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2016年10月22日

LOUD HAILER ジェフ・ベックの新譜

01


LOUD HAILER / Jeff Beck
ラウド・ヘイラー / ジェフ・ベック
 (2016)

今日は久しぶり新譜アルバムの話。
ジェフ・ベックの新譜LOUD HAILERは
もう7月に出たものですが、いまだに、毎日ではないけれど
25枚連装CDプレイヤーに入りっ放しでよく聴いています。

ジェフ・ベックの音楽はどう分類してよいか分からない。
今に始まったことではなく、ロッドを迎えた最初の2枚は
ブルーズロックであり「ロック」と言い切れるのですが、
そこから先はまさに「クロスオーヴァー」している。
僕がロッドとの2枚以外ジェフ・ベックと長い間疎遠だったのは
その辺、特にフュージョンっぽい音が苦手だったからでした。
しかし僕も30歳過ぎてジャズを聴き(かじった程度)、
ソウルを真面目に聴くようになり、さらにブルーズを普通に
聴けるようになって、音楽の見え方聴こえ方が変ってきました。
特にフュージョンは苦手ではなくなり好きなCDもできた。
ジェフ・ベックも、21世紀に入ってから新譜が出ると買うだけ
買うようになり、それまでの作品も実は全部持っていたので
ちょくちょく聴くようになりましたが、でも正直、前の
スタジオアルバムまではまだ分からない部分が多かった。
それでもなんとなく気に入ったアルバムはありましたが。

ところがこの新作は分かりやすい。
女性ヴォーカルを前面に出した古いリズム&ブルーズ風、と、
大雑把だけどひとことでどんなアルバムといえる内容なのです。

その女性ヴォーカル、ロージー・ボーンズという無名の、
少なくとも僕はまったく知らない人でしたが、この女性が
ねっとりとして力強い男勝りのヴォーカルを聴かせる。
リズム&ブルーズ風に感じるのは彼女のヴォーカルに
よるところが大きいと僕は思います。

今回は記事を書くにあたって珍しく(?!)少し調べました。
このロージー・ボーンズとギターで参加している
カーメン・バンデンバーグという男性は英国において2人で
ボーンズ Bonesというバンドを組んで活動しています。
また、ボーンズのプロデューサーであるフィリッポ・チマッティが
一部をジェフと共同プロデュース、さらにはフィリッポの紹介で
ドラムスがダヴィデ・ソッラッツィ、ベースがジョヴァンニ・パッロッティと
イタリア人かイタリア系の名前が並んでいるのも興味深い。
だからといってイタリアっぽいわけではないんですが。
でつまり今作は、ボーンズにジェフ・ベックが乗っかった、
ということもいえる、そんな内容になっています。
ボーンズの音楽を僕は知らないのですが、ジェフが
彼らをみていたく気に入ったそうで、相性がいいというか、
古くさいリズム&ブルーズが共通の趣味なのだと思います。

今回もうひとつ印象的なのは、ジェフ・ベックの写真。
中ジャケットで黒い皮ジャンに黒いサングラス姿のジェフ・ベック、
不良っぽい、反社会的なイメージ。
ロックってこういうイメージだったよなと思わされるもので、
デビュー前のビートルズ、黒い革ジャン姿も思い出しました。
ビートルズはデビューの際に一般的な人気が出るようにと、
ブライアン・エプスタインに黒ずくめの姿をやめさせられ
例のスーツで人前に出るようになったのですが、
ジェフのこの姿は視覚的にも「もっと古い音楽」に
ストレイトにイメージがつながってゆくものです。

反社会的イメージは、今の世の中に対して言いたいことが
たくさんあるということでもあるのでしょうね。
タイトルの"loud hailer"はジャケットの絵にある「拡声器」、
メッセージを発する道具でもありますからね。
聴く限り何か特定の事象に対して批判しているのではなく、
世の中の矛盾や不安を訴えているものととれますが、
70歳にしてまだまだそんな気概があるジェフ・ベックは、
革命的精神を持って音楽に取り組んできた証拠でもあるでしょう。

つまりこのアルバムは、2016年という今の世の中に
ロックの原初のパワーを蘇らせたものなのです。

そして僕はやっぱりロックが好きなのだと再認識しました。

曲は2曲を除いてジェフ・ベックとボーンズの2人手になるものですが、
その2曲も1曲はジェフのみ、もう1曲にも絡んでいます。

このアルバムはYou-Tubeで全曲聴くことができます。
貼り付けましたので、ご興味があるかたは聴いてみてください。




 LOUD HAILER
 Jeff Beck
 (2016)


02


1曲目:The Revolution Will Be Televised
思わせぶりなギターのカッティングとラジオのノイズのような音の後、
吠えるギターに乗った重たいブギーが始まる。
ヴォーカルはほとんどラップで、メッセージを訴えかけることに
主眼を置いていることを印象付けます。
ソロはジェフ・ベックなのでしょうけど、ギターでも訴えている。
曲はなんとなく中途半端で終わり、続きを期待させる。
最初にCDをかけた時からこれは何かが違うと思いました。


2曲目: Live In The Dark
ロージー・ボーンズのヴォーカルのねっとり感がよく分かる。
やはり重たい雰囲気、暗闇で行われること起ることを次々と
挙げてゆき、ギターの力でそれを破ろうともがいているような曲。
バスドラムの打ち方やギターの音色など、低音の響きに
徹底的にこだわって重たさを出しています。
2'21"あたりから入るギターの音色、トリルして音が下がるのが
いかにもジェフらしいトリッキーなプレイ。
歌は"dark"を繰り返す上に曲構成も繰り返しが多く、
まさにねっとりとした曲。


3曲目: Pull It
重機が暗闇でうごめくような重たい音。
重たいってもう書かなくていいかな、基本このアルバムは重たいから。
古臭いリズム&ブルーズと書いていますが、でもこの曲などは
跳ねたリズムがラップ・ヒップホップを通った1990年代ロックを
彷彿とさせるもので、単なる懐古趣味ではない新しい部分もあります。
まあ、ラップ・ヒップホップもリズム&ブルーズの末裔ですからね。


4曲目:Thugs Club
3曲目は歌が出てこないうちに終わった、つまり
インストゥルメンタル曲だったわけですが、その流れのまま
ロージーが歌い始める。
英語ネイティヴではない僕はよく分からないのですが、特にこの曲は
多分、あまりきれいな言葉ではないと思います。
でもこの場合はそれがリアリティでもあるのでしょう。
後半リズムがボレロになってBeck's Boleroを思い出すのはお約束か?


5曲目:Scared For The Children
混沌の中に美しさを見出したようなギターの優しい音色。
重たいのは変わらないけれど、ふっと明るくなる。
でも曲名は「子供たちにとっての恐怖」。
スロウな曲をねっとりとした声で歌う、気持ちが入りやすい曲で、
僕も最初に聴いていちばん印象に残ったのがこれでした。
"This is the end of the age of innocence"というくだりが
なんだか胸にしみてきます。


6曲目:Right Now
ハードロック的ともいえるギターリフを持つ
リズム&ブルーズの骨格丸見えのブルージーな曲。
ヴォーカルにエフェクトをかけてサウンドの一体感が高い。
そのイメージはやはり混沌。
攻めが強烈ですね、今回のジェフ・ベック。


7曲目:Shame
再びスロウで雰囲気がある曲でギターも泣きそう。
バラード、といっていいのかな、内容はともかく。
サビで"shame"を5回繰り返すこれも最初から印象に残った曲。
ロージーはほんとうは優しい人なんだきっと、と思う。
これまでが重た過ぎてイメージ損していたかも(笑)。


8曲目:Edna
マイナー調で寂しく始まり、カモメが鳴いているような音が響く。
このままいくと哀愁系の曲になりそうだなあと思うと
歌が始まる前に終わるつまりこれもインストゥルメンタル曲。


9曲目:The Ballad Of The Jersey Wives
このアルバムの基礎である重たいR&Bに戻る。
しかし前の曲の哀愁を一部引き継いでいる。
サビの"bang, bang"というところのギターとヴォーカルの絡みがいい。
これもギターソロがもう凄いとしか言いようがない。
あ、僕はギターは弾けますが、ジェフのようには弾けないので、
ギターソロの感想はそんなもんしか書けません、悪しからず。


10曲目:O.I.L. (Can't Get Enough Of That Sticky)
ファンキーなギターにリズム、ダンサブルでもあるし、
ジェフ本領発揮といったところ。
サビのギターと"Hey"というかけあいがかっこいい、でも
どことなくユーモラスに響いてきて、ユーモラスというか、
おかしいことを真面目にやるというロックの本質でもあり
伝統を受け継いでいます。
後半の早口の喋りもユーモラスで、どこかほっとさせられる曲。
印象に残りやすい曲ですが、そういう曲がアルバムの
終わり近く出てくるのが流れとしてもいいですね。

11曲目:Shrine
家に入ってストーブに当たるような音色のギター。
この曲にもほっとさせられるのは、
後半のロージーのハミング、これまで重たい曲を
あまりきれいに歌ってこなかった彼女の声が、
ほんとうはきれいで落ち着くのだと分かるからでしょう。
こういう曲をきちんと弾けるギターの腕が欲しい、と(笑)。




いいアルバムです。

最近ポピュラーミュージックのCDを聴く機会がめっきり減り、
聴くのは昔からよく知ったアルバムか大好きな人の新譜くらい。
そこにジェフ・ベックが加わっているというのは
このアルバムを買うまでは想像していなかったことでした。

さて、「お前早くあの方の新譜を書けよ」という声が
どこかから聴こえてきそうですが、もちろん書きます、近いうちに。


最後は今朝の3ショットにて。

03


うちの前にはまだ雪が残っていますが、
これは屋根から落ちた雪が圧縮されるからです。

今日はもう街中に雪は残っていません。




  


Posted by guitarbird at 20:29ロックC-J

2016年09月23日

AUGUST エリック・クラプトン

01


◎AUGUST
▼オーガスト
☆Eric Clapton
★エリック・クラプトン
released in 1986

今日は洋楽アルバムの話。
最近なぜか久し振りによく聴いているのがこのアルバム。
しかも「オーガスト」なのに9月に入ってから引っ張り出してきました。
なぜかって? 分かりません(笑)。
ほんとうにただただなんとなく聴きたくなって。

このアルバムは僕が初めてリアルタイムで出て買った
エリック・クラプトンのアルバムでありCDで思い入れがあります。
ほんとうに最初に買ったのはポリドール時代のベスト盤
TIME PIECESのCDで、僕は実はエリック・クラプトンのLPは
1枚も持っていません。
僕が中学生の頃エリック・クラプトンは人気が落ちていて、
歴史の中の人になりかけていました。
僕が初めてリアルタイムで聴いたエリックの新曲は、この2枚前の
アルバムMONEY AND CIGARETTESからの曲
I've Got A Rock 'N Roll HeartでFMで聴いたものですが、
そのあまりの緩さに若くて生意気なロック野郎だった僕は
「どこがロックンロールなんだ???」と。

話はさらに遡り、僕が初めて聴いたエリックの曲は、
さらにその前のANOTHER TICKETの表題曲で、
やはりFMラジオでエアチェックしたものでした。
これもまた緩いも緩い曲ですよね。
あのWhile My Guitar Gently Weepsの人がこれなのかと、
ある意味ショックを受けた記憶があります。
「レイドバック」、ですか、1970年代のエリックの音楽が
そう呼ばれていることは後で知ったのですが、この2曲は
まだそれを引きずっていますね。

「マネシガ」の次のアルバムBEHIND THE SUNは
フィル・コリンズをプロデュースに迎えて心機一転、
しかしフィルが空回りしていると評価はよくありませんでした。
人気絶頂だったフィル・コリンズが調子に乗って
御大エリック・クラプトンをダシにやりたいことをやった、等・・・
ただ、僕がエリックでいちばん好きな曲はそこからの
Forever Manであり、今はそのアルバムは大好きなので、
ここではもうこれ以上触れないことにします。

さて本題AUGUST。
このアルバムは前作同様フィル・コリンズがプロデュースしていますが、
一転して評価や人気が高かったと記憶しています。
しかし、どこがどう評価が高かったのか、覚えていません。
当時はまだ「FMファン」を購読し「ロッキング・オン」を
読み始めた頃でしたが、このアルバムの評は記憶にない。
でも、確かにいいと言われていました。

ただ、補足ですが、今Wikipediaで調べると、
チャート的にはこのアルバムはビルボード誌最高37位、前作34位、
その前が16位と、Warner移籍以降の3枚では最低。
ゴールドディスクは獲得している、といったところ。
でもチャートは若者中心に回っているものだから、
内容の充実度とは必ずしも関係はないのでしょうけど。

そんなAUGUST。
今回、30年目にして(!)ようやく何がいいか分かりました。

簡単にいうと「レイドバックしていない」
力強い、あまりにも力強いエリック・クラプトンがそこにいる。
サウンド的にも緩さがなく、ギターを中心としたすべての楽器が
パワフルに鳴り響きぐんぐん前に出てきている。
ブルージーなロック、エリックの本領発揮。
前作でそうなりかけていたのをフィルが空回りさせてしまった。
それがあってこのパワフルさにたどり着いたのではないか。
実際、このアルバムのサウンドは音が割れ気味であって、
これは意図したものではないかな。
かといって「がさつ」ではなくちゃんと整理されている。
フィル・コリンズやればできるじゃん、という思いも当時あったのかも。

これ、僕が初めてリアルタイムで買って聴いたアルバムと書きましたが、
でも出てすぐに買ったわけではない、1年近く経って買いました。
1986年は僕はまだLPを聴いていてCDではなかったこと、
BEHIND...はLP買おうか迷って買わなかったのですが、僕は
当時まだエリック・クラプトンをソロアーティストとして信頼しておらず、
果たして買っていいと思えるかどうか自信がなかったこと、など。
もうひとつ、1曲目が映画『ハスラー2』のテーマ曲に使われ、
僕は当時映画に凝っていてそれも映画館で観てサントラのLPを
買っていたのでアルバムは要らないかな、と思ったものありました。
しかも、アルバムのCDを買ったのも実はセールで安かったのを
見つけて買っただけ、というくらいのものでした。
だから気持ちが入っていなかったのか、当時は
いいと言われている割には「普通だな」と思いましたが、
それはきっと「レイドバック」問題が分からなかったからもあるし、
やはりまだエリックを信頼していなかったからでしょう。
僕がエリック・クラプトンを本気で聴くようになったのは、
この次のJOURNEYMANからで、それは今でも
僕がいちばん好きなエリックのアルバムでもあります。

ただ、AUGUSTはその後もしばしば聴きたくなってその度に
棚から引っ張り出しと、3年周期くらいで繰り返してきました。
でもやっぱり、今回ほどまでにいいと思うことはなかった。
その間にリマスター盤が出た時はチャンスだったのですが、
そこはなんとなく「お仕事」的に買うだけで通り過ぎました。


02 エゾノコンギク、少々イメージ違うかも・・・



1曲目:It's In The Way That You Use It
(Eric Clapton, Robbie Robertson)
映画『ハスラー2』のテーマ曲。
ロビー・ロバートソンと共作で当時はそれもMTV番組などで
話題になっていた記憶がありますが、僕は当時まだ
ロビー・ロバートソンをよく知らず、へえそうなの、で終わりました。
いきなり唸りながら歌い出すこの曲、映画のテーマ曲として
かなり変わった曲だなと当時思いました。
サビが先ではあるものの作りとしてはA-Bの単純な曲ですが、
変わっている、凝っていると感じさせるのは芸なのでしょうね。
そして何よりエリックの唸りヴォーカルが1曲目から全開。
このアルバムの大きな魅力のひとつはエリックの声であって、
エリック自身もだいぶ声に自信を持ってきたのではないかと。
歌の後に入るネイザン・イーストのベースがまたいい。



2曲目:Run
(Lamont Dozier)
ファンクっぽいイントロのギターに続いて
マスル・ショールズ風のサウンドが展開される。
割と軽い曲なのにエリックのヴォーカルがそうはさせじと
張り切っていて、重みや深みがある仕上がりになっています。
ラモント・ドジャーといえばモータウンのソングライティングチーム、
ホランドードジャー・ホランソのひとりとしてモータウンを支えた人で、
後にソロのソングライターとしても活躍した、とのこと。


3曲目:Tearing Us Apart with Tina Turner
(Clapton, Greg Phillinganes)
歌い出しのエリックの声の軋みようといったら!
これは男でも惚れますねぇ(笑)、少なくとも真似はする。
デュエットがティナ・ターナーだから余計に張り切っているのかな。
でもそれがエリックの新しい面を開き自信をつけたのだから、
このデュエットは大成功といえるのでは。
曲ではサビに入る前のコードチェンジがぞくぞくっときてしまう。
バンドメンバーのグレッグ・フィリンゲンズとの共作ですが
オリジナル曲でも勝負に出てきたと感じるものがありますね。

ここで1曲




 Tearing Us Apart
 Eric Clapton with Tina Turner

1990年の英国「プリンス・トラスト・コンサート」からのもののようで、
レコードでもデュエットしているティナ・ターナーをはじめ、
フィル・コリンズやマーク・ノップラーも参加した演奏です。



4曲目:Bad Influence
(Robert Cray, Michael Vannice)
ごめんなさい!
実は今回聴くまでこれがロバート・クレイの曲とは知らなかった。
シャッフルする軽やかな曲でもやっぱりエリックは時折唸る。
そうですね、ブルーズと完全に離れたブルーズロックになった、
という意味があるのかもしれない、このアルバムには。
ところでロバート・クレイといえば今でも後悔していることが。
このアルバムの後、1987年、僕が東京に出た年に、
エリック・クラプトンとロバート・クレイのコンサートがありましたが、
僕は行こうか迷って行かなかった。
理由は、洋楽のコンサートにひとりで行ったことがなかった、
というのだから僕も小心者ですねぇ(笑)。
まあ、後悔してもしょうがないのですが、そんなこと思い出しました。


5曲目:Walk Away
(Richard Feldman, Marcella Detroit)
作曲者のひとりマルセラ・デトロイトは1970年代に
マーシー・レヴィの名でエリックのバンドにいた人。
90年代になってソロアルバムを出し、MTVでよくかかっていましたが、
そのようなキャリアなので注目されていました。
曲はアルバムの中では穏やかな方かな、でも力強さは失わない。


6曲目:Hung Up On Your Love
(Lamont Dozier)
イントロのベースとキーボードのフレーズが印象的で
ついついそこから口ずさんでしまう。
バックでずっと鳴っているキーボードがいかにも80年代だけど、
このアルバムは今となっては80年代的要素がいい方に出ている、
と感じますね、臭くないから。
しかしサビの"Oh no, not again"と歌うところがもっと印象的。
というのもこれ、ロッド・スチュワートのInfatuationのサビに似ている。
ただこの曲の経緯の調べがつかなかったので、曲自体は
どっちが先か分からないけれど、エリックのこれはロッドより後で、
もしかしてエリックもロッドのあの歌い方が気に入って、
やってみようか、と思ったのかもしれない。


03 8月の風景も1枚



7曲目:Take A Chance
(Eric Clapton, Nathan East, Greg Phillinganes)
エリックとネイザンそれにグレッグ共作のオリジナル曲。
彼らがどんな音楽が好きかがよく分かる、ホーンが軽やかに鳴る、
ソウルとブルーズとR&Bの真ん中辺りのポップな曲。
このアルバムはリズムセクションの強さも一貫していますね。


8曲目:Hold On (Eric Clapton, Phil Collins)
作曲者だからかイントロでフィル・コリンズのドラムスが主張している。
僕はドラムスはまったく分からないのですが、フィル上手いですよね。
フィルが絡んだ曲だと知って聴くと、ヴォーカル以外のサウンドは
この頃のジェネシスに近いようにも感じられます。
特にギターのバッキングが。
穏やかな曲だけどエリックはそこを敢えて穏やかさを抑えようとして
歌っているようにも感じられる、これはエリックの意志なのかな。
"Please give me one more chance"と歌ってはいるものの、
懇願するような弱さがない、自然の成り行き、そんなところかな。


9曲目:Miss You
(Eric Clapton, Bobby Columby, Greg Phillinganes)
イントロの大きな鏡が崩れるような、或いはサスペンス調の
大仰なサウンドは迫力がありますね。
よぉ~く聴くとリズムはレゲエだったり、凝った曲ですね。
恋人がいなくて寂しいのにやはり唸っている。
弱みは見せたくない、でもだから余計に喪失感が伝わってくる。
ギターソロも同じように唸っている。


10曲目:Holy Mother
(Stephen Bishop, Clapton)
このアルバムを3年周期くらいで聴きたいと思い続けてきたのは、
ひとえにこの曲があるから。
スティーヴン・ビショップとエリックの共作ですが、
スティーヴン・ビショップはほんとうに名前を知っているだけで
音楽は聴いたことがなく、何かを話せないのが申し訳ない。
でもこの曲は大好き、エリックのリアルタイムで出た曲の中では
Top5に入るかも、というくらいに。
ゴスペル風のゆったりとした曲、もうこれだけで僕はやられる。
タイトルからそのことは想像できるのですが、実際に聴くと、
時間も空間もすべてが包み込まれるような広がりを感じます。


11曲目:Behind The Mask
(Chris Mosdell, Ryuichi Sakamoto)
このアルバムが当時話題になったもうひとつの理由がこれ、
イエロー・マジック・オーケストラの曲をカヴァーしたから。
この曲だけWikipediaでちょっと調べたのですが、
元々のYMOの曲にマイケル・ジャクソンが歌詞と歌メロで手を加え、
エリックはそれをカヴァーしたとのことで、それも知らなかった。
YMOのオリジナルもマイケルのも知らないのですが、
イントロのキーボードなどはYMOなのかなと思わなくもない。
壁が目の前で崩れ落ちていくようなサウンドに
エリックの唸りヴォーカルは映えますね、リアルに響いてくる。
"Who do you love ?"というサビの歌メロは耳に着いて離れない。
音声処理された女声コーラスとのかけあいも不自然には聴こえない。
方向性が固まっていると何をやっても上手く回る。
それがこのアルバムから得られる教訓のようなものでしょう。


12曲目:Grand Illusion
(Bob Farrell, Dave Robbins, Wesly Stephenson)
今回この曲の素晴らしさに気づきました。
それまではアルバムの最後の曲にしては終わる感覚がなくて、
少々締まりがないかなと思い逆に印象に残っていたのですが、
そこからようやく曲自体の魅力にまでたどり着きました。
苦悩の果てにたどり着いたのが「大いなる幻想」。
幻想だから終わらなくてもいいんだ。
サビの女声コーラスがエリックのすべてを受け入れて、
この世のものともあの世ともつかない広い世界を見せてくれる。
Bメロに入るところのカウンターのギターがいい。
でも、もしかしてこのタイトルの意味は「大いなる勘違い」なのかな?
男としての勘違い・・・
いや、ここは苦悩の果ての幻想ととりたいですね。




ようやく心からいいアルバムと言えるようになりました。
そういうアルバムは今後も多く出てくるに違いない。
持っているCDでもそんな「出会い」があるかと思うと、
音楽ってほんとうに楽しいですね。

さて。
ここまで記事を書いてきて、やっぱり、今回どうして
このアルバムを無性に聴きたくなったのか、きっかけが思い出せない。
まあでも、そういう楽しみもあっていいのでしょうね。


最後は3日前の3ショットにて。

04






  


Posted by guitarbird at 21:29ロックC-J

2016年07月14日

HEARTBEAT CITY カーズ

01


HEARTBEAT CITY The Cars
ハートビート・シティ カーズ (1984)

今日は久し振りアルバム記事です。
80年代洋楽を聴き育った者としては忘れられない1枚。

ザ・カーズを僕はこの中の曲You Might Thinkで知りました。
いつものように「ベストヒットUSA」で観て聴いて、
一発でノックアウトされました。

次のシングルMagicもそこそこ以上によく、そしてさらに次の
Driveは今となっては名曲と言われるほどのバラードでよかった。

でも僕は当時LPを買わなかった。
タワーレコードをはじめ店頭で何回も手に取りはしたのですが。

簡単な理由がふたつ、ひとつめは財力。
小遣い月4000円くらいでは買いたいLP全ては買えないですからね。

もうひとつはビデオクリップ。
当時SONYのビデオデッキもちろんβをわが家で初めて購入。
ビデオクリップを録画して観て聴くことも楽しみのひとつになっていて、
LPで音だけ聴くより映像観て聴く方がいいという曲もあった。
You Might Thinkはその典型的な例でしょうね。

アートワークも僕の好みじゃないかな。
ただ僕は、音楽がよくてもアートワークがよくないから買わなかった
という例はほとんどないので、やっぱり音楽が引っかかったのでしょう。

さらにいえば、僕は高校生の頃からいわゆる「アメリカンロック」が
大好きになっていましたが、カーズはアメリカ人なのに
「アメリカンロック」的なものを感じなかった。
ニューウェイヴの影響を受けているとは当時から言われていましたが、
もっと土臭いのが好きだったようです。

そしてもうひとつ、当時、どうも買うには至らない何かがありました。
当時はそれが分からないまま時が過ぎ、
やがてアルバムもヒットチャートから落ち、僕の中では終わりました。
時代はCDになり、大学生の頃、懐かしくてCDを買い、
そこで初めてこのアルバムを聴きました。

さらに後になって、それが何か、なんとなく分かりました。
簡単にいえば、曲にメッセージ性を感じなかったからでしょう。
ノリがよく歌メロもよくて楽しい音楽だけど、それ以上ではない、と。
僕はビートルズ特にジョン・レノンの影響で、
曲には何某かのメッセージ性を求めていました。
ブルース・スプリングスティーンのDancing In The Darkのように、
ただのラヴソング以上に人間の心の中を描いた曲が好きでした。

カーズにはそれを感じませんでした。
でもそれは彼らが意図するところだったのだと思います。

先月、弟が、カーズのアルバム6枚を紙ジャケットで再現した
ボックスセットを買いました。
それまでこれの他に1枚目のデラックスエディションと2枚目を
買って聴いていましたが、どちらも、まあいいかな、くらいで、
カーズ大好きとまではなりませんでした。
でも今回、弟が買ったボックスセットを通して聴いて初めて、
カーズいいかも、と思いました。
通して聴いて、カーズにメッセージ性を感じないのは
彼らの意図するところだったと思ったのでした。

ノリがよくて楽しければそれでいいと考え、
それに徹しているのがカーズというバンドなのでしょう。

僕は僕で、昔ほど聴くアルバムすべての歌詞を具に追いつつ
歌おうというほどの意欲がなくなっていて、そうなると
単純にサウンドが気持ちいい音楽も聴けるようになりました。
だから今、カーズいいかも、と思ったのでしょう。
そうなるとこのアルバムはいい曲がたくさん入っていて聴きやすい。

もちろんメッセージ性云々は聴く人それぞれですが、
僕にとってのカーズはそういう存在だった、いや存在だ、
という話でした。

このアルバムはカーズで最も売れました。
シングルはYou Might Thinkが7位、Driveが3位と
2曲のTop10ヒットの他Magicも12位を記録。
アルバムはビルボード誌アルバムチャート最高3位。
「ベストヒットUSA」がチャートを利用していた今はなき
ラジオ&レコーズでは年間No.1になったそうです。

プロデュースはかのロバート・ジョン・マット・ランジ。
ということを僕は当時は知らず、デフ・レパードのHYSTERIAが
ヒットした時に遡って知りました。
カーズは4枚目まではクイーンで有名なロイ・トーマス・ベイカーが
プロデュースしていましたが、1枚目を最初に聴いた時、
コーラスワークと音の厚みにクイーンぽさを感じたものでした。

カーズは1枚目から時代の先を行く音と言われていたそうですが、
このアルバムが大ヒットした次のアルバムが、まあ言ってしまえば
期待外れに終わり、自然消滅のような形で解散。
小林克也さんが「あのカーズもついに時代に追いつかれた」
と言っていたのを、今でも強烈に覚えています。
やはりこのアルバムが最大の輝きでしょうね。



02


1曲目 Hello Again
これは確か4枚目のシングルカット曲だったと思いますが、
もうその頃は僕の気持ちも切れていたし、そこで覆すほどの
インパクトも受けなかった、だからLPを買わなかった。
ほの暗いけれど軽快、曲は古臭いけれど音は斬新という
まあカーズらしい曲でしょうね。
イントロのコーラスがやっぱりクイーン風ではあるかな。


2曲目 Looking For Love
ヴァースの部分はちょっとだけアフリカっぽいリズムになっていて
そういう部分でも時代の先を行っていたのかなと今にして思う。
"Here she comes"というコーラスが耳について離れないのですが、
歌メロではなくコーラスが、というのが面白いところ。


3曲目 Magic
2枚目のシングル曲で中ヒット。
カーズはほんとシンプルな曲を聴かせるのが上手いと思う。
これなんてA-D-E、I-IV-Vというコード進行のギターが
ひょうきんなリック・オケイセックの声の後ろで気持ちよく流れ、
ギターキッズにとっても嬉しい曲でした。
そしてやっぱりコーラスワークが聴きどころ、楽しい。
コーラスの点ではビーチ・ボーイズの影響も大きそうです。

この曲はビデオクリップを




 Magic
 The Cars

リック・オケイセックが水の上に立ってる。
透明の板の上にいるのは見てすぐに分かりましたが、
そうしたチープさもこのバンドらしさなのでしょうね。


4曲目 Drive
今となっては必殺キラーチューンに挙げられるバラード。
いや、ほんとに、すごくいいですね、好きです、と今は言える。
でも高校生当時、この曲は好きになれなかった。
僕が素直じゃない、はい、それはもちろんあるとして、
やっぱりこれは「ただのラヴソング」に聴こえたのでしょう。
でも「失恋ソング」と捉えるとこれはかなりいい、
ということに僕が実際にその後失恋してから気づきました。
今はそういう思い出がまさに走馬灯のようによみがえる曲かな。
そしてこれを歌うのはベースのベンジャミン・オール。
曲はリック・オケイセックが作っているのですが、正直いえば
「へたうま」系のベンジャミンが歌うことでこの曲が持っている
痛々しさのようなものがリアルに感じられるのでしょうね。
もちろん高校時代にはそんなことも気づかなく、ただ単に
「あまりうまくない人」としか思わなかった。
ベンジャミン・オールに歌わせたのは作戦勝ちですね。
そしてベンジャミン・オールは2000年に癌で亡くなった、
ということが、この曲を聴くと重くのしかかってきます。




 Drive
 The Cars

メンバーがマネキンのように動かないシーンが印象的。
もう10年以上経つけれど、やっぱりこのクリップを観ると、
ベンジャミン・オールへの哀悼の念が湧いてきますね。


5曲目 Stranger Eyes
カーズのキーボードは80年代サウンドらしいけれど、
そのらしさが良い面に強く出ているように感じます。
うるさすぎない、適材適所、雰囲気を壊さない。
そしてこの曲はやっぱり当時のUKにむしろ近いサウンドですね。



6曲目 You Might Think
やっぱりこの曲は思い出も思い入れもたくさん。
詳しくはこちらの記事をお読みいただければと思いますが、
曲自体はオールディーズなのにサウンドがモダン過ぎるという、
カーズの斬新な魅力が詰まった名曲であり傑作ですね。
高校生でも聴き取りできた簡単な歌詞もいい。
で、3番の最初"You might think I'm delirious"というくだり、
"delirious"が聴き取りできたのはプリンスのおかげ、と、
ここでまたプリンスにも思いを馳せるのでした。
もしかして曲を作ったリック・オケイセックは
プリンスのDeliriousが気に入っていたのかな、と。

もちろんビデオクリップも。




 You Might Think
 The Cars

イントロ10小節目から入る下降するベースラインが好きで、
やっぱり僕はベースに耳がいってしまうことを、
そろそろ自覚し始めた頃でしたかね。

正直、今ならストーカーとか言われそうですよね。
ベッドにまで入ってくるのだから・・・
ただ当時はもっと時代がおおらかで、僕はこれ
100%ユーモアとして感じることができました。
今なら真似する人がいるからダメとか言われるのかな・・・

あとこのクリップの女性が当時のクラスのKさんに似ていると、
「ベストヒットUSA」で流れた翌日にクラスメートの一部で
盛り上がりましたが、僕は似てると思わなかったなあ。

それより僕は、ギターのエリオット・イーストンが、
別の男子生徒に似ていると思いましたが、口には出さず。
エリオットが左利きであることがなんだか衝撃的でした。
そしてこの曲の最後、"All I want is you"の"you"という声に
かぶさる軽く歪んがギターの音が最高にいい。


7曲目 It's Not The Night
カーズはサウンドはからっとしていても曲には湿り気がある、
というのも特長でしょうね。
それらが違和感なく成り立っているこのセンス。
そうか、僕にはそのセンスがなかったんだな(今もか・・・)
そして、きらびやかなサウンドだけどバンドらしいしっかりとした音。
カーズの魅力のひとつでしょうね。


8曲目 Why Can't I Have You
この曲は5枚目のシングルカットで最高33位。
これまた湿り気のある哀愁系ともいえるもので、
ラジオでフルではなくちょっと聴いて、結構いいなと思い、
CDを買って聴いてさらによかった、そんな曲。
これもやっぱりUKの音っぽく感じられますね。
今にして、アメリカ人でそれが出来たのはすごかったのでは、と。


9曲目 I Refuse
アルバムとして聴くとここから2曲が弱いですかね。
シングルカットした曲がこの前で終わる上に、
シングル曲とそうではない曲の差が大きいような気も。
まあでも最後までずっと(意味が)重たい曲が並んでいると
疲れるし、楽しく聴ける音楽であるならこれでいいかな。
と、「アルバム至上主義者」の戯言・・・


10曲目
まあでも最後はアルバム表題曲が控えているのですが、
こうして聴くと意外と湿り気のある哀愁系の曲が多いことが分かり、
それもカーズの魅力だったのだと気づかされます。
もしかして僕は当時それが苦手だったのかな、そんな気がする。
哀愁系の洋楽は何か違う、と思っていたような。
この後でワム!のCareless Whisperを聴いて激しくそう思ったっけ。
今はもちろんそんなことはないですけどね。
カーズに戻って、これは表題曲だけあってアルバムの流れを
劇的にダイジェストしているといった趣きですね。
先ほど「メッセージ性を感じない」と書いたけれど、
最後にこの重たい曲、何か引きずられるものがある。
そう考えるとやっぱりメッセージ性はあるんだな。
アメリカが楽しいだけではなくなってきた、と感じていたのかも。




リンクは左が6枚組ボックスセット、右がアルバム単体。

このアルバムより前の4枚、ボックスセットを買ったことで、
熱心には聴かないかもだけど、ちょくちょく聴いてゆこうと思う。

最近、休日にひとりで昼食を食べる時と洗濯する時、つまり
じっくりと音楽と向き合うのではなく音楽をかけておきたい時は、
ロック系のCDを聴くことが多くなりました。
先日のフィル・コリンズもそういう時には選びたい音楽ですね。
人によりそういう聴き方はどうかと思われるかもですが、
いろんな聴き方があっていいのではないかと。
そう、いろいろな聴き方があっていい、ということ自体、
僕が昔は思わなかった、否定していたことなので、
そう思えるようになったのは僕にも「成長」なのです。

と最後は多少大袈裟にしめてみました(笑)。


最後は3ショットにて。

04





  


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2016年03月17日

THE MAN WHO SOLD THE WORLD デヴィッド・ボウイ

01


THE MAN WHO SOLD THE WORLD
David Bowie
世界を売った男
デヴィッド・ボウイ
(1971)

本日はデヴィッド・ボウイのアルバムの話。

「デヴィッド・ボウイ・ルネッサンス」と勝手に名づけている、
デヴィッド・ボウイのあまり聴いてこなかったアルバムを
聴き直す運動がまだ続いています。

今回はこれ、3枚目のアルバム。

先ずひとことでまとめると、このアルバムはこうなります。
「デヴィッド・ボウイもブルーズロックの影響を受けていた」

音楽性を次々と変えながら、そのどれもがボウイらしいという、
自らの肉体と精神をもってアート作品と化して音楽を作り続けた
デヴィッド・ボウイ。

一方、1968年に英国で大爆発した「ブルーズロック」。
ジェフ・ベック、クリーム、ジミ・ヘンドリックスが
ロック史に残る重要なアルバムを発売した年でもあり、
リリースは翌年になったものの、レッド・ツェッペリンが
デビューアルバムを制作した年。
さらにはビートルズまでがブルーズロックをおちょくったような
曲を発表したのが1968年。
そこからブルーズロックは拡散し、ハードロックが確立された。

英国人のボウイも影響を受けないはずがない。
このアルバムを久し振りに聴いて、まず思ったのはそれでした。
いや、こんなにまで影響を受けていたとは、驚きでもありました。
変化することに臆病ではないデヴィッド・ボウイだから、
むしろそれは当然と、今にして思えるのですが、
それにしてもここまでというのは。

ただし、ボウイのブルーズロックはひとまずこれだけで終わります。
ボウイは、時代に染まることはしても、
時代を後から追いかけることはしたくないのでしょう。
このアルバムは1971年に発表されていますが、それは
ブルーズロックが大爆発してから3年「も」経った頃。
特に音楽の世界は60年代から70年代前半の変化が速く、
3年なんてもうひとつかふたつ前のムーヴメントであった。
そう考えると、ボウイが、ブルーズロックをやってみたくて、
やるだけやったけどやめたことは、容易に想像し理解できます。

もうひとつ、ボウイ自身、ブルーズロックを完全には
自分のものにはできないと、やってみて判断したのかもしれない。
自分をその枠にはめることの限界を感じたことでしょう。

かといってボウイは、ブルーズ色をすべて捨てたわけではなく、
例えばジギーのMoonage Daydream(ほぼ完全なブルーズ)や、
The Jean Genieなどブルージーな曲を発表してはいるけれど、
そういう感覚を体に持っているのだと分かる程度のものですね。
ボウイのブルーズへの距離感はそこなのでしょうね。

自己弁護になりますが、僕がそれまでこのアルバムがあまり
印象に残っていなかったのは、ブルーズロックが好きな僕には
「普通過ぎる」、「ボウイらしくない」と感じたからでしょう。
この辺は遡って聴ける後追いの悲しいところです。

しかしそれにしてもこのブルージーさがたまらない。
「笑う洋楽展」でみうらじゅん氏が、ブルージーなロックを聴くと
無条件で気に入ってしまうと話していましたが、僕もその口ですね。
まあでも僕は、相変わらずブルーズそのものが
分かってない人間ではありますが(笑)。

そのブルージーさに足してグラムロック的な感覚も強く、
浮ついた遊ぶような響きも各所にまぶされています。
そこがブルーズロックとは違う部分ではあるけれど、今回僕は、
それは支流で、本流はブルーズロック、と感じました。
(それは一般的な考えや聴き方とは違うかもしれないですが)。
まあ、グラムロックもブルーズロックの派生のひとつと考えると、
どちらかだけが正しいというものでもないと思います。
T.レックスだってそれなりのブルージーさがあるわけだし。

さらには、ここで聴くことができる中東風、アラブ風の響き。
これがブルーズロックとうまくはまっていて、得も言えぬ高揚感、
エキゾチックな響きのまったく独特な音楽になっている。
ボウイがアーティストであることが実感できます。

バンドのギター、ミック・ロンソンもブルージーさに一役買っている。
いやむしろこれは彼の世界かもしれない。
ミック・ロンソンがなんだか嬉しそうに弾いているのが想像できます。

さて、アルバム聴きますか。
楽曲はすべてデヴィッド・ボウイのペンによるものです。


02


1曲目 The Width Of A Circle
ギターの歪む音がフェイドイン。
ダイナミックなギターのリフが広がってゆく。
このリフが非常に印象的で曲を支配する。
この曲はジェフ・ベックTRUTHにありそうな雰囲気。
しかし、ギターのカッティングに続いてハイトーンを
絞り出すような歌が始まると、そこはもうボウイの世界。
今回久し振りに聴いて、「おお、やるじゃないか」と。
ミック・ロンソンのギターソロがどことなくインド風でもある。
途中一度テンポが落ち、朗々たるギターの旋律が展開。
続いてブギーのリズムでまったく別の曲に変わる。
メドレーといっていいのかな、どちらの曲も素晴らしい。
後半の曲は宇宙的な広がりも感じられ、大仰に曲が終わる。
ボウイ流ブルーズロックをいきなり極めた1曲か。


2曲目 All The Madmen
大きな影を引きずるほの暗いフォーク調の曲で始まる。
その部分は英国トラッド路線。
エレクトリックギターが入ってくるとやはりブルーズロック。
メランコリックな歌メロはどことなく中東風でもありますね。
オカリナのような管楽器の音が効果的。
途中またテンポが上がったり、後半はアンセム風に盛り上がるなど、
展開にも凝っている。
そしてこれも宇宙的な広がりを感じる曲。
やっぱりボウイはすごい音楽創作者と、2曲目でもうKOされました。


3曲目 Black Country Rock
「ああこんな曲あったなあ、これ好きだった」
今回聴いて、恥ずかしながら最初にこう思いました。
ベースのフレーズが印象的な曲を僕は無条件で好きになりますが、
この曲のもこもことした感触のベースが強烈すぎる。
ボウイはすっとぼけたような高音で歌い、ギターはギターで
ソリッドさを保ったまま弾いてゆき、そしてこのベース。
独特の不思議な響きで、他に似た曲がちょっと思い浮かばない。
ギターソロのハーモニーも、やっぱりどこか中東風か。
ニワトリみたいなボウイの声も、可笑しいようでやっぱりすごい。
表題曲を除けば僕がここでいちばん気に入っている曲。


4曲目 After All
いきなり呟くように歌い始めるボウイ。
いかにも欧州的、クラシック的、荘重な響きの曲。
コーラスがなんだか不気味。
演奏もアコースティックギターと装飾音だけであり、
その音が別の世界から聴こえてくるかのように小さい(遠い)。
真面目に聴くと、ボウイの艶っぽい歌声に絞殺されそうになる。
ボウイらしい審美的な曲。


5曲目 Running Gun Blues
やっぱり「ブルーズ」とつく曲があるわけですね。
一転してコミカルな浮ついた歌い方で始まる。
途中からエレクトリックギターが入ってフル演奏になると
ボウイの歌い方は力が入るけど、でもどこかコミカル。
いかにもブルーズロック的なベースとギターがやっぱりいい。
だけどやっぱりボウイらしい曲として終わる。
もう3枚目でらしさを醸し出していたわけですね。


6曲目 Saviour Machine
ボウイは世界を憂いていた、それにしても大仰な曲名。
人間ではもはや救えない、ということなのか。
ヴァースの呟き、サビの声を張り上げて音を伸ばす歌い方、
歌い方を自在に使いこなす、ボウイの魅力にあらためて気づいた。
ギターソロとそこに入る前の刻むギターの音がいい。


7曲目 She Shook Me Cold
俳句でいえば破調、リズムも歌も乱れた曲。
歌メロがとりにくく鼻歌で口ずさむような曲ではない、
サウンド全体の中に声という楽器を置いたといった響き。
そして後半はクリーム風インプロビゼーション(風)。
ここまでやるか、やれたのか、とある種の驚きがありました。
ただ同時に、このままブルーズロックをやっていれば、
早々に壁にぶち当たって終わった、という想像も容易に立つ曲。
ところで、インプロビゼーション部分の途中、2'48"の部分で
ギターが一瞬途切れ途切れになるのですが、そのちょっとした音が、
ポール&リンダ・マッカートニーのRAMに入っている
Uncle Albert / Admiral Halseyの最後の部分にそっくり。
ポールの方はその音で曲が終わり、続けざまにSmile Awayが
始まるのですが、ボウイが71年4月、ポールが同5月。
ボウイの方が先だけど、ひと月しか違わないので、
ポールがボウイのを聴いたとは考えられない。
偶然に違いないんだけど、ブルーズロックの断片が辺りに
普通に転がっていた、そんな時代だったのでしょうね。


8曲目 The Man Who Sold The World
表題曲にして初期ボウイ代表曲の一つ。
ボウイの曲人気投票でも20位に入っていたと記憶していますが、
僕が選んだ20曲には入れなかった。
最初に聴いたベスト盤にも入っていて、もちろんそれからずっと
いい曲だとは思っていますが、20曲に入れるほどには
聴き込んでいなくて申し訳なかった、というのがありました。
その記事を書いてからこのアルバムを聴き始めて、
やっぱり、いや、思っていた以上に素晴らしい曲だと認識。
この曲こそアラブ風の響きに覆われていて、アラビアンナイトの
一節をボウイに聴かされているようにも感じます。
歌メロが素晴らしく、もうこれは作ったというよりは、
こういう旋律が天から降りてきたとしか考えられない。
サビに入る前のギターの「ドレミファソラシド」が曲の
アクセントになっていていいアイディア。

この曲といえばニルヴァーナがUNPLUGGEDで歌い、
その曲がビデオクリップとしてMTVで流れていたことで
90年代に大きな注目を集めましたが、カート・コベインは
20年も前から「ボウイルネッサンス」をしていたんだと
今更ながらあらためて感心した次第。
彼の歌い方、もっというと人間的な部分に合っている曲であり、
だから注目度も大きかったのだと思います。




9曲目 The Superman
最後はコミカルな声をダブルトラックで聴かせる。
ジャングル的なビートを乱打するドラムス、浮遊感のあるコーラス、
大仰なほどにダイナミックなギターに乗って、
「超人」を滑稽に描写して聴かせる。
ニーチェの『ツァラトゥストラはこう言った」のイメージがあるのかな。
「超人」側から見た庶民、或いはその逆、僕はそれを思い出しました。
あとくさりなくさらっと終わるのが、かえって余韻が残ります。




ボウイが女装した英国盤ジャケットも当時話題になりましたが、
アメリカ盤は当初別のモノクロ写真のジャケットが使われました。
なんというか、逆に男らしいポーズのボウイですが、
アメリカでは問題があったのでしょうかね。

デヴィッド・ボウイの音楽は、なんというか、面白いですね。
興味深いといった方がいいかもしれない。
何よりボウイの歌唱力、表現力、歌のうまさ、深い。

いつもアーティストが亡くなられると、
遺された音楽を聴いてゆこうと思いますが、
ボウイの場合、僕はもう深みにはまっている感があります。

また聴き込んだアルバムを記事にしたいと思います。


最後は昨夜の3ショット。
珍しく夜にA公園に行きましたが、フクロウの声はしなかった。

03




  


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2016年03月04日

LODGER デヴィッド・ボウイ

01


LODGER David Bowie
ロジャー 「間借人」 デヴィッド・ボウイ
(1978)

デヴィッド・ボウイのアルバムの話です。

あの日から僕は、デヴィッド・ボウイ「再発見」が続いています。
このアルバムは、その端緒となったもので、「あの日」の翌々日
1月12日から、当初はほぼ毎日、今でも週3回は聴き続けている、
「再発見」で大きな収穫を得た1枚です。

このアルバムを初めて聴いたのは20年と少し前。
RYKOから出ていたリマスター・リイシュー盤CDでした。
最初に聴いた時の印象、音はいい感じだけど
曲が強く前に出てこないかな、というくらい。
すぐにCDラックに常駐することになりました。

そう感じたのは、僕が最初に買ったRYKOから出たベスト盤
SOUND + VISIONにこのアルバムからの曲が
収録されていなかったからでした。
若い頃はやはり曲に刺激を求める。
ベスト盤に曲が入っていないということはそういうアルバムなのだ、
と短絡的に結びつけたのでしょう。

2000年頃に後現行のEMIリマスター盤も買い足しましたが、
やはりまだ印象は変わらず。
その後も全部で何回か聴いただけでした。

しかしこのアルバムは、昔から評価が高くて、
それはきっと僕の聴き方が足りないだけだ、
いつかきっと分かる日が来ると思い続けていました。

そのきっかけは、あまりにも悲しい形で訪れました。

今年1月12日に久し振りにCDラックから出して聴き、それから
もう2か月近く、今は25枚連装CDプレイヤー常駐となりました。
もはや愛聴盤と言っていい。
やっぱり音楽って聴く時の気持ちが大きいんだなと、
あらためて思いました。
特にデヴィッド・ボウイは・・・

このアルバムはLOW "HEROES"に続く
「ベルリン3部作」完結編といわれていますが、
実際に録音されたのはベルリンではなくスイスであるとのこと。
三部作と呼ばれるのは、ブライアン・イーノが参加しているからですが、
そう言われている以上前2作と比べてみると、身をそぎ落とすような
緊張感がなく、妙にリラックスしている様子が感じられます。
いい意味で前2作よりラフな音の作りや響きです。

ギターはロバート・フリップに代わり、エイドリアン・ブリューが参加。
エイドリアン・ブリューは東京ドーム公演で僕も観て聴きました。
象や猿の鳴き声をギターで再現するおじさんですね(笑)。

砕けた言い方をすれば「ロックを遊んでしまおう」
という精神に満ちている。
もちろんコミックソングとかそういうわけでもないし、
1曲1曲は力が入っているんだけど、文章でいう「行間」からは、
音楽の楽しさの部分が強く感じられます。

この3枚ではいちばんロックらしい音でもあると感じられます。
しかしもちろんボウイらしいアート感覚に満ちている。
そう、このアルバムは、ロックは「アート」であることを
再認識させてくれました。

すべてのロックがそうとは言わないし、アートであることを
意識していない音楽の価値が低いとは決して言わない。
言わないけれど、単なるヒット曲として流行った時に終わるのではなく、
聴き継がれてゆくことを目指して作っているであろうことを、
このアルバムからは強く感じます。

このアルバムがいちばん変わっている、面白いのは、
エスニック的な要素を取り入れて解釈するという姿勢でしょうね。
もちろん、あくまでもロックの中で出来ることであって、
本格的にそっちの世界には行かない。
そういう音楽が世界にはあるんだと知らしめてくれることが
ロックの役割でもあり、このアルバムは特にそのことを強く感じます。

歌詞が文学的であるとか、ブルーズから受け継いだ精神性とか
そういうことではなく、ごく単純に音楽として美しく響いてくる。
そして楽しい、つまり物理的な音がまずあってからそれから
という姿勢がボウイの根底に流れていることが感じられます。

音の響きがきれいなロックで遊んで楽しむ1枚、というところでしょうか。


02 今朝の風景、最初はこうだった・・・



1曲目 Fantastic Voyage
ゆったりとしたイントロからボウイが妖艶に歌い始める。
アルバム1曲目としては変化球で、通して聴くと
これが1曲目であることでしまっていたんだなと後で分かる、
遅効性の曲といえるかもしれない。
最後の方のボウイの歌声、高音を揺らしながら伸ばす声は
やはりぞくぞくっときてしまう。
「素敵な旅」というタイトルと裏腹に、
誰かが嘆いている世の中で生きていく必要性を説くもので、
ミサイルという単語もあり、東西冷戦が頭にあっての歌でしょうね。
前々作でワルシャワが出てくるように、
ボウイはその意識を持っていたに違いない。

ところでこのタイトルFantastic Voyageは、
1968年アメリカ映画『ミクロの決死圏』の原題ですね。
映画は小さくなった人間が人の体の中に入り治療をするというもので
(ウルトラセブンのダリーの話はこの映画にヒントを得たのか?)、
歌詞の内容とは直接関係ないようです。



2曲目 African Night Fight
何やら物騒な響きのパーカッシヴなイントロに続いて、
ボウイはラップといよりは早口で言葉を乱射する。
タイトルの如くアフリカのリズムを持った不思議な響き。
コーラスの呪術的な響きは特に印象に残ります。


 
3曲目 Move On 
インパラが草原を駆け抜けるような軽快なリズムとは裏腹に
重たい空気に包まれた不思議な響きの曲。
ボウイもずっと低く押し殺した声で歌っていて、
歌というよりは声もサウンドの一部に過ぎないといった響き。 


 
4曲目 Yassassin (Turkish For: Long Live)
そしてレゲェが来ました。
レゲェは当時既にロックの中にも取り入れられ定着していましたが、
これはリズムを採り入れたというよりは、本格的なレゲェの焼き直し。
ボウイの本格的なレゲェは初めてかな。
これがですね、軽快なレゲェに中東風の装飾音が被さり、
不思議さマックスといった響き。
ボウイとバンドはそれを真剣に歌い演奏しているのが、
ある意味笑ってしまう。
今回、こんなすごい歌があったんだって「発見」した曲でした。
中東風と書きましたが、サブタイトルに「トルコ風」とありますね。
トルコは今大変ですが。

ところでこの曲、"Yassassin"とはWikipediaによれば、
トルコ語の「長生きしますように」というおまじないのような言葉を
英語のスペルに置き換えたものだそう。
でも、英語に慣れた耳で"Yassassin"と聞くとどうしても
"assassin"=「暗殺者」を思い出してしまいますよね。
この曲の不思議な響きやおかしみは、"y"があるかないかだけで
意味が正反対になってしまうところにあるのかな、と思いました。
僕だって、Wikiで調べるまでは、"y"をつけることで強調された
「ものすごい暗殺者」なのかなと大きな勘違いをしていましたから・・・
そうなんです、クールでそ知らぬふりをして大物を殺すような
暗殺者の歌だと。
 

ここでこの曲。



 Yassasin
 David Bowie



 
5曲目 Red Sails
曲そのものはアップテンポで疾走感がある痛快なロックンロール。
明るく、突き抜けようとしているけれどボウイの重たい声が
それをぎりぎり抑え込んでいる、そんな響き。
重たい声と書いたけど、ボウイの高音でも重々しい声は
得難い魅力であることが分かります。
最後の方でやはり呪文のようなスキャットに
エイドリアン・ブリューの歪ませたギターが被さって、
どこかの民族の宗教儀式のような雰囲気すらあります。


03 今朝の風景、1時間でこうなった・・・



6曲目 D.J.
やっぱりこれも中東っぽいものを感じます。
よぉーく聴くと、スタッカートの効いたベースやバッキングギターが
ブラコン風だったりするのも時代を感じる。 
「俺はD.J.だ、俺はやりたいようにやっている」と、
悲壮感漂う高音で歌うメッセージ性の濃い曲。


 
7曲目 Look Back In Anger
このアルバムで人気がある曲はこれだと思います。
「怒りを持って振り返れ」
軽快なシャッフルにのったボウイは歌うというより吠えている。 
こんな声が出る人がいるんだ、と、もう驚きの世界ですね。
いや、いたんだ、になってしまいましたが・・・
「ローリング・ストーン誌の選ぶ100人の歌手」の
23位にランクされているのも、今更ながらにしてよく分かりました。
曲そのものは明るく前向きな曲で、前に進むには
そういうことも忘れるな、という強いメッセージを感じます。
サビの気の抜けたコーラスが、そのことを強調しているようで、
どこかほっとする。
いやあ、それにしてもあらためて聴くと非常にかっこいい曲ですねぇ。

オアシスのDon't Look Back In Angerは
この曲のアンサーソング、と、当時よく言われていましたが、
それで再注目されたという部分もあると思います。
僕自身、それでこの曲の存在を覚えましたから。
(その割に当時このアルバムを聴き込むことはなかった・・・)


さてもう1曲、これいきますか。



 Look Back In Anger
 David Bowie

 
 
8曲目 Boys Keep Swinging
どこか懐かしさを感じる、スウィング感あふれるストレートな曲。
後から見れば、Absolute Beginnersにつながる雰囲気がある。
1990年代盛んに言われた「ブリットポップ」の源流ともいえるかな。
それにしてもエイドリアン・ブリューのギターは音楽全体を
いい具合にかき乱してくれる。
そうだよ、彼のギターもこのアルバムの聴きどころのひとつに加えないと。


 
9曲目 Repetition
ここにも中東風のフレーズがさらりと。
前2曲が明るかっただけに、その中東風の音が入ることで
また陰りのようなものが出てきました。
2拍目と4拍目の音が上がるフレーズを繰り返すベースが曲の印象を
支配していますが、それもそのはずタイトルは「繰り返し」という意味。
歌よりも全体のサウンドとして印象が強く残る曲。


 
10曲目 Red Money
「どんどどんどどん」というせり上がるようなリズム、響きは明るい曲。
「赤い金」とは、当時の「東」のことかもしれないし・・・
21世紀の世界は別のかたちの「赤い金」が出回っているようですが。
結局最後まで、不条理に感じていることをぶつけているんだけど、
音楽は妙に明るく、その乖離が面白い、そんなアルバムでしょう。
音楽面でいえば、エンドレスループに入るような感覚があり、
アルバムの最後にあると余韻が残るいい曲ですね。
最後やっぱり中東風のギターで音が消えます。





それにしても「間借人」という邦題・・・
確かにほぼ直訳だけど、店先で「間借人ありますか?」とか聞くのは、
そして店側も言うのは恥ずかしくなかったのかなあ・・・
今はもうその邦題が使われていないのは納得ですね。


最後に、このアルバムの個人的な思い出もひとつだけ。

ボウイの記事で何度か、1990年東京ドーム公演に行ったと話しました。
一緒に行ったバイト先の社員のSさんに、ボウイで何が好きですかと
質問すると「ロジャー」と即答したのが印象的でした。
正直、なんで? と思ったので。
当時はまだCDが出ておらず、LPも探さず、聴いたことがなかったけれど、
(無謀にも)どこがいいのですか? と質問すると、Sさんは
「とにかくいいんだ」以上のことは言わなかった。
Sさんは僕より7、8歳年上で、純粋に
リアルタイムで出た新譜として聴いてよかったのだと今にして思う。
そういうものですよね、ロックなんて、時代とは切り離せない。
上述のように僕が初めて聴いたのはその後のことでした。

ちなみにそのSさんはレッド・ツェッペリンをはじめロック大好きでしたが、
仕事中はあまり私語をするのが好きではなかったらしく、
特に仲がよかったというわけでもなかった(嫌いでもない)。
J-WAVEでかかった曲に対して時々ぼそっと何か言い、
それについて盛り上がることはままあったけれど。
一緒にコンサートに行ったのもその時が最初で最後。
お互いに職場や友だちなど近しい人で一緒に行ける人
がいなかったので行ったというくらい。
コンサートの後はそのまま水道橋で別れましたが、
当時の音楽友だちだった同じバイトの人に、
せっかくだからコンサートの後食事でもすればよかったのに、
と言われました。

懐かしい。
 
 
デヴィッド・ボウイ「再発見」の旅はまだまだ続いています。
近いうちにまた別の「再発見」アルバムを記事にします。

きっかけは確かに悲しいものだけれど、
遺された音楽を聴いてゆくことで、
ボウイも火星で喜んでくれることでしょう。

それにしても。
このアルバム記事は割と早くに上げるつもりでいたのが、
もう月をひとつまるまる通り越し、そろそろ「その日」から2か月、
早いものですねぇ。


最後は今朝の3ショットにて。

04






  


Posted by guitarbird at 20:29ロックC-J

2015年01月25日

TRUTH ジェフ・ベック

01


TRUTH Jeff Beck 
トゥルース ジェフ・ベック
 (1968)

今日はジェフ・ベックいきます。
ジェフは一応、ソロ以降の全アルバムが家にあるのですが、
よく聴いているかというと、正直、はいとはいえない人です。
嫌いな理由は何もなく、むしろ尊敬しているギタリストですが、
端的にいえば尊敬が大きすぎてなかなか近寄れない、
そんな存在かもしれません、現在進行形で。
だからジェフのプレイがどうのこうのは話せないのですが、
音楽にも情報にもずっと接してきている人ではあって、そんな中、
このアルバムは唯一、そらで曲が思い浮かぶくらいの愛聴盤。
年末から、きっかけは特になく目に留ったので突然また聴き始め、
以前は気づかなかったことを感じたので、記事にしてみました。

僕がこれを初めて聴いたのは大学生の頃、当時はCD時代の初期で、
これと次のBECK-OLAのCD化を楽しみに待っていました。
もちろんそれは、ロッド・スチュワートがいるからです。
ロッドは高校時代から大好きで、遡ってたどり着いたのですが、
ロッドがジェフ・ベックからキャリアをスタートさせたことを
最初に話として聞いた時、僕は違和感のようなものを覚えました。

実際に聴くと、ロッドが歌っているだけでうれしかった(笑)。
声があまり変わっていない、やはり歌メロをつかみやすく歌う人だ、
などなど感心しきりでした。
ただし、やはり多少の違和感はありました。
ハードな音ととのミスマッチ感覚がそうさせたのかなと。
ロッドが2枚で辞めてしまったことも、なんとなく、
分かったとはいわないけど、想像はできました。
ただし、このアルバム自体は音楽としてあまりにも素晴らしく、
すぐに大好きになりました。

このところ聴いていて、気づいたというか新たに感じたこと。

ひとつ、昔思っていたよりも音がうんと土臭い。
音が粘っこくて、もっというとアメリカ南部っぽさがあって
レッド・ツェッペリンのように良くも悪くもスマートではない。
リズム隊がそう感じさせるのかな。
また、クリームのように、個性のぶつかり合いの中から
マジックが生まれてくるというわけでもなくて、
あくまでもジェフが全てを支配し統制をとっているようで、
音楽全体は整っていて、意外と涼しさを感じます。
土臭いけど、あまり気温が高くなく、蒸してもいない。
アメリカのオールマン・ブラザース・バンドに英国っぽい
要素があると言われますが、逆にジェフ・ベックは
英国側からアメリカにアプローチしてったところ、
大西洋上の同じ辺りでオールマンと交錯したという感じかな。
ただ、次のBECK-OLAのほうがより南部っぽいと感じましたが、
今回はこのアルバムだけに絞って話をします。

もうひとつ、僕はロッドから遡って聴いたと書きましたが、
今さら冷静になって聴いてみると、ロッドのヴォーカルの存在感は、
まさに唯一無二、誰も真似できない世界を持った人なんだなと。
こんな声の人はいないですからね。
そりゃプロのヴォーカリストのしかも第一線でやっていく人は、
唯一無二の声を持っているに違いないのですが、しかしロッドは、
声の質というよりは、そもそも世界が違うように感じます。
これが世に出た時に、なんだこの声の持ち主は、と驚いた人が
多かったのではないかと勝手に想像しました。
声はまさに最大の楽器ですね。

このアルバムはよく、ヘヴィメタルのルーツの1枚
のような言い方をされています。
ブルーズ基調で重たくハードなギターの音という点で、
見た目はそうなのかもしれません、そう思う部分はあります。
でも、コンセプト的にはまだまだヘヴィメタルには遠いですね。
ブルーズを感じなくなったところがヘヴィメタル、
と僕は思います、すべてがそうとも限らないですが。

2005年のリマスター盤にはボーナストラックが8曲収録され、
中には、ジェフが歌う最初のシングルHi Ho Silver Lining
次のシングルのTallymanや、ポール・モーリアで有名な
「恋はみずいろ」 Love Is Blueも収録されています。
ただし今回はあくまでもアルバム本編だけに触れてゆきます。

そのCDのブックレットの裏は、写真03、
おそらくLPの裏面がそのまま使われていると思いますが、
そこにはジェフ自身の曲への短いコメントが記されています。
そうした例は多くはないとは思いますが、ジェフはそれだけ
力を入れてこのアルバムを作り、自信があったのでしょうね。
面白いので、今回は、それを紹介しながら進めます。
JBと記した青文字の文章がジェフ・ベックのコメントです。
なお、翻訳は引用者によるもので、一部補足も加えています。
そしてリマスター盤には、Charles Shaar Murrayなる人物の
解説があって、そこに書かれていることにも少し触れます。

このアルバムのバンドのメンバーは以下の4人ですが、
ジェフ・ベック Jeff Beck (Gt)(Tr5のベース)
ロッド・スチュワート Rod Stewart (Vo)
ロン・ウッド Ron Wood (Bs)
ミッキー・ウォラー Micky Waller (Ds)
このアルバムは参加メンバーが豪華であり、
英国ロック躍動期の縮図ともいうべく興味深いので、
先に名前を挙げて紹介してゆきます。
キース・ムーン Keith Moon
 →Tr8のドラムスとTr5のティンパニー
ジミー・ペイジ Jimmy Page 
 →Tr8の12弦ギター
ジョン・ポール・ジョーンズ John Paul Jones
 →Tr4、5のオルガンとTr8のベース
ニッキー・ホプキンス Nicky Hopkins 
 →Tr3、4、8、9のピアノ、彼はサブメンバー的役割の模様
またTr3のバグパイプはMyserious Scottish Blokeと記されています。
ジェフはGibson Les PaulとMarshallのアンプを使用と記され、
ブックレットにはジェフがレス・ポールを弾く写真もあります。

いつものように作曲者は各曲の下に示してゆきますが、今回は、
ブックレットに書いてある通りに記し、本文で補足してきます。

02 2005年リマスター盤CDブックレットの裏面


Tr1:Shapes Of Things
(Sammuel-Smith / Relf / McCarty)
JB:アレンジし直したけどヤードバーズのヒット曲だ。
この曲は何を使って聴くのでも最大音量で聴いてくれ。
もし君が教会の牧師をお茶の時間に呼ぶのなら、
これは最高のBMGになるだろうな。


元々ヤードバーズの曲で、ジェフ自身には再録音になる曲。
イントロのベースとドラムスが真っ直ぐに入ってくるけど、
ヴォーカルとギターが始まったところで横の流れもできて
音が立体的に広がる、最初の5秒で圧倒されること間違いなし。
このアルバムはそれとベースが歌いながら激しく動いていますが、
ロン・ウッドは最初はリズム・ギターとしてジェフに迎えられ、
ベースは他の人を考えていたのが、彼のイメージに合う人がおらず、
ロンをベースにコンバートすることを思いついたそうです。
そしてロンはFender Jazz Bassを弾いているとも書かれています。
ヤードバーズには悪いけどこの曲は「ジェフ・ベックの曲」、かな。


Tr2:Let Me Love You
(Jeffery Rod)
JB:ヘヴィな曲、素晴らしいタンバリンは
ミッキー・モストによるものだ。
ロッドの曲。いろんな状況で映える曲だよ。


作曲者の「ジェフリー・ロッド」とは
ジェフとロッドのことだと思われますが、
オリジナルLPの裏面部分には(Rod)としか記されておらず、
リマスター盤のブックレットにはこのよう書かれています。
なぜだろう、ちょっと不思議、ロッドへの感謝の念からかな。
ただしこれはモチーフをバディ・ガイの曲からいただいている、
と解説にありますが、当時の英国は、ブルーズの名曲に手を加えて
自作の曲として歌う悪しき流行があったようで、これもそうかな。
この曲は歌うには最高によいのですが・・・
ロッドは、歌に感情はこもっているけど、取り乱すこともなく
悠然と歌い続け、若くして既に凄味を感じます。
なお、ミッキー・モスト Micky Mostはプロデューサー。


Tr3:Morning Dew
(Rose - Dobson)
JB:ティム(・ローズ)のこの曲の素晴らしさはみんな知ってる。
だけど僕たちのもなかなか良くないかい。


作曲者のひとりでもあるティム・ローズのヒット曲で、
ジェフは彼への賛辞を送っています。
ただしこれは調べると、ジャンルとしてはフォークであるらしく、
ロッドのその後のカバー曲の選曲との共通性を考えると興味深い。
この空気感を表現できるロッドの素晴らしさに感動しますね。
ロッドの執拗なヴォーカルは、歩いても歩いても足に朝露が着く
草原を進まざるを得ないような感覚に陥ります(笑)。
ジェフの跳ねるようなギターの音もカッコいい。


Tr4:You Shook Me
(Dixon)
JB:むしゃくしゃした時に聴くための曲としてこれはおそらく、
最も適当かついいかげんに録音された曲じゃないかな。
最後の音は僕のギターだけど、きみたちが調子がよくない時に、
この2分28秒でやる気をくじいてくれたまえ。


これはレッド・ツェッペリンで先に聴きましたが、
Zepのそれを最初に聴いて僕は大爆笑してしまいました。
ここはジェフの話なのでそのことには触れないとして、
ジェフのこれは妙に小ぎれいにまとまっていると感じました。
オルガンはジョン・ポール・ジョーンズ。
ニッキーのピアノの高音の連弾も印象に残ります。
ウィリー・ディクソンはブルーズ系のロッカーから
最大限の尊敬の念を集めていた人ですね。


Tr5:O'l Man River
(Kern - Hammerstein II)
JB:アレンジは僕だけど、クレジットはみんなのもので、
ロッド・スチュワートはとりわけ素晴らしい。
これもまた最大音量で聴いてくれ。


白状します。
僕はずっと、オーティス・レディングのO'l Man Troubleと
この曲を混同していました、同じだと思っていました。
しかも、それをオーティスを真面目に聴くまでずっと、
だからつまり、昨年まで、そう思っていたのです・・・
調べるとこれは1920年代のミュージカルの中の曲ということで、
そんなに古い曲だったんだ。
じわじわと迫ってくる演奏が迫力ありますね。
キース・ムーンがわざわざティンパニーをやるだけあります。
これ、ほとんどソウルと言っていい雰囲気もあって、
ソウルっぽさを感じさせるのはロッドの持ち味かな。
今回、かなり奥深い曲だと再認識、再発見しました。



03 CDとハウのアウトテイク写真



Tr6:Greensleeves
(Trad arr. Jeffery Rod)
JB:ミッキー・モストのギターで演奏している。
エルヴィスとも同じものなんだ。


解説にはそのギターはGibson J-200と書いてあります。
ところで、ポール・マッカートニーはこれを聴いて、
Junkを作ることを思いついたのかなと思うことがあります。
違うかもしれないけど、雰囲気が似ています。
特に、McCARTNEYに収録されたオリジナルではなく、
UNPLUGGEDのバージョンは、メドレーで1曲にしたいくらい、
雰囲気以上に演奏も似ています。
なんて、結局はビートルズに言及するのか・・・(笑)・・・
話は逸れましたが、この曲はロックを聴く前から知っていて、
こうしたトラッドをロックで演奏しているのを聴くと、
若い頃は特にうれしくなりました。


Tr7:Rock My Primsoul
(Jeffery Rod)
JB:"Tallyman"のB面として録音していたが、こちらのほうが
オリジナルよりナチュラルな雰囲気でよくできている。


これも一応はオリジナルでも、B.B.キングのRock Me Baby
からいただいているということで、やはりちょっと複雑。
まあしかしこれは歌メロもいいし、素晴らしい曲ですね。
若い頃からよく口ずさんでいました。
ロッドも後にライヴで歌っています。
この曲のロッドのヴォーカルでひとつ思ったのは、
ハスキーヴォイスと言われますが、それと関係あるのかどうか、
ロッドは歌うと声がいい具合に微妙に欠けていることかな。
音が揺れるというべきか、声がただ伸びているのではなく、
作為的というよりは自然とそういう声になっている感じ。


Tr8:Beck's Bolero
(Page)
JB:これについてあまり多くは語れないな。
"(Hi Ho) Silver Lining"のB面と同じテイクで、言い訳になるが、
それ以上に良くすることはできなかったんだ。


トラッドに続いてクラシックの要素まであるなんて、
若い僕はこれを聴いてほんとに楽しかった(笑)。
ジミー・ペイジが作ったこの曲はインストゥルメンタルで、
ギターによるオーケストラといった趣の壮大な響きに
心をかきむしられ、引き込まれます。
ただこれ、音質がもう少し良ければもっと透明感があるのにな
と、昔から思っています。
逆にこの音質だから、喧騒を、時代を感じるのでしょうけど。


Tr9:Blues De Luxe
(Jeffery Rod)
JB:バートとスタンに感謝だ。
僕たちは、やろうとしていた「ライヴ」演奏のブルーズの
完璧なモデルを作ることができたが、ピアノソロについては
言わせてもらいたいことがある。


すいません、バートとスタンが誰かが分かりませんでした。
ピアノソロはニッキーで、ジェフの文章はここまでですが、
これは聴衆の拍手が入っていてライヴのように聴こえるけど、
実際はスタジオ録音で拍手は後から被せたものだそうです。
この曲もまた一応はオリジナルですが、やはり
B.B.キングのGambler's Bluesとよく似ている、ということ。
この辺りのルーツ感覚はジェフもロッドも同じだったのかな。
普通に演奏すればこの半分の時間で終わりそうなほど(笑)、
とにかくゆったりとした、とろい曲。
ロッドはやはり何を歌わせてもさまになっている、うん。
この曲の歌はこの中ではいちばん気持ちが入っていますね。


Tr10:I Ain't Superstitious
(Dixon)
JB:ハウリン・ウルフの古い曲からリフをいただいているけど、
彼は気にしていないよ、だって僕は彼に話をつけたから。
この曲はめくるめくギターが炸裂している、そのための曲だね。
これらの愛すべき曲が僕らの最初のLP、TRUTHさ。


ウィリー・ディクソンの曲にハウリン・ウルフのリフと
凝っているといえば凝っていますね。
ワウペダルを多投したまさにめくるめくギターワークには、
自然と気持ちが高揚してきます、ナチュラル・ハイ。
サイケデリックの影響もあるのでしょうか、時代ですね。
でも、アルバム全体ではそれほどサイケの影響は感じません。
だから僕が大好き、ともいえます。
実は最近、僕は、サイケがやや苦手だと分かってきました。
つまらない人間ですから、僕は(笑)。
この曲はもはやロックのマスターピースのひとつでしょう。
ジェフ・ベックの曲として語り継がれてゆくであろう曲。
アルバムの最後を、緊張感を持ってびしっと締めてくれます。



ううん、ギタリストのジェフ・ベックのアルバムで、
僕自身も一応はギターを弾く人間だというのに、
ロッドの話ばかりで終わってしまった感が・・・
ギターについては、ソロももちろんすごいけど、僕はやはり
バックの特に低音弦の音の動かし方がカッコいいと思います。
なんて、取ってつけたように感じられるかも・・・

1968年といえば、このアルバムの他に、
ジミ・ヘンドリックスのELECTRIC LADYLAND、
クリームのWHEELS OF FIREと、
ブルーズに大きく影響を受けたロックの名盤が
リリースされた年として記されています。
さらにはレッド・ツェッペリンもこの年に結成され、
1stが発表されたのは翌年ですがでも1月にリリースだから
この年に録音されていたわけで、考えてみればすごいですね、
こんなすごいアルバムが4枚も作られたなんて。
ちなみに僕が1歳の年ですね、覚えているわけがない(笑)。

こう書いていると、それらのアルバムも
記事に取り上げたくなってきましたよ。


  


Posted by guitarbird at 00:31ロックC-J

2014年08月13日

AFTER HOURS ゲイリー・ムーア

01


AFTER HOURS Gary Moore
アフター・アワーズ ゲイリー・ムーア
 (1992)

お盆の札幌は普段より静かです。
静かな夜はブルーズでも聴きたい・・・というわけではないけど、
このところよく聴いているCDを今夜は記事にしました。

ブルーズといえばゲイリー・ムーア、と言ってしまうと、
ほんとうにブルーズがお好きな方には申し訳ないかなと思いつつ、
僕の場合は若い頃に接した2枚のアルバムが強烈だったがために
いまだにそうなってしまいます。

このアルバムは「新世代ブルーズ革命」を起こした名盤中の超名盤
STILL GOT THE BLUES(記事はこちら)の後を受け、
ブルーズアルバム第2弾として大きな期待を持ってリリースされました。

聴くと大きな期待その通り、ある意味それ以上の出来に満足しました。
「二番煎じ」「二匹目のどじょう」とはたいていよくないイメージですが、
このアルバムはその言葉を100%肯定的に受け取れる稀な例でしょう。

前作との違いという点に絞って話を進めると、本作は前作に比べ、
格段に聴きやすくなっていると感じました。
つまりそれはポピュラー音楽としては進化したということです。
具体的には曲もアレンジもアルバムの流れもロック的な「引っかかり」
が少なくスムースにアルバムが流れてゆく感じがします。
このロック的な「引っかかり」は裏を返せばロックの面白い部分であり、
その点では面白さが減じたともいえるのですが、でもそれ以上に
聴きやすくなっていて、構えなくても気軽にかけられる1枚です。
もちろんそのどちらがいいかは聴く人次第ですが。

当時はSTILL...の勢いそのままに進化したアルバムが出たとして
2枚は並ぶべきものという感じで僕も捉えていましたし、
実際にかけた回数はこちらが多いというくらいだったと思うし、
当初はSTILL...よりこっちのほうがいいと僕こそが思っていました。
まあそれは僕が元来ポップス人間だからでしょうね。

しかしおよそ20年が経ち、
STILL...が名盤として揺るぎない地位を確立した一方で、
本作はすっかりその影に隠れてしまったと僕は感じています。
いわば「二番煎じ」「二匹目のどじょう」という言葉が
本来のイメージ通りになったというのかな。
STILL...はロックが好きな人なら誰でも聴くけど、
本作はゲイリー・ムーアが好きな人なら誰でも・・・と、
対象が少し狭くなる感があります。

02 お盆だから、でもないけどポーラも紹介


僕がロックを聴き始めてから、過去のアルバムについては
同じバンドのAとBというアルバムで僕はAのほうがいいと思うのに、
当時はBのほうが売れたということがよくあって不思議でしたが、
ポピュラー音楽は時代とは切っても切り離せないものだから、
それはリアルタイムで体験していない者には分からない部分もある
ということなのだろうなと思うに至りました。

そのことがゲイリー・ムーアを通じて自分の身にも起こったのです。
つまり、音楽が時代による評価と、その後に聴き継がれることにより
評価が上がり、さらには時間という付加価値が増すことによりまた
別の評価が存在することをこの2枚で僕は体験したということで、
昔からの疑問を自らの体験を持って解決したというわけですね。
まあ別の言い方をすれば僕もそれだけ長くロックを聴いてきた、
つまり僕も年をとった・・・ということなのでしょうけど・・・

内容的には決してこちらが劣っているというのではなく、
STILL...のほうが僕の当初の予測をはるかにこえて名盤として
聴き継がれ広まっているということだと考えます、念のため。
そしてそれはゲイリーの死によって加速増幅された感も。

ただしそうなったのはやはりSTILL..が先に出たことが大きく、
またロック的「引っかかり」という観点からすると、音楽的面白さは
やはりSTILL...に軍配が上がるということでしょう。
生物である以上やはり先というのは意味が大きいのです。

しかし純粋に音楽として接すれば本作も負けず素晴らしいですよ。
ブルーズの道をとことん突き詰めるゲイリーの姿勢は求道的で、
荘厳さやすがすがしさそして潔さを感じます、もちろんカッコいい。
ただし焼き直しをやっているという意識はなくて、伝統は守りつつ
個性を最大限に発揮して次元の高い音楽を聴かせてくれます。

ギタープレイも冴えまくり切れまくっているのはいうまでもない。
彼のキャリアのいわば絶頂期で円熟味というにはまだ早すぎる、
若々しさとすご味が同居しているプレイを聴かせてくれます。
ほんとにすごいですよ。
ギターを弾く人でこれを聴いて何も感じない人は、悪いけど
いや悪くない、ギターを弾くのをやめるべきです。
そんな人はいないはずだと信じて書いているんですけどね(笑)。

曲もほとんどがゲイリー・ムーア自身のペンによるもので、
その部分も特筆されるべきだと思います。
自作の曲という点でいえば本作は彼のキャリアのハイライトでしょう。
なお作曲者についてはゲイリーひとりのもの以外は明示してゆきます。
(All songs written by Gary Moore except as noted)

03 8月2日の朝の雲にブルーズを感じる時


Tr1:Cold Day In Hell
ショッキングな短い音のギターとブラスで劇的にアルバムが始まります。
"So many times"という言葉とそれがのった旋律のフレーズがいかにも
ブルーズっぽいイディオムでゲイリーも曲作りに当たって完全に
ブルーズの心に成りきっていたことが感じとれます。
ギターも歌メロもホーンもこのつかみはすごすぎる。

Tr2:Don't You Lie To Me (I Get Evil)
(Hudson Whittaker)
この少し前にパット・ベネターがブルーズのカバーアルバムを出し
僕も結構気に入っていたのですがこれはそこで知った曲で
当時の僕は音楽の幅が広がったことを感じました。
ただしパットとは曲名の()の前と中を入れ替えています。
曲は明るいポップソングで、実はパットのそれが大好きだったので、
男性の声でこれを歌ったゲイリーが最初は違和感がありました。
そういえばパット・ベネターのそのアルバムもいいんだけどなぁ。

Tr3:Story Of The Blues
ソウルとブルーズの境界線にあるバラードで、アレンジはソウル、
ギターとゲイリーの歌い方はソウルじゃない。
ブルーズロックの真髄ともいえる曲じゃないかな。
ギタープレイはほんとうに凄くて3曲目でこんな曲が来るなんて
最後まで聴く体力が持たないのではと心配になるほど(笑)。

Tr4:Since I Met You Baby
「御大」B.B.キングを迎えホップしスウィングする楽しい曲。
"Since I met you baby, I'm happy as a man can be"
というくだりはもちろん単純にラヴソングとして解釈できるけど、
ゲイリーがB.Bのブルーズに出会ってからの気持ちを歌っている、
というのは考えすぎかな、だって、"Baby"を略すと"B.B."だし・・・
とにかく音楽することの楽しさが伝わってくる曲。

Tr5:Separate Ways
この曲のビデオクリップがMTVでかかりまくっていたので、
僕にとってはそこで見て聴いた体験は懐かしい曲です。
感傷的なバラードで歌メロもギターも鳴いています。
女性コーラス陣もゲイリーには新機軸の味わい深い1曲。
ブルーズの枠を少し飛び出したポップソングという感じ。

Tr6:Only A Fool In Town
ギターが吠えまくってすごいのなんの!
僕がよくいう「ロックの照れ隠し」、前であんなに気持ちを入れてしまい
罪滅ぼしの照れ隠し、アップテンポで勢いよくカッコつけている曲。
でもほんとカッコいい。
ゲイリーのギターはソロはすごいしバッキングは吠えているし、
ブラスがそれに負けじと迫力と切れで勝負に出ています。

04 夏の赤い落ち葉にブルーズを感じる時


Tr7:Key To Love
(John Mayall)
スタッカートが効いたジャンプナンバー、煽る、煽る。
ジョン・メイオールの曲であることはずっと後で知りましたが、そうか、
僕はこの頃はあまりブックレットを見ていなかったのか・・・
あっという間に終わってしまうこの曲は夏には爽快でいいかも。

Tr8:Jumpin' At The Shadows
(Duster Bennett)
続いてカバー曲、明るくて和やかな雰囲気のバラード。
この雰囲気は彼のブルーズ路線では異色ともいえるけど、
もちろん違和感はなく聴き応えたっぷりに仕上がっています。
僕はこの曲、海辺の日陰で魚が跳ねている感じがして
そうか夏が似合うと昔から感じていたようです(笑)。

Tr9:The Blues Is Alright
(Milton Campbell)
なぜこの曲を取り上げたかはタイトルを見れば明らか。
ブルーズの伝統は守られる、さらにこれからも進んでゆく。
ゲイリー自身がブルーズに身を投じてみてそれを確かに感じた、
ということでしょうね。
だから"Hey, Hey the blues is alright"と大声で歌ってみたかった。
そしてゲストはアルバート・コリンズ

Tr10:The Hurt Inside
ゲイリー・ムーアのこの路線の標準という感じの曲。
もちろんいい意味で、曲もギターもアレンジも安心して聴ける
やはりブルーズというよりはブルージーなロック。
ギタープレイは抑えて音色を聴かせることに専念しています。

Tr11:Nothing's The Same
本編最後は思いっきり哀愁路線の泣きのバラード。
演奏もドラムレスで落ち着かない雰囲気を醸し出しています。
こういう救いようがない曲を聴く人間の心理ってなんだろうね。
自分でも好んで聴くのに自分でも分からない部分があります。
ああ、悲しい、でもひたってしまう・・・
もちろんそれも持ち味ということでアルバムは終わります。

なお、現行のCDには5曲のボーナストラックが入っていて、
ライヴなどもあり悲しいままでは終わらないのでご安心ください(笑)。



ゲイリー・ムーアが亡くなったのはいまだに信じ難い部分があります。

それはファンとして当然の心理でしょう。
ファンであれば、新譜や旧譜再発などで盛り上がることはあっても、
基本的にはその人の音楽や情報にずっと接しながら生活していて、
亡くならなくてもそれはさほど変わらないものだから。

でも、受け入れなければならないのでしょうね。
音楽は永遠だとしても。

そして日本風にいえば今年はゲイリーの新盆なんだなあ。

なんてしんみりするだけではなく音楽は聴き続けます。

こちら今日も真夏日になったようですが、でも一昨日くらいから
日が暮れた後のまさに"after hours"の冷え込みが強くなっていて、
窓を開けて寝ると風邪をひきそうなくらいです。
昼間の暑さも落ち着いた感があるかな。

明日明後日はお盆で人が少ない札幌を楽しみますかね(笑)。

最後にハウがもう1回アルバムを紹介して終わります。

森の家にあったシラカンバの丸太にCDを置いて撮りました。


05


  


Posted by guitarbird at 19:59ロックC-J

2014年06月27日

NATURAL HISTORY JDサウザー

01


NATURAL HISTORY / JD Souther
ナチュラル・ヒストリー - JDサウザー
 (2011)

JDサウザーの新譜を最近はよく聴いています。

今回のアルバムは自ら作曲した曲を新たに録音したもので
他の人に提供した曲のカバー曲及びセルフリメイク曲集です。

これがほんとに素晴らしい!

そろそろまた新譜を集めた記事を上げてそこで紹介するつもりが
あまりにも素晴らしいので独立した記事にしました。

アコースティック・ギターとピアノを中心とした最小限の楽器そして
時々入る効果的な管楽器による落ち着いた演奏を聴かせてくれます。
そしてJDの曲の素晴らしさがより響いてきて、アレンジも大事だけど
先ずは曲ありきということを再確認します。

JDほど1曲1曲に気持ちがこもっている作曲家も少ないでしょうね。
40年近くの活動にしては発表した曲が少なすぎるのはやはり
気持ちを込めるために丁寧に作り上げたかったからなのでしょう。
そして繊細に音と言葉を選びながら曲が紡がれてゆく。
聴いていても気持ちの入り方が違います。

昨年の秋にJDは素晴らしいという記事を上げてからそれほど
経っていないのですが、そのタイミングでこの素晴らしいアルバムを
聴けたことでJDがますます好きになりました。

曲紹介ではオリジナルについても書き出してゆきますが、
収録されているアルバム、アーティスト、年代を記します。

02 春なのに紅葉


Tr1:Go Ahead And Rain
 HOME BY DAWN by J.D.Souther (1984)
JDの声がまるで雨粒の音のように響いてきます。
歌っているJDはほんとうに濡れているかのように聴こえてきます。
雨を歌った曲は抒情的な心に残る曲が多いですが、
この曲もこのバージョンをもって名曲の仲間入り。
オリジナルも素晴らしいのですがこの曲こそ楽器の音が少ない
このアレンジのほうが雨のしっとりとした感じが伝わってきます。
なおこのアルバムの記事はこちらへどうぞ。


Tr2:Faithless Love
 BLACK ROSE by J.D.Souther (1976)
ソロ2作目からの曲。
繊細だけどか細くない歌い方が高音を伸ばすところでしみてきます。
この曲も歌詞に"raindrop"と出てきますがJDに雨は似合いますね。


Tr3:You're Only Lonely
 YOU'RE ONLY LONELY by J.D.Souther (1979)
もはや僕が何かを言う必要もない名曲にして彼の代名詞。
JDは声が若いですね。
特にこの曲の例の「うぉおううぉおうお~おぅ」の部分で感じましたが、
何も知らない人にこれを聴かせるとせいぜい35歳くらいまでの人が
歌っているとしか思えないのではないかな。
JDは1945年生まれというから今年でもう66歳ですよ、ちょっと驚き。


Tr4:The Sad Cafe
 THE LONG RUN by Eagles (1979)
ここで初めて他人に提供・共作した曲が出てきました。
イーグルスの原曲はニューヨークの雰囲気を醸し出していますが、
生ギター中心のこのアレンジを聴くとそうかこの曲は元々は
アコースティックな響きが強く感じられる曲なのだなと再発見。
演奏が薄いので曲の変わり目の劇的な流れの変化を
ショッキングなほどまでに感じることができます。
なおイーグルスのこのアルバムの記事はこちらへどうぞ。


03 ミズキの葉をもう一度


Tr5:Silver Blue
 BLACK ROSE by J.D.Souther (1976)
このアルバムはほんとうに管楽器の使い方が上手くて、
どれも印象に残りつつ曲を盛り立てています。
これもやはりシンプルなアレンジがより映えますね。


Tr6:New Kid In Town
 HOTEL CALIFORNIA by Eagles (1976)
イーグルスのこの曲は、ビートルズとそのメンバーの曲を除いた
すべての洋楽の楽曲で僕がいちばん好きな曲なのです。
この曲だけで記事にしているのでご興味があればこちらへどうぞ。
その記事は僕が書いた中でも特に自分で気に入っているものです。
まあとにかくそれだけ思い入れが大きくて強くて深い曲ですが
ここでは長くて思わせぶりなメキシコ風の生ギターのイントロで
引っ張るだけ引っ張ってやや唐突に歌い始めます。
メキシコ風のアレンジは僕は「やっぱり」と思いました。
元々が西部劇をモチーフとした曲でありそういう響きが潜んでいそうな
曲だったのをイーグルスはむしろ都会的な響きに仕立てていたのかな
と今にして思いました。
ああこの曲はもっともっと語りたい(笑)。


Tr7:I'll Take Care Of You
 HOME BY DAWN by J.D.Souther (1984)
JDの繊細さと歌への気持ちが最大限詰め込まれた1曲。
80年代のヒットしなかったアルバムからの選曲ですが、
僕は買う前にこれがカバーアルバムだと知った時になんとなく
この曲は入ってそうだと思ったので余計にうれしかった。
オリジナルでは声がすっと高くなる部分をここでは歌メロを変えて
声を上げないで歌っているのですが、3番のその部分で初めて
オリジナル通りに声を高く歌ってくれてほっとしました(笑)。
ちょっとした仕掛けだけど効果的でうれしかった。


Tr8:Little Victories
 THE DISTANCE by Bob Seger & The Silver Bullet Band (1982)
この曲は知らなくて調べるとボブ・シーガーがオリジナルでした。
そのアルバムはちょうど僕が「ベスト・ヒットUSA」を見始めた頃に
ヒットしていて番組ではヒットした別の曲がそのアルバムジャケットを
バックに静止画像で流れていたのが懐かしい(笑)。
♪ When I look up, the sky is falling
と繊細な声で歌い始めるとほんとうに空を見上げてしまう。
聴いているとそれくらい気持ちが入ってゆきます。
でも、あのボブ・シーガーが歌ったこれはどんな感じなんだろう。
CD買って聴かなきゃ。


04 チシマアザミは太陽か雨粒か・・・


Tr9:Prisoner In Disguise
 PRISONER IN DISGUISE by Linda Ronstadt (1975)
西海岸の音楽を語る上では欠かせないリンダ・ロンシュタットの曲
として有名だけど僕はまだリンダのこれは聴いたことがありません。
そしてこの曲はJDがいたサウザー・ヒルマ・フューリー・バンドの
2枚目にも収められていてそれも1975年に出ているのですが、
どちらが先つまりオリジナルかが調べがつかなかったので、
リンダが有名だからリンダのものとして紹介しました。
この曲も間奏とそれに続くアルトサックスが素晴らしい。
やはりオリジナルが気になる、リンダのCDも買わなきゃ・・・


Tr10:Best Of My Love
 ON THE BORDER by Eagles (1974)
イーグルスが初めてビルボードNo.1を獲得した曲ですね。
考えてみればイーグルスはNo.1になった5曲のうち3曲は
JDが作曲に絡んでいるんですね。
この曲は歌って気持ちがいい曲として世の中でもトップクラスの
素晴らしく流れる歌メロが持ち味だから、そこだけに焦点を当てている
JDのこの演奏はまさにBestといえるかもしれない。
オリジナルでは生ギターの曲だけどJDのこちらはピアノ中心の
いわば大人の響きに仕上がっています。
♪ Every morning I wake up and worry,
  What's gonna happen today
このくだりはロックの歌詞の中でも僕が特に好きな一節ですが、
朝起きるということは生きていることを確認することなんだなって
毎朝目が覚める度に思います。
この曲は歌詞がほんとうに素晴らしくてロックの歌詞がほんとうに
好きになったのはこの曲に出会ったからかもしれません。
歌メロもほんとに素晴らしくて最初に聴いてもう涙が出てきました。
そして僕はやっぱりイーグルスの歌が大好きだと再確認しました。


Tr11:I'll Be Here At Closing Time
 IF THE WORLD WAS YOU by JD Souther (2008)
アルバムの最後はまさに最後にふさわしい曲。
今のところ最新のオリジナルアルバムからの曲。
正直いえば11曲は短すぎる、曲が足りない、もっと聴いていたい。
そう思わせたいのでしょうね(笑)。
この曲は微笑みながら歌っている姿が想像されます。
最後なのに明るいですね。
でもそれはまたその次が始まることへの期待感でしょう。
二匹目のドジョウを狙ってほしいけどJDはやらないかな・・・
ところでアーティスト名の表記が2008年のこのアルバムから
"JD"になっているつまり"."を省いているのを最新作を見て
初めて気づました。
JDと呼ばれることが当たり前になったのかな。




先日の遠征の際に車でよく聴いていたのですが、
そのうち2日は雨、雨の森の中の道を走りながら聴くと
このアルバムは自分の心にうんと近づいてきたと感じました。

このアルバムは「自然史」というタイトルがまた
「自然と音楽を愛する者」として特に引かれる部分ですね。
JDは音楽の歴史の中にぽつりぽつりと出てくる自らの曲を
化石になぞらえて進化の過程を探ろうとしたのかもしれない。
また、音楽は人間が作るものだけど音を感じて楽しむ行為は
自然の感覚に息づくものであり自然な行為であり、
そんな自然を展示する場所としてのアルバムという意味かな。
もうひとつJDは常に自然体でいられたという意味も。
ともあれこのタイトルを知ってJDにはぴったりと感じました。

だから冒頭CD写真はアンモナイトと一緒に撮りました(笑)。

そういえば思い出した。
シェリル・クロウのIf It Makes You Happyのビデオクリップは
シェリルが人間という展示物に扮して博物館で展示されて歌う
というモチーフですが撮影で使われたのはセットではなく
実在するコロラド自然史博物館であるということを知りました。
それを知ってそこは行ってみたい場所になりました。
でもだから僕は今このアルバムのタイトル文字を見るとシェリルの
その曲が頭の中に浮かんできてしまい少々困ってます(笑)。

なんて、ほんとに素晴らしいアルバム。

今年上半期ではいちばんのアルバムかな。

そして大晦日にも1位になっている予感が。

あまりにも素晴らしいので、この記事の最後は特別に
犬たち2頭によるCD紹介写真で終わらせていただきます。

05


  


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2014年06月01日

BORN AND RAISED ジョン・メイヤーの新譜

01


BORN AND RAISED John Mayer
ボーン・アンド・レイズド ジョン・メイヤー
 (2012)

ジョン・メイヤーの新譜が出ました。

僕の中では新しい人だけど、前作から大好きなアーティストの
ひとりに仲間入りした人だから、今回は独立した記事にしました。

前のアルバムBATTLE STUDIESの記事はこちらです。

そこでも書いたのですが、ジョン・メイヤーはクールさが持ち味で、
例えばクリームで有名なCrossroadsをやっても熱がこもっておらず、
昔の人が聴けばこんなんでいいのかと思うような軽い演奏を
さらりとクールに聴かせてしまう、そんな人です。

そんなジョン・メイヤー、今回はカントリー路線に打って出ました。
もっとも、正しくは、というか、あくまでも僕が感じた限りでいえば、
ピュアなカントリー風もあるけど、カントリー風のロック、もしくは、
曲はブルーズだけどジャンルはカントリーというカントリー・ブルーズ、
そんな路線でしょうか、とにかくカントリーっぽい音を聴かせてくれます。

これがいい、とってもいい!

僕はそもそもアメリカンロックが大好きな人間であり、
カントリー風味をまぶしたロックはいわば僕の真ん中だから、
このアルバムは最初からもう気持ちが入りまくっていました。

僕は、純然たるカントリーに分類されるアーティストも、一応だけど、
聴くのですが、でもやっぱり、ロック側に軸足がしっかりと残った上で
カントリーっぽい音を出す音楽こそが大好きであるのも再認識しました。
それは、多分、僕のデフォルトがビートルズだからでしょうね。
前に何かの記事でも書いたことですが、
「アメリカン・ロック」なるものを確立させたのは他でもないビートルズだ、
という主旨の本を書店で見かけてさらっと見たことがあって、
それはなんとなくそうじゃないかと前々から考えていたことだったので、
そうかやっぱり、と思ったものです、本は買わなかったけど・・・
まあ、「確立させた」は言い過ぎかもだけど、でも、カントリー音楽を、
アメリカ人ではない洗練された英国人の感覚でロックの中に入れ込んで
多くの人に聴かせたビートルズの功績は大きいのではないか、と。

あ、話が逸れましたね、そっちに行くのか、という方向に・・・(笑)・・・

ジョン・メイヤーはクールでと書きましたが、もうひとつの見方として、
このアルバムを聴きながらなんとなく思ったことを書きます。

ロックという音楽はブルーズの呪縛の中にあり、ロッカーたちは
ブルーズとの葛藤の中で自らを表現してきたという歴史があります。
ロックがブルーズを起源としている以上、それは仕方のないことだし、
それは演じ手のみならず聴き手側もそうであり、この僕自身もやはり、
これはブルーズっぽい、ブルーズを感じる、ブルージーだ、
などという表現を多投しながら記事を書いています。
それがうっとうしい人も結構いらっしゃるかもしれないと思いつつ、
僕自身は呪縛から解かれていないことを分かって書いています。

ジョン・メイヤーは1977年生まれ、僕より10歳年下ですが、
彼の年代は、ロックの歴史の中で初めて、
ブルーズの呪縛から解かれ始めた世代なのかもしれない。

ブルーズとはこうあるべきだ、ブルージーに演奏しなければいけない、
という考えは特になく、ただ自分が好きな音楽であるブルーズを、
自分なりにカッコよく演奏できればそれでいい、という考えがあり、
そんな皮膚感覚を持った人なんじゃないかな。

しかし、自分の気持ちを表すに及んで、歌でもギターでも、彼は彼なりに
ブルーな気持ちで歌って演奏しているのはよく伝わってきます。
ただ、それが、既成のブルーズの観念とは違うというだけの話でしょう。
いわば、ブルーズから距離を置いたところで自分らしさを発見し、
それを表現したところで結局はブルーズに近づいているかもしれない、
ということなのだと思います。
まあ、そういう人は彼が初めてじゃないでしょうけど。

もちろん、ブルーズの先達への尊敬の念は忘れていなくて、
ライヴではもっとブルーズっぽいことをやるのでしょうけど、
それはライヴであってレコードは別という意識かもしれないし、
それこそが自分の個性と認識しているのでしょう。

このアルバムに戻って、カントリーはブルーズほどの熱さはないので、
持ち味であるクールさがより素直に映し出されていると感じます。

写真02のブックレットの写真では、カントリー風に成りきっている
ジョン・メイヤーの姿を見ることができますが、でもその写真は、
前作の短髪でクールというイメージとは少し違って、
最初はなんだか意味もなくおかしかった。
微妙にジョニー・デップを意識しているようにも感じるし・・・
でも、もちろん、その気持ちは伝わってきます。

いいですよ。

バンドメンバーを紹介。
ジョン・メイヤー:歌、ギター、ハーモニカ、キーボード、パーカッション
アーロン・スターリング Aaron Sterling:ドラムス、パーカッション
ショーン・ハーリー Sean Hurley:ベース
チャック・リーヴェル Chuck Leavell:キーボード

曲はすべてジョン・メイヤーのペンによるものです。
(All songs written by John Mayer)


02 ブックレットの写真


Tr1:Queen Of California
1曲目からもう雰囲気どっぷり。
いきなり"Goodbye"と爽やかに歌うこの曲にはこんな歌詞が
"Looking for the sun that Neil Young hung
 After the Gold Rush of 1971"
もうなんだかうるうるしてきました(笑)。
さらに同じ部分の2番の歌詞はこうです。
"Joni wrote "Blue" in a house of the sea"
ジョニ・ミッチェルとニール・ヤング。
1曲目でこのアルバムの音楽世界を宣言しています。


Tr2:The Age Of Worry
ジョン・メイヤーは聴き始めてまだ浅いけど、この手の歌の旋律が
彼らしいといえるものなのだろうな、となんとなくつかめてきました。
ゆったりとしたワルツで基本的には音が上の方にありつつも、
ゆらゆらと気持ちよく流れていく、そんな歌。
またジョン・メイヤーの歌の基本には現代社会における不安があると
前のアルバムで感じたのですが、この曲も爽やかなようでいて、
どこか寂しいところにそれを感じます。
全体的に包み込まれるような音であるのも、抑圧的というか、
重たくはないけど何かが覆い被さっている、そんな気持ちになります。


Tr3:Shadow Days
サビで同じ抑揚で単語を次々と繰り出してゆくのが印象的で、
熱く訴えるのではなく静かに感情を重ねるのがまたクール。
それでも曲の最後のほうはじわじわと盛り上がります。
とってもいい雰囲気のペダルスティールは
グレッグ・リース Greg Leisz、他数曲にも参加しています。
そうそう、今回気づいたけど、僕はジョン・メイヤーの声も
実は結構、かなり好きかもしれない。
前作の記事では、そこそこかな、と書いていたけど(笑)。


Tr4:Speak For Me
速いアルペジオのカン・・・と、もう言わなくてもお分かりかと(笑)。
歌い出しが"Now the cover of Rolling Stone"、半自伝的な歌かな。
ひとり寂しくいるけれど今の自分の気持ちに合う音楽はないから、
誰かここに来て話しかけてほしい、という内容の曲だけど、でも
朝にはぴったりの爽やかな響き、でも途中のハミングはちょっと寂しげ。
"Some-one come speak (for) me"の部分で1音に対して1拍ずつ
区切って歌うのが印象的で、曲作り、フック作りが上手い人だなと。
そして僕はこんな感じでアコースティック・ギターを弾けるようになりたい。
といまだに思っている自分を発見して少しほっとしました(笑)。
言うだけではなくもっともっと練習しないと。


Tr5:Something Like Olivia
これはきっとスワンプ風なのだと思う。
僕はそちらはまだよく聴いていないのだけど・・・
つまり曲としてはソウルっぽいものも感じる。
でももちろんジョン・メイヤーはクールに歌う。
アメリカーナというべきかな、そんな1曲。
この曲のみジム・ケルトナー Jim Keltnerがドラムスだけど、
またいた、うれしい、まだ調べていないけどきっとうちにある中で
いちばん多くのCDに参加しているミュージシャンに違いない人。


Tr6:Born And Raised
そしてついにこの曲ではニール・ヤングが乗り移ってしまった!
もうそれに気づいた時に感動してうれしくなりました。
曲自体もいかにもニール・ヤングだし、ハーモニカの音色もそう。
もしこれをニール・ヤングが歌えば、知らない人であれば、
100%ニール・ヤングの曲だと思うに違いない。
おまけにこの曲は、手が込んでいるというか、コーラスにはなんと
デヴィッド・クロスビーグレアム・ナッシュが参加しているのです。
その通り、コーラスはまごうことなきデヴィッド&グレアム。
こんな曲が作れてしまうジョン・メイヤー、そして大胆にもこんな曲を
やってしまうジョン・メイヤーにはもう脱帽するしかないですね。
ほんとうに心の底からうれしくなる1曲に出会えました。


03 ある風景


Tr7:If I Ever Get Around To Living
ファルセットにはならないけど高音でのびやかに揺らぐように歌うのは
ブルーグラス風の高音のギターと呼応しているようできれいな響き。
そしてこの高音がますますクールに感じるところ。


Tr8:Love Is A Verb
「愛は棘」。
これは音楽スタイルとしてはピュアなカントリーだけど、
そこに行き切っていないところが僕の側の世界、かな(笑)。
そうですね、カントリーに分類される人のCDを聴いていると、
よその家にお邪魔したみたいな感覚がまだ僕の中にはあるんです。
これはきっとカントリー系の人がカヴァーすると映えるでしょうね。


Tr9:Walt Grace's Submarine Test, January 1967
クリス・ボッティ Chris Bottiのトランペットから入って
ちょっとジャズっぽいのかなと思わせておいてから、軽やかに
ギターとマーチングドラムが入る、やっぱり静かなカントリー風。
この曲はいろいろ思うところがあって、まずはタイトル、
ある男のちょっとした物語を回想したものだけど、"Submarine"
という単語が入っている時点で、普通のロック聴きであれば、
嫌が上にも思い出すことがありますよね(笑)。
ウォルト・グレイスという人物は「イエロー・サブマリン号」の
乗組員だったのかな、と、勝手な妄想が広がります。
しかも1967年というのが、ビートルズがYellow Submarineを
発表した翌年というのも、偶然とは思えない。
そして歌詞にはこんなくだりも出てきます。
"The operator connected the call from Tokyo"
日本人である以上は、どうしたって反応してしまう。
ジョン・メイヤーは日本で生活していたことがあったということを、
前作の記事を書いた後で知ったのですが、だから彼は昨年の
東日本大震災のチャリティ・アルバムにも曲を提供したのでしょう。
そして新作では分かりやすい部分に「東京」と入れたのは、
今でも日本を気遣ってくれていることのメッセージとして受け取れ、
その優しさに感動し、ますますジョン・メイヤーが好きになりました。


Tr10:Whiskey, Whiskey, Whiskey
あらま、酔いつぶれちゃったんだね・・・(笑)、サビはこうだから。
"Whiskey, whiskey, whiskey, water, water, wataer
  and sleep"
もうイントロのハーモニカからして酔ってますから(笑)。
もちろん曲全体ももったりとしてなかなか前に進めない感じ。
やっぱりロックと酒は切っても切れないもののようで、その点でも
彼がロックの継承者であることが分かってほっとします。
ただ、僕自身の生活ではロックと酒は切り離されているのですが・・・
でもそういう雰囲気の曲はそれはそれで好きですよ、ほんとに。
まあそれはともかく、この"Whiskey"は"e"が入っているので、
アメリカかアイルランドのウィスキーであってスコッチではない。
何を飲んだのかな、そんなにまで、フォア・ローゼズかな、JDかな、
それともワイルド・ターキー・・・
世の中のお酒が大好きな人の新たなアンセムとなり得るか。
でも、こんな楽しい曲を聴かせてくれるのもうれしいですね。
インパクトという点ではこのアルバムでいちばんかもしれない曲。


Tr11:A Face To Call Home
このゆらゆら感、広がり感がジョン・メイヤー。
僕は建築家だけどと歌い出すこの曲もやはり空虚な心を
歌っていて、でも自己憐憫にはならずに淡々とその時の気持ちを
歌ってゆく姿には、よくそこまで冷静でいられるなと思ってしまう。
誰かに頼りたいのか、女性に寄り添っていて欲しいのか、
そうしてはいけないと感じる部分があるのか、どっちかにして、
と言いたくもなるけど(笑)、そこがリアリティを感じる部分でもあります。
そんな彼にそっと寄り添うような優しい女性ヴォーカルとヴァイオリンは
セイラ・ワトキンス Sara Watlinsが務めています。


Tr12:Born And Raised (Reprise)
リプライスまで入っているのがうれしいですね。
しかもいかにも最後の曲という楽しげなブルーグラス風の響きの曲で、
ああ、この人はロックを継承してくれるんだなあ、と。
大げさかもだけど、ロックは死なないことを実感しました。
ところでこのアルバムは、リリース情報に接した時点で、タイトルから
カヴァーアルバムなのかと勘違いしちょっと心配になりました。
近年はポール・マッカートニーまでもがそうしたように、
大物アーティストのカヴァーアルバムが流行っているからだけど、
でも冷静に考えると、ジョン・メイヤーはまだまだそこまで趣味に
走るほどの年でもない、むしろ若者だからそんなことをするはずがない。
すべて自作の新曲というのは、ソングライターとしての自信のほども
うかがえ、それがまたこのアルバムの魅力ともいえるでしょう。
ただ、ジョン・メイヤーのカヴァーアルバムというのも、それはそれで
聴いてみたくはありますね、どんな人かをより強く感じられるだろうし。


 

リンクは左が国内盤、右が海外盤。
国内盤はボーナストラック1曲収録、でも僕が買ったのは海外盤。
気に入ったので国内盤を買い直すかな、いや、待てよ。

ジョン・メイヤーは日本が好きと書きましたが、新譜が出たということは、
来日公演も近いうちに行われると考えるのが自然ですよね。

このアルバムを聴いて、ジョン・メイヤーは、まだ決まっていない中では、
今いちばんコンサートに行きたいアーティストになりました。

来日するのであれば、レニー・クラヴィッツもそうだったように
来日記念盤が出ることも予想され、だからそれを買い直すかな。

札幌には来ないだろうなあ・・・
でもコンサートで東京に行くのはもはや僕の楽しみの一つだから、

もしかして、"Tokyo"とわざわざ歌詞に入れたのは、もうひとつ、
もうすぐ行くからね、というメッセージかもしれない(笑)。

ここはひとつ、来日を楽しみに待ちたいと思います。

その前に、ほんとうに僕の心の中に入り込んでくる曲ばかりで、
正直いえば、これだけいい曲を書ける人なんだと驚いた、
もちろんうれしい驚き、そういう感想を抱きました。

あらゆる意味でうれしくなる1枚ですね。

そうそう、もうひとつ大事なこと、この手の音楽は
北海道を車で走るとほんとうによく合いますね。
03や次の04のような、特に朝にはいいな。

そうか、だから僕はカントリー風味のロックが好きなのか(笑)。

04


  


Posted by guitarbird at 20:54ロックC-J

2014年05月20日

PIECES OF YOU 「心のかけら」 ジュエル

※guitarbirdはただいま遠征中です。
お返事が遅くなることがあります。
予めご了承ください。

※いつものように
写真へのコメントも大歓迎です


アルバム記事をひとつ仕込んで出発しました。
来月に新譜が出る人のデビューアルバムを。

前回の遠征の帰り、ABBEY ROADの後に聴きました。

01


PIECES OF YOU Jewel released in 1994
心のかけら ジュエル

大好きなジュエルの新譜が6月に出ます。
彼女のアルバムは、僕がBLOGを始めてから1枚出て、
記事でも紹介していますが、過去のアルバムについては、
追々紹介するといいつつ、まだでした。
そこで、新譜を前にして、やっぱりデビューアルバムを
今回は紹介することにしました。

ジュエルは、本名Jewel Kilcher ジュエル・キルヒャー、
1974年5月24日アラスカ生まれ。
苗字も顔立ちも、いかにもドイツ系。
そうか、誕生日がもうすぐだ、ということを、
記事を書くに際して、ワーナーのHPで調べて知りました。
本名とアラスカ生まれということは知っていました。
細かいバイオグラフィーなどは、そちらのHPをご覧ください。
http://wmg.jp/artist/jewel/

僕が知っている限り、アラスカ出身の有名人というのは、
彼女と、少し前に活躍したNFLのさる選手しかいません。
あとは「新スタートレック」のライカー副長くらい(笑)。

アラスカ出身ということが、果たしてどれだけ彼女の音楽に
反映され、影響しているのか・・・
と考えてみて、実は僕は、彼女のCDを聴く時には、
彼女がアラスカ出身であることを意識しないことはないので、
僕の感じはまったくアテにならないことに気づきました。
影響、あるような、ないような・・・
難しいですが、完全な都会的な雰囲気ではない、
ということだけはいえる、かな。
アラスカであるかどうかというよりも、感受性の鋭さは、
育った環境からの影響があるのかもしれません。
もっともそれは彼女に限ったことではないですが。

彼女の魅力はなといっても、
「エンジェル・ヴォイス」、「レインボー・ヴォイス」
基本的にはややハスキーな甘い声で聴く者を魅了します。
はい、僕は魅了されました(笑)。
いろいろな声を出して表情豊かに聞かせるのも特徴です。
時には、もうすっかり死語ですが(笑)「ぶりっ子声」、
時には情け容赦ない厳しい声、時には裏返った声、
そして時には声楽家のようなほんとに美しい声。
それらの声を、曲によって、または同じ曲でも展開によって
使い分けているのが、ヴォーカルを聴く楽しさのひとつでもあります。

02 ヨーロッパトウヒの「赤い花」


音楽的には、
フォークを基調としたポップス、というのは今の路線ですが、
このデビューアルバムは、ほぼ完全なフォークです。
要はギター1本による弾き語りのスタイル。

弾き語りであり、デビューアルバムでもあるせいか、
このアルバムは、かなり自伝的な内容になっているらしいです。
ということはもちろん何年かして他の媒体を介して知ったのですが、
最初に聴いた時から、それは感じていました。
まあ、フォークという音楽、そしてシンガーソングライター自体が、
大なり小なりそういうものだとは思いますが、このアルバムは
そういうフォークの土台の上にしっかりと立っている、
ということだけは、さっと聴くだけで感じ取れると思います。

フォーク弾き語りというスタイルであるため、アレンジよりも
歌詞と曲そのものの比重が高くなるのは当たり前のことですが、
このアルバムの曲はかなりの高水準で、
いい旋律の曲がずらりと並んでおり、
90年代でも屈指の出来と断言していいものです。
アコースティックギター弾き語りが好きで、
この人の声が好きであれば、きっと満足いくに違いありません。

あ、顔が好きというのももちろんOKですよ(笑)。
ちなみに僕は、決して顔から入ったわけではないのですが・・・

03 タチツボスミレ



Tr1:Who Will Save Your Soul
緊迫感溢れるイントロからスタート。
これはソリッドで攻めてくる感じがするかっこいい曲ですね。
音的に無駄な贅肉はそぎ落とされていることもあって、
この鋭さ、強さは特筆もの。
タイトルのせいかどうか、ソウルっぽい雰囲気の曲ですが、
歌い方はまるでソウルを意識していないのが彼女らしいところ。
まさに魂に響いてくる、名曲といっていい曲。


Tr2:Pieces Of You
彼女の人間観察の鋭さを示す曲。
「彼女は醜い・・・だけどそれもあなたの一部」
と、次々と事例を挙げて、人間はみなそういうものだと訴える。
たおやかなバラード調のソフトな曲なだけに、
メッセージの重たさをより強く感じます。
ただ、車で聴いていると、1曲目はむしろ合う雰囲気だけど、
ここからいっきに車には合わない感じになってきます。
フォーク弾き語りだけに、仕方がないことでしょう。
ライヴ録音で拍手が最後に入っています。


Tr3:Little Sister
急いて歌うのが印象的なアップテンポの曲。
Knock, knock, knockingと歌う部分は、
ディランのかの名曲を彷彿とさせるもので、
彼女がアメリカのフォークの流れの中にいることを、
聴き手に強く意識させます。
同じくライヴ録音。


Tr4:Foolish Games
これはTr10とのカップリングでシングルカットされ、
両方でおよそ1年の長きに渡ってチャートインしていました。
この曲、シングルではキィも違う、まったくの別バージンに
差し替えられていますが、こちらはオリジナルバージョン。
哀愁漂う、劇的な、透明感ある、神秘的な響きの曲ですが、
この手の曲にありがちな「アイリッシュ」「ケルト」香が、
あまり感じられず、むしろ北欧的感じがします。
ビデオクリップの彼女も、まるで妖精のような雰囲気。
これは稀代の名曲。


04 ヌルデの赤い新葉



Tr5:Near You Always
青春ドラマ風の切ない曲を、戸惑った、ためらったように歌う。
それもそのはず、好きな人に対して強がりをいいつつ、
ほんとは好きなのよ・・・と。
それにしても、ここまで素直じゃないというのはなんだか・・・
ま、いっか(笑)。
そこが逆に人間心理の、そして曲の面白い部分ではあります。


Tr6:Painters
延々と語り続けるような、まさに弾き語り。
といいながら実はストリングスが薄く入っています。
曲の抑揚があまりなく、気持ちは表れているんだけど、
正直、僕には、この中ではいちばん印象が薄い曲かなぁ・・・


Tr7:Morning Song
朝のけだるい雰囲気が漂う軽い感じの曲。
明るいようで切ない歌メロは素晴らしく、かつ展開がうまい曲。
だけど、かわいらしい声でずっと歌ってきてから、
力強く「ベッドに戻ろうよ!」と歌うのは・・・
聴いていてちょっと気恥ずかしくなる歌、かな。
特に旋律が、印象には残りやすい佳曲ではあります。


Tr8:Adrian
ひとつの物語をゆったりと、切々と語りかける。
「フォークシンガー」ジュエルの真骨頂。
閉じこもっているエイドリアンを助けたい、という歌のようで、
Adrian come out and playという歌詞が胸にぐっと迫ります。
この曲は旋律もメリハリがあって親しみやすいです。
なお、これとTr10のみ、ジュエルと他のミュージシャンの共作。


Tr9:I'm Sensitive
跳ねるようなギターの演奏が印象的。
途中、微妙にテンポが変わるのが、揺れる心を表すかのよう。
ジュエルのギターテクニックは、あくまでも伴奏というものですが、
この辺のギターでの聞かせかたも味があります。
この中ではいちばんかわいい感じがする曲ですかね。


05 イヌエンジュの新葉は面白いかたち



Tr10:You Were Meant For Me
この曲は、こちらのバラードの記事をご参照ください。
ここで紹介する日本盤そして現行EU盤には、
シングルバージョンが収録されていますが、
アルバム通して聴くと、この曲だけ音質と声質が違うのが
はっきりと分かり、違和感がないでもないです。
90年代でも五指に入る好きな曲。
50年後にも歌われていること間違いなしの超名曲!

それにしても、「even after you're gone」という歌詞の
goneの部分の歌い方が、声が、もう最高に好きで、
そこだけ繰り返しずっと聴いていたい気分の時があるほど。


Tr11:Don't
前の曲で盛り上がった反動の、とても静かな曲。
さらっと歌い、盛り上がりもないままに次の曲へ。


Tr12:Daddy
続いて同じような感じの静かな曲。
なんとなく、「北の国から」の挿入歌のような雰囲気も。
こちらもライヴ録音。


Tr13:Angel Standing By
小さい頃から音楽に囲まれて育った彼女。
これはまるで賛美歌のような美しさ。
そしてそれを歌うのは、透明感あふれる
まさに「エンジェル・ヴォイス」。
フォークの域を少し脱した、音楽性の広さを感じます。


Tr14:Amen
最後は、祈りを捧げるような神々しさがある曲。
或いは、世の中を憂うような深刻な響きの曲。
考えてみれば、「ベッドに戻ろう」という曲があるかと思えば、
こんな曲もあるというのが、一貫性がないというよりは、
その時の気持ちを素直に歌っている、と、とりたいですね。
思いの大きさに耐えられないかのごとく、
消え入るように曲が、アルバム本編が終わります。


06 かわいいコサメビタキ! (この写真のみトリミングしています)



ここから国内盤ボーナストラック

Tr15:Emily
映画「クロッシング・ガード」に提供した小品。
さびの部分はいい盛り上がりを見せます。
ちなみにその映画は俳優のショーン・ペンが監督で、
ペンはTr10のビデオクリップの監督もしていて、
その関係もあるのでしょう。
というか、当時付き合っていたという噂もあるのですが・・・


Tr16:Foolish Games (Edit)
そしてTr3のシングルバージョン。
この曲は同じ曲のヴォーカル違いが両方入っているので、
「私小説的な歌い方」と「ポップソング的な歌い方」の違いが、
はっきりと分かります。


余談。
ジュエルは、Heartをはじめとして、smartなど
「アー」という発音の後にtがつく言葉を歌う時、
その音が長音だと、「アーィト」と「ィ」が入るのが特徴です。

なんでそうなるんだろうと思い自分で歌って試してみると、
「アー」と発音している時に舌の奥で喉を狭くすると、
そういう音が出ることが分かり、納得。



国内盤とEU盤はこちらのジャケットで、
Tr10が新バージョンに指し替わっていますが
冒頭でアイーダが紹介してるもう1つのジャケットは
US盤及びカナダ盤で、Tr10は差し替わっておらず、
Foolish Gameの新バージョンも入っていません。

正直いうと、このアルバム、車には合いません。
新得からの遠征の帰りに、記事にするため聴きましたが、
曲調も大人しすぎるし、基本的には弾き語りなので、
音量が小さいのも合わない部分です。
ましてや、直前に聴いていたのが、やはり記事にした
ABBEY ROADで、十勝に合うなと思っていただけに・・・

もちろん家でじっくり聴きたいというアルバムではありますが、
落ち込んでいる時、なにか物事がうまくいかない時に、
心に寄り添い、なぐさめてくれる、そんなアルバムです。

ただ、彼女のアルバムがすべてそうかというと、そうでもなく、
ここから変わってゆき、4枚目(クリスマスアルバムを除く)になると、
え、なんでこんなに・・・というくらいにジュエルは変わりました。
しかし、「フォークシンガー」の根底の部分は
今でももちろん消えることはありません。
このアルバムは、新しいジュエルのアルバムが出る度に、
必ず聴き、原点を確認するために、数回繰り返し聴いています。

07 ツツジもあった


今回の写真は、
A公園で見つけた「小さな宝石たち」です。
といって、撮ってからもう1週間以上が経っていて、
もはや、少し季節に置いていかれた、という感じもしています。
春は早足ですね。


  


Posted by guitarbird at 22:29ロックC-J