2016年03月25日
Doctor Robert ザ・ビートルズ
01

Doctor Robert
The Beatles
(1966)
The Beatles 36/213
続けざまにビートルズの213曲です。
アルバムREVOLVERでは
前回の記事For No Oneの次に入っている曲。
三つ子の魂なんとやら、僕は、ビートルズのある曲を聴くと、
反射的にアルバムでその次に入っている曲を思い出してしまう。
For No Oneの記事を上げてからずっとこの曲が頭に浮かび、
まるで幻覚を見ているような気持になってしまった。
その気持ちを晴らすには記事にするしかない。
ということで今日もお付き合いください。
Doctor Robertはビートルズ7枚目のアルバム
REVOLVERのB面4(=CD11)曲目として
1966年8月5日に世に出ました。
作曲者はジョン・レノン、ヴォーカルもジョン。
先ずは曲から。
Doctor Robert
The Beatles
(1966)
続いて『ビートルズ・レコーディング・セッションズ』より。
いつものように引用者が改行は表記変更を適宜行っています。
***
1966年4月17日(日)
ビートルズは、ニューヨークに実在する
チャールズ・ロバーツという医者のことを歌った
ジョンの新曲を録音する。
この医者は48丁目に医院を構え、
友人たちに幻覚剤を与えているという噂だった。
ビートルズがドラックを直接の題材にした初めての曲だ。
この日はバッキングトラックのみのレコーディングで、
リードギター、リズムギター、ベースギター、ドラムス、
それにマラカス(ジョージ)、ハーモニウム(ジョン)、
ピアノ(ポール)という編成。
ヴォーカルは4月19日にスーパーインポーズされる。
この時点では、曲の長さは2分56秒だったが、
リミックス(数回行われる)のときには
いずれも2分13秒に編集された。
***
珍しく日曜日に録音作業していますね。
その後、4月19日にジョンのヴォーカル録音が行われ、
同じ日にモノミックスが制作、5月12日と5月20日に
ステレオミックスが行われました。
ところが、この5月12日のミックスがいわくつき。
ビートルズは1966年まで、英国とアメリカでは
別の形状でLPを出していました。
英国Parlophoneのオリジナルに対して、米国Capitolは、
英国のアルバム2枚とシングル曲を「がらがらぽん」した上で、
3枚のLPを「ねつ造」して売る(儲ける)ということをしていました。
だから、当時のRUBBER SOULとREVOLVERは、
英国盤と米国盤で収録曲と曲順が違います。
しかし、ビートルズがコンサート活動をやめて本格的に
レコード創作に入った1967年から、ビートルズの意志を尊重し、
オリジナルアルバムはアメリカでも同内容で出るようになりました。
REVOLVERのために録音した曲のうち、早くに出来上がっていた
3曲が、米国でREVOLVERの前にリリースされるLP
YESTERDAY AND TODAYに回されることになり、
先にミックス作業が行われ、この曲もその1曲でした。
その後英国盤用に新たにミックスが行われたため、
英国盤と米国盤ではミックスが違います。
ただ、米国盤をCD化したTHE BEATLES U.S. ALBUMSの中の
そのアルバムで聴いたところ、あくまでもミックスの違いであり、
曲の長さも同じで、大きな違いはないように感じられました。
余談ですがYESTERDAY AND TODAYは、
かの有名な「ブッチャーカヴァー」、
気味悪いジャケット写真のために回収されて出直したものですが、
CDボックスでは「ブッチャーカヴァー」で紙ジャケットとして再現され、
新しいジャケット写真がシールとしてついています。
ちょっと洒落てますね。
「ブッチャーカヴァー」が嫌な人はほんとに貼るのかな。
もうひとつ、「ロバート博士」について、ウィキペディアに
異説が載っていたので、今回はそれも引用します。
***
ロバート・フライマン(Robert Freymann)という
ニューヨークに実在した"スピード・ドクター"
(アンフェタミンやLSDなどを大量に処方してくれる医師のこと)
と呼ばれる医師で、アンディー・ウォーホルなどニューヨークの
アーティストの間では評判だった人物である。
(チャールズ・ロバーツなる人物がモデルになった
という説もあるがフライマンの説の方が有力)。
ビートルズのメンバーとは直接の面識や関わりはなかったが、
ポール・マッカートニー曰く、(彼は)
『ニューヨークをハイにし続けた男』である。
この曲のモデルとなったロバート・フライマンはドイツ出身。
麻薬の使用が問題となったため、1967年に医師免許を剥奪され、
1975年にニューヨーク医師会を追放されて1987年に死去している。
***
『...セッションズ』はもう20年以上前に刊行された本ですが、
その間にもビートルズ研究は進んだということですね。
続いて『ジョン・レノン・プレイボーイ・インタビュー』より。
***
これもぼくのだ。
ドラッグやピルがテーマさ。
つまり、ぼく自身についてだ。
最初の頃、ツアーで、
ぼくはあらゆるヤクを自分で持って歩いていた。
その後は、ローディ(ツアーマネージャー)に
持たせてたけどね。
***
02

つまりこの曲は「悪のりソング」ですね。
黒い革ジャン姿だった彼らの反抗的、反社会的な部分は、
ブライアン・エプスタインとの出会いにより抑圧され、
スーツ姿で良い子として人前に出て歌っていた。
しかし、何かしでかしてやろうという心意気はあったようで、
そのひとつがクスリのことを婉曲的に歌うことだったのでしょう。
引用文中で、ビートルズがドラッグを題材にとった初めての歌
とあり、曲自体のテーマとしてはそうですが、
ドラッグの体験を婉曲的に表現としてものとしては、
She's A Womanの”turns me on"=「僕をしびれさせてくれる」
が最初だったとジョンのインタビューで読みました。
そしてかのDay Tripperも婉曲的表現。
詳しくはそれらの曲の記事にていつかまた。
しかし、この曲の表現はもっと直接的なものになっています。
お医者さんが主人公ですからね。
僕は、ビートルズは大好きですが、神格化しようとは思わない。
彼らも人間であり、不倫をしたり、クスリをやったりしていた。
そのことに目をつむるつもりはないし、美化することもない。
僕自身が彼らのそういう部分に憧れるなんてこともない。
そういう部分があることを認めた上で触れない、という考えです。
まあ、触れないというだけで美化することに近いかもしれないですが、
触れないだけでいつもそのことは意識の中にあります。
この話はビートルズ以外や実生活に置き換えて話すと
長くなってしまうので、今日はここでやめておきます。
しかしそれにしてもこの曲の「悪のり」は過ぎる。
ジョンはわざわざ友だちに電話をかけて、
「ロバート博士はすごいんだよ」と吹聴し、「勧誘」している。
こうなるともうほとんど犯罪行為ですよねぇ・・・
中高生の頃、この歌詞を読んで想像を巡らせたものですが、
特に以下のくだり
"Take a drink from his special cup, Doctor Robert"
なんだか薄気味悪いと感じました。
曲としてみれば、まあ普通の曲であり、ハードロックとまでは
いかないけれど、硬質な手触りのロックチューン。
歌メロは口ずさむには十分だけど、とてもいいわけでもない。
シングルとして切れるかどうかと考えれば、想像できない。
つかみがいまいち弱い。
僕自身、ビートルズの曲を好きな順に並べていくと、
後ろから数えた方がはるかに早いというくらい。
ビートルズでこの曲がいちばん好きという人には会ったことがないし、
好きな20曲を挙げてと言われてこれが入る人も想像しにくい。
アルバムの中の1曲、ですね。
ただしそれ、「アルバム至上主義者」の僕としてはほめ言葉です。
アルバムは、ベスト盤のようにすべてがヒットした華やかな曲だと、
1枚通して聴くと疲れてしまう、それが毎日ならなおのこと。
核となる曲が幾つかあって、その合間に、
アルバムの雰囲気を壊さない、コンセプトに沿った軽い曲があって、
聴く方も心の緩急が出来て心地よく響いてくる。
そういうものだと思います。
だから僕は、今まで何百万回と言ってきましたが、
「アルバム」を聴く時には、どんなに嫌いな曲があっても飛ばさない。
(他の人がそれをするのは自由ですが)。
きっとプリンスもそう思っているに違いない。
そうでなきゃ曲の区切りを設けずアルバム全部で1曲、
なんてCDは作らないはずだし(LOVESEXYのこと)。
話は逸れましたが、そういうことで、僕も
アルバムの流れで聴くとむしろいい曲だと思います。
が、今回、前述のように事あるごとに思い出すようになって、
この曲はやっぱり歌としてもそこそこ以上にいい、
さすがはビートルズ、さすがはジョン、と思い直しました。
音楽的な部分について触れていくと、まずジョンの歌い方、
いかにもかったるいという低音中心の声、もやもやとした歌メロ。
曲のテーマを的確に表しています。
2番以降のBメロでかったるいジョンの声に被さってくる
ポールのコーラスがうるさいほどで、この部分では
ジョンの声が圧殺されているように感じられます。
ポールもクスリには乗り気だったのかな。
(日本で捕まったことを思い出してしまう・・・)
2回出てくる中間部、オルガンだけを残して童謡のような歌メロを
歌う部分の教会音楽的な荘厳さに、はっとされられます。
ここはハイになってへろへろで歌っているようにも感じられ、
それが天国にいるような気分にさせてくれるということなのか。
もう「悪のり」が過ぎますね・・・
しかし、この部分の歌メロが美しい。
ジョージ・ハリスンのギターはソロもないし目立たないけど、
ジョンと2人のギターワークはさすがというべき。
そう、ギター少年だった僕もこのギターソロには引かれました。
だから意外とギター弾く人には人気が高い曲かもしれない。
まあ、REVOLVERにはそういう曲が多く、それが今では
ロック音楽としての評価が高い部分でもあるのでしょうね。
リンゴ・スターのドラムスもこの曲では、印象的な
フィルインもないし、特に目立たず淡々とこなしている。
リンゴくらいはしっかりしないと、ということか(いつもの邪推・・・)
しかしポールのベースは、「どーんどどっど」という
短調なリズムの割には音がよく聴こえるミックスになっています。
ポール得意の歌うベースではなく音を転がす程度ですが、
やっぱりこのベースがあってこそ。
単調なフレーズの繰り返しは、常習性があることを示唆しているのか。
そしてベースと他の楽器との隙間が大きいのも意味深な響き。
この曲で面白いのは、最後フェイドアウトして音が小さくなりますが、
よ~く聴くと実はフェイドアウトしておらず、音が小さくなりつつ
最後ちゃんと終わっていること。
中学生の頃に気づいていましたが、当時は、タイミングの問題による
偶然で「ド」の音のところで聴こえなくなるのだと思っていました。
でも、どうやらほんとうにちゃんと終わらせているようですね。
芸が細かいというか、さすがはアイディアマン集団。
アルバムの中の1曲をただそれだけで終わらせないという
意地というか。
最後までよく聴いてよ、という裏メッセージも感じられます。
そしてこの曲の最大の特徴といえばそれになるでしょうね。
◇
書いている間は当然この曲が頭の中で鳴りっぱなし、
口ずさんだり手を休めてギター弾いたりしていましたが、
記事に上げたことでひとまず解放されるかな(笑)。
しかし、となると、次の曲が鳴り響くようになるかもしれない・・・
まあ、どうなっても、次に何かがあった曲を記事にします。
最後は今朝の3ショットにて。
なお、01のREVOLVERは、高校時代にレコードを買ってもらった
ジャケットを等倍で印刷した紙です。
いや、リトグラフです、といえば聞こえがいいかな(笑)。
そしてポーラの服が02と03で違うのは、撮影した日が違うから。
今回はハウが冒頭で、ポーラとマーサの写真を探しましたが、
これがなかなかない組み合わせなんですよね。
それで少し古いハウがあまり目立たない写真を選びました。
ポーラとマーサの2ショットももっと撮っておかないと。
03


Doctor Robert
The Beatles
(1966)
The Beatles 36/213
続けざまにビートルズの213曲です。
アルバムREVOLVERでは
前回の記事For No Oneの次に入っている曲。
三つ子の魂なんとやら、僕は、ビートルズのある曲を聴くと、
反射的にアルバムでその次に入っている曲を思い出してしまう。
For No Oneの記事を上げてからずっとこの曲が頭に浮かび、
まるで幻覚を見ているような気持になってしまった。
その気持ちを晴らすには記事にするしかない。
ということで今日もお付き合いください。
Doctor Robertはビートルズ7枚目のアルバム
REVOLVERのB面4(=CD11)曲目として
1966年8月5日に世に出ました。
作曲者はジョン・レノン、ヴォーカルもジョン。
先ずは曲から。
Doctor Robert
The Beatles
(1966)
続いて『ビートルズ・レコーディング・セッションズ』より。
いつものように引用者が改行は表記変更を適宜行っています。
***
1966年4月17日(日)
ビートルズは、ニューヨークに実在する
チャールズ・ロバーツという医者のことを歌った
ジョンの新曲を録音する。
この医者は48丁目に医院を構え、
友人たちに幻覚剤を与えているという噂だった。
ビートルズがドラックを直接の題材にした初めての曲だ。
この日はバッキングトラックのみのレコーディングで、
リードギター、リズムギター、ベースギター、ドラムス、
それにマラカス(ジョージ)、ハーモニウム(ジョン)、
ピアノ(ポール)という編成。
ヴォーカルは4月19日にスーパーインポーズされる。
この時点では、曲の長さは2分56秒だったが、
リミックス(数回行われる)のときには
いずれも2分13秒に編集された。
***
珍しく日曜日に録音作業していますね。
その後、4月19日にジョンのヴォーカル録音が行われ、
同じ日にモノミックスが制作、5月12日と5月20日に
ステレオミックスが行われました。
ところが、この5月12日のミックスがいわくつき。
ビートルズは1966年まで、英国とアメリカでは
別の形状でLPを出していました。
英国Parlophoneのオリジナルに対して、米国Capitolは、
英国のアルバム2枚とシングル曲を「がらがらぽん」した上で、
3枚のLPを「ねつ造」して売る(儲ける)ということをしていました。
だから、当時のRUBBER SOULとREVOLVERは、
英国盤と米国盤で収録曲と曲順が違います。
しかし、ビートルズがコンサート活動をやめて本格的に
レコード創作に入った1967年から、ビートルズの意志を尊重し、
オリジナルアルバムはアメリカでも同内容で出るようになりました。
REVOLVERのために録音した曲のうち、早くに出来上がっていた
3曲が、米国でREVOLVERの前にリリースされるLP
YESTERDAY AND TODAYに回されることになり、
先にミックス作業が行われ、この曲もその1曲でした。
その後英国盤用に新たにミックスが行われたため、
英国盤と米国盤ではミックスが違います。
ただ、米国盤をCD化したTHE BEATLES U.S. ALBUMSの中の
そのアルバムで聴いたところ、あくまでもミックスの違いであり、
曲の長さも同じで、大きな違いはないように感じられました。
余談ですがYESTERDAY AND TODAYは、
かの有名な「ブッチャーカヴァー」、
気味悪いジャケット写真のために回収されて出直したものですが、
CDボックスでは「ブッチャーカヴァー」で紙ジャケットとして再現され、
新しいジャケット写真がシールとしてついています。
ちょっと洒落てますね。
「ブッチャーカヴァー」が嫌な人はほんとに貼るのかな。
もうひとつ、「ロバート博士」について、ウィキペディアに
異説が載っていたので、今回はそれも引用します。
***
ロバート・フライマン(Robert Freymann)という
ニューヨークに実在した"スピード・ドクター"
(アンフェタミンやLSDなどを大量に処方してくれる医師のこと)
と呼ばれる医師で、アンディー・ウォーホルなどニューヨークの
アーティストの間では評判だった人物である。
(チャールズ・ロバーツなる人物がモデルになった
という説もあるがフライマンの説の方が有力)。
ビートルズのメンバーとは直接の面識や関わりはなかったが、
ポール・マッカートニー曰く、(彼は)
『ニューヨークをハイにし続けた男』である。
この曲のモデルとなったロバート・フライマンはドイツ出身。
麻薬の使用が問題となったため、1967年に医師免許を剥奪され、
1975年にニューヨーク医師会を追放されて1987年に死去している。
***
『...セッションズ』はもう20年以上前に刊行された本ですが、
その間にもビートルズ研究は進んだということですね。
続いて『ジョン・レノン・プレイボーイ・インタビュー』より。
***
これもぼくのだ。
ドラッグやピルがテーマさ。
つまり、ぼく自身についてだ。
最初の頃、ツアーで、
ぼくはあらゆるヤクを自分で持って歩いていた。
その後は、ローディ(ツアーマネージャー)に
持たせてたけどね。
***
02

つまりこの曲は「悪のりソング」ですね。
黒い革ジャン姿だった彼らの反抗的、反社会的な部分は、
ブライアン・エプスタインとの出会いにより抑圧され、
スーツ姿で良い子として人前に出て歌っていた。
しかし、何かしでかしてやろうという心意気はあったようで、
そのひとつがクスリのことを婉曲的に歌うことだったのでしょう。
引用文中で、ビートルズがドラッグを題材にとった初めての歌
とあり、曲自体のテーマとしてはそうですが、
ドラッグの体験を婉曲的に表現としてものとしては、
She's A Womanの”turns me on"=「僕をしびれさせてくれる」
が最初だったとジョンのインタビューで読みました。
そしてかのDay Tripperも婉曲的表現。
詳しくはそれらの曲の記事にていつかまた。
しかし、この曲の表現はもっと直接的なものになっています。
お医者さんが主人公ですからね。
僕は、ビートルズは大好きですが、神格化しようとは思わない。
彼らも人間であり、不倫をしたり、クスリをやったりしていた。
そのことに目をつむるつもりはないし、美化することもない。
僕自身が彼らのそういう部分に憧れるなんてこともない。
そういう部分があることを認めた上で触れない、という考えです。
まあ、触れないというだけで美化することに近いかもしれないですが、
触れないだけでいつもそのことは意識の中にあります。
この話はビートルズ以外や実生活に置き換えて話すと
長くなってしまうので、今日はここでやめておきます。
しかしそれにしてもこの曲の「悪のり」は過ぎる。
ジョンはわざわざ友だちに電話をかけて、
「ロバート博士はすごいんだよ」と吹聴し、「勧誘」している。
こうなるともうほとんど犯罪行為ですよねぇ・・・
中高生の頃、この歌詞を読んで想像を巡らせたものですが、
特に以下のくだり
"Take a drink from his special cup, Doctor Robert"
なんだか薄気味悪いと感じました。
曲としてみれば、まあ普通の曲であり、ハードロックとまでは
いかないけれど、硬質な手触りのロックチューン。
歌メロは口ずさむには十分だけど、とてもいいわけでもない。
シングルとして切れるかどうかと考えれば、想像できない。
つかみがいまいち弱い。
僕自身、ビートルズの曲を好きな順に並べていくと、
後ろから数えた方がはるかに早いというくらい。
ビートルズでこの曲がいちばん好きという人には会ったことがないし、
好きな20曲を挙げてと言われてこれが入る人も想像しにくい。
アルバムの中の1曲、ですね。
ただしそれ、「アルバム至上主義者」の僕としてはほめ言葉です。
アルバムは、ベスト盤のようにすべてがヒットした華やかな曲だと、
1枚通して聴くと疲れてしまう、それが毎日ならなおのこと。
核となる曲が幾つかあって、その合間に、
アルバムの雰囲気を壊さない、コンセプトに沿った軽い曲があって、
聴く方も心の緩急が出来て心地よく響いてくる。
そういうものだと思います。
だから僕は、今まで何百万回と言ってきましたが、
「アルバム」を聴く時には、どんなに嫌いな曲があっても飛ばさない。
(他の人がそれをするのは自由ですが)。
きっとプリンスもそう思っているに違いない。
そうでなきゃ曲の区切りを設けずアルバム全部で1曲、
なんてCDは作らないはずだし(LOVESEXYのこと)。
話は逸れましたが、そういうことで、僕も
アルバムの流れで聴くとむしろいい曲だと思います。
が、今回、前述のように事あるごとに思い出すようになって、
この曲はやっぱり歌としてもそこそこ以上にいい、
さすがはビートルズ、さすがはジョン、と思い直しました。
音楽的な部分について触れていくと、まずジョンの歌い方、
いかにもかったるいという低音中心の声、もやもやとした歌メロ。
曲のテーマを的確に表しています。
2番以降のBメロでかったるいジョンの声に被さってくる
ポールのコーラスがうるさいほどで、この部分では
ジョンの声が圧殺されているように感じられます。
ポールもクスリには乗り気だったのかな。
(日本で捕まったことを思い出してしまう・・・)
2回出てくる中間部、オルガンだけを残して童謡のような歌メロを
歌う部分の教会音楽的な荘厳さに、はっとされられます。
ここはハイになってへろへろで歌っているようにも感じられ、
それが天国にいるような気分にさせてくれるということなのか。
もう「悪のり」が過ぎますね・・・
しかし、この部分の歌メロが美しい。
ジョージ・ハリスンのギターはソロもないし目立たないけど、
ジョンと2人のギターワークはさすがというべき。
そう、ギター少年だった僕もこのギターソロには引かれました。
だから意外とギター弾く人には人気が高い曲かもしれない。
まあ、REVOLVERにはそういう曲が多く、それが今では
ロック音楽としての評価が高い部分でもあるのでしょうね。
リンゴ・スターのドラムスもこの曲では、印象的な
フィルインもないし、特に目立たず淡々とこなしている。
リンゴくらいはしっかりしないと、ということか(いつもの邪推・・・)
しかしポールのベースは、「どーんどどっど」という
短調なリズムの割には音がよく聴こえるミックスになっています。
ポール得意の歌うベースではなく音を転がす程度ですが、
やっぱりこのベースがあってこそ。
単調なフレーズの繰り返しは、常習性があることを示唆しているのか。
そしてベースと他の楽器との隙間が大きいのも意味深な響き。
この曲で面白いのは、最後フェイドアウトして音が小さくなりますが、
よ~く聴くと実はフェイドアウトしておらず、音が小さくなりつつ
最後ちゃんと終わっていること。
中学生の頃に気づいていましたが、当時は、タイミングの問題による
偶然で「ド」の音のところで聴こえなくなるのだと思っていました。
でも、どうやらほんとうにちゃんと終わらせているようですね。
芸が細かいというか、さすがはアイディアマン集団。
アルバムの中の1曲をただそれだけで終わらせないという
意地というか。
最後までよく聴いてよ、という裏メッセージも感じられます。
そしてこの曲の最大の特徴といえばそれになるでしょうね。
◇
書いている間は当然この曲が頭の中で鳴りっぱなし、
口ずさんだり手を休めてギター弾いたりしていましたが、
記事に上げたことでひとまず解放されるかな(笑)。
しかし、となると、次の曲が鳴り響くようになるかもしれない・・・
まあ、どうなっても、次に何かがあった曲を記事にします。
最後は今朝の3ショットにて。
なお、01のREVOLVERは、高校時代にレコードを買ってもらった
ジャケットを等倍で印刷した紙です。
いや、リトグラフです、といえば聞こえがいいかな(笑)。
そしてポーラの服が02と03で違うのは、撮影した日が違うから。
今回はハウが冒頭で、ポーラとマーサの写真を探しましたが、
これがなかなかない組み合わせなんですよね。
それで少し古いハウがあまり目立たない写真を選びました。
ポーラとマーサの2ショットももっと撮っておかないと。
03

Posted by guitarbird at 18:29
│ビートルズの213曲
この記事へのコメント
こんばんは。
私が彼らの最高作と思うアルバムで、
"I Want to Tell You"と並び立つ
地味な(失礼!)曲の巨頭ですね。
物理的にも並んでいるので、
或る意味ツー・トップ、とも。
そんな存在でも聴き処が多いところに
当時の好調さが伺えますね。
"Help"アルバム以降の65/66モデル・
ギター・コンビネーションの到達点。
の、わりには、"And Your Bird Can Sing"
に比べて奥床しい処も素敵です。
歌詞はジョンにしては珍しい3人称型。
これは当時絶好調の相棒を意識、
しているのでしょう。
その相棒の声の方が耳につくのは
致し方ないですね。
各楽器の担当者よりも上手なプレーヤー
だったりもするのですから。
バンド内競争のプレッシャー、
キツイものがあったろうな、と、
地味な割には連想が拡がる曲でした。
私が彼らの最高作と思うアルバムで、
"I Want to Tell You"と並び立つ
地味な(失礼!)曲の巨頭ですね。
物理的にも並んでいるので、
或る意味ツー・トップ、とも。
そんな存在でも聴き処が多いところに
当時の好調さが伺えますね。
"Help"アルバム以降の65/66モデル・
ギター・コンビネーションの到達点。
の、わりには、"And Your Bird Can Sing"
に比べて奥床しい処も素敵です。
歌詞はジョンにしては珍しい3人称型。
これは当時絶好調の相棒を意識、
しているのでしょう。
その相棒の声の方が耳につくのは
致し方ないですね。
各楽器の担当者よりも上手なプレーヤー
だったりもするのですから。
バンド内競争のプレッシャー、
キツイものがあったろうな、と、
地味な割には連想が拡がる曲でした。
Posted by ミグの父 at 2016年03月25日 22:27
ミグの父さん、こんばんわ
なるほど、地味なツートップなんですね(笑)。
私は実はI Want To Tell Youは大好きで、と今ここで
書こうと思いましたが、どうせなら次の213曲の記事にします(笑)。
だからアルバムの流れ的にはツートップの後に入る
Got To...がより衝撃的なのかもしれないですね。
ポールはTaxmanでせっかく初めての傑作をものにした
ジョージを喰ってしまったし、このアルバムは確かに
バンド内の潮目が大きく変わったことが分かりますね。
ジョンのこのアルバムの曲は、クリエイティヴではあるけれど、
曲として立っているというタイプではなく、マニア向きというか。
だけどそこが面白かったりもします。
前のアルバムではまだ曲でもジョンが勝っていましたが、
て、勝っていたといのは言い過ぎかもですが。
ミグの父さんは最高作と書いておられますが、今回このアルバムを
聴いてあらためてすごいなんてもんじゃないと思いました。
私の中では、RUBBER SOULは昔っからずっと変わらないのですが
(もちろんいい意味で高い位置でずっと)、
REVOLVERは齢を重ねるごとにすごさが分かってきた、
そんな感じがしています。
でもそれは、世の中の評価が変わってきたように、
ひとりひとりの齢というよりは時代の流れなのかな、とも思います。
私は90年代に短期間ビートルズ情報を追わなくなっていましたが、
気がつくとREVOLVERの評価が上がっていた、そんな感じでした。
あとこれはポールが曲の良さを生かす才能が開花した、
そんなアルバムでもあるのかなとも思います。
なるほど、地味なツートップなんですね(笑)。
私は実はI Want To Tell Youは大好きで、と今ここで
書こうと思いましたが、どうせなら次の213曲の記事にします(笑)。
だからアルバムの流れ的にはツートップの後に入る
Got To...がより衝撃的なのかもしれないですね。
ポールはTaxmanでせっかく初めての傑作をものにした
ジョージを喰ってしまったし、このアルバムは確かに
バンド内の潮目が大きく変わったことが分かりますね。
ジョンのこのアルバムの曲は、クリエイティヴではあるけれど、
曲として立っているというタイプではなく、マニア向きというか。
だけどそこが面白かったりもします。
前のアルバムではまだ曲でもジョンが勝っていましたが、
て、勝っていたといのは言い過ぎかもですが。
ミグの父さんは最高作と書いておられますが、今回このアルバムを
聴いてあらためてすごいなんてもんじゃないと思いました。
私の中では、RUBBER SOULは昔っからずっと変わらないのですが
(もちろんいい意味で高い位置でずっと)、
REVOLVERは齢を重ねるごとにすごさが分かってきた、
そんな感じがしています。
でもそれは、世の中の評価が変わってきたように、
ひとりひとりの齢というよりは時代の流れなのかな、とも思います。
私は90年代に短期間ビートルズ情報を追わなくなっていましたが、
気がつくとREVOLVERの評価が上がっていた、そんな感じでした。
あとこれはポールが曲の良さを生かす才能が開花した、
そんなアルバムでもあるのかなとも思います。
Posted by guitarbird
at 2016年03月25日 23:18

こんばんは。
次はツー・トップの別の一角ですか?
楽しみです。
中学時代にアルバムを聴いた時は、
リンゴとジョージのボーカル曲(失礼!)を
シングルに回して、
本来のシングル2曲をアルバムに。
とか、妄想しましたが。
でも、先ず出来過ぎの曲ばかりで
息苦しい。
リンゴの声が聴けないと悲しむ人が
多かっただろう。
と、今は思っています。
こういう考えは完全に解散後の
聴き手発想ですね。
70年代のアルバムの在り様で
思考している訳です。
とまれ、次も楽しみにしております。
追伸:
今年初めての燕を見ました。
3月末は随分早い気もしますが、
見間違えようもありません。
次はツー・トップの別の一角ですか?
楽しみです。
中学時代にアルバムを聴いた時は、
リンゴとジョージのボーカル曲(失礼!)を
シングルに回して、
本来のシングル2曲をアルバムに。
とか、妄想しましたが。
でも、先ず出来過ぎの曲ばかりで
息苦しい。
リンゴの声が聴けないと悲しむ人が
多かっただろう。
と、今は思っています。
こういう考えは完全に解散後の
聴き手発想ですね。
70年代のアルバムの在り様で
思考している訳です。
とまれ、次も楽しみにしております。
追伸:
今年初めての燕を見ました。
3月末は随分早い気もしますが、
見間違えようもありません。
Posted by ミグの父 at 2016年03月27日 22:13
ミグの父さん、こんばんわ
はい、そうなんですツートップのもう1曲(笑)。
今日は書くの間に合いませんでしたが、多分明日上げられます。
アルバムに何を入れて何を外すとか、よく考えましたよね(笑)。
このアルバムの場合、リンゴの歌がYellow Submarine
であるのがまたいいと思います(私はその曲大好きです)。
シングルの2曲、Rainはアルバムの色そのままですよね。
でもそれを入れるとジョンのアバンギャルド色があまりにも濃くて
それも疲れてしまうのかな、と、これも後から思うことですが。
ツバメを初めて見られたんですね。
私は何年か前に4月に東京に行った時に見ましたが、
ツバメは札幌には基本的にはいなくて珍しいので
じっくりと観察していました(飛ぶの速いですが・・・)
あと、大学に入って東京に出た時、入学式で学校に行く日の朝、
上野駅で見たことを今でもよく思い出します。
はい、そうなんですツートップのもう1曲(笑)。
今日は書くの間に合いませんでしたが、多分明日上げられます。
アルバムに何を入れて何を外すとか、よく考えましたよね(笑)。
このアルバムの場合、リンゴの歌がYellow Submarine
であるのがまたいいと思います(私はその曲大好きです)。
シングルの2曲、Rainはアルバムの色そのままですよね。
でもそれを入れるとジョンのアバンギャルド色があまりにも濃くて
それも疲れてしまうのかな、と、これも後から思うことですが。
ツバメを初めて見られたんですね。
私は何年か前に4月に東京に行った時に見ましたが、
ツバメは札幌には基本的にはいなくて珍しいので
じっくりと観察していました(飛ぶの速いですが・・・)
あと、大学に入って東京に出た時、入学式で学校に行く日の朝、
上野駅で見たことを今でもよく思い出します。
Posted by guitarbird
at 2016年03月27日 22:30

ミグの父さん、こんにちわ
追伸というか、今日「速報」があるので、ツートップのもう1曲は
明日上げさせていただきますね、ご了承ください。
(今日の「速報」もご興味があるお話だとは思いますが)。
追伸というか、今日「速報」があるので、ツートップのもう1曲は
明日上げさせていただきますね、ご了承ください。
(今日の「速報」もご興味があるお話だとは思いますが)。
Posted by guitarbird
at 2016年03月28日 11:03
