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Posted by naturum at

2014年03月29日

STILL LIFE ザ・ローリング・ストーンズ

いつものように
写真へのコメントも
大歓迎です!


といって、ほとんどがCDに関するものですが・・・

01


STILL LIFE (AMERICAN CONSERT 1981) 
 The Rolling Stones

スティル・ライフ ザ・ローリング・ストーンズ released in 1982

これは僕が初めて買ったローリング・ストーンズのレコード。
ビートルズとそのメンバーばかり聴いていた中3の夏までの後、
ベストヒットUSAやFMファンで、洋楽全般に興味を持ちました。

ローリング・ストーンズ。
これくらい有名なバンドだと、いつどこで名前を最初に知ったかなんて
思い出せないものですよね。
僕がはっきりと意識をし始めたのは、ビートルズが
I Wanna Be Your Manをストーンズに提供した、

その他もろもろでビートルズの話の中によく名前が出てきたからです。

しかし僕は、最初はあまりストーンズをよくは思っていませんでした。
僕がいつも記事で引用するジョン・レノンのインタビューでも、
ジョンは、要は「僕らの真似をしている」といった感じで、
あまりいいことを言っていませんでした。
最初は僕も、ジョンの言葉をそのまま鵜呑みにし、まるで
「ストーンズを聴いてはいけませんよ」と諭されたようで(笑)、
聴こうとは思いませんでした。

そんな折、このライヴ盤が出ました。
ここからは、Time Is On My Sideのライヴ映像を
ビデオクリップとしてテレビなどで流していたのを観て聴きました。
この曲で僕はとても感銘を受けた・・・というほどではなかったですが、
でも、とってもいい曲だと思ったことは間違いないです。
最初にこの曲を聴いた印象は、
ストーンズってもっと荒々しい曲ばかりだと思っていたのが、
これはゆったりとしたメロディに起伏がある「バラード」で、
それが意外だったことは、はっきり覚えています。
当時はビデオデッキはまだなかったのですが、
この曲はエアチェックをして聴いていましたし、さらには、
プロモで押していたのか、テレビで何度もよく観ていました。

聴いてゆくと、「ジョンの教え」と「ロック的好奇心」の間で揺れ始め、
だんだんと欲しいと思うようになったり、
欲しいと思ってはいけないんだと思ったり・・・

02 このアルバムのステッカー・・・どこで手に入れたんだろう・・・


だけどついに買いました。
買ったのはいつだったかな、中3で、83年に入ってからのはずで、
だけど僕が買ったビートルズ以外の洋楽のLPの
最初の10枚には入ると思います。

それでも買ったのは、もちろん
「ロック的好奇心」が勝ったからに違いありません。
或いは「教え」に背くこともうれしかったのかも・・・(笑)・・・
冗談はともかく、ジョンの「教え」というのが実は、
ビートルズばかり聴くのではなく、もっと広く音楽を聴くこと、
であるように思い始めていたのかもしれません。

僕がリアルタイムで体験した最初のアルバムが
ライヴ盤
だったのも、大きな理由のひとつでしょうね。
実際、僕が最初に好きになったストーンズの曲Start Me Upと、
かの有名な(I Can't Get No) Satisfactionが入っている、
これは大きかったですからね。
当時その2曲は既に聴き知っていましたが、
レコードが欲しいと思い始めた頃でしたし。

もうひとつは、僕の周りには当時、
ストーンズを聴いていた人がいなかった
のも、
へそ曲がりを発揮した部分だったかと思います(笑)。
周りに誰もいないとなると、がぜんうれしくなりますから!
今でも親交があるビートルズが好きな友達は、
お姉さんがストーンズも聴いていたのですが、
「俺には合わん」と、話題にはしていませんでしたから。

身近な友達もそうでしたが、しかし当時の日本ではそもそも、
ストーンズは「好きな人は聴く、それ以外は聴かない」
という感じだったと思います。
もしくは、ミュージシャンでは好きな人が多いけど・・・
さらに言われていたのが、これはあくまでも僕が聞いた話ですが、
「ビートルズが好きな人はストーンズは聴かない」でしたし・・・
なんでも、このアルバムが出た頃までは、
ストーンズの日本での全てのアルバムの総売上枚数が、
日本でもミリオンセラーだったビートルズLET IT BE
1枚よりも少ない
、と言われてましたから・・・


03 当時買った楽譜


決め手となったのは、この写真の楽譜です。
僕は中3からギターを弾き始めていて、
当時は、仮にも「ギター少年」だったのですが(笑)、
このアルバムの楽譜が出ていることを楽器屋の店先で知り、
ギターで弾いてみたくなって、それで決まりました。

買って早速Time Is On My Sideを弾きましたが、
バレーコードのFを押えて最初は6弦開放を弾いた後
人差し指でハンマリングしてアルペジオというのが難敵で、
さらに次もバレーコードのBフラット、その後は開放コード、
しかも間にハンマリングが混じる・・・
という「高度な」テクニックに、最初は面食らいました。
でも幸いなことにテンポが速くないので、何とかクリア。
そのような感じで何曲か好きな曲を弾いてゆき、
Start Me Upのイントロもここで覚えましたが、
3小節目にさりげなくロックンロールのリフが入っているのが、
とにかくカッコいいと思いました。

そうこうしているうちにすっかりストーンズも好きになり、
それからは新譜は買い始めるようになりました。

もうひとつ、これを最初に聴いて、
ミック・ジャガーの声って変わってるなぁ、と思いました。
これは当時思ったことを思い出して文字にしただけで、
それ以上の意味はないし、今となっては自分でも不明ですが、
とにかくこの声にはすぐにひかれました。

なお、アルバムについてさらりと触れておくと、
これは、映画にもなった1981年の全米ツアーのダイジェストで、
彼らとしては4枚目のライヴアルバム。
それまでのストーンズのキャリアをひとくくりするという感じ。

ただ、ツアーは大成功でかなりの収益を上げたらしいのですが、
その事実=ロックがすっかり商業化したという事実と、
70年代は先頭に立って突っ走ってきた彼らが、
自らのキャリアを総括するようなライヴアルバムを出したことで、
何かひとつの時代が終わったような雰囲気ではなかったかと。
実際、この後の2枚は勢いが衰えていて、ソロも活発になり、
ストーンズの歴史では最も低迷していた時代だったと思います。
そして、日本でストーンズの人気がようやく定着したのは、
CDの時代になってからでしたし。
要因はそれだけではないですが、この場ではそれには触れません。
ストーンズの場合はアルバムが多くてこれからも記事にするので、
その都度触れないといつも記事が膨張してしまいますので(笑)。


04 LPとアイーダとポーラ



Tr1:Intro:Take The A Train
  performed by Duke Elington and His Orchestra

本編の前にintroとして
デューク・エリントン『A列車で行こう』が流れています。
コンサートでは始まる前に他のアーティストの曲が流れるのは
よくあることですが、それを知ったのもこのライヴ盤でした。
なお、これを聴いた父が、
「お前もジャズも聴き始めたのか」と言いました。
父は、モダンより前のジャズ、特にベニー・グッドマンが好きでした。
しかし残念、父の期待には応えられることができず、
これはローリング・ストーンズ(笑)。
CDではこれがTr1になっているので、それに合わせました。


Tr2:Under My Thumb
そしてこの曲、ギターリフが強烈。
楽譜を買ってすぐに弾き始めてとりこになりました。
他のバッキングプレイもカッコいいし。
しかし、後年、このオリジナルのアルバムヴァージョンを聴くと、
そのカッコいいギターリフの音がとてもソフトで、
しかも他の楽器と一緒に奏でられていて、かなりショックを受けました。
調べるとその楽器はブライアン・ジョーンズのマリンバのようです。
今はもちろんオリジナルも好きですが、この曲については僕は、
断然このライヴのほうが好きですし、ストーンズの全部の曲でも、
このテイクはかなり好きな上位に入ると思います。
最初にこちらを聴いてしまったがために・・・


Tr3:Let's Spend The Night Together
これは彼らの名曲中の名曲・・・ということは後で知りました(笑)
楽譜を見てイントロをギターで弾いたところ、
4弦開放をずっと鳴らして3弦だけ動かすというフレーズが
とってもカッコよくて、好きになった曲。
それとこの曲は、2006年の札幌ドーム公演で、
僕はまったく予期していなかったところで演奏して、
とっても感動した、今ではすっかり思い出の1曲となっています。


Tr4:Shattered
アルバムSOME GIRLSからの1曲。
これもイントロのギターが弾いてみて面白かった。
当時はしかし「面白い、変わった曲だな」というくらいで
まあ楽しいけどあくまでもライヴアルバムの中の1曲でした。
出だしは、ミックが何と歌っていたのか分からなかったし(笑)。


Tr5:Twenty Flight Rock
エディ・コクランのヒット曲、というのは今調べて分かりました。
僕は元々、シンプルでリフが目立つロックンロールが大好きで、
だからこの曲は1発でKOされました。
チャーリー・ワッツの歌うようなドラムスに乗せられ、
キース・リチャーズロン・ウッドのギターが縦横無尽に走り回る。
Bメロの疾走する感じのリフがまたカッコいい。
後にポール・マッカートニーもカバーしていましたが、
これに比べると「お遊び」にしか聴こえませんでしたね(笑)。


Tr6:Going To A Go-Go
今回このアルバムを取り上げたのは、
そうか、僕はやっぱり昔からソウルは好きだったんだ
ということにあらためて気づいたからです。
これはスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズのヒット曲
ということは当時から聞き知ってはいましたが、でも、
自分がソウルを傾聴するようになって、この曲の意味が増しました。
それで僕は、このストーンズのバージョンの方が今でも好きですね。
躍動感があて自然と小躍りするチャーリーのドラムスに乗り、
キースのキレがいいギターが刺さり込んできて、
そこにちょっと恐い声で歌い始めるミック。
オリジナルのスモーキーはファルセットでむしろ軽い声なのが、
聴き比べると面白く、またすごいところです。
そして、下の写真に写っているスモーキーのベストが、
今日届いて、今日から聴き始めました!


05 スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズとテンプテーションズ



Tr7:Let Me Go
アルバムEMOTIONAL RESCUEからの曲。
曲としてはそんなに好きじゃないけど、アルバムの流れとして
B面の最初に軽いフットワークの曲を入れたのはよかった。


Tr8:Time Is On My Side
前の曲が軽かっただけに、この曲が生きてきます。
聴いていて、実際に、この2曲のつながりもとってもいいし。
この曲はカバーであるのは後年に知ったのですが、
キャリア20年を総括するライヴからのシングルとして
このタイトルの曲を選んだということに、
ロックの歴史に重みが出てきたことを感じました。


Tr9:Just My Imagination (Running Away With Me)
ストーンズのアルバムバージョンはSOME GIRLS収録。
この曲は暫くストーンズの曲だと思っていたのですが、
二十歳を過ぎてそのアルバムを初めて買った時に、
実はテンプテーションズのカバーであることを知りました。
テンプスは今、僕がもっとも多くの時間を聴いている人たち。
これを収録したベスト盤は、スモーキーとともに05に写っていて、
どちらもモータウンの看板グループ。
そうか、僕が最初に買ったアルバムの時点で、ソウルの波は、
いつかきっと訪れる波だったんだなと、今にして気づきました。
この曲は、LPで聴いた時、なぜか印象が強くて、
他のストーンズの曲より好きになったくらいでした。
オリジナルはファルセットで歌われた美しいバラードですが、
ストーンズはミドルテンポの小気味よいロックに仕上げています。
そうか、ストーンズはテンプスが好きなのか、
と思うとまたうれしくもなりますし、しかもこの曲、
オリジナルは1971年発表、NO.1になっていますが、
その頃はストーンズも既に大スターになっていたわけで、
そんな中でも新しく聴いてカバーしたというのは、
おそれいりましたという感じです。


Tr10:Start Me Up
僕が最初に好きになったストーンズの曲ですが、正直、
これを聴いて少しがっかりした覚えがあります。
これは、最初に聴いたオリジナルのスタジオバージョンの、
あの妙な間が好きなんですが、ライヴではその間が埋まって、
少しまっすぐになっているのが減点、かな。
オリジナルはTATTOO YOU収録。
そういえばこのライヴ盤は、そのアルバムのツアーのはずだけど、
そのアルバムの曲がこれだけというのが
今となってはちょっと不思議な気もします。


Tr11:(I Can't Get No) Satisfaction
最後はこの曲。
まあこれもオリジナルのスタジオバージョンのほうが好きですね。
ライヴでは曲が走る傾向にあることも学んだ気がしますが、
流れの中で盛り上がる曲だし、ライブで聴いてこそ、かな。
実は、買う前は決め手になっていたはずのこの2曲が、
いざ買って聴いてみると印象が薄かったというのは、
一見すると期待外れのようですが、でも実は、
有名な曲よりも好きになる曲があるということが分かった、
貴重な体験だったのではないか、と、今にして思います。


Tr12:Outro:Star Spangled Banner 
 performed by Jimi Hedrix

ストーンズの演奏が終わって、会場にはあの
ジミ・ヘンドリックスの「アメリカ国歌」が流れる。
当時の僕はロックキッズでギター少年だったわけですが、
ジミのこの存在を知ったばかりの頃で、衝撃を受けていて、
それがさらりと入っていたのもうれしかったです。
ジミについては高校1年の時に初めてLPを買いましたが、
それもまたの機会ということで。




僕にとってはかけがえのない思い出のアルバムですが、でも、
ふと、今このアルバムを聴くというのはどういう意味があるのか、
ということに思いが及びました。

ストーンズ的にいえば、Tr5、Tr6はここでしか聴けないし、
全部押さえているファンやマニアあればともかく、そうではなければ、
僕のような思い出でもない限り、わざわざこれを手に取るかな、と。
実際、現在はこのCDはカタログ落ち状態のようで、
HMVでは出てこなくて、Amazonでは中古のみの扱いです。
しかも、映画のDVDが出ているので、10曲だけCDで聴くよりは
映像つきで観て聴いた方がいいかもしれないですし。

今となっては、だから、存在感が薄いアルバムではありますが、
それは、「総括してしまった」ことと関係あるのかもしれません。
当時こそ、20年も続けてきたバンドということで、
「総括」するのはそれなりに意味があったはず。
しかし、気がつくと、
ストーンズがデビューしてからこのアルバムが出るまでよりも、
このアルバムが出てから今までのほうが長くなっていて、
しかも、ビル・ワイマンが抜けたとはいえ、当時と同じ4人が
今でも活動を続けているということが、
そして繰り返しますがこの後彼らが少し低迷したことが、
このアルバムの影が薄くなった部分ではないかと思います。

それと、ロックを取り囲む環境も大きく変わっていますからね。
今となってはすっかり大人が普通に聴く音楽ですから。
だから、これより前の全盛期のライヴアルバムだったり、
逆に近年のまだまだ現役のライヴ盤に比べると、やっぱりこれは、
「過去のもの」という感が大きいのは否めないですかね。

それでも僕は、ソウルを傾聴するようになって、
このアルバムをまだ10代のうちに聴いていたことが、
あらためてありがたかったと思うよになり、
それで敢えて記事にした、というわけです。

06 最後はおなじみA公園「ベロ出しシラカンバ」、09/3/28撮影


ローリング・ストーンズはやっぱりいいですね!

だけど、
スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズも、
テンプテーションズもまた、とってもいいですよ!


  


Posted by guitarbird at 21:29ロックQ-Z

2014年03月14日

STEEL WHEELS ローリング・ストーンズ

01


STEEL WHEELS Rolling Stones
スティール・ホイールズ ローリング・ストーンズ
 (1989)

ローリング・ストーンズ東京公演はもう終わりましたが、
僕の中ではまだ気持ちが続いています。
今回は、コンサートがきっかけで聴き直しているアルバムです。

このアルバムは、CDで買った彼らの最初のアルバムです。
この前年にCDとLPの売り上げが逆転したと記憶しています。

僕はストーンズはライヴ盤のSTILL LIFEからリアルタイムで
買っていましたが、正直、この前の2つの作品は、
もう20年もやってきてそろそろかな、といった印象でした。
今聴き直すと、それなりにいいのですが、僕がいつもいうように
当時はまだ「親父ロック」なる言葉もないし、ロックはまだまだ
時代の流行りという概念が広く残っていた頃でしたから。

実際、80年代後半は、ミック・ジャガーとキース・リチャーズの
仲が険悪になり、それぞれソロ活動に力を入れていました。
前作のOne Hitのビデオクリップでは、ミックとキースがほんとうに
喧嘩しそうになっている、という話もあるくらい。
ミック・ジャガーはストーンズに先駆けて88年にソロで来日公演を
行いましたが、ストーンズとしては入国できないからこれが
最初で最後のミックと日本で会う機会だと騒がれました。
実際はその後に来日したわけですが、ポール・マッカートニーも含め
「前科」があるミュージシャンへの寛大な措置を求めることが、
日英の外交問題にもなったという背景があっての来日でした。

やがてミックとキースは和解。
新たなローリング・ストーンズとして出発することに。
満を持して出されたのがこのアルバムでした。

そうさせたことのひとつに、CDの時代になったことがあるでしょう。
いつも言いますが、CDの時代になると、過去の作品も
魅力ある「新作」として店頭に並ぶことになり、LP時代よりも
気軽に買って聴けるようになりました、値段は高かったけれど。
そこであらためて若い世代にもローリング・ストーンズが聴かれ、
広まり、すごい人たちなんだという意識が定着したのだと。

このアルバムはおおむね好意的に迎えられました。
実際、最初のシングルのMixed Emotionsのビデオクリップでは
ミックは40代にしてこの細さ、このしなやかさ、と話題にもなりました。
もう25年も前の話ですが、そうか四半世紀も経っているのか、
今またこのビデオクリップを見てあらためて驚くのは、今のミック。
40代にして、と言われていたのに、70代でも変わっていなかった。
ほんとうに、今までの人類史上こんな人はいなかった、
ミック・ジャガーはそういう次元に達しているとの驚嘆の念があります。

新譜として初めてストーンズのCDを買って聴いた第一印象は、
やはりストーンズはストーンズだ、とほっとした記憶が。
LPで買った前作よりはずっといいな、とも。
しかし聴いてゆくと、まろやかなストーンズという印象。
ソフトではない、がつーんとは来るけれど、全体的には
40代の男らしい、角があるだけではなくその奥にある気持ちを
しっかりと感じさせてくれます。

僕は最初からこれはいいと思いました。
ただ、このアルバムがひとつだけ不幸だったのは、
まさにそれがCDの時代の最初のアルバムだったことでしょう。
過去の作品がより多く聴かれたことによって逆に、ストーンズってまだ
元気にやっているんだという話題以上ではなかったかもしれない。
そりゃそうですよね。
やはり、10年20年と聴き継がれてきた過去の名曲に比べると
新しいこと以外は負けてしまうことが多いのだから。

このアルバムは聴きやすいとも思いましたが、それも逆にいえば、
昔の曲のように胸に突き刺さるような強さやインパクトの大きさがなく、
さらりとかけて聴き通してはい終わり、という感じに映るかな。

当時の彼らは、CDで聴かれることを意識して敢えて
今の自分達らしさを表そうとしたのかもしれない。
昔のように反抗分子ではない、そんなガキが大人になって、
世の中のいろいろなことを受け入れつつ気持ちだけは変わらない。
その結果がこの音なのかもしれない。

しかし今聴くと、、やっぱり歌メロがいい曲が多いですね。
これについては曲ごとに話してゆきます。

特筆すべきは、このアルバムは音がいい、録音状態がいいこと。
ウィキペディアで調べると、このアルバムはビートルズの
プロデューサーだったジョージ・マーティンがカリブ海のモンセラ島に
設立したエア・スタジオで録音されたそうです。
僕はそれは知らなかったのですが、言われて納得。
エア・スタジオはミュージシャンの間でも人気があるそうで。
ギターの音もがつんと来るしハードなんだけど、でも、音が整っていて、
きれいに流れてくる、だから聴きやすい。

そしてこのアルバム、20代前半で聴くよりも
40歳をはるかに過ぎた今聴くとちょうどいいことに気づきました。
今はもうCDによる過去の音楽の呪縛も解けているし、なにより、
このアルバム自体がもう四半世紀を経ていますからね。
ありきたりの喩えでいえば、熟成されたワインやウィスキーのように。
聴きやすい以上の手応えがある素晴らしい作品だと再認識しました。

このアルバムでひとつ言わなければならないのは、
ビル・ワイマンが参加した最後のスタジオアルバムであること。
いなくなってもう20年以上が経っているし、後任のダリル・ジョーンズが
すっかりバンドに溶け込んでいるのは確かですが、でもやはり
最後のアルバムだったのはいろいろな感慨がありますね。

今回このアルバムをまた聴いているのは、3月6日に1曲
この中から演奏されたからですが、何度か聴いて、
僕にとっては大切なストーンズのアルバムであることが分かりました。
そして、この素晴らしいアルバムが埋もれてしまわないようにとの
願いを込めて記事にした、という次第です。


02



1曲目Sad Sad Sad
いきなり「じゃららじゃーん」とギターをかき鳴らして始まる。
おお、これはまごうことなきストーンズだ。
やはりサビのタイトルを歌う部分の力強さ、口ずさみやすさ、
当時はコンサートでも盛り上がったのではないかと。
ストーンズのアルバムの1曲目としては最上級の曲でしょう。


2曲目Mixed Emotions
「混在する感情」というのは、ミックとキースの仲のことだと
当時はまことしやかに言われました。
この曲はクレジットはグリマー・ツインズでも、ミックのものでしょうね。
復活を高らかに宣言するチャーリー・ワッツのドラムスのフィルイン。
ずっと高音で歌い、ギターの響きとも相まって高揚感がある曲。
サビでキースのドスが効いたコーラスが被りますが、それがなんだか
やっぱりまだミックが癪に障るかのようにミックの声を消している。
これが歌っていて困るんですよね。
ミックのほうを歌うつもりが、つられてキースになってしまう・・・
まあそれも「混在する感情」なのでしょうけど。
2回目のサビの後で一度しか出てこない中間部に入るとミックの
ヴォーカルがより感傷的になり、キースのギターも刺さってきて、
最後はミックの声が上ずるのがまたいい。
今回のコンサートではやらなかったけれど、CDを聴き直して、
今はこの曲をいつも口ずさんでいる状態です(笑)。


3曲目Terrifying
ソウルっぽい雰囲気のちょっとかげりがある曲。
シンコペーションで入る後ろのギターが気持ちを乗せてくれるし、
タイトルの言葉を歌う前にそれまでになかったギターフレーズが
出てくるのにはっとさせられる。
もちろんギターソロも鋭い。
やはりギターワークのセンスは最高ですね。
都会的な響きがするけれど、そういえばこのアルバムはみなそうだ。


4曲目Hold On To Your Hat
アップテンポでシャッフルしたちょっと慌ただしい響きの曲。
サビの前で派手にかき鳴らすギターがまたいい。
ミックも吠えてますね。


5曲目Hearts For Sale
これまたソウルっぽい雰囲気。
ストーンズのミドルテンポのほの暗い曲でよくあるタイプだけど、
円熟味と新しさが同居したこの曲にこのサウンドはぴったりで、
新境地を開いたともいえるかもしれない。
それにしても、何かに怒っているのかな、そうだろうなあ、
「セール中の心」だしなあ。
ミックの吐き捨てるような歌い方が恐くもある。


6曲目Blinded By Love#
カントリータッチのソフトで穏やかな曲。
これは最初から強く印象に残り大好きな曲でした。
ストーンズのきれいな部分をきれいな音の中に集めた、という感じ。
後半にフィドルも入るし、心がきれいに洗われますね。


03



7曲目Rock And A Hard Place
LPではここからがB面ということになるのでしょうけど、
CDの時代でも曲の流れとしてここからB面であることを
強く感じさせる音作りもなんだかうれしかった。
そしてこの曲は80年代のストーンズでも屈指の傑作かと。
この曲こそ、ストーンズらしさを新しい感覚で表したもので、
R&Bからロックに至った彼らの音楽をダイジェストした上で、
あらたに先に進もうという強い気持ちが分かる曲であり、
ミックとキースは本気なんだぞと感じさせられたものです。
この期に及んで新しい、というのがすごい人たちだなとも。
女性のヴォーカルがこの曲では特に目立ちますが、見ると、
今回のコンサートにもいたリサ・フィッシャーはもうこの時から
いたんですね、これは知らなかった。
この曲は今回のコンサートで演奏してくれないかなと
密かに期待していたのですが、残念ながらそれはなかった。
でも、CDで聴き直してますます大好きになりました。


8曲目Can't Be Seen
このアルバムのいいところはたくさんありますが、
キースの歌が2曲で聴けることもひとつでしょう。
後ろ暗さがあって何かから逃げるようなキースのヴォーカル、
もうこれはキースにしかできない。
語るような部分もやはりかっこいいとしか言いようがない。
キースはよく聴くと結構こぶしを回して歌ってますね。


9曲目Almost Hear You Sigh
「ふうううう~ うううう~う」
ストーンズのコンサートの記事でも書きましたが、
彼らにはハミングが印象的で歌いやすい曲が多いですね。
感傷的なバラードのこの曲はその最たるもの。
多分キースとロンの男臭いハミングのコーラスは哀愁の塊。
ミックもファルセットを交えながら気持ちを吐き出すように歌う。
ガットギターのソロも曲の雰囲気にぴったり。
今聴くと、この曲こそ名曲じゃないか、と。
今は2曲目とこれをよく口ずさんでいます。


10曲目Continental Drift
インド風のイントロには60年代に気持ちが飛んで行く。
全体的にインドっぽい響きの曲、不思議な高揚感がありますね。
もしくは、クスリによる精神の高揚と幻惑を表しているかもですが・・・
この曲は1990年の東京ドームコンサートで演奏しましたが、
ミックの顔がスクリーンに大写しになり、画面がフラッシュしながら
次から次へと顔が変わっていく演劇的な演出が印象的で、
今でもよく覚えています。


11曲目Break The Spell
すいません、今回聴いて、この曲だけあまりよく覚えていなかった。
当時よく聴いたんだけど、最後の前という場所のせいかな。
今となってはビル・ワイマンが最後だからか、ベースが全体を
覆いつつ引っ張っていくブルージーな曲。
とくればミックのブルースハープ、重たくて迫力がある響き。
コンサートでもそれを実感しました。


12曲目Slipping Away
そして今回コンサートで演奏したキースの曲が最後に。
僕はアルバムの最初と最後の曲にはかなりこだわりますが、
これはもう余韻残しまくり。
ほんとうに気持ちが遠くに遠くに運ばれていくよう。
キースもこれほどまでに叙情的な曲ができるんだと驚くとともに
ミックとキースの仲直りはほんとうだな、と感じました。
それにしてもこの曲はいい。
Bメロというのか、♪すりっぴなうぇぇ~~~いという部分がいい。
コンサートで聴いて思い入れもできた曲、それが最後にある
このアルバム、リアルタイムでもあるし、やはり愛着がありますね。




このアルバムは最初はSONYから、続いてVirgin、
そして今はPOLYDORから出ています。

繰り返し、若い頃より今だから心からいいと感じました。
というのも、このアルバムは好きなことは好きだけど、
やはり僕自身もこの後で過去のアルバムをもっと好きになり、
自分の中でも埋もれかけていたアルバムになっていたのです。
そう、僕はストーンズの過去のアルバムは、CDの時代になって
初めて買って聴き始めた人間ですから。
ベスト盤のHOT ROCKSは最初から20番目くらいに買ったCD
というくらいに早くから、まだ10代のうちから聴いていましたが。
このアルバムは、いつか聴き直してより好きになる時が
来るに違いない、という思いをずっと抱いていましたがが、
その"Someday"が意外と早くやって来ました。

ストーンズはCDの時代になって日本でも漸く人気が出ましたね。
といのも、何とかのひとつ覚えですが、この前作までのストーンズの
日本でのLP売り上げ枚数は、ビートルズのLET IT BE(百万枚超)
1枚よりも少ないと言われてましたから。
それが、CDの時代になり、この次の次のアルバムまで連続で、
日本での売り上げ新記録を伸ばしてゆくことになりました。
そういう意味でも日本においては意味のある1枚といえるでしょう。

そして、今流行りかどうか分からないけれど今風の言葉で言えば、
このアルバムが充実した作品として受け入れられたことが、
「レジェンド」への第一歩だったのかもしれません。
今風と書いたのは、今日本で使われている「レジェンド」という言葉は、
歴史を作りながらも現役を続けているという意味に解釈しているので。

さて、コンサートが終わるとすぐに気持ちが切り替わるものなのかな。
僕はそうではなく、ポールはいまだに続いている。
今回のストーンズ、実は自分の中では事前にはあまり盛り上がらず、
むしろその先のボブ・ディランへの期待が膨らんでいました。
しかし、いざ実際に行くとやっぱり楽しかったし、素晴らしかった。
自然とストーンズを聴きたくなるし、コンサートでやった曲は
よく口ずさんでもいます。
♪ ほぉ~おおおお~んきぃとんくうぃまぇん、といった具合に(笑)。
僕はAFTERMATH=余波を楽しみたい人間なのでしょうかね。
逆にいうと予知能力がなく、事前にはあまり盛り上がらない、か・・・

というわけで、ストーンズの話題もまだ続くかもしれない(笑)。
いずれにせよ、ストーンズも自分の基本であることは
コンサートとこのアルバムでよく分かりました。

大人のストーンズを楽しみましょう!


04



最後は、雑然とした車の中の犬たちでした。


  


Posted by guitarbird at 22:58ロックQ-Z

2014年02月19日

TRAFFIC トラフィック

01


TRAFFIC Traffic
トラフィック トラフィック
 (1968)

今回はトラフィックいきます。
実は今、僕がいちばん凝っているアーティストだったり・・・

トラフィックはまともに聴いてきませんでした。
理由のひとつが、よく分からないけどなんだか妙に評論家などの
評価が高かったからです。
まあそれは、聴いていなかったので分からなくて当然ですが、
でも、彼らは聴こうとすら思えなかった、なぜか。
ずばり、スティーヴ・ウィンウッドが苦手だったからです。
僕が高校時代にHigher Loveとそのアルバムが売れに売れましたが、
若かった僕にはそれが理解できなかったのを引きずっていました。
かつての音楽番組「ポッパーズMTV」におけるピーター・バラカン氏の
言葉を紹介すると、当時はフィル・コリンズが人気絶頂、そんな中
彼はスティーヴ・ウィンウッドを紹介する際にこう言いました。
「フィル・コリンズが大物として騒がれているけど、
スティーヴ・ウィンウッドのほうが段違いに偉いのに」
僕はフィル・コリンズは普通に好きですごいと思っていた人なので、
そうい言われて「そうかぁ?」とテレビに向かって言いました。
今考えると生意気ですね(笑)。
でも一方、「そうか、そういうもんなんだな」とも知らされました。
ちなみに、弟は僕よりもっとスティーヴ・ウィンウッドが嫌いで、
かつて僕がブラインド・フェイスを聴いていたところに弟が帰宅し、
金切り声系のスティーブの声を聞いて、疲れていたのか、
頼むから止めてくれと言われたことがあるくらいです。

月日は流れ、ロックの名盤情報などにも多く接するようになってから、
トラフィックの最初の2枚のリマスター盤が出たので買いました。
いつも言いますが、僕はリマスター盤が出るとひとまず聴いてみる、
そういう心構えでずっと音楽を聴き続けていましたから。
その2枚とは、名盤の誉れ高いデビュー作MR. FANTASYと、
2ndであるこのアルバム、無謀にも2枚同時に買いました。
僕は、何を見ても名盤と書かれている1stから聴いたのですが、
ここがいわばその後の間違いと混迷の元凶でした。
これもよく言いますが、僕はサイケデリック系の音が苦手なのです。
彼らの1stは僕にはそういう風にしか聴こえませんでした。
「名盤と呼ばれるものの中には僕には理解できないものもある」
と悟ったところで、トラフィックは僕の中では終わりました。

しかし今年、ついに、真面目にトラフィックを聴き始めました。
ジョー・コッカーの記事(こちら)でも話したように、
弟がデイヴ・メイスンを集めて聴くようになったからです。
僕は、ジョーの大好きなその曲の作曲者を、さらにはそれが
僕が既に持っているCDに入っていることを知らなかったのです。
それに気づいてひとりで恥ずかしくなりました。
まあ、いいんです、世の中、知らないことはたくさんありますから。

そこで、正直どんな音楽かまったく覚えていなかったので、
ほとんど初めての気分でこのアルバムを聴くことにしました。
1stのイメージで、僕には響かないのではないかと不安になりました。
杞憂でした。
少なくともサイケデリック系ではありませんでした。
このアルバムはとっても良い、すぐに大好きになりました。
そしてついに、トラフィックについて思うことを、
記事にまとめることができるくらいになりました。

これを聴く前に、弟に、デイヴ・メイスンは、英国人で本格的に
スワンプに取り組んだ先駆者のひとりだと聞かされていましたが、
それを念頭に聴くと、確かに彼らの音楽には、アメリカ音楽の影響が、
思っていた以上に見え隠れしつつ表されているのが分かりました。
といって、僕はスワンプを果たして知っていると言えるのだろうかと
自問自答しないでもないですが、でも、それは正直なところでした。
デイヴ・メイソンが、スワンプ指向の英国人による大傑作アルバム、
ジョージ・ハリスンのALL THINGS MUST PASSに参加していることも
ようやくそこでつながって納得しました。
ここまで来るのに四半世紀を要したことになりますが(笑)。

トラフィックの音楽は、表面上はさらっと演奏しているように聴こえ、
決してくどくも暑苦しくもないのが聴きやすいところです。
トラッドが基礎なのかなと思いつつ、アメリカのルーツは見えるけど
そちら側に行ってしまうのではなく、あくまでも自分たちの側に
引き寄せて自分たちのフィールドだけで勝負している感じ。
例えば、生真面目なエリック・クラプトンのように
ブルーズに身も心も魂も捧げたり、自らの肉体改造をしてまでも
スワンプにどっぷりと浸ったりという姿勢は見られず、
あくまでも自分たちは自分たちであって、その主張は結構激しい。
もちろん彼らだって音楽には真面目一直線でしょうけど、
スティーヴ・ウィンウッドは「インテリな不良」「不良インテリ」
みたいな香りをぷんぷんと発していて近寄り難さのようなものがあり、
そこが毅然としていると感じる部分でもあります。
まあ、彼らは英国人ですからね。
とだけで片付けてはいけないのかもしれないけれど・・・

ただそれは、斜に構えている、素直じゃないともとれるわけで、
そこは聴く人がどう捉えるかでしょうね。
僕は好きですよ、こんな性格だから(笑)。
デイヴ・メイスンが脱退してスワンプに走ったのは、
彼は斜に構えずに真っ直ぐやりたかったのかもしれない。
(スティーヴとデイヴが不仲だったという噂も・・・)
しかしそんなところからしていかにも英国人っぽさがあり、
洗練され洒落ていて野暮ったさがないと感じるところです。
彼らの場合はまた、当時横行していたブルーズの影響が
表面上は割と希薄なのが、他とは違うと感じる部分です。
スティーヴは後にエリックとくっついたりしましたが、
彼は音楽に柔軟性がある才人なのでしょうね。
何より音楽の咀嚼能力が大きく、懐深く構えている感じがしますね。

トラフィックという名前は、いろいろな音楽が混じり合いつつ
うまく流れるように交通整理されているという意味であるなら
まさにぴったりでとてもいい名前だと思います。
雑多に混じり合ったままばらばらに存在するのではなく、
いろいろな方向の流れをうまく秩序だてて管理している様子です。

メンバーは
スティーヴ・ウィンウッド Steve Winwood (Key)(Vo)(Bs)
デイヴ・メイスン Dave Mason (Gt)(Vo)
クリス・ウッド Chris Wood (Wind Instruments)
ジム・キャパルディ Jim Capaldi (Ds)(Vo)
メンバーに2人も"wood"がいるのは国際森林年にふさわしい(笑)。
そうそう、もひとつ音楽的に変わった響きと感じさせるのは、
管楽器奏者のクリス・ウッドがメンバーに名を連ねていることで、
各種の管楽器の音も他にはない音的な楽しさを感じる部分です。
それと、スティーヴは録音ではベースも弾いているんだ。
コンサートではそのベースラインを、ドアーズのように
キーボードで再現するのかな。
ベースに特にこだわる僕としては気になるところです。
ジム・キャパルディのドラムスはびしっと響いてきます。
先ほどから英国、英国と書いているけど、
キャパルディという苗字はもしかしてイタリア系かな。

いつものように作曲者は各曲に明示しますが、
トラフィックはリード・ヴォーカルも分担しているので、
作曲者の右側の()内にファーストネームを記してゆきます。


02 トラフィック、ということで札幌市電を



Tr1:You Can All Join In
(Dave Mason)(Dave)
1曲目は、アコースティックギターの力強いカッティングと、
エレクトリック・ギターの浮かぶような楽しげな旋律が、
ボ・ディドリー風のビートに乗って始まるカントリー風の曲。
トラフィックの場合は何事も「風」であるのが肝要(笑)。
アルバム1曲目としてはちょっと異質な感じがするのは、
始めっからすかしている態度を感じられて面白い。
とはいえ、印象には残りやすいし、僕はこの音で始まるから
ここまで大好きになったともいえます。
デイヴのギターのオブリガードもカントリー風だけど、そういえば
デイヴはジャケットでカウボーイハットを被っているんだっけ。
トラフィックを聴いてゆくと、デイヴがこの中ではいちばん
アメリカっぽい要素を発散しているのを感じました。


Tr2:Pearly Queen
(Steve Winwood / Jim Capaldi)(Steve)
ブルーズっぽいといえばそんな曲かな、軽めだけど。
問答をしていて問いかけだけを永遠に続けて答えがないような、
一本調子に曲が進んでいく中、デイヴのギターソロが冴えていて、
曲にいきいきとした表情をつけています。
字余りな歌メロがちょっとばかりおかしくて面白い。
緩いようで微妙な緊張感が漂う不思議な曲。


Tr3:Don't Be Sad
(Dave Mason)(Dave)
デイヴの疲れ切ったヴォーカルとしまりがないコーラスが、
楽しげな演奏にのって進んでゆく、こちらは緩い曲。
自己嫌悪に陥りそうなところをいい意味で間の抜けた音で
和ませて救ってくれるような、ちょっと心が温まる曲。
途中でスティーヴがヴォーカルを取って代わりますが、
やはりスティーヴが歌うとしまりますね。
途中でヴォーカルが交代する曲が僕は大好き。
最後のオルガンはまるで怒っているようで迫力あります。


Tr4:Who Knows What Tomorrow May Bring
(Steve Winwood / Jim Capaldi / Chris Wood)(Steve)
これはソウル風か、前半はファルセット気味に歌うスティーヴ。
ベースが前というより上に浮かんで聴こえるミックスが効果的。
曲がなんとなく盛り上がりそうで盛り上がらないまま、
スティーヴだけが盛り上がって消えていく感じの曲。
なお、この曲はスティーヴとジムのみで録音しているようで、
デイヴとクリスには"Nothing"と記されています。


Tr5:Feelin' Alright ?
(Dave Mason)(Dave)
ジョー・コッカー(記事こちら)の名演も素晴らしいけど、これは
そもそも曲自体が持つパワーがケタ違いという感じがします。
ラテンっぽいのりで斜めに揺れながら進んでゆく曲を聴くと、
自然と体が揺り動いている自分にいつも気づきます。
サビを無意識で口ずさむのは言わずもがな。
まさにタイトルの言葉のごとし、とにかく気持ちがいい!
あ、でも、タイトルには「?」がついていますが、
斜に構えているだけで本心じゃないはず、だから気にしない(笑)。
スティーヴの少し引いたコーラスが深みがあって効果的。
いやはや、やっぱりこれは名曲だな。
多分、この曲を聴いて何も感じない人とは、
僕は仲良くなれないと思うな(笑)。




Tr6:Vagabond Virgin
(Dave Mason / Jim Capaldi)(Dave & Jim)
のどかな雰囲気で、キンクスとも通じる英国の片田舎的響き。
よく聴くとリズムが微妙にカリプソ風ですね。
フルートの音も和やかさを強調、アルバムいち緩い曲。
特に盛り上がらないまま終わるんだけど、この曲の場合は、
メリハリがないからこそ和む、そんな感じ。
スティーヴの声が目立たないので余計にのどかに感じます。


Tr7:(Roamin' Thro' The Gloamin With) 40,000 Headmen
(Steve Winwood / Jim Capaldi)(Steve)
ううん、長ったらしく説明的な曲名はさすが「不良インテリ」。
ギターのアルペジオと管楽器で不気味に曲が始まる。
ブルーズとトラッドが遠回りしながら高次元で融合したような
緊張感がある曲。


Tr8:Cryin' To Be Heard
(Dave Mason)(Dave)
ほの暗くて重たい雰囲気のゆっくりと進む曲で、
サビがびしっと盛り上がるのが印象的でついつい口ずさむ。
そうだ彼らは、基本的に緩いように見せかけておいて、
実は要所要所でびしっと決めてゆくのは得意なのかも。
途中で歌メロが対位法になる部分が出てくるあたり、
曲作りも凝っていてセンスの良さを感じます。
そしてこういう曲でやっぱりスティーヴのオルガンは凄い。
曲が終わって入る狼の叫びのような管楽器の音がすごい。


Tr9:No Time To Live
(Steve Winwood / Jim Capaldi)(Steve)
低音が響く荘重なピアノの音で始まるバラード風の曲。
しかしスティーヴはこの曲で頼りないほどに声が高い。
もちろんそれが狙いなのでしょうけど。
途中で金切り声を上げるのは、これ系の声が苦手な人、
例えば僕の弟のような人には耐えられないかも・・・
まるで狼の吠える声のような管楽器の音は
前の曲からイメージを引き継いでいます。
そしてやはりこうした曲にはティンパニーが効いてくる。
ずっと先にスティングの姿がかすかに見えてくる、そんな曲。


Tr10:Means To An End
(Steve Winwood / Jim Capaldi)(Steve)
アルバム本編最後は慌てて録音を始めたような急いた曲。
普通に明るくアップテンポの曲で、やはり「照れ隠し」的な味。
でも、なんとなく終わってしまうため、これで終わるLPの場合、
いささか消化不良気味になるかもしれません。
でも、本人たちによれば「これは終わりを意味する」そうで・・・


さて、このアルバムには5曲のボーナストラックが入っていますが、
これがまた聴きどころがあるので、今回はボーナスにも触れます。
なお、ボーナストラックについては、本編とは違い、ブックレットに
作曲者や各人の役割分担(と歌詞)が記されていないので
ここでも割愛させていただきました、ご了承ください。

Tr11:Here We Go Round The Mulberry Bush
Tr12:Am I What I Was Or Am I What I Am
この2曲は以下のように記されています。
from the film soundtrack
 "Here We Go Round The Mulberry Bush"
今の僕にはそれが何であるか分からないのが申し訳ないですが、
Tr11はトラッドというか童謡みたいな感じの楽しい曲、と思ったら
最後のほうはかすかに不安な響きになる不思議な曲。
Tr12は大きく動くギターリフが印象的なポップな曲。


Tr13:Withering Tree
おお、ここにも木の曲があるっ、やはり国際森林年バンド(笑)。
これはFeelin' Alright ?のシングルB面曲ということですが、
どうしても、霧が立ち込める丘にかすかに見える1本の木、
というイメージになってしまう・・・


Tr14:Medicated Goo
これは同時期のシングルA面としてリリースされた曲
ポップだけど力で押し通す感じのちょっとハードな曲で、
こういう曲におけるデイヴのギターはやはり冴えています。


Tr15:Shanghai Noodle Factory
題して「上海製麺所」。
この時代にこのイメージは聴く者の想像をかきたてる、以上に、
混乱に陥れたかもしれません。
さすがは「インテリ不良」、面目躍如というところでしょうか。
曲はその通り妙に間延びしたリズム感が面白いけど、麺だけに、
"any longer"とスティーヴが叫ぶ部分がやけに印象に残ります(笑)。
あ、と思ったけど、麺だから間延びしちゃだめなんですね・・・
そういえば日本は、GDPで中国に抜かれて世界第3位になりましたね。

ボーナストラックを取り上げたのは、ひとつは、
Tr10で終わってしまうと消化不良気味なところが、
CDではあと5曲聴けて気持ち的には満たされるから。
もうひとつ、調べてみると彼らはシングルヒットは出しておらず、
一方アルバムはアメリカで4枚がトップ10入りしているように
アルバムで聴くアーティストといえるかと思いますが、裏を返せば、
シングルでもそれほどインパクトが大きい曲がないということで、
つまりがこのCDの場合は本編もボーナスもそれほど気持ち的な
違いがないまま聴き通せると僕は思うからです。

ちなみにこのアルバムは全米最高17位です、そこそこかな。




自らのバンド名を冠したアルバム名というのは、デビュー作か、
キャリアが進んで再起を期す際につけることが多いけれども、
トラフィックのように2枚目でつけているのは他にはないのでは。
どういう意図だろう、それもまた斜に構えたと感じさせる部分です。

デイヴ・メイスンはこの後に脱退してしまい、
バンドも一時解散するわけですが、このアルバムは、
デイヴのギターが聴けるというだけでも価値大ありですね。

1968年はブルーズ系ロックの傑作がたくさん制作された年と
先日のジェフ・ベックの記事(こちら)で列記しつつ話しましたが、
個人的にはこのアルバムもそこに加えたいほどの充実した1枚です。
ただ、トラフィックはこの前年のMR. FANASYtのほうが評価が高く、
こちらはエポックメイキングという点ではいささか弱いため、
そこはこのアルバムのちょっとした悲運かもしれません。
まあその前に、ブルーズ系ロックかと言われれば、
必ずしもそうではないと、自分で書いたばかりでしたが・・・

でもそういえば、68年の傑作群の中のジミ・ヘンドリックスの
ELECTRIC LADYLANDにCrosstown Trafficという曲があるのは、
考えてみればよい偶然だな、と(笑)。
そこにトラフィックのメンバーが参加しているとなれば、なおのこと。
あ、だから偶然じゃないのかも・・・

最後に。
このアルバムを聴いたのを機に、MR. FANTASYも聴いてみると・・・
だいぶいいと感じてきました、かなり。
僕はもはや、トラフィックから抜け出せなくなっているようで、
そんな僕はまさに"Traffic Jam"であり、"Heavy Traffic"ですね(笑)。
再々結成以外のアルバムも全て買い求めましたし・・・


05


  


Posted by guitarbird at 22:54ロックQ-Z

2014年02月15日

FRAGILE 「こわれもの」 イエス

いつものように
写真へのコメントも
大歓迎です!


相変わらずのインドアネタ・・・

大好きなバンドををまだ記事にしていなかったことに気づきました。

01 


FRAGILE Yes
「こわれもの」 イエス
 released in 1971

イエスは、僕たちの年代であれば、最初の体験はおそらく、
1983年、「再生イエス」のOwner Of A Lonely Heart
アルバム90125という人が多いのではないかと。
もちろん僕もそうですし、名前を知ったのもその時ですが、
その詳しいことはまたの機会に譲るとします。
なお、その頃はうちでβのビデオデッキを初めて買った頃で、
「ベストヒットUSA」などで片っ端から録画するのが楽しく、
その曲も録画してそれを繰り返し観て聴いていたがために、
逆にシングルもLPも買いませんでした。

僕が実際に初めてイエスのアルバムを買ったのは、
8年後の1991年、「豪華再結成」のUNIONでした。
これは、90125のメンバーとこのアルバムの頃のメンバーが
一堂に会したということで話題になりましたが、正直、
2曲ほど気に入った曲がありましたが、他はやっぱり
「プログレ=長い」というイメージからの脱却が出来ませんでした。

しかし、僕の「イエス体験」、実はそれ以前にもうひとつありました。
1989年に、このアルバムのメンバーのうち4人が集まり
ANDERSON, BRUFORD, WAKEMAN, HOWE(ABWH)
と名乗ってアルバムをリリースし、ツアーにも出ました。
イエスはメンバーの出入りの変遷が複雑で、それを語るだけで
記事3つ分くらいになってしまうため(笑)、ここでは端折るとして、
全盛期のメンバーが4人もいながら、権利関係で
イエスと名乗ることができなかった、というわけです。
しかしその音楽はまさにイエス、だったそうです。
だったそうですというのはもちろん、僕はまだその頃は
イエスは聴いていなかったからですが、しかし、当時、
バイト先の音楽好き仲間でイエスが好きな人に、
チケットあげるからコンサートに行こうと誘われて行きました。
僕は、聴いたことがないアーティストのコンサートに行ったのは、
後にも先にも今のところそれだけです。

正直、興味はあるけど・・・以上のものではなく、渋々行ったのですが、
いざ行くと、ことのほか楽しかったことを覚えています。
1曲目が知っているOwner Of A Lonely Heart、それを
スティーヴ・ハウのアコースティック・ギターだけをバックに、
ジョン・アンダーソンが裸足で跳ねながら歌っていたこと、
リック・ウェイクマンのマフラーが派手なピアノの鍵盤の絵柄で、
それが首の前でぴたりと合って面白かったこと、そして何より、
ジョンが、童謡「象さん」を日本語で歌ったこと!
これは楽しかったですね、今でもいい想い出です。
あ、ドラムスのビル・ブラフォードだけ印象がないのですが・・・
そして余談、その時のベーシストが、
「プログレ界の重鎮」トニー・レヴィンだったといことを
後から知って、驚きと後悔の念が入り混じりました。
彼は、ジョン・レノンとヨーコ・オノの最後の録音
DOUBLE FANTASYにも参加している人ですが、
そういう人にはやはり、某かの思い入れは出来ますよね。

それからはやはり、どんなかたちであれ「実物」を見たということで、
いっきに思い入れのようなものができ、前述のUNIONを買ったのは、
その後に出た「イエスの新譜」だったからです。

02 ジャケットがきれいなので中古でLPも買いました


過去のアルバムも買い始めたきっかけは、東京にいた頃、
仕事の帰りによく秋葉原の石丸電気でCDを見て帰っていましたが、
そこでふと、きれいな青い絵のジャケットのCDが目に入り、
そこにremasterという言葉があるのを見つけて手に取りました。
それがこのアルバム。
まあ、つまり、リマスター盤をきっかけに聴き始めたという、
僕にはきわめて多い例のひとつですね(笑)。
そしてこの場合は「ジャケット買い」の要素も多少あります。

プログレといえば、「長い、小難しい」というイメージですが、
イエスの場合は、ひとつの長い曲を作っているというのではなく、
短い曲を幾つもつなぎ合わせてひとつにしている感じがします。
だから、聴いていると、片面に7曲入ったアルバムを
続けて聴くのとあまり変わらないような気分にもなります。
そして、その「短い曲」=パーツのひとつひとつが
とにかくポップで楽しいものばかり。
それと、「即興」の部分が、多分イエスには希薄で、
十分練られたものをレコードの音に残していることが、
ポピュラー音楽としてのとっつきやすさのひとつだと考えます。
しかし音作りは、多重録音というよりはバンドの録音で、
演奏のスリリングさはバンドならではのものであるでしょう。
これらの、一見すると両立が難しい要素を、
超人的なテクニックとセンスでいとも簡単に成り立たせている
のが、
イエスというバンドの魅力でしょう。

音的な面では、まずジョン・アンダーソンのヴォーカルは、
僕が好きな声のヴォーカリスト5人の1人というくらい。
ちょっとハスキーで、明るくて癖のない声。
スティーヴ・ハウのギターとクリス・スクワイアのベース、
このギターとベースの「生の音」の響きがまた魅力ですね。
とにかくいい音なんです。
クリスは、ポール・マッカートニーと同じ
リッケンバッカーのベースを使っていますが、
この楽器の音の良さを最大限引き出していますし、
スティーヴはストラトキャスター使いの名手、
そしてアコースティック・ギターも上手く鳴らせる。
最近は、「指が弦の間に引っ掛かってる」なんて揶揄されますが(笑)、
軽やかなフレーズも魅力です。
そして、「陽気な妖怪」、キーボードのリック・ウェイクマンに、
「地味な目立ちたがり屋」ドラムスのビル・ブラフォードと、
キャラとしても最高の人たち、それがイエスの魅力。

03 LPにはこんなブックレットもついています


前半の最後に、僕がイエスを好きな「小さな」理由を2つ。

ひとつ、イエスは、ビートルズEvery Little Thing
をカバーしているということを高校時代に知って、
「この人たちはきっといい人たちだ」と勝手にイメージしました(笑)。
もちろんそれは半分冗談ですが、でも実際に彼らの音楽を聴くと、
「ああ、この人たちはいい人たちなんだろうなぁ」
と思わせる何かを感じます。

そしてもうひとつ、かつて雑誌で読んだジョン・アンダーソンの言葉。

「ロックというのは踊るためにあるだけの音楽ではない
僕たちの音楽は、ソファに座ってゆっくり鑑賞してもらいたい」


ポール・マッカートニーがこれとまったく逆のことを言っていたのを
やはり雑誌で読み、ダンスが苦手な僕はがっかりしたのですが、
この場合は、ジョン・アンダーソンを支持しますね(笑)。

そして余談。

うちのラブちゃんハウの名前の直接の由来は、
ジョン・レノンIMAGINEに入っている曲Howですが、
英語のスペルはHoweとしていて、最後に「e」がついているのは、
このイエスのスティーヴ・ハウSteve Howeになぞらえたものです。
あまり意味ないですかね(笑)。


04 ジャケット裏



Tr1:Roundabout
最初のフェイドインしてくるゆがんだキーボードの音を受けて
ギターのハーモニクス音が残り、優しげな旋律が続く部分は、
「取り散らかったいろいろな音をまとめて整理して始める」
みたいな意気込みを感じました。
その後ベースがうなりながらドライブ感が増し、
ジョンの透明感ある声が旋律を紡ぎ出し、ポップな歌が進む、
と思ったところでいきなりトーンダウンと、
それまでの「ヒット曲」に慣れた身には、
この一本調子でいかない部分がとても新鮮でした。
曲はその後、各メンバーが手の内を少しずつ披露するように、
様々に展開し、いろいろ楽しい音やフレーズを聴かせます。
しかし、最後は厚みのあるコーラスの後、
出だしをなぞって、やはりギター1本に収束して静かに終わる。
このエンディングは、アルバムの、バンドの魅力を表す上でも
最高ですね。
もしフェイドアウトしていたら、魅力は1/3になっていたと思います。
そして、プログレとくくってしまうと見落とされがちになるのが、
この曲に現れているグルーヴ感でしょうね。
体が勝手に動くし、歌メロもよくて口ずさめるし、ほんと最高の曲。
やっぱり、イエスの魅力を1曲で紹介するとなるとこの曲でしょう!

なお、このアルバムを記事にしようと思い立ったのは、
先日、北大に行ってラウンダバウトを見たからでしたが、
しかし、この曲を最初に聴いた時は、roundaboutの意味を知らず、
ただ単に散歩することかなと勝手に思っていたところ、数年後に、
林望さんの本を読んで、それが何かを知りました(笑)。
辞書にも載っているので、すぐ調べるべきでしたが・・・


Tr2:Cans And Brahms
ブラームス交響曲第4番第3楽章を、
リック・ウェイクマンがピアノで軽やかに弾きこなす小品。
だけどこれは大好き。
ブラームス交響曲第4番は、最も好きな交響曲の1つ。


Tr3:We Have Heaven
ジョン・アンダーソンの好みが出たフォーク/トラッド路線の小品。
妙なリズム感に字余りな感じの旋律の歌、不思議なコーラスに、
鋭くエレクトリックギターが切れ込んでくる。
同じ旋律を繰り返すだけで、どうしていいか分からなくなったところを
最後はドアを閉めて強制終了(笑)。
あらためてタイトルを見ると、なにやら意味深な1曲。


05 ハート型のヤチダモの葉柄の痕跡



Tr4:South Side Of The Sky
ギターとベースの「生の音」の魅力を存分に味わえる曲。
ギターのバッキングだけでも聴きほれます。
中間部ではピアノもドラムスも主張しているし、
この曲は「小さな部品」を集めて作ったイエスの曲の魅力が
よく理解でき伝わってくる曲でしょう。
全体的にほの暗い感じは、前の曲を受けてのものか・・・


Tr5:Five Per Cent For Nothing
30秒ほどのつなぎ曲。
「作曲」はビル・ブラッフォードとなっていて、
ビルが叩くドラムスに他のメンバーが適当に音を出して
合わせて遊んでみよう、という感じかな。
考えようによっては、イエスというのは、
5人のスーパーミュージシャンのエゴがぶつかっているのですが、
少なくともこのアルバムでは、えげつなさというものを一切感じず、
むしろ、それだけのどでかいエゴをさらに包み込んでしまう
そんな人間離れした寛容さ・包容力を感じます。

言ってみれば、「気分がいいエゴ」でしょうか(笑)。
めまいがしそうなくらいめまぐるしい演奏の嵐が突然終わります。


Tr6:Long Distance Runaround
歌メロが気持ちがよくて思わず口ずさむ佳曲。
刻むようなビルのドラムスにジョンの声が小気味よく乗っていて
心地よいですね。
スティーヴ・ハウのエレクトリック・ギターも軽やかに、
曲全体を撫でるように気持ちよく鳴り続けています。
アルバムの流れとしては、Tr1、Tr4、Tr6、Tr9が核となり、
間にメンバーの個性を生かした「小品」を散らすうまい作りですが、
イエスのアルバムで9曲もあるというのも、実は珍しい例。
ただし、最初に聴くとこのアルバムのその「小品」は、
中途半端なイメージを持つかもしれません。
実際に僕もそうでしたから。
そして、このアルバムの場合は、「小品」のよさが分かってから、
僕の心の中ではぐっと存在感が大きくなりました。
いずれにせよその「小品」、ここではうまく機能しています。


Tr7:The Fish (Schindleria Praematurus)
今度はクリス・スクワイヤーのベース・ショウ。
彼は教会音楽を聴いて育ったということもあって、
(スクワイヤでクワイヤかとダジャレをよく言ったもんですが)、
ここでは落ち着いた雰囲気を醸し出し、
さらにアルバムの、バンドの表情を豊かにしています。
ただしこれ、最近までずっと、
Tr6のエンディング部分が長いのだと思っていましたが・・・(笑)。


Tr8:Mood For A Day
スティーヴ・ハウによる、ラテン風の味わいもあるギター独演会。
これは素晴らしい!
ここまでは、メンバーの「ソロ」曲には「小品」と書いてきていますが、
これはそれではもったいない充実した曲で、
イエスの代表曲のひとつに数えてもいいくらい。
スティーヴ・ハウは、犬の名前にするくらいだから、
もちろん大好きなギタリストのひとりですよ!


Tr9:Heart Of The Sunrise
僕がイエスでいちばん好きな曲はこれですね!
激しく突っ走るけど決して暴力的じゃないスティーヴのギターリフ。
それにぴったりとくっつくビルのドラムスは、支えるというよりは
ギターと張り合うというか、ギターより目立ってやれという勢いで、
旋律さえ奏でかねない勢い、こんなドラムス聴いたことがない。
しかし曲はすぐにスローダウンし、ベースが体制を整え直し、
そしてまた堰を切ったように激しいギターリフの応酬。
ほんとにこのアルバムはベースの音が素晴らしい。
ようやく始まったジョンの歌は、そこだけ取ると厳かな教会風。
そしてジョンの高音は、まさに透き通るようなきれいさ。
最後の最後でやはり、各人の演奏展覧会の様相を呈しますが、
普通の人たちがこんなことをやると、ただ取り散らかっただけの
どこをどう聴いていいのか分からないような曲になるでしょうけど、
当時の彼らの異様な創作意欲と包容力が
ぴしっとまとまった素晴らしい曲に仕立て上げています。
それにしてもこの高揚感はなんだろう!
こんな楽しい曲があっていいのか!
激しいのに優しい曲。

この曲は、映画『バッファロー'66』のクライマックスで
とても印象的な使われ方をしていますが、
映画の話が分かるのでそれ以上は伏せておきます。

余談ですが、僕は、
ギターを買うのに試奏させてもらった時に、このイントロを弾いて、
店員さんに笑われた(引かれた???)ことがありました(笑)。


そして最後にまたドアを開けて、Tr3が再び始まり、
「能天気」な雰囲気のもと、フェイドアウトしてアルバムは終わり。
同じ曲やその旋律が再び出てくるのは、
トータル性も意識したアルバム作りの常套手段。


 

左のリンクはボーナストラック入りのリイシューで、
Tr11:Americaサイモン&ガーファンクルのカバーで、
思わずニヤリとしてしまう長尺の味付けになっています。

ボーナストラックが要らない場合は右のリンクを。

ジャケットがきれいでいいですよね。
イエスのジャケットは、一時期を除き一貫して、
ロジャー・ディーンが担当していますが、CDでは物足りなく、
ジャケット欲しさに中古LPを何枚も買っています。

地球が「こわれもの」というコンセプトは、
エコ時代を迎えた今そしてこれからは、
ますます大切にしたいアルバムです。

そしてこの「こわれもの」というタイトルは、
エゴをぶつけ合いつつ、ぎりぎりの平衡感覚を持って
アルバムを作り上げたという意識
からきたものかもしれず、
そこを地球になぞらえて表現したダブルミーニングも素晴らしい。
ただ、エゴのぶつかり合いはこの後さらにエスカレートし、
次のアルバムのタイトルは「危機」ですからね・・・

それにしても、緊張感を微塵も感じさせない、
聴く人を楽しませ、安らぎすら与えるイエスというバンドは、
エンターテイメントとしての音楽を作る人たちの中でも、
プロ中のプロという感じがします。


凄いバンド、凄い人たち、そしていい人たち、それがイエス。

06 このアルバムのジャケットをモチーフにしたロックTシャツ


このジャケットはあまりにも好きなので、
Tシャツも買って着ています。
薄手なので、夏用の1枚で、とてもお気に入り。

もちろん犬用ではありません、念のため(笑)。
  


Posted by guitarbird at 22:29ロックQ-Z

2014年01月30日

JAILBREAK シン・リジィ

01


JAILBREAK Thin Lizzy
ジェイルブレイク (脱獄) シン・リジィ
 

今回はシン・リジィです。
かつて僕が嫌、いや、「苦手」だった・・・

シン・リジィのアルバム3点、スタジオ2点とライヴ1点が、
ボーナス音源(スタジオ)や映像DVD(ライヴ)がついた
デラックス・エディション(DE)としてリリースされました。
僕は、DEが出たのを機会に記事にしているアルバムが結構ありますが、
今回は、彼らのスタジオアルバムの代表作を取り上げつつ、
シン・リジィと僕の微妙なお話をさせていただきます。

僕が大学生の頃、関東ローカルだったと思いますが、
TBSの「ピュア・ロック」という深夜の音楽番組がありました。
日本における「メタル神」伊藤政則氏とメタル好きの和田誠氏が
ヘヴィメタルやハードロックについて熱く語る番組でしたが、
僕は、札幌の弟がメタルに興味が出てきていた頃だったので、
東京で録画して札幌にテープを送り、ついでに観ていました。
その番組について語ると記事が幾つあっても足りないのですが、
そこではシン・リジィの曲がよくかかっていました。
僕は彼らを「ベスト・ヒットUSA」で見た記憶もなく(寝てたかも)、
それまでラジオで意識して聴いたこともなかったはずで、
だからその番組が僕のシン・リジィ初体験でした。

僕は以前、「苦手なアーティスト」の記事を上げました。
僕はかつて、シン・リジィは大嫌いでした。
その記事を書いた時はもう好きになっていたので、
そこでは触れなかったのですが、かつては毛嫌いしていました。
あ、「苦手」ですね、「嫌い」じゃなくって(笑)。
「ピュア・ロック」でやたらとよくかかっていて接する機会が多く、
それでかえって「苦手」が助長されたようでした。

苦手な理由のひとつは、リーダーであるヴォーカルでベースの
フィル・ライノット Phil Lynottが生理的にだめだったから。
彼は黒人の血が入っていて、もちろんそのこと自体には、
嫌いもだめも何もないのですが、しかしこの人の場合、
僕は顔つき恐かったんです。

顔以上に、低くて重く粘つく呪術的な声が輪をかけてだめでした。
ドアーズのジム・モリソンと同系統の声です。
僕は、音楽を聴くにあたり、男性アーティストについては、
外見はほぼまったく気にしないので、ルックスだけなら
それほど毛嫌いはしなかったのだろうけど、声がだめなのは、
やっぱり、受け入れ難いものがありました。

しかし、彼らは僕には合わないと感じたもっと大きな要素は、
誤解を恐れずに言えば、彼らの歌には「歌メロがない」のです。
もちろんこれは多少のレトリック表現ですが、
歌メロへのこだわりが人一倍強い僕にとって彼らの音楽は、
鼻歌で口ずさんで気持ちがよい「歌」ではなかった。
端的に言えば、Aメロの部分は音楽に合わせて言葉をのせるだけ。
かといってラップというほど喋りでもなく、音楽的に流れていて
音符で表せるものではあるけど、僕には「歌」として響いてこない。
思うに、フィル・ライノットは多分、詩は大好きなのではないかな。
歌詞もメッセージ性を強く感じるし、自らが表現したいことを、
「歌う」のではなく、「詩」として音楽にのせて発語してゆく、
そういう姿勢だったのかもしれない。

などと冷静に見れば結構ひどいことを書いているかもですが(笑)、
じゃあ僕はどうして、嫌いだったシン・リジィを聴くようになり、
今では好きとまで言えるようになったのか。

その1
僕は好奇心旺盛な人間であり、興味はあったから。
有名なアーティストは、どうして評価され人気があるのか、
自分の耳で確かめたいという思いがあるからです。
これはもうそれ以上の説明は要らないかと。

その2
僕は、年を経るごとに、歌だけではなく
音楽全体を楽しめるようになったのかもしれない。
僕はプログレも聴けるようになったのはだいぶ遅かった。
そしてクラシックを一時期熱心に聴いてからそう変わりました。
同様に、かつては「面白い音」には鈍感でしたが、最近では
「面白い音」にも自然と耳と心が向くようになりました。
(でもインプロビゼーションはいまだにやや苦手です・・・)

その3
僕は歌が好きで、なるべく多くの歌を覚えたいけど、
年齢とともに歌を覚えようという気力が失せ、時間もなくなり、
歌への執着心が薄れたから。
今は、歌詞カードを見てまで覚えたいほどの新たな曲との出会いは
少なくなり、聴いて適当に口ずさむくらいです。

でも、シン・リジィの場合、実際に聴くようになったのには、
確たるきっかけがあったのです、それはずばり、
リマスター盤CDを中古で見つけたから
よく言いますが、リマスター盤が出ているアーティストは、
好奇心の手伝いもあって、聴いてみたい、聴いてみようと思うんです。
シン・リジィの場合、同じ頃に違う店に3枚の違うアルバムの
リマスター盤中古CDがあったのです。
片方の店に2枚、もう片方に1枚、同じ日じゃないけど
数日内にそれを見つけ、3枚同時に手に入るなら
リマスター盤が揃うのは早いかもしれないと思い、
その2軒に立て続けに行って3枚を一度に買いました。
そのどちらの店も今はもうないのは寂しい限りですが・・・
3枚のうちの1枚が今回記事にしたこのアルバムでしたが、
だから僕にはこれ、彼らの中でも思い入れが強い1枚です。
それ以外に3枚のリマスター盤が出ていましたが、運がよいことに、
もう1枚のライヴ盤もまた別の店で中古がすぐに見つかり
残り2点は新品で買い、リマスター盤ではないものも買いました。
買って聴いてゆくと、徐々に良いと感じるようになり、
いつしか「好き」と、臆面もなく言えるようなになりました。
つくづく、音楽には、確かに、時宜がありますね。

聴くようになって気づいたこと。
先ほど僕は、Aメロは「歌」ではないと書きましたが、
もちろん、曲として印象に残らなければ音楽ではないわけで、
彼らは、Bメロ=サビの部分には逆に力が入っていて、
サビについてはむしろ強烈ですぐに覚えて口ずさめます。
これは並みじゃないですよ、爆発的とさえいえるくらい。
Aメロの部分はまさに導入部で目立たず、サビの強烈な歌メロまで
流れよく引っ張ってつないでサビを引き立たせるという意味では
むしろ効果的と言えるものだと思い直しました。

演奏は素晴らしい。
ギターリフ作りが巧く、低音弦をダイナミックに展開させて
たたみかけるように大きく響かせるギターワークは一級品。
ソロもギターヒーロー的な響きを存分に醸し出しています。
グルーヴ感もかなりのもので、自然と音楽にのって体が動きます。
彼らの音楽は、歌だけを目立たせるのではなく、全体を聴いて
「感じて」ほしいということなのでしょう、きっと。
ただ、僕はやったことはない、なんとなくの想像だけど、
シン・リジィはバンドでコピーすると、感覚が先走るだけに、
特にサビじゃない部分は再現するのが大変そうだなと思います。

もうひとつ好きなのは、アイルランドのバンドだから。
アイルランドは憧れのようなものがあるし、心の中で
大切にしたいという一方的な思い入れがある国。
だから、今はこれがいちばん大きいかもしれない。
ゲイリー・ムーア Gary Mooreもそうだけど、
憂いを帯びた音には勇気が湧いてくると感じることもあります。
ゲイリー・ムーアはシン・リジィに在籍していたこともありますが、
今回DEが出た3枚にはどれも参加していません。
シン・リジィの話でゲイリーに触れないのはどうかと思いつつ、
またの機会があればにしたいと思います(あるのかな・・・)

このアルバムのメンバーは以下の通り。
フィル・ライノット Phil Lynott (Vo)(Bs)
スコット・ゴーハム Scott Gorham (Gt)
ブライアン・ロバートソン Brian Robertson (Gt)
ブライアン・ダウニー Brian Downey (Ds)
ブックレットの写真ではギター2人ともレス・ポールを持っています。

フィル・ライノットは1986年に亡くなりました。
上述のようにその当時は聴いていなかったのですが、
「ピュア・ロック」でよく放送されていたのは、
亡くなって間もなく、再評価機運が高まっていたのでしょうね。
今は、最初は苦手だったことを申し訳なく思う部分もあります。

さて、良質の心地よい英国流ハードロックを聴いてゆきますか。

作曲者は曲名の下にファミリーネームで記してゆきます。


02 他の2点はJOHNNY THE FOXとLIVE AND DANGEROUS



Tr1:Jailbreak
(Lynott)
じゃ~ん(ちょわ~ん)と始まり、印象的なリフが刻まれてゆく。
Aメロは低音でやはりあまり抑揚がないですが、
サビは高音で力強く弾ける印象的な歌メロになっています。
ギターのバッキング、低音弦の動かし方の勉強になる曲で、特に
2'18"で"break out!"と叫んだ後のスリリングな展開が聴きどころ。
サビは彼らでも特に印象に残りやすい曲のひとつです。


Tr2:Angel From The Coast
(Lynott / Robertson)
書き忘れてましたが、彼らはファンクの影響もありますね。
この曲は顕著で、ちょっと横系ののりが不足意味ですが、
ぽこぽこ鳴るギターにのってフィルが気分よさそうに語っています。
でも、あれ、この曲のサビはどこ・・・!?・・・


Tr3:Running Back
(Lynott)
「G→F♯→E、E...」という優しい響きのギターの旋律が
サビ以外の部分で流れ続けていて印象的。
これもサビが強烈というよりは全体で流れている曲かな。
最後のほうのハミング、やっぱりねっとりしているけど
その向こうに優しい気持ちが透けています。


Tr4:Romeo And The Lonely Girl
(Lynott)
書き漏らしていましたが、フィル・ライノットが苦手だった
もうひとつの理由が、案外ロマンティックなところです。
この曲はアップテンポでまだべったりではないんですが、
映像で見た別の曲ではフィルが一輪のバラを持って歌っていたり、
なんというのか、すいません、当時のことを正直に言うと
「その顔でそれは違うだろ」って思いました。
今はもうそんな偏見のようなものはありません、何に対しても。
でも、若かった頃は僕もそういう人間だったのかもしれない。
まあともかく、ロマンティックな部分は、意外にというか、
彼の魅力のひとつだと思います。
この曲は珍しくAメロも結構印象的で口ずさめます。
まあ、サビはAメロを盛り上げただけで基本的に同じなのですが。
後半の高音中心のギターソロが面白い響きで印象的。


Tr5:Warriors
(Lynott / Gorham)
この曲はワウペダルを使ったギターソロがすごい。
多分、作曲者のひとりであるゴーハムの演奏でしょうけど、
そういえば僕は、ギターは誰がどこを担当し弾いているか、
2人のギタリストの違いが分かっていません、勉強しないと。
とにかくギターワークがタイトルの如くたたみかけてくる。
歌は、これはほとんどラップといっていい感じで、だから逆に
ギターが目立つだけ目立つともいえます。
要はバンドの中のバランス感覚なのでしょうね。


Tr6:The Boys Are Back In Town
(Lynott)
「ヤツらは街へ」、彼らの代表曲にして70年代の名曲。
♪ ざぼぉ~ぃずあばっきんたぁうん
「脱獄」して街に戻ってきたのでしょう。
彼らの音楽は、エネルギーの発散と解放という意味では、
パンクに近い要素も或いはあるのではないかと感じますが、
特にこの曲はそうですね、サビの爆発力がすごい。
この曲はAメロの気持ちの先走り方も突出しています。
このアルバムと同じ年にセックス・ピストルズがデビュー。
シン・リジィは同調はしていなかったのでしょうけど、
時代の息遣いを感じてこの曲をものにしたのかもしれません。
イントロの細かく動くベースのフレーズが印象的ですが、
フィルのベースプレイの基本は、フレーズというよりは
グルーヴ感とそれこそ下支えが中心と言えるかもしれません。
せり上がってくるようなツインギターの旋律は息もぴったり。
この曲は彼らでほぼ唯一アメリカでもヒット、最高位12位を記録。
ボン・ジョヴィもカバーしていましたが、彼らにはとても合います。


Tr7:Fight Or Fall
(Lynott)
もう1曲ロマンティックな響きの優しい曲が。
バラード的な響きを持ったミドルテンポの曲。
よく聴くと声の出し方もロマンティック指向ですね。
ギターソロも、まるでフィギュアスケートのように
心地よく滑っている感じで響いてきます。


Tr8:Cowboy Song
(Downey / Lynott)
タイトルの如く出だしが少しカントリー風。
彼らもやはりアメリカが好きで、意識していたんですね。
曲はAメロも歌として響いてくるし、サビは大仰かつ力強い。
ヴォーカルはダブルトラックのようですが、多分意図的に
まったく同じには歌っていないのが広がりを感じます。
アルバムの最後の前に盛り上げるだけ盛り上げていて、
今回記事にするのに聴いて、その良さに気づいた曲。


Tr9:Emerald
(Downey / Gorham / Robertson / Lynott)
最後のこの曲が心にしみる「哀愁のハードロック」。
まずもってタイトルがエメラルド。
♪ Down from the glenn came the marching men
冒頭のこの歌詞でもう心はアイルランドに飛びます。
ギターリフがあまりにも素晴らしく、心が切り刻まれるかのよう。
後半のギターソロも素晴らしく、ギターの音の歪み具合がきれいで、
この曲はギターワークの素晴らしさを堪能できます。
ほんと、先ほど記事を書くのにCDをかけながら打っていて、
この曲のところで自分の魂が曲に入り込むのを感じました。
余談ですが、アイアン・メイデンのエイドリアン・スミスが、
The Fallen Angelを作った際にこの曲に影響を受けたと、
彼自身が雑誌のインタビューで語っていました。
確かに似ている、でも、決してパクリではなくリスペクトですね。
アイルランドのバンドならではの味わいです。


 

リンクは左がデラックス・エディション、右が通常盤。
ああ、すいません、アルバムはいいんだけど、
この漫画的なアートワークは僕には微妙です。

デラックス・エディションのDisc2は、リミックス、
デモ、BBCセッションの音源などとなっています。

シン・リジィ、なんだかんだで結局は大好きですよ(笑)。
彼らのアルバムの中でもこれは歌メロが印象に残るほうです。

でも、正直いえば、落ち込んだ時にシン・リジィを聴いて
気持ちを立て直そう、とはならないんです。
そういう時に僕は歌メロがはっきりした音楽を選びます。
一方で僕は、元来がハードロックが体質に合う人間らしいので、
シン・リジィを選ぶのは、普通より気分が少し以上によい時に
聴いてさらに気分をよくしたい、そんな時ですね。
シン・リジィは僕にとってはそんな存在感です。

ともあれ、シン・リジィにはハードロックを聴く醍醐味があり
流れていると気持ちがいい音楽です。

僕は、声が苦手な人は、最初は聴けないけど、
いつしか聴けるようになることが意外と多いのですが、
それについてもまたいつか別の機会に。


◆◇


最後にどうしてもひとこと。

サッカー日本代表
アジアカップ優勝おめでとう!


未明にはもちろん試合を最後まで見ていました。
とにかく感動ですね。

僕はいつも言いますサッカーは詳しくないのですが、
日本チームは、「なんとか勝つ」ことができるようになった、
粘り強さ、精神面での成長を感じて頼もしくなってきたと感じます。
以前の日本はそれがまったく逆だったのではないかと。
下馬評が低かった昨年のワールドカップで変わりましたかね。

というわけで写真を1枚。

03


サムライブルー・・・ではなく、アズーロ・・・

うれしいので、ハウに、
イタリア代表レプリカジャージを着せて記念撮影(笑)。

うちは、昔からずっとイタリアを応援していて、
弟がW杯デザインのレプリカジャージを買い続けています。

以前であればそれは「非国民」だったかもしれないけど、
イタリア人であるザッケローニ監督が来てくれてからは、
いつかこれを着て日本代表戦の応援に行きたいと
思うようになりました。

大丈夫ですよね、同じ青だし、許されますよね(笑)。

イタリアといえば、決勝点をアシストした
長友選手のあのスタミナといったらなんだろう!!
他の選手もみな素晴らしかった。

こうなったら夏に開催される
南米選手権に参加できるのが楽しみですよ。

日本代表チーム、おめでとう、そしてありがとう!

  


Posted by guitarbird at 10:48ロックQ-Z

2013年12月04日

STARDUST ウィリー・ネルソン

01


STARDUST Willie Nelson
スターダスト ウィリー・ネルソン
 (1978)

ウィリー・ネルソン
洋楽を聴く人であれば、確かに存在は知っているし、
一度くらいはどこかの誰かに客演しているのは聴いたことがある、
でもその人自体は聴いたことがない、しかし存在感が凄い人、
そんな感じの人ではないかと思います。

僕が初めて意識して彼に接したのは、高校時代かな、
確かソニーのCMに出てアカペラでHarborlightを歌っていた、
そのCMだったと思います。
あの顔とあの声ですから(笑)、さすがの僕も一発で覚えて、
その曲はいいなと思い、CMを見るのが楽しみでした。

今回、なにやら唐突にウィリー・ネルソンの、
しかもスタンダード集などを紹介するわけですが、
きっかけはちゃんとあるんです。
先日の新譜の記事で取り上げた、
ノラ・ジョーンズ Norah Jonesの編集盤
「ノラ・ジョーンズの自由時間」の中のウィリーとノラのデュエット、
これもスタンダードのBaby It's Cold Outsideが気に入り、
ウィリーのアルバムを何か聴いてみたいと思いました。
そこで、有名なALWAYS ON MY MINDを新たに買うと同時に、
元々家にあったこれを引っ張り出して聴いたところ、
こちらがより気に入った、というわけです。

このアルバムを聴いて、2つの枝葉の話を思いつきました。

ひとつ、ウィリー・ネルソンってカントリーなのか。
僕は彼の活動はよく知らないのですが、
一般的にはカントリー歌手と紹介され僕もそう認識しているし、
違うといえばかえって話が混乱するとは思います。
でも、聴いていくうちに、
ウィリー・ネルソンはウィリー・ネルソンだ
と思うようになりました。
なんて身も蓋もない話ですが、でも、僕は、マイルス・デイヴィスは
ジャズではなく「マイルス・デイヴィスという音楽」だと思っていて、
それに近い感覚、唯一無二の人、という意味です。
しかし、このスタンダード集のアルバムに限っては
カントリー風の味付けをしているわけではなく、
スライドギターもバンジョーもフィドルも使われていないがために、
余計にそう感じたのかもしれません。
これについては、もう少し、かなり、聴く必要がありそうで、
だから今回はそう感じた、ということだけを記しておきます。

もうひとつ。
今回テーマにするアルバムはアメリカン・スタンダード集ですが、
このスタンダードというのはどの辺りまでを指すものか。
ロックが始まる前のジャズヴォーカルも含めた古いポップスで、
その後の時代にも多くの人に歌い演奏され続けている曲であり、
ロック以降のもは含めない、というのが僕の考えです。
ロック以降は「オールディーズ」という言い方が一般的ですし。
ただ、例えば、カバー曲が世界一多いとギネスに認定されている
Yesterdayはスタンダードといえるのではないかと思うし、
ロック畑の曲でも「もはやスタンダードだ」という表現をたまに聞くので
これから時代が進み、楽曲が発表された年代と離れてゆくと、
ロックの曲もスタンダードと普通に言われるようなるかもしれません。
なお、ジャズも含めたと書きましたが、昔はジャズもポップスだった、
と記述された本を読んだことがあり、だからそう考えると、
単に「ポップスの古くから多くの人に親しまれている曲」でいいのでしょう。
さらにいえば、僕が新たに買った先述のALWAYS...は、
それより新しいロック時代の曲のカバーが中心となっているのも、
そんな意識というか暗黙の了解があるんじゃないかなと考えます。

ウィリー・ネルソンはウィリー・ネルソンだと書きましたが、
上手い下手関係なく、その声と歌があればもうそれでいい。
呟いているようで、口を大きく開けていないようで、
しかし不思議なことに説得力が大きい歌声、歌唱法。
その声は、音は低いけど高く聴こえる声であり、
僕が同じキィで歌おうとすると下が出ません。
だから、悲しいことに、気に入っても歌えない、ということが多い・・・
聴いていて落ち着く声の持ち主ではあります。

ウィリーはここでは、感情過多にならずにさらりと歌い、
演奏もあまり引っ張らないでささっと終わるのが、
かえって気持ちの中で余韻が残るような気がします。
ウィリーの歌い方だと、引っ張って濃くするとかえってくどいのかな。
まあ、無理せず自然体に響いてくる人ということでしょうね。
ロック側の人間としていえば、演奏が特に面白いとか、
そういうことはないのですが、でも、手堅い伴奏により、
安心してウィリーの声を聴かせるのが役目でしょうから、
これはこれでとってもいいと思います。

さて、この素敵なスタンダード集を聴いてゆきましょう。
きっと誰でも1曲は知っていると思います。

02 


Tr1:Stardust
(Hoagy Carmichael & Mitchell Parrish)
この曲は小さい頃から耳にすることが多かったので
はっきり覚えていないけど、二十歳の頃には知っていました。
美空ひばりが歌ったものが、ビートたけしのテレビ番組の
エンディングテーマ曲として使われてもいましたし。
♪ Sometimes I wonder
ウィリーこの歌い出しだけでぐぐっと気持ちが掴まれ、
ここ聴いたけで唯一無二の世界を持った人だと分かります。
真似しようとしても真似は絶対にできないですね。

Tr2:Georgia On My Mind
(Hoagy Carmichael & Stuart Gorrell)
レイ・チャールズ Ray Charlesであまりにも有名な曲。
ビートルズのBack In The U.S.S.R.で茶化されている曲。
僕のリアルタイムではマイケル・ボルトン Michael Bolton
のカバーがヒットした曲。
この曲については特に何も言う必要もないでしょう。
でも、これ、缶コーヒー「ジョージア」のCMで使われたこと、
あったっけ、なかったっけ・・・

Tr3:Blue Skies
(Irving Berlin)
♪ Blue skies smile at me, nothing but blue skies do I see
青空が寂しくてしみてくる曲。
この曲は僕の語彙力ではそれしか言えないのですが、
それだけでもだいぶ伝わるのではないかと思いたいです。

Tr4:All Of Me
(Seymour Simons & Gerald Marks)
この曲は二十歳前後の頃、確かタバコのCMで使われていて、
曲名が明記されていたので覚えました。
確か、クラブかライブハウスで女性の黒人の歌手が歌う、
ただそれだけだったと思いますが印象的なCMでした。
しかし、そのタバコの銘柄は覚えていないのでして・・・
それはともかく、そのCMの話にはまだ続きがあります。
当時そのCMを見た父が、この曲を口ずさんでいたのです。
父はジャズが好きだったので、スタンダードは割とよく知っていました。
そして僕はそれから、スタンダードに憧れのようなものを持ち、
いろんな曲を聴いてみたいと思うようになりました。
ロックが好き、それ以前に音楽が好きな人間として。
しかし当時は資金の問題やまだまだロックを聴きたく、
何かを買って聴くところまではゆかなかったのです。
当時、ウィリー・ネルソンのこのアルバムを知っていれば、聴いて、
もっとスタンダードが近くなっていたかもしれません。
まあ、それはいいのです、音楽には時宜があるから。
♪ All of me, why not to take all of me
この曲は大好きですね、この出だしの歌詞と歌メロが最高です。
余談ですが、
僕はタバコを吸わないし、タバコのCMの規制に反対もしませんが、
タバコのCMは洋楽を使ったいいものが多かったなと思います。

Tr5:Unchained Melody
(Hy Zaret & Alex North)
この曲は映画「ゴースト ニューヨークの幻」のテーマ曲として、
ライチャズ・ブラザース The Righteous Brothersで知った
という人は、特に同年代の人では多いのではないかと思います。
有名なろくろのシーン。
これほど曲と映画のイメージが合っている、そして曲を聴くと
すぐにそのシーンを思い出すというのもあまりないのではないかと。
でも、これ、ライチャズの曲だとずっと思っていたのですが、
1955年に最初にヒットした曲であるとのこと。
この曲は上記いろいろ絡めると、ここに入っているのは、
僕は若干の違和感があります、少し新しすぎる曲かなと。
でも、それは大した問題ではないのでしょう。
もちろんウィリーのこのバージョンもしっとりといいですよ。

03


Tr6:September Song
(Kurt Weil & Maxwell Anderson)
この中で僕が知らなかった曲では最も気に入ったのがこれです。
まあこのアルバムは基本的にどの曲もじわりとしみてくるのですが、
中でもこれは歌メロ、歌い方、あまりにも静かすぎる演奏、
もわっとしたギターソロなど、気持ちが弱い時に聴くと負けそうです。
サビの歌詞がSeptemberの次がNovemberなのは、
それだけ寂しく待ち続けた、ということだと解釈しました。

Tr7:On The Sunny Side Of The Street
(Dorothy Fields & Jimmy Mchugh)
少しスキップした明るく楽しい曲。
といってもちろん、この中ではせいっぱい、という感じです。

Tr8:Moonlight In Vermont
(John Blackburn & Karl Suessdorf)
タイトルからの連想かもしれないですが、ここの曲名には、
星、空、太陽、月といった自然を表す単語が多いですね。
2曲目ではNightingale、3曲目でBluebirdも出てきますし、
6曲目とこの曲では秋の描写もあります。
ヴァーモントの情景描写を訥々と歌うウィリー。

Tr9:Don't Get Around Much Anymore
(Duke Ellington & Bob Russell)
この曲は、この中では最も早くCDを手に入れて聴いた曲です。
ポール・マッカートニー Paul McCartneyのシングル
Once Upon A Long AgoのシングルCDの「B面」曲の
ひとつとして収録されていたのでした。
それは「ソ連アルバム」に収録されていたものですが、
ハードドライヴィングなロックンロールに仕上がっていてカッコいい。
さらにもう少し後で、ナタリー・コール Natalie Cole
グラミーを獲得したUNFORGETTABLEでも歌っています。
先ほど僕はスタンダードに憧れつつ聴いていなかったと書きましたが、
そんな僕が初めて買ったスタンダードのアルバムが、
ナタリー・コールのそれで、そういう心の下地があったので、
それが出ると聴いてすぐにCDを買い求めました。
だからこれは、僕にはおなじみの曲となりました。
ちょっと気取った感じの歌い出しがキュートな曲ですね。
それとデューク・エリントンはいつか聴いてみたいと、
20年くらい前からずっと思い続けていますが、
まだそのタイミングが来ていません、そろそろかなぁ・・・

Tr10:Someone To Watch Over Me
(George Gershwin & Ira Gershwin)
この曲はブライアン・ウィルソンの歌として
最近はよく聴いている曲、まさにスタンダードの中のスタンダード。
これは、いつどこでどうとはまったく覚えていないのですが、
20代の頃には既に知っていました。
リドリー・スコット監督の1987年の映画「誰かに見られてる」
の原題がこの曲のタイトルですが、その映画で知ったわけでもなく、
映画を観たのは30歳を過ぎてからでしたし、謎といえば謎です。
まあ、スタンダードというのは、そのようにして、音楽が好きであれば、
自然と身の周りにあって近づいていくものなのでしょうね。
♪ There is a somebody I'm longing to see
ここまでに引用したように、スタンダードには、キメゼリフのような
シンプルでよく響くくだりが多いですね。
アルバム最後はこの落ち着いた、といって全編が落ち着いていて、
特に盛り上がることもなく淡々とさらりと歌い通すのですが、
だからといって退屈だったりつまらないということはなく、
最後まで充実した気持ちで聴き通せます。
この世界はなかなか得難い貴重なものですね。

 

左のリンクは僕が聴いた2枚組LEGACY EDITION。
Disc1には本編のみが、Disc2にはMOREと題して
本編より多い16曲が収録されていますが、これらは、
ウィリー・ネルソンが他のアルバムで歌ったスタンダードを
集めたもので、音源的には新しいものではないようです。
有名どころでは、きっと知らぬ人はいない名曲中の超名曲、
ルイ・アームストロングWhat A Wonderful Worldや、
ナット・キング・コールMona Lisaなども歌っています。

右のリンクはボーナストラック付きのオリジナルアルバムで、
CD化された際に未発表音源だった2曲が追加されていますが、
困ったのは、その2曲が2枚組には収められていないことです。
普通は収録されるものだと思うのですが、どうしてだろう。
ここで興味深いのは、その2曲のうち1曲が、
ジョニー・ナッシュ Johnny Nash
I Can See Clearly Nowであること。
これは既にロックの時代になった70年代の曲ですが、やはり
スタンダードというには早いという判断が働いたのではないか、
ということが想像されます。

もうひとつこの2枚組で残念なのは、僕が最初にCMで見た
Harborlightが入っていないことです。
Disc2は他のアバムムの音源を集めているのだから、
入っていてもよさそうなものなのに・・・
というわけで、その曲はまた別にCDを探さなければなりません。

最後にもう一度、スタンダードについて。
先ほど僕は、これから時代が進むと、ロックの曲も
スタンダードと普通に言われるのではないかと書きました。
でも、だけど、書いてから自分で思い直しました。
例えば、
Purple Hazeはスタンダードと言われようになるのか!?
Smoke On The Waterはどうか!?
ロックのスタンダードという狭い範囲ではなく、一般的な意味として。
Yesterdayは既にスタンダードの「雰囲気」を持っていますが、
上記のようないかにもロックらしい曲というのは、どうなのだろう。
そう考えると、少なくとも今の時代においては、
スタンダードという言葉の中には「雰囲気」も含まれている、
と、なんとなく思いました。
でもそれも、時代が進むと、意識も変わるのかもしれないですね。

しかしでも、またまたそこで考えると、
Stairway To HeavenやWe Are The Champions、
それにEvery Breath You Takeあたりは、
スタンダードの「雰囲気」が、あるといえばあるぞ・・・
と、堂々巡りになってしまいました・・・(笑)。
まあ、法律や条約で厳格に決まるものでもないですし、
いろいろ考えて楽しんで聴けばいいのだとは思います。

クリスマスソングはないですが、
クリスマスにはいい雰囲気の1枚だと思います。

そうか、考えてみれば、クリスマスアルバムというのも、
れっきとしたスタンダード集ですね。

04


今回の写真。

本来なら星の写真を使うべきでしょうけど、
僕は星の写真は撮れないので、いつものように
青空や朝焼けの写真を使わせていただきました。

青空や朝焼けなら、たくさん撮っているので(笑)。

  


Posted by guitarbird at 21:54ロックQ-Z

2013年11月30日

WARREN ZEVON ウォーレン・ジヴォン

01


WARREN ZEVON Warren Zevon
ウォーレン・ジヴォン
 (1976)

本日は、僕のここひと月の「ピックアップ・アーティスト」です。
ほんとうに大好きになりました。

いきなり本題の前に、Warren Zevonは、日本では
ウォーレン・ジヴォン」と表記されていますが、
僕はどうも、「ジ」ヴォンというのは、かなり抵抗があります。
本来の発音により近い音のカタカナで表記すれば
ズィ」ーヴォンになるはずで、僕は話す時はそう言っています。
ただ、日本のレコード会社が表記をそうと決めたようなので、
かなり不承不承でも、ここでは「ジヴォン」と書くことにします。
でも、せめて、「ジーヴォン」にしてくれていれば、
「ウォーレン・ジーヴォン」と伸びる音が2つ入って、
リズム感と語呂がよかったのになあ。
でもそれじゃ「じーさん」みたいでだめなのかな、まさか・・・(笑)・・・

僕がウォーレン・ジヴォンを知ったのは、浪人生の頃。
映画「ハスラー2」のサントラTHE COLOR OF MONEYに1曲、
Werewolves Of Londonを提供していて、そこで知りました。
僕はまだ10代、これはほんとの最後の頃に買ったLPで、
エリック・クラプトンの主題歌目当てでしたが、今見返すと、
ドン・ヘンリー、ロバート・パーマー、ウィリー・ディクソン、
マーク・ノップラー、B.B.キング、ロビー・ロバートソンと、
かなり渋いメンバーのサントラですね、僕は若すぎたかな(笑)。
僕はでも、ウォーレン・ジヴォンのその曲は覚えておらず、
面白い響きの名前だけをそこで覚えました。
それにしても当時、ビリヤードが流行りましたよね。
僕も友だちに連れられてよく行きました。

20代はウォーレン・ジヴォンの音楽を聴くこともなく過ぎました。
彼とクリス・レアのイメージがだぶっていたくらいでしたから・・・
30歳でリンダ・ロンシュタット Linda Ronstadtのベスト盤を買い、
そこに入っていたPoor Poor Pitiful Me
作曲家としての出世作だと知り、その時ほとんど初めて
彼の曲をそれと意識して聴きました。

しかし、彼自身の音楽は相変わらず聴かないまま21世紀に入り、
ジヴォンがガンに侵され闘病生活を送っていると報じられました。
多くの仲間の力を借りてアルバムTHE WINDをなんとか録音し、
ボブ・ディラン Bob DylanKnocking On Heaven's Door
を歌い、彼らしいユーモアを表現したとして話題になりました。
そのアルバムは本当に最後となり、その年、2003年に逝去しました。
僕はその報に接しても、やはり何か遠いことのように感じていて、
聴こうと思えないまま時間が経ちました。

僕は彼に、偏屈な人というイメージがあり、
それが彼を近寄りがたいものにさせていました。
ジヴォンは大いに売れたという話を聞いたことがないので、
ポップさがあまりなく、個性が強すぎて玄人好みの音なのかなと思い、
どちらかといえば僕が苦手な音楽そうだ、というのもありました。
どちらもまあ勝手な思い込みと決めつけですが・・・

それが今年、ついに機会が訪れました。
きっかけはまあいってみれば大したことはないのですが、
WARNER系アーティストの(チープな)紙ジャケ5枚組の中に、
ウォーレン・ジヴォンのもあり、モノとしてそれが欲しくなりました。

02 


これがその(チープな)紙ジャケ5枚組。
買ってから、1976年のアルバムをプロデュースしたのが
かのジャクソン・ブラウン Jackson Browneであり、
ジヴォンのアルバムのリリースに尽力していたらしいことが分かり、
そうと知ると、そういう傾向の人物であり音楽であるのかなと
想像できるようになり、期待が高まりました。
そしてついに買って聴くと、これが
予想外にとってもよかったのです。


実際に聴くと、まずは、確かにまっすぐではないけれど(笑)、
偏屈ということはなく、予想よりはずっと素直な音楽だと感じました。
音の響きに気持ちよさがあって、それはまったくイメージと反対でした。
曲も鼻歌で口ずさめる曲がいくつも見つかったくらいに、
僕が思っていたよりもずっとポップでした。
売れるかどうかは音楽そのものの問題だけではなく、
時代や境遇などに左右される部分もあるかと思いますが、
これは売れていてもおかしくない音楽だと思いました。
曲が良い証拠というか、僕は曲を覚えるのが遅いのですが、
僕はこの5枚組の最初の3枚を並行して聴き進めていて、
その3枚とも曲を覚えてとても気に入ったくらいですから。

ただ、声は多少クセがあって、すっと入っていけるものではないかな。
微妙にハスキーでばしっと鋭く響いてこない平らな響きの声で、
声だけで人をひきつけてやまないという感じではないかな。
しかし聴きにくいわけではなく、プラスになる要素が少ないだけで、
その点では安心して聴ける声だとは思います。
それと、もっとカッコつけた歌い方をする人だと思ったら、
割と自然に歌っていたのはまた意外でした。

今回は、1976年のセルフタイトルのアルバムを聴いてゆきます。
ジヴォンは1969年に一度アルバムを出していたようですが、
その後は不遇をかこっていたのか、次のこのアルバムを出すまで
7年を要してしまいました。
だからこのアルバムは、自身の名前を冠して心機一転、
再出発を誓ったアルバムという位置づけなのでしょう。

このアルバムは、ボーナス音源を集めたディスクがついた2枚組の
2-CD'S COLLECTOR'S EDITIONが出ていますが、
このボーナス音源の多くはデモ音源のマニア向けのものであり、
今回はそれには触れずにアルバム本編のことだけを話します。

アルバム全体のさらっとした印象と感想としては、
物語を感じさせる音作り、ということです。
ただ気持ちを歌っている以上に、歌が物語そのものであったり、
そうした気持ちに至るまでの物語を描き出しているように感じます。
また、自分の気持ちだけを描くよりは、第三者的視点であったり、
他人を観察することで感じることを歌った曲が多いようであり、
そこもまた物語を感じさせる部分ですが、それは、
所謂「シンガー・ソングライター」の流れとは違う響きに感じます。
曲や音作りや歌い方は劇的で派手というわけではないのですが、
その分自然に響いて、すっと心に入ってきます。
ユーモアがある人だなということは節々に感じます。
繰り返しますが、決して偏屈ではありません(笑)。
僕は今、誤解して聴いてこなかったことを申し訳なく思っています。

ブックレットには、ジャクソン・ブラウンがこのアルバムを
プロデュースすることになったいきさつが紹介されています。
ジヴォンは、1975年までにロックスターになる夢を諦めかけ、
スペインに渡ってナイトクラブで歌う生活を始めるつもりでいました。
そのことを知ったジャクソン・ブラウンはジヴォンに手紙を送りましたが、
そこにはこう書かれていました(翻訳は引用者による)。
「ウォーレン、諦めるのは早すぎるよ。
うちにおいでよ。
レコーディングの契約を見つけてあげるよ」

ジャクソン・ブラウンはレコード会社にも重要な人だったのでしょう。
これがきっかけで、ジヴォンは同じASYLUMレーベルから
レコードを出すことができた、ということのようです。
いい話ですね、手紙というのが特に心を打たれました。

このアルバムは、ジャクソン・ブラウンが携わっているだけあって、
西海岸系のゲストが多数参加して彼を盛り上げていますが、
これだけゲストが豪華で凄いアルバムはどれくらいあるのか、
というくらいの凄さです。
ギターのワディ・ワクテル Waddy Wachtelは全曲に、
デヴィッド・リンドリー David LindleyはTr1、2、4、5、7、9に
バンジョーやスライドギター、
ベースのボブ・グローブ Bob GlaubはTr1、2、4-7、9-11にと、
ジャクソン・ブラウンに近い人が活躍しています。
そのジャクソン・ブラウン自身はTr2、3、10、11に、コーラスや
ギター、ピアノなどで参加し、曲に応じた色を出しています。
他の僕が知っている人については、曲ごとに触れてゆきます。

曲はすべてウォーレン・ジヴォンひとりが書いています。
(All songs written by Warren Zevon)

03 観覧車と札幌市電


Tr1:Frank And Jesse James
いかにも物語を綴る雰囲気のピアノがいい感じに揺れています。
曲はアメリカ開拓時代のアウトローヒーローに題をとったもので、
いわば西部劇の世界。
僕はよく知らなくて、申し訳ないので内容には触れられないけど、
タイトルを見ただけで物語を想像できますね。
この曲には、エヴァリー・ブラザース Everly Brothers
フィル・エヴァリー Phil Everlyがコーラスで参加(Tr4にも)。


Tr2:Mama Couldn't Be Persuaded
駆け足のような切れのいい軽快なギターが印象的な楽しい曲。
ギャンブル好きの男にまつわる小話のようなこの曲、コーラスに、
ジャクソン・ブラウンとJ.D.サウザー J.D.Southerが参加。
コーラスもヨーデル風のヴォーカルも面白い。
ジヴォンの音楽は「普通のアメリカンロック」という感じで、
カントリーの影響も見え隠れ、この曲は特にそうですが、でも
カントリーでもブルーズでもなんでも、影響はあっても、
あくまでも自分の色で音を出しきっているのが聴きやすい部分です。


Tr3:Backs Turned Looking Down The Path
ミドルテンポの落ち着いたノスタルジックな響きの曲。
この曲にはギターで、フリートウッド・マック Fleetwood Mac
リンジー・バッキンガム Lindsey Buckinghamが参加。
ジャクソン・ブラウンのアコースティック・ギターによる
スライド奏法は、かなりとってもいい響きです。


Tr4:Hasten Down The Wind
カントリーブルーズ風のたおやかなバラード。
デヴィッド・リンドリーのスライドギターは、
ジャクソン・ブラウンの名作を思い出させます。
ところで、ジヴォンの遺作のタイトルはTHE WINDでしたが、
風というのは彼の人生のひとつの象徴だったのかもしれません。


Tr5:Poor Poor Pitiful Me
リンダ・ロンシュタットで初めて聴いて知ったこの曲は、
リンダが意外と落ち着いた感じで聴かせているのに対して、
なんだか焦ったような力強いロックンロールになっています。
この曲の歌詞にも"Jesse James"が出てきますが、
ジヴォンはよっぽど好きで崇めていたのでしょうね。
ただ、この歌の内容はSMに関するものだという話です。
途中の演奏がブレイクして喋りが残った部分の後でまた起こる
ギターが「ドレミファソラシド」と弾いているのが面白い。
リンダ・ロンシュタットのバージョンには確か
"Yokohama"って歌詞があったけど、こちらにはないので、
リンダは歌詞をいじったということなのでしょうね。
この曲にはリンジー・バッキンガムがコーラスで参加。
また、クレジットが明記されていないのですが、
女性のコーラスの声が聞こえるのは、誰だろう・・・


Tr6:The French Inhaler
ふたたびゆったりとしたバラード。
この曲にはコーラスで、イーグルス The Eaglesの2人、
グレン・フライ Glenn Freyドン・ヘンリー Don Henleyが参加、
その2人のコーラスのつけかたはイーグルスそのもの。

04 すすきの電停はまるで白い芋虫


Tr7:Mohammed's Radio
ノスタルジックな響きがしみてきます、いい雰囲気です。
彼が仮装行列を見ていてヒントを得たのだそうです。
僕は最初は曲名を見ないで聴いていたのですが
"More hammers radio"って何だろう、
ラジオを壊すのかなと勝手に思っていました。
この曲には、かつてジョン・レノンの「飲み友だち」だった(笑)、
ボビー・キーズ Bobby Keysがサックスで(Tr10も)、
また、フリートウッド・マックのリンジー・バッキンガムと
スティーヴィー・ニックス Stevie Nicksが揃ってコーラスで参加。
なお、ニックスの名前はここではStephanieと記されています。


Tr8:I'll Sleep When I'm Dead
慌ててスライドバーを上げたようにフェイドインして始まり、
ピアノの低音とベースとドラムスが重たく打ちつけ、ジヴォンが
怒ったように、何かをつきつけるように煽って歌う面白い曲。
ちょっとだけハードロック風、ギターも低音で攻めています。
歌とギターのコール&レスポンスも面白い。


Tr9:Carmelita
メキシコというか、スペインの香りと響き。
歌詞にもマリアッチ=Mariachiと出てきます。
ギターの響きがとってもいいですが、もちろんというか演奏は
デヴィッド・リンドリー、彼はほんとにスペインが好きなんだ(笑)。
そういえば同時期のジャクソン・ブラウンのLinda Palomaも、
同様にメキシコースペイン趣味なのは偶然かな、面白い。
グレン・フライがギターとコーラスで参加、いい味つけ。
ギターのまろやかな響きに包まれる優しい曲。


Tr10:Join Me In L.A.
ソウルフルな響きの、ぴんと張り詰めた緊迫感があるほの暗い曲。
このアルバムの中ではその響きは異質ともいえます。
ジヴォンのヴォーカルはまるでソウルではないけど、
ここでは他よりもカッコつけて歌っています。
しかしこの曲、女性コーラスが恐い。
この世とあの世の間の音のような響きというか、
心はないけど魂だけはあるみたいな、ある種冷淡な響きです。
或いは、周りを壁で囲まれてだんだんと迫ってくる感じ。
その恐いコーラスは、ボニー・レイット Bonnie Raitt
ローズマリー・バトラー Rosemary Butlerによるもの。
ボニーの温かい声が好きなので、この「隠し芸」は意外でした。
印象には残る曲です、とっても。


Tr11:Desperados Under The Eaves
物語の最後は、ゆったりとしたバラード風の曲ですが、
途中から海のようにダイナミックなコーラスが広がり、
ジヴォンもその旋律をハミングしながら、感動的な終幕を迎えます。
この旋律は素晴らしく、聴く度に僕は口ずさみ、勇気づけられます。
太平洋のことを歌っていますが、その旋律はどことなく
スコットランドをも感じさせる、トラッド風の響きを持っています。
僕のこのアルバムのベストチューンはこれですね。
この曲は、ビーチ・ボーイズ The Beach Boys
カール・ウィルソン Carl Wilsonがコーラスで参加し、
JBやJ.D.も参加する最後の感動的なコーラス隊の指揮もしています。
この曲を聴くに及んで僕はもう、
ジヴォンを「偏屈な人」とは思わなくなりました(笑)。

 

Amazonのリンク、左はこのアルバムの2枚組、
右は件の(チープな)紙ジャケ5枚組のものです。

ジャケットの彼は眼鏡を決めた、ニヒルな伊達男風。
なんて表現は今でもまだ通じるのだろうか・・・
ダンディ、これも死語なのかな(笑)。
ともかく、粋なスタイルでちょっとカッコつけているけど、
多くのミュージシャン仲間に支えられていた彼は、
人懐っこさも魅力だったのかもしれません。

それにしても今年は最初から最後まで
ジャクソン・ブラウンにお世話になった年だな、と(笑)。
正直言えば、1年前まではそれほど好きじゃなかった
ジャクソン・ブラウンも、今はすっかり生活の一部になっています。

ウォーレン・ジヴォンのアルバムは
まだこの5枚しか持っていないのですが、
これからまた買って聴き進めてゆきます。

でも、CDはまだすべてが手に入るのかな、怪しそうだな・・・

03 はっきり行って露出オーバーの写真ですが・・・


今日は朝の記事も札幌市電のササラ電車だったので、
この記事でも札幌市電の写真を使いました。

ウォーレン・ジヴォンの場合、なんとなく、
自然よりは街の写真のほうが合うかと思いました。

  


Posted by guitarbird at 21:35ロックQ-Z

2013年10月29日

ロッド・スチュワート SOULBOOK

いつものように
写真へのコメントも
大歓迎です!


秋になってから次々と記事を上げて押し続けていた、
僕が大好きな、敬愛する、最も影響を受けた歌手の、
いよいよこれが本丸、この秋の新譜ですよ!

01


SOULBOOK Rod Stewart
ソウルブック ロッド・スチュワート
 released in 2009

ロッドは、Warnerから契約を打ち切られたのを機に、
一時ロックから離れ、アメリカのスタンダードを集めたカバーアルバム、
THE GREAT AMERICAN SONGBOOKをリリース。
これが大ヒットし、Warnerの鼻を明かし、
Volume2、3、4と続けてリリース、どれも大ヒットしました。
僕はもちろん、すべて買って聴いていましたが、でも・・・
2005年の4で一区切りつけたロッドは、贖罪のつもりか(笑)、
2006年に、今度はロックの名曲を集めたカバーアルバム
STILL THE SAME...
THE GREAT ROCK CLASSICS OF OUR TIME
をリリース。
なかなか良かったのですが、ロックの場合はどうしても、
オリジナルを聴きなじんでいるもののほうが多くて・・・

そして今年この秋、満を持したかのように、
ソウルのカバーアルバムをリリースしました。
まさに、ついに、という感じで、このアルバムほど、
多くの人が待ち望んでいたアルバムは、そうはないのではないかな。
逆にいえば、どうして今までなかったのか。
まあそれは、ロッドはクリエイターでもありますから。
僕の家には先ほど届いて、既に3回聴きましたが、これがやはり
聴き手と作り手が同じイメージをすんなりと共有できる、
素晴らしい仕上がりになっています。

今回は、ほとんどの曲は曲自体は知っているものなので、
記事にするのにそれほど時間はかかりませんでした。
というか、ロッドバカとしては、とにかくすぐに記事を上げたい!
記事では、オリジナルと照らし合わせて話を進めますが、写真02は、
僕が持っている、このアルバム曲のオリジナルが入ったCDで、
左上がTr1、右へ進み、2列目左から右へ、そして3列目と進みます。

さあ、早速聴いてみましょう!


02



Tr1:It's The Same Old Song
オリジナルはフォー・トップス
トップスは体育会系の熱いノリが特徴で、
この曲は特に元気一番みたいなとにかく明るい曲。
しかし、それを期待してロッドのこれを聴くと、
いきなり、とろぉっと歌い出す、しんみりとしたアカペラで始まり、
あれ、どうしちゃったんだろうって・・・
だけど心配ご無用、演奏が始まると、オリジナルに近いイメージ、
明るく楽しくホップした曲が始まります(ほっ)。
演奏の音がなんだかこもったような、古臭い、懐かしい、
アナログ的な響きなのがまたいい。
ロッドはだけど、それほど声を張り上げるわけでもなく、
淡々と聴こえるけど気持ちがこもったいつもの歌い方。
これは僕がトップスで最も好きな曲なので、とりわけうれしい選曲。


Tr2:My Cherie Amour
オリジナルはスティーヴィー・ワンダー
そしてスティーヴィーはハーモニカでゲスト参加!
とろけるようなとにかく甘い歌メロはロッド向き。
そして、スティーヴィーはハーモニカで参加しているけど、
歌ってはいないのがこの場合はミソ、というのも、
あの独特の声が入ると、もうそのイメージになってしまい、
ロッドの世界を確立できなくなるから。
歌メロの甘さでは、スティーヴィー・ワンダーでも
十指に入るくらい素晴らしい曲。


Tr3:You Make Me Feel Brand New
オリジナルはスタイリスティックス
キムタクのギャツビーのCMの元曲を歌っていた人たち。
ゲストはメアリー・J・ブライジ
実は2ndから聴き続けている人で、年内に新譜が出ます、楽しみ。
オリジナルはファルセットで「歌い倒す」感じですが、
ロッドはここでもあくまでも自分の歌い方に徹しています。
しかし、それだけでは何かパンチ力が足りないところに、
女性ヴォーカルでもパンチ力は抜群のメアリーを招いたのが、
この曲ではうまく機能していると思います。
ロッドはかつてYou Are Everythingもカバーしていましたが、
スタイリスティックスが好きなんですね。
僕は、実は、あまりにも甘すぎて、あまりなじめないんです・・・
これから聴こう。


Tr4:(Your Love Keeps Lifting Me) Higher And Higher
オリジナルはジャッキー・ウィルソン
今回の知らない2曲のうちの1曲で、だからうちにCDがないよな、
と思いつつHMVで曲目検索をかけたところ、なんと、
映画『永遠のモータウン』のサウンドトラック
STANDING IN THE SHADOW OF MOTOWN
デラックス・エディションに収録されていることが分かって驚きました。
そうなんです、編集盤は、あれ、この曲うちにあるんだ、
ということが、まま起こりますね(笑)。
知らないと書いたけど、曲自体は耳にしたことがありました。
アップテンポの軽快な曲も、ロッドはお手のもの。


03 今日まだ咲いていたエゾノコンギク・・・花を添えて・・・



Tr5:The Tracks Of My Tears
オリジナルはスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ
僕のソウル系の音楽記事では2回に1回は出てくる人(笑)。
これは僕が最も好きなソウルの曲(記事はこちら)。
そしてなんとそのスモーキー・ロビンソンがゲストで参加!
感涙もの。
オリジナルの、あの切ないI need youに入る部分は
オリジナルにはないコード進行を施していて、さらに、
ブリッジの部分にはかなり手を加えて劇的にしています。
アコースティック色を強く出し、しっとりとした仕上がり。
もう、これはとにかく聴いてください!


Tr6:Let It Be Me
オリジナルはサム&デイヴ
・・・と思って「素麺」、ではない、SOUL MENの解説を読むと、
これは、シャンソンのカバーらしく、作曲者のクレジットの中に、
ジルベール・ベコー(Girbert Becaud)の名前がありました。
ふうん、そうなのか・・・ブックレット見てよかった。
ということは、サム&デイヴはシャンソンのカバーをしていたわけで、
それも当時としては、今でもだけど、なかなか洒落てますね。
ただし、ロッドはサム&デイヴのを聴きなじんでいたと考えるのが
自然でしょう、だから、、ロッドのオリジナルはサム&デイヴとしました。
もちろん、オリジナルのシャンソンのCDは持ってないですし・・・
さて、これ、ゲストヴォーカルはジェニファー・ハドソン
(そうだ、彼女のアルバムも買わないと)。
オリジナルは「ダブル・ダイナマイト」にしてはしっとりとしているのは、
シャンソンのカバーだからか、今納得しましたが、
ここではもっととろっとした仕上がり、やはりロッドの味。
いかにも古臭いストリングスのアレンジで盛り上げています。
今回のアルバムは、ロッドらしさを押し出しているようですね。
余談ですが、サム&デイヴのCDの解説を書いた人は、
「この曲はアルバムの中の他の2曲のバラードに比べると負ける」
とはっきりと書いているのですが、そんなもんかなぁ・・・
好き嫌いはあってもちろん構わないとは思うのですが、でも、
ロッドがこの曲をカバーしたことを知って、どう思うのかなぁ・・・
確かにこの中では渋い選曲だけど、ロッドの耳は確かですね。
そしてまた余談、ジルベール・ベコーの名前を僕が知っているのは、
高校時代、深夜のテレビ番組を観ていた時に、その人が来日し
札幌公演をするというCMを見たのを覚えているからです。


Tr7:Rainy Night In Georgia
オリジナルはブルック・ベントン
アーロン・ネヴィルがソウルのカバーアルバム(記事はこちら)
カバーしていて初めて聴いた曲、だから今年知ったばかりの曲。
その記事で、オリジナルを持っていないCDを集めることを宣言して、
地元の郊外型書店にあったオリジナルアルバムを買ったもの。
だから僕には「新しい」曲(笑)。
これはそもそもロッド向きの曲という感じですね。
そういえばアーロンもあまり手を加えていなかったので、
これはそういう曲なのでしょうね。


Tr8:What Becomes Of The Broken Hearted
オリジナルはジミー・ラフィン
知らなかった2曲のもう1曲だけど、モータウンの人ということで、
モータウンの編集盤を見ると、見事、収録されていました。
ということで、13曲のオリジナルがうちにあったわけです(笑)。
しかし、2曲、うちにあっても知らなかった曲があるわけで・・・
いや、曲自体はやはり耳にしたことはあるような気がしました。
ミドルテンポのちょっと切ない系の曲。


04 このアルバム発売日のA公園の「ソウルな」青空と紅葉



Tr9:Love Train
オリジナルはオージェイズ
オージェイズも今年ベスト盤を買ったばかりで、さらについ先日、
これが入ったオリジナルアルバムも買いました。
明るく楽しく元気に人類愛を訴えるポップな曲。
オリジナルはNO.1に輝いており、70年代ソウルの良き時代を
象徴するような曲、ロッドも懐かしく思いながら歌っているのかな。
ロッドもここでは煽るように歌っていますが、まさにそういう曲。


Tr10:You've Really Got A Hold On Me
これもスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ
2曲目ですが、やはりスモーキーは偉大ですね。
そしてもちろん、ビートルズもカバーしていた有名な曲。
この曲は女性コーラスとの掛け合いが聴きどころですが、
そういえばビートルズは、それを男臭く歌い切っていたっけ。


Tr11:Wonderful World
オリジナルはサム・クック
この曲はカバーされることが多いですね。
アート・ガーファンクルが自身のソロアルバムで、なんと、
ポール・サイモンジェイムズ・テイラーを招いて歌っていました。
ところで僕はサム・クックとなると冷静さを失う人間なのですが、
その割にまだサム・クックの記事を上げたことがない・・・
あまりにも畏れ多いような気がして。
でもこの曲は明るくさわやかでちょっとシニカルで、
昔からとってもかわいい曲だと思っています、名曲。
ロッドは、オリジナルのかわいさを大人にしたような感じで、
照れているように感じられます。


Tr12:If You Don't Know Me By Now
オリジナルはハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノーツ
オリジナルのリードヴォーカルはテディ・ペンダーグラス
というより僕の世代では、シンプリー・レッドがカバーして、
NO.1に送り込んだ曲としてより知られているでしょうか。
ちなみにオリジナルはNO.1にはなっていません。
ゴスペル風ソウルバラードの究極、70年代の逸品。
この曲は、シンプリー・レッドもロッドも、キー以外は
もう手の加えようがない、そのままのアレンジ。
それだけ完成度が高い曲ということでしょうね。
これは曲としては昔から知っていましたが、
シールのカバーアルバム(記事はこちら)で聴いたのを機に、
今年初めてCDを買いました。


Tr13:Just My Imagination
オリジナルはテンプテーションズ
スモーキーと並ぶモータウンのファルセットヴォイス、
エディ・ケンドリックスの一世一代の名演。
ロッドはもちろんファルセットではなく、あくまでも自分らしく歌っています。
僕は、この素晴らしい曲を
ローリング・ストーンズがライヴ盤STIL LIFE(記事はこちら)
でカバーしていたのを聴いて知りました。
ストーンズのスタジオバージョンはSOME GIRLSに収録。
テンプスの原曲はバラードですが、
ストーンズのものは、ミドルテンポのロック仕立てになっています。
しかし、僕はロッドのこのアルバムを最初に聴いて、
「この終わり方はずるい!」
と思いました、余韻を残しすぎ。
どうしてそこで去ってしまうのという寂しさがこみ上げてきましたが、
アルバムを聴いてそんな気分になるのは、めったにないこと。
それ、エディ・ケンドリックスは、この曲をNO.1にした後、
テンプスから去ってしまうのですが、僕はいつもそのことが頭にあり、
だから余計に、この曲が最後というのが寂しく感じました。
最後は明るく景気がいい曲で終わって欲しかった・・・
というのは、わがままでしょうか。
でも、この曲の副題は(Running Away With Me)
そうか、ロッドは最後に去ってゆく、それでいいのかな。
そしてロッドは、聴く人の気持ちを不安にさせ、裏で微笑む・・・
でもやっぱり、ロッド、去ってゆかないで!



今日の時点でAmazonで423位、なかなかいい感じだぞ。
ジャケットのロッドもまたいい表情。

それにしても・・・
どうして13曲しか入ってないの!
もっと聴いていたい。
13は縁起が悪いんじゃないの?
せめてあと1曲入れてほしかった・・・
それが、最大の、かなり大きな不満です。!

しかし、ゆったりとした時間を過ごすにはとてもいいアルバムで、
なにより曲がいいので、気がつくと口ずさんでいます。
ゆったりしているけど、車にも合いそう。
ロッドは、熱く歌うという感じではまったくなく、
むしろ涼しげに、さらっと歌いこなしています。
だけど、そこに気持ちがこもっているのが、ロッドらしいところ。
しかし、ソウルを聴くという気持ちで臨めば、そこは、
人により好き嫌いが出る部分かもしれないとは思います。

これ、続編は出るのかな、出て欲しいなぁ。
ロックのカバー集は1つで終わってしまいましたが、
ソウルならまだまだ続けられそうです。

というのも、余談ですがちょっと思ったこと、
ロッドのこの、ロックとソウルのカバー集を聴いて、
ロックは「誰もが認める名曲」を決めにくい音楽なのではないか
と思いました。
だからロッドも、手応えがよくなくてやめたのではないかなと。

僕がソウルに傾聴してから出してくれたこのアルバム、
ロッドやソウルへの僕の思いが通じたのかな(笑)。
やっぱり、ロッドには感謝しきりですね。
ありがとう、これからもいい音楽をよろしくお願いします!

05 いつものA公園のシラカンバと紅いミズナラも今日はソウルに


・・・でも、そろそろ、新しいオリジナル曲も聴きたい・・・

ファンはわがままなものですから(笑)。
  


Posted by guitarbird at 20:45ロックQ-Z

2013年08月05日

CRADLESONG ロブ・トーマスの新譜

guitarbirdはただいま遠征に出ています。
この記事はタイマーでセットして上げています。
お返事が遅れることがあります、ご了承ください。


朝から熱くて長い音楽記事で恐縮ですが・・・
このCDの国内盤の発売日が今日8月5日で、
この記事は以前からこの日に上げると決めていて、
そこに急きょ遠征が入ったため、こうなりました。
お時間がある時にお付き合いいただけると幸いです。

01


CRADLESONG Rob Thomas 
クレイドルソング ロブ・トーマス
 released in 2009

ロブ・トーマス
はてさて???
僕が、今のところ最後に大好きになって追いかけているバンド、
1995年にデビューしたマッチボックス・トウェンティ
フロントマン、ヴォーカリスト、そして優れた作曲家。
バンドは3枚のオリジナルアルバムと1枚のベスト盤を、
またロブはソロを1枚、これまでにリリースしています。
15年でこれだけだから、寡作ですね。
アルバム3枚でベスト盤を出したくらいだし。

バンドのことは、別の機会にアルバム記事を上げますが、
ロブ・トーマスは、デビュー時から作曲家として注目されていて、
その才能が開花したのが、1999年。
サンタナのアルバムSUPERNATURALにおいて
Smoothを作曲し(Itaal Shurという人と共作)、
自らも客演してNO.1ヒットとなり、さらには、グラミー賞の
ソング・オブ・ザ・イヤーとレコード・オブ・ザ・イヤーを獲得する

という快挙を成し遂げました。
この2つ賞は、アルバム・オブ・ザ・イヤー、最優秀新人賞並び、
グラミーの4大タイトルとも言われている賞ですが、
そんな名誉ある賞を、たった1枚のアルバムを出しただけの
「若造」が受賞してしまったのです。
そして以降はソングライターとしても注目を集めることに。

ロブ・トーマスの特徴は、「とにかく熱い」
もうほんと、聴いていてこっちが照れくさくなるくらい
まっすぐにひたすら熱く歌っていて、「青春路線」とでもいうか。
しかも歌メロには、ちょっと歌謡曲っぽい「臭さ」もあります。
また、じめっとしている、とまではいわないけど、
多少のウェットな感覚がある人で、曲により濃淡はありますが、
少し引いた感覚で聴かせる人だと思います。
「陰り」というとまた言い過ぎかな、この辺は表現が難しいですが、
要は、ノリが前面に出るひたすら明るく楽しい音、ではなく、
何か心に引っかかるものがある音、という感じです。

彼の熱さは、サンタナのその曲でよく分かると思いますが、
サンタナにロブ・トーマス、最初にその話を聞いて僕は、
意外というより、「あ、やっぱりか」と思ったものです。
ロブの熱さが、ラテンのサンタナに注入されてさらに熱くなる。
これはサンタナ側からのアプローチなのかな、だとすれば、
超大物のサンタナに見染められたということで、とにかく
これほどうまくいった共演も少ないのではないかと思うくらい。

今回のアルバムにも、そんな「青春の熱さ」を期待しました。
もちろん期待通りでしたが、しかし、今回は、
全体的に少しクールダウンした感じを受けました。
やはり、成長したというか、年相応に落ち着いたのでしょうか。
ただしもちろん、普通の人から見るとまだかなり熱いので、
そこはどうかご心配なきよう(笑)。

ヴォーカリストとして見ると、
声は、粘っこくて多少「押し」が強いけど、でも多少で、
重たくもなく、歌い方も無理がなく、そりゃ熱いですが、
妙な癖はなくて聴きやすいよい声だと思います。
また、自分に対する揺るぎない自信を感じる声であり、
そこが、聴いていて頼りになるしほっとする部分でしょう。
でも、決して嫌味ではないのがまたいいところ。
と書いてふと思ったのが、
ポップスターとして際立った強烈な個性を放つというよりは、
「その辺にいるお兄さん」感覚かもしれない、ということで、
それがまた新しい世代のスターだと感じる部分です。

今回のアルバムも、数曲をバンドメンバーと共作していますが、
基本的にはすべてロブが書いています。
ロブの曲作りの特徴は、曲のフック作りがうまいことでしょう。
フックというのは一応、旋律そのものの良さよりも、
ちょっとした仕掛けで心を掴まれたり揺さぶられる部分のこと。
今回の記事では、僕が、
曲作りの、特に「フック」作りが上手いと思った部分を
各曲ごとに取り上げて話してみたいと思います。


02 ジャケット裏とCDトレイの写真



Tr1:Her Diamonds
彼女の涙がダイアモンドのようにこぼれ落ちる。
なんとかしようと取り繕ってはみたものの、逆効果なだけ・・・
やっぱり、熱いだけじゃだめなんですね(笑)。
アフリカンビート風のドラムスで始まり、
ゆったりと進む中で、ドラマを繰り広げてゆきます。
この曲では、サビに入る部分で"oooh"と一声入れるのが
とても印象に残ります。


Tr2:Gasoline
ガソリン・・・やっぱり気持ちの熱さを自覚しているんだ(笑)。
しかし曲はタイトルとは裏腹に淡々と進む感じで、
その辺のギャップがまた面白い部分です。
曲は割とシンプルで大人しめだけど、やっぱりフックが多く、
歌い出しの"Oh well, oh well"というハミングははっとさせられるし、
曲の中で一度しか出てこない中間部を設けていますが、
そこでコーラスがかぶさり、曲がまろやかに流れてゆきます。


Tr3:Give Me The Meltdown
ソウル風のベースに導かれ、ギターが展開するイントロがいい。
この曲の上手いところは、歌い出し3小節目から始まる
同じ音を8回繰り返す部分で、特に2ndのその部分は
"Take and take and take and take and take and take and"
と、Takeを6回も繰り返し、まるで時計の音のように響くところ。
この執拗な繰り返しもまたロブの特徴でしょう。
そしてなんといってもサビ(Bメロ)の素晴らしさ!
テンポは同じなんだけど、前半は演奏が横に広がる感じなのが、
サビに入ると引きしまってまっすぐ前に突き進み、
あたかもテンポを速くしたかのように感じるのが不思議。
サビに入ったところの"Hey now”という歌い出しもいいし、
サビの最後も、演奏がすべて止まって、ロブの声だけが残り、
"Round and round and round"と締めるのは、もう憎い!
サビで疾駆し、爽やかな気分になれる曲で、喩えていうなら
夏の高原で走った後のような熱さと爽快さがある曲。
個人的にこのアルバムでいちばん好きな曲!


Tr4:Someday
ピアノのきらびやかなイントロで始まる波のようなバラード。
中間部の他、最後に、それまでにはなかった新たな旋律を用い、
賛美歌風のコーラスを展開して曲が終わります。
ほんと、曲作りの上手いですが、ロブ・トーマスは、
曲の中で一度しか出てこない部分を設けるのが好きなようで、
今こうして記事を書くのにじっくりと聴いていると、
ほとんどの曲にそれが設けられていることに気づきました。
C.C.R.ジョン・フォガティは逆に、
それを設けた曲がほとんどないのとは対照的です。
あ、別に、ロブがC.C.R.に影響を受けたとかそういうことはなく、
ただ、今ぱっと頭に浮かんだアメリカのソングライターが
ジョン・フォガティだった、というだけです。
そしてビートルズにも、ほとんどそれがないです、念のため。
まあだから、これもロブの特徴といっていいのでしょうね。


Tr5:Mockingbird
再び軽快なポップソング、ちょっと80年代ヒットチャート風。
明るくて全体的にもわっとした雰囲気の曲。
そうそうそれからこの人の曲は、特にサビの部分で、
時には「詰め込み過ぎ」と感じるくらいに、
次々と言葉を繰り出してゆくのも特徴でしょうね、
なんというか、サビで焦っている感じ。
もちろんそれも個性として僕は大好きですが、
落ち着かない、と言われれば、そうかもしれません。
それにしても、鳥が逃げそうなくらい熱く歌っています(笑)。


Tr6:Realworld '09
タイトルに「'09」とついているのは、デビューアルバムの1曲目に
Real Worldという曲があるからだと思いますが、
しかしこれは焼き直しではなく、まったく別の曲です。
簡単なドラムス(リズムボックスか?)のイントロから、
やっぱり急いたようにいきなり言葉を次々と繰り出してゆき、
曲が始まって5秒でロブの世界が完結します。


Tr7:Fire On The Mountain
キーボードの静かなイントロがちょっと「70年代産業ロック」風。
ジャングルビート風のドラムスが盛り上げつつ静かに歌い出し、
サビで歌も演奏も大爆発する、今回最も熱い曲。
まあ、タイトルがタイトルですからね(笑)。


Tr8:Hard On You
ちょっと陰りがある、ちょっとブリティッシュ風のポップソング。
これ曲自体はどちらかというと単調ですが、
歌ではなく、4小節に1回入るギターの
「ぎゅーいっぎゅーいっ」という音が印象に残ります。
やっぱり、ただものではない。


Tr9:Still Ain't Over You
出だしのギターがU2New Years Dayによく似ている・・・
あ、ちょっと似ているな、と思っただけですが、ともかく、
マイナー調の重たくて沈んだ力強いロック系の曲で、
「ちょっと影がある英雄」、そんなカッコよさがある曲ですね。
あ、そうですね、やっぱりU2風かもしれない・・・
Tr3の次に好きな曲が、これです。


Tr10:Natural
70年代ソウル風、マイナー調の落ち着いた曲。
もうこれくらいの年代の人になると、いろいろな音楽を
普通に雑多に聴いて育ってきているでしょうから、
何が何風と敢えて分けなくてもいいのかもしれないけれど・・・
これは、懐かしい、という感じがいちばんする曲ですし、
この中ではいちばん温度が低い曲でもあります(笑)。
そう、押さえた歌い方も上手い人ですね。


Tr11:Snowblind
この曲は歌い出しでいきなり、
高音のとろけるような美しい旋律をアカペラで歌い、
曲が進むと実はそれがサビだったという仕組みで、
感動的な盛り上がりを見せる佳曲です。
演奏はエレクトリック・ギター中心に繰り広げられていて、
当たりは決してソフトではないんだけど、不思議と、
曲全体がとってもまろやかな印象を受けます。


Tr12:Wonderful
きたきた、ホーンも入ったこれは完璧なソウルサウンド!
と思ってしまう自分が、最近、ちょっと悲しいかな、うん・・・(笑)。
ギターのカッティングが、軽快というよりは引っかかる感じで、
つんのめりそうなノリを見せています。
曲としては、クライマックスの序章という感じですかね。


Tr13:Cradlesong
最後の前にタイトル曲が控えるという流れがまたいいですね。
これはその通り、ゆったりと揺れる感覚が広がってゆく曲で、
間奏に入る部分でまた女声コーラスがかぶさって曲が揺れ、
そして間奏のゆらゆらしたギターの音が、じわっと感動的。
この曲は歌詞もとりわけ素晴らしい。
なお、このアルバムのバックは、基本的には、
このプロジェクトのために固定されたメンバーが演奏していますが、
この曲のみ、Dsにジム・ケルトナー、Bsにリー・スクラーと、
おなじみの名うてのベテランミュージシャンが参加しています。
新しいCDを買った時の楽しみのひとつに、
ブックレットを見て、知っている名前を探すことがありますが、
ジム・ケルトナーはほんと、実は参加しているCDが
うちにいちばん多いミュージシャンではないかと思っているくらい、
1970年頃から、たくさんのアルバムに参加していますし、
名前を見つけるとほっとしてうれしくなる人です。
そして、このアルバムにも参加しているのは、やはりというか、
ロックの歴史を紡いでいるんだな、と、心強くもなります。
そしてもうひとつ、この曲の出だし
 Everybody's got a different story
それが、ワム!Freedomの出だし
 Everyday I hear a different story
と、旋律がそっくりな上に言葉まで似ているんです。
これ、パクったとかそういうことでは決してない、
たまたま似たのだとは思うのですが、でも、
似た旋律には似た言葉を思いつきやすいのかな、
それが英語の歌というものなのかな、と、ちょっと思いました。


Tr14:Getting Late
アルバムのタイトル曲で終わるかと思っていたのですが、
最後はカントリータッチのアコースティックな素軽い曲できました。
なんだか、「ここまで熱すぎてごめんね」みたいな軽さで、しかも、
揺りかごでゆられて遅くなりすぎた、という流れが憎いですね(笑)。
そして、カントリータッチの曲はやっぱり
アメリカ人は好きで自然にできるんだな、と実感しました。

 

リンクは、左がE.U.盤、右が国内盤です。

フック作りが上手いと書き、例証してきましたが、
お読みいただいて、或いは、
曲が「あざとい」のか? と感じられたかもしれません。
そんなことしなくてもいい曲はいい曲だ、いやむしろ、
そんなことしない曲こそいい曲だ、という声はあるかもしれません。
ある意味、そうだと思う部分が、僕にもあります。
そして、ロブの曲の多くは、一聴してすごくいい、というよりは、
何度も聴くと良さが倍々ゲームで広がってゆく感じですから。

(つかみは大きいので、いわゆる「するめ系」の、
じわじわとよくなる曲、という感じでもないのですが)。

しかし、ロブ・トーマスの曲の場合は、そこが楽しいんです。
ロブは茶目っ気たっぷりな「青春小僧」という感じですが、
そんな彼がいかに音楽が好きか、音楽と遊び戯れるのが好きか、
それが、聴き手にきわめてよく伝わってくるのです。
そしてこの人の場合、上手さが既に職人の域に達していて、
聴き手を楽しませる術は心得ているものの、
それが決してあざといとは感じさせない、
とてもナチュラルな感覚で音楽を繰り広げています。
音楽を、ただ楽しむのではなく、
いろいろなことをし考えながら聴きたいという人には、
ロブ・トーマスの音楽は手応え十分以上に感じられると思います。

僕は多分、大好きな音楽については、
人よりも多少熱めの人間だと自覚しているのですが(笑)、
今回は相手が相手だけに、とりわけ熱かったかもしれません・・・

ロブ・トーマスには、こうなったら、
次代のニール・ヤングを目指してほしい!

しかし、そのためには、
毎年のように何かをリリースして欲しい・・・
作品が少なすぎるのが、彼の最大の不満ですね(笑)。

03 黒松内の夕景、2009年7月



  


Posted by guitarbird at 06:29ロックQ-Z

2013年07月02日

SOME GIRLS ローリング・ストーンズ

01


SOME GIRLS The Rolling Stones
女たち ザ・ローリング・ストーンズ
 (1977)

今日はローリング・ストーンズのアルバムの話をします。

ストーンズのアルバムは何がいちばん好きかと聞かれると、
BEGGARS BANQUETかな、LET IT BLEEDかな、
STICKY FINGERS、TATTOO YOU、
もしかしてSATANIC MAJESTY'Sか、などとしばし悩みます。
でも、いちばん聴きやすいアルバムは何かと聞かれると、
僕は迷わずこのアルバムと即答します。

今回はそこでこのアルバムを取り上げました。
ちょうど、今年になってデラックス・エディション2枚組と、
当時のツアーのコンサートのブルーレイが出たことですし。

このアルバムは、ポップスターとしてのストーンズらしさという点では
彼らの中でもいちばんでしょう。

ロックという言葉の中にあるアートな部分や深刻さがあまりなくて、
いい意味で適当にやっていると感じますが、そこがストーンズらしい。
おまけに楽曲がみな素晴らしく、ほんとうに捨て曲なし。
だからロックスターではなくポップスター、だから聴きやすいのです。

このアルバムの前にかのパンクロック・ムーヴメントが起こり、
ストーンズは「化石」としてやり玉に挙げられました。
10年前は若者のパワーの象徴のような存在だったのに、
流行の移ろいは早いというか、10年はあっという間というか。
ただ、当時の彼らはまだ30代半ば、少なくとも今の僕よりは
若いのですが、当時はまだまだロックは評価が定着しておらず、
流行りものという認識が世間一般では強かったのでしょうね。
いい意味で適当というのは、「化石」と言われたことに対して、
逆に開き直って攻めてゆけたのがよかったのではないかと。
しかも楽曲の良さはそんじょそこらの若造には真似できない。
結局、「化石」は、遥か遠くででんと構えて世の中を睥睨していた。
「化石」は腐らないから、逆に長く残ることができたのでしょうね。

当時はまた空前のディスコブーム。
僕は当時は小学生で、ストーンズのこれは知らなかったけど、
ディスコブームは身の周りの体験として覚えています。
ロックの大物も次々とディスコに走り、ロッド・スチュワート、
ポール・マッカートニー、キッス、バッド・カンパニー、キンクス、
などなど、やらなかったのはザ・フーくらいなものというくらいに
大挙してディスコサウンドを採り入れていた時代でした。
今はそれをロックの汚点として見る向きも多いようですが、
僕は、いい曲はとってもいいと思います。
でもやっぱり、ちょっと苦笑いではあるかな(笑)。

ストーンズはこのアルバムではディスコにも呼応していて、
No.1ヒットとなったMiss Youを生み出したわけですが、でも、
アルバム全体はそれ以外は特にディスコっぽいわけではなく、
2曲目以降はストーンズ節満開といった趣き。
でもそれが不思議と違和感なく流れていきます。
ストーンズはリズムにはこだわりを持っていたバンドだから、
ディスコを採り入れたのは、僕には特に違和感はなくて、
とってつけたような感じは不思議と受けませんでした。
ディスコサウンドだってソウルから発展していったものであり、
ソウルはR&Bから、と考えると、ストーンズも同じだし。
また、大ヒットした曲だけがそうであったので、ヒット曲というのは
社会の鏡でもあり、別物として接することができるし、その曲を
アルバム1曲目に持ってきているところが、2曲目以降とは
切り離して考えて聴けるのもいい流れだと思います。
1曲目はディスコだけど、聴いてゆくうちにだんだんと本格的な
ストーンズになってゆく、考えようによっては深いアルバムですね。
まあそもそも、Miss Youはリズムがディスコっぽいというだけで、
曲自体はいかにもどう聴いてもストーンズらしいですからね

このアルバムの録音の頃は、キース・リチャーズは、薬に
起因する問題をいろいろと抱えていて、一節によれば
「体の血を入れ替える」手術をしたと言われている頃で、
録音には参加しているものの、ミック・ジャガーが中心になって
作業が進められました。
だからこれはミックらしさがよく出たアルバムとも言えるのでしょうけど、
それが聴きやすさにつながっているのかもしれません。
なお、キースは、改心の意味を込めて、このアルバムから、
”Richard"から"Richards"へと"s"と加えて苗字を変えました。

またこのアルバムは、ロン・ウッドが初めてフルに録音に参加した
アルバムとしても意味がある1枚でしょう。

変わらないのはチャーリー・ワッツだけ(笑)。

このアルバムでもうひとつの「問題」はジャケット。
LPでは確か、外側は女性の頭の顔の部分がくりぬかれ、中の紙に
メンバーの写真があり、合わせるとモンタージュみたいになる
という趣向だったと思います、LPは持っていないのですが。
裏の女性のイラストには実在の女優のものも使われましたが、
その中のラクウェル・ウェルチが肖像権をめぐって訴えた、
ということは10代の頃から話として聞いていました。
僕は高校3年の頃から映画に凝り始めたのですが、
ラクウェル・ウェルチは当時は映画を観たことがなくて、
30歳になった頃にWOWOWで放送された「ミクロの決死圏」
で初めて見て、ああこの人がそうなんだって思いました。
まあ、彼女はセクシー路線の女優だったらしく、高校生が
観るものではなかったでしょうから、あ、逆かな(笑)。

楽曲は1曲を除いて、ミック・ジャガーとキース・リチャーズの
「グリマー・ツインズ」が作曲しています。
(All songs written by Mick Jagger-Keith Richards,
 also known as "The Glimmer Twins" except as noted)


02 ポーラが舌を出す・・・


Tr1:Miss You
この曲については既に触れましたが、軽く記事1つ分は
書くことがあるので(笑)、まだ話します。
この曲について、マイナー調の重たい曲がヒット曲であるところが
このアルバムをさらに聴きやすくしている部分かなと思います。
繰り返しになりますが、シングル曲はそれはそれとして、
捨てるというと言い過ぎですが、頭の中である程度隔離させて
アルバムを聴くことができる、と、僕は思っていますが、
だからシングル曲はこうであっても態勢に影響はないというか。
シングル曲はアルバムの代表みたいな言い方もありますが、
このアルバムについては逆といえるかもしれない。
でも、裏の裏は表みたいな感じで、こういう曲も出来てしまうことが
ストーンズらしさを表しているのでしょう。
もうひとつ、この曲について僕が言わなければならないのは
ジョン・レノンの「心の壁 愛の橋」(記事はこちら)に収められた
Bless Youについてのジョンの言葉です。
JL:この曲(Bless You)を書いた時、ぼくは震え上がっていた。
ヨーコからまたく離れて、自分が必要な唯一のものを失った気分だった。
ミック・ジャガーはこの曲から「ミス・ユー」を作ったんじゃないかと思う。
スタジオで、エンジニアがぼくにこう言った。
「テンポを早くしたらヒット・ソングになるのにね」
彼は正しかった。
「ミス・ユー」はぼくの曲を早くしたものじゃないか?
ぼくはミックのレコードの方が好きだ。
ミックのしたことには何の悪感情も持ってはいない。
ミックは無意識だったかもしれないし、そうではなかったかもしれない。
でもミュージックはすべての人の所有物なんだ。
人が所有しているなんて考えるのは、音楽出版社くらいのものさ。

確かに似てます、特に「あははぁ~ ふううううん~」というハミングは
Miss Youのイントロと出だしの歌メロそのまま、というか、
間奏部でそのようにハミングしてるし。
でも、ジョンは好意的に捉えているのがほっとしますね。
しかしそれもジョンの皮肉と受け取ることもできますが(笑)。
まあいろんな意味で、ストーンズの僕が好きな10曲のひとつかな。
ところで、この曲の歌詞にはジョンが愛した"Central Park"が
出てくるけど、それは単なる偶然なのかな。


Tr2:When The Whip Comes Down
「鞭が振り下ろされる時」
いったい何を歌っているんだ、と頭を抱えたくなってしまうのも
ストーンズらしさでしょうね(笑)。
もしかして「ホイップ」は「ホイップクリーム」、スイーツの曲か?
なんて、そんなわけないでしょうけど、アップテンポでごりごりと
押してゆくいかにもストーンズらしい能天気さがある楽しい曲。


Tr3:Just My Imagination (Running Away With Me)
(Norman Whitfield / Barrett Strong)
テンプテーションズのNo.1ヒット曲にして、その後にテンプスを去る
エディ・ケンドリックス一世一代の名演をカバー。
オリジナルはエディのファルセットを強調した切ないバラードを、
ストーンズはやはりゴリ押しのストーンズカラーに染めきっていて、
オリジナルのイメージがほとんど残っていないといっていい、
これはロックのカバーの中でも秀逸な1曲だと思います。
テンプスは彼女が去ってしまうことを現実として受け止める一方で、
ストーンズは幻想の中でも女性といられて楽しかった、みたいな。
ストーンズはテンプスが大好きなようで、Ain't Too Proud To Begも
カバーしているし、BitchのリズムパターンはGet Readyのぱくり、
いや、愛情を込めていただいているくらいですから。
ストーンズも当時は既に超大物だったはずなのに、よく知られた
ヒット曲を割と平気でカバーしますね。
いい意味で節操がないというか、でもそれ以上にテンプスへの
愛情を感じられるのが、テンプスを好きな僕としてもうれしいところ。


Tr4:Some Girls
もったりとした曲をのらりくらりと歌うミックの粘つきがすごい。
女性は誰でも素晴らしいという女性讃歌ととるか、
女性なら誰でもいいというミックの本音ととるか・・・
ブルーズマンのシュガー・ブルーのハーモニカが聴きどころ。


Tr5:Lies
元気一発ストーンズ! という曲。
こういう曲は割と簡単に作れるのかもしれないけど、
そう感じるのはストーンズがしっかりとした型を持っているから。


03 今朝の札幌の空


Tr6:Far Away Eyes
カントリーブルーズ風の、もたっとした歌というよりは語り。
パンクの後でよくぞこんな曲をやれたよなという
度胸というか開き直りというか、すごみでしょうね。


Tr7:Respectable
元気2発ストーンズ! という曲(笑)。
この曲はミックもギターを弾いてトリプルギターとなっていて、
とにかくギターの楽しさが味わえるロックンロール。
ディスコのMiss Youでベースが目立つのは分かりますが、
この曲もビル・ワイマンのベースが前に出てクールにきめています。


Tr8:Before They Make Me Run
キースはいろいろと調子が悪かった中で、やっぱりキースが歌う
曲がアルバムには1曲は入っていてほしい、だからこれはよかった。
キースはミックが歌う曲でも作曲しているはずだけど、でも
キースが歌う曲は後のソロにもつながるくらいキースらしくて、
ミックはやっぱり自分が歌う曲は歌メロを作っているのでしょうね。
もしくは、キースはこれは自分で歌うと決めて作るのか、逆に
作った曲が自分が歌った方がいいと判断するか、なのでしょうね。
キースの歌は、つらそうというかだるそうだけど、それもまたいい。
ダブルトラックのヴォーカルがずれまくってるけど、気にしない(笑)。


Tr9:Beast Of Burden
これは名曲ですよね。
僕は70年代のストーンズは、今はもう廃盤のREWINDという
ベスト盤のCDで初めて聴いたのですが、その中でもこの曲を
最初から気に入りました。
なんといっても歌メロが最高にいいですね。
高音で歌うミックの切なさ、虐げられることをむしろ喜ぶ態度・・・
間奏の「ぷりてぃぷりてぃ」というコーラスはちょっと笑えるものだけど、
笑えることを真面目にやることもロックには重要な部分。
イントロのギターもよくてすぐにギターでコピーしましたが、間奏の
1'48"からのギターは音色もフレーズもスケベっぽく、絶妙の味。
ストーンズ一流の美意識が結実したといっていい名曲、傑作。
この曲も、ストーンズの僕が好きな10曲に常に入るかも。


TR10:Shattered
僕が生まれて初めて買ったストーンズのLPは、
中3の頃の1982年に出たライヴ盤STILL LIFE(記事こちら)で、
それは当時かなりよく聴き込みました。
このアルバムは、Tr3とこれと、そこに入っている2曲があるのが
うれしいし僕の思い入れにつながっていく部分ですね。
ただこれ、ライヴでは普通のゴリゴリとしたロックだったのが、
アルバムではニューウェイヴっぽい音作りで少々驚きました。
つまり、最初と最後がちょっと違って新しい、というわけですね。
ううん、世の中の流れは関係ないようでいて、しっかりと世の中に
ついて行っていたのはさすがというか、そうでもなければ
半世紀も続けていられなかったでしょうね。
「閉ざされた」という割にはなんとなく引きずって、
ぴしっと閉まった感じもなくアルバムは終わります。
まあそれも人を食った部分でしょうけどね。


 

リンクは左がDE2枚組の国内盤、右が現行の1枚通常海外盤。

DEのDisc2は未発表曲などが収録されていますが、
今回はアルバムだけについて触れました。

このアルバムを取り上げようと思ったもうひとつの理由が、
写真02、サントリーの「ストーンズ・バー」です。
CMで見て、あれこれ本物だよな、日本で許可なしにこんなこと
しないよな、と思いつつ興味が出て、昨日ローソンで買いました。
買う時にビートルズのTシャツを着ていたのですが、大学生と
思われる店員には同じに見えたかもしれない、と(笑)。
ただ、いわゆるBLOGネタとして買ったはいいけどれ、飲まないから
さてどうしようか、でもシトラス・ハイボールなら飲んでもいいかな。

以上、うちのSome Girlsがお届けしました(笑)。


04


  


Posted by guitarbird at 19:54ロックQ-Z