2013年01月10日
NEVERMIND ニルヴァーナ
いつものように
写真へのコメントも
大歓迎です!
今回のアルバムは、何をいまさら、かもしれないし、
やっぱりこれか、かもしれないし・・・
いずれにせよ、ロックの記事を上げている以上は、
避けて通れない1枚ではあります。
しかし、なぜ今、僕がソウルに傾いているという
このタイミングでこの記事を上げるかというと・・・
これ、SHM-CDがリリースされたのですが、
弟が以前、シークレットトラック入りの日本盤を誰かに貸したところ、
いまだ戻ってきていないので、この際だから買った、
そして僕もそれを聴いて、やっぱりいいなと思った・・・
というのが真相です(笑)。
01

NEVERMIND Nirvana
ネヴァーマインド ニルヴァーナ released in 1991
ニルヴァーナ。
Gtのカート・コベイン、Bsのクリス・ノヴォセリック、そして
Dsのデイヴ・グロールの、「史上最強」の3ピースバンド。
デイヴ・グロールは今はフー・ファイターズをやっていますね。
これは、時代を変え、時代を作った傑作アルバム。
僕がリアルタイムで体験したアルバムの中で、僕個人ではなく、
「世の中へのインパクト」という点では、間違いなくいちばんでしょう。
そして、今後もこういうアルバムは現れないのかな。
ま、今は自分が「第一線」からは身を引いていて(笑)、
分かりようがないので、断言はしないでおきますが。
僕が買ったのはヒットしてからの後追いで、
それまでの経緯などは分からないのですが、
最初に聴いて単純に驚きました。
「こんなにギターがうるさいのに、こんなに曲がポップだなんて」
音楽でも映画でも、傑作というのは時として、
「ありそうでなかった」コロンブスの卵的なものではないでしょうか。
これはまさに目から鱗でした。
しかもこれ、それがきわめて自然かつ必然に感じられたのです。
この前に流行っていた、僕が「産業メタル」と呼んでいるところの、
「ポップなハードロック/ヘヴィメタル」よりは、ずっと
芯がしっかりとしていて、ずしりと響いてきます(笑)。
そういえば、買ったのは確か、92年の今頃だったなぁ。
後に、僕が購読していたFMファンで彼らの特集が組まれていて
それを読んで、やっぱり、と思った部分がありました。
VoとGtのカート・コベインは、アバとレインボーが好き。
今でこそ僕はどちらも好きで、そういう聴き方に慣れていますが、
当時はまだ、僕自身もジャンルにこだわって聴いていて、
ともすれば「ポップなもの」を軽視(蔑視?)しがちでしたし、
世の中でもまだまだそういう聴き方の人は
「節操がない」と言われていた時代だったと思います。
そもそも当時、ロックは、「大人が聴くもの」としては、
まだ完全な市民権を得てはいなかったはずですし。
このアルバムが目指したものは、多分、パンクと同じく
「古くなったロックを捨てて、新しいロックを創ろう!」
ではなかったかと思います。
アメリカでは1990年代に、「ネオ・パンク」の流れもありましたし。
ただ、捨てるというよりはむしろ、ロックの先達を尊敬しつつ、
違った方法論を組み立てて新しい音楽を提示することに、
このアルバムは成功したようです。
強烈な破壊力がありながら、その破壊力を利用して、
さらに別のものを作るという姿勢でしょうか。
だから、レインボーであり、アバだったのでしょう。
その辺の先達への尊敬の念は、僕も聴いて感じ取りました。
なお、1991年頃というのは、僕自身については、
人生の中で最も音楽と「気持が離れていた」時期であり、
世の中では「ロックは死に」、ヒップホップ全盛の時代でしたが、
このアルバムを聴いた時に、まだまだロックにも可能性があると
確かに感じていました。
さらに雑誌には、こんなうれしいことも書いてありました。
「ビッグになっても平素な姿勢でいられるR.E.M.を尊敬している」
確かにR.E.M.は、普段はあまり大物ぶった態度はとらないと
当時も言われていましたが、カートの目には、
その姿が理想と映ったのでしょう。
そして、大物になると態度が大きくなるという点でも、
それまでの「ショービジネス化」したロックに疑問を感じていた。
余談、これも後に雑誌で読んだのですが、
R.E.M.のマイケル・スタイプは、こんなことも言っていました。
「Man On The Moonは、ニルヴァーナの曲よりもたくさん
yeah yeah yeahと言ってやろうと思って作った」
この2人は、お互いに尊敬の念を抱いていたようですし、
そんなわけだから、僕もより興味を持ち、
続いて出た2枚のアルバムもすぐに買いました。
02 夜明けの松の「3ピース」

ニルヴァーナの、あえて「功罪」という言葉を使わせていただきますが、
その「功罪」は、「後続のロックの音を決定づけたこと」でしょう。
これは「功」「罪」どちらの面もあるということです。
音はいわゆる「グランジ」というやつですが、まあ、要するに
この後のロックのバンドはこんな音が増えました。
僕は、当時はいちばんよくMTVを観ていた頃でしたが、
そういう音は、正直、あまり好きにはなれませんでした。
ただ、一見そうした音を出す「同じようなバンド」だった
ストーン・テンプル・パイロッツが「本物」だったのは、収穫でしたが。
実際にはもう1つ「ミクスチャー」というやつも幅を利かせたんですが
これについては僕も多くは語れないので割愛します。
しかし、多くの者が後に続いたということは、
ニルヴァーナの「革命」は成功したわけですし、
その点は「功」の部分でしょう。
でも、カートはそれを、はたして喜んでいたのか。
自分はただ音楽を再構築したかっただけなのに、気がつけば
「ショービジネス化」した中に巻き込まれていた・・・
独創的なものを創りたかったはずが、気がつけば、
周りを見回すと、みな同じようなことをしていた・・・
「功」の部分は、同時に、「罪」でもあったのかもしれません。
03 ツルアジサイのドライフラワーを雪の上に置いた

1994年、カート・コベインは、銃で自殺します。
僕はMTVで第一報を知り、そこからMTVは追悼ムードになりました。
それまでも、奇行が見られたり、一時心臓が止まったらしいなど
よくないニュースも聞いていたのですが、でも、まさか。
レコードが飛ぶように売れ、時代の寵児としてもてはやされ、
気がつくと、自分自身が、かつては自らが嫌っていたはずの
「大物」になっていた・・・
そこからくる様々な葛藤の末のことだったのかもしれません。
ブームとしてのグランジはやがて終焉を迎えたのですが、
でも、その後の「ハードなロック」のギターの音は、基本的には
ニルヴァーナの音の流れの上にあるものになりました。
ヘヴィメタル命の弟は、それが嫌なようです。
先日、弟は、ヘヴィメタル誌「BURRN!」で評価が高かった、
ニッケルバックの新譜DARK HORSEを買いました。
これ、評価が高かったことと、プロデューサーが
マット・ランジだったことで弟は期待していたのですが、
聴くと、やっぱりというか、ギターの音が、
弟好みの「真性ハードロック/ヘヴィメタルの音」ではなく、
やっぱりこの流れの音で、がっかりしていました。
ここから得られる「教訓」としては、
「オリジナルは偉大だ」、でしょうか。
というわけで、僕がロックについてゆけなくなったのは、
自身の年齢以外に、遠因として、このアルバムがあるわけです。
そして、今回は、聴き直したのをきっかけに、
この辺で自分の中でまとめて記事としてひと区切りをつけ、
今後の音楽記事を書いてゆこうとも思ったわけです。
その意味では、これを書いた今は、すっきりした気分ですね(笑)。
04 円山公園の樹氷

Tr1:Smells Like Teen Spirit
★歴史的名曲★
多分、評論家やロックファン的にいえば、
1990年代の最高の1曲なのだろうと思います。
確かに、この曲がかかると、跳ねるようなリズムで、
アタマでっかちの僕でも思わずノッてしまうくらいで(笑)、
音楽の力の凄さを再認識させられる曲ではあります。
でも、誤解を恐れずにあえていえば、僕は歌メロ中心の人間なので、
これは、歌としてはそこまではいかないですね。
まあ、僕が古い人間だと悟った曲、というところでしょうか(笑)。
でももちろんいい曲だし、外せない曲。
ただ、このビデオクリップの最後に見どころがあります。
それまで真剣にやって精根尽きたかという表情を見せ、
エモーショナルなままに曲が終わったと思ったところ、
画面が消える直前に、まるでそれが冗談であったかのように
ふっと素顔に戻ります。
それを見てなんというか、ほっとしました。
まるでロックのすべてを背負っているかのような姿は
自分の姿をすべてさらけ出しているように見えましたが、
実はやはり、大なり小なり演じることが必要であり、
ある程度の「ショービジネス化」は仕方ないと考えていたのでは。
まあ、すべてをぶっ壊すという人でもなかったようなので、
それでいいのだとは思います。
ちなみに、アルバムタイトルのNevermindという言葉が、
この曲の歌詞の中にありますが、これは、
アルバムタイトルそのものの曲がない例でもありますね。
Tr2:In Bloom
★佳曲★
このアルバムは、コード進行が面白くて、
ギターでコードだけ弾いていても楽しい曲が多いですが、
これはその筆頭かな。
この曲こそ、ポップさとハードさが絶妙に混在していて、
ある意味和みますね、今聴いてもとってもいい曲。
なぜか3人が女装して「テレビショー」のステージで演奏する
モノクロのビデオクリップも印象的でした。
Tr3:Come As You Are
★名曲★
FENでこの曲を聴いていいなと思い、翌日すぐに、
秋葉原の石丸でこのCDを買ったのでした。
ある意味、究極の進化を遂げたブルーズという感じ。
ただ、この曲の歌詞に
I swear that I don't have a gun
という部分がありますが、カートが銃で自殺した時、
それは嘘だったのか、と、虚しくなりました・・・
Tr4:Breed
今聴くと至極シンプルかつストレートなハードロックというところか。
痛快な演奏と重たい曲のブレンドは彼ららしいところ。
Tr5:Lithium
★佳曲★
静かなAメロと叫ぶBメロの対比が効果的で、
さらにたたみかけるような「Cメロ」に雪崩れ込む佳曲。
Aメロ部分の2小節で2つだけ入るバスドラがなぜか印象的。
これを聴くと確かに充電できそう(笑)。
Tr6:Polly
★佳曲★
フォークのエッセンス満載の、静かな、ほの暗い曲。
この曲を聴いて、ああ、いろんなことを吸収してきている
たいしたバンドなんだなと思いました。
05 夜明けの空に・・・Something In The Way・・・

Tr7:Terriorial Pissings
★注目★
タイトルはどうやら、
犬などが縄張りを主張するのにおしっこすること、らしい。
僕は、カートは、十分インテリに見える人だと思います。
でもこれ、最後に声を乱して破滅的に叫ぶ部分があって、
インテリ一辺倒ではないところも見せている、ような気がします。
これを解釈すると、ロックがぬるくなり過ぎたことに対して
警鐘を鳴らし、再び原初のパワーを注入しているのでしょう。
しかし、ぬるくなったロックを聴いて育った僕としては、
カートの思いは理解できて、ある面は支持できるんだけど、
音楽としてちょっとどうかという叫び声を聴くのであれば、
僕は、ぬるい曲をゆったりと聴く方を選ぶなぁ・・・
ある意味、このアルバムの白眉なのかもしれないけど、
僕にとっては、このアルバムにあるから聴く曲です。
まあ、返す返すも、自分が年をとったことを感じるのですが(笑)。
Tr8:Drain You
しかしその破滅的な叫びを打ち消すかのように
短いギターに優しげな声で曲が始まり、ほっとします。
彼らには普通のハードな演奏ですが、曲自体は適度にポップ。
Tr9:Lounge Act
ぐいぐい引っ張っていく軽快な曲。
この辺、Tr8からTr11は、ラストに向けて加勢しているというか、
聴いていると、頭の中がループ状態に陥ります。
演奏のハードさが小気味よいですね。
Tr10:Stay Away
ジャングルビート風の、激しいノリの曲。
疾走感ではアルバムいちばんかな。
デイヴ・グロールのドラムスは好きです。
Tr11:On A Plain
カートは、風貌からして実年齢よりかなり上に見えましたが、
この曲を聴くと、彼も年相応に感覚は若かったんだ、
ということが見えてくる、(珍しく)楽しげで軽快な曲。
疾走の果てに飛び上がった、というところか。
Tr12:Something In The Way
★GB的名曲★
この、ぬめっとした空気のような雰囲気が不思議としみてくる。
ある意味不気味な、でもぐいっと引き込まれる響きの旋律。
ここにきてチェロが登場するのも、ただならぬ雰囲気を醸し出す。
そして消え入るようなヴォーカルが追い打ちをかける。
ほんと、不思議な魅力に満ちた曲。
強引な言い方をすれば、ある意味「ソウル」ですね、これは(笑)。
カート自身の、ではなく、
「どこかにある誰かの魂がカートに歌わせている」、という感じか。
今回聴き直して、こんなにいい曲だったかと思いましたし、
このアルバムでいちばん好きなのがこの曲となりました。
なお、国内盤のシークレット・トラックというのは、
無音状態が10分くらい続いた後に、
ノイジーな、曲ともいえない音が入っているというものです。
あ、シークレットだから、言わない方がよかったのかな・・・
このリンクは、SHM-CDではない、海外盤の通常盤のため、
シークレット・トラックは入っていませんが、
僕が聴いてきたのがこれなので、リンクもこれにしました。
このリンクを作る際に見たところ、このアルバムは、
Amazonのミュージック全体で2952位と出てきました。
これは、新譜を除くと、僕が今までにここで施したリンクで
順位がいちばん高いんじゃないかな。
というか、新譜でもそれより低いのが幾つか(も)あったはず・・・
まだそんなに売れてるのか、と、ちょっと驚きましたが、
根強い人気を物語っていますね。
多分これ、ブックオフなどであったとしても、
750円以下ということはないと思います。
いろいろ書いてきましたが、今回聴き直して、
僕自身は素直に大好きだと思い直しました。
これは100%、嘘偽りないところです。
ただし、僕にとっては、それ以上ではないのも確かです。
まあ、大好きなだけで十分かもしれないですが。
しかし、僕以上に頑固なメタルマニアの弟、
「やっぱりこのアルバムはいいよな」と僕が言うと
「ううん、そうかなぁ・・・」と、言葉を濁して終わりました・・・
そして今回、僕が「再発見」したことがあります。
カートのヴォーカリストとしての魅力です。
当時はまあ、叫んだりがなったりという部分が耳につき、
「地の声」も、飄々と歌っているようにしか感じられず、
ヴォーカリストとしてどうかということは見えていなかったのですが、
強いだけではなく、時には優しく語りかけるような歌い方、
そして「地の声」の思いがけない人懐っこさにひかれました。
単純なことだけど、やっぱり、声の魅力というのは
上手いかどうかとは別に、ポピュラー音楽としては、
売れるかどうかの重要な要素であるんだな、と。
でも、そういう言い方をカートは好まないかもしれないですが、
いずれにせよ、それに気づいてよかったです。
★★★
今日はおまけがあります。
ひとまず、音楽の内容とはまったく関係ないのですが・・・
06

本日、1月10日は、
ハウの誕生日です!
2歳になりました。
でも、散歩で歩いていると、他の人には、
もっと年上に見えるらしいです・・・(笑)。
ハウ、おめでとう!
07

弟が、HMVで、「ビクターの犬」
ニッパー君のぬいぐるみを買ったんですが
これはハウのおもちゃじゃありません、念のため(笑)。
写真へのコメントも
大歓迎です!
今回のアルバムは、何をいまさら、かもしれないし、
やっぱりこれか、かもしれないし・・・
いずれにせよ、ロックの記事を上げている以上は、
避けて通れない1枚ではあります。
しかし、なぜ今、僕がソウルに傾いているという
このタイミングでこの記事を上げるかというと・・・
これ、SHM-CDがリリースされたのですが、
弟が以前、シークレットトラック入りの日本盤を誰かに貸したところ、
いまだ戻ってきていないので、この際だから買った、
そして僕もそれを聴いて、やっぱりいいなと思った・・・
というのが真相です(笑)。
01

NEVERMIND Nirvana
ネヴァーマインド ニルヴァーナ released in 1991
ニルヴァーナ。
Gtのカート・コベイン、Bsのクリス・ノヴォセリック、そして
Dsのデイヴ・グロールの、「史上最強」の3ピースバンド。
デイヴ・グロールは今はフー・ファイターズをやっていますね。
これは、時代を変え、時代を作った傑作アルバム。
僕がリアルタイムで体験したアルバムの中で、僕個人ではなく、
「世の中へのインパクト」という点では、間違いなくいちばんでしょう。
そして、今後もこういうアルバムは現れないのかな。
ま、今は自分が「第一線」からは身を引いていて(笑)、
分かりようがないので、断言はしないでおきますが。
僕が買ったのはヒットしてからの後追いで、
それまでの経緯などは分からないのですが、
最初に聴いて単純に驚きました。
「こんなにギターがうるさいのに、こんなに曲がポップだなんて」
音楽でも映画でも、傑作というのは時として、
「ありそうでなかった」コロンブスの卵的なものではないでしょうか。
これはまさに目から鱗でした。
しかもこれ、それがきわめて自然かつ必然に感じられたのです。
この前に流行っていた、僕が「産業メタル」と呼んでいるところの、
「ポップなハードロック/ヘヴィメタル」よりは、ずっと
芯がしっかりとしていて、ずしりと響いてきます(笑)。
そういえば、買ったのは確か、92年の今頃だったなぁ。
後に、僕が購読していたFMファンで彼らの特集が組まれていて
それを読んで、やっぱり、と思った部分がありました。
VoとGtのカート・コベインは、アバとレインボーが好き。
今でこそ僕はどちらも好きで、そういう聴き方に慣れていますが、
当時はまだ、僕自身もジャンルにこだわって聴いていて、
ともすれば「ポップなもの」を軽視(蔑視?)しがちでしたし、
世の中でもまだまだそういう聴き方の人は
「節操がない」と言われていた時代だったと思います。
そもそも当時、ロックは、「大人が聴くもの」としては、
まだ完全な市民権を得てはいなかったはずですし。
このアルバムが目指したものは、多分、パンクと同じく
「古くなったロックを捨てて、新しいロックを創ろう!」
ではなかったかと思います。
アメリカでは1990年代に、「ネオ・パンク」の流れもありましたし。
ただ、捨てるというよりはむしろ、ロックの先達を尊敬しつつ、
違った方法論を組み立てて新しい音楽を提示することに、
このアルバムは成功したようです。
強烈な破壊力がありながら、その破壊力を利用して、
さらに別のものを作るという姿勢でしょうか。
だから、レインボーであり、アバだったのでしょう。
その辺の先達への尊敬の念は、僕も聴いて感じ取りました。
なお、1991年頃というのは、僕自身については、
人生の中で最も音楽と「気持が離れていた」時期であり、
世の中では「ロックは死に」、ヒップホップ全盛の時代でしたが、
このアルバムを聴いた時に、まだまだロックにも可能性があると
確かに感じていました。
さらに雑誌には、こんなうれしいことも書いてありました。
「ビッグになっても平素な姿勢でいられるR.E.M.を尊敬している」
確かにR.E.M.は、普段はあまり大物ぶった態度はとらないと
当時も言われていましたが、カートの目には、
その姿が理想と映ったのでしょう。
そして、大物になると態度が大きくなるという点でも、
それまでの「ショービジネス化」したロックに疑問を感じていた。
余談、これも後に雑誌で読んだのですが、
R.E.M.のマイケル・スタイプは、こんなことも言っていました。
「Man On The Moonは、ニルヴァーナの曲よりもたくさん
yeah yeah yeahと言ってやろうと思って作った」
この2人は、お互いに尊敬の念を抱いていたようですし、
そんなわけだから、僕もより興味を持ち、
続いて出た2枚のアルバムもすぐに買いました。
02 夜明けの松の「3ピース」

ニルヴァーナの、あえて「功罪」という言葉を使わせていただきますが、
その「功罪」は、「後続のロックの音を決定づけたこと」でしょう。
これは「功」「罪」どちらの面もあるということです。
音はいわゆる「グランジ」というやつですが、まあ、要するに
この後のロックのバンドはこんな音が増えました。
僕は、当時はいちばんよくMTVを観ていた頃でしたが、
そういう音は、正直、あまり好きにはなれませんでした。
ただ、一見そうした音を出す「同じようなバンド」だった
ストーン・テンプル・パイロッツが「本物」だったのは、収穫でしたが。
実際にはもう1つ「ミクスチャー」というやつも幅を利かせたんですが
これについては僕も多くは語れないので割愛します。
しかし、多くの者が後に続いたということは、
ニルヴァーナの「革命」は成功したわけですし、
その点は「功」の部分でしょう。
でも、カートはそれを、はたして喜んでいたのか。
自分はただ音楽を再構築したかっただけなのに、気がつけば
「ショービジネス化」した中に巻き込まれていた・・・
独創的なものを創りたかったはずが、気がつけば、
周りを見回すと、みな同じようなことをしていた・・・
「功」の部分は、同時に、「罪」でもあったのかもしれません。
03 ツルアジサイのドライフラワーを雪の上に置いた

1994年、カート・コベインは、銃で自殺します。
僕はMTVで第一報を知り、そこからMTVは追悼ムードになりました。
それまでも、奇行が見られたり、一時心臓が止まったらしいなど
よくないニュースも聞いていたのですが、でも、まさか。
レコードが飛ぶように売れ、時代の寵児としてもてはやされ、
気がつくと、自分自身が、かつては自らが嫌っていたはずの
「大物」になっていた・・・
そこからくる様々な葛藤の末のことだったのかもしれません。
ブームとしてのグランジはやがて終焉を迎えたのですが、
でも、その後の「ハードなロック」のギターの音は、基本的には
ニルヴァーナの音の流れの上にあるものになりました。
ヘヴィメタル命の弟は、それが嫌なようです。
先日、弟は、ヘヴィメタル誌「BURRN!」で評価が高かった、
ニッケルバックの新譜DARK HORSEを買いました。
これ、評価が高かったことと、プロデューサーが
マット・ランジだったことで弟は期待していたのですが、
聴くと、やっぱりというか、ギターの音が、
弟好みの「真性ハードロック/ヘヴィメタルの音」ではなく、
やっぱりこの流れの音で、がっかりしていました。
ここから得られる「教訓」としては、
「オリジナルは偉大だ」、でしょうか。
というわけで、僕がロックについてゆけなくなったのは、
自身の年齢以外に、遠因として、このアルバムがあるわけです。
そして、今回は、聴き直したのをきっかけに、
この辺で自分の中でまとめて記事としてひと区切りをつけ、
今後の音楽記事を書いてゆこうとも思ったわけです。
その意味では、これを書いた今は、すっきりした気分ですね(笑)。
04 円山公園の樹氷

Tr1:Smells Like Teen Spirit
★歴史的名曲★
多分、評論家やロックファン的にいえば、
1990年代の最高の1曲なのだろうと思います。
確かに、この曲がかかると、跳ねるようなリズムで、
アタマでっかちの僕でも思わずノッてしまうくらいで(笑)、
音楽の力の凄さを再認識させられる曲ではあります。
でも、誤解を恐れずにあえていえば、僕は歌メロ中心の人間なので、
これは、歌としてはそこまではいかないですね。
まあ、僕が古い人間だと悟った曲、というところでしょうか(笑)。
でももちろんいい曲だし、外せない曲。
ただ、このビデオクリップの最後に見どころがあります。
それまで真剣にやって精根尽きたかという表情を見せ、
エモーショナルなままに曲が終わったと思ったところ、
画面が消える直前に、まるでそれが冗談であったかのように
ふっと素顔に戻ります。
それを見てなんというか、ほっとしました。
まるでロックのすべてを背負っているかのような姿は
自分の姿をすべてさらけ出しているように見えましたが、
実はやはり、大なり小なり演じることが必要であり、
ある程度の「ショービジネス化」は仕方ないと考えていたのでは。
まあ、すべてをぶっ壊すという人でもなかったようなので、
それでいいのだとは思います。
ちなみに、アルバムタイトルのNevermindという言葉が、
この曲の歌詞の中にありますが、これは、
アルバムタイトルそのものの曲がない例でもありますね。
Tr2:In Bloom
★佳曲★
このアルバムは、コード進行が面白くて、
ギターでコードだけ弾いていても楽しい曲が多いですが、
これはその筆頭かな。
この曲こそ、ポップさとハードさが絶妙に混在していて、
ある意味和みますね、今聴いてもとってもいい曲。
なぜか3人が女装して「テレビショー」のステージで演奏する
モノクロのビデオクリップも印象的でした。
Tr3:Come As You Are
★名曲★
FENでこの曲を聴いていいなと思い、翌日すぐに、
秋葉原の石丸でこのCDを買ったのでした。
ある意味、究極の進化を遂げたブルーズという感じ。
ただ、この曲の歌詞に
I swear that I don't have a gun
という部分がありますが、カートが銃で自殺した時、
それは嘘だったのか、と、虚しくなりました・・・
Tr4:Breed
今聴くと至極シンプルかつストレートなハードロックというところか。
痛快な演奏と重たい曲のブレンドは彼ららしいところ。
Tr5:Lithium
★佳曲★
静かなAメロと叫ぶBメロの対比が効果的で、
さらにたたみかけるような「Cメロ」に雪崩れ込む佳曲。
Aメロ部分の2小節で2つだけ入るバスドラがなぜか印象的。
これを聴くと確かに充電できそう(笑)。
Tr6:Polly
★佳曲★
フォークのエッセンス満載の、静かな、ほの暗い曲。
この曲を聴いて、ああ、いろんなことを吸収してきている
たいしたバンドなんだなと思いました。
05 夜明けの空に・・・Something In The Way・・・

Tr7:Terriorial Pissings
★注目★
タイトルはどうやら、
犬などが縄張りを主張するのにおしっこすること、らしい。
僕は、カートは、十分インテリに見える人だと思います。
でもこれ、最後に声を乱して破滅的に叫ぶ部分があって、
インテリ一辺倒ではないところも見せている、ような気がします。
これを解釈すると、ロックがぬるくなり過ぎたことに対して
警鐘を鳴らし、再び原初のパワーを注入しているのでしょう。
しかし、ぬるくなったロックを聴いて育った僕としては、
カートの思いは理解できて、ある面は支持できるんだけど、
音楽としてちょっとどうかという叫び声を聴くのであれば、
僕は、ぬるい曲をゆったりと聴く方を選ぶなぁ・・・
ある意味、このアルバムの白眉なのかもしれないけど、
僕にとっては、このアルバムにあるから聴く曲です。
まあ、返す返すも、自分が年をとったことを感じるのですが(笑)。
Tr8:Drain You
しかしその破滅的な叫びを打ち消すかのように
短いギターに優しげな声で曲が始まり、ほっとします。
彼らには普通のハードな演奏ですが、曲自体は適度にポップ。
Tr9:Lounge Act
ぐいぐい引っ張っていく軽快な曲。
この辺、Tr8からTr11は、ラストに向けて加勢しているというか、
聴いていると、頭の中がループ状態に陥ります。
演奏のハードさが小気味よいですね。
Tr10:Stay Away
ジャングルビート風の、激しいノリの曲。
疾走感ではアルバムいちばんかな。
デイヴ・グロールのドラムスは好きです。
Tr11:On A Plain
カートは、風貌からして実年齢よりかなり上に見えましたが、
この曲を聴くと、彼も年相応に感覚は若かったんだ、
ということが見えてくる、(珍しく)楽しげで軽快な曲。
疾走の果てに飛び上がった、というところか。
Tr12:Something In The Way
★GB的名曲★
この、ぬめっとした空気のような雰囲気が不思議としみてくる。
ある意味不気味な、でもぐいっと引き込まれる響きの旋律。
ここにきてチェロが登場するのも、ただならぬ雰囲気を醸し出す。
そして消え入るようなヴォーカルが追い打ちをかける。
ほんと、不思議な魅力に満ちた曲。
強引な言い方をすれば、ある意味「ソウル」ですね、これは(笑)。
カート自身の、ではなく、
「どこかにある誰かの魂がカートに歌わせている」、という感じか。
今回聴き直して、こんなにいい曲だったかと思いましたし、
このアルバムでいちばん好きなのがこの曲となりました。
なお、国内盤のシークレット・トラックというのは、
無音状態が10分くらい続いた後に、
ノイジーな、曲ともいえない音が入っているというものです。
あ、シークレットだから、言わない方がよかったのかな・・・
このリンクは、SHM-CDではない、海外盤の通常盤のため、
シークレット・トラックは入っていませんが、
僕が聴いてきたのがこれなので、リンクもこれにしました。
このリンクを作る際に見たところ、このアルバムは、
Amazonのミュージック全体で2952位と出てきました。
これは、新譜を除くと、僕が今までにここで施したリンクで
順位がいちばん高いんじゃないかな。
というか、新譜でもそれより低いのが幾つか(も)あったはず・・・
まだそんなに売れてるのか、と、ちょっと驚きましたが、
根強い人気を物語っていますね。
多分これ、ブックオフなどであったとしても、
750円以下ということはないと思います。
いろいろ書いてきましたが、今回聴き直して、
僕自身は素直に大好きだと思い直しました。
これは100%、嘘偽りないところです。
ただし、僕にとっては、それ以上ではないのも確かです。
まあ、大好きなだけで十分かもしれないですが。
しかし、僕以上に頑固なメタルマニアの弟、
「やっぱりこのアルバムはいいよな」と僕が言うと
「ううん、そうかなぁ・・・」と、言葉を濁して終わりました・・・
そして今回、僕が「再発見」したことがあります。
カートのヴォーカリストとしての魅力です。
当時はまあ、叫んだりがなったりという部分が耳につき、
「地の声」も、飄々と歌っているようにしか感じられず、
ヴォーカリストとしてどうかということは見えていなかったのですが、
強いだけではなく、時には優しく語りかけるような歌い方、
そして「地の声」の思いがけない人懐っこさにひかれました。
単純なことだけど、やっぱり、声の魅力というのは
上手いかどうかとは別に、ポピュラー音楽としては、
売れるかどうかの重要な要素であるんだな、と。
でも、そういう言い方をカートは好まないかもしれないですが、
いずれにせよ、それに気づいてよかったです。
★★★
今日はおまけがあります。
ひとまず、音楽の内容とはまったく関係ないのですが・・・
06

本日、1月10日は、
ハウの誕生日です!
2歳になりました。
でも、散歩で歩いていると、他の人には、
もっと年上に見えるらしいです・・・(笑)。
ハウ、おめでとう!
07

弟が、HMVで、「ビクターの犬」
ニッパー君のぬいぐるみを買ったんですが
これはハウのおもちゃじゃありません、念のため(笑)。
Posted by guitarbird at 20:29
│ロックK-P