2014年12月25日
BOSTON 「幻想飛行」 ボストン
いつものように
写真へのコメントも
大歓迎です!
今夜は、BLOGを始めた頃から、
いつ、どのタイミングで記事を上げようか、
ずっとそのタイミングをうかがっていたアルバムを。
01
BOSTON Boston
「幻想飛行」 ボストン released in 1976
ボストン。
僕より上の年代の70年代洋楽に強い人には、
1970年代の空気がよく伝わってくるアルバムでしょうか。
ボストンというからにはもちろんボストン出身、
他にボストン出身で有名なのは、エアロスミスとジェームス・テイラー。
僕はこれ、リアルタイムではなかったですが、まだ10代の頃、
ビートルズのCDが出る前にCDを聴いていた20枚の中の1枚であって、
付き合いも長いし、思い出も思い入れも大きいアルバムです。
ロックの歴史を振り返る企画では必ずといっていいほど触れられ、
もちろんこのアルバムそのものへの興味も大きかったのですが、
それ以上に、当時大ヒットしていた、彼らの実に7年振りの新譜、
3枚目のTHIRD STAGEをLPで聴いて大好きだったことが
より直接的に、聴こうと思った部分でもありました。
そして当時、CDの時代が始まっていて、
地元テレビ局のプレゼントでその3枚目のCDが当たり、
一方でこのアルバムは当初からCDが出ていたので、
すぐに欲しくなった、ということもありました。
聴くと、一発で大好きになりました。
CDの時代になって過去の名盤をより多く買うようになりましたが、
多分、過去のアルバムで最初に大好きになったCDだと思います。
(当時はフリートウッド・マックの「噂」は好きではなかったので・・・)
どんな音楽かとひとことで言うと、当時は思いつかなかったことですが、
「贅沢なロック」ですね。
ポップス、ハードロック、フォーク、プログレ、ロックンロールなど、
それまでのロックのエッセンスが短い中に凝縮している感じの音。
まあ、ブルーズの要素は薄いですが、それは、
この時代には既にロックの中に取り込まれていたということで。
特に、プログレの要素が強く感じられるのが、
当時はまだピンク・フロイドもイエスも聴いていなかった僕には、
新鮮に映り響いてきました。
ま、「いいとこどり」とも言えるのですが・・・
ちなみに、一応の分類としては
「アメリカン・プログレ・ハード」と呼ばれているようです。
歌メロが素晴らしい。
これは特筆すべき点で、どの曲も聴くとすぐに口ずさんでしまう。
その歌メロを、からっと明るいウルトラハイトーンで歌い通す
Voのブラッドリー・デルプ、その声には嫌味や癖があまりなくて、
金切り声系でも割と受け入れやすいタイプかと思います。
そしてギターの音がいい。
リーダーというより「主宰者」といったほうがいいトム・ショルツは、
かのMIT出身で博士号をとったというインテリで、
自分でアンプをはじめ音響装置の研究をしていたという人。
アルバムの広がりがあるギターサウンドはその賜物でしょう。
いやほんと、厚みがあって深みがあって広がりがあるけど、
決して重たくなくむしろ開放感がある明るいギターサウンドは、
唯一無二のものといえるでしょう。
曲もほとんどすべてをトムが作っています。
ただし、結構「変わった人」でもある、という噂も・・・
ただし、贅沢ではあるけど、贅肉はあまりなくて、
全体の印象はむしろシャープ。
もちろん、多重録音で音の厚みはあるんですが、
そう感じるのは、音の抜けがいいからではないかと思いました。
もたっとしたところもなくて、爽やかで軽やか、ハードだけど重くない。
緻密でありながら開放的、慎ましやかというよりは強引、
そんな音楽には、まるで胸倉をわしづかみにされるように
ぐいぐいと引き込まれる感じがします。
だから、落ち込んでいる時にはまるで暴力的に聴こえるかも。
だけど逆に、落ち込んでいると、自分では想像できなかった
はるかな高みへ導いてくれるかもしれません。
車に合うCDではもはや「定番」でしょう。
02 飛行機の窓から見た富士山
さて、僕はここまで絶賛してきていますが、100%その通り、
疑いようもなく大好きなアルバム、これは保証します。
ここで話の矛先を変えると、
ボストンは所謂「産業ロック」に分類されているようです。
そうじゃない、という人もいるようですが。
今回、僕がこのアルバムをついに取り上げることにしたのは、
このひと月の間、その「産業ロック」について、
180度反対の意見2つに接したからでした。
1つ目。
前にも紹介したピーター・バラカン氏の書籍
「魂(ソウル)のゆくえ」
において(書籍名が本のリンクになっています)、
バラカン氏が、ディスコサウンドのブームについての考察の際に、
こんなことを書いているのを読みました。
ところが、いつの時代も単純なほど音楽は売れるようで、
70年代後半は世界的なディスコ・ブームとなってしまったわけです。
ぼくには同時代の”産業ロック”
(思い出したくもないので具体的なグループ名はあえて控えます)
と同じ現象に思えるのです。
つまり、完全な消費物としてのポピュラー音楽。
もちろん、いつの時代にもこんなタイプの音楽はあったけれど、
そんなふうに消費者に迎合する大手レコード会社に対抗して、
インディーの連中が常に新しい音楽を
(当然彼らも彼らなりに金を儲けようとはしていました・・・・・・)
どんどん提供するという状況でした。
(改行とイタリック文字は引用者による)
産業ロックというのは、まとめると、こんな感じでしょうか。
・受ける=売れるならなんでもやりましょう的態度の音楽
・レコード会社の意のままに作られた人たちの音楽
・表現者としての意図が見えない音楽
・自らすすんでカタにはまってそこで安穏とする人たちの音楽
もうひとつ、先週、さいたまのソウルマニアの友達と会食しましたが、
その友達はこう言い切っていました。
俺はAORというものが大好きだ。
産業ロックといわれるものも大好きだ。
世の中ではさげすまれているようだけど(笑)、
俺は基本的には聴いていて気持がいい音楽が好きだし、
そういうのを作らせたらやっぱり上手い。
ついでに俺はディスコサウンドも好きだ。
もちろんバラカンさんの本を読んだという話を
僕が振っていたのですが、それにしても、
ここまで正反対の意見というのも面白いなと思い、
それをなんらかのかたちで記事にしたいと、
先週、友達に会ってから考えていました。
ただ、先週は気持に余裕がなく、年賀状作業もあったので、
今日になって記事にすることができました。
03 オオハクチョウが朝日に向かって飛翔
Tr1:More Than A Feeling
ソウルマニアの友達が、「産業ロック」の曲として挙げたのがこれで、
それと、以前から記事にしたいアルバムとが重なった、というわけ。
アコースティック・ギターのアルペジオがフェイドインしてきて
思わせ振りに曲が進み、ヴォーカルも最初は静かに歌う。
そこへエレクトリック・ギターが入って高らかに鳴り響き
曲は一気にクライマックスに達する。
喩えていうなら、そよ風の草原を歩いていたところ、
突然虹が現れて、空に舞い上がり、宇宙に続くようなスケール感。
まさに「感情よりすごいもの」。
ハンドクラッピングものせてくれますし、何より、サビの前の
G→C→Em→Dというギター、特にGからCへ上がる部分が最高!
70年代ロックの名曲中の名曲といえるでしょうね。
Tr2:Peace Of Mind
激しくカッティングするアコースティック・ギターに続いて
聴く者を不安にさせるエレクトリックギターのリフ。
だけど歌が始まると少し明るく、しかしサビはまた不安な感じ。
曲自体は割とシンプルなロックンロールだけど、
短い中に細かく展開するのが楽しい。
エレクトリックギターのサウンドの素晴らしさも堪能できます。
それにしてもブラッドのハイトーンのコーラスといったら!
Tr3:Foreplay / Long Time
二部構成で、前半Foreplayはそれこそインストの前奏。
当時は「どう聴いてもプログレ」と感心、この変化球やられた感じ。
でも、今聴くと「子ども騙しのプログレ」ではありますが(笑)、
それでも素晴らしい曲。
オルガンの音が残る中、エレクトリック・ギターが高らかに鳴り、
後半Long Timeが始まる。
なんとなく、この2つはあまり関連性がないように
昔から感じているのですが、まあそれは気にしない(笑)。
曲はミドルテンポの正調アメリカンロック風
だけど微妙に変化球なのはここでも感じます。
Bメロの前のアコースティック・ギターのカッティングのフレーズが、
最後だけエレクトリック・ギターになるのがカッコいい!
ハンドクラップが小気味よい、気分爽快な曲。
Tr4:Rock & Roll Band
下積み時代を思わせるような歌詞。
バンドが自らの体験をつづったような曲は大好きで、例えば
C.C.R.のTravelin' Band、バッド・カンパニーのShooting Star、
そしてロッド・スチュワートのMaggie Mayもある意味そんなところ。
タイトルのごとく、まったくのロックンロールなんだけど、
サビで歌メロマイナー調になるのが意表をついていて
やはり一筋縄ではいかない人たちといったところか。
そのサビの歌メロがまた微妙に昭和40年代歌謡曲風(笑)。
バックで動き回る低音のギターが楽しい。
余談ですが、この曲、最初に買ったCDではこのように
時間が「2:60」となっている、そのユーモアにもやられました。
個人的にはこの中でいちばん好きな曲です。
04 まだ雪があまりないAの森の散策路
Tr5:Smokin'
強烈なハードブギー、この中ではいちばんストレートな曲。
カッコいいですね。
Tr6:Hitch A Ride
アコースティック・ギターのアルペジオにハイトーンヴォイス。
ここまで部分的にロマンティックな部分はあったものの、
曲全体としては初めて、そんな雰囲気の曲が登場。
だけどやっぱり、それだけでは潔しとしないのか(笑)、後半は
エレクトリック・ギターとオルガンを派手に絡めて大盛り上がり。
ほんと、音空間の広さを感じるバンドです。
Tr7:Something About You
ここまでのアルバムをダイジェストしたような、
めまぐるしく展開してゆく楽しい曲。
Tr8:Let Me Take You Home Tonight
最後の最後に、バラード風の、ちょっとセンチメンタルな曲。
この曲は歌詞が聞き取りやすくて、当時まだ若かった僕は、
聞き進めていって、ちょっと赤面してしまったような、そんな内容。
だけど最後にアップテンポに変化して大盛り上がりを見せ、
喧騒に巻き込まれたかのような雰囲気でアルバムは終わり。
これがまた当時、そして今も、うまい、と思いますね。
聴き終わって、スカっとします。
当時、「幻想飛行」という邦題がつけられていましたが、
どう考えてもボストンのほうが覚えやすくて言いやすく、
この邦題はまあ「時代の気分」ということで(笑)。
逸話をひとつ。
3枚目の頃に雑誌で読んだ話ですが、
ヴォーカルのブラッドリー・デルプはジョン・レノンが大好きで、
自分の息子に「ジョン・レノン」と名付けたのだとか。
ジョンだけでもレノンだけでもなく、つまり「ジョン・レノン・デルプ」。
しかし、そのブラッドは、昨年、亡くなりました。
自殺だったということです。
ボストンはアルバムを4枚出しましたが、
4枚目は別のヴォーカリストで録音していました。
でも、その後に出たベスト盤の新曲で、ブラッドはまた歌っていました。
今調べて知ったのですが、ブラッドはボストンを辞めた後、
地元でビートルズのカバーバンドをしていたのだとか。
僕は、彼のことはよくは知らないですし、短絡的かもですが、
アメリカのナイスガイを地でいくハイトーンヴォーカルのブラッドと
「自殺」という事実が、いまだに頭の中で結びつきません。
だから、昨年その報に接した時、とてもじゃないけど、
ボストンのアルバムを記事にしようとは思えませんでした。
彼の晩年には、何があったのでしょうか。
遅くなりましたが、R.I.P.
05 ある日の不思議な雲
最後はしんみりしてしまいましたが、
このアルバムの素晴らしさは、なんら変わることがありません。
当のブラッドも、多くの人に聴き継がれることを望むでしょう。
そして、たとい産業ロックであろうと、批判する人がいようとも、
やっぱりいい音楽はいい音楽に違いないのです。
大量消費される商品の中にも、素晴らしいものはたくさんあり、
愛着がわき、思い入れが出てくるモノがあるのは当然だと思いますし。
このアルバムについていえば、
なんであっても、質の高さはとてもよく感じられ、
聴き手に対して正直な音楽であるのは間違いないかと思います。
聴き終わると、なんかすごいな、と思います。
そして追伸。
ボストンは今でも、トム以外のメンバーは変わっていても、
アメリカでコンサート活動を行っているもようです。
・・・と、
普通のアルバム1枚紹介する記事は久しぶりだったので、
書き方を忘れるところでした(笑)。
写真へのコメントも
大歓迎です!
今夜は、BLOGを始めた頃から、
いつ、どのタイミングで記事を上げようか、
ずっとそのタイミングをうかがっていたアルバムを。
01
BOSTON Boston
「幻想飛行」 ボストン released in 1976
ボストン。
僕より上の年代の70年代洋楽に強い人には、
1970年代の空気がよく伝わってくるアルバムでしょうか。
ボストンというからにはもちろんボストン出身、
他にボストン出身で有名なのは、エアロスミスとジェームス・テイラー。
僕はこれ、リアルタイムではなかったですが、まだ10代の頃、
ビートルズのCDが出る前にCDを聴いていた20枚の中の1枚であって、
付き合いも長いし、思い出も思い入れも大きいアルバムです。
ロックの歴史を振り返る企画では必ずといっていいほど触れられ、
もちろんこのアルバムそのものへの興味も大きかったのですが、
それ以上に、当時大ヒットしていた、彼らの実に7年振りの新譜、
3枚目のTHIRD STAGEをLPで聴いて大好きだったことが
より直接的に、聴こうと思った部分でもありました。
そして当時、CDの時代が始まっていて、
地元テレビ局のプレゼントでその3枚目のCDが当たり、
一方でこのアルバムは当初からCDが出ていたので、
すぐに欲しくなった、ということもありました。
聴くと、一発で大好きになりました。
CDの時代になって過去の名盤をより多く買うようになりましたが、
多分、過去のアルバムで最初に大好きになったCDだと思います。
(当時はフリートウッド・マックの「噂」は好きではなかったので・・・)
どんな音楽かとひとことで言うと、当時は思いつかなかったことですが、
「贅沢なロック」ですね。
ポップス、ハードロック、フォーク、プログレ、ロックンロールなど、
それまでのロックのエッセンスが短い中に凝縮している感じの音。
まあ、ブルーズの要素は薄いですが、それは、
この時代には既にロックの中に取り込まれていたということで。
特に、プログレの要素が強く感じられるのが、
当時はまだピンク・フロイドもイエスも聴いていなかった僕には、
新鮮に映り響いてきました。
ま、「いいとこどり」とも言えるのですが・・・
ちなみに、一応の分類としては
「アメリカン・プログレ・ハード」と呼ばれているようです。
歌メロが素晴らしい。
これは特筆すべき点で、どの曲も聴くとすぐに口ずさんでしまう。
その歌メロを、からっと明るいウルトラハイトーンで歌い通す
Voのブラッドリー・デルプ、その声には嫌味や癖があまりなくて、
金切り声系でも割と受け入れやすいタイプかと思います。
そしてギターの音がいい。
リーダーというより「主宰者」といったほうがいいトム・ショルツは、
かのMIT出身で博士号をとったというインテリで、
自分でアンプをはじめ音響装置の研究をしていたという人。
アルバムの広がりがあるギターサウンドはその賜物でしょう。
いやほんと、厚みがあって深みがあって広がりがあるけど、
決して重たくなくむしろ開放感がある明るいギターサウンドは、
唯一無二のものといえるでしょう。
曲もほとんどすべてをトムが作っています。
ただし、結構「変わった人」でもある、という噂も・・・
ただし、贅沢ではあるけど、贅肉はあまりなくて、
全体の印象はむしろシャープ。
もちろん、多重録音で音の厚みはあるんですが、
そう感じるのは、音の抜けがいいからではないかと思いました。
もたっとしたところもなくて、爽やかで軽やか、ハードだけど重くない。
緻密でありながら開放的、慎ましやかというよりは強引、
そんな音楽には、まるで胸倉をわしづかみにされるように
ぐいぐいと引き込まれる感じがします。
だから、落ち込んでいる時にはまるで暴力的に聴こえるかも。
だけど逆に、落ち込んでいると、自分では想像できなかった
はるかな高みへ導いてくれるかもしれません。
車に合うCDではもはや「定番」でしょう。
02 飛行機の窓から見た富士山
さて、僕はここまで絶賛してきていますが、100%その通り、
疑いようもなく大好きなアルバム、これは保証します。
ここで話の矛先を変えると、
ボストンは所謂「産業ロック」に分類されているようです。
そうじゃない、という人もいるようですが。
今回、僕がこのアルバムをついに取り上げることにしたのは、
このひと月の間、その「産業ロック」について、
180度反対の意見2つに接したからでした。
1つ目。
前にも紹介したピーター・バラカン氏の書籍
「魂(ソウル)のゆくえ」
において(書籍名が本のリンクになっています)、
バラカン氏が、ディスコサウンドのブームについての考察の際に、
こんなことを書いているのを読みました。
ところが、いつの時代も単純なほど音楽は売れるようで、
70年代後半は世界的なディスコ・ブームとなってしまったわけです。
ぼくには同時代の”産業ロック”
(思い出したくもないので具体的なグループ名はあえて控えます)
と同じ現象に思えるのです。
つまり、完全な消費物としてのポピュラー音楽。
もちろん、いつの時代にもこんなタイプの音楽はあったけれど、
そんなふうに消費者に迎合する大手レコード会社に対抗して、
インディーの連中が常に新しい音楽を
(当然彼らも彼らなりに金を儲けようとはしていました・・・・・・)
どんどん提供するという状況でした。
(改行とイタリック文字は引用者による)
産業ロックというのは、まとめると、こんな感じでしょうか。
・受ける=売れるならなんでもやりましょう的態度の音楽
・レコード会社の意のままに作られた人たちの音楽
・表現者としての意図が見えない音楽
・自らすすんでカタにはまってそこで安穏とする人たちの音楽
もうひとつ、先週、さいたまのソウルマニアの友達と会食しましたが、
その友達はこう言い切っていました。
俺はAORというものが大好きだ。
産業ロックといわれるものも大好きだ。
世の中ではさげすまれているようだけど(笑)、
俺は基本的には聴いていて気持がいい音楽が好きだし、
そういうのを作らせたらやっぱり上手い。
ついでに俺はディスコサウンドも好きだ。
もちろんバラカンさんの本を読んだという話を
僕が振っていたのですが、それにしても、
ここまで正反対の意見というのも面白いなと思い、
それをなんらかのかたちで記事にしたいと、
先週、友達に会ってから考えていました。
ただ、先週は気持に余裕がなく、年賀状作業もあったので、
今日になって記事にすることができました。
03 オオハクチョウが朝日に向かって飛翔
Tr1:More Than A Feeling
ソウルマニアの友達が、「産業ロック」の曲として挙げたのがこれで、
それと、以前から記事にしたいアルバムとが重なった、というわけ。
アコースティック・ギターのアルペジオがフェイドインしてきて
思わせ振りに曲が進み、ヴォーカルも最初は静かに歌う。
そこへエレクトリック・ギターが入って高らかに鳴り響き
曲は一気にクライマックスに達する。
喩えていうなら、そよ風の草原を歩いていたところ、
突然虹が現れて、空に舞い上がり、宇宙に続くようなスケール感。
まさに「感情よりすごいもの」。
ハンドクラッピングものせてくれますし、何より、サビの前の
G→C→Em→Dというギター、特にGからCへ上がる部分が最高!
70年代ロックの名曲中の名曲といえるでしょうね。
Tr2:Peace Of Mind
激しくカッティングするアコースティック・ギターに続いて
聴く者を不安にさせるエレクトリックギターのリフ。
だけど歌が始まると少し明るく、しかしサビはまた不安な感じ。
曲自体は割とシンプルなロックンロールだけど、
短い中に細かく展開するのが楽しい。
エレクトリックギターのサウンドの素晴らしさも堪能できます。
それにしてもブラッドのハイトーンのコーラスといったら!
Tr3:Foreplay / Long Time
二部構成で、前半Foreplayはそれこそインストの前奏。
当時は「どう聴いてもプログレ」と感心、この変化球やられた感じ。
でも、今聴くと「子ども騙しのプログレ」ではありますが(笑)、
それでも素晴らしい曲。
オルガンの音が残る中、エレクトリック・ギターが高らかに鳴り、
後半Long Timeが始まる。
なんとなく、この2つはあまり関連性がないように
昔から感じているのですが、まあそれは気にしない(笑)。
曲はミドルテンポの正調アメリカンロック風
だけど微妙に変化球なのはここでも感じます。
Bメロの前のアコースティック・ギターのカッティングのフレーズが、
最後だけエレクトリック・ギターになるのがカッコいい!
ハンドクラップが小気味よい、気分爽快な曲。
Tr4:Rock & Roll Band
下積み時代を思わせるような歌詞。
バンドが自らの体験をつづったような曲は大好きで、例えば
C.C.R.のTravelin' Band、バッド・カンパニーのShooting Star、
そしてロッド・スチュワートのMaggie Mayもある意味そんなところ。
タイトルのごとく、まったくのロックンロールなんだけど、
サビで歌メロマイナー調になるのが意表をついていて
やはり一筋縄ではいかない人たちといったところか。
そのサビの歌メロがまた微妙に昭和40年代歌謡曲風(笑)。
バックで動き回る低音のギターが楽しい。
余談ですが、この曲、最初に買ったCDではこのように
時間が「2:60」となっている、そのユーモアにもやられました。
個人的にはこの中でいちばん好きな曲です。
04 まだ雪があまりないAの森の散策路
Tr5:Smokin'
強烈なハードブギー、この中ではいちばんストレートな曲。
カッコいいですね。
Tr6:Hitch A Ride
アコースティック・ギターのアルペジオにハイトーンヴォイス。
ここまで部分的にロマンティックな部分はあったものの、
曲全体としては初めて、そんな雰囲気の曲が登場。
だけどやっぱり、それだけでは潔しとしないのか(笑)、後半は
エレクトリック・ギターとオルガンを派手に絡めて大盛り上がり。
ほんと、音空間の広さを感じるバンドです。
Tr7:Something About You
ここまでのアルバムをダイジェストしたような、
めまぐるしく展開してゆく楽しい曲。
Tr8:Let Me Take You Home Tonight
最後の最後に、バラード風の、ちょっとセンチメンタルな曲。
この曲は歌詞が聞き取りやすくて、当時まだ若かった僕は、
聞き進めていって、ちょっと赤面してしまったような、そんな内容。
だけど最後にアップテンポに変化して大盛り上がりを見せ、
喧騒に巻き込まれたかのような雰囲気でアルバムは終わり。
これがまた当時、そして今も、うまい、と思いますね。
聴き終わって、スカっとします。
当時、「幻想飛行」という邦題がつけられていましたが、
どう考えてもボストンのほうが覚えやすくて言いやすく、
この邦題はまあ「時代の気分」ということで(笑)。
逸話をひとつ。
3枚目の頃に雑誌で読んだ話ですが、
ヴォーカルのブラッドリー・デルプはジョン・レノンが大好きで、
自分の息子に「ジョン・レノン」と名付けたのだとか。
ジョンだけでもレノンだけでもなく、つまり「ジョン・レノン・デルプ」。
しかし、そのブラッドは、昨年、亡くなりました。
自殺だったということです。
ボストンはアルバムを4枚出しましたが、
4枚目は別のヴォーカリストで録音していました。
でも、その後に出たベスト盤の新曲で、ブラッドはまた歌っていました。
今調べて知ったのですが、ブラッドはボストンを辞めた後、
地元でビートルズのカバーバンドをしていたのだとか。
僕は、彼のことはよくは知らないですし、短絡的かもですが、
アメリカのナイスガイを地でいくハイトーンヴォーカルのブラッドと
「自殺」という事実が、いまだに頭の中で結びつきません。
だから、昨年その報に接した時、とてもじゃないけど、
ボストンのアルバムを記事にしようとは思えませんでした。
彼の晩年には、何があったのでしょうか。
遅くなりましたが、R.I.P.
05 ある日の不思議な雲
最後はしんみりしてしまいましたが、
このアルバムの素晴らしさは、なんら変わることがありません。
当のブラッドも、多くの人に聴き継がれることを望むでしょう。
そして、たとい産業ロックであろうと、批判する人がいようとも、
やっぱりいい音楽はいい音楽に違いないのです。
大量消費される商品の中にも、素晴らしいものはたくさんあり、
愛着がわき、思い入れが出てくるモノがあるのは当然だと思いますし。
このアルバムについていえば、
なんであっても、質の高さはとてもよく感じられ、
聴き手に対して正直な音楽であるのは間違いないかと思います。
聴き終わると、なんかすごいな、と思います。
そして追伸。
ボストンは今でも、トム以外のメンバーは変わっていても、
アメリカでコンサート活動を行っているもようです。
・・・と、
普通のアルバム1枚紹介する記事は久しぶりだったので、
書き方を忘れるところでした(笑)。
Posted by guitarbird at 21:29
│ロックA-B