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2014年06月27日

NATURAL HISTORY JDサウザー

01
NATURAL HISTORY JDサウザー

NATURAL HISTORY / JD Souther
ナチュラル・ヒストリー - JDサウザー
 (2011)

JDサウザーの新譜を最近はよく聴いています。

今回のアルバムは自ら作曲した曲を新たに録音したもので
他の人に提供した曲のカバー曲及びセルフリメイク曲集です。

これがほんとに素晴らしい!

そろそろまた新譜を集めた記事を上げてそこで紹介するつもりが
あまりにも素晴らしいので独立した記事にしました。

アコースティック・ギターとピアノを中心とした最小限の楽器そして
時々入る効果的な管楽器による落ち着いた演奏を聴かせてくれます。
そしてJDの曲の素晴らしさがより響いてきて、アレンジも大事だけど
先ずは曲ありきということを再確認します。

JDほど1曲1曲に気持ちがこもっている作曲家も少ないでしょうね。
40年近くの活動にしては発表した曲が少なすぎるのはやはり
気持ちを込めるために丁寧に作り上げたかったからなのでしょう。
そして繊細に音と言葉を選びながら曲が紡がれてゆく。
聴いていても気持ちの入り方が違います。

昨年の秋にJDは素晴らしいという記事を上げてからそれほど
経っていないのですが、そのタイミングでこの素晴らしいアルバムを
聴けたことでJDがますます好きになりました。

曲紹介ではオリジナルについても書き出してゆきますが、
収録されているアルバム、アーティスト、年代を記します。

02 春なのに紅葉
NATURAL HISTORY JDサウザー

Tr1:Go Ahead And Rain
 HOME BY DAWN by J.D.Souther (1984)
JDの声がまるで雨粒の音のように響いてきます。
歌っているJDはほんとうに濡れているかのように聴こえてきます。
雨を歌った曲は抒情的な心に残る曲が多いですが、
この曲もこのバージョンをもって名曲の仲間入り。
オリジナルも素晴らしいのですがこの曲こそ楽器の音が少ない
このアレンジのほうが雨のしっとりとした感じが伝わってきます。
なおこのアルバムの記事はこちらへどうぞ。


Tr2:Faithless Love
 BLACK ROSE by J.D.Souther (1976)
ソロ2作目からの曲。
繊細だけどか細くない歌い方が高音を伸ばすところでしみてきます。
この曲も歌詞に"raindrop"と出てきますがJDに雨は似合いますね。


Tr3:You're Only Lonely
 YOU'RE ONLY LONELY by J.D.Souther (1979)
もはや僕が何かを言う必要もない名曲にして彼の代名詞。
JDは声が若いですね。
特にこの曲の例の「うぉおううぉおうお~おぅ」の部分で感じましたが、
何も知らない人にこれを聴かせるとせいぜい35歳くらいまでの人が
歌っているとしか思えないのではないかな。
JDは1945年生まれというから今年でもう66歳ですよ、ちょっと驚き。


Tr4:The Sad Cafe
 THE LONG RUN by Eagles (1979)
ここで初めて他人に提供・共作した曲が出てきました。
イーグルスの原曲はニューヨークの雰囲気を醸し出していますが、
生ギター中心のこのアレンジを聴くとそうかこの曲は元々は
アコースティックな響きが強く感じられる曲なのだなと再発見。
演奏が薄いので曲の変わり目の劇的な流れの変化を
ショッキングなほどまでに感じることができます。
なおイーグルスのこのアルバムの記事はこちらへどうぞ。


03 ミズキの葉をもう一度
NATURAL HISTORY JDサウザー

Tr5:Silver Blue
 BLACK ROSE by J.D.Souther (1976)
このアルバムはほんとうに管楽器の使い方が上手くて、
どれも印象に残りつつ曲を盛り立てています。
これもやはりシンプルなアレンジがより映えますね。


Tr6:New Kid In Town
 HOTEL CALIFORNIA by Eagles (1976)
イーグルスのこの曲は、ビートルズとそのメンバーの曲を除いた
すべての洋楽の楽曲で僕がいちばん好きな曲なのです。
この曲だけで記事にしているのでご興味があればこちらへどうぞ。
その記事は僕が書いた中でも特に自分で気に入っているものです。
まあとにかくそれだけ思い入れが大きくて強くて深い曲ですが
ここでは長くて思わせぶりなメキシコ風の生ギターのイントロで
引っ張るだけ引っ張ってやや唐突に歌い始めます。
メキシコ風のアレンジは僕は「やっぱり」と思いました。
元々が西部劇をモチーフとした曲でありそういう響きが潜んでいそうな
曲だったのをイーグルスはむしろ都会的な響きに仕立てていたのかな
と今にして思いました。
ああこの曲はもっともっと語りたい(笑)。


Tr7:I'll Take Care Of You
 HOME BY DAWN by J.D.Souther (1984)
JDの繊細さと歌への気持ちが最大限詰め込まれた1曲。
80年代のヒットしなかったアルバムからの選曲ですが、
僕は買う前にこれがカバーアルバムだと知った時になんとなく
この曲は入ってそうだと思ったので余計にうれしかった。
オリジナルでは声がすっと高くなる部分をここでは歌メロを変えて
声を上げないで歌っているのですが、3番のその部分で初めて
オリジナル通りに声を高く歌ってくれてほっとしました(笑)。
ちょっとした仕掛けだけど効果的でうれしかった。


Tr8:Little Victories
 THE DISTANCE by Bob Seger & The Silver Bullet Band (1982)
この曲は知らなくて調べるとボブ・シーガーがオリジナルでした。
そのアルバムはちょうど僕が「ベスト・ヒットUSA」を見始めた頃に
ヒットしていて番組ではヒットした別の曲がそのアルバムジャケットを
バックに静止画像で流れていたのが懐かしい(笑)。
♪ When I look up, the sky is falling
と繊細な声で歌い始めるとほんとうに空を見上げてしまう。
聴いているとそれくらい気持ちが入ってゆきます。
でも、あのボブ・シーガーが歌ったこれはどんな感じなんだろう。
CD買って聴かなきゃ。


04 チシマアザミは太陽か雨粒か・・・
NATURAL HISTORY JDサウザー

Tr9:Prisoner In Disguise
 PRISONER IN DISGUISE by Linda Ronstadt (1975)
西海岸の音楽を語る上では欠かせないリンダ・ロンシュタットの曲
として有名だけど僕はまだリンダのこれは聴いたことがありません。
そしてこの曲はJDがいたサウザー・ヒルマ・フューリー・バンドの
2枚目にも収められていてそれも1975年に出ているのですが、
どちらが先つまりオリジナルかが調べがつかなかったので、
リンダが有名だからリンダのものとして紹介しました。
この曲も間奏とそれに続くアルトサックスが素晴らしい。
やはりオリジナルが気になる、リンダのCDも買わなきゃ・・・


Tr10:Best Of My Love
 ON THE BORDER by Eagles (1974)
イーグルスが初めてビルボードNo.1を獲得した曲ですね。
考えてみればイーグルスはNo.1になった5曲のうち3曲は
JDが作曲に絡んでいるんですね。
この曲は歌って気持ちがいい曲として世の中でもトップクラスの
素晴らしく流れる歌メロが持ち味だから、そこだけに焦点を当てている
JDのこの演奏はまさにBestといえるかもしれない。
オリジナルでは生ギターの曲だけどJDのこちらはピアノ中心の
いわば大人の響きに仕上がっています。
♪ Every morning I wake up and worry,
  What's gonna happen today
このくだりはロックの歌詞の中でも僕が特に好きな一節ですが、
朝起きるということは生きていることを確認することなんだなって
毎朝目が覚める度に思います。
この曲は歌詞がほんとうに素晴らしくてロックの歌詞がほんとうに
好きになったのはこの曲に出会ったからかもしれません。
歌メロもほんとに素晴らしくて最初に聴いてもう涙が出てきました。
そして僕はやっぱりイーグルスの歌が大好きだと再確認しました。


Tr11:I'll Be Here At Closing Time
 IF THE WORLD WAS YOU by JD Souther (2008)
アルバムの最後はまさに最後にふさわしい曲。
今のところ最新のオリジナルアルバムからの曲。
正直いえば11曲は短すぎる、曲が足りない、もっと聴いていたい。
そう思わせたいのでしょうね(笑)。
この曲は微笑みながら歌っている姿が想像されます。
最後なのに明るいですね。
でもそれはまたその次が始まることへの期待感でしょう。
二匹目のドジョウを狙ってほしいけどJDはやらないかな・・・
ところでアーティスト名の表記が2008年のこのアルバムから
"JD"になっているつまり"."を省いているのを最新作を見て
初めて気づました。
JDと呼ばれることが当たり前になったのかな。




先日の遠征の際に車でよく聴いていたのですが、
そのうち2日は雨、雨の森の中の道を走りながら聴くと
このアルバムは自分の心にうんと近づいてきたと感じました。

このアルバムは「自然史」というタイトルがまた
「自然と音楽を愛する者」として特に引かれる部分ですね。
JDは音楽の歴史の中にぽつりぽつりと出てくる自らの曲を
化石になぞらえて進化の過程を探ろうとしたのかもしれない。
また、音楽は人間が作るものだけど音を感じて楽しむ行為は
自然の感覚に息づくものであり自然な行為であり、
そんな自然を展示する場所としてのアルバムという意味かな。
もうひとつJDは常に自然体でいられたという意味も。
ともあれこのタイトルを知ってJDにはぴったりと感じました。

だから冒頭CD写真はアンモナイトと一緒に撮りました(笑)。

そういえば思い出した。
シェリル・クロウのIf It Makes You Happyのビデオクリップは
シェリルが人間という展示物に扮して博物館で展示されて歌う
というモチーフですが撮影で使われたのはセットではなく
実在するコロラド自然史博物館であるということを知りました。
それを知ってそこは行ってみたい場所になりました。
でもだから僕は今このアルバムのタイトル文字を見るとシェリルの
その曲が頭の中に浮かんできてしまい少々困ってます(笑)。

なんて、ほんとに素晴らしいアルバム。

今年上半期ではいちばんのアルバムかな。

そして大晦日にも1位になっている予感が。

あまりにも素晴らしいので、この記事の最後は特別に
犬たち2頭によるCD紹介写真で終わらせていただきます。

05
NATURAL HISTORY JDサウザー






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Posted by guitarbird at 19:54 │ロックC-J

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