2016年09月23日
AUGUST エリック・クラプトン
01
◎AUGUST
▼オーガスト
☆Eric Clapton
★エリック・クラプトン
released in 1986
今日は洋楽アルバムの話。
最近なぜか久し振りによく聴いているのがこのアルバム。
しかも「オーガスト」なのに9月に入ってから引っ張り出してきました。
なぜかって? 分かりません(笑)。
ほんとうにただただなんとなく聴きたくなって。
このアルバムは僕が初めてリアルタイムで出て買った
エリック・クラプトンのアルバムでありCDで思い入れがあります。
ほんとうに最初に買ったのはポリドール時代のベスト盤
TIME PIECESのCDで、僕は実はエリック・クラプトンのLPは
1枚も持っていません。
僕が中学生の頃エリック・クラプトンは人気が落ちていて、
歴史の中の人になりかけていました。
僕が初めてリアルタイムで聴いたエリックの新曲は、この2枚前の
アルバムMONEY AND CIGARETTESからの曲
I've Got A Rock 'N Roll HeartでFMで聴いたものですが、
そのあまりの緩さに若くて生意気なロック野郎だった僕は
「どこがロックンロールなんだ???」と。
話はさらに遡り、僕が初めて聴いたエリックの曲は、
さらにその前のANOTHER TICKETの表題曲で、
やはりFMラジオでエアチェックしたものでした。
これもまた緩いも緩い曲ですよね。
あのWhile My Guitar Gently Weepsの人がこれなのかと、
ある意味ショックを受けた記憶があります。
「レイドバック」、ですか、1970年代のエリックの音楽が
そう呼ばれていることは後で知ったのですが、この2曲は
まだそれを引きずっていますね。
「マネシガ」の次のアルバムBEHIND THE SUNは
フィル・コリンズをプロデュースに迎えて心機一転、
しかしフィルが空回りしていると評価はよくありませんでした。
人気絶頂だったフィル・コリンズが調子に乗って
御大エリック・クラプトンをダシにやりたいことをやった、等・・・
ただ、僕がエリックでいちばん好きな曲はそこからの
Forever Manであり、今はそのアルバムは大好きなので、
ここではもうこれ以上触れないことにします。
さて本題AUGUST。
このアルバムは前作同様フィル・コリンズがプロデュースしていますが、
一転して評価や人気が高かったと記憶しています。
しかし、どこがどう評価が高かったのか、覚えていません。
当時はまだ「FMファン」を購読し「ロッキング・オン」を
読み始めた頃でしたが、このアルバムの評は記憶にない。
でも、確かにいいと言われていました。
ただ、補足ですが、今Wikipediaで調べると、
チャート的にはこのアルバムはビルボード誌最高37位、前作34位、
その前が16位と、Warner移籍以降の3枚では最低。
ゴールドディスクは獲得している、といったところ。
でもチャートは若者中心に回っているものだから、
内容の充実度とは必ずしも関係はないのでしょうけど。
そんなAUGUST。
今回、30年目にして(!)ようやく何がいいか分かりました。
簡単にいうと「レイドバックしていない」
力強い、あまりにも力強いエリック・クラプトンがそこにいる。
サウンド的にも緩さがなく、ギターを中心としたすべての楽器が
パワフルに鳴り響きぐんぐん前に出てきている。
ブルージーなロック、エリックの本領発揮。
前作でそうなりかけていたのをフィルが空回りさせてしまった。
それがあってこのパワフルさにたどり着いたのではないか。
実際、このアルバムのサウンドは音が割れ気味であって、
これは意図したものではないかな。
かといって「がさつ」ではなくちゃんと整理されている。
フィル・コリンズやればできるじゃん、という思いも当時あったのかも。
これ、僕が初めてリアルタイムで買って聴いたアルバムと書きましたが、
でも出てすぐに買ったわけではない、1年近く経って買いました。
1986年は僕はまだLPを聴いていてCDではなかったこと、
BEHIND...はLP買おうか迷って買わなかったのですが、僕は
当時まだエリック・クラプトンをソロアーティストとして信頼しておらず、
果たして買っていいと思えるかどうか自信がなかったこと、など。
もうひとつ、1曲目が映画『ハスラー2』のテーマ曲に使われ、
僕は当時映画に凝っていてそれも映画館で観てサントラのLPを
買っていたのでアルバムは要らないかな、と思ったものありました。
しかも、アルバムのCDを買ったのも実はセールで安かったのを
見つけて買っただけ、というくらいのものでした。
だから気持ちが入っていなかったのか、当時は
いいと言われている割には「普通だな」と思いましたが、
それはきっと「レイドバック」問題が分からなかったからもあるし、
やはりまだエリックを信頼していなかったからでしょう。
僕がエリック・クラプトンを本気で聴くようになったのは、
この次のJOURNEYMANからで、それは今でも
僕がいちばん好きなエリックのアルバムでもあります。
ただ、AUGUSTはその後もしばしば聴きたくなってその度に
棚から引っ張り出しと、3年周期くらいで繰り返してきました。
でもやっぱり、今回ほどまでにいいと思うことはなかった。
その間にリマスター盤が出た時はチャンスだったのですが、
そこはなんとなく「お仕事」的に買うだけで通り過ぎました。
02 エゾノコンギク、少々イメージ違うかも・・・
1曲目:It's In The Way That You Use It
(Eric Clapton, Robbie Robertson)
映画『ハスラー2』のテーマ曲。
ロビー・ロバートソンと共作で当時はそれもMTV番組などで
話題になっていた記憶がありますが、僕は当時まだ
ロビー・ロバートソンをよく知らず、へえそうなの、で終わりました。
いきなり唸りながら歌い出すこの曲、映画のテーマ曲として
かなり変わった曲だなと当時思いました。
サビが先ではあるものの作りとしてはA-Bの単純な曲ですが、
変わっている、凝っていると感じさせるのは芸なのでしょうね。
そして何よりエリックの唸りヴォーカルが1曲目から全開。
このアルバムの大きな魅力のひとつはエリックの声であって、
エリック自身もだいぶ声に自信を持ってきたのではないかと。
歌の後に入るネイザン・イーストのベースがまたいい。
2曲目:Run
(Lamont Dozier)
ファンクっぽいイントロのギターに続いて
マスル・ショールズ風のサウンドが展開される。
割と軽い曲なのにエリックのヴォーカルがそうはさせじと
張り切っていて、重みや深みがある仕上がりになっています。
ラモント・ドジャーといえばモータウンのソングライティングチーム、
ホランドードジャー・ホランソのひとりとしてモータウンを支えた人で、
後にソロのソングライターとしても活躍した、とのこと。
3曲目:Tearing Us Apart with Tina Turner
(Clapton, Greg Phillinganes)
歌い出しのエリックの声の軋みようといったら!
これは男でも惚れますねぇ(笑)、少なくとも真似はする。
デュエットがティナ・ターナーだから余計に張り切っているのかな。
でもそれがエリックの新しい面を開き自信をつけたのだから、
このデュエットは大成功といえるのでは。
曲ではサビに入る前のコードチェンジがぞくぞくっときてしまう。
バンドメンバーのグレッグ・フィリンゲンズとの共作ですが
オリジナル曲でも勝負に出てきたと感じるものがありますね。
ここで1曲
☆
Tearing Us Apart
Eric Clapton with Tina Turner
1990年の英国「プリンス・トラスト・コンサート」からのもののようで、
レコードでもデュエットしているティナ・ターナーをはじめ、
フィル・コリンズやマーク・ノップラーも参加した演奏です。
4曲目:Bad Influence
(Robert Cray, Michael Vannice)
ごめんなさい!
実は今回聴くまでこれがロバート・クレイの曲とは知らなかった。
シャッフルする軽やかな曲でもやっぱりエリックは時折唸る。
そうですね、ブルーズと完全に離れたブルーズロックになった、
という意味があるのかもしれない、このアルバムには。
ところでロバート・クレイといえば今でも後悔していることが。
このアルバムの後、1987年、僕が東京に出た年に、
エリック・クラプトンとロバート・クレイのコンサートがありましたが、
僕は行こうか迷って行かなかった。
理由は、洋楽のコンサートにひとりで行ったことがなかった、
というのだから僕も小心者ですねぇ(笑)。
まあ、後悔してもしょうがないのですが、そんなこと思い出しました。
5曲目:Walk Away
(Richard Feldman, Marcella Detroit)
作曲者のひとりマルセラ・デトロイトは1970年代に
マーシー・レヴィの名でエリックのバンドにいた人。
90年代になってソロアルバムを出し、MTVでよくかかっていましたが、
そのようなキャリアなので注目されていました。
曲はアルバムの中では穏やかな方かな、でも力強さは失わない。
6曲目:Hung Up On Your Love
(Lamont Dozier)
イントロのベースとキーボードのフレーズが印象的で
ついついそこから口ずさんでしまう。
バックでずっと鳴っているキーボードがいかにも80年代だけど、
このアルバムは今となっては80年代的要素がいい方に出ている、
と感じますね、臭くないから。
しかしサビの"Oh no, not again"と歌うところがもっと印象的。
というのもこれ、ロッド・スチュワートのInfatuationのサビに似ている。
ただこの曲の経緯の調べがつかなかったので、曲自体は
どっちが先か分からないけれど、エリックのこれはロッドより後で、
もしかしてエリックもロッドのあの歌い方が気に入って、
やってみようか、と思ったのかもしれない。
03 8月の風景も1枚
7曲目:Take A Chance
(Eric Clapton, Nathan East, Greg Phillinganes)
エリックとネイザンそれにグレッグ共作のオリジナル曲。
彼らがどんな音楽が好きかがよく分かる、ホーンが軽やかに鳴る、
ソウルとブルーズとR&Bの真ん中辺りのポップな曲。
このアルバムはリズムセクションの強さも一貫していますね。
8曲目:Hold On (Eric Clapton, Phil Collins)
作曲者だからかイントロでフィル・コリンズのドラムスが主張している。
僕はドラムスはまったく分からないのですが、フィル上手いですよね。
フィルが絡んだ曲だと知って聴くと、ヴォーカル以外のサウンドは
この頃のジェネシスに近いようにも感じられます。
特にギターのバッキングが。
穏やかな曲だけどエリックはそこを敢えて穏やかさを抑えようとして
歌っているようにも感じられる、これはエリックの意志なのかな。
"Please give me one more chance"と歌ってはいるものの、
懇願するような弱さがない、自然の成り行き、そんなところかな。
9曲目:Miss You
(Eric Clapton, Bobby Columby, Greg Phillinganes)
イントロの大きな鏡が崩れるような、或いはサスペンス調の
大仰なサウンドは迫力がありますね。
よぉ~く聴くとリズムはレゲエだったり、凝った曲ですね。
恋人がいなくて寂しいのにやはり唸っている。
弱みは見せたくない、でもだから余計に喪失感が伝わってくる。
ギターソロも同じように唸っている。
10曲目:Holy Mother
(Stephen Bishop, Clapton)
このアルバムを3年周期くらいで聴きたいと思い続けてきたのは、
ひとえにこの曲があるから。
スティーヴン・ビショップとエリックの共作ですが、
スティーヴン・ビショップはほんとうに名前を知っているだけで
音楽は聴いたことがなく、何かを話せないのが申し訳ない。
でもこの曲は大好き、エリックのリアルタイムで出た曲の中では
Top5に入るかも、というくらいに。
ゴスペル風のゆったりとした曲、もうこれだけで僕はやられる。
タイトルからそのことは想像できるのですが、実際に聴くと、
時間も空間もすべてが包み込まれるような広がりを感じます。
11曲目:Behind The Mask
(Chris Mosdell, Ryuichi Sakamoto)
このアルバムが当時話題になったもうひとつの理由がこれ、
イエロー・マジック・オーケストラの曲をカヴァーしたから。
この曲だけWikipediaでちょっと調べたのですが、
元々のYMOの曲にマイケル・ジャクソンが歌詞と歌メロで手を加え、
エリックはそれをカヴァーしたとのことで、それも知らなかった。
YMOのオリジナルもマイケルのも知らないのですが、
イントロのキーボードなどはYMOなのかなと思わなくもない。
壁が目の前で崩れ落ちていくようなサウンドに
エリックの唸りヴォーカルは映えますね、リアルに響いてくる。
"Who do you love ?"というサビの歌メロは耳に着いて離れない。
音声処理された女声コーラスとのかけあいも不自然には聴こえない。
方向性が固まっていると何をやっても上手く回る。
それがこのアルバムから得られる教訓のようなものでしょう。
12曲目:Grand Illusion
(Bob Farrell, Dave Robbins, Wesly Stephenson)
今回この曲の素晴らしさに気づきました。
それまではアルバムの最後の曲にしては終わる感覚がなくて、
少々締まりがないかなと思い逆に印象に残っていたのですが、
そこからようやく曲自体の魅力にまでたどり着きました。
苦悩の果てにたどり着いたのが「大いなる幻想」。
幻想だから終わらなくてもいいんだ。
サビの女声コーラスがエリックのすべてを受け入れて、
この世のものともあの世ともつかない広い世界を見せてくれる。
Bメロに入るところのカウンターのギターがいい。
でも、もしかしてこのタイトルの意味は「大いなる勘違い」なのかな?
男としての勘違い・・・
いや、ここは苦悩の果ての幻想ととりたいですね。
ようやく心からいいアルバムと言えるようになりました。
そういうアルバムは今後も多く出てくるに違いない。
持っているCDでもそんな「出会い」があるかと思うと、
音楽ってほんとうに楽しいですね。
さて。
ここまで記事を書いてきて、やっぱり、今回どうして
このアルバムを無性に聴きたくなったのか、きっかけが思い出せない。
まあでも、そういう楽しみもあっていいのでしょうね。
最後は3日前の3ショットにて。
04
◎AUGUST
▼オーガスト
☆Eric Clapton
★エリック・クラプトン
released in 1986
今日は洋楽アルバムの話。
最近なぜか久し振りによく聴いているのがこのアルバム。
しかも「オーガスト」なのに9月に入ってから引っ張り出してきました。
なぜかって? 分かりません(笑)。
ほんとうにただただなんとなく聴きたくなって。
このアルバムは僕が初めてリアルタイムで出て買った
エリック・クラプトンのアルバムでありCDで思い入れがあります。
ほんとうに最初に買ったのはポリドール時代のベスト盤
TIME PIECESのCDで、僕は実はエリック・クラプトンのLPは
1枚も持っていません。
僕が中学生の頃エリック・クラプトンは人気が落ちていて、
歴史の中の人になりかけていました。
僕が初めてリアルタイムで聴いたエリックの新曲は、この2枚前の
アルバムMONEY AND CIGARETTESからの曲
I've Got A Rock 'N Roll HeartでFMで聴いたものですが、
そのあまりの緩さに若くて生意気なロック野郎だった僕は
「どこがロックンロールなんだ???」と。
話はさらに遡り、僕が初めて聴いたエリックの曲は、
さらにその前のANOTHER TICKETの表題曲で、
やはりFMラジオでエアチェックしたものでした。
これもまた緩いも緩い曲ですよね。
あのWhile My Guitar Gently Weepsの人がこれなのかと、
ある意味ショックを受けた記憶があります。
「レイドバック」、ですか、1970年代のエリックの音楽が
そう呼ばれていることは後で知ったのですが、この2曲は
まだそれを引きずっていますね。
「マネシガ」の次のアルバムBEHIND THE SUNは
フィル・コリンズをプロデュースに迎えて心機一転、
しかしフィルが空回りしていると評価はよくありませんでした。
人気絶頂だったフィル・コリンズが調子に乗って
御大エリック・クラプトンをダシにやりたいことをやった、等・・・
ただ、僕がエリックでいちばん好きな曲はそこからの
Forever Manであり、今はそのアルバムは大好きなので、
ここではもうこれ以上触れないことにします。
さて本題AUGUST。
このアルバムは前作同様フィル・コリンズがプロデュースしていますが、
一転して評価や人気が高かったと記憶しています。
しかし、どこがどう評価が高かったのか、覚えていません。
当時はまだ「FMファン」を購読し「ロッキング・オン」を
読み始めた頃でしたが、このアルバムの評は記憶にない。
でも、確かにいいと言われていました。
ただ、補足ですが、今Wikipediaで調べると、
チャート的にはこのアルバムはビルボード誌最高37位、前作34位、
その前が16位と、Warner移籍以降の3枚では最低。
ゴールドディスクは獲得している、といったところ。
でもチャートは若者中心に回っているものだから、
内容の充実度とは必ずしも関係はないのでしょうけど。
そんなAUGUST。
今回、30年目にして(!)ようやく何がいいか分かりました。
簡単にいうと「レイドバックしていない」
力強い、あまりにも力強いエリック・クラプトンがそこにいる。
サウンド的にも緩さがなく、ギターを中心としたすべての楽器が
パワフルに鳴り響きぐんぐん前に出てきている。
ブルージーなロック、エリックの本領発揮。
前作でそうなりかけていたのをフィルが空回りさせてしまった。
それがあってこのパワフルさにたどり着いたのではないか。
実際、このアルバムのサウンドは音が割れ気味であって、
これは意図したものではないかな。
かといって「がさつ」ではなくちゃんと整理されている。
フィル・コリンズやればできるじゃん、という思いも当時あったのかも。
これ、僕が初めてリアルタイムで買って聴いたアルバムと書きましたが、
でも出てすぐに買ったわけではない、1年近く経って買いました。
1986年は僕はまだLPを聴いていてCDではなかったこと、
BEHIND...はLP買おうか迷って買わなかったのですが、僕は
当時まだエリック・クラプトンをソロアーティストとして信頼しておらず、
果たして買っていいと思えるかどうか自信がなかったこと、など。
もうひとつ、1曲目が映画『ハスラー2』のテーマ曲に使われ、
僕は当時映画に凝っていてそれも映画館で観てサントラのLPを
買っていたのでアルバムは要らないかな、と思ったものありました。
しかも、アルバムのCDを買ったのも実はセールで安かったのを
見つけて買っただけ、というくらいのものでした。
だから気持ちが入っていなかったのか、当時は
いいと言われている割には「普通だな」と思いましたが、
それはきっと「レイドバック」問題が分からなかったからもあるし、
やはりまだエリックを信頼していなかったからでしょう。
僕がエリック・クラプトンを本気で聴くようになったのは、
この次のJOURNEYMANからで、それは今でも
僕がいちばん好きなエリックのアルバムでもあります。
ただ、AUGUSTはその後もしばしば聴きたくなってその度に
棚から引っ張り出しと、3年周期くらいで繰り返してきました。
でもやっぱり、今回ほどまでにいいと思うことはなかった。
その間にリマスター盤が出た時はチャンスだったのですが、
そこはなんとなく「お仕事」的に買うだけで通り過ぎました。
02 エゾノコンギク、少々イメージ違うかも・・・
1曲目:It's In The Way That You Use It
(Eric Clapton, Robbie Robertson)
映画『ハスラー2』のテーマ曲。
ロビー・ロバートソンと共作で当時はそれもMTV番組などで
話題になっていた記憶がありますが、僕は当時まだ
ロビー・ロバートソンをよく知らず、へえそうなの、で終わりました。
いきなり唸りながら歌い出すこの曲、映画のテーマ曲として
かなり変わった曲だなと当時思いました。
サビが先ではあるものの作りとしてはA-Bの単純な曲ですが、
変わっている、凝っていると感じさせるのは芸なのでしょうね。
そして何よりエリックの唸りヴォーカルが1曲目から全開。
このアルバムの大きな魅力のひとつはエリックの声であって、
エリック自身もだいぶ声に自信を持ってきたのではないかと。
歌の後に入るネイザン・イーストのベースがまたいい。
2曲目:Run
(Lamont Dozier)
ファンクっぽいイントロのギターに続いて
マスル・ショールズ風のサウンドが展開される。
割と軽い曲なのにエリックのヴォーカルがそうはさせじと
張り切っていて、重みや深みがある仕上がりになっています。
ラモント・ドジャーといえばモータウンのソングライティングチーム、
ホランドードジャー・ホランソのひとりとしてモータウンを支えた人で、
後にソロのソングライターとしても活躍した、とのこと。
3曲目:Tearing Us Apart with Tina Turner
(Clapton, Greg Phillinganes)
歌い出しのエリックの声の軋みようといったら!
これは男でも惚れますねぇ(笑)、少なくとも真似はする。
デュエットがティナ・ターナーだから余計に張り切っているのかな。
でもそれがエリックの新しい面を開き自信をつけたのだから、
このデュエットは大成功といえるのでは。
曲ではサビに入る前のコードチェンジがぞくぞくっときてしまう。
バンドメンバーのグレッグ・フィリンゲンズとの共作ですが
オリジナル曲でも勝負に出てきたと感じるものがありますね。
ここで1曲
☆
Tearing Us Apart
Eric Clapton with Tina Turner
1990年の英国「プリンス・トラスト・コンサート」からのもののようで、
レコードでもデュエットしているティナ・ターナーをはじめ、
フィル・コリンズやマーク・ノップラーも参加した演奏です。
4曲目:Bad Influence
(Robert Cray, Michael Vannice)
ごめんなさい!
実は今回聴くまでこれがロバート・クレイの曲とは知らなかった。
シャッフルする軽やかな曲でもやっぱりエリックは時折唸る。
そうですね、ブルーズと完全に離れたブルーズロックになった、
という意味があるのかもしれない、このアルバムには。
ところでロバート・クレイといえば今でも後悔していることが。
このアルバムの後、1987年、僕が東京に出た年に、
エリック・クラプトンとロバート・クレイのコンサートがありましたが、
僕は行こうか迷って行かなかった。
理由は、洋楽のコンサートにひとりで行ったことがなかった、
というのだから僕も小心者ですねぇ(笑)。
まあ、後悔してもしょうがないのですが、そんなこと思い出しました。
5曲目:Walk Away
(Richard Feldman, Marcella Detroit)
作曲者のひとりマルセラ・デトロイトは1970年代に
マーシー・レヴィの名でエリックのバンドにいた人。
90年代になってソロアルバムを出し、MTVでよくかかっていましたが、
そのようなキャリアなので注目されていました。
曲はアルバムの中では穏やかな方かな、でも力強さは失わない。
6曲目:Hung Up On Your Love
(Lamont Dozier)
イントロのベースとキーボードのフレーズが印象的で
ついついそこから口ずさんでしまう。
バックでずっと鳴っているキーボードがいかにも80年代だけど、
このアルバムは今となっては80年代的要素がいい方に出ている、
と感じますね、臭くないから。
しかしサビの"Oh no, not again"と歌うところがもっと印象的。
というのもこれ、ロッド・スチュワートのInfatuationのサビに似ている。
ただこの曲の経緯の調べがつかなかったので、曲自体は
どっちが先か分からないけれど、エリックのこれはロッドより後で、
もしかしてエリックもロッドのあの歌い方が気に入って、
やってみようか、と思ったのかもしれない。
03 8月の風景も1枚
7曲目:Take A Chance
(Eric Clapton, Nathan East, Greg Phillinganes)
エリックとネイザンそれにグレッグ共作のオリジナル曲。
彼らがどんな音楽が好きかがよく分かる、ホーンが軽やかに鳴る、
ソウルとブルーズとR&Bの真ん中辺りのポップな曲。
このアルバムはリズムセクションの強さも一貫していますね。
8曲目:Hold On (Eric Clapton, Phil Collins)
作曲者だからかイントロでフィル・コリンズのドラムスが主張している。
僕はドラムスはまったく分からないのですが、フィル上手いですよね。
フィルが絡んだ曲だと知って聴くと、ヴォーカル以外のサウンドは
この頃のジェネシスに近いようにも感じられます。
特にギターのバッキングが。
穏やかな曲だけどエリックはそこを敢えて穏やかさを抑えようとして
歌っているようにも感じられる、これはエリックの意志なのかな。
"Please give me one more chance"と歌ってはいるものの、
懇願するような弱さがない、自然の成り行き、そんなところかな。
9曲目:Miss You
(Eric Clapton, Bobby Columby, Greg Phillinganes)
イントロの大きな鏡が崩れるような、或いはサスペンス調の
大仰なサウンドは迫力がありますね。
よぉ~く聴くとリズムはレゲエだったり、凝った曲ですね。
恋人がいなくて寂しいのにやはり唸っている。
弱みは見せたくない、でもだから余計に喪失感が伝わってくる。
ギターソロも同じように唸っている。
10曲目:Holy Mother
(Stephen Bishop, Clapton)
このアルバムを3年周期くらいで聴きたいと思い続けてきたのは、
ひとえにこの曲があるから。
スティーヴン・ビショップとエリックの共作ですが、
スティーヴン・ビショップはほんとうに名前を知っているだけで
音楽は聴いたことがなく、何かを話せないのが申し訳ない。
でもこの曲は大好き、エリックのリアルタイムで出た曲の中では
Top5に入るかも、というくらいに。
ゴスペル風のゆったりとした曲、もうこれだけで僕はやられる。
タイトルからそのことは想像できるのですが、実際に聴くと、
時間も空間もすべてが包み込まれるような広がりを感じます。
11曲目:Behind The Mask
(Chris Mosdell, Ryuichi Sakamoto)
このアルバムが当時話題になったもうひとつの理由がこれ、
イエロー・マジック・オーケストラの曲をカヴァーしたから。
この曲だけWikipediaでちょっと調べたのですが、
元々のYMOの曲にマイケル・ジャクソンが歌詞と歌メロで手を加え、
エリックはそれをカヴァーしたとのことで、それも知らなかった。
YMOのオリジナルもマイケルのも知らないのですが、
イントロのキーボードなどはYMOなのかなと思わなくもない。
壁が目の前で崩れ落ちていくようなサウンドに
エリックの唸りヴォーカルは映えますね、リアルに響いてくる。
"Who do you love ?"というサビの歌メロは耳に着いて離れない。
音声処理された女声コーラスとのかけあいも不自然には聴こえない。
方向性が固まっていると何をやっても上手く回る。
それがこのアルバムから得られる教訓のようなものでしょう。
12曲目:Grand Illusion
(Bob Farrell, Dave Robbins, Wesly Stephenson)
今回この曲の素晴らしさに気づきました。
それまではアルバムの最後の曲にしては終わる感覚がなくて、
少々締まりがないかなと思い逆に印象に残っていたのですが、
そこからようやく曲自体の魅力にまでたどり着きました。
苦悩の果てにたどり着いたのが「大いなる幻想」。
幻想だから終わらなくてもいいんだ。
サビの女声コーラスがエリックのすべてを受け入れて、
この世のものともあの世ともつかない広い世界を見せてくれる。
Bメロに入るところのカウンターのギターがいい。
でも、もしかしてこのタイトルの意味は「大いなる勘違い」なのかな?
男としての勘違い・・・
いや、ここは苦悩の果ての幻想ととりたいですね。
ようやく心からいいアルバムと言えるようになりました。
そういうアルバムは今後も多く出てくるに違いない。
持っているCDでもそんな「出会い」があるかと思うと、
音楽ってほんとうに楽しいですね。
さて。
ここまで記事を書いてきて、やっぱり、今回どうして
このアルバムを無性に聴きたくなったのか、きっかけが思い出せない。
まあでも、そういう楽しみもあっていいのでしょうね。
最後は3日前の3ショットにて。
04
Posted by guitarbird at 21:29
│ロックC-J
この記事へのコメント
おはようございます。
Tearing Us Apart with Tina Turnerは改めて聴くと、格好良いですね(^^♪
クラプトンの歌い方も元気有り、かつ渋い!!
ティナ・タナーはミニでリズムをとってるだけでも存在感が有り、ロッドやミック・ジャガーとの共演でも負けておらず、盛り上げ方は超一流の歌手ですね!今も元気かな?
このアルバムに入ってるんですね。
北海道味めぐりへ昨日行って、クラシックビールと網走ビール二種類を買いました。吉田類さんも、ここのスーパーマーケットの宣伝をしてて、北海道も第二の故郷のようですのでピッタリかなと。
旬の道産ジャガイモキタアカリの塩辛のせを推奨してました。地酒の千歳鶴純米ひやおろしと純米ひやおろし、きたしずくを売ってました。
北海道で米が出来て、道産純米酒が呑めるなんて時代は昔は考えられなかった(笑)
今年は、作らなかった白トウモロコシと、北海道きのこ三種のグラタンとホタテクリームコロッケを他に買い求めました。
どれも美味しかったです!
雨が続きますが、野菜の植え時でもあり、青森ニンニク、キャベツ、人参、白菜、春菊、枝ブロッコリー等を植えました。
そうそう蝶々ようの、キャベツ育ってますか?アゲハ用にはパセリが、良いようです。
Tearing Us Apart with Tina Turnerは改めて聴くと、格好良いですね(^^♪
クラプトンの歌い方も元気有り、かつ渋い!!
ティナ・タナーはミニでリズムをとってるだけでも存在感が有り、ロッドやミック・ジャガーとの共演でも負けておらず、盛り上げ方は超一流の歌手ですね!今も元気かな?
このアルバムに入ってるんですね。
北海道味めぐりへ昨日行って、クラシックビールと網走ビール二種類を買いました。吉田類さんも、ここのスーパーマーケットの宣伝をしてて、北海道も第二の故郷のようですのでピッタリかなと。
旬の道産ジャガイモキタアカリの塩辛のせを推奨してました。地酒の千歳鶴純米ひやおろしと純米ひやおろし、きたしずくを売ってました。
北海道で米が出来て、道産純米酒が呑めるなんて時代は昔は考えられなかった(笑)
今年は、作らなかった白トウモロコシと、北海道きのこ三種のグラタンとホタテクリームコロッケを他に買い求めました。
どれも美味しかったです!
雨が続きますが、野菜の植え時でもあり、青森ニンニク、キャベツ、人参、白菜、春菊、枝ブロッコリー等を植えました。
そうそう蝶々ようの、キャベツ育ってますか?アゲハ用にはパセリが、良いようです。
Posted by matsu at 2016年09月25日 09:58
matsuさん、こんばんわ
この頃のティナ・ターナーは華がありますよね。
いやこの頃以前にそうだったとは思うのですが、私のリアルタイムで
再登場したティナは持っているものが違うと思いました。
最近はそうですね、元気しているでしょうかね。
もう75歳以上にはなっていると思います。
Tearing Us Apartは私のリアルタイムだっただけに
思い入れは強いですが、じゃあエリックの好きな曲の順番を
つけると必ずしも上位に来るわけではない、微妙な曲です。
が、今回AUGUSTを聴いて再評価しました。
強いていえば曲が今風すぎますかね。
今といっても1980年代ですが。
北海道物産展にお越しいただきありがとうございます。
網走ビールはもうすっかり人気が定着したようですね。
北海道のお酒ですが、そうですね、北海道米自体も
ここ10年でようやく全国区になりましたよね。
北海道に住んでいるのですが最近はニュースなどでも
道外でも認められているのを感じています。
吉田類さんは毎月のように北海道に来て番組録ってますが、
ほんとうに北海道がお好きなようですね、嬉しいです。
グラタンもほたてクリームコロッケもおいしそうですね。
キャベツ育ってます、この前青虫もついていました。
アゲハはパセリにもつくんですね。
そのお話はキアゲハだと思いますが、キアゲハはセリ科に
つきますが、畑作物でもつくんですね。
うちの庭の外来種イワミツバにはついてくれませんでした。
畑作業も行っているのですね。
確かに今年は雨が多いようですね。
この頃のティナ・ターナーは華がありますよね。
いやこの頃以前にそうだったとは思うのですが、私のリアルタイムで
再登場したティナは持っているものが違うと思いました。
最近はそうですね、元気しているでしょうかね。
もう75歳以上にはなっていると思います。
Tearing Us Apartは私のリアルタイムだっただけに
思い入れは強いですが、じゃあエリックの好きな曲の順番を
つけると必ずしも上位に来るわけではない、微妙な曲です。
が、今回AUGUSTを聴いて再評価しました。
強いていえば曲が今風すぎますかね。
今といっても1980年代ですが。
北海道物産展にお越しいただきありがとうございます。
網走ビールはもうすっかり人気が定着したようですね。
北海道のお酒ですが、そうですね、北海道米自体も
ここ10年でようやく全国区になりましたよね。
北海道に住んでいるのですが最近はニュースなどでも
道外でも認められているのを感じています。
吉田類さんは毎月のように北海道に来て番組録ってますが、
ほんとうに北海道がお好きなようですね、嬉しいです。
グラタンもほたてクリームコロッケもおいしそうですね。
キャベツ育ってます、この前青虫もついていました。
アゲハはパセリにもつくんですね。
そのお話はキアゲハだと思いますが、キアゲハはセリ科に
つきますが、畑作物でもつくんですね。
うちの庭の外来種イワミツバにはついてくれませんでした。
畑作業も行っているのですね。
確かに今年は雨が多いようですね。
Posted by guitarbird at 2016年09月25日 21:24