2013年12月21日
貴方だけを愛して アレサ・フランクリン
いつものように
写真など音楽とは関係ないコメントも
大歓迎です!
確か今年のことではない、少し前だけど、
「ローリング・ストーン誌が選ぶ史上最も偉大なシンガー」
が発表されましたが、それにおいて
01 ジャケット同様ハイキー調のハウ

I NEVER LOVED A MAN THE WAY I LOVE YOU
Arethe Franklin released in 1967
貴方だけを愛して アレサ・フランクリン
アレサ・フランクリンが、堂々の第1位に選ばれました。
ちなみに、11位までを書き出すと
1位:アレサ・フランクリン
2位:レイ・チャールズ
3位:エルヴィス・プレスリー
4位:サム・クック
5位:ジョン・レノン
6位:マーヴィン・ゲイ
7位:ボブ・ディラン
8位:オーティス・レディング
9位:スティーヴィー・ワンダー
10位:ジェイムズ・ブラウン
11位:ポール・マッカートニー
すいません、なぜわざわざ「11位」までにしたかは、
言うまでもなく、見てお分かりかと思いますが・・・(笑)・・・
一応、11位は控え目に、小さな文字で書いていますが・・・
それはともかく、今回はこのランキングについての話ではないし、
話し出すと記事が10個あっても足りないので、ここはさらりと、
アレサ・フランクリンはそれだけ偉大な歌手と認められている
ということだけを書いておきます。
僕がアレサ・フランクリンという人を知ったのは、
僕のリアルタイムで復活したヒット曲
Freeway Of Loveのビデオクリップでした。
明るくポップで歌メロも覚えやすいその曲は、
「ベスト・ヒットUSA」で観て聴いて一発で気に入りましたが、
それまで知らなかったアレサ・フランクリンの第一印象は
「オカッパ頭ですごい歌を歌うおばちゃん」・・・
そのすぐ後に、映画「ブルース・ブラザース」をテレビで観ましたが、
そこでアレサは、つれない夫に対して
Thinkを歌って夫を突き放してて、そこでの印象は、
「恐いお母ちゃん・・・」
いずれにせよ、その風貌から、「すごい」と思った人でした。
その頃はまるで「アレサ復活祭」、次はユーリズミックスの
Sisters Are Doing It For Themselvesに客演し、
ビデオクリップでも迫力たっぷりの歌を披露していました。
これは、僕がリアルタイムで出会った中でも屈指の名曲
There Must Be An Angel (Playing With My Heart)
の後で、ユーリズミックスに大注目していた頃なので、
そこに出てきたアレサには、心が大きく動きました。
さらに、サントラでローリング・ストーンズの
Jumpin' Jack Flashをカバーしたクリップも印象的でしたし、
そしてとどめが、ジョージ・マイケルとのデュエット
I Knew You Were Waiting (For Me)、
これがついにNO.1ヒットとなり、アレサは大復活しました。
余談ですが、この曲がNO.1になったことにより、アレサは、
「1位の曲と次の1位の曲の間が最も長い人」
という当時の記録を打ち立てました。
この記録は、このアルバムにも収録されている
Respectが1967年6月10日付で1位になり、次のその曲が
1位になったのは1987年4月18日付、その間実に19年10か月。
しかしこの記録は、同じ年の僅か7ヶ月後に破られます。
元ライチャズ・ブラザーズのビル・メドレーが、
ジェニファー・ウォーンズとのデュエットで歌った、
映画「ダーティ・ダンシング」のテーマ曲である
(I've Had) The Time Of My Lifeが1位になったことにより、
21年7か月という記録を打ち立てたからです。
なお、この話はもちろん、いつものビルボード誌の本を
参考にして書いています。
そして、それ以降はチャートを熱心に追わなくなったので、
この記録はまた誰かに抜かれているかもしれません。
余談が長くなりましたが、現在のアレサの、
偉大なシンガー第1位という結果や、
「ソウルの女王」としてのリスペクトがあるのは、
80年代にそのような動きがあり、僕のような、
彼女をリアルタイムでは知らない世代にも
訴えたことが大きいのではないかと思います。
このようにして、アレサ・フランクリンという人は
僕の音楽生活に入ってきて、どっしりと居つきました。
02 2009年12月21日19時19分の札幌の月

アレサは、小さい頃から教会の聖歌隊で歌うなど、
要は「ゴスペル」の素養があり、誰に話を聞いても
「上手い人」という言葉で尊敬される歌手です。
でも、アレサの歌を聴いてゆくと、少なくともソウルというか
ポップフィールドの歌においては、
聴いていてとても気持ちいいことは同じだけど、
圧倒され言葉を失うような技巧的上手さというわけではなく、
こういう風に歌えると気持ちいいだろうなという気持ちが
聴く者には自然とわき上がってくる、そんな感じがします。
少なくとも僕は、まあ歌手でもないので当たり前ですが、
歌の力量がはるかに及ばないことを承知で、アレサの曲は、
アレサのように歌って、気持ちいいですから(笑)。
親しみやすいというか、小難しくないというか、
もちろん上手いことを鼻にかけている感じもしない。
逆にいえば、街のライヴハウスなどで歌っている
アマチュアやセミプロの人でも、アレサより「上手い」人、
歌を通して「個人の」思いや感情を伝えるという点で、
もっと伝わってくる人は、たくさんいるのだと思います。
そうして見ると、アレサは、歌手としては主張しているけれど、
個人が主張し過ぎていない、そこが親しみやすい点であり、
だからポップス足り得た、そのような人だと僕は思っています。
僕は、あくまでもポップソングが大好きなのですから。
そしてアレサは、ゴスペルのアルバムも出していますが、
このポップの親しみやすさは、ゴスペルが出来てこそ初めて、
自分のものとして表現しつつ歌うことができるのでしょう。
そう考えるとやはり、凄い歌手には違いありません。
このアルバムは、ちょうど僕が生まれた頃にリリースされ、
Respectは、僕が生まれた前の週にNO.1でした。
アレサは、「ソウル歌手」としてはいきなりこのアルバムで
出てきましたが、しかし「歌手」としてはその前が意外と長く、
それまでは、レコード会社の方針で、ジャズやスタンダードなど
「正統派ヴォーカリスト」として取り上げられていました。
それらの音源も今はCDで買って聴くことができ、
それらはもちろん、歌は素晴らしいのですが、
当時は売上的に泣かず飛ばず、やがて、レコード会社も、
ColumbiaからAtlanticに変わりました。
そこで心機一転、当時流行りつつあった「ソウル」に挑戦し、
見事開眼し成功したのがこのアルバム、というわけです。
最初の1枚で大傑作を作ってものにしてしまったというのは、
アレサの資質がそもそもソウルであることに他ならないでしょう。
だからこのアルバムは、ポピュラー音楽史においては、
生まれるべくして生まれたアルバムといえるでしょうね。
これがない世の中なんて想像できません。
しかし僕は、このアルバムを最初に聴いた時、
ソウル史に残る「名盤」ということで構え過ぎていたようで、
もっと大仰でテクニカルでとにかく凄い音楽だと思っていたのが、
あまりにもあっさりと軽いので拍子抜けしました。
実はその状態がずっと続いていて、昨年のソウルの波が来て、
たくさん聴いたところ、ようやく、この軽さの意味が分かりました。
それは、先ほどのアレサの歌手としての資質、
「親しみやすさ」を活かすため、個人の感情が入り過ぎないように、
曲は重くても軽めのアレンジになっているのだと思います。
そして僕も、このアルバムは大好きになりました。
03 冬のA公園の風景、シラカンバとトドマツと

Tr1:Respect
軽やかにあくまでもポップにアルバムはスタート。
イントロの中途半端なギターのチョーキング音が耳につきます。
オーティス・レディングの名曲のカバーというかたちですが、
アレサはこれを大きく変え、NO.1ヒットへと押し上げています。
アレサはビートルズのEleanor Rigbyもカバーしていて、
ベスト盤にも入っていますが、そのベストを聴いていた弟が、
Eleanor Rigbyであることにひと月くらい気づかなかったという
笑うに笑えない話があるくらい、アレサは
100%自分の色に染め切って歌ってしまいます。
この曲の場合はなんといっても、オーティスのオリジナルにはない
軽やかで楽しげな女声コーラスを入れ、アレサとコーラスの
「コール&レスポンス」風の掛け合いが聴けることでしょう。
バンドもしっかりと歌をバックアップしています。
「R」「E」「S」「P」「E」「C」「T」
途中のブレイクする部分はいつ聴いてもぞくぞくします。
そして、そこから続く
♪ Suck it to me, suck it to me, suck it to m, suck it to me,
と繰り返すところは、僕はいつも
「鮭とば鮭とば鮭とば鮭とば」
と歌っています(笑)。
もうそう思わされた時点でこの曲の勝ち、楽しいですね、
ポップソングのツボを抑えまくっていますね。
ただし僕は、オーティスのを先に聴いて凄いと思っていたので、
最初のうちは、やはり、アレサのこの軽さは、拍子抜けしました。
もうひとつ、「リスペクトする」という言葉を
日本人が普通に使うようになったのは、この曲と
アレサとオーティスのおかげなのかな、と思ったりもします。
もちろんそれは、「アレサ大復活」の後のことですし。
Tr2:Drown In My Own Tears
ホップした1曲目とは正反対の、
しっとりと落ち着いて聴かせる、正調R&Bバラード。
この2曲だけでもう、アレサの歌の世界が
無限に広がることを感じさせるに十分です。
「自分の涙に溺れる」という割には、じめっとしていない。
アレサはその前向きさが、もしかすると、当時の
「ウーマンリブ」運動に共鳴したりもしたのかな。
Tr3:I Never Loved A Man (The Way I Love You)
この長いアルバムタイトル表題曲。
長いので今回の記事はタイトルも邦題にしました。
この曲、冷静に聞くと、ストリングスの盛り上がりとか、
ブラスのクールさが尋常じゃないくらい凄いんだけど、
歌はあくまでも明るくさらっと歌い進めています。
打ち寄せる波のようなリズムが心地よい、これも名曲。
余談、これ、曲のほうでは、タイトルの後半が()なのは、
シングルへの配慮もあるのではないかと思います。
短い方が覚えやすく、DJも紹介しやすくリクエストもしやすい。
長い曲名に()を付けるのは、副題という意味もあるのでしょうけど、
奇しくも、上で紹介したアレサとジョージ・マイケルの曲と、
ビル・メドレーとジェニファー・ウォーンズの曲、
さらにユーリズミックスの曲もそうなっていますね。
Tr4:Soul Serenade
ソウルといいつつ、ジャズ・ヴォーカルの雰囲気も。
「ソウル」とは、音楽の形状を表すものではない、
ということが見えてくる曲。
途中で繰り返し入るブラスのフレーズは、
ジョージ・ハリスンのIf Not For Youのスライドギターの
フレーズと似ているのですが、ジョージは意識してた?
そのフレーズが印象的だけど、この曲は基本的には
アレサの独り舞台、朗々と歌を聴かせる曲。
Tr5:Don't Let Me Lose This Dream
ホサノヴァ風のリズム。
そういえばスタックスは、アレサもだけど
ドリフターズなどでも積極的にラテン風味を取り入れていて、
そうした音楽への嗅覚と探究心はさすがですね。
ラテンは今ではむしろ主流になっているだけ、
余計にそう感じます。
Tr6:Baby, Baby, Baby
これまた正調R&B調バラードですが、
コーラスが凝っていて歌のと絡みが抜群。
Baby, Baby, Babyと連呼するのも、今は当たり前だけど、
特に女性が歌うのは、当時は新鮮だったのではないかな、と。
Tr7:Dr. Feelgood (Love Is A Serious Business)
これはゴスペルの雰囲気が強く、もう独壇場ですね。
「ドクター・フィールグッド」といえば僕はもちろん
モトリー・クルーを思い出すのですが、大学生時代、
この曲、さらにドクター・フィールグッドというバンド
があることを知り、ロックのつながりを感じました。
Tr8:Good Times
サム・クックの曲ですねぇ。
サム・クックの曲ですねぇ。
あ、もういいですか(笑)。
でも、これ、最初の3回くらいは気づかなかったです・・・
アレサは、歌メロの変え方が劇的ですが、
そこが歌手としての才気と誇りを感じさせる部分です。
Tr9:Do Right Woman-Do Right Man
この曲はカバーで、オリジナルは聴いたことがなのですが、
もっとじめっとして、慈悲を乞うような流れそうなところを、
アレサの歌い方は、落ち着いているけど弱さは見せない、
そんな感じに響いてきます。
でもやはり、この中ではいちばんじわっとくる、名曲。
なんとなくですが、僕はこの曲、
後にアレサ自らもカバーした、キャロル・キングの
(You Make Me Feel Like) A Natural Woman(また()付きだ!)
と対をなす曲のように感じています。
Tr10:Save Me
これはベースが小刻みに動いてギターがカラカラと鳴る、
わくわくしてくる、ソウルの楽しさを味わえる曲。
やっぱり、ネガティブな響きがない、さらっとした感じ。
ブラスもシンプルだけど盛り上げます。
Tr11:A Change Is Gonna Come
最後はまたサム・クック、僕が思うにソウルの最高傑作、
身を切り刻むほどに研ぎ澄まされ、かつ壮絶な曲ですが、
アレサはやはり、明るく、とっつきやすく歌っていて、
深刻さがあまり感じられません。
そして雰囲気はゴスペル、これは、作曲者が伝えたかった
もうひとつの面を強調したともいえるかもしれません。
ただ、個人的にはやっぱり、サムにはかなわないですね。
まあ、あれだけの名曲だから、仕方のないことです。
これは国内盤のリンク。
僕が持っているのはRhinoの海外盤、定評あるリマスターですが、
国内盤は音がどうなのか、今度、買って聴いてみます。
このアルバムは、もう8月からずっと
週に数回聴き続けていて、記事にするつもりでしたが、
ようやく年末になってカタがつきました、ほっ。
1967年は、ロックではビートルズのSGT.PEPPER'S、
ソウルではこれと、後世への影響力という点で、
重要なアルバムが2枚出ていた年だったのですね。
67年生まれとしては、うれしい限りです。
とここで、どうでもいい余談、僕は、ちょっと前まで、
アレサのI Never Loved A Man (The Way I Love You)
の邦題「貴方だけを愛して」と
レッド・ツェッペリンのSince I've Been Loving You
の邦題「貴方を愛し続けて」を、よく混同していました。
いや、Zepの曲を聴いても間違わないのですが、
アレサのを聴くと、Zepの曲のタイトルが思い浮かんで・・・
だけどよくよく考えると、どちらもレコード会社がAtlanticで、
邦題を付けた日本の担当者が同じなのかもしれないですね、
いや、きっとそうに違いない!
それからこのアルバムは、
レコードコレクターズ2008年3月号の
SOUL / FUNK BEST 100アルバムの
第2位に選出されています。
こちら、第1位のアルバムは、
記事にしようしようともうずっと思っているものなので、
そのアルバム記事に際に、Top10を紹介します。
(いつになることやら・・・)
そして今日はここで写真をもう1枚。
04

THIS CHRISTMAS ARETHA
アレサのクリスマスアルバム、今日は聴いていました。
やはり独自の解釈の歌メロは健在、印象的ですが、
おなじみSilent NightやAve Mariaは、人によっては、
ちょっと違うんでないかい、と思うかもしれません。
クリスマスですが、ゴスペル色は風味くらいです。
そしてこのアレサのクリスマスアルバムというものが、
昨年初めて出たのは、意外な気もします。
最後にひとつ、長年、なんとなく思っていることを。
アレサ・フランクリンがこんなにも親しみを感じるのは、
その名前、苗字のせいではないかな、と。
フランクリン、ですからね。
「フランクに話す」、そのフランクでもありますが、
もっと、フランク、ときて連想するのは・・・
・・・フランクフルト・ソーセージ・・・
・・・パワーありそう・・・
失礼いたしましたぁ(笑)。
写真など音楽とは関係ないコメントも
大歓迎です!
確か今年のことではない、少し前だけど、
「ローリング・ストーン誌が選ぶ史上最も偉大なシンガー」
が発表されましたが、それにおいて
01 ジャケット同様ハイキー調のハウ

I NEVER LOVED A MAN THE WAY I LOVE YOU
Arethe Franklin released in 1967
貴方だけを愛して アレサ・フランクリン
アレサ・フランクリンが、堂々の第1位に選ばれました。
ちなみに、11位までを書き出すと
1位:アレサ・フランクリン
2位:レイ・チャールズ
3位:エルヴィス・プレスリー
4位:サム・クック
5位:ジョン・レノン
6位:マーヴィン・ゲイ
7位:ボブ・ディラン
8位:オーティス・レディング
9位:スティーヴィー・ワンダー
10位:ジェイムズ・ブラウン
11位:ポール・マッカートニー
すいません、なぜわざわざ「11位」までにしたかは、
言うまでもなく、見てお分かりかと思いますが・・・(笑)・・・
一応、11位は控え目に、小さな文字で書いていますが・・・
それはともかく、今回はこのランキングについての話ではないし、
話し出すと記事が10個あっても足りないので、ここはさらりと、
アレサ・フランクリンはそれだけ偉大な歌手と認められている
ということだけを書いておきます。
僕がアレサ・フランクリンという人を知ったのは、
僕のリアルタイムで復活したヒット曲
Freeway Of Loveのビデオクリップでした。
明るくポップで歌メロも覚えやすいその曲は、
「ベスト・ヒットUSA」で観て聴いて一発で気に入りましたが、
それまで知らなかったアレサ・フランクリンの第一印象は
「オカッパ頭ですごい歌を歌うおばちゃん」・・・
そのすぐ後に、映画「ブルース・ブラザース」をテレビで観ましたが、
そこでアレサは、つれない夫に対して
Thinkを歌って夫を突き放してて、そこでの印象は、
「恐いお母ちゃん・・・」
いずれにせよ、その風貌から、「すごい」と思った人でした。
その頃はまるで「アレサ復活祭」、次はユーリズミックスの
Sisters Are Doing It For Themselvesに客演し、
ビデオクリップでも迫力たっぷりの歌を披露していました。
これは、僕がリアルタイムで出会った中でも屈指の名曲
There Must Be An Angel (Playing With My Heart)
の後で、ユーリズミックスに大注目していた頃なので、
そこに出てきたアレサには、心が大きく動きました。
さらに、サントラでローリング・ストーンズの
Jumpin' Jack Flashをカバーしたクリップも印象的でしたし、
そしてとどめが、ジョージ・マイケルとのデュエット
I Knew You Were Waiting (For Me)、
これがついにNO.1ヒットとなり、アレサは大復活しました。
余談ですが、この曲がNO.1になったことにより、アレサは、
「1位の曲と次の1位の曲の間が最も長い人」
という当時の記録を打ち立てました。
この記録は、このアルバムにも収録されている
Respectが1967年6月10日付で1位になり、次のその曲が
1位になったのは1987年4月18日付、その間実に19年10か月。
しかしこの記録は、同じ年の僅か7ヶ月後に破られます。
元ライチャズ・ブラザーズのビル・メドレーが、
ジェニファー・ウォーンズとのデュエットで歌った、
映画「ダーティ・ダンシング」のテーマ曲である
(I've Had) The Time Of My Lifeが1位になったことにより、
21年7か月という記録を打ち立てたからです。
なお、この話はもちろん、いつものビルボード誌の本を
参考にして書いています。
そして、それ以降はチャートを熱心に追わなくなったので、
この記録はまた誰かに抜かれているかもしれません。
余談が長くなりましたが、現在のアレサの、
偉大なシンガー第1位という結果や、
「ソウルの女王」としてのリスペクトがあるのは、
80年代にそのような動きがあり、僕のような、
彼女をリアルタイムでは知らない世代にも
訴えたことが大きいのではないかと思います。
このようにして、アレサ・フランクリンという人は
僕の音楽生活に入ってきて、どっしりと居つきました。
02 2009年12月21日19時19分の札幌の月

アレサは、小さい頃から教会の聖歌隊で歌うなど、
要は「ゴスペル」の素養があり、誰に話を聞いても
「上手い人」という言葉で尊敬される歌手です。
でも、アレサの歌を聴いてゆくと、少なくともソウルというか
ポップフィールドの歌においては、
聴いていてとても気持ちいいことは同じだけど、
圧倒され言葉を失うような技巧的上手さというわけではなく、
こういう風に歌えると気持ちいいだろうなという気持ちが
聴く者には自然とわき上がってくる、そんな感じがします。
少なくとも僕は、まあ歌手でもないので当たり前ですが、
歌の力量がはるかに及ばないことを承知で、アレサの曲は、
アレサのように歌って、気持ちいいですから(笑)。
親しみやすいというか、小難しくないというか、
もちろん上手いことを鼻にかけている感じもしない。
逆にいえば、街のライヴハウスなどで歌っている
アマチュアやセミプロの人でも、アレサより「上手い」人、
歌を通して「個人の」思いや感情を伝えるという点で、
もっと伝わってくる人は、たくさんいるのだと思います。
そうして見ると、アレサは、歌手としては主張しているけれど、
個人が主張し過ぎていない、そこが親しみやすい点であり、
だからポップス足り得た、そのような人だと僕は思っています。
僕は、あくまでもポップソングが大好きなのですから。
そしてアレサは、ゴスペルのアルバムも出していますが、
このポップの親しみやすさは、ゴスペルが出来てこそ初めて、
自分のものとして表現しつつ歌うことができるのでしょう。
そう考えるとやはり、凄い歌手には違いありません。
このアルバムは、ちょうど僕が生まれた頃にリリースされ、
Respectは、僕が生まれた前の週にNO.1でした。
アレサは、「ソウル歌手」としてはいきなりこのアルバムで
出てきましたが、しかし「歌手」としてはその前が意外と長く、
それまでは、レコード会社の方針で、ジャズやスタンダードなど
「正統派ヴォーカリスト」として取り上げられていました。
それらの音源も今はCDで買って聴くことができ、
それらはもちろん、歌は素晴らしいのですが、
当時は売上的に泣かず飛ばず、やがて、レコード会社も、
ColumbiaからAtlanticに変わりました。
そこで心機一転、当時流行りつつあった「ソウル」に挑戦し、
見事開眼し成功したのがこのアルバム、というわけです。
最初の1枚で大傑作を作ってものにしてしまったというのは、
アレサの資質がそもそもソウルであることに他ならないでしょう。
だからこのアルバムは、ポピュラー音楽史においては、
生まれるべくして生まれたアルバムといえるでしょうね。
これがない世の中なんて想像できません。
しかし僕は、このアルバムを最初に聴いた時、
ソウル史に残る「名盤」ということで構え過ぎていたようで、
もっと大仰でテクニカルでとにかく凄い音楽だと思っていたのが、
あまりにもあっさりと軽いので拍子抜けしました。
実はその状態がずっと続いていて、昨年のソウルの波が来て、
たくさん聴いたところ、ようやく、この軽さの意味が分かりました。
それは、先ほどのアレサの歌手としての資質、
「親しみやすさ」を活かすため、個人の感情が入り過ぎないように、
曲は重くても軽めのアレンジになっているのだと思います。
そして僕も、このアルバムは大好きになりました。
03 冬のA公園の風景、シラカンバとトドマツと

Tr1:Respect
軽やかにあくまでもポップにアルバムはスタート。
イントロの中途半端なギターのチョーキング音が耳につきます。
オーティス・レディングの名曲のカバーというかたちですが、
アレサはこれを大きく変え、NO.1ヒットへと押し上げています。
アレサはビートルズのEleanor Rigbyもカバーしていて、
ベスト盤にも入っていますが、そのベストを聴いていた弟が、
Eleanor Rigbyであることにひと月くらい気づかなかったという
笑うに笑えない話があるくらい、アレサは
100%自分の色に染め切って歌ってしまいます。
この曲の場合はなんといっても、オーティスのオリジナルにはない
軽やかで楽しげな女声コーラスを入れ、アレサとコーラスの
「コール&レスポンス」風の掛け合いが聴けることでしょう。
バンドもしっかりと歌をバックアップしています。
「R」「E」「S」「P」「E」「C」「T」
途中のブレイクする部分はいつ聴いてもぞくぞくします。
そして、そこから続く
♪ Suck it to me, suck it to me, suck it to m, suck it to me,
と繰り返すところは、僕はいつも
「鮭とば鮭とば鮭とば鮭とば」
と歌っています(笑)。
もうそう思わされた時点でこの曲の勝ち、楽しいですね、
ポップソングのツボを抑えまくっていますね。
ただし僕は、オーティスのを先に聴いて凄いと思っていたので、
最初のうちは、やはり、アレサのこの軽さは、拍子抜けしました。
もうひとつ、「リスペクトする」という言葉を
日本人が普通に使うようになったのは、この曲と
アレサとオーティスのおかげなのかな、と思ったりもします。
もちろんそれは、「アレサ大復活」の後のことですし。
Tr2:Drown In My Own Tears
ホップした1曲目とは正反対の、
しっとりと落ち着いて聴かせる、正調R&Bバラード。
この2曲だけでもう、アレサの歌の世界が
無限に広がることを感じさせるに十分です。
「自分の涙に溺れる」という割には、じめっとしていない。
アレサはその前向きさが、もしかすると、当時の
「ウーマンリブ」運動に共鳴したりもしたのかな。
Tr3:I Never Loved A Man (The Way I Love You)
この長いアルバムタイトル表題曲。
長いので今回の記事はタイトルも邦題にしました。
この曲、冷静に聞くと、ストリングスの盛り上がりとか、
ブラスのクールさが尋常じゃないくらい凄いんだけど、
歌はあくまでも明るくさらっと歌い進めています。
打ち寄せる波のようなリズムが心地よい、これも名曲。
余談、これ、曲のほうでは、タイトルの後半が()なのは、
シングルへの配慮もあるのではないかと思います。
短い方が覚えやすく、DJも紹介しやすくリクエストもしやすい。
長い曲名に()を付けるのは、副題という意味もあるのでしょうけど、
奇しくも、上で紹介したアレサとジョージ・マイケルの曲と、
ビル・メドレーとジェニファー・ウォーンズの曲、
さらにユーリズミックスの曲もそうなっていますね。
Tr4:Soul Serenade
ソウルといいつつ、ジャズ・ヴォーカルの雰囲気も。
「ソウル」とは、音楽の形状を表すものではない、
ということが見えてくる曲。
途中で繰り返し入るブラスのフレーズは、
ジョージ・ハリスンのIf Not For Youのスライドギターの
フレーズと似ているのですが、ジョージは意識してた?
そのフレーズが印象的だけど、この曲は基本的には
アレサの独り舞台、朗々と歌を聴かせる曲。
Tr5:Don't Let Me Lose This Dream
ホサノヴァ風のリズム。
そういえばスタックスは、アレサもだけど
ドリフターズなどでも積極的にラテン風味を取り入れていて、
そうした音楽への嗅覚と探究心はさすがですね。
ラテンは今ではむしろ主流になっているだけ、
余計にそう感じます。
Tr6:Baby, Baby, Baby
これまた正調R&B調バラードですが、
コーラスが凝っていて歌のと絡みが抜群。
Baby, Baby, Babyと連呼するのも、今は当たり前だけど、
特に女性が歌うのは、当時は新鮮だったのではないかな、と。
Tr7:Dr. Feelgood (Love Is A Serious Business)
これはゴスペルの雰囲気が強く、もう独壇場ですね。
「ドクター・フィールグッド」といえば僕はもちろん
モトリー・クルーを思い出すのですが、大学生時代、
この曲、さらにドクター・フィールグッドというバンド
があることを知り、ロックのつながりを感じました。
Tr8:Good Times
サム・クックの曲ですねぇ。
サム・クックの曲ですねぇ。
あ、もういいですか(笑)。
でも、これ、最初の3回くらいは気づかなかったです・・・
アレサは、歌メロの変え方が劇的ですが、
そこが歌手としての才気と誇りを感じさせる部分です。
Tr9:Do Right Woman-Do Right Man
この曲はカバーで、オリジナルは聴いたことがなのですが、
もっとじめっとして、慈悲を乞うような流れそうなところを、
アレサの歌い方は、落ち着いているけど弱さは見せない、
そんな感じに響いてきます。
でもやはり、この中ではいちばんじわっとくる、名曲。
なんとなくですが、僕はこの曲、
後にアレサ自らもカバーした、キャロル・キングの
(You Make Me Feel Like) A Natural Woman(また()付きだ!)
と対をなす曲のように感じています。
Tr10:Save Me
これはベースが小刻みに動いてギターがカラカラと鳴る、
わくわくしてくる、ソウルの楽しさを味わえる曲。
やっぱり、ネガティブな響きがない、さらっとした感じ。
ブラスもシンプルだけど盛り上げます。
Tr11:A Change Is Gonna Come
最後はまたサム・クック、僕が思うにソウルの最高傑作、
身を切り刻むほどに研ぎ澄まされ、かつ壮絶な曲ですが、
アレサはやはり、明るく、とっつきやすく歌っていて、
深刻さがあまり感じられません。
そして雰囲気はゴスペル、これは、作曲者が伝えたかった
もうひとつの面を強調したともいえるかもしれません。
ただ、個人的にはやっぱり、サムにはかなわないですね。
まあ、あれだけの名曲だから、仕方のないことです。
これは国内盤のリンク。
僕が持っているのはRhinoの海外盤、定評あるリマスターですが、
国内盤は音がどうなのか、今度、買って聴いてみます。
このアルバムは、もう8月からずっと
週に数回聴き続けていて、記事にするつもりでしたが、
ようやく年末になってカタがつきました、ほっ。
1967年は、ロックではビートルズのSGT.PEPPER'S、
ソウルではこれと、後世への影響力という点で、
重要なアルバムが2枚出ていた年だったのですね。
67年生まれとしては、うれしい限りです。
とここで、どうでもいい余談、僕は、ちょっと前まで、
アレサのI Never Loved A Man (The Way I Love You)
の邦題「貴方だけを愛して」と
レッド・ツェッペリンのSince I've Been Loving You
の邦題「貴方を愛し続けて」を、よく混同していました。
いや、Zepの曲を聴いても間違わないのですが、
アレサのを聴くと、Zepの曲のタイトルが思い浮かんで・・・
だけどよくよく考えると、どちらもレコード会社がAtlanticで、
邦題を付けた日本の担当者が同じなのかもしれないですね、
いや、きっとそうに違いない!
それからこのアルバムは、
レコードコレクターズ2008年3月号の
SOUL / FUNK BEST 100アルバムの
第2位に選出されています。
こちら、第1位のアルバムは、
記事にしようしようともうずっと思っているものなので、
そのアルバム記事に際に、Top10を紹介します。
(いつになることやら・・・)
そして今日はここで写真をもう1枚。
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THIS CHRISTMAS ARETHA
アレサのクリスマスアルバム、今日は聴いていました。
やはり独自の解釈の歌メロは健在、印象的ですが、
おなじみSilent NightやAve Mariaは、人によっては、
ちょっと違うんでないかい、と思うかもしれません。
クリスマスですが、ゴスペル色は風味くらいです。
そしてこのアレサのクリスマスアルバムというものが、
昨年初めて出たのは、意外な気もします。
最後にひとつ、長年、なんとなく思っていることを。
アレサ・フランクリンがこんなにも親しみを感じるのは、
その名前、苗字のせいではないかな、と。
フランクリン、ですからね。
「フランクに話す」、そのフランクでもありますが、
もっと、フランク、ときて連想するのは・・・
・・・フランクフルト・ソーセージ・・・
・・・パワーありそう・・・
失礼いたしましたぁ(笑)。
Posted by guitarbird at 22:15
│ソウル