの歌声にはこちらも元気が出る。
ここではテンチのキーボードが強く引っ張っている。
間奏を受けてから終わりまでの展開、特に2'47"のパッセージ、
久し振りに展開にはっとさせられる曲。
そのは入口のギターソロの音のとりかたと奥に引っ込んで
均したような音色(録音)がとても変わってて印象的。
8曲目 Welcome To Hell
前の曲から間髪入れずにフルスロットルで始まる、
ロカビリー風のお遊び感覚に満ちたハードな曲。
アメリカ人には懐かしい響きなのでしょう。
ベンモント・テンチが作曲し歌っていますが、
彼の歌い方はエルヴィス・プレスリーを意識しているな、きっと。
ピアノ低音のロックンロールのリフを聴くと、
やっぱりロックンロールは基本だと思いますね。
「地獄へようこそ」という曲も明るく楽しく歌えるのも
いかにもロックらしい。
そういえばこのアルバムでトムはベースを担当しています。
自分より上手いギタリストが2人いるので、
わざわざギターを弾くでもなかったのでしょう。
トムのベースはここで素晴らしいグルーヴ感を出しています。
9曲目 Save Your Water
一転した軽やかな曲。
サビの歌メロがコーラスともども非常に印象的で、
これはカントリー系の70年代のヒット曲といった感じかな。
10曲目 Victim Of Circumstance
ボブ・ディラン経由の切れがいいロックンロール。
「犠牲」とか言っている割には明るく割り切った感覚が楽しい。
これも前曲が終わってすぐに始まるのが効果的。
アップテンポが2曲続く、最後への助走。
11曲目 Hungry No More
最後もキーボードの音が残った中で隙間なしに始まる。
いかにもアルバム最後らしい6分以上ある大作風の
この曲があることでアルバムの収まりがよく、
充実したアルバムを聴いたなあという感慨にふけります。
大作風といっても曲の作りはシンプルで、
展開があるわけでもない。
この演奏に込めたメンバーの気合い、
意味合いの重たさが「大作風」と感じさせる部分です。
曲が終わって10秒以上の間があるので、
シークレットトラックか何かが入っているのかなと期待したけれど、
何もなく終わります。
もったいぶって意地悪、と思わなくもないけれど(笑)、
そういうお遊びもいいですね。
また、その間があるからこそ
「大作風でどっしりと終わる」という感覚が強くなります。
今回も国内盤は出ないか・・・
トム達のアルバムのようにロック音楽に一石を投じるほど
大きな意味がある、というものではないかもしれない。
でも、そんなアルバムでも真剣に取り組み、
各自の芸(歌も含む)を惜しげもなく披露してくれる
トム・ペティとその仲間たちは、やっぱり
信じるに足るミュージシャンであるとの思いを強くしました。
5月6月は新作新譜ラッシュで超のつく大物も出ていますが、
実はもう1枚ありました、ということですね。
正直いえば、僕自身、直前に来日公演をしたその2人の
超大物よりこちらの新譜の方が嬉しかったですが。
もちろんその2人(特に年上の方)も
それなり以上に気に入ってはいます、念のため。
生物好きにはジャケット写真も最高にいいですね。
ちなみに僕は、哺乳類に喩えると「熊」以外は
言われたことがないのですが・・・(笑)。
最後は01のアウトテイク。
03

マーサせっかく目を開けたのに、ビニールへの照明の反射が
白い筋となって写り込んでしまいました。

2 Mudcrutch
2 マッドクラッチ (2016)
本日はマッドクラッチの新譜の記事です。
ロック系でいま僕がいちばんよく聴いているアルバム、
このところ毎日かけてます。
マッドクラッチとは、という話を一応もう一度だけすると
(といって8年振りですが)、トム・ペティが自身の名を冠した
バンドでデビューする前に仲間内で組んでいたバンド。
しかしバンドとして本格的に活動する前に消滅。
一方トム・ペティ&ザ・ハートブレカーズが
アメリカを代表するロックバンドに。
2008年、トム達が久し振りに以前の仲間で集まって録音した
MUDCRUTCHがアルバムとしての「デビュー作」。
そして今年8年振りに2作目が出ました。
メンバーは
トム・ペティ* (Bs)(Vo)
ベンモント・テンチ* (Key)(Vo)
トム・レドン (Gt)(Vo)
マイク・キャンベル* (Gt)
ランドール・マーシュ (Ds)
*がついた人が現行トム・ペティ&ザ・ハートブレカーズのメンバー。
トム・レドンはオリジナルメンバーのひとりで、
元イーグルスのバーニー・リードンの弟。
兄弟で苗字が違うのか、と思われるかもですが、
どちらもLeadonで同じ。
ただ、元イーグルスの兄の方は「リードン」の方が
日本では通りがいいのではと考えてのことです
(今は「バーニー・レドン」と書かれることも増えているようですが)。
今回2作目となりますが、前作よりもいい意味で軽い
つまりポップであると、カントリー色がやや薄まっている感じかな。
さらにひとことでいうと、
「自分たちが懐かしみながら音楽を作る感覚が強い」、
といったところ。
トム達本体のようなロック的はったりが強い曲ではなく、
趣味の世界を高めた、余裕のある演奏と曲を聴かせてくれます。
まあだから売れ線かといわれればそうではないのでしょうけど、
でもビルボード誌アルバムチャートでは10位に入っていて、
それなりに売れてはいます。
懐かしむ感覚は、アメリカのポップロックの
いいところを集めてみたという感覚にもつながります。
そんな彼ら自身も「70年代の生き残り」のようなバンドですからね。
そういう意味では二重の懐かしさを感じます。
02 こいつら泥"mud"は大嫌い・・・

1曲目 Trailer
元気に明るく前に進む曲でスタート。
いかにも広々としたアメリカを感じさせる曲ですが、聴いているうちに、
トラヴェリング・ウィルベリーズの名残のようだと思うようになりました。
しかし、さらっと聴き終るのではなく何か引きずった感覚が残る、
なるほどだから「トレイラー」なんだ。
この曲のオフィシャルオーディオがありました。
Trailer
Mudcrutch
2曲目 Dreams Of Flying
こちらはLearning To Flyの続編か、なあんて考え過ぎ(笑)。
「飛ぶことを夢見る」という内容でこの切迫感、重たさ。
自由に飛ぶこともままならない。
飛べたとしても落ちる不安が。
説得力があります。
この切迫感もトムの魅力。
3曲目 Beautiful Blue
トムらしいほのかな陰り、マイナー調のミイディアムスロウな曲。
タイトルの言葉を歌うトムの半分裏返りそうな声、
そうそうこれを聴きたかったんだ。
ブルージーなロックらしいギターソロが素晴らしいのですが、
ソロが2回に分かれて入っているのは、トム・レドンと
マイク・キャンベルがそれぞれ担当しているということかな。
ブックレットというものがないんですよね、今回、
ネットで調べれば分かるかもしれないですが。
"blue"という言葉、自然と反応してしまいますよね、
ブルーズがよく分からない僕でも・・・
じわっとしみてきます。
4曲目 Beautiful World
"beautiful"と入った曲が2曲続くのは何か意図があるのかな?
そういうことを考えずにはいられないのが悪い癖(笑)。
しかし前曲とは打って変わって明るくて軽く元気な曲。
歌うのはランドール・マーシュ、この軽さに声がよく合っていて、
トムではこうはいかなかったのではないか。
もちろんランドール・マーシュ自身が作った曲だから
歌うのは当たり前でしょうけど、この変化は効果的。
そして軽い声の彼が歌うことで、これはとっても
「かわいらしい曲」になっています。
なんて60前後の男性に言う言葉じゃないか(笑)。
この曲もオフィシャルのオーディオがありました。
Beautiful World
Mudcrutch
5曲目 I Forgive It All
こちらはカントリー調のトムらしい曲で僕がいちばん好きな
WILDFLOWERSの流れにあるかな。
そう思うだけで愛おしくなり、懐かしさのようなものにも襲われます。
「きれいな」曲ですね、「美しい」曲というよりは。
そんな心持だから、すべてを許せるのでしょう。
6曲目 The Other Side Of The Mountain
イントロから出てくる「だだんだだんだん~」
というギターフレーズが効果的。
バンジョーが全編に流れ、山を歌ったタイトルともども
カントリー色が濃い曲と思ったらそれもそのはず、
トム・レドンの作曲。
リードヴォーカルも2人のトムが分担していますが、
やっぱりトム・レドンは軽い声、
そこにトム・ペティのどっしりとした声が出てくるとしまりますね。
それんしても「だだんだだんだん~」がとにかく印象的でカッコいい。
7曲目 Hope
力強いマーチスタイルの元気な曲。
何かを宣言するような、選挙演説のような
トムの歌声にはこちらも元気が出る。
ここではテンチのキーボードが強く引っ張っている。
間奏を受けてから終わりまでの展開、特に2'47"のパッセージ、
久し振りに展開にはっとさせられる曲。
そのは入口のギターソロの音のとりかたと奥に引っ込んで
均したような音色(録音)がとても変わってて印象的。
8曲目 Welcome To Hell
前の曲から間髪入れずにフルスロットルで始まる、
ロカビリー風のお遊び感覚に満ちたハードな曲。
アメリカ人には懐かしい響きなのでしょう。
ベンモント・テンチが作曲し歌っていますが、
彼の歌い方はエルヴィス・プレスリーを意識しているな、きっと。
ピアノ低音のロックンロールのリフを聴くと、
やっぱりロックンロールは基本だと思いますね。
「地獄へようこそ」という曲も明るく楽しく歌えるのも
いかにもロックらしい。
そういえばこのアルバムでトムはベースを担当しています。
自分より上手いギタリストが2人いるので、
わざわざギターを弾くでもなかったのでしょう。
トムのベースはここで素晴らしいグルーヴ感を出しています。
9曲目 Save Your Water
一転した軽やかな曲。
サビの歌メロがコーラスともども非常に印象的で、
これはカントリー系の70年代のヒット曲といった感じかな。
10曲目 Victim Of Circumstance
ボブ・ディラン経由の切れがいいロックンロール。
「犠牲」とか言っている割には明るく割り切った感覚が楽しい。
これも前曲が終わってすぐに始まるのが効果的。
アップテンポが2曲続く、最後への助走。
11曲目 Hungry No More
最後もキーボードの音が残った中で隙間なしに始まる。
いかにもアルバム最後らしい6分以上ある大作風の
この曲があることでアルバムの収まりがよく、
充実したアルバムを聴いたなあという感慨にふけります。
大作風といっても曲の作りはシンプルで、
展開があるわけでもない。
この演奏に込めたメンバーの気合い、
意味合いの重たさが「大作風」と感じさせる部分です。
曲が終わって10秒以上の間があるので、
シークレットトラックか何かが入っているのかなと期待したけれど、
何もなく終わります。
もったいぶって意地悪、と思わなくもないけれど(笑)、
そういうお遊びもいいですね。
また、その間があるからこそ
「大作風でどっしりと終わる」という感覚が強くなります。
今回も国内盤は出ないか・・・
トム達のアルバムのようにロック音楽に一石を投じるほど
大きな意味がある、というものではないかもしれない。
でも、そんなアルバムでも真剣に取り組み、
各自の芸(歌も含む)を惜しげもなく披露してくれる
トム・ペティとその仲間たちは、やっぱり
信じるに足るミュージシャンであるとの思いを強くしました。
5月6月は新作新譜ラッシュで超のつく大物も出ていますが、
実はもう1枚ありました、ということですね。
正直いえば、僕自身、直前に来日公演をしたその2人の
超大物よりこちらの新譜の方が嬉しかったですが。
もちろんその2人(特に年上の方)も
それなり以上に気に入ってはいます、念のため。
生物好きにはジャケット写真も最高にいいですね。
ちなみに僕は、哺乳類に喩えると「熊」以外は
言われたことがないのですが・・・(笑)。
最後は01のアウトテイク。
03

マーサせっかく目を開けたのに、ビニールへの照明の反射が
白い筋となって写り込んでしまいました。
2016年05月23日
Refugee トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ
01

Refugee Tom Petty & The Heartbreakers
「逃亡者」 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ
(1979)
今日は1曲の話。
お題は Refugee トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ
先ずは公式ビデオクリップから。
☆
Refugee
Tom Petty & The Heartbreakers
(1979)
みんな若いけど、特にベンモント・テンチの若さがかわいい(笑)。
トム・ペティの隠れファンを発見!
その人の名は・・・みうらじゅん
5月22日放送のNHK「笑う洋楽展」、テーマは「歯」。
そこでこの曲Refugeeが取り上げられました。
番組冒頭、テーマが発表された後、みうらじゅん氏が
「歯といえばフレディ・マーキュリーだよね」と前振りしましたが、
取り上げられず。
最優秀作品には、ジミ・ヘンドリックスが歯でストラトキャスターを弾く
シーンがあるスタジオライヴのPurple Hazeが選ばれました。
トム・ペティは「出っ歯」ということなのでしょうけど、
番組では歯が目立つシーンで多少触れる程度。
いつものように話が逸れて盛り上がることもないまま、
みうらじゅん氏はこんなことを言いました。
「聴いちゃうよね」
珍しく話はそこそこに2人で曲を聴き入ってしまい、
映像は添え物的なものでした。
そしてこんなことも。
「この番組には合わないよね」
以前も「この番組は音楽番組ではない」と強調していたし、
NHKのホームページでも「バラエティ番組」に分類されているように、
本来、音楽を「聴く」番組ではない。
しかしそんなことを忘れて聴き入ってしまうみうらじゅん氏と
安斎肇氏を観て、こみ上げてくるものが、といえば大袈裟だけど、
非常に嬉しかった。
安斎さんが、「だけどこういう曲を紹介するのもいいよね」
という主旨のことをフォローしていたのがなおのこと、
トム・ペティのファンでいてよかったと思いましたね。
さらにみうらじゅん氏はこうも言いました。
「トム・ペティとマーク・ノップラーは
ボブ・ディランのチャイルドだよね」
トム達がボブ・ディランのバックバンドを務めた
1986年来日公演を観て聴いたそうで、
その時のことも交えながら話していましたが、もうとにかく羨ましい!
みうらじゅん氏はディランのファンとして有名だから
トムも好きであることは想像していましたっが、
まさかそこまで思いが強いというのは予想外でした。
熱心に聴いているとかそういうことはなさそうだけど、
でもその気持ちはファンとして嬉しかったし、
テレビでそのことを示してくれたのは頼もしくもありました。
結局最後までほとんど聴いた感想だけを話して終わりましたね。
初めてじゃないかな。
トムのファン以外の人にはつまらなかったかもしれないけれど(笑)。
NHKで使われたのと同じと思われるライヴ映像が
You-Tubeにありました。
☆
Refugee
Tom Petty & The Heartbreakers
Live Dortmund 1982
テレビの枠にはめてあるのがなんですが。
マイク・キャンベルがゴールドトップのレスポールを弾いていますが、
最初の公式ビデオクリップではキャンディ・アップル・レッドの
テレキャスターを持っていて、そっちはやはり
ビデオクリップ用なのかなと思ったり。
ライヴ映像をあと3本
☆
Refugee
Tom Petty & The Heartbreakers
Farm Aid 1985
ウィリー・ネルソンとニール・ヤングが主宰する
「ファームエイド」のライヴ。
トムのマイクが少し遠いのがちょっとばかり気になりますが、
バンドの一体感はさすが。
そしてここでもマイクはゴールドトップのレスポール。
☆
Refugee
Tom Petty & The Heartbreakers
Live Aid 1985
同じ年、あの「ライヴエイド」から。
ステージの後ろから客席方向を写した映像は見慣れたものですね。
☆
Refugee
Tom Petty & The Heartbreakers
Chicago 2014
最後は近年のシカゴでのライヴ、2014年。
「笑う」では、最新の映像として
この年のトムの写真を紹介していました。
2人ともに、貫禄が出たなあといった感じのリアクションでしたが、
もうひとつ、「髪」への反応が大きかった。
若い頃の映像からするともう頭がつるっぱげになっているのかと
想像していたようですが、よく残ったね、そしてロングヘア、と。
確かにトムは90年代に入ってちょっと危ないなと
思ったことはありましたが、なんとかそこでとどまっていますね。
僕と弟はよくミュージシャンやスポーツ選手の「頭」の話をしますが、
みうらじゅん氏と安斎さんも視点が同じでちょっとばかり驚きました。
いや、それにしてもRefugeeは名曲だ。
曲が持っている力が大きい。
マイナー調で厭世的であると見せかけて
その先の希望へつなぐ、広がりと深さがある曲。
ヴァースはいかにもディランの語り風。
一方サビは分かりやい。
♪ You don't have to live like a refugee
♪ (Don't have to live like a refugee)
トムが歌った後をつなぐコーラスが最高にいい。
僕はどちらかというとコーラスの方をよく口ずさむくらい。
僕は以前、
「トム・ペティはなぜ日本では人気がないのか」という記事(こちら)
を上げましたが、そこで提示したことのひとつが
「誰それといえばこの曲! という絶対的な名曲がない」でした。
そうなんですよね。
Top10ヒット曲は数曲あるけどNo.1ヒット曲はないし、
シングルとしていちばん売れたのは
スティーヴィー・ニックスに提供しデュエットした
Stop Draggin' My Heart Aroundで「外部」の曲だから。
じゃあトムの代表曲は何かという話になり、
書き込みの方も巻き込んで挙げてゆきました。
MTVでビデオが流れまくっていたMary Jane's Last Dance
ではないかという声もあったり、ソロのFree Fallin'だとか、
弟はこの曲Refugeeではないのかと言ったりしました。
僕が高校時代にある意味衝撃を受けた
Don't Come Around Here No More
という声はさすがにないだろうけど、もしかして
トラヴェリング・ウィルベリーズのHandle With Careかもしれない。
でも結局は「今のところ」これとは決め難いということになりました。
考えてみればトム・ペティは不思議な人ですよね。
あれだけのキャリアがあって基本的にずっと売れ続けていれば、
そういう曲が普通はあるものだと。
トムのファンである僕はもちろんそれを非難しているのではなく、
逆に、総合的な質の高さが彼らの魅力なのだと言いたいのでした。
今の僕は、トム達の代表曲といわれれば断然Refugeeを挙げますね。
昨日録画を観てからもうずっと口ずさみっぱなし。
とまあ、今日は「トムのファン」というフレーズ連発でしたが、
みうらじゅん氏のその気持ちが素直に嬉しかった。
そじて、トムのファンとしてはぜひ記事にしなければ、と。
やっぱり、自分が好きなものを人が好きと言ってくれるのは、
素直に嬉しいものですよね。
ごく当たり前のことだけど、それを再確認しました。
最後は、何があっても逃げたくない奴らです(笑)。
02


Refugee Tom Petty & The Heartbreakers
「逃亡者」 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ
(1979)
今日は1曲の話。
お題は Refugee トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ
先ずは公式ビデオクリップから。
☆
Refugee
Tom Petty & The Heartbreakers
(1979)
みんな若いけど、特にベンモント・テンチの若さがかわいい(笑)。
トム・ペティの隠れファンを発見!
その人の名は・・・みうらじゅん
5月22日放送のNHK「笑う洋楽展」、テーマは「歯」。
そこでこの曲Refugeeが取り上げられました。
番組冒頭、テーマが発表された後、みうらじゅん氏が
「歯といえばフレディ・マーキュリーだよね」と前振りしましたが、
取り上げられず。
最優秀作品には、ジミ・ヘンドリックスが歯でストラトキャスターを弾く
シーンがあるスタジオライヴのPurple Hazeが選ばれました。
トム・ペティは「出っ歯」ということなのでしょうけど、
番組では歯が目立つシーンで多少触れる程度。
いつものように話が逸れて盛り上がることもないまま、
みうらじゅん氏はこんなことを言いました。
「聴いちゃうよね」
珍しく話はそこそこに2人で曲を聴き入ってしまい、
映像は添え物的なものでした。
そしてこんなことも。
「この番組には合わないよね」
以前も「この番組は音楽番組ではない」と強調していたし、
NHKのホームページでも「バラエティ番組」に分類されているように、
本来、音楽を「聴く」番組ではない。
しかしそんなことを忘れて聴き入ってしまうみうらじゅん氏と
安斎肇氏を観て、こみ上げてくるものが、といえば大袈裟だけど、
非常に嬉しかった。
安斎さんが、「だけどこういう曲を紹介するのもいいよね」
という主旨のことをフォローしていたのがなおのこと、
トム・ペティのファンでいてよかったと思いましたね。
さらにみうらじゅん氏はこうも言いました。
「トム・ペティとマーク・ノップラーは
ボブ・ディランのチャイルドだよね」
トム達がボブ・ディランのバックバンドを務めた
1986年来日公演を観て聴いたそうで、
その時のことも交えながら話していましたが、もうとにかく羨ましい!
みうらじゅん氏はディランのファンとして有名だから
トムも好きであることは想像していましたっが、
まさかそこまで思いが強いというのは予想外でした。
熱心に聴いているとかそういうことはなさそうだけど、
でもその気持ちはファンとして嬉しかったし、
テレビでそのことを示してくれたのは頼もしくもありました。
結局最後までほとんど聴いた感想だけを話して終わりましたね。
初めてじゃないかな。
トムのファン以外の人にはつまらなかったかもしれないけれど(笑)。
NHKで使われたのと同じと思われるライヴ映像が
You-Tubeにありました。
☆
Refugee
Tom Petty & The Heartbreakers
Live Dortmund 1982
テレビの枠にはめてあるのがなんですが。
マイク・キャンベルがゴールドトップのレスポールを弾いていますが、
最初の公式ビデオクリップではキャンディ・アップル・レッドの
テレキャスターを持っていて、そっちはやはり
ビデオクリップ用なのかなと思ったり。
ライヴ映像をあと3本
☆
Refugee
Tom Petty & The Heartbreakers
Farm Aid 1985
ウィリー・ネルソンとニール・ヤングが主宰する
「ファームエイド」のライヴ。
トムのマイクが少し遠いのがちょっとばかり気になりますが、
バンドの一体感はさすが。
そしてここでもマイクはゴールドトップのレスポール。
☆
Refugee
Tom Petty & The Heartbreakers
Live Aid 1985
同じ年、あの「ライヴエイド」から。
ステージの後ろから客席方向を写した映像は見慣れたものですね。
☆
Refugee
Tom Petty & The Heartbreakers
Chicago 2014
最後は近年のシカゴでのライヴ、2014年。
「笑う」では、最新の映像として
この年のトムの写真を紹介していました。
2人ともに、貫禄が出たなあといった感じのリアクションでしたが、
もうひとつ、「髪」への反応が大きかった。
若い頃の映像からするともう頭がつるっぱげになっているのかと
想像していたようですが、よく残ったね、そしてロングヘア、と。
確かにトムは90年代に入ってちょっと危ないなと
思ったことはありましたが、なんとかそこでとどまっていますね。
僕と弟はよくミュージシャンやスポーツ選手の「頭」の話をしますが、
みうらじゅん氏と安斎さんも視点が同じでちょっとばかり驚きました。
いや、それにしてもRefugeeは名曲だ。
曲が持っている力が大きい。
マイナー調で厭世的であると見せかけて
その先の希望へつなぐ、広がりと深さがある曲。
ヴァースはいかにもディランの語り風。
一方サビは分かりやい。
♪ You don't have to live like a refugee
♪ (Don't have to live like a refugee)
トムが歌った後をつなぐコーラスが最高にいい。
僕はどちらかというとコーラスの方をよく口ずさむくらい。
僕は以前、
「トム・ペティはなぜ日本では人気がないのか」という記事(こちら)
を上げましたが、そこで提示したことのひとつが
「誰それといえばこの曲! という絶対的な名曲がない」でした。
そうなんですよね。
Top10ヒット曲は数曲あるけどNo.1ヒット曲はないし、
シングルとしていちばん売れたのは
スティーヴィー・ニックスに提供しデュエットした
Stop Draggin' My Heart Aroundで「外部」の曲だから。
じゃあトムの代表曲は何かという話になり、
書き込みの方も巻き込んで挙げてゆきました。
MTVでビデオが流れまくっていたMary Jane's Last Dance
ではないかという声もあったり、ソロのFree Fallin'だとか、
弟はこの曲Refugeeではないのかと言ったりしました。
僕が高校時代にある意味衝撃を受けた
Don't Come Around Here No More
という声はさすがにないだろうけど、もしかして
トラヴェリング・ウィルベリーズのHandle With Careかもしれない。
でも結局は「今のところ」これとは決め難いということになりました。
考えてみればトム・ペティは不思議な人ですよね。
あれだけのキャリアがあって基本的にずっと売れ続けていれば、
そういう曲が普通はあるものだと。
トムのファンである僕はもちろんそれを非難しているのではなく、
逆に、総合的な質の高さが彼らの魅力なのだと言いたいのでした。
今の僕は、トム達の代表曲といわれれば断然Refugeeを挙げますね。
昨日録画を観てからもうずっと口ずさみっぱなし。
とまあ、今日は「トムのファン」というフレーズ連発でしたが、
みうらじゅん氏のその気持ちが素直に嬉しかった。
そじて、トムのファンとしてはぜひ記事にしなければ、と。
やっぱり、自分が好きなものを人が好きと言ってくれるのは、
素直に嬉しいものですよね。
ごく当たり前のことだけど、それを再確認しました。
最後は、何があっても逃げたくない奴らです(笑)。
02

2015年07月01日
You Don't Know How It Feels トム・ペティ
01

You Don't Know How It Feels
Tom Petty
ユー・ドント・ノウ・ハウ・イット・フィールズ
トム・ペティ
released in 1994 from the album WILDFLOWERS
今日は1曲の話をします。
トム・ペティ You Don't Know How It Feels。
最近よく口ずさんでいる曲、先ずは映像から。
先日、MTVで、「1995年Top30」という番組を放送していました。
当時、アメリカのMTVでビデオクリップのTop20番組があり
(今でもあるのかな)、日本でも放送れていて、
ちょうど僕が帰宅した後の時間だったので、毎週観ていました。
今回の番組はその年のTop30を振り返るというもの。
トム・ペティのこの曲は24位で、そういえば当時ほぼ毎日MTVで
流れていたなあと懐かしく思い出しました。
と同時に、24位ってかなり高いなあ、と。
ビルボード誌のシングルチャートでは最高位13位と、大ヒットと
いえるかどうか微妙な位置までしか上がらなかったのですが、
ビデオは受けた、ということですね。
ビデオクリップの内容については後で話しますが、
曲はポップな上に、映像として面白いですよね。
久し振りに観てはまりました。
この曲のビデオクリップがそれだけ受けた流れを考えてみました。
ひとつ。
この前年に出たトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの
ベスト盤用の新曲Mary Jane's Last Danceの
ビデオクリップが受け、シングルも大ヒットしたこと。
トムが孤独な吸血鬼に扮し、キム・ベイシンガーを愛する
ホラー仕立てのあれですね。
これでトム達のビデオクリップは面白いと評判になった。
もっとも、それ以前に、トム達のMCAからの最後のアルバム
INTO THE GREAT WIDE OPENでもビデオクリップに
力を入れていたので、そういう流れはあったのでしょう。
余談ですが、以前、トム・ペティはなぜ日本では人気がないかを
考えた記事の際、Mary Jane's Last Danceはどうやら
日本でいちばん知名度が高い曲であることが分かりましたが、
それほどのインパクトが、アメリカのみならず日本でもあったようですね。
もうひとつ。
トム達はそのベスト盤を最後にWarner Brothersに移籍し、
この曲が入ったソロ名義のアルバムWILDFLOWERSは、
移籍後初めてリリースされたトム達のCDだった。
Warnerもトム達を迎えるに当たり、プロモーションに
力を入れたことは想像に難くない。
セールス活動のみならず、ビデオクリップの出来としても、
そのことが感じられます。
ここで一度話が逸れます。
02

03

04

05

今年も買いました、ブランド苗「ペティ」、4色。
上から、黄色、青紫、赤、赤紫。
僕の「ペティ」のイメージは黄色ですね。
トムのソロ作にFULL MOON FEVERがあるし、
今回取り上げた曲にも"moonlight ride"という歌詞がある。
花がしぼむと花を摘み取るを繰り返すと、
秋まで長く花が見られる、僕の密かな楽しみです。
さあ本題に戻って、そのクリップをここで観て聴いてください。
マイクに向かって歌うトム。
ハーモニカを首にさげ、モスグリーンのカウボーイハットを被り、
ギターを弾いてフォーク歌手気取り。
青いシャツが印象的、僕もこの色大好き。
胸から下が見えない。
トムはカメラを見つめ、微笑むでもなく、硬直するでもなく、
自然な表情で歌う。
映像はトムを中心にぐるぐると回っている。
トムの周りで世界が回っているかのように。
しかし、トムの後ろの世界がなんだかおかしい。
ジャグリングする人、鞭をふるう男性、宙吊りでぐるぐる回る女性、
大道芸人御一行でしょうか。
部屋でいちゃいちゃする若い男女、花に水を撒いて育てるように
女性を扱う老人、はたまた射撃練習場の風景。
退廃的な、でもどこか間の抜けた、そんなイメージ。
それらが、アウトフォーカスの上に狭い画角で、ちらりとしか見えない。
先ずこれら、想像力を掻き立てられてる。
この曲、明るい響きだけど、今の自分ではない自分を求めたい、
と、僕には解釈できます。
1番、2番、3番それぞれ別の情景描写になっているけれど、
それらはまるで俳句のように短く描かれるだけ。
サビではそれに対して何かしようと言いつつも、
僕の気持ちなんて分からないだろうね、とある種の厭世観が漂う。
だけどなぜか明るい。
ある男が「失恋」した話なのになぜだか明るくポジティヴなメッセージを
感じるイーグルスのNew Kid In Townにつながるものがあります。
ビデオクリップは、そんな内容にぴったり寄り添っています。
2'24"、間奏に入るとカメラが少し上を向く。
銀行のようだけど、ううん、これはいけないものを見てしまった・・・
少しだけ上に振るのが、飽きさせない見せ方でうまいですね。
2'34"、間奏のギターソロを弾くトム。
僕は当時、このシーンである意味衝撃を受けました。
話とは関係ない、トム自身について。
弾いているギターはなんと、ギブソン・ファイアーバードだった!
胸から下が見えない中、この曲のイメージからすると、
アコースティックギターを弾いていたのだと思い込んでいた、
ハーモニカも提げていることだし。
エレクトリックギターである、先ずそこが意表をついている。
さらにファイアーバードとは。
エレクトリックギターであるにしても、やはり曲やトム自身のイメージから、
ストラトキャスター、次にレスポール、テレキャスターもありかな、
くらいしかイメージできない。
ファイアーバードを使っている人を、当時の僕はほとんど知らなかった。
あの(申し訳ないけど)マイナーなギターを弾いていたなんて!
トム・ペティは、"I was born to rebel"、反骨心、
すかしたところがカッコいいですよね。
ギター青年だった僕は、とにかく目をむいて驚いたものでした。
よく見ると、2'05"のところでちらりと写るので、
この部分が初めてではないのですが、念のため。
このクリップを観て以来、ファイアーバードは
密かに欲しいギターの1本になりました。
数年前、近くの中古ギター屋さんに、あったんです、
ファイアーバード、Gibsonの、89000円で。
迷いました。
お財布と相談という意味もあるけれど、中古にしても安すぎないか
というかすかな不安もあって。
2日後、ファイアーバードはもうそこにいませんでした。
売れないだろうとタカをくくっていたのですが、見る人は見るんですね。
今回このクリップを久し振りに見て、ああ、買っておけばよかった、と・・・
さてこのクリップ、作り物だと分かっているのに、妙なライヴ感がある。
例えば1'23"の辺り、歌と歌の間にハーモニカが入る部分、
ちゃんとトムは吹いてから歌う。
2'40"、ギターソロの後ハーモニカを吹いて歌に入るところは、
ほとんど息継ぎなしで、無理してるなあと思いつつ、
そういうトムがなんだか愛おしい。
ギターソロは実際録音ではマイク・キャンベルが弾いている、
いわばトムは「エアギター」だ、なんてことも、言わない、言わない(笑)。
「ライヴ感」はトム達の魅力でもあるから、そういう意識はうれしい。
でも、その後、「背景」にいた背が高くて「姉御」風の美女が
トムに後ろから歩み寄る。
どうやら彼女は歌いたいらしい。
表情を変えないようん努めつつどこかびくびくしながら後退して
マイクを譲るトムが可笑しい。
そして彼女は歌い出す。
まあビデオクリップだから当たり前ですが、
口パクと分からせるのが親切というか。
口パクは違う、という部分と、そういう演出はそれはそれで
楽しんでいることも分かります
しかも彼女は大きく胸がはだけたドレス。
そこについつい目が行ってしまうが、谷間がちゃんと
マイクスタンドの陰に隠れている・・・ううん、残念(笑)。
ちょっとしたギミック、面白いですよね。
3'07"、曲がサビのコーラスになるとトムが
画面向かって左から急にコーラスをつけに入る。
その時のトムの嬉しそうな表情といったら、
ここでは初めて見せるものですね。
右から消えたのに左から戻ってくる、
このクリップはちょっとした演出が上手い。
で、で、トムが入ることにより女性が右にずれ、
彼女の谷間が見える、これはサービスか!?
3'21"、彼女が諦めたのか後ろに下がり、トムがまたひとりで歌う。
本当に嬉しそう。
3'31"、トムは戻って来てから画面に対し正対ではなく左肩を前に
歌っていたけれど、それはマイクより前側に入ったからであり、
ここでギターのネックを持ち上げてマイクをまたいで成体に戻る、
という動きも自然で説得力があります。
3'51"で銀行の壁が倒れ、カウンターで男女3人の客が待っている。
そうか、二階での行いは勤務中、二重にいけないことをしていたんだ。
長いアウトロは、トムの一人芸が堪能できる。
ファイアーバードも大サービス。
ハーモニカに入るのが相変わらず急すぎる(笑)。
4'34"、トムは画面左から消え、照明も落ち、
マイクだけが画面に残って終わる。
ビデオクリップって、大作風のものもあれば、
アーティストの何気ない姿を写すものもある。
これは何気ないものだけど、実は、かなり練り込んだアイディアが
投入されていることが分かる。
今観ても飽きない、新鮮。 僕がトムが大大大好きであることを
1万歩譲っても、これは、誰でも楽しめるクリップだと思います。
05

曲の話の補足も少し。
この曲、アコースティックギターで演奏されるイメージを受けるけれど、
実は、サビのところでアクセント程度にしか入っていない。
伝統的なフォークのスタイルではない、その感覚が新しい。
その結果、音に隙間があって印象に残りやすい。
スティーヴ・フェローンのドラムスが強いのも、
かえってその隙間を効果的に感じさせる。
そしてベンモント・テンチのエレピがいい。
特に、最後にその音だけ残るところが。
このアルバムの記事で書いたけれど、リック・ルービンの音作り、
強い音なのにまろやかに感じさせる「魔術」が活きた音。
いいなあ、やっぱり。
実は今回、このクリップをあらためて観て、この曲のシングルCDを
持っていないことを思い出し、欲しくなって中古で探しました。
ありました、31円、+送料で400円以下で手に入りました。
やっぱり、大好きな曲のシングルは持っていたいんだなあ。
シングルCDにはアルバム未収録曲が1曲。
Girl On L.S.D.、これは聴いたことがなかった、それも嬉しい。
イントロがちょっとだけAmerican Girlを彷彿とさせるもので、
跳ねたリズムだけど途中トーンダウンし、トムが独特の口調で
語るように歌う曲。
まあいかにも「B面曲」、アルバムに入らなかったのは分かる
というものですが、聴いた瞬間、アルバムの曲とは
音の響きそのものが違うと感じました。
リック・ルービンはこの曲にどこまで関わっているのか、
関わっていないんじゃないかな。
あらためてリック・ルービンの「魔術」が、この曲からもよく分かりました。
シングルCDのもう1曲はHouse In The Wood「森の家」ですね。
これもやっぱりいいなあ、特にアタックの強いギターのオブリガート、
それでいてやっぱり優しさとまろやかさを感じる響き。
クリップでいえばもうひとつ、今はこうしたベテランによる普通の
ロック系がシングルチャートでは上がって来ない世の中になったので、
この曲が、ビデオとはいえチャート上位に来ていた、
そんな時代のことも懐かしく思い出しました。
この曲が入ったアルバムWILDFLOWERS(記事こちら)も
僕はトム達のすべてのアルバムでいちばん好きなのです。
そしてこの曲、アルバム自体をたくさん聴き込んだ上に、
ビデオクリップもよく観ていたので、トム達の中では、
僕が今までいちばん多く聴いた曲でしょうね。
さて、アルバムの他の曲のシングルCDはどうしようかな、
というのが新たな悩みになりました(笑)。
07

今日はマーサが主役。
でも、そうか、この曲だから「ハウ」を中心にすべきでしたかね。

You Don't Know How It Feels
Tom Petty
ユー・ドント・ノウ・ハウ・イット・フィールズ
トム・ペティ
released in 1994 from the album WILDFLOWERS
今日は1曲の話をします。
トム・ペティ You Don't Know How It Feels。
最近よく口ずさんでいる曲、先ずは映像から。
先日、MTVで、「1995年Top30」という番組を放送していました。
当時、アメリカのMTVでビデオクリップのTop20番組があり
(今でもあるのかな)、日本でも放送れていて、
ちょうど僕が帰宅した後の時間だったので、毎週観ていました。
今回の番組はその年のTop30を振り返るというもの。
トム・ペティのこの曲は24位で、そういえば当時ほぼ毎日MTVで
流れていたなあと懐かしく思い出しました。
と同時に、24位ってかなり高いなあ、と。
ビルボード誌のシングルチャートでは最高位13位と、大ヒットと
いえるかどうか微妙な位置までしか上がらなかったのですが、
ビデオは受けた、ということですね。
ビデオクリップの内容については後で話しますが、
曲はポップな上に、映像として面白いですよね。
久し振りに観てはまりました。
この曲のビデオクリップがそれだけ受けた流れを考えてみました。
ひとつ。
この前年に出たトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの
ベスト盤用の新曲Mary Jane's Last Danceの
ビデオクリップが受け、シングルも大ヒットしたこと。
トムが孤独な吸血鬼に扮し、キム・ベイシンガーを愛する
ホラー仕立てのあれですね。
これでトム達のビデオクリップは面白いと評判になった。
もっとも、それ以前に、トム達のMCAからの最後のアルバム
INTO THE GREAT WIDE OPENでもビデオクリップに
力を入れていたので、そういう流れはあったのでしょう。
余談ですが、以前、トム・ペティはなぜ日本では人気がないかを
考えた記事の際、Mary Jane's Last Danceはどうやら
日本でいちばん知名度が高い曲であることが分かりましたが、
それほどのインパクトが、アメリカのみならず日本でもあったようですね。
もうひとつ。
トム達はそのベスト盤を最後にWarner Brothersに移籍し、
この曲が入ったソロ名義のアルバムWILDFLOWERSは、
移籍後初めてリリースされたトム達のCDだった。
Warnerもトム達を迎えるに当たり、プロモーションに
力を入れたことは想像に難くない。
セールス活動のみならず、ビデオクリップの出来としても、
そのことが感じられます。
ここで一度話が逸れます。
02

03

04

05

今年も買いました、ブランド苗「ペティ」、4色。
上から、黄色、青紫、赤、赤紫。
僕の「ペティ」のイメージは黄色ですね。
トムのソロ作にFULL MOON FEVERがあるし、
今回取り上げた曲にも"moonlight ride"という歌詞がある。
花がしぼむと花を摘み取るを繰り返すと、
秋まで長く花が見られる、僕の密かな楽しみです。
さあ本題に戻って、そのクリップをここで観て聴いてください。
マイクに向かって歌うトム。
ハーモニカを首にさげ、モスグリーンのカウボーイハットを被り、
ギターを弾いてフォーク歌手気取り。
青いシャツが印象的、僕もこの色大好き。
胸から下が見えない。
トムはカメラを見つめ、微笑むでもなく、硬直するでもなく、
自然な表情で歌う。
映像はトムを中心にぐるぐると回っている。
トムの周りで世界が回っているかのように。
しかし、トムの後ろの世界がなんだかおかしい。
ジャグリングする人、鞭をふるう男性、宙吊りでぐるぐる回る女性、
大道芸人御一行でしょうか。
部屋でいちゃいちゃする若い男女、花に水を撒いて育てるように
女性を扱う老人、はたまた射撃練習場の風景。
退廃的な、でもどこか間の抜けた、そんなイメージ。
それらが、アウトフォーカスの上に狭い画角で、ちらりとしか見えない。
先ずこれら、想像力を掻き立てられてる。
この曲、明るい響きだけど、今の自分ではない自分を求めたい、
と、僕には解釈できます。
1番、2番、3番それぞれ別の情景描写になっているけれど、
それらはまるで俳句のように短く描かれるだけ。
サビではそれに対して何かしようと言いつつも、
僕の気持ちなんて分からないだろうね、とある種の厭世観が漂う。
だけどなぜか明るい。
ある男が「失恋」した話なのになぜだか明るくポジティヴなメッセージを
感じるイーグルスのNew Kid In Townにつながるものがあります。
ビデオクリップは、そんな内容にぴったり寄り添っています。
2'24"、間奏に入るとカメラが少し上を向く。
銀行のようだけど、ううん、これはいけないものを見てしまった・・・
少しだけ上に振るのが、飽きさせない見せ方でうまいですね。
2'34"、間奏のギターソロを弾くトム。
僕は当時、このシーンである意味衝撃を受けました。
話とは関係ない、トム自身について。
弾いているギターはなんと、ギブソン・ファイアーバードだった!
胸から下が見えない中、この曲のイメージからすると、
アコースティックギターを弾いていたのだと思い込んでいた、
ハーモニカも提げていることだし。
エレクトリックギターである、先ずそこが意表をついている。
さらにファイアーバードとは。
エレクトリックギターであるにしても、やはり曲やトム自身のイメージから、
ストラトキャスター、次にレスポール、テレキャスターもありかな、
くらいしかイメージできない。
ファイアーバードを使っている人を、当時の僕はほとんど知らなかった。
あの(申し訳ないけど)マイナーなギターを弾いていたなんて!
トム・ペティは、"I was born to rebel"、反骨心、
すかしたところがカッコいいですよね。
ギター青年だった僕は、とにかく目をむいて驚いたものでした。
よく見ると、2'05"のところでちらりと写るので、
この部分が初めてではないのですが、念のため。
このクリップを観て以来、ファイアーバードは
密かに欲しいギターの1本になりました。
数年前、近くの中古ギター屋さんに、あったんです、
ファイアーバード、Gibsonの、89000円で。
迷いました。
お財布と相談という意味もあるけれど、中古にしても安すぎないか
というかすかな不安もあって。
2日後、ファイアーバードはもうそこにいませんでした。
売れないだろうとタカをくくっていたのですが、見る人は見るんですね。
今回このクリップを久し振りに見て、ああ、買っておけばよかった、と・・・
さてこのクリップ、作り物だと分かっているのに、妙なライヴ感がある。
例えば1'23"の辺り、歌と歌の間にハーモニカが入る部分、
ちゃんとトムは吹いてから歌う。
2'40"、ギターソロの後ハーモニカを吹いて歌に入るところは、
ほとんど息継ぎなしで、無理してるなあと思いつつ、
そういうトムがなんだか愛おしい。
ギターソロは実際録音ではマイク・キャンベルが弾いている、
いわばトムは「エアギター」だ、なんてことも、言わない、言わない(笑)。
「ライヴ感」はトム達の魅力でもあるから、そういう意識はうれしい。
でも、その後、「背景」にいた背が高くて「姉御」風の美女が
トムに後ろから歩み寄る。
どうやら彼女は歌いたいらしい。
表情を変えないようん努めつつどこかびくびくしながら後退して
マイクを譲るトムが可笑しい。
そして彼女は歌い出す。
まあビデオクリップだから当たり前ですが、
口パクと分からせるのが親切というか。
口パクは違う、という部分と、そういう演出はそれはそれで
楽しんでいることも分かります
しかも彼女は大きく胸がはだけたドレス。
そこについつい目が行ってしまうが、谷間がちゃんと
マイクスタンドの陰に隠れている・・・ううん、残念(笑)。
ちょっとしたギミック、面白いですよね。
3'07"、曲がサビのコーラスになるとトムが
画面向かって左から急にコーラスをつけに入る。
その時のトムの嬉しそうな表情といったら、
ここでは初めて見せるものですね。
右から消えたのに左から戻ってくる、
このクリップはちょっとした演出が上手い。
で、で、トムが入ることにより女性が右にずれ、
彼女の谷間が見える、これはサービスか!?
3'21"、彼女が諦めたのか後ろに下がり、トムがまたひとりで歌う。
本当に嬉しそう。
3'31"、トムは戻って来てから画面に対し正対ではなく左肩を前に
歌っていたけれど、それはマイクより前側に入ったからであり、
ここでギターのネックを持ち上げてマイクをまたいで成体に戻る、
という動きも自然で説得力があります。
3'51"で銀行の壁が倒れ、カウンターで男女3人の客が待っている。
そうか、二階での行いは勤務中、二重にいけないことをしていたんだ。
長いアウトロは、トムの一人芸が堪能できる。
ファイアーバードも大サービス。
ハーモニカに入るのが相変わらず急すぎる(笑)。
4'34"、トムは画面左から消え、照明も落ち、
マイクだけが画面に残って終わる。
ビデオクリップって、大作風のものもあれば、
アーティストの何気ない姿を写すものもある。
これは何気ないものだけど、実は、かなり練り込んだアイディアが
投入されていることが分かる。
今観ても飽きない、新鮮。 僕がトムが大大大好きであることを
1万歩譲っても、これは、誰でも楽しめるクリップだと思います。
05

曲の話の補足も少し。
この曲、アコースティックギターで演奏されるイメージを受けるけれど、
実は、サビのところでアクセント程度にしか入っていない。
伝統的なフォークのスタイルではない、その感覚が新しい。
その結果、音に隙間があって印象に残りやすい。
スティーヴ・フェローンのドラムスが強いのも、
かえってその隙間を効果的に感じさせる。
そしてベンモント・テンチのエレピがいい。
特に、最後にその音だけ残るところが。
このアルバムの記事で書いたけれど、リック・ルービンの音作り、
強い音なのにまろやかに感じさせる「魔術」が活きた音。
いいなあ、やっぱり。
実は今回、このクリップをあらためて観て、この曲のシングルCDを
持っていないことを思い出し、欲しくなって中古で探しました。
ありました、31円、+送料で400円以下で手に入りました。
やっぱり、大好きな曲のシングルは持っていたいんだなあ。
シングルCDにはアルバム未収録曲が1曲。
Girl On L.S.D.、これは聴いたことがなかった、それも嬉しい。
イントロがちょっとだけAmerican Girlを彷彿とさせるもので、
跳ねたリズムだけど途中トーンダウンし、トムが独特の口調で
語るように歌う曲。
まあいかにも「B面曲」、アルバムに入らなかったのは分かる
というものですが、聴いた瞬間、アルバムの曲とは
音の響きそのものが違うと感じました。
リック・ルービンはこの曲にどこまで関わっているのか、
関わっていないんじゃないかな。
あらためてリック・ルービンの「魔術」が、この曲からもよく分かりました。
シングルCDのもう1曲はHouse In The Wood「森の家」ですね。
これもやっぱりいいなあ、特にアタックの強いギターのオブリガート、
それでいてやっぱり優しさとまろやかさを感じる響き。
クリップでいえばもうひとつ、今はこうしたベテランによる普通の
ロック系がシングルチャートでは上がって来ない世の中になったので、
この曲が、ビデオとはいえチャート上位に来ていた、
そんな時代のことも懐かしく思い出しました。
この曲が入ったアルバムWILDFLOWERS(記事こちら)も
僕はトム達のすべてのアルバムでいちばん好きなのです。
そしてこの曲、アルバム自体をたくさん聴き込んだ上に、
ビデオクリップもよく観ていたので、トム達の中では、
僕が今までいちばん多く聴いた曲でしょうね。
さて、アルバムの他の曲のシングルCDはどうしようかな、
というのが新たな悩みになりました(笑)。
07

今日はマーサが主役。
でも、そうか、この曲だから「ハウ」を中心にすべきでしたかね。
2014年09月06日
MUDCRUTCH トム・ペティの変名プロジェクトバンド
いつものように
写真へのコメントも
大歓迎です!
前回に続いて、「カントリーの意識」のアルバムを。
そういえば、5月に何枚かまとめて紹介し、
記事にして欲しいものがありますか、と聞いていたのですが、
記事にするまで3ヶ月以上を要した、というわけですね・・・
01

MUDCRUTCH Mudcrutch
マッドクラッチ released in 2008
マッドクラッチ・・・聞き慣れない名前ですが、
これは、トム・ペティが、
彼のハートブレイカーズ結成前に組んでいたバンドで、
そのデビューアルバムとして制作される予定だったのが、
諸般の事情で中止になっていた、というもの。
そのままではロック史に名を残すことがなかったのですが、
トムはそのバンドに愛着があったことと、
そしておそらく、時間的、気持ち的に余裕が出たことで、
今年、ついに、20年以上の時を経てアルバムが制作され、
発表されるに至りました。
メンバーも当時のメンバーが集まった、いわゆる「再結成」で、
Tom Petty (Bass)(Vocal)
Mike Campbell (Gt)
Benmont Tench (Key)
Tom Leadon (Gt)
Randall Marsh (Ds)
トム・ペティはここではベースに専念しています。
マイク・キャンベルとベンモント・テンチは、この後、
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの結成に至ります。
そして、トム・レドンは、かつてイーグルスに在籍していた、
あのバーニー・レドン(リードン)の弟だそうです。
音楽的には、いかにもアメリカというカントリーっぽいロック。
さて、このアルバムについては、いつもとは趣向を変え、
僕の音楽友達でもあり、アンモナイトの先生でもある(笑)
トニーさんと、先日、A公園でお会いした際に実現した、
「音楽談義」のダイジェストというかたちでお届けします。
このバンドや音楽の「核心」に触れることにはならないかもですが、
それでもあえてこのかたちにしたのは、時には掘り下げないで、
感じたことを書き綴ってみたい、と思ったからです。
それと、「マスヒリ」の記事でも書きましたが、
僕にはまだ掘り下げる能力がないこともありますが・・・
では、いきます。
02 ネジバナの花はねじれて咲く(斜里町)

guitarbird(以降GB):最近、俺、
カントリー系に熱心なBLOG仲間(注1)が次々とできて、
そっちのほうへの意識が高くなってるんだ。
かといって、カントリー系をたくさん聴いているかというと、
そんなこともないんだけど・・・
トニー:どうして?
GB:俺、元々アメリカンロックが大好きで、そこには、
大なり小なりカントリーの要素が含まれているし、
目新しい、というわけでもないからだと自分では思う。
トニー:例えば?
GB:ザ・バーズのSWEETHEART OF THE RODEO(注2)は、
当時としては画期的、ロックとカントリーを融合させて、
「カントリーロック」を生み出したものだったらしいけど、
でも、今の基準で聴くと、これは「ど」カントリーだな、と思ったり。
トニー:バーズがそもそもカントリーっぽくないですか?
GB:少なくとも、「外見」上の音の響きはそうだね。
トニー:カントリーっぽい音って、昔から自然と、
それと意識しないで聴いてきているんでしょうね。
GB:ザ・ビートルズでいえば、4枚目のBEATLES FOR SALEが、
ビートルズの中ではいちばんカントリーっぽいと感じるね。
トニー:ジャケットの感じもそんな感じですね(笑)。
GB:あ、なるほど!
03 朝の秋桜(コスモス)

トニー:そんなことをメールで読んでいたから、これ持ってきました。
(といって1冊の本を見せてくれる)
要は、「フォークっぽい音楽」のディスクガイドですね。
GB:ほう、これはいいね!
(僕は、いかにも欲しそうな目つきで手にとってページをめくる)
ボブ・ディランのBLONDE ON BLONDEが何度も紹介されているね。
トニー:この本は、章ごとに、フォークやブルーズなどに分けて
別の筆者が詳細に追っているんだけど、その過程で
重複して紹介されているアルバムも、結構あるんです。
GB:ディランなんて、確かに出発点はフォークだったけど、
曲は単純なブルーズ形式のが多いしね。
トニー:そうそう、そんな感じです。
(ページをめくりながら話を続ける)。
GB:マリア・マルダーやローラ・ニーロもここに入るんだ。
マリア・マルダーはまだ聴いたことがなくて、
HMVのウィッシュリストに1年以上入ったままだよ(笑)。
トニー:僕もMidnight At The Oasisは知ってる、という程度です。
GB:俺も同じ(笑)。
ローラ・ニーロは2枚聴いたけど、ぎりぎり聴けるね。
ジョニ・ミッチェルはだめだけどローラ・ニーロは大丈夫、みたいな。
トニー:ジョニ・ミッチェルは癖がありますからね。
GB:この本、ブルーズについても触れてるのが、興味深いね。
トニー:あくまでも、聴いた感じが「フォーキッシュ」に響く
という観点なので、必ずしもフォーク限定ではないようですよ。
GB:エルモア・ジェイムズなんて、「カントリー・ブルーズ」だしね。
あの人の曲は個性的で、他の人のカバーでもそれと分かるもんね(笑)。
それから俺はタージ・マハールが結構好きだったりもするんだ。
トニー:ギタリストのジェシ・エド・デイヴィスのソロは聴きました。
GB:「ウルル」?
トニー:「ウルル」じゃないほうです(笑)。
GB:いずれにせよ、その2作の2in1のCDを持ってるよ。
ところで、それにしてもこの本(注3)、いいなぁ。
(といって本の奥付を見る)
1994年に出たのか。
トニー:僕はその頃、はっぴぃえんどを聴いていた友達の影響で、
「フォーキッシュ」な音に凝っていたんですよ。
それで本屋で適当に探して買ったのがこの本なんです。
GB:やはり勉強熱心だなぁ!
(さらに本を見る)
ジェームス・テイラーはNEW MOON SHINEを押してるんだね。
確かこの本が出た当時の最新のスタジオアルバムのはず。
トニー:そうそう、マッドクラッチ、聴いてみましたよ。
GB:どうだった?
トニー:なかなかいいですね!
音がしっかりしている感じがしました。
GB:俺、あれはね、「カントリーロック」って表現が
まさにぴったりくると思ってるんだよね、特に1曲目が(注4)。
トニー:「カントリーロック」って、向こうでは言わない、
日本だけの言い方みたいですね。
GB:ああ、そんなことはちらと耳にしたことがあるよ。
便利だから使ってるけどね(笑)。
トニー:日本人はジャンル分けしたがるから・・・
GB:俺はね、ジャンル分け自体はむしろ好きなんだ。
でもそれは、どうしてこの人が表現する音楽はこうなったのか、
その過程や環境を考えるのが楽しいからにすぎなくて、
結果の音楽が気に入れば、このジャンルだから聴く、聴かない、
ということにはならないんだよね。
だからヘヴィメタルも好んで聴くし(笑)。
トニー:日本だって、今はいろいろジャンル分けされているけど、
昔はみんなひっくるめて「歌謡曲」(注5)でしたからね。
GB:そういえば俺、
ザ・キンクスのMUSWELL HILLBILLIES(注6)を
BLOGの記事で上げようと思ってるんだけど、
あれって最初は「カントリー」だと思ってたけど、
最近は「カントリーじゃない・・・」と感じるようになった。
トニー:僕も聴いたことがあるけど、
カントリーだとは思わなかったなぁ・・・
GB:そうでしょ・・・
マッドクラッチに戻って、ひとつ興味深いのは、あれ、
曲自体はもう30年くらい前に作られていることなんだよね。
トニー:つまり?
GB:当時の、ロックとカントリーの接点の雰囲気みたいなものが、
曲の中に息づいているんじゃないかって。
トニー:録音は今なんですよね?
GB:そう。だから、昔の感覚と今の感覚が
微妙にうまくブレンドされているのかもしれない。
トニー:僕も最近、新しい音楽はあまりついてゆけてないので、
これを教えてもらったのはありがたかったです(笑)。
GB:向こうでは、マッドクラッチでコンサートをしてるんだって。
カリフォルニア中心らしいけど、行ってみたいなぁ・・・
(注1):千子村正さんのBLOG「狂馬亭」そして
VETさんのBLOG「NEW COUNTRY BLOG」のこと
(注2):「ロデオの恋人」関係の記事はこちら
(注3):この本は現在絶版のため、あえて紹介しませんでした。
(注4):Tr1へ
(注5):トニーさんは戦後の歌謡曲に詳しく、本が書けるほどです。
(注6):記事はこちら
03 信号待ち、前には牧草ロールを積んだトラック(富良野市)

Tr1:Shady Grove
トラディショナルソングをアレンジしたもの。
マイナー調の、なんとかのひとつ覚えのごとくいつも僕が言う
「ローハイドのテーマ」のような「カントリーロック」。
冒頭の歌メロが印象的で、気がつくと
とりつかれたように歌ってしまい、頭から離れません。
途中、レドンもヴォーカルを取っていますが、
トムと声がよく似ていて最初は気づきませんでした(笑)。
Tr2:Scare Easy
引き続き、マイナー調の緊張感あふれる曲。
でもこれはいかにも、トム・ペティらしい曲。
Tr3:Orphan Of The Road
初めて明るく軽やかな、カントリー調の曲。
やっぱりトムの基本はこの辺りなのかな・・・
Tr4:Six Days On The Road
カバー曲で、作者のクレジットはCDにありますが、
オリジナルは調べがつきませんでした。
カントリー調の気のいいロックンロール。
Tr5:Crystal River
やはりアメリカ人には川が出てくる曲が多い、
いかにも川がゆったりと流れるような曲調、メロディ。
川を見ると、自然とそんな気分になるのかな。
後半はジャムセッション風の、9分以上ある長い曲で、
演奏している時の気持ちよさが伝わってきます。
その気持ちよさは、アルバム全編から感じられ、
そこが聴きどころであり、こちらも気持よく聴ける部分ですね。
アルバムの前半の山場。
Tr6:Oh Maria
トムが高温で、いや高音で迫るとろっとした感じのバラード。
曲としてはアルバムでいちばんいいですね。
04 うちの近くの道路の三角帯にある2本のケヤキの木

Tr7:This Is A Good Street
ベンモント・テンチ作、珍しくテンチのヴォーカルが聞けます。
が、トム・ペティと声がそっくりで、実はそのことを知ったのは、
今回記事にするのにCDを見てからのことでした・・・
なんだかひょうひょうとした、ちょっととぼけた味。
曲も急に終わるし。
Tr8:The Wrong Thing To Do
ちょっとニール・ヤングっぽい、荒々しく力強い曲。
いや、いかにもトム・ペティっぽいか。
いずれにせよ、アメリカンロック王道路線。
Japanese Carがどうしたんだろう・・・!?
そういえば、トム、来日してくれないかなぁ・・・
Tr9:Queen Of The Go-Go Girls
トム・レドン作でリード・ヴォーカルも彼自身。
しかし、やはりトム・ペティと声が似ていて、
3か月くらいそのことに気づかず・・・
どうしてみんな、そんなに声が似てるの・・・
のどかな、いかにも片田舎という雰囲気の曲。
Tr10:June Apple
これもトラディショナルをアレンジしたもの。
6月のリンゴ・・・まだ早い、ということかな(笑)。
ラグタイム+カントリーといった趣のインストゥロメンタル曲。
ラグタイムは、このバンドが最初に活動していた頃
かの映画「スティング」の音楽が大ヒットし、
一般の耳にもおなじみだった音だったようですが、
それとは関係があるのかな、ないのかな・・・
Tr11:Lover Of The Bayou
トム・ペティが敬愛するザ・バーズのカバー。
Bayou=バイヨー(アメリカ南部)も、アメリカンロックの常とう句。
風が強そうな土地、というイメージが沸いてきます・・・
Tr12:Topanga Cowgirl
折り目正しい演奏というか、わき目も振らずに前を見ているような、
そんなまっすぐさが伝わる、明るく楽しい曲。
Tr13:Bootleg Flyer
トム・ペティとマイク・キャンベルの共作。
密造酒の飛行機操縦士が主人公だけど、
迫ってくるような緊張感と、空を飛ぶような疾走感・軽快感が
なんともいえず気持がいい曲。
トムはベーシストとしてもかなりのものだと感じます。
Tr14:Home Of Stone
最後は家庭的な響きのスローな和やかな曲。
ほっとした雰囲気でアルバムは終わります。
※特記がない曲はすべてトム・ペティ作。
このアルバム、夏前にリリースされましたが、
むしろ、夏を越えて、これからの季節の秋に
よく似合いそうな雰囲気の音です。
トム・ペティの曲は相変わらずクオリティが高いですし、
マイク・キャンベルとベンモント・テンチは、かの、
ニール・ダイアモンドのHOME BEFORE DARKに
参加していたように、名うてのミュージシャンでもあって、
音楽に全面的に身を委ねることが出来るアルバムでもあります。
日本では人気がないだけに、存在は地味ですが、
音楽は、まあもちろん派手ではないですが、
地味ということは決してない、素直に響いてくる、
聴き応えがあるアルバムです。
05 円山、僕の家はこの山の左の麓にある

なお、この記事の写真、地名の特記がないものはすべて
札幌市で撮影しています。
写真へのコメントも
大歓迎です!
前回に続いて、「カントリーの意識」のアルバムを。
そういえば、5月に何枚かまとめて紹介し、
記事にして欲しいものがありますか、と聞いていたのですが、
記事にするまで3ヶ月以上を要した、というわけですね・・・
01

MUDCRUTCH Mudcrutch
マッドクラッチ released in 2008
マッドクラッチ・・・聞き慣れない名前ですが、
これは、トム・ペティが、
彼のハートブレイカーズ結成前に組んでいたバンドで、
そのデビューアルバムとして制作される予定だったのが、
諸般の事情で中止になっていた、というもの。
そのままではロック史に名を残すことがなかったのですが、
トムはそのバンドに愛着があったことと、
そしておそらく、時間的、気持ち的に余裕が出たことで、
今年、ついに、20年以上の時を経てアルバムが制作され、
発表されるに至りました。
メンバーも当時のメンバーが集まった、いわゆる「再結成」で、
Tom Petty (Bass)(Vocal)
Mike Campbell (Gt)
Benmont Tench (Key)
Tom Leadon (Gt)
Randall Marsh (Ds)
トム・ペティはここではベースに専念しています。
マイク・キャンベルとベンモント・テンチは、この後、
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの結成に至ります。
そして、トム・レドンは、かつてイーグルスに在籍していた、
あのバーニー・レドン(リードン)の弟だそうです。
音楽的には、いかにもアメリカというカントリーっぽいロック。
さて、このアルバムについては、いつもとは趣向を変え、
僕の音楽友達でもあり、アンモナイトの先生でもある(笑)
トニーさんと、先日、A公園でお会いした際に実現した、
「音楽談義」のダイジェストというかたちでお届けします。
このバンドや音楽の「核心」に触れることにはならないかもですが、
それでもあえてこのかたちにしたのは、時には掘り下げないで、
感じたことを書き綴ってみたい、と思ったからです。
それと、「マスヒリ」の記事でも書きましたが、
僕にはまだ掘り下げる能力がないこともありますが・・・
では、いきます。
02 ネジバナの花はねじれて咲く(斜里町)

guitarbird(以降GB):最近、俺、
カントリー系に熱心なBLOG仲間(注1)が次々とできて、
そっちのほうへの意識が高くなってるんだ。
かといって、カントリー系をたくさん聴いているかというと、
そんなこともないんだけど・・・
トニー:どうして?
GB:俺、元々アメリカンロックが大好きで、そこには、
大なり小なりカントリーの要素が含まれているし、
目新しい、というわけでもないからだと自分では思う。
トニー:例えば?
GB:ザ・バーズのSWEETHEART OF THE RODEO(注2)は、
当時としては画期的、ロックとカントリーを融合させて、
「カントリーロック」を生み出したものだったらしいけど、
でも、今の基準で聴くと、これは「ど」カントリーだな、と思ったり。
トニー:バーズがそもそもカントリーっぽくないですか?
GB:少なくとも、「外見」上の音の響きはそうだね。
トニー:カントリーっぽい音って、昔から自然と、
それと意識しないで聴いてきているんでしょうね。
GB:ザ・ビートルズでいえば、4枚目のBEATLES FOR SALEが、
ビートルズの中ではいちばんカントリーっぽいと感じるね。
トニー:ジャケットの感じもそんな感じですね(笑)。
GB:あ、なるほど!
03 朝の秋桜(コスモス)

トニー:そんなことをメールで読んでいたから、これ持ってきました。
(といって1冊の本を見せてくれる)
要は、「フォークっぽい音楽」のディスクガイドですね。
GB:ほう、これはいいね!
(僕は、いかにも欲しそうな目つきで手にとってページをめくる)
ボブ・ディランのBLONDE ON BLONDEが何度も紹介されているね。
トニー:この本は、章ごとに、フォークやブルーズなどに分けて
別の筆者が詳細に追っているんだけど、その過程で
重複して紹介されているアルバムも、結構あるんです。
GB:ディランなんて、確かに出発点はフォークだったけど、
曲は単純なブルーズ形式のが多いしね。
トニー:そうそう、そんな感じです。
(ページをめくりながら話を続ける)。
GB:マリア・マルダーやローラ・ニーロもここに入るんだ。
マリア・マルダーはまだ聴いたことがなくて、
HMVのウィッシュリストに1年以上入ったままだよ(笑)。
トニー:僕もMidnight At The Oasisは知ってる、という程度です。
GB:俺も同じ(笑)。
ローラ・ニーロは2枚聴いたけど、ぎりぎり聴けるね。
ジョニ・ミッチェルはだめだけどローラ・ニーロは大丈夫、みたいな。
トニー:ジョニ・ミッチェルは癖がありますからね。
GB:この本、ブルーズについても触れてるのが、興味深いね。
トニー:あくまでも、聴いた感じが「フォーキッシュ」に響く
という観点なので、必ずしもフォーク限定ではないようですよ。
GB:エルモア・ジェイムズなんて、「カントリー・ブルーズ」だしね。
あの人の曲は個性的で、他の人のカバーでもそれと分かるもんね(笑)。
それから俺はタージ・マハールが結構好きだったりもするんだ。
トニー:ギタリストのジェシ・エド・デイヴィスのソロは聴きました。
GB:「ウルル」?
トニー:「ウルル」じゃないほうです(笑)。
GB:いずれにせよ、その2作の2in1のCDを持ってるよ。
ところで、それにしてもこの本(注3)、いいなぁ。
(といって本の奥付を見る)
1994年に出たのか。
トニー:僕はその頃、はっぴぃえんどを聴いていた友達の影響で、
「フォーキッシュ」な音に凝っていたんですよ。
それで本屋で適当に探して買ったのがこの本なんです。
GB:やはり勉強熱心だなぁ!
(さらに本を見る)
ジェームス・テイラーはNEW MOON SHINEを押してるんだね。
確かこの本が出た当時の最新のスタジオアルバムのはず。
トニー:そうそう、マッドクラッチ、聴いてみましたよ。
GB:どうだった?
トニー:なかなかいいですね!
音がしっかりしている感じがしました。
GB:俺、あれはね、「カントリーロック」って表現が
まさにぴったりくると思ってるんだよね、特に1曲目が(注4)。
トニー:「カントリーロック」って、向こうでは言わない、
日本だけの言い方みたいですね。
GB:ああ、そんなことはちらと耳にしたことがあるよ。
便利だから使ってるけどね(笑)。
トニー:日本人はジャンル分けしたがるから・・・
GB:俺はね、ジャンル分け自体はむしろ好きなんだ。
でもそれは、どうしてこの人が表現する音楽はこうなったのか、
その過程や環境を考えるのが楽しいからにすぎなくて、
結果の音楽が気に入れば、このジャンルだから聴く、聴かない、
ということにはならないんだよね。
だからヘヴィメタルも好んで聴くし(笑)。
トニー:日本だって、今はいろいろジャンル分けされているけど、
昔はみんなひっくるめて「歌謡曲」(注5)でしたからね。
GB:そういえば俺、
ザ・キンクスのMUSWELL HILLBILLIES(注6)を
BLOGの記事で上げようと思ってるんだけど、
あれって最初は「カントリー」だと思ってたけど、
最近は「カントリーじゃない・・・」と感じるようになった。
トニー:僕も聴いたことがあるけど、
カントリーだとは思わなかったなぁ・・・
GB:そうでしょ・・・
マッドクラッチに戻って、ひとつ興味深いのは、あれ、
曲自体はもう30年くらい前に作られていることなんだよね。
トニー:つまり?
GB:当時の、ロックとカントリーの接点の雰囲気みたいなものが、
曲の中に息づいているんじゃないかって。
トニー:録音は今なんですよね?
GB:そう。だから、昔の感覚と今の感覚が
微妙にうまくブレンドされているのかもしれない。
トニー:僕も最近、新しい音楽はあまりついてゆけてないので、
これを教えてもらったのはありがたかったです(笑)。
GB:向こうでは、マッドクラッチでコンサートをしてるんだって。
カリフォルニア中心らしいけど、行ってみたいなぁ・・・
(注1):千子村正さんのBLOG「狂馬亭」そして
VETさんのBLOG「NEW COUNTRY BLOG」のこと
(注2):「ロデオの恋人」関係の記事はこちら
(注3):この本は現在絶版のため、あえて紹介しませんでした。
(注4):Tr1へ
(注5):トニーさんは戦後の歌謡曲に詳しく、本が書けるほどです。
(注6):記事はこちら
03 信号待ち、前には牧草ロールを積んだトラック(富良野市)

Tr1:Shady Grove
トラディショナルソングをアレンジしたもの。
マイナー調の、なんとかのひとつ覚えのごとくいつも僕が言う
「ローハイドのテーマ」のような「カントリーロック」。
冒頭の歌メロが印象的で、気がつくと
とりつかれたように歌ってしまい、頭から離れません。
途中、レドンもヴォーカルを取っていますが、
トムと声がよく似ていて最初は気づきませんでした(笑)。
Tr2:Scare Easy
引き続き、マイナー調の緊張感あふれる曲。
でもこれはいかにも、トム・ペティらしい曲。
Tr3:Orphan Of The Road
初めて明るく軽やかな、カントリー調の曲。
やっぱりトムの基本はこの辺りなのかな・・・
Tr4:Six Days On The Road
カバー曲で、作者のクレジットはCDにありますが、
オリジナルは調べがつきませんでした。
カントリー調の気のいいロックンロール。
Tr5:Crystal River
やはりアメリカ人には川が出てくる曲が多い、
いかにも川がゆったりと流れるような曲調、メロディ。
川を見ると、自然とそんな気分になるのかな。
後半はジャムセッション風の、9分以上ある長い曲で、
演奏している時の気持ちよさが伝わってきます。
その気持ちよさは、アルバム全編から感じられ、
そこが聴きどころであり、こちらも気持よく聴ける部分ですね。
アルバムの前半の山場。
Tr6:Oh Maria
トムが高温で、いや高音で迫るとろっとした感じのバラード。
曲としてはアルバムでいちばんいいですね。
04 うちの近くの道路の三角帯にある2本のケヤキの木

Tr7:This Is A Good Street
ベンモント・テンチ作、珍しくテンチのヴォーカルが聞けます。
が、トム・ペティと声がそっくりで、実はそのことを知ったのは、
今回記事にするのにCDを見てからのことでした・・・
なんだかひょうひょうとした、ちょっととぼけた味。
曲も急に終わるし。
Tr8:The Wrong Thing To Do
ちょっとニール・ヤングっぽい、荒々しく力強い曲。
いや、いかにもトム・ペティっぽいか。
いずれにせよ、アメリカンロック王道路線。
Japanese Carがどうしたんだろう・・・!?
そういえば、トム、来日してくれないかなぁ・・・
Tr9:Queen Of The Go-Go Girls
トム・レドン作でリード・ヴォーカルも彼自身。
しかし、やはりトム・ペティと声が似ていて、
3か月くらいそのことに気づかず・・・
どうしてみんな、そんなに声が似てるの・・・
のどかな、いかにも片田舎という雰囲気の曲。
Tr10:June Apple
これもトラディショナルをアレンジしたもの。
6月のリンゴ・・・まだ早い、ということかな(笑)。
ラグタイム+カントリーといった趣のインストゥロメンタル曲。
ラグタイムは、このバンドが最初に活動していた頃
かの映画「スティング」の音楽が大ヒットし、
一般の耳にもおなじみだった音だったようですが、
それとは関係があるのかな、ないのかな・・・
Tr11:Lover Of The Bayou
トム・ペティが敬愛するザ・バーズのカバー。
Bayou=バイヨー(アメリカ南部)も、アメリカンロックの常とう句。
風が強そうな土地、というイメージが沸いてきます・・・
Tr12:Topanga Cowgirl
折り目正しい演奏というか、わき目も振らずに前を見ているような、
そんなまっすぐさが伝わる、明るく楽しい曲。
Tr13:Bootleg Flyer
トム・ペティとマイク・キャンベルの共作。
密造酒の飛行機操縦士が主人公だけど、
迫ってくるような緊張感と、空を飛ぶような疾走感・軽快感が
なんともいえず気持がいい曲。
トムはベーシストとしてもかなりのものだと感じます。
Tr14:Home Of Stone
最後は家庭的な響きのスローな和やかな曲。
ほっとした雰囲気でアルバムは終わります。
※特記がない曲はすべてトム・ペティ作。
このアルバム、夏前にリリースされましたが、
むしろ、夏を越えて、これからの季節の秋に
よく似合いそうな雰囲気の音です。
トム・ペティの曲は相変わらずクオリティが高いですし、
マイク・キャンベルとベンモント・テンチは、かの、
ニール・ダイアモンドのHOME BEFORE DARKに
参加していたように、名うてのミュージシャンでもあって、
音楽に全面的に身を委ねることが出来るアルバムでもあります。
日本では人気がないだけに、存在は地味ですが、
音楽は、まあもちろん派手ではないですが、
地味ということは決してない、素直に響いてくる、
聴き応えがあるアルバムです。
05 円山、僕の家はこの山の左の麓にある

なお、この記事の写真、地名の特記がないものはすべて
札幌市で撮影しています。
2014年08月20日
HYPNOTIC EYE トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ
01

HYPNOTIC EYE Tom Petty & The Heartbreakers
ヒプノティック・アイ トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ (2014)
先日の記事(こちらで)、39年目にして初めてNo.1を獲得と報じた
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの新作の記事です。
僕は買って聴いてから1位になったのですが、最初は、
「そうかこれが1位になるのか」と、正直、少々戸惑いました。
僕が聴いた第一印象はこうでした。
「なんて無駄のないソリッドなロックなのだろう」
続いてこうも思いました。
「売れることを第一に考えていたらこの作品はできないはず」
それが1位になったのです。
僕は、これ、信頼関係のなせる技だと思いました。
トム達だって昔はヒット曲を連発し、売り上げも全世界で8,000万枚と、
決して少ないほうではありません。
若い頃は、「トップに立ってやろう!」という意気込みの基に
音楽「業界」で頑張っていたからこそできたことなのでしょう。
彼らは、さして大きなスランプもなくずっと売れ続けていました。
とさらりと書きましたが、これが実はすごいことなんですけどね。
彼らの曲は、胸倉を掴まれて大きく揺さぶられるようなものではなく、
しかしいわゆる「するめ系」のじわじわと伝わるほど小さな枠でもない、
聴くと誰もが「いい曲だなあ」とは思うもの。
ポップかポップではないかといわれれば十分ポップだけれど、
メインストリームになれるかといわれればそうではない、という感じ。
それが、2010年の前作MOJOで方針転換したと僕は感じました。
2002年の前々作THE LAST D.J.は、今から振り返ると
ポップな彼らの集大成的な作品でした。
しかし、そこで彼らは、次は何か別のことをしようと考え、でもすぐには
方向性が見いだせず、8年かけてMOJOを生み出した。
クスリを連想させるタイトルとは裏腹に、MOJOは
「ロック界にクスリというものがなければロックはこうなっていたはず」
というストイックでリリカルな作品であり、僕も最初は戸惑いました。
そうですよね、その間にトムのソロや素晴らしいライヴ盤はあったけど、
8年も待って、...D.J.を期待していたところ、そう来たか、となりました。
実は前作は、買って記事を上げるまで2か月かかっていたのですが、
それだけ僕は、どう理解すればよいか迷っていたのでした。
ということは僕は、ポップな、歌って楽しい曲「だけ」を、
トム達には求めていたのかもしれない。
それでも僕はひと月以上毎日聴き続け、漸く彼らを理解し、
そのアルバムが素晴らしいと心底感じるようになりました。
彼らは「ロックの求道者」になりたいのだ、と。
でも、もし買ってすぐに「これは違う」と感じて聴くのをやめていれば、
そうはならなかったかもしれません。
そこを聴き続けられたのは、僕がトム達を信頼していたから、でした。
トム達は、長年よい作品を作り続けてきていて、彼らなら
悪かろうはずがないという共通認識として広まり定着した。
だから方針転換も素直に受け入れられ、今作は、トム達なら
媚びない音楽を作れるはずという信頼があっての1位だった。
さらには、レコード会社、Warner系のReprise、からも信頼され、
やりたいようにやることを認められたのも大きいと思います。
あのポール・マッカートニーですら、以前のレコード会社のプロモーションが
不満で移籍した、という話もあるくらいだから。
そしてもうひとつ、Facebookの影響力もあるかな。
僕はかなり多くのミュージシャンのFacebookページに"Like!"していますが、
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズは情報を挙げる頻度が
いちばん多い部類のひとつで、毎日何かの記事が上がっています。
新譜が出る時はもちろんその情報が音源つきでよく流れていました。
もっとも、僕は新譜はCDを買うまで絶対に聴かない主義なのですが、
そこで聴いて動かされた人も結構いたのだと思います。
ちなみに、トム達のFacebookページは世界で約290万人が
"Like!"しています。
ともあれ、今回のNo.1は信頼関係から勝ち取ったものでしょうけど、
それだけ信頼されるアーティストも稀ではないかとあらためて思いました。
余談、Facebookで思い出した、そこで知ったことですが、この7月8月、
なんと、トム達とスティーヴ・ウィンウッドがジョイントツアーでアメリカを
回っていたらしく、もう羨ましいにもほどがあり過ぎる、少しだけ本気で
アメリカに行くことを考えましたが、行動力がないので諦めました(笑)。
CDかDVD出ないかなあ、それで来日するのはあり得ないだろうから・・・
02 閑話休題、今朝のカツラの葉

さて今作の内容について。
僕は、前作があった上でのことだったので、素直に最初から感動しました。
「ロックの求道者」としての道を突き進む姿が頼もしくもありました。
でも聴き込むと、曲の訴求力は前作より高くなっていると考え直しました。
音楽についてどう書こうかと考えていたところ、いつも書き込みで
音楽の話をしてくださるぽちわかやさんが書いておられたことに共感し、
それ以上のことは自力では書けないと思われ、ご本人にご承諾の上、
書き込みを引用させていただくことにしました。
なお、文章は引用者が一部修正や省略を行っています、ご了承ください。
「こりゃあ正味腰の据わったアメリカン・ロックの完成形ですやん。
こんな隙のないバンドサウンドは初めてやな。
そしてトムの歌声に飄々としつつも静かなるロック魂を感じます。
あるべきところにあるべき音がありまくりでありながら
頗るロックしてるんですよ。
意匠としても馴染みのリフでありリズムがカチッと完璧に
嵌っているんですが、不思議な感覚に襲われてきました。
うん、なるほどジャケットデザインの意味がわかってきたぜぃ。」
さらにははこのようなことも書いておられました。
「要はロックンロールの「ロール感覚」じゃないんかな?
そしてほんまもんのロール感覚には時系列は無いっ!永遠なんですよ。
ヴァンやトムそしてウィンウッドやレイ・デイヴィスさんたちは
生来のおのれのロール感覚がもはや滲みでる域に達してるんやと」
僕のように長く書かず、しかも僕も漠然と感じていたことが言葉となって
凝縮して表されていて、非常に共感を得ました。
ついでにいえば、スティーヴ・ウィンウッドの名前を挙げておられるのは、
コンサートに行きたいという思いが蒸し返されました(笑)。
ともあれ、ぽちわかやさん、ありがとうございました。
隙のないバンドサウンドというのは、とりおなおさず、核となるメンバー
トム、マイク・キャンベル、ベンモント・テンチの3人が不動で、
「自然と」仲良くやってこられたことによるのでしょう。
彼らからは悪い意味でのロック的エゴがほとんど感じられません。
また、3人とも、特にベンモントは他のアーティストへの客演が多く、
他で感じ取ったことをバンドにフィードバックできる環境がある。
もちろん、みなが実質的なリーダーであるトムを尊敬し、トム中心に
みなが信頼し合っているからこそ出来ることでもありますが、
こうしたバンドの姿もひとつの理想形、完成形でしょうね。
そしてやはりバンドにはグルーヴ感が大切であると再認識しました。
みんながどれだけ同じ方向を向いて演奏しているかがそこに
つながるのでしょうけど、その点でもトム達は完璧に近い。
だから表現力も広がってゆきます。
表現力でいえば、ギター3人態勢というのも大きい。
かつては2人でしたが、もっとギターサウンドを充実させたい、そして、
スタジオでオーバーダブはいくらでもできますが、ライヴでのリアルさを
求めた結果が3人態勢になったのでしょう。
ライヴでのリアルさにこだわるという点でいえば、このアルバムには
フェイドアウトして終わる曲がないのもそこから来ているのでしょう。
ギター3人といえばアイアン・メイデンですが、確かスティーヴ・ハリスも
ライヴでの再現性を考えた、と何かで言っていた記憶があります。
(彼らの場合は「元」メンバー復帰の場という意味もあるのですが)。
ちなみにメイデンも、フェイドアウトして終わる曲が1曲しかなく、その1曲も
若い頃にシングル用に録音「させられた」ものです、とこれは余談。
ロックというのは、当然のことながらハードなものであり
緊張感があるものだ、というのがトム達の考えなのでしょう。
この緊張感は尋常ではない、恐いくらい。
前作もそうでしたが、僕は少なくとも今は、気軽には聴けない。
聴くなら最後まできちんと聴ける状況でかけたいです。
ロックなんて楽しければいい、という見方を僕は別に否定はしませんが、
でも、「そもそも」にこだわるとこうなるのでしょう。
完成形のアルバムを前にすると、「そもそも」の話は避けて通れない。
一般論的になりましたが、それを実践しているのがトム達なのでしょう。
しかし、理想を実践するのはいかに難しいかは、言わずもがなですよね。
今作の魅力は、それができてしまったことに尽きると思います。
大げさではない、断言すれば、ロックという音楽、
ロックンロールのひとつの最高到達点がこのアルバムです。
そんなアルバム誕生の瞬間に立ち会えたのは幸せなことですね。
メンバーをあらためて
トム・ペティ ヴォーカル、ギター等
マイク・キャンベル リードギター
ベンモント・テンチ キーボード
スコット・サーストン ギター
ロン・ブレア ベース
スティーヴ・フェローン ドラムス
曲は、2曲目がトムとマイクの共作である以外はみなトム作です。
03

1曲目 American Dream Plan B
1曲目から意味深なタイトル。
彼らがデビューした頃はまだ言われていた「アメリカン・ドリーム」。
もはや今の世の中ではそれが不可能という彼ららしいシニカルさ。
今回記事を書くに及んでブックレットで歌詞を読みながら聴きましたが、
観念的、抽象的な表現に拍車がかかっていて、正直、難しい。
それは聴き手に委ねられる部分が大きいということで、例えばこの曲は、
社会ではなく個人の思いと重ね合わせて読むこともできます。
或いは、「別のブラン」がある、それを60歳を過ぎた今からでも実行できる、
という励ましのメッセージをトムが贈っている、とも考えられます。
そしてこの歌詞はトムの執拗ともいえる韻の踏み方に凄味があります。
作詞家としてのトムも完成した、といえるのでしょうね。
曲はよくあるロックンロールのスタイルで、あまりにも素直に始まるのが、
僕は逆に、この先きっと何か仕かけてくる、と予感させられました。
ヴァースの最初の8小節が終わるところで入るテンチのキーボードの音、
簡単なフレーズのようで、やはり職人技がにじみ出ていますね。
2曲目 Fault Line
タイトルの意味は「断層線」、原発の下にあると恐い・・・
ロックはベースが命、というポール・マッカートニー信者の僕は(笑)、
イントロから入るこのベースラインに速攻でやられました。
歌がイントロのコードではなくIVで入ってくるのですが、僕はこれが
なぜかたまらなく好きで、この曲は最初に気に入りました。
曲が終わる前に入るそこにしか出てこない3小節のパッセージがまたいい。
この曲は3回目くらいでもうサビを口ずさんでいました。
3曲目 Red River
この曲もイントロのコードで歌に入らない。
なんというか、響きがふくよかになると感じるんですよね。
トムは"fuzz bass"を弾いていますが、る
そしてギターソロの前の幻惑的なパッセージがいい。
トムはこのアルバムではおとなしく淡々と歌っていますが、
この曲のサビの劇的な展開はその中でははっとさせられます。
大人しい人ほど本気で怒ると恐い、とよく言いますが、そんな感じかな。
4曲目 Full Grown Boy
「んっ ぱっ んっ ぱっ」というリズムのディキシーランド・スタイル。
"The full moon seems to know me"というくだりは、トムのソロ作
FULL MOON FEVERを想起させてちょっと可笑しかった。
歌詞を書く際はそれを意識せず自然と浮かんだのでしょうけど、
出来上がったものを読んで本人が意識しないはずがない。
言葉に敏感な仕事をする人たちだから。
緊張感の中、せいっぱいのユーモアを感じました。
ジャズ風のギターソロもいい、マイクさすが。
「育ち切った少年」という表現は面白いですね。
気持ちがいつまでも若いのはいいことなのでしょう。
僕もそう思っていました。
でも僕は最近、「若い」のと「子どものまま」であるのとは似て非なり、
僕は「子どものまま」ではいたくない、と思うようになりました。
トムのこの曲は、そんな僕に「それでいいのか」「それでいいのだ」と
悩みの種を与えてくれてしまいました。
5曲目 All You Can Carry
このアルバムはギターリフがいい曲が多い。
ブルーズからR&Bになりやがてロックになったその変遷をダイジェストする
今作は、さらにはそこからハードロックに展開したことがよく分かります。
いや、これはハードロックといっていいのでは。
もし世の中にクスリというものがなければ、ですが・・・
そして僕はギターリフが印象的な曲が大好き。
サビのトムの歌い方には、冷淡な中に優しさがちらと垣間見えます。
6曲目 Powerdrunk
そうか、そうだよな、クスリはないけど酒はあるのか。
これまた低音のギターリフが迫ってくるスリルがたまらない。
最後のヴァースの前とコーダに入るパッセージが印象的ですが、
このアルバムは印象的なパッセージが多いのは特筆もの。
曲全体としては70年代ブルーズロックの香りがぷんぷん漂ってきます。
そして、冷静に聴くとこれはレゲェですね。
7曲目 Forgotten Man
これはトム達自身の1作目2作目を彷彿とさせる若々しいリズム。
「忘れられた人間みたいだ」と歌うのはいかにもロック的。
2番のくだり"I feel like a four-letter-word"というのがまた意味深。
きっと"l o v e"のことだと思うけれど。
ソロに入る前のアコースティックギターのパッセージがいい。
そこがアコースティックギターの音が前に出るところに、
ギターの使い方、バランス感覚に長けていることが分かります。
ほんと、一度しか出てこないパッセージが印象に残る。
一度しか出てこないのはもったいない、とすら思うけれど、
でもだから、これは質素なようで贅沢なアルバムなのですね(笑)。
ご飯とみそ汁に一夜干しの魚1匹で満足するみたいな。
イントロのギターリフはディープ・パープルのFlight Of The Ratを
思い出しましたが、似ている、というよりは、ロックとはそういうものだ
という感覚に自然となってしまうのがこのアルバムの不思議な魅力かな。
曲の終わり方も派手で、コンサートではいちばん盛り上がる曲かな。
8曲目 Sins Of My Youth
若い頃の罪、か・・・
慈悲を乞うような曲調、サビの憐れみすら感じる泣きの旋律。
こういう曲を歌わせるとトムに比肩する人はいないでしょう。
トム・ペティはアメリカ人の中でも憂いや陰りが強い人であるのが分かり、
それはR.E.M.とつながるものがある、と僕は思います。
柔らかく弾いているはずなのに弦が痛くて悲鳴を上げるようなギターソロも、
もはや至芸の域に達しています。
それにしてもこの曲は気持ちが沈んでしまう。
ある種のカタルシス的作用に満ちていますね。
ところで、この曲に限らずですが、60歳を過ぎてもやはり歌うのは
好きだのどうだの、ということが多いのですが、そうですね、僕も
まだ諦めるには早いのかな、と思わなくもないです。
9曲目 U Get Me High
このギターのイントロは80年代アメリカ勢のポップロックを
思い起こさせてくれる、80年代育ちにはうれしい曲。
ただ、そのままやるともっと明るい曲に聴こえてきたはずが、
緊張感を持って抑制をかけているトムたち、少し沈みながら進みます。
サビの低音で動くギターリフが、ギターリフ好きにはたまらない。
"high"といえばロックの世界では通常はクスリを想起させるものですが、
そこを敢えて歌い、しかも"You"を俗語である"U"としているところに、
逆に彼らの強い意志と理想に向かう姿を感じます。
トムは、20年前のソロではいかにも気持ちが浮き立つように
Higher Placeと歌っていたのに、このハイはだいぶ落ち着いた感が。
しかし最後のギターの応酬はやっぱり「ハイ」だな。
そのギターソロは、右チャンネルがマイク、左がトムとブックレットに
明記されていますが、ギター弾きとしてはそれが分かるのはうれしいし、
彼らのバンドとしての力をこんな細かいところでもまた感じます。
10曲目 Burntout Town
これは一聴、トム達流のブルーズ解釈ということでいいのではないかと。
スコット・サーストンのハーモニカも前面に押し出た正真正銘のブルーズ。
大元はハウリン・ウルフかな(違うかもだけど)。
1'30"の「じゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃ~ん」という決めの
フレーズには、全身の血液が沸騰する感覚に包まれますね。
そこが来ると絶対に首を縦に振ってしまう(笑)。
本来は軽快なシャッフルビートが、なぜか後ろに引かれる感覚になる曲。
11曲目 Shadow People
イントロは、消え入るようなピアノのホンキートンク。
続いて強いギターリフが始まりますが、ぽちわかやさん曰く
「これはジョン・レノンのI'm Losing Youでっせ」。
ほんまや(笑)、なんてなぜか僕が似非関西弁を。
ギターリフの感じ、入り方、全体的にほの暗いところ、ベースライン、
そしてリズムなどなど、ジョンが入ってますね。
トムはソロのWILDFLOWERS(記事こちら)の中の、
Only A Broken Heartにもジョンが入っていて、わざわざヴォーカルを
ダブルトラックで録音する凝りようで、単純な僕はこういうのはうれしい。
おまけにこの曲は歌詞もジョンが入っている、と感じます。
車で信号待ちをしていて隣りの人は何を考えているのだろう。
誰か好きな人のことかもしれないし、誰かを憎んでいるかもしれない。
そして、そう考えることで世の中が見えてくる、つまり「影の人間」は
君自身でもある、というのが僕の解釈。
先ほど歌詞が抽象的と書きましたが、これは逆に具体的なもので、
誰もが信号待ちの時に、隣りの人は・・・と考えたことがあるでしょう。
もしかして僕はトムの中にジョンを見ているのかもしれない。
この曲の印象的なパッセージは、2番が終わってから間奏に入る前。
ベースとキーボードだけが静かに残る、まさに「影」を感じさせます。
最後にトムが"Shadow people, shadow land"と繰り返すところは、
言葉の切れに説得力を強く感じます。
そして、こんな世の中だから「別のプラン」が必要なのだ、と、
アルバムはループで最初に戻る、ということなのかもしれない。
と思ったら、曲が終わってからまた別の短いパッセージが始まる。
曲といっていいかな、そういえばこの曲はアルバムの最後にするには、
何かまだ続きがありそうな感じが強くてやや中途半端と感じたんだけど、
このパッセージをつけることでアルバムとして完結するのが上手い。
この部分をぽちわかやさんは「ポールの匂いが」と書いておられます。
短いアコースティックの曲。
そうか。
このアルバムはトム達のABBEY ROADだったのか!
というのはビートルバカの早合点に違いないけれど、でも
最上のロックアルバムを聴かせてくれたのは確かです。
ただ、もちろん、トム達には次があるに違いないですが。
彼らの結束の固さと自信のほどは、ブックレットにも表れています。
見開きに3曲の歌詞が並び、右端にその曲の録音日と
参加メンバーが明記されています。
普通、最後にメンバーと楽器を紹介して、親切なものであれば
どの曲で何くらいは記しますが、曲ごとにこうというのは少ない。
ちなみに、最も古い録音は10曲目の2011年8月9日、
逆に新しいのは9曲目の2014年1月24日です。
そしてデータの通りであれば、すべて1日で録音を完了しています。
それまでデモがあって完成したのがその日という意味か、
それともほんとに1日で作ったかは不明ですが、1日で終わるのも
バンドの結束を感じる部分です。
ただ、ミュージシャンにはよくある、夜に録音した場合、
始めた日と終えた日が違う可能性はありますが(笑)。
このアルバムの魅力は、古いのに新しい、というよりも、
古いものがあってこそ新しいものがあるといった感じなのでしょうね。
伝統は伝統、でもそこに自分達らしさを表現することができた。
ロックという音楽、ロックンロールが心から好きな人であれば、
これには誰もが満足するに違いない、大傑作であると断言します。
しかし、僕の悪い癖で、ここまでの作品を作り上げたトム達、
次のアルバムはどうなるか、早くも楽しみで仕方なくなってきました。
信頼の印、それがトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズです。
05


HYPNOTIC EYE Tom Petty & The Heartbreakers
ヒプノティック・アイ トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ (2014)
先日の記事(こちらで)、39年目にして初めてNo.1を獲得と報じた
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの新作の記事です。
僕は買って聴いてから1位になったのですが、最初は、
「そうかこれが1位になるのか」と、正直、少々戸惑いました。
僕が聴いた第一印象はこうでした。
「なんて無駄のないソリッドなロックなのだろう」
続いてこうも思いました。
「売れることを第一に考えていたらこの作品はできないはず」
それが1位になったのです。
僕は、これ、信頼関係のなせる技だと思いました。
トム達だって昔はヒット曲を連発し、売り上げも全世界で8,000万枚と、
決して少ないほうではありません。
若い頃は、「トップに立ってやろう!」という意気込みの基に
音楽「業界」で頑張っていたからこそできたことなのでしょう。
彼らは、さして大きなスランプもなくずっと売れ続けていました。
とさらりと書きましたが、これが実はすごいことなんですけどね。
彼らの曲は、胸倉を掴まれて大きく揺さぶられるようなものではなく、
しかしいわゆる「するめ系」のじわじわと伝わるほど小さな枠でもない、
聴くと誰もが「いい曲だなあ」とは思うもの。
ポップかポップではないかといわれれば十分ポップだけれど、
メインストリームになれるかといわれればそうではない、という感じ。
それが、2010年の前作MOJOで方針転換したと僕は感じました。
2002年の前々作THE LAST D.J.は、今から振り返ると
ポップな彼らの集大成的な作品でした。
しかし、そこで彼らは、次は何か別のことをしようと考え、でもすぐには
方向性が見いだせず、8年かけてMOJOを生み出した。
クスリを連想させるタイトルとは裏腹に、MOJOは
「ロック界にクスリというものがなければロックはこうなっていたはず」
というストイックでリリカルな作品であり、僕も最初は戸惑いました。
そうですよね、その間にトムのソロや素晴らしいライヴ盤はあったけど、
8年も待って、...D.J.を期待していたところ、そう来たか、となりました。
実は前作は、買って記事を上げるまで2か月かかっていたのですが、
それだけ僕は、どう理解すればよいか迷っていたのでした。
ということは僕は、ポップな、歌って楽しい曲「だけ」を、
トム達には求めていたのかもしれない。
それでも僕はひと月以上毎日聴き続け、漸く彼らを理解し、
そのアルバムが素晴らしいと心底感じるようになりました。
彼らは「ロックの求道者」になりたいのだ、と。
でも、もし買ってすぐに「これは違う」と感じて聴くのをやめていれば、
そうはならなかったかもしれません。
そこを聴き続けられたのは、僕がトム達を信頼していたから、でした。
トム達は、長年よい作品を作り続けてきていて、彼らなら
悪かろうはずがないという共通認識として広まり定着した。
だから方針転換も素直に受け入れられ、今作は、トム達なら
媚びない音楽を作れるはずという信頼があっての1位だった。
さらには、レコード会社、Warner系のReprise、からも信頼され、
やりたいようにやることを認められたのも大きいと思います。
あのポール・マッカートニーですら、以前のレコード会社のプロモーションが
不満で移籍した、という話もあるくらいだから。
そしてもうひとつ、Facebookの影響力もあるかな。
僕はかなり多くのミュージシャンのFacebookページに"Like!"していますが、
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズは情報を挙げる頻度が
いちばん多い部類のひとつで、毎日何かの記事が上がっています。
新譜が出る時はもちろんその情報が音源つきでよく流れていました。
もっとも、僕は新譜はCDを買うまで絶対に聴かない主義なのですが、
そこで聴いて動かされた人も結構いたのだと思います。
ちなみに、トム達のFacebookページは世界で約290万人が
"Like!"しています。
ともあれ、今回のNo.1は信頼関係から勝ち取ったものでしょうけど、
それだけ信頼されるアーティストも稀ではないかとあらためて思いました。
余談、Facebookで思い出した、そこで知ったことですが、この7月8月、
なんと、トム達とスティーヴ・ウィンウッドがジョイントツアーでアメリカを
回っていたらしく、もう羨ましいにもほどがあり過ぎる、少しだけ本気で
アメリカに行くことを考えましたが、行動力がないので諦めました(笑)。
CDかDVD出ないかなあ、それで来日するのはあり得ないだろうから・・・
02 閑話休題、今朝のカツラの葉

さて今作の内容について。
僕は、前作があった上でのことだったので、素直に最初から感動しました。
「ロックの求道者」としての道を突き進む姿が頼もしくもありました。
でも聴き込むと、曲の訴求力は前作より高くなっていると考え直しました。
音楽についてどう書こうかと考えていたところ、いつも書き込みで
音楽の話をしてくださるぽちわかやさんが書いておられたことに共感し、
それ以上のことは自力では書けないと思われ、ご本人にご承諾の上、
書き込みを引用させていただくことにしました。
なお、文章は引用者が一部修正や省略を行っています、ご了承ください。
「こりゃあ正味腰の据わったアメリカン・ロックの完成形ですやん。
こんな隙のないバンドサウンドは初めてやな。
そしてトムの歌声に飄々としつつも静かなるロック魂を感じます。
あるべきところにあるべき音がありまくりでありながら
頗るロックしてるんですよ。
意匠としても馴染みのリフでありリズムがカチッと完璧に
嵌っているんですが、不思議な感覚に襲われてきました。
うん、なるほどジャケットデザインの意味がわかってきたぜぃ。」
さらにははこのようなことも書いておられました。
「要はロックンロールの「ロール感覚」じゃないんかな?
そしてほんまもんのロール感覚には時系列は無いっ!永遠なんですよ。
ヴァンやトムそしてウィンウッドやレイ・デイヴィスさんたちは
生来のおのれのロール感覚がもはや滲みでる域に達してるんやと」
僕のように長く書かず、しかも僕も漠然と感じていたことが言葉となって
凝縮して表されていて、非常に共感を得ました。
ついでにいえば、スティーヴ・ウィンウッドの名前を挙げておられるのは、
コンサートに行きたいという思いが蒸し返されました(笑)。
ともあれ、ぽちわかやさん、ありがとうございました。
隙のないバンドサウンドというのは、とりおなおさず、核となるメンバー
トム、マイク・キャンベル、ベンモント・テンチの3人が不動で、
「自然と」仲良くやってこられたことによるのでしょう。
彼らからは悪い意味でのロック的エゴがほとんど感じられません。
また、3人とも、特にベンモントは他のアーティストへの客演が多く、
他で感じ取ったことをバンドにフィードバックできる環境がある。
もちろん、みなが実質的なリーダーであるトムを尊敬し、トム中心に
みなが信頼し合っているからこそ出来ることでもありますが、
こうしたバンドの姿もひとつの理想形、完成形でしょうね。
そしてやはりバンドにはグルーヴ感が大切であると再認識しました。
みんながどれだけ同じ方向を向いて演奏しているかがそこに
つながるのでしょうけど、その点でもトム達は完璧に近い。
だから表現力も広がってゆきます。
表現力でいえば、ギター3人態勢というのも大きい。
かつては2人でしたが、もっとギターサウンドを充実させたい、そして、
スタジオでオーバーダブはいくらでもできますが、ライヴでのリアルさを
求めた結果が3人態勢になったのでしょう。
ライヴでのリアルさにこだわるという点でいえば、このアルバムには
フェイドアウトして終わる曲がないのもそこから来ているのでしょう。
ギター3人といえばアイアン・メイデンですが、確かスティーヴ・ハリスも
ライヴでの再現性を考えた、と何かで言っていた記憶があります。
(彼らの場合は「元」メンバー復帰の場という意味もあるのですが)。
ちなみにメイデンも、フェイドアウトして終わる曲が1曲しかなく、その1曲も
若い頃にシングル用に録音「させられた」ものです、とこれは余談。
ロックというのは、当然のことながらハードなものであり
緊張感があるものだ、というのがトム達の考えなのでしょう。
この緊張感は尋常ではない、恐いくらい。
前作もそうでしたが、僕は少なくとも今は、気軽には聴けない。
聴くなら最後まできちんと聴ける状況でかけたいです。
ロックなんて楽しければいい、という見方を僕は別に否定はしませんが、
でも、「そもそも」にこだわるとこうなるのでしょう。
完成形のアルバムを前にすると、「そもそも」の話は避けて通れない。
一般論的になりましたが、それを実践しているのがトム達なのでしょう。
しかし、理想を実践するのはいかに難しいかは、言わずもがなですよね。
今作の魅力は、それができてしまったことに尽きると思います。
大げさではない、断言すれば、ロックという音楽、
ロックンロールのひとつの最高到達点がこのアルバムです。
そんなアルバム誕生の瞬間に立ち会えたのは幸せなことですね。
メンバーをあらためて
トム・ペティ ヴォーカル、ギター等
マイク・キャンベル リードギター
ベンモント・テンチ キーボード
スコット・サーストン ギター
ロン・ブレア ベース
スティーヴ・フェローン ドラムス
曲は、2曲目がトムとマイクの共作である以外はみなトム作です。
03

1曲目 American Dream Plan B
1曲目から意味深なタイトル。
彼らがデビューした頃はまだ言われていた「アメリカン・ドリーム」。
もはや今の世の中ではそれが不可能という彼ららしいシニカルさ。
今回記事を書くに及んでブックレットで歌詞を読みながら聴きましたが、
観念的、抽象的な表現に拍車がかかっていて、正直、難しい。
それは聴き手に委ねられる部分が大きいということで、例えばこの曲は、
社会ではなく個人の思いと重ね合わせて読むこともできます。
或いは、「別のブラン」がある、それを60歳を過ぎた今からでも実行できる、
という励ましのメッセージをトムが贈っている、とも考えられます。
そしてこの歌詞はトムの執拗ともいえる韻の踏み方に凄味があります。
作詞家としてのトムも完成した、といえるのでしょうね。
曲はよくあるロックンロールのスタイルで、あまりにも素直に始まるのが、
僕は逆に、この先きっと何か仕かけてくる、と予感させられました。
ヴァースの最初の8小節が終わるところで入るテンチのキーボードの音、
簡単なフレーズのようで、やはり職人技がにじみ出ていますね。
2曲目 Fault Line
タイトルの意味は「断層線」、原発の下にあると恐い・・・
ロックはベースが命、というポール・マッカートニー信者の僕は(笑)、
イントロから入るこのベースラインに速攻でやられました。
歌がイントロのコードではなくIVで入ってくるのですが、僕はこれが
なぜかたまらなく好きで、この曲は最初に気に入りました。
曲が終わる前に入るそこにしか出てこない3小節のパッセージがまたいい。
この曲は3回目くらいでもうサビを口ずさんでいました。
3曲目 Red River
この曲もイントロのコードで歌に入らない。
なんというか、響きがふくよかになると感じるんですよね。
トムは"fuzz bass"を弾いていますが、る
そしてギターソロの前の幻惑的なパッセージがいい。
トムはこのアルバムではおとなしく淡々と歌っていますが、
この曲のサビの劇的な展開はその中でははっとさせられます。
大人しい人ほど本気で怒ると恐い、とよく言いますが、そんな感じかな。
4曲目 Full Grown Boy
「んっ ぱっ んっ ぱっ」というリズムのディキシーランド・スタイル。
"The full moon seems to know me"というくだりは、トムのソロ作
FULL MOON FEVERを想起させてちょっと可笑しかった。
歌詞を書く際はそれを意識せず自然と浮かんだのでしょうけど、
出来上がったものを読んで本人が意識しないはずがない。
言葉に敏感な仕事をする人たちだから。
緊張感の中、せいっぱいのユーモアを感じました。
ジャズ風のギターソロもいい、マイクさすが。
「育ち切った少年」という表現は面白いですね。
気持ちがいつまでも若いのはいいことなのでしょう。
僕もそう思っていました。
でも僕は最近、「若い」のと「子どものまま」であるのとは似て非なり、
僕は「子どものまま」ではいたくない、と思うようになりました。
トムのこの曲は、そんな僕に「それでいいのか」「それでいいのだ」と
悩みの種を与えてくれてしまいました。
5曲目 All You Can Carry
このアルバムはギターリフがいい曲が多い。
ブルーズからR&Bになりやがてロックになったその変遷をダイジェストする
今作は、さらにはそこからハードロックに展開したことがよく分かります。
いや、これはハードロックといっていいのでは。
もし世の中にクスリというものがなければ、ですが・・・
そして僕はギターリフが印象的な曲が大好き。
サビのトムの歌い方には、冷淡な中に優しさがちらと垣間見えます。
6曲目 Powerdrunk
そうか、そうだよな、クスリはないけど酒はあるのか。
これまた低音のギターリフが迫ってくるスリルがたまらない。
最後のヴァースの前とコーダに入るパッセージが印象的ですが、
このアルバムは印象的なパッセージが多いのは特筆もの。
曲全体としては70年代ブルーズロックの香りがぷんぷん漂ってきます。
そして、冷静に聴くとこれはレゲェですね。
7曲目 Forgotten Man
これはトム達自身の1作目2作目を彷彿とさせる若々しいリズム。
「忘れられた人間みたいだ」と歌うのはいかにもロック的。
2番のくだり"I feel like a four-letter-word"というのがまた意味深。
きっと"l o v e"のことだと思うけれど。
ソロに入る前のアコースティックギターのパッセージがいい。
そこがアコースティックギターの音が前に出るところに、
ギターの使い方、バランス感覚に長けていることが分かります。
ほんと、一度しか出てこないパッセージが印象に残る。
一度しか出てこないのはもったいない、とすら思うけれど、
でもだから、これは質素なようで贅沢なアルバムなのですね(笑)。
ご飯とみそ汁に一夜干しの魚1匹で満足するみたいな。
イントロのギターリフはディープ・パープルのFlight Of The Ratを
思い出しましたが、似ている、というよりは、ロックとはそういうものだ
という感覚に自然となってしまうのがこのアルバムの不思議な魅力かな。
曲の終わり方も派手で、コンサートではいちばん盛り上がる曲かな。
8曲目 Sins Of My Youth
若い頃の罪、か・・・
慈悲を乞うような曲調、サビの憐れみすら感じる泣きの旋律。
こういう曲を歌わせるとトムに比肩する人はいないでしょう。
トム・ペティはアメリカ人の中でも憂いや陰りが強い人であるのが分かり、
それはR.E.M.とつながるものがある、と僕は思います。
柔らかく弾いているはずなのに弦が痛くて悲鳴を上げるようなギターソロも、
もはや至芸の域に達しています。
それにしてもこの曲は気持ちが沈んでしまう。
ある種のカタルシス的作用に満ちていますね。
ところで、この曲に限らずですが、60歳を過ぎてもやはり歌うのは
好きだのどうだの、ということが多いのですが、そうですね、僕も
まだ諦めるには早いのかな、と思わなくもないです。
9曲目 U Get Me High
このギターのイントロは80年代アメリカ勢のポップロックを
思い起こさせてくれる、80年代育ちにはうれしい曲。
ただ、そのままやるともっと明るい曲に聴こえてきたはずが、
緊張感を持って抑制をかけているトムたち、少し沈みながら進みます。
サビの低音で動くギターリフが、ギターリフ好きにはたまらない。
"high"といえばロックの世界では通常はクスリを想起させるものですが、
そこを敢えて歌い、しかも"You"を俗語である"U"としているところに、
逆に彼らの強い意志と理想に向かう姿を感じます。
トムは、20年前のソロではいかにも気持ちが浮き立つように
Higher Placeと歌っていたのに、このハイはだいぶ落ち着いた感が。
しかし最後のギターの応酬はやっぱり「ハイ」だな。
そのギターソロは、右チャンネルがマイク、左がトムとブックレットに
明記されていますが、ギター弾きとしてはそれが分かるのはうれしいし、
彼らのバンドとしての力をこんな細かいところでもまた感じます。
10曲目 Burntout Town
これは一聴、トム達流のブルーズ解釈ということでいいのではないかと。
スコット・サーストンのハーモニカも前面に押し出た正真正銘のブルーズ。
大元はハウリン・ウルフかな(違うかもだけど)。
1'30"の「じゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃ~ん」という決めの
フレーズには、全身の血液が沸騰する感覚に包まれますね。
そこが来ると絶対に首を縦に振ってしまう(笑)。
本来は軽快なシャッフルビートが、なぜか後ろに引かれる感覚になる曲。
11曲目 Shadow People
イントロは、消え入るようなピアノのホンキートンク。
続いて強いギターリフが始まりますが、ぽちわかやさん曰く
「これはジョン・レノンのI'm Losing Youでっせ」。
ほんまや(笑)、なんてなぜか僕が似非関西弁を。
ギターリフの感じ、入り方、全体的にほの暗いところ、ベースライン、
そしてリズムなどなど、ジョンが入ってますね。
トムはソロのWILDFLOWERS(記事こちら)の中の、
Only A Broken Heartにもジョンが入っていて、わざわざヴォーカルを
ダブルトラックで録音する凝りようで、単純な僕はこういうのはうれしい。
おまけにこの曲は歌詞もジョンが入っている、と感じます。
車で信号待ちをしていて隣りの人は何を考えているのだろう。
誰か好きな人のことかもしれないし、誰かを憎んでいるかもしれない。
そして、そう考えることで世の中が見えてくる、つまり「影の人間」は
君自身でもある、というのが僕の解釈。
先ほど歌詞が抽象的と書きましたが、これは逆に具体的なもので、
誰もが信号待ちの時に、隣りの人は・・・と考えたことがあるでしょう。
もしかして僕はトムの中にジョンを見ているのかもしれない。
この曲の印象的なパッセージは、2番が終わってから間奏に入る前。
ベースとキーボードだけが静かに残る、まさに「影」を感じさせます。
最後にトムが"Shadow people, shadow land"と繰り返すところは、
言葉の切れに説得力を強く感じます。
そして、こんな世の中だから「別のプラン」が必要なのだ、と、
アルバムはループで最初に戻る、ということなのかもしれない。
と思ったら、曲が終わってからまた別の短いパッセージが始まる。
曲といっていいかな、そういえばこの曲はアルバムの最後にするには、
何かまだ続きがありそうな感じが強くてやや中途半端と感じたんだけど、
このパッセージをつけることでアルバムとして完結するのが上手い。
この部分をぽちわかやさんは「ポールの匂いが」と書いておられます。
短いアコースティックの曲。
そうか。
このアルバムはトム達のABBEY ROADだったのか!
というのはビートルバカの早合点に違いないけれど、でも
最上のロックアルバムを聴かせてくれたのは確かです。
ただ、もちろん、トム達には次があるに違いないですが。
彼らの結束の固さと自信のほどは、ブックレットにも表れています。
見開きに3曲の歌詞が並び、右端にその曲の録音日と
参加メンバーが明記されています。
普通、最後にメンバーと楽器を紹介して、親切なものであれば
どの曲で何くらいは記しますが、曲ごとにこうというのは少ない。
ちなみに、最も古い録音は10曲目の2011年8月9日、
逆に新しいのは9曲目の2014年1月24日です。
そしてデータの通りであれば、すべて1日で録音を完了しています。
それまでデモがあって完成したのがその日という意味か、
それともほんとに1日で作ったかは不明ですが、1日で終わるのも
バンドの結束を感じる部分です。
ただ、ミュージシャンにはよくある、夜に録音した場合、
始めた日と終えた日が違う可能性はありますが(笑)。
このアルバムの魅力は、古いのに新しい、というよりも、
古いものがあってこそ新しいものがあるといった感じなのでしょうね。
伝統は伝統、でもそこに自分達らしさを表現することができた。
ロックという音楽、ロックンロールが心から好きな人であれば、
これには誰もが満足するに違いない、大傑作であると断言します。
しかし、僕の悪い癖で、ここまでの作品を作り上げたトム達、
次のアルバムはどうなるか、早くも楽しみで仕方なくなってきました。
信頼の印、それがトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズです。
05

2014年08月08日
トム・ペティが39年のキャリアで初のアルバムNo.1獲得
01

トム・ペティが39年のキャリアで初のビルボード誌
アルバムチャートNo.1に輝きました!
7月に出たHYPNOTIC EYEが最新チャートで1位になったもので、
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズとしても、ソロとしても、
まったく初めてのことです。
Facebookのコメントなどを見ていると、
1位がなかったのは意外だという声が多かった。
それだけ彼らが大物中の大物だと認められ、
アメリカではよく知られた曲も多いということでしょう。
僕自身も、意外ではなかったけど、そうか言われてみれば
1位はなかったかと思いましたが、弟はもろ意外だと驚いていました。
02

トム・ペティ初の1位に自慢げな顔のポーラ、いやいつもの顔か・・・
トム・ペティのバンドやプロジェクトも含めたすべてのアルバムの
ビルボード誌最高位を書き出してみます。
ライヴ盤、ベスト盤、編集盤も、
200位以内にチャートインしたものは含めています。
☆Tom Petty & The Heartbreakers名義
◎TOM PETTY & THE HEARTBREAKERS (1976) 55位
◎YOU'RE GONNA GET IT! (1978) 23位
◎DAMN THE TORPEDOES (1979) 2位
◎HARD PROMISES (1981) 5位
◎LONG AFTER DARK (1982) 9位
◎SOUTHERN ACCENTS (1985) 7位
◎PACK UP THE PLANTATION : LIVE" (LIVE) (1985) 22位
◎LET ME UP (I'VE HAD ENOUGH) (1987) 20位
◎INTO THE GREAT WIDE OPEN (1991) 13位
◎GREATEST HITS (BEST) (1993) 5位
◎SONGS AND MUSIC FROM "SHE'S THE ONE"
(1996) 15位
◎ECHO (1999) 10位
◎ANTHOLOGY : THROUGH THE YEARS
(COMPILATION) (2000) 132位
◎THE LAST D.J. (2002) 9位
◎THE LIVE ANTHOLOGY (LIVE) (2009) 51位
◎MOJO (2010) 2位
◎HYPNOTIC EYE (2014) 1位
☆ソロ名義
◎FULL MOON FEVER (1989) 3位
◎WILDFLOWERS (1994) 8位
◎HIGHWAY COMPANION (2006) 4位
☆Mudcrutch
◎MUDCRUTCH (2008) 8位
☆Traveling Wilburys
◎VOLUME ONE (1988) 3位
◎VOLUME THREE (1992) 11位
◎THE TRAVELING WILBURYS COLLECTION (2007) 9位
◇
他に1曲だけ参加したサウンドトラックや数曲参加したライヴ盤などで
チャートインしているものもありますが、それは対象外としました。
あらためて見ると、昨年までは2位が2枚、3位が2枚、4位1枚5位2枚、
Top10は合計14枚と、マッドクラッチもウィルベリーズも含めてですが、
Top10入りしたアルバムの枚数は現役でも上のほうではないかと。
だから、いつも上のほうに来るけれど、1位が初めては意外
という声が多かったのでしょう。
1位は記憶に残りやすく、2位は惜しいという気持ちが入って
少し特別ですが、実際、10位に入れば3位でも10位でも
チャートアクションの印象はあまり違わないのかもしれない。
僕もそうですね。
確かあの曲はTop10に入ったよな、というのは割と覚えていますが、
3位以下の場合は順位まではあまり覚えていません。
あ、でも、自分で書いて気づいたけど、3位は五輪でいえば
銅メダルだから、4位よりは印象に残りやすいかもしれないですね。
この中ではトラヴェリング・ウィルベリーズのCOLLECTION、
2枚をひとセットにした再発ものが9位というのは
意外というか驚きました。
21世紀に入ってからの傾向として、特にロック系は、
キャリアの長いアーティストになるほどアルバムが出ると買う
「お金のある」固定客に支えられているようです。
彼らは実際に音を聴かなくても無条件で買う。
一方、若者に受ける音楽はアルバムまでは手が出ない人が
今でも多く、アルバムチャートではキャリアが長い人が
上に来やすいみたいですね。
僕自身のことを考えると、「お金がある」以外は(笑)、
それは大いに納得だし、ウィルベリーズのこの9位というのは、
まさにそれが反映されたものだと思います。
だから今のシングルのヒットチャートは若い人の
趣向しか反映されていない、ともいえます。
「ベストヒットUSA」を再び観始めて、ポール・マッカートニーや
ブルース・スプリングスティーンの新譜が出ましたが、
彼らは20位にすら入らなかった。
僕の中では新しいノラ・ジョーンズですらもう10年選手になり、彼女の
最新作からのシングル曲も20位にかろうじて入っただけでしたから。
逆にいえば、ベテランのロッカーたちのアルバムは
まだまだ聴かれているのでしょう。
そう考えるとほっとするものがありますが。
ただ、それでも売り上げは落ちているようで、
1999年のECHOより前のアルバムはソロも含めすべて
ゴールドディスク以上を獲得していますが、それ以降は
バンドのものはゴールドに達していません。
とまあ、僕も一応もうオールドファンと言っていいでしょう(笑)、
古くからのファンには寂しい話になってしまうので、
そろそろ別の話題に。
◇
せっかくなので、彼らが1曲以上参加したもので
有名な何枚か挙げておきます、すべてVarious Artistsです。
◎NO NUKES (1980)
◎A VERY SPCEIAL CHRISTMAS VOL.2 (1992)
◎THE 30TH ANNIVERSARY CONCERT CELLEBRATION
- BOB DYLAN (1993)
◎A VERY SPECIAL CHRISTMAS VOL.5 (2001)
◎CONCERT FOR GEORGE
- GEORGE HARRISON TRIBUTE (2003)
◎GOIN' HOME - A TRIBUTE TO FATS DOMINO (2007)
03

トム・ペティの真似をして少々苦い表情のハウ・・・
シングルの話も少しだけ。
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズには
シングルのNo.1曲もありません。
つまり、アルバムのみならず、ビルボードで
No.1になったこと自体、今回がまったく初めてなのです。
それはおろか、シングルのTop10ヒットはなんとただ1曲、
1989年のソロからのFree Fallin'の7位しかありません。
僕はこちらが意外でした。
前期の代表曲Refugeeは15位、ソロでジョージ・ハリスンも
参加したI Won't Back Downは12位、ベスト盤からの曲で
クリップが大きな話題となったMary Jane's Last Danceは14位。
先ほど書いたこととはまたも反しますが、リアルタイムではない
Refugee以外の2曲は、Top10には入っていたものだと
ずっと思っていました。
人間の記憶なんて曖昧なもんだなあ・・・
でも、Mary Jane's Last Danceは、当時ケーブルテレビで見ていた
MTVのアメリカのビデオチャートでは確か1位になったような
記憶があり、僕が知る限り、トムの唯一No.1に輝いたものでした。
しかし、シングルについては、隠れ大ヒット曲があります。
スティーヴィー・ニックスに曲を提供しトムがデュエットした
Stop Draggin' My Heart Aroundが最高位3位を記録しています。
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズは、アルバムと
ライヴで聴くバンドということなのでしょうね。
マニア的ではないというポップさはあるけれど、シングルチャートで
暴れ回るような強烈な曲を書く人ではない。
声のクセがだめな人はだめかもしれないし、シングルヒット曲という
くくりで見ると、ちょっと変わったことをしてきた人でもあるから、
まあ、そうかなあと思う部分はありますね。
Don't Come Around Here No Moreが13位と「コケ」ましたから・・・
ちなみに、ボブ・ディランとブルース・スプリングスティーンも、
アルバムNo.1はあるけれどシングルではいまだかつて
1位になったことがない大物です。
トム・ペティも晴れてその仲間となったわけですね(笑)。
ただし、ボブ・ディランとブルース・スプリングスティーンは、
We Are The WorldがシングルチャートNo.1に輝いていて、
参加したレコードが、という点では2人とも1位がありますね。
しかも2人とも目立つし。
トムは参加していなかった。
トム側に立てば、2人はなんだかずるい、と・・・(笑)。
04

トム・ペティのNo.1獲得はきわめてゆっくりだった・・・
ところで、断っておきますが、僕は決して、1位だからすごくいい、
77位だからそこそこ、ランク外は論外、などという
価値判断基準は持ち合わせていません。
チャートというのは時代の指標であり、タイミングに左右される
ものなので、それが絶対の価値判断では決してありません。
まあ、そもそも僕は、音楽には絶対の価値判断なんてものはない、
人により違うのが音楽の面白いところだとは思っていますが。
でもその上で、やはり好きなアーティストの作品がより上位に
昇るのは嬉しいし、1位になるというのはファンとしても
ひとつの達成感のようなものを味わえるのは確かです。
大好きなアルバムが最高位2位というのは、なんとも惜しかったな、
残念だな、と思います。
話のついでに、最高位2位の印象的なアルバムを何枚か挙げると、
ホワイトスネイクのWHITESNAKE
R.E.M.のAUTOMATIC FOR THE PEOPLE
など、後から見れば、どうして1位にならなかったのだろうと
思うものばかりですね。
リンゴ・スターのRINGO!も最高位2位でしたが、
ビートルズの他の3人のメンバーはみなアルバム1位を獲得していて、
リンゴも達成していれば4人揃踏みだったのも、惜しかったですね。
ちなみに、シングルでは4人ともNo.1を獲得しています。
ポール9曲、ジョージ3曲、ジョン2曲、リンゴ2曲。
ところで、You-Tubeを見ると、トムは新作アルバムのほとんどの曲を
オフィシャルで高音質で上げていて、気前がいいというか、
サービス精神があるというか。
でも、正直、買って聴く人間としては、
ちょっとやりすぎじゃないの、と思わなくもないです。
いい時代になった、といえばそうかもしれない。
しかし、これは三つ子の魂で、僕にはずっとしみついていることなので、
そう思うなという方が無理だ、ということは
どうかご理解いただければと思います。
ともあれ、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ初のNo.1。
うれしい、幾つになっても初はうれしいものですね。
大器晩成、という言葉は違うのかもしれない、そうですね。
それよりも、40年近くに渡って志と質の高い音楽を
作り続けられていることが、畏敬の念を抱かずにはいられません。
さて、次のアルバムは何位かな?
なんてあまりにも気が早すぎる(笑)。
でも、間違いなく次のアルバムを、あまり間を置かないで
出してくれそうな確信が持てて、ファンとしてはうれしい限りです。
もちろんHYPNOTIC EYEは毎日聴いています。
休みの日は1日3回は最低でも。
最後は、珍しくみんなこちらを向いた犬たち。
No.1にはふさわしい、でしょうか(笑)。
05


トム・ペティが39年のキャリアで初のビルボード誌
アルバムチャートNo.1に輝きました!
7月に出たHYPNOTIC EYEが最新チャートで1位になったもので、
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズとしても、ソロとしても、
まったく初めてのことです。
Facebookのコメントなどを見ていると、
1位がなかったのは意外だという声が多かった。
それだけ彼らが大物中の大物だと認められ、
アメリカではよく知られた曲も多いということでしょう。
僕自身も、意外ではなかったけど、そうか言われてみれば
1位はなかったかと思いましたが、弟はもろ意外だと驚いていました。
02

トム・ペティ初の1位に自慢げな顔のポーラ、いやいつもの顔か・・・
トム・ペティのバンドやプロジェクトも含めたすべてのアルバムの
ビルボード誌最高位を書き出してみます。
ライヴ盤、ベスト盤、編集盤も、
200位以内にチャートインしたものは含めています。
☆Tom Petty & The Heartbreakers名義
◎TOM PETTY & THE HEARTBREAKERS (1976) 55位
◎YOU'RE GONNA GET IT! (1978) 23位
◎DAMN THE TORPEDOES (1979) 2位
◎HARD PROMISES (1981) 5位
◎LONG AFTER DARK (1982) 9位
◎SOUTHERN ACCENTS (1985) 7位
◎PACK UP THE PLANTATION : LIVE" (LIVE) (1985) 22位
◎LET ME UP (I'VE HAD ENOUGH) (1987) 20位
◎INTO THE GREAT WIDE OPEN (1991) 13位
◎GREATEST HITS (BEST) (1993) 5位
◎SONGS AND MUSIC FROM "SHE'S THE ONE"
(1996) 15位
◎ECHO (1999) 10位
◎ANTHOLOGY : THROUGH THE YEARS
(COMPILATION) (2000) 132位
◎THE LAST D.J. (2002) 9位
◎THE LIVE ANTHOLOGY (LIVE) (2009) 51位
◎MOJO (2010) 2位
◎HYPNOTIC EYE (2014) 1位
☆ソロ名義
◎FULL MOON FEVER (1989) 3位
◎WILDFLOWERS (1994) 8位
◎HIGHWAY COMPANION (2006) 4位
☆Mudcrutch
◎MUDCRUTCH (2008) 8位
☆Traveling Wilburys
◎VOLUME ONE (1988) 3位
◎VOLUME THREE (1992) 11位
◎THE TRAVELING WILBURYS COLLECTION (2007) 9位
◇
他に1曲だけ参加したサウンドトラックや数曲参加したライヴ盤などで
チャートインしているものもありますが、それは対象外としました。
あらためて見ると、昨年までは2位が2枚、3位が2枚、4位1枚5位2枚、
Top10は合計14枚と、マッドクラッチもウィルベリーズも含めてですが、
Top10入りしたアルバムの枚数は現役でも上のほうではないかと。
だから、いつも上のほうに来るけれど、1位が初めては意外
という声が多かったのでしょう。
1位は記憶に残りやすく、2位は惜しいという気持ちが入って
少し特別ですが、実際、10位に入れば3位でも10位でも
チャートアクションの印象はあまり違わないのかもしれない。
僕もそうですね。
確かあの曲はTop10に入ったよな、というのは割と覚えていますが、
3位以下の場合は順位まではあまり覚えていません。
あ、でも、自分で書いて気づいたけど、3位は五輪でいえば
銅メダルだから、4位よりは印象に残りやすいかもしれないですね。
この中ではトラヴェリング・ウィルベリーズのCOLLECTION、
2枚をひとセットにした再発ものが9位というのは
意外というか驚きました。
21世紀に入ってからの傾向として、特にロック系は、
キャリアの長いアーティストになるほどアルバムが出ると買う
「お金のある」固定客に支えられているようです。
彼らは実際に音を聴かなくても無条件で買う。
一方、若者に受ける音楽はアルバムまでは手が出ない人が
今でも多く、アルバムチャートではキャリアが長い人が
上に来やすいみたいですね。
僕自身のことを考えると、「お金がある」以外は(笑)、
それは大いに納得だし、ウィルベリーズのこの9位というのは、
まさにそれが反映されたものだと思います。
だから今のシングルのヒットチャートは若い人の
趣向しか反映されていない、ともいえます。
「ベストヒットUSA」を再び観始めて、ポール・マッカートニーや
ブルース・スプリングスティーンの新譜が出ましたが、
彼らは20位にすら入らなかった。
僕の中では新しいノラ・ジョーンズですらもう10年選手になり、彼女の
最新作からのシングル曲も20位にかろうじて入っただけでしたから。
逆にいえば、ベテランのロッカーたちのアルバムは
まだまだ聴かれているのでしょう。
そう考えるとほっとするものがありますが。
ただ、それでも売り上げは落ちているようで、
1999年のECHOより前のアルバムはソロも含めすべて
ゴールドディスク以上を獲得していますが、それ以降は
バンドのものはゴールドに達していません。
とまあ、僕も一応もうオールドファンと言っていいでしょう(笑)、
古くからのファンには寂しい話になってしまうので、
そろそろ別の話題に。
◇
せっかくなので、彼らが1曲以上参加したもので
有名な何枚か挙げておきます、すべてVarious Artistsです。
◎NO NUKES (1980)
◎A VERY SPCEIAL CHRISTMAS VOL.2 (1992)
◎THE 30TH ANNIVERSARY CONCERT CELLEBRATION
- BOB DYLAN (1993)
◎A VERY SPECIAL CHRISTMAS VOL.5 (2001)
◎CONCERT FOR GEORGE
- GEORGE HARRISON TRIBUTE (2003)
◎GOIN' HOME - A TRIBUTE TO FATS DOMINO (2007)
03

トム・ペティの真似をして少々苦い表情のハウ・・・
シングルの話も少しだけ。
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズには
シングルのNo.1曲もありません。
つまり、アルバムのみならず、ビルボードで
No.1になったこと自体、今回がまったく初めてなのです。
それはおろか、シングルのTop10ヒットはなんとただ1曲、
1989年のソロからのFree Fallin'の7位しかありません。
僕はこちらが意外でした。
前期の代表曲Refugeeは15位、ソロでジョージ・ハリスンも
参加したI Won't Back Downは12位、ベスト盤からの曲で
クリップが大きな話題となったMary Jane's Last Danceは14位。
先ほど書いたこととはまたも反しますが、リアルタイムではない
Refugee以外の2曲は、Top10には入っていたものだと
ずっと思っていました。
人間の記憶なんて曖昧なもんだなあ・・・
でも、Mary Jane's Last Danceは、当時ケーブルテレビで見ていた
MTVのアメリカのビデオチャートでは確か1位になったような
記憶があり、僕が知る限り、トムの唯一No.1に輝いたものでした。
しかし、シングルについては、隠れ大ヒット曲があります。
スティーヴィー・ニックスに曲を提供しトムがデュエットした
Stop Draggin' My Heart Aroundが最高位3位を記録しています。
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズは、アルバムと
ライヴで聴くバンドということなのでしょうね。
マニア的ではないというポップさはあるけれど、シングルチャートで
暴れ回るような強烈な曲を書く人ではない。
声のクセがだめな人はだめかもしれないし、シングルヒット曲という
くくりで見ると、ちょっと変わったことをしてきた人でもあるから、
まあ、そうかなあと思う部分はありますね。
Don't Come Around Here No Moreが13位と「コケ」ましたから・・・
ちなみに、ボブ・ディランとブルース・スプリングスティーンも、
アルバムNo.1はあるけれどシングルではいまだかつて
1位になったことがない大物です。
トム・ペティも晴れてその仲間となったわけですね(笑)。
ただし、ボブ・ディランとブルース・スプリングスティーンは、
We Are The WorldがシングルチャートNo.1に輝いていて、
参加したレコードが、という点では2人とも1位がありますね。
しかも2人とも目立つし。
トムは参加していなかった。
トム側に立てば、2人はなんだかずるい、と・・・(笑)。
04

トム・ペティのNo.1獲得はきわめてゆっくりだった・・・
ところで、断っておきますが、僕は決して、1位だからすごくいい、
77位だからそこそこ、ランク外は論外、などという
価値判断基準は持ち合わせていません。
チャートというのは時代の指標であり、タイミングに左右される
ものなので、それが絶対の価値判断では決してありません。
まあ、そもそも僕は、音楽には絶対の価値判断なんてものはない、
人により違うのが音楽の面白いところだとは思っていますが。
でもその上で、やはり好きなアーティストの作品がより上位に
昇るのは嬉しいし、1位になるというのはファンとしても
ひとつの達成感のようなものを味わえるのは確かです。
大好きなアルバムが最高位2位というのは、なんとも惜しかったな、
残念だな、と思います。
話のついでに、最高位2位の印象的なアルバムを何枚か挙げると、
ホワイトスネイクのWHITESNAKE
R.E.M.のAUTOMATIC FOR THE PEOPLE
など、後から見れば、どうして1位にならなかったのだろうと
思うものばかりですね。
リンゴ・スターのRINGO!も最高位2位でしたが、
ビートルズの他の3人のメンバーはみなアルバム1位を獲得していて、
リンゴも達成していれば4人揃踏みだったのも、惜しかったですね。
ちなみに、シングルでは4人ともNo.1を獲得しています。
ポール9曲、ジョージ3曲、ジョン2曲、リンゴ2曲。
ところで、You-Tubeを見ると、トムは新作アルバムのほとんどの曲を
オフィシャルで高音質で上げていて、気前がいいというか、
サービス精神があるというか。
でも、正直、買って聴く人間としては、
ちょっとやりすぎじゃないの、と思わなくもないです。
いい時代になった、といえばそうかもしれない。
しかし、これは三つ子の魂で、僕にはずっとしみついていることなので、
そう思うなという方が無理だ、ということは
どうかご理解いただければと思います。
ともあれ、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ初のNo.1。
うれしい、幾つになっても初はうれしいものですね。
大器晩成、という言葉は違うのかもしれない、そうですね。
それよりも、40年近くに渡って志と質の高い音楽を
作り続けられていることが、畏敬の念を抱かずにはいられません。
さて、次のアルバムは何位かな?
なんてあまりにも気が早すぎる(笑)。
でも、間違いなく次のアルバムを、あまり間を置かないで
出してくれそうな確信が持てて、ファンとしてはうれしい限りです。
もちろんHYPNOTIC EYEは毎日聴いています。
休みの日は1日3回は最低でも。
最後は、珍しくみんなこちらを向いた犬たち。
No.1にはふさわしい、でしょうか(笑)。
05
