2009年11月27日
OTIS BLUE オーティス・レディング
01

OTIS BLUE / OTIS REDDING SINGS SOUL
Otis Redding
オーティス・ブルー オーティス・レディング (1964)
オーティス・レディング、正直言えば、
好きかそうじゃないかと言われれば、好き、ですが、
でも、思い入れがあるほど大好きというわけではないんです。
(Sittin' On) The Dock Of The Bayだけは別格で、
僕の人生の中でも意味が大きい、大好き以上の曲なのですが、
アルバムを聴いたり、追いかけたりというほどでもありません。
まだすべてのオリジナルアルバムは持っていないくらいですから。
なぜだろうと考えると、オーティスの声が特に好きというわけではない、
嫌いじゃないけど、苦手でもないけど、そんな感じだからかな。
もうひとつ、ライヴが凄いというのはもはや神話の域に達していますが、
スタジオアルバムではその凄さが僕には想像や追体験できない、
それも大きいのかなと思います。
確かにLIVE IN EUROPEは凄いと思いますし。
まあそれでも、大学生の頃からずっと、なんとなく聴いてきました。
人生において重要な曲があることもありますが、それ以上に、
音楽を聴く以上はマストアイテムだからというのがあります。
僕も二十歳の頃までは、本や雑誌やテレビやラジオなどで、
音楽そのもの以外の情報によく接していて、その中でそう言われると、
聴きたい、聴かねばならないと思う、これは自然なことだと自己弁護。
まあそのようなわけで、オーティスはもう20年以上、
僕の心の中で、つかず離れずという存在感の人でした。
それが先週、突然、何の脈略もなく、むしょうに
「オーティスが聴きたい!」
と思い、取り出したこのアルバムを聴き始めました。
その時はまったく突然、"all of a sudden"と感じました。
このアルバムは、僕が大学生の頃に初めて買った
オーティスのCDの2枚のうちの1枚でした。
もう1枚は当然THE DOCK OF THE BAYでした。
当時は初CD化の頃、元々はそちらが目当てで石丸電気に行き、
店で見ていると、このアルバムのタイトルがまず気に入り、
ジャケットも気に入ったので、一緒に買うことにしました。
でも、当時買ったこの2枚のCDは今は手元にありません。
リマスター盤が出た際に買い替えて中古で売りました。
僕は、リマスター盤が出てもめったに中古で売ることはなく、
だから同じCDが2枚以上あるのがざらですが、これらは売りました。
つまりそれが、僕とオーティスとの心の距離を表しているのでしょう。
そしてこのアルバムも、2度も買っているのによく覚えていない・・・
先週から聴き始めたこのアルバムは、しかし、
今までと少し違って聴こえてきているような気がしています。
オーティス・レディングという人はいろいろな伝説がありますが、
「まっすぐで実直で情熱家で子どものような心の人」だと思います。
そのことはなんとなく感じていたかいないか、というほどでしたが、
このアルバムを聴くと突然、それが見えてきました。
他人の有名な曲を自分の色に染めて歌うのが上手いのは、
曲に対して貪欲で、それだけ曲に心が入り込んでいたのでしょう。
スタジオの録音ではいろいろなアイディアが浮かんできて、
バンドの人も一緒に演奏するのが楽しかったといいます。
僕は今まで、伝説の人という部分に囚われ過ぎていたのと、
なぜ自分はあまりのめり込まないのだろうという邪念を持って
接しすぎていたのかもしれません、いや、そうに違いない。
先週から聴き始めてそんな偉そうなことは言えない、
オーティスの魅力の一面すら書くことができないかもしれないですが、
でも、BLOGを営む者として、この気持ちの変化は重要であり、
自分でも面白いので、記事として記しておきたかったのです。
曲を聴いてゆきますか。
先週から聴き始めた割にはこうして記事を書けるのは、
知っている曲が多いから、これが大きいんですけどね(笑)。
なお、僕が聴いているのはCOLLECTOR'S EDITION2枚組で、
アルバム本編のモノーラル版がDisc1、ステレオ版がDisc2、
他それぞれにボーナスマテリアルが収録されていますが、
まずは本編だけの話をして、それ以外は最後にまとめました。
もひとつ忘れるところだった。
バックはもちろんBooker T & MG'sのメンバー
ブッカー・T・ジョーンズ Booker T. Jones (Keyboards)
スティーヴ・クロッパー Steve Cropper (Gt)
ドナルド・ダック・ダン Donald "Duck" Dunn (Bs)
アル・ジャクソン・Jr Al Jackson Jr. (Ds)
キーボードにはアイザック・ヘイズ Isaac Hayesも参加しています。
02

Tr1:Ole Man Trouble
(Otis Redding)
この曲はずっともっと古い曲だと思っていたのですが、
オーティスのオリジナルなのですね。
ギターの「ジャジャッ」というカッティングで始まるのがカッコいい。
ブラスはきっとこれぞメンフィスという味付けなのでしょうね。
「ばらぱららぁ~」というフレーズが耳について離れません。
慈悲を乞うような歌い方が、実は、以前はちょっと苦手でした。
Tr2:Respect
(Otis Redding)
オーティスの代表曲のひとつですが、でも僕は、
アレサ・フランクリン Aretha Franklinを先に思い出してしまう。
アレサは軽くて爽やか、オーティスは迫力の塊。
これはライヴ盤で聴くともっともっと凄いですね。
でも、アレサの「鮭とば鮭とば」="suck it to me, suck it to me"
の部分がやっぱり印象的で、アレサもまた、
人の曲を自分のものにするのが上手いということですね。
まあその代わり、リズミカルに歌うベースはオーティスの圧勝。
Tr3:Change Gonna Come
(Sam Cooke)
サム・クックの曲ですよ、もう僕は冷静でいられない(笑)。
ただ、サムの原題はA Change Is Gonna Comeですが、
オーティスはタイトルまで自分の色に変えているのが面白い。
ただし、アレンジは違っても(ストリングスがなくホーン主体)、
オリジナルの「型」は意外と崩していないですね。
もちろん歌い方はオーティスそのものですが。
それにしても、この曲のカバーはうちに何曲あるんだろう。
Tr4:Down In The Valley
(Solomon Burke, Bert Berns, Babe Chivian & Joseph Martin)
先ごろ亡くなったソロモン・バークの曲なんだ。
うちにあるATLANTICの3枚のCDを見たところ、入っていませんでした。
ミドルテンポのキレがいい演奏をオーティスが盛り上げます。
Tr5:I've Been Loving You Too Long
(Otis Redding & Jerry Butler)
この手のバラードはオーティスらしいという刷り込みが
僕にはあるのはなぜだろう。
オーティスが書いた曲は、共作も含め、ここまでに出た3曲だけですが、
この3曲からは、オーティスのソングライターとしての魅力も感じます。
この曲は元々好きでした。
だけどオーティスは、頼りなげに歌うと説得力があるのはなぜだろう。
僕の今後の研究課題ですね(笑)。
03

Tr6:Shake
(Sam Cooke)
再びサム・クックの曲。
オーティスはサムに影響を受けていた。
この曲は個人的にはサムの軽い歌い方がいいと思うので、
オーティスの粘ついた声は、少しこちらの気持ちが乗りにくいかな。
違和感とまではいかないけど。
でもやっぱりオーティスの歌い方も、だんだんとよくなってきましたよ。
Tr7:My Girl
(William Robinson & Ronald White)
そうか!
何の脈略もなく突然聴きたいと書いたけど、脈略はあったんだ。
9月に閉館となったジョン・レノン・ミュージアムに4月に行った際に、
ジョン・レノンのジュークボックス(記事はこちら)にこれが入っていた、
そのことを思い出していたんだ。
自分でも納得(笑)。
言わずと知れたテンプテーションズ The Temptationの名曲で、
スモーキー・ロビンソンの手になる曲ですが、ジョンはなぜか、
オリジナルではなくオーティスのこれを選んでいました。
僕はその記事では、ジョンはテンプスよりオーティスのほうが
歌い方が好きだったからじゃないかと推測しましたが、
最近、ピーター・バラカン氏の「魂(ソウル)のゆくえ」で、
そのヒントになる記述を見つけました(気づきました)。
この曲は、英国ではオリジナルのテンプスではなく、
オーティスのほうでヒットして、バラカンさんも暫くの間は、
この曲はオーティスの曲だと思っていたのだそうです。
それがすべてではないかもしれないですが、でも、
なんとなくすっとしました(笑)。
この曲については、テンプスのコーラスのスマートさが、
オーティスにはまるでないですね。
まあ、その野暮ったさもオーティスの魅力なのでしょうけど。
これ、演奏はブラス以外はコピーといっていいくらいですが、
その分、歌にはオーティスの色がよく出ているのを感じます。
Tr8:Wonderful World
(Sam Cooke, Lou Adler & Herb Alpert)
サム・クックの曲は3曲、オーティス自身の手になるものと同じ数。
これはサムの中でも特に大好きな曲のひとつですが、
これもやはりサムにあるスマートさがオーティスにはまるでない。
サム・クックは、売れるために白人音楽風のアレンジを施し、
軽く歌ってヒットしたというのは知られた話です。
ここでそれについてどうのこうの言うつもりはありませんが、
オーティスのこの3曲は、サムが本当にやりたかったことの
ひとつの姿を提示しているのかもれませんね。
なお、この曲も原題は(What A) Wonderful Worldなのですが、
まあこれは省略したということで大した問題でもないか。
そしてこの曲はなんと、ハーブ・アルパートも作曲に絡んでいるんだ。
知らなかった・・・オーティスの前にサムの勉強しないと・・・
Tr9:Rock Me Baby
(B.B.King & Joe Josea)
♪ You can rock me baby, rock me all night long
待てよ、この曲はどこかで聴いたことがあるぞ。
B.B.キングのオリジナルは知っているけど、その他に。
ああ、そうだ、ジェフ・ベック・グループだ!
と思って彼らの1stであるTRUTHを取り出したところ、
この曲名の曲はなく、でも諦めきれずに探すと、
Rock My Primsoulの出だしでそう歌っていました。
その曲のクレジットは、ジェフ・ベック Jeff Beckと
ロッド・スチュワート Rod Stewartになっていますが、
そうかその曲も60年代後半の英国で横行した、
ブルーズの曲から一部(全部の例もあり)拝借したケースか。
なんて枝葉の話ばかりになってしまいましたが、この曲は
その名の通りというか演奏がロックっぽくってカッコいいですね。
鐘の音のようにずっと続くギターのフレーズが頭に残るし、
ギターソロもこの中ではいちばん響いてきます。
Tr10:Satisfaction
(Mick Jagger & Keith Richards)
はいはいもはや説明不要の曲ですね。
ただし、ここでもまた、ローリング・ストーンズ Rolling Stonesの
原題は(I Can't Get No) Satisfactionでタイトルを省略しています。
これは先述のバラカンさんの本によれば、
オーティスはこの頃ストーンズのことは知らなくて、
スティーヴ・クロッパーがこの曲を聴かせたところ気に入って、
自分でも歌いたい、ということになったのだそうです。
これは熱いですね、粘ってますね、濃いですね。
僕はこの曲については、オーティスのバージョンを聴いている時は、
ストーンズのことがもはや頭に浮かばなくなっています。
でも、このオーティスのを聴いていつも気になるのが、
♪ I can't get no satisfaction
の"get"の後に何か余計な母音が入っていることで、
♪ あ~いきゃん(と) げてぃ のぅ さ~てぃすふぇぁくしょん
と、"gettin'"か"get it"のように歌っています。
オーティスはそこに音がないと不自然で歌いにくかったのかな。
まあ、いいんですけどね、個性的だから。
Tr11:You Don't Miss Your Water
(William Bell)
最後はワルツの正調R&Bバラード。
作曲者で歌手でもあるウィリアム・ベルが
1961年に発表したデビューシングルとのこと。
前が激しかっただけにこの落ち着きは効果的。
アルバムの最初と最後がバラードというのもいい流れ。
どちらも上手い、いや上手いなんて陳腐な言葉では失礼、
真心で聴かせてくれる人、それがオーティス・レディングですね。
今回はコレクターズ・エディション国内盤のリンクを。
Disc1のボーナスマテリアルは以下の通り。
12:I've Been Loving You Too Long
(Mono Mix of Stereo Album Version)
13:I'm Depending On You
(B-Side)
14:Respect
(Mono Mix of Stereo Album Version)
15:Ole Man Trouble
(Mono Mix of Stereo Album Version)
16:Any Ole Way
(B-Side)
17:Shake
(Live, 1967 - Stereo Mix of Single Version)
★LIVE AT THE WHISKEY A GO GO (4/66)
18:Ole Man Trouble
19:Respect
20:I've Been Loving You Too Long
21:Satisfaction
22:I'm Depending On You
23:Any Ole Way
Disc2のボーナスマテリアルは以下の通り。
12:Respect
(1967 Version)
★LIVE IN EUROPE (3/67)
13:I've Been Loving You Too Long
14:My Girl
15:Shake
16:Satisfaction
17:Respect
面白いなと思ったのは、Disc1のライヴで
シングルB面曲を2曲とも演奏していることで
B面とはいえお気に入りの曲なのでしょうね。
ということで、
Tr13:I'm Depending On You
(Otis Redding)
基本はアップテンポで明るく楽しい曲。
でも、その割に「君を信じているよ」って、
ちょっと気持ちを引きずる曲なのかな。
Tr16:Any Ole Way
(Otis Redding & Steve Cropper)
こちらもミドルテンポで明るい曲ですね。
イントロの音がなんだかほっとするものを感じさせます。
それこそ、昔からずっとそうだった懐かしさみたいな。
"ole"は"old"の南部訛りの綴りとのこと。
今回で、オーティスはだいぶかなり好きになってきましたよ(笑)。
好きになった以上は、もっと知りたいですね。
最後に、
今回の写真は、Blue、青空と雲でまとめてみました。
04

では、またねぇ!

OTIS BLUE / OTIS REDDING SINGS SOUL
Otis Redding
オーティス・ブルー オーティス・レディング (1964)
オーティス・レディング、正直言えば、
好きかそうじゃないかと言われれば、好き、ですが、
でも、思い入れがあるほど大好きというわけではないんです。
(Sittin' On) The Dock Of The Bayだけは別格で、
僕の人生の中でも意味が大きい、大好き以上の曲なのですが、
アルバムを聴いたり、追いかけたりというほどでもありません。
まだすべてのオリジナルアルバムは持っていないくらいですから。
なぜだろうと考えると、オーティスの声が特に好きというわけではない、
嫌いじゃないけど、苦手でもないけど、そんな感じだからかな。
もうひとつ、ライヴが凄いというのはもはや神話の域に達していますが、
スタジオアルバムではその凄さが僕には想像や追体験できない、
それも大きいのかなと思います。
確かにLIVE IN EUROPEは凄いと思いますし。
まあそれでも、大学生の頃からずっと、なんとなく聴いてきました。
人生において重要な曲があることもありますが、それ以上に、
音楽を聴く以上はマストアイテムだからというのがあります。
僕も二十歳の頃までは、本や雑誌やテレビやラジオなどで、
音楽そのもの以外の情報によく接していて、その中でそう言われると、
聴きたい、聴かねばならないと思う、これは自然なことだと自己弁護。
まあそのようなわけで、オーティスはもう20年以上、
僕の心の中で、つかず離れずという存在感の人でした。
それが先週、突然、何の脈略もなく、むしょうに
「オーティスが聴きたい!」
と思い、取り出したこのアルバムを聴き始めました。
その時はまったく突然、"all of a sudden"と感じました。
このアルバムは、僕が大学生の頃に初めて買った
オーティスのCDの2枚のうちの1枚でした。
もう1枚は当然THE DOCK OF THE BAYでした。
当時は初CD化の頃、元々はそちらが目当てで石丸電気に行き、
店で見ていると、このアルバムのタイトルがまず気に入り、
ジャケットも気に入ったので、一緒に買うことにしました。
でも、当時買ったこの2枚のCDは今は手元にありません。
リマスター盤が出た際に買い替えて中古で売りました。
僕は、リマスター盤が出てもめったに中古で売ることはなく、
だから同じCDが2枚以上あるのがざらですが、これらは売りました。
つまりそれが、僕とオーティスとの心の距離を表しているのでしょう。
そしてこのアルバムも、2度も買っているのによく覚えていない・・・
先週から聴き始めたこのアルバムは、しかし、
今までと少し違って聴こえてきているような気がしています。
オーティス・レディングという人はいろいろな伝説がありますが、
「まっすぐで実直で情熱家で子どものような心の人」だと思います。
そのことはなんとなく感じていたかいないか、というほどでしたが、
このアルバムを聴くと突然、それが見えてきました。
他人の有名な曲を自分の色に染めて歌うのが上手いのは、
曲に対して貪欲で、それだけ曲に心が入り込んでいたのでしょう。
スタジオの録音ではいろいろなアイディアが浮かんできて、
バンドの人も一緒に演奏するのが楽しかったといいます。
僕は今まで、伝説の人という部分に囚われ過ぎていたのと、
なぜ自分はあまりのめり込まないのだろうという邪念を持って
接しすぎていたのかもしれません、いや、そうに違いない。
先週から聴き始めてそんな偉そうなことは言えない、
オーティスの魅力の一面すら書くことができないかもしれないですが、
でも、BLOGを営む者として、この気持ちの変化は重要であり、
自分でも面白いので、記事として記しておきたかったのです。
曲を聴いてゆきますか。
先週から聴き始めた割にはこうして記事を書けるのは、
知っている曲が多いから、これが大きいんですけどね(笑)。
なお、僕が聴いているのはCOLLECTOR'S EDITION2枚組で、
アルバム本編のモノーラル版がDisc1、ステレオ版がDisc2、
他それぞれにボーナスマテリアルが収録されていますが、
まずは本編だけの話をして、それ以外は最後にまとめました。
もひとつ忘れるところだった。
バックはもちろんBooker T & MG'sのメンバー
ブッカー・T・ジョーンズ Booker T. Jones (Keyboards)
スティーヴ・クロッパー Steve Cropper (Gt)
ドナルド・ダック・ダン Donald "Duck" Dunn (Bs)
アル・ジャクソン・Jr Al Jackson Jr. (Ds)
キーボードにはアイザック・ヘイズ Isaac Hayesも参加しています。
02

Tr1:Ole Man Trouble
(Otis Redding)
この曲はずっともっと古い曲だと思っていたのですが、
オーティスのオリジナルなのですね。
ギターの「ジャジャッ」というカッティングで始まるのがカッコいい。
ブラスはきっとこれぞメンフィスという味付けなのでしょうね。
「ばらぱららぁ~」というフレーズが耳について離れません。
慈悲を乞うような歌い方が、実は、以前はちょっと苦手でした。
Tr2:Respect
(Otis Redding)
オーティスの代表曲のひとつですが、でも僕は、
アレサ・フランクリン Aretha Franklinを先に思い出してしまう。
アレサは軽くて爽やか、オーティスは迫力の塊。
これはライヴ盤で聴くともっともっと凄いですね。
でも、アレサの「鮭とば鮭とば」="suck it to me, suck it to me"
の部分がやっぱり印象的で、アレサもまた、
人の曲を自分のものにするのが上手いということですね。
まあその代わり、リズミカルに歌うベースはオーティスの圧勝。
Tr3:Change Gonna Come
(Sam Cooke)
サム・クックの曲ですよ、もう僕は冷静でいられない(笑)。
ただ、サムの原題はA Change Is Gonna Comeですが、
オーティスはタイトルまで自分の色に変えているのが面白い。
ただし、アレンジは違っても(ストリングスがなくホーン主体)、
オリジナルの「型」は意外と崩していないですね。
もちろん歌い方はオーティスそのものですが。
それにしても、この曲のカバーはうちに何曲あるんだろう。
Tr4:Down In The Valley
(Solomon Burke, Bert Berns, Babe Chivian & Joseph Martin)
先ごろ亡くなったソロモン・バークの曲なんだ。
うちにあるATLANTICの3枚のCDを見たところ、入っていませんでした。
ミドルテンポのキレがいい演奏をオーティスが盛り上げます。
Tr5:I've Been Loving You Too Long
(Otis Redding & Jerry Butler)
この手のバラードはオーティスらしいという刷り込みが
僕にはあるのはなぜだろう。
オーティスが書いた曲は、共作も含め、ここまでに出た3曲だけですが、
この3曲からは、オーティスのソングライターとしての魅力も感じます。
この曲は元々好きでした。
だけどオーティスは、頼りなげに歌うと説得力があるのはなぜだろう。
僕の今後の研究課題ですね(笑)。
03

Tr6:Shake
(Sam Cooke)
再びサム・クックの曲。
オーティスはサムに影響を受けていた。
この曲は個人的にはサムの軽い歌い方がいいと思うので、
オーティスの粘ついた声は、少しこちらの気持ちが乗りにくいかな。
違和感とまではいかないけど。
でもやっぱりオーティスの歌い方も、だんだんとよくなってきましたよ。
Tr7:My Girl
(William Robinson & Ronald White)
そうか!
何の脈略もなく突然聴きたいと書いたけど、脈略はあったんだ。
9月に閉館となったジョン・レノン・ミュージアムに4月に行った際に、
ジョン・レノンのジュークボックス(記事はこちら)にこれが入っていた、
そのことを思い出していたんだ。
自分でも納得(笑)。
言わずと知れたテンプテーションズ The Temptationの名曲で、
スモーキー・ロビンソンの手になる曲ですが、ジョンはなぜか、
オリジナルではなくオーティスのこれを選んでいました。
僕はその記事では、ジョンはテンプスよりオーティスのほうが
歌い方が好きだったからじゃないかと推測しましたが、
最近、ピーター・バラカン氏の「魂(ソウル)のゆくえ」で、
そのヒントになる記述を見つけました(気づきました)。
この曲は、英国ではオリジナルのテンプスではなく、
オーティスのほうでヒットして、バラカンさんも暫くの間は、
この曲はオーティスの曲だと思っていたのだそうです。
それがすべてではないかもしれないですが、でも、
なんとなくすっとしました(笑)。
この曲については、テンプスのコーラスのスマートさが、
オーティスにはまるでないですね。
まあ、その野暮ったさもオーティスの魅力なのでしょうけど。
これ、演奏はブラス以外はコピーといっていいくらいですが、
その分、歌にはオーティスの色がよく出ているのを感じます。
Tr8:Wonderful World
(Sam Cooke, Lou Adler & Herb Alpert)
サム・クックの曲は3曲、オーティス自身の手になるものと同じ数。
これはサムの中でも特に大好きな曲のひとつですが、
これもやはりサムにあるスマートさがオーティスにはまるでない。
サム・クックは、売れるために白人音楽風のアレンジを施し、
軽く歌ってヒットしたというのは知られた話です。
ここでそれについてどうのこうの言うつもりはありませんが、
オーティスのこの3曲は、サムが本当にやりたかったことの
ひとつの姿を提示しているのかもれませんね。
なお、この曲も原題は(What A) Wonderful Worldなのですが、
まあこれは省略したということで大した問題でもないか。
そしてこの曲はなんと、ハーブ・アルパートも作曲に絡んでいるんだ。
知らなかった・・・オーティスの前にサムの勉強しないと・・・
Tr9:Rock Me Baby
(B.B.King & Joe Josea)
♪ You can rock me baby, rock me all night long
待てよ、この曲はどこかで聴いたことがあるぞ。
B.B.キングのオリジナルは知っているけど、その他に。
ああ、そうだ、ジェフ・ベック・グループだ!
と思って彼らの1stであるTRUTHを取り出したところ、
この曲名の曲はなく、でも諦めきれずに探すと、
Rock My Primsoulの出だしでそう歌っていました。
その曲のクレジットは、ジェフ・ベック Jeff Beckと
ロッド・スチュワート Rod Stewartになっていますが、
そうかその曲も60年代後半の英国で横行した、
ブルーズの曲から一部(全部の例もあり)拝借したケースか。
なんて枝葉の話ばかりになってしまいましたが、この曲は
その名の通りというか演奏がロックっぽくってカッコいいですね。
鐘の音のようにずっと続くギターのフレーズが頭に残るし、
ギターソロもこの中ではいちばん響いてきます。
Tr10:Satisfaction
(Mick Jagger & Keith Richards)
はいはいもはや説明不要の曲ですね。
ただし、ここでもまた、ローリング・ストーンズ Rolling Stonesの
原題は(I Can't Get No) Satisfactionでタイトルを省略しています。
これは先述のバラカンさんの本によれば、
オーティスはこの頃ストーンズのことは知らなくて、
スティーヴ・クロッパーがこの曲を聴かせたところ気に入って、
自分でも歌いたい、ということになったのだそうです。
これは熱いですね、粘ってますね、濃いですね。
僕はこの曲については、オーティスのバージョンを聴いている時は、
ストーンズのことがもはや頭に浮かばなくなっています。
でも、このオーティスのを聴いていつも気になるのが、
♪ I can't get no satisfaction
の"get"の後に何か余計な母音が入っていることで、
♪ あ~いきゃん(と) げてぃ のぅ さ~てぃすふぇぁくしょん
と、"gettin'"か"get it"のように歌っています。
オーティスはそこに音がないと不自然で歌いにくかったのかな。
まあ、いいんですけどね、個性的だから。
Tr11:You Don't Miss Your Water
(William Bell)
最後はワルツの正調R&Bバラード。
作曲者で歌手でもあるウィリアム・ベルが
1961年に発表したデビューシングルとのこと。
前が激しかっただけにこの落ち着きは効果的。
アルバムの最初と最後がバラードというのもいい流れ。
どちらも上手い、いや上手いなんて陳腐な言葉では失礼、
真心で聴かせてくれる人、それがオーティス・レディングですね。
今回はコレクターズ・エディション国内盤のリンクを。
Disc1のボーナスマテリアルは以下の通り。
12:I've Been Loving You Too Long
(Mono Mix of Stereo Album Version)
13:I'm Depending On You
(B-Side)
14:Respect
(Mono Mix of Stereo Album Version)
15:Ole Man Trouble
(Mono Mix of Stereo Album Version)
16:Any Ole Way
(B-Side)
17:Shake
(Live, 1967 - Stereo Mix of Single Version)
★LIVE AT THE WHISKEY A GO GO (4/66)
18:Ole Man Trouble
19:Respect
20:I've Been Loving You Too Long
21:Satisfaction
22:I'm Depending On You
23:Any Ole Way
Disc2のボーナスマテリアルは以下の通り。
12:Respect
(1967 Version)
★LIVE IN EUROPE (3/67)
13:I've Been Loving You Too Long
14:My Girl
15:Shake
16:Satisfaction
17:Respect
面白いなと思ったのは、Disc1のライヴで
シングルB面曲を2曲とも演奏していることで
B面とはいえお気に入りの曲なのでしょうね。
ということで、
Tr13:I'm Depending On You
(Otis Redding)
基本はアップテンポで明るく楽しい曲。
でも、その割に「君を信じているよ」って、
ちょっと気持ちを引きずる曲なのかな。
Tr16:Any Ole Way
(Otis Redding & Steve Cropper)
こちらもミドルテンポで明るい曲ですね。
イントロの音がなんだかほっとするものを感じさせます。
それこそ、昔からずっとそうだった懐かしさみたいな。
"ole"は"old"の南部訛りの綴りとのこと。
今回で、オーティスはだいぶかなり好きになってきましたよ(笑)。
好きになった以上は、もっと知りたいですね。
最後に、
今回の写真は、Blue、青空と雲でまとめてみました。
04

では、またねぇ!
Posted by guitarbird at 20:59
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