2013年10月05日
LED ZEPPELIN II レッド・ツェッペリン
01

LED ZEPPELIN II Led Zeppelin
レッド・ツェッペリンII レッド・ツェッペリン (1969)
今宵はレッド・ツェッペリン。
僕が「2枚目」と呼んでいる彼らの2枚目のアルバム。
これについて特に何かあったということもなく、まあ強いて言えば、
ロバート・プラントの新譜が出て気に入ったことはあるかな、
でも僕の中では、特につながっているという感じでもなく、
これはただ先日たまたまこのCDと目が合ったから。
Zepもビートルズと並んで僕の骨身心の一部となっているので、
体や心が呼べば聴くという感じですね(笑)。
これはロック史に燦然と輝く名盤中の超名盤ですね。
これだけ有名なアルバムであれば、アルバムの背景などは
わざわざ僕が話しをしなくてもいいですね。
生半可な知識を書いて混乱させてしまうのも迷惑でしょうし。
だから思いっきり僕の個人的な思いを書きます。
しかしひとだけ書くと、これは1969年にリリースされましたが、
当時はビートルズのABBEY ROADが出た頃で、
まだ2枚目の若造がかのビートルズをチャートで蹴落とした、
と話題になり、ロックの世代交代を印象付けたということです。
このアルバムは、僕が買ったCDの最初の10枚に入るものです。
1987年、僕は大学に入り、東京に出ましたが、
そのすぐに後にリリースされ、石丸電気で買いました。
当時はCD化時代のはじまりで、過去のカタログが魅力的な
「新商品」として次々とリリースされ始めた頃でした。
僕にとってそれはちょうどいいタイミングで、次々と出る
「新しい旧譜」に目を光らせていて、聴く音楽の幅が広がりました。
あの頃はCDを買うのがほんとに楽しかったなぁ。
今でももちろん楽しいですが、でも当時はまだ使えるお金が少なく、
悩みながら選んで買うのもまた楽しかったです。
Zep自体は高校3年の時に3rdと4thのLPを買って聴いていましたが、
本格的にZepを聴き始めたのもこの2ndからということになりました。
Zepは確かその年の秋までにCDすべて買い揃えました。
僕のこのアルバムの感想は・・・
「いったいどうなっちゃっているんだろう」。
後に本などで知ったのですが、当時はツアーの混乱の中
スタジオも移動しながら録音していたということで、
そんな中でも筋が通ってぶれていないアルバムを作れたのは、
創作意欲及び能力が異様に高かったことが想像されます。
ジミー・ペイジはまったく新しいスタイルのロックを1stで確立し、
その勢いと流れが本物になったというところでしょう。
僕はこの音に圧倒されたという感じですが、こういう体験は
今思い出しても、その後もそうはなかったものでした。
もうひとつ思ったのが「歌メロが意外といい」でした。
3rd、4thを既に聴いていたのでそれは新発見ではなかったのですが、
こんなに「混乱」した中でも歌メロはしっかりしているというのが
僕には意外に映りました。
全体に曲が、リズムがうねっているのも感じましたが、
音のうねりの洪水に襲われる感覚がグルーヴ感なのだ、
ということを教わったアルバムでもあります。
ほんと、まっすぐに突き進む曲というのがなくて、僕はいまだに
聴いていると自然と頭や手足をリズムに合わせて揺すってしまいます。
大学に入ってすぐに僕は、当時流行りで憧れだった
ミニコンポを買いました、SONYのものでした。
このCDは、毎朝目覚まし代わりにタイマーでセットしてかけていました。
CDの時間を計算し、終わる時間に起きるようにセットしていましたが、
大学が2時間かかる場所にあったので、6時になると
"Whole Lotta Love"が始まるという毎日でした。
ただ、1、2回、途中で寝てしまい、気がつくとCDが終わっていた
ということはありましたが、幸いにして遅刻したことはありませんでした。
あらためて書くまでもないかもですが、メンバーは
ジミー・ペイジ Jimmy Page (Gt)
ロバート・プラント Robert Plant (Vo)(Harmonica)
ジョン・ポール・ジョーンズ John Paul Jones (Bs)(Key)
ジョン・ボーナム John Bonham (Ds)
02 今朝のA公園から見た山の木々の風景

Tr1:Whole Lotta Love
(Jimmy Page, Robert Plant, John Paul Jones,
John Bonham & Willie Dixon)
Zep唯一のビルボード誌Top10ヒット曲、最高位4位。
僕はこの曲をこのCDで初めて聴いたのですが、そのことは知っていて、
チャートマニアとしてはどれだけいい曲なのだろうと期待したら・・・
歌としてはそれほどいいとは感じなくてやや期待外れでした。
もちろん曲としてはかなり以上にいいなと思ったのですが、
当時の僕は今以上にポップな歌メロ中心主義だったので、
え、これがそんなにヒットしたのか、という感じでした。
Zepの曲はおしなべてヒットチャートには不向きかもしれないですね。
ただ、Zepを聴き込んで、ヒットする曲と歌メロがいい歌は、
必ずしも一致はしないということも学んだ気がします。
まあ、言ってしまえばグルーヴ感の塊の曲ですからね。
ただしギターで演奏してみると最初からカッコいいと思いました。
ギターのキレがいいですよね、この曲は特に。
それにしてもこの変わったリズムは
ボ・ディドリーのヴァリエイションでいいのかな。
ただ、この3年後かな、マディ・ウォーターズ Muddy Waters
のボックスセットを買って聴いたところ、
You Need Loveがこの曲にそっくりで、僕は軽くショックを受けました。
歌い出しの歌詞もほとんどそのままだし、途中の
"Way down inside"という部分に及んでは、ほんとそっくり。
マディが先なので正確にはこちらが似ているのですが、しかし
当時はZepの本を何冊か読んでいたのですが、この曲については、
「いただいた」ということはどこにも書かれていなかったので、
もしかして俺は発見したのか、とちょっと色めきたちました(笑)。
もちろんそんなことはなく、そもそもプラント自身が、ライヴ映像で、
この曲にマディの歌詞をのせて歌っていましたし。
しかし今は権利関係のことはきちんとしてゆこうという動きがあるのか、
この曲のクレジットには、4人の他に、
「原曲」の作者であるDixonの名前が連なっています。
それともひとつ、この曲にはくだらない思い出がありまして。
当時は僕も若造、高校からの友だちとよく音楽の話をしていました。
この曲は最後のリフレインが始まるところで、プラントが
"Shake for me, girl"と叫ぶのですが、僕と友だちは、
マクドナルドやロッテリアなどでシェイクを買う際に
店員の女性にそうやって節をつけて叫んでみる勇気はあるか、
ちゃんと「girl」と言うんだぞと冗談で話して笑っていました。
もちろん、実行したことはないですよ(笑)。
Tr2:What Is And What Should Never Be
(Jimmy Page & Robert Plant)
この曲はまずジョンジーの歌うベースに心が奪われました。
最後の「ザザッ ザザッ」というギターのハードな音が、
右から左からめまぐるしく乱れ飛んで来て、ああこれってきっと
クスリのイメージなんだろうなと思いました・・・
しかしバラード風のこの曲は歌メロがよくて歌いやすく、歌詞もいい。
それまでのイメージとは少し違い、Zepは歌メロがいいのかな、
と思うようになった、ちょっと驚いた曲でした。
叫ぶけと歌メロがいいというのは僕には新機軸でした(笑)。
Tr3:The Lemon Song
(Jimmy Page, Robert Plant, John Paul Jones,
Burnett & John Bonham)
なんたこの中華街風のイントロは!
というのが最初に聴いて僕が思ったこと(笑)。
グルーヴ感という言葉はジョンジーのためにあるのではないか
というくらいにぐいぐい引っ張りつつもメロディアスなベース。
この曲はジョンジーのベースが凄いのひとことで、
ベースの名演としては屈指の曲だと思います。
テンポが変わる展開もメリハリがあっていいですね。
プラントのヴォーカルもサウンドとして面白く不思議な響きですが、
歌メロはそこそこなので、演奏とサウンドを楽しむ曲かな。
曲はいろいろな断片をオールドブルーズから「いただいている」
というのはもはやよく知られたお話ですが、
そういえばZepが大嫌いなピーター・バラカン氏が何かで、
ブルーズを「改作」して自分達の曲だと堂々と言っていた
当時の英国のブルーズのブームが許せない、と言っていました。
だからかこの曲、今はBurnettと「原曲」の作曲も名を連ねています。
とまあ、Tr1と、同じアルバムで同じことが2回もあるのでした・・・
03 秋のメジロ

Tr4:Thank You
(Jimmy Page & Robert Plant)
この曲はバラードといっていいのではないでしょうかね。
Zepの中でも歌メロがよくて抒情的な歌詞の曲のひとつです。
♪ If the sun refuse to shine, I would still be loving you
2曲目やこれで、彼らも意外とロマンティックなんだと思いました。
途中から始まるようなイントロも印象的ですし、
シンプルこの上ないタイトルがコロンブスの卵的感動でした。
アコースティック・ギターがメインの曲というのは、
実は彼らはバッファロー・スプリングフィールドやペンタングルが
好きだったというのは3枚目の後に言ったことですが、
この曲もそれがよく分かりますね。
間奏のアコースティック・ギターのソロも雰囲気を醸し出しています。
何をしてもよいほうに進む勢いがあった時期だったのでしょうね。
この曲はデュラン・デュラン Duran Duranがカバーしていますが、
オリジナルにはないジプシー風のイントロの旋律がついていて、
ポップソングとしてはこのほうが印象に残りやすく、
僕が聴いたカバー曲の中でも最上の部類に仕上がっていて驚きました。
Intermission
ここで唐突に閑話休題的、LPとCDの違いについて話します。
Thank Youは一度フェイドアウトし終わったかと思わせておいて、
またフェイドインして通常の音量近くに戻ったところで終わります。
CDで聴くと、Tr4が完全に終わって2秒ほどの間を置いてから、
Tr5の"Heartbreaker"のギターが唸りを上げて始まります。
僕は、アルバムは曲と曲のつなぎと「間(ま)」が重要と考えていて、
この2枚目は、LPを経験することなく最初からCDで聴いたので、
その間が絶妙でカッコいいと思いました。
しかし僕は、CDで初めて聴いたCD時代以前のアルバムは、
どこまでがA面でどこからがB面かを調べ把握して聴くのですが、
このアルバムはTr4までがA面、Tr5からがB面。
つまり、LP時代には、Tr4が終わったところでレコード盤をひっくり返し、
Tr5を聴くため、この2曲の「間」は数秒から十数秒かかるわけです。
LPで聴かれたかたは、やっぱりひっくり返したところで始まる
"Heartbreaker"の唸るギターに驚いたのでしょうけど、僕は、
CDのように「間」が短いほうがより効果的だと思いました。
そこでさらに勝手に考えを進めてしまうのが僕の悪い癖ですが、
でも書くと、もしかしてジミー・ペイジは当時から、
A面B面がなくつながって聴くことができれば、
より効果的だったのになと思っていたのかもしれない、と。
違うかもしれないし、そういう聴き方は邪道かもしれないけど、
でも僕は、CDのこの2曲の「間」が最高にカッコいいと思っています。
そういう楽しみ方もあるんだということで。
というわけで、いつもはA面とB面の間に写真を置きますが、
今回はそうしないで写真の場所をずらしました。
Tr5:Heartbreaker
(Jimmy Page, Robert Plant, John Paul Jones & John Bonham)
これは僕がZepで3番目に好きな曲グループの1曲です。
カッコよさの塊であり権化のような曲です。
ギターリフは聴いてすぐに耳コピーして弾くようになりましたが、
自分で弾いていても陶酔します(笑)。
演奏がすべてブレイクしたギターソロも印象的ですし、
その間奏への入り方がカッコよく、曲に深みがあって聴かせてくれます。
ジョンジーのベースはこの曲では潜りっ放しで下支えしていますが、
それもまたカッコいいし味わいがあるプレイ。
歌メロもいいし、コード進行もギターのカッティングもカッコいい。
最後の直前の異様な盛り上がりはゾクゾクしますし、
プラントが突然"heart"と言って曲が終わり、
次の曲に即座につなぐのも斬新な終わらせ方。
この曲は、僕の語彙力では、陳腐な言葉しか浮かびません。
これはニルヴァーナがカバーしていたのをボックスセットで聴きましたが、
やはりオリジナルに比べるとまっすぐに曲が進んでいて、
Zepのうねるグルーヴ感は独特のものなのだと分かりました。
Tr6:Living Loving Maid (She's Just A Woman)
(Jimmy Page & Robert Plant)
このアルバムではまっすぐなロックンロールといっていい曲かな。
コード進行が単純で、印象的でカッコいいギターリフに押されて
ロバート・プラントが歌い進む分かりやすい曲。
しかし、AメロとBメロのつなぎの部分のギターの入り方など、
パートによって少しずつ違うという工夫もこらされているのはさすが。
この曲はギターソロも割と簡単で、バッキングともどもギターで耳コピーし、
実は、僕が初めて通しで弾けるようになったZepの曲でもあり、
そういう点では思い入れもたっぷりの曲です。
そして僕はこの曲を聴くとビートルズのLovely Ritaを思い出します。
メイドつながりの曲ということですが、でも今の世の中は、
メイドといえばまた違った切り口になりそうですね・・・
04 ヤマモミジはもう色づいている木もある

Tr7:Ramble On
(Jimmy Page & Robert Plant)
僕がレッド・ツェッペリンで2番目に好きな曲。
この曲を最初に聴いた時は、感動を通り越して崩れ落ちました。
なんて素敵な曲なんだろうって。
こんなに美しいハードロックってあるんだ、知らなかった。
まずはアコースティック・ギターのイントロではっとさせられ、それを受けて
始まるジョンジーの抒情的に歌うベースで完全に引き込まれますね。
当時はベースを持っておらず、そのベースをギターで弾いていました。
さらにBメロでジョンジーのベースは、まるで秋に狂い咲きした
花のように派手に動きつつ美しく歌いまくる。
いやほんとすごいですね。
僕が最も好きなベーシストはポール・マッカートニーかジョンジー。
それが決まった曲であり、僕には今でもその2人ですが、この曲は、
ロック史において、ベースのイントロが印象的な曲としては
ビートルズのCome Togetherと双璧をなすものではないかと。
しかし、ベースだけならこのアルバムは今まですごいすごいと
言い続けていたのですが、なんといっても、この曲自体が美しい。
センチメンタルでロマンティクで歌メロがいい。
そしてこの曲には明確な季節感があります。
♪ Leaves are fallin' all around, time I was on my way
秋です、秋の曲です。
僕は常々、洋楽には基本的には季節感がないと言っていますが、
だから、明確に秋を表現しているこの曲に驚きました。
そうか、このアルバムを記事にしたいと思ったのは、
秋になって木々の葉が色づいてきたからかもしれない(笑)。
ただし、実際に秋を描写しているのではなく、たそがれて再出発を
余儀なくされる心象風景を秋と重ねて表現したのかもしれないですが。
間奏のエキゾティックな響きのキーボードも効果的で、
ジミー・ペイジは曲作りのつぼを押さえていると感じる部分です。
サビに入る前のボンゾのドラムスのひと叩きは、
気持ちが揺るぎそうなところをぴしゃっと鞭を打つように響きますが、
ボンゾのドラムスは、上手い下手以上に印象に残る音が多いですね。
ただ、この曲、アコースティック・ギターがよくて歌メロがよくても、
ギターで弾き語りすると、ベースがないとつまらないのです。
あまりにも素晴らしい曲であるがゆえの弱点だと思います。
ベースで弾き語りするほうがいいのかも(笑)。
Tr8:Moby Dick
(John Bonham, John Paul Jones & Jimmy Page)
ボンゾのドラムソロのためにあるインストゥロメンタルの曲。
そういう曲を用意する当たりも仲間意識が感じられていいですね。
まあ、忙しくて曲を用意できなかったのかもしれないですが。
とにかくギターリフがかっこいいのですが、この曲は、
いちばん低い音がDで、6弦開放のEより全音低くなっています。
僕はそれに気づき、当時はギターは1本しか持っていなかったため、
全音下げチューニングをするのが面倒なので、
6弦だけ全音下げて弾いていて、今でもその運指を覚えています。
余談ですが、サウンドガーデンの"Spoonman"も同様に弾けます。
このアルバムは朝にタイマーでかけていたと書きましたが、
この曲のボンゾのドラムソロの辺りになると、
そろそろ起きなきゃと思いながら聴いていました。
そんな時にこのボンゾの手で叩いているというドラムワークには
妙にいらいらしたものでした。
半分寝ている状態では、普通に流れがある音楽は心地よいけど、
こうした音は雑音のように感じたのでしょうね(笑)。
Tr9:Bring It On Home
(Jimmy Page & Robert Plant)
最後は曲としてはこの中でも弱いかなとは思いますが、
でも、この大喧騒に巻き込まれたアルバムを締め括るには、
やはり喧騒のままで終わるほうがすっきりとしますし、
カタルシス度も上がるのではないかと思います。
タイトルはサム・クックを彷彿とさせるものですし、
彼らがブルーズからロックにかけての流れの中にある音楽を
こよなく愛していたことはよく伝わってきます。
そしてこのタイトル、ツアーが長くて家に帰りたかったのかな(笑)。
Amazonの順位、これは輸入盤、2,241位。
僕がここで紹介する新譜でこれよりランクが低いものも多いですが、
(残念ながらロバート・プラント自身の新譜もその口・・・)
根強い人気で売れ続け、ファン層もますます拡大しているのでしょうね。
このアルバムは、買う前にいいだろうと期待していて、
その通り、それ以上によかったというアルバムですね。
ところで、ジミー・ペイジといえばレス・ポールが
トレードマークですが、このアルバムの頃はまだ
テレキャスターも(ほとんどかな)使っていたようです。
Communication Breakdownのクリップで持って弾いている、
あのペイズリー柄のテレキャスターですね。
特にLiving Loving Maidのギターの音は、ソロもバッキングも、
いかにもテレキャスターらしく聴こえてきます。
そうだ。
僕はまだこのLPを持っていないんだ。
きれいなのを探して買わなきゃ。

LED ZEPPELIN II Led Zeppelin
レッド・ツェッペリンII レッド・ツェッペリン (1969)
今宵はレッド・ツェッペリン。
僕が「2枚目」と呼んでいる彼らの2枚目のアルバム。
これについて特に何かあったということもなく、まあ強いて言えば、
ロバート・プラントの新譜が出て気に入ったことはあるかな、
でも僕の中では、特につながっているという感じでもなく、
これはただ先日たまたまこのCDと目が合ったから。
Zepもビートルズと並んで僕の骨身心の一部となっているので、
体や心が呼べば聴くという感じですね(笑)。
これはロック史に燦然と輝く名盤中の超名盤ですね。
これだけ有名なアルバムであれば、アルバムの背景などは
わざわざ僕が話しをしなくてもいいですね。
生半可な知識を書いて混乱させてしまうのも迷惑でしょうし。
だから思いっきり僕の個人的な思いを書きます。
しかしひとだけ書くと、これは1969年にリリースされましたが、
当時はビートルズのABBEY ROADが出た頃で、
まだ2枚目の若造がかのビートルズをチャートで蹴落とした、
と話題になり、ロックの世代交代を印象付けたということです。
このアルバムは、僕が買ったCDの最初の10枚に入るものです。
1987年、僕は大学に入り、東京に出ましたが、
そのすぐに後にリリースされ、石丸電気で買いました。
当時はCD化時代のはじまりで、過去のカタログが魅力的な
「新商品」として次々とリリースされ始めた頃でした。
僕にとってそれはちょうどいいタイミングで、次々と出る
「新しい旧譜」に目を光らせていて、聴く音楽の幅が広がりました。
あの頃はCDを買うのがほんとに楽しかったなぁ。
今でももちろん楽しいですが、でも当時はまだ使えるお金が少なく、
悩みながら選んで買うのもまた楽しかったです。
Zep自体は高校3年の時に3rdと4thのLPを買って聴いていましたが、
本格的にZepを聴き始めたのもこの2ndからということになりました。
Zepは確かその年の秋までにCDすべて買い揃えました。
僕のこのアルバムの感想は・・・
「いったいどうなっちゃっているんだろう」。
後に本などで知ったのですが、当時はツアーの混乱の中
スタジオも移動しながら録音していたということで、
そんな中でも筋が通ってぶれていないアルバムを作れたのは、
創作意欲及び能力が異様に高かったことが想像されます。
ジミー・ペイジはまったく新しいスタイルのロックを1stで確立し、
その勢いと流れが本物になったというところでしょう。
僕はこの音に圧倒されたという感じですが、こういう体験は
今思い出しても、その後もそうはなかったものでした。
もうひとつ思ったのが「歌メロが意外といい」でした。
3rd、4thを既に聴いていたのでそれは新発見ではなかったのですが、
こんなに「混乱」した中でも歌メロはしっかりしているというのが
僕には意外に映りました。
全体に曲が、リズムがうねっているのも感じましたが、
音のうねりの洪水に襲われる感覚がグルーヴ感なのだ、
ということを教わったアルバムでもあります。
ほんと、まっすぐに突き進む曲というのがなくて、僕はいまだに
聴いていると自然と頭や手足をリズムに合わせて揺すってしまいます。
大学に入ってすぐに僕は、当時流行りで憧れだった
ミニコンポを買いました、SONYのものでした。
このCDは、毎朝目覚まし代わりにタイマーでセットしてかけていました。
CDの時間を計算し、終わる時間に起きるようにセットしていましたが、
大学が2時間かかる場所にあったので、6時になると
"Whole Lotta Love"が始まるという毎日でした。
ただ、1、2回、途中で寝てしまい、気がつくとCDが終わっていた
ということはありましたが、幸いにして遅刻したことはありませんでした。
あらためて書くまでもないかもですが、メンバーは
ジミー・ペイジ Jimmy Page (Gt)
ロバート・プラント Robert Plant (Vo)(Harmonica)
ジョン・ポール・ジョーンズ John Paul Jones (Bs)(Key)
ジョン・ボーナム John Bonham (Ds)
02 今朝のA公園から見た山の木々の風景

Tr1:Whole Lotta Love
(Jimmy Page, Robert Plant, John Paul Jones,
John Bonham & Willie Dixon)
Zep唯一のビルボード誌Top10ヒット曲、最高位4位。
僕はこの曲をこのCDで初めて聴いたのですが、そのことは知っていて、
チャートマニアとしてはどれだけいい曲なのだろうと期待したら・・・
歌としてはそれほどいいとは感じなくてやや期待外れでした。
もちろん曲としてはかなり以上にいいなと思ったのですが、
当時の僕は今以上にポップな歌メロ中心主義だったので、
え、これがそんなにヒットしたのか、という感じでした。
Zepの曲はおしなべてヒットチャートには不向きかもしれないですね。
ただ、Zepを聴き込んで、ヒットする曲と歌メロがいい歌は、
必ずしも一致はしないということも学んだ気がします。
まあ、言ってしまえばグルーヴ感の塊の曲ですからね。
ただしギターで演奏してみると最初からカッコいいと思いました。
ギターのキレがいいですよね、この曲は特に。
それにしてもこの変わったリズムは
ボ・ディドリーのヴァリエイションでいいのかな。
ただ、この3年後かな、マディ・ウォーターズ Muddy Waters
のボックスセットを買って聴いたところ、
You Need Loveがこの曲にそっくりで、僕は軽くショックを受けました。
歌い出しの歌詞もほとんどそのままだし、途中の
"Way down inside"という部分に及んでは、ほんとそっくり。
マディが先なので正確にはこちらが似ているのですが、しかし
当時はZepの本を何冊か読んでいたのですが、この曲については、
「いただいた」ということはどこにも書かれていなかったので、
もしかして俺は発見したのか、とちょっと色めきたちました(笑)。
もちろんそんなことはなく、そもそもプラント自身が、ライヴ映像で、
この曲にマディの歌詞をのせて歌っていましたし。
しかし今は権利関係のことはきちんとしてゆこうという動きがあるのか、
この曲のクレジットには、4人の他に、
「原曲」の作者であるDixonの名前が連なっています。
それともひとつ、この曲にはくだらない思い出がありまして。
当時は僕も若造、高校からの友だちとよく音楽の話をしていました。
この曲は最後のリフレインが始まるところで、プラントが
"Shake for me, girl"と叫ぶのですが、僕と友だちは、
マクドナルドやロッテリアなどでシェイクを買う際に
店員の女性にそうやって節をつけて叫んでみる勇気はあるか、
ちゃんと「girl」と言うんだぞと冗談で話して笑っていました。
もちろん、実行したことはないですよ(笑)。
Tr2:What Is And What Should Never Be
(Jimmy Page & Robert Plant)
この曲はまずジョンジーの歌うベースに心が奪われました。
最後の「ザザッ ザザッ」というギターのハードな音が、
右から左からめまぐるしく乱れ飛んで来て、ああこれってきっと
クスリのイメージなんだろうなと思いました・・・
しかしバラード風のこの曲は歌メロがよくて歌いやすく、歌詞もいい。
それまでのイメージとは少し違い、Zepは歌メロがいいのかな、
と思うようになった、ちょっと驚いた曲でした。
叫ぶけと歌メロがいいというのは僕には新機軸でした(笑)。
Tr3:The Lemon Song
(Jimmy Page, Robert Plant, John Paul Jones,
Burnett & John Bonham)
なんたこの中華街風のイントロは!
というのが最初に聴いて僕が思ったこと(笑)。
グルーヴ感という言葉はジョンジーのためにあるのではないか
というくらいにぐいぐい引っ張りつつもメロディアスなベース。
この曲はジョンジーのベースが凄いのひとことで、
ベースの名演としては屈指の曲だと思います。
テンポが変わる展開もメリハリがあっていいですね。
プラントのヴォーカルもサウンドとして面白く不思議な響きですが、
歌メロはそこそこなので、演奏とサウンドを楽しむ曲かな。
曲はいろいろな断片をオールドブルーズから「いただいている」
というのはもはやよく知られたお話ですが、
そういえばZepが大嫌いなピーター・バラカン氏が何かで、
ブルーズを「改作」して自分達の曲だと堂々と言っていた
当時の英国のブルーズのブームが許せない、と言っていました。
だからかこの曲、今はBurnettと「原曲」の作曲も名を連ねています。
とまあ、Tr1と、同じアルバムで同じことが2回もあるのでした・・・
03 秋のメジロ

Tr4:Thank You
(Jimmy Page & Robert Plant)
この曲はバラードといっていいのではないでしょうかね。
Zepの中でも歌メロがよくて抒情的な歌詞の曲のひとつです。
♪ If the sun refuse to shine, I would still be loving you
2曲目やこれで、彼らも意外とロマンティックなんだと思いました。
途中から始まるようなイントロも印象的ですし、
シンプルこの上ないタイトルがコロンブスの卵的感動でした。
アコースティック・ギターがメインの曲というのは、
実は彼らはバッファロー・スプリングフィールドやペンタングルが
好きだったというのは3枚目の後に言ったことですが、
この曲もそれがよく分かりますね。
間奏のアコースティック・ギターのソロも雰囲気を醸し出しています。
何をしてもよいほうに進む勢いがあった時期だったのでしょうね。
この曲はデュラン・デュラン Duran Duranがカバーしていますが、
オリジナルにはないジプシー風のイントロの旋律がついていて、
ポップソングとしてはこのほうが印象に残りやすく、
僕が聴いたカバー曲の中でも最上の部類に仕上がっていて驚きました。
Intermission
ここで唐突に閑話休題的、LPとCDの違いについて話します。
Thank Youは一度フェイドアウトし終わったかと思わせておいて、
またフェイドインして通常の音量近くに戻ったところで終わります。
CDで聴くと、Tr4が完全に終わって2秒ほどの間を置いてから、
Tr5の"Heartbreaker"のギターが唸りを上げて始まります。
僕は、アルバムは曲と曲のつなぎと「間(ま)」が重要と考えていて、
この2枚目は、LPを経験することなく最初からCDで聴いたので、
その間が絶妙でカッコいいと思いました。
しかし僕は、CDで初めて聴いたCD時代以前のアルバムは、
どこまでがA面でどこからがB面かを調べ把握して聴くのですが、
このアルバムはTr4までがA面、Tr5からがB面。
つまり、LP時代には、Tr4が終わったところでレコード盤をひっくり返し、
Tr5を聴くため、この2曲の「間」は数秒から十数秒かかるわけです。
LPで聴かれたかたは、やっぱりひっくり返したところで始まる
"Heartbreaker"の唸るギターに驚いたのでしょうけど、僕は、
CDのように「間」が短いほうがより効果的だと思いました。
そこでさらに勝手に考えを進めてしまうのが僕の悪い癖ですが、
でも書くと、もしかしてジミー・ペイジは当時から、
A面B面がなくつながって聴くことができれば、
より効果的だったのになと思っていたのかもしれない、と。
違うかもしれないし、そういう聴き方は邪道かもしれないけど、
でも僕は、CDのこの2曲の「間」が最高にカッコいいと思っています。
そういう楽しみ方もあるんだということで。
というわけで、いつもはA面とB面の間に写真を置きますが、
今回はそうしないで写真の場所をずらしました。
Tr5:Heartbreaker
(Jimmy Page, Robert Plant, John Paul Jones & John Bonham)
これは僕がZepで3番目に好きな曲グループの1曲です。
カッコよさの塊であり権化のような曲です。
ギターリフは聴いてすぐに耳コピーして弾くようになりましたが、
自分で弾いていても陶酔します(笑)。
演奏がすべてブレイクしたギターソロも印象的ですし、
その間奏への入り方がカッコよく、曲に深みがあって聴かせてくれます。
ジョンジーのベースはこの曲では潜りっ放しで下支えしていますが、
それもまたカッコいいし味わいがあるプレイ。
歌メロもいいし、コード進行もギターのカッティングもカッコいい。
最後の直前の異様な盛り上がりはゾクゾクしますし、
プラントが突然"heart"と言って曲が終わり、
次の曲に即座につなぐのも斬新な終わらせ方。
この曲は、僕の語彙力では、陳腐な言葉しか浮かびません。
これはニルヴァーナがカバーしていたのをボックスセットで聴きましたが、
やはりオリジナルに比べるとまっすぐに曲が進んでいて、
Zepのうねるグルーヴ感は独特のものなのだと分かりました。
Tr6:Living Loving Maid (She's Just A Woman)
(Jimmy Page & Robert Plant)
このアルバムではまっすぐなロックンロールといっていい曲かな。
コード進行が単純で、印象的でカッコいいギターリフに押されて
ロバート・プラントが歌い進む分かりやすい曲。
しかし、AメロとBメロのつなぎの部分のギターの入り方など、
パートによって少しずつ違うという工夫もこらされているのはさすが。
この曲はギターソロも割と簡単で、バッキングともどもギターで耳コピーし、
実は、僕が初めて通しで弾けるようになったZepの曲でもあり、
そういう点では思い入れもたっぷりの曲です。
そして僕はこの曲を聴くとビートルズのLovely Ritaを思い出します。
メイドつながりの曲ということですが、でも今の世の中は、
メイドといえばまた違った切り口になりそうですね・・・
04 ヤマモミジはもう色づいている木もある

Tr7:Ramble On
(Jimmy Page & Robert Plant)
僕がレッド・ツェッペリンで2番目に好きな曲。
この曲を最初に聴いた時は、感動を通り越して崩れ落ちました。
なんて素敵な曲なんだろうって。
こんなに美しいハードロックってあるんだ、知らなかった。
まずはアコースティック・ギターのイントロではっとさせられ、それを受けて
始まるジョンジーの抒情的に歌うベースで完全に引き込まれますね。
当時はベースを持っておらず、そのベースをギターで弾いていました。
さらにBメロでジョンジーのベースは、まるで秋に狂い咲きした
花のように派手に動きつつ美しく歌いまくる。
いやほんとすごいですね。
僕が最も好きなベーシストはポール・マッカートニーかジョンジー。
それが決まった曲であり、僕には今でもその2人ですが、この曲は、
ロック史において、ベースのイントロが印象的な曲としては
ビートルズのCome Togetherと双璧をなすものではないかと。
しかし、ベースだけならこのアルバムは今まですごいすごいと
言い続けていたのですが、なんといっても、この曲自体が美しい。
センチメンタルでロマンティクで歌メロがいい。
そしてこの曲には明確な季節感があります。
♪ Leaves are fallin' all around, time I was on my way
秋です、秋の曲です。
僕は常々、洋楽には基本的には季節感がないと言っていますが、
だから、明確に秋を表現しているこの曲に驚きました。
そうか、このアルバムを記事にしたいと思ったのは、
秋になって木々の葉が色づいてきたからかもしれない(笑)。
ただし、実際に秋を描写しているのではなく、たそがれて再出発を
余儀なくされる心象風景を秋と重ねて表現したのかもしれないですが。
間奏のエキゾティックな響きのキーボードも効果的で、
ジミー・ペイジは曲作りのつぼを押さえていると感じる部分です。
サビに入る前のボンゾのドラムスのひと叩きは、
気持ちが揺るぎそうなところをぴしゃっと鞭を打つように響きますが、
ボンゾのドラムスは、上手い下手以上に印象に残る音が多いですね。
ただ、この曲、アコースティック・ギターがよくて歌メロがよくても、
ギターで弾き語りすると、ベースがないとつまらないのです。
あまりにも素晴らしい曲であるがゆえの弱点だと思います。
ベースで弾き語りするほうがいいのかも(笑)。
Tr8:Moby Dick
(John Bonham, John Paul Jones & Jimmy Page)
ボンゾのドラムソロのためにあるインストゥロメンタルの曲。
そういう曲を用意する当たりも仲間意識が感じられていいですね。
まあ、忙しくて曲を用意できなかったのかもしれないですが。
とにかくギターリフがかっこいいのですが、この曲は、
いちばん低い音がDで、6弦開放のEより全音低くなっています。
僕はそれに気づき、当時はギターは1本しか持っていなかったため、
全音下げチューニングをするのが面倒なので、
6弦だけ全音下げて弾いていて、今でもその運指を覚えています。
余談ですが、サウンドガーデンの"Spoonman"も同様に弾けます。
このアルバムは朝にタイマーでかけていたと書きましたが、
この曲のボンゾのドラムソロの辺りになると、
そろそろ起きなきゃと思いながら聴いていました。
そんな時にこのボンゾの手で叩いているというドラムワークには
妙にいらいらしたものでした。
半分寝ている状態では、普通に流れがある音楽は心地よいけど、
こうした音は雑音のように感じたのでしょうね(笑)。
Tr9:Bring It On Home
(Jimmy Page & Robert Plant)
最後は曲としてはこの中でも弱いかなとは思いますが、
でも、この大喧騒に巻き込まれたアルバムを締め括るには、
やはり喧騒のままで終わるほうがすっきりとしますし、
カタルシス度も上がるのではないかと思います。
タイトルはサム・クックを彷彿とさせるものですし、
彼らがブルーズからロックにかけての流れの中にある音楽を
こよなく愛していたことはよく伝わってきます。
そしてこのタイトル、ツアーが長くて家に帰りたかったのかな(笑)。
Amazonの順位、これは輸入盤、2,241位。
僕がここで紹介する新譜でこれよりランクが低いものも多いですが、
(残念ながらロバート・プラント自身の新譜もその口・・・)
根強い人気で売れ続け、ファン層もますます拡大しているのでしょうね。
このアルバムは、買う前にいいだろうと期待していて、
その通り、それ以上によかったというアルバムですね。
ところで、ジミー・ペイジといえばレス・ポールが
トレードマークですが、このアルバムの頃はまだ
テレキャスターも(ほとんどかな)使っていたようです。
Communication Breakdownのクリップで持って弾いている、
あのペイズリー柄のテレキャスターですね。
特にLiving Loving Maidのギターの音は、ソロもバッキングも、
いかにもテレキャスターらしく聴こえてきます。
そうだ。
僕はまだこのLPを持っていないんだ。
きれいなのを探して買わなきゃ。
Posted by guitarbird at 21:54
│ロックK-P