2014年11月20日
BENT OUT OF SHAPE レインボー
いつものように
写真へのコメントも
大歓迎です
今日は先に写真のことを説明すると、
今朝起きて、札幌は一面の雪の世界に様変わりしていて、
その様子を何枚か撮影したのですが、
ただそのダイジェストだけで記事を上げるのではなく、
かねてから、雪が降ってから上げようと思っていた音楽記事に
雪景色の写真を練り込んでみた、というしだいです。
01 ただしこの写真だけ撮影はひと月ほど前、ペンタックスにて

BENT OUT OF SHAPE Rainbow
ストリート・オブ・ドリームス レインボー released in 1983
以前、りるっちさんの虹の記事において
自分は紫時代より虹時代のほうが好きですね。
確かに自分の名前を入れておられました(笑)。
Posted by GBKT at 2008年07月29日 17:19
>虹時代のほうが
えーーっ?!そうなのですか?
んーなんかぎたばさんがよいというと
よさそげだから、聞いてみようかなぁ。
Posted by りるっち at 2008年07月29日 19:28
あ、では、煽るつもりではないですが(笑)、
近々、虹のアルバム記事を上げます。
Posted by GBKT at 2008年07月29日 21:10
>あ、では
楽しみにお待ちしております♪
Posted by りるっち at 2008年07月29日 21:28
というやりとりをしていましたが、
それからもう4か月近くが経っているんですね。
でも、決して忘れていたわけではなく、
その時にすぐにこの記事を上げることを決めていたのですが、
これを上げる時期を待っていたというのが真相です。
その理由は、曲紹介のほうで話します。
02 庭のミズナラも葉の残りが僅か・・・

リッチー・ブラックモアはおそらく、
ハードロック/ヘヴィメタル界では最も偉大な人でしょうね。
ただ、そのことを話してゆくと記事が10個あっても足りないし、
100個書ける人も世の中にはたくさんいらっしゃるでしょうから、
ここでは、僕がそう思っている、ということだけお伝えします。
リッチー・ブラックモアは、もちろんすべて好きな方も多いですが、
ディープ・パープル時代とレインボー時代、
どちらが好きかでも割と分かれるのではないかと思います。
僕はレインボー派です。
パープルが嫌いなわけではなく、もちろん全アルバム聴いてますが、
思い入れというか、それはレインボーのほうがはるかに上です。
どうしてかなと考えると、これはあくまでも僕個人の感じ方ですが、
レインボーのほうが「歌」として親しみやすいから、です。
パープルの曲は「まず演奏がありそして歌がある」一方で、
レインボーは「歌と演奏が対等に近い位置にある」、そんな感じ。
「歌」が好きな僕は、だからレインボーのほうによりひかれるし、
実際、レインボーの曲はよく口ずさんでいます。
繰り返しですが、これはあくまでも僕が感じることです。
レインボーはさらに、ヴォーカルによる好みの違いもあるようです。
スタジオアルバム1から3枚目がロニー・ジェイムス・ディオ、
4枚目がグラハム・ボネット、5から7枚目がジョー・リン・ターナー。
でもやっぱり、正統派で、メタル界ではいちばん巧いと言われている
ディオがいちばん人気があるのかな、そうだろうなぁ。
ただ、ジョーリンは当時はアイドル的な人気もあったようで、
同じバンドだけど毛色が違うのは興味深いところです。
僕はジョーリンの時代のほうが好きですが、しかしこれは、
その時代のほうが僕が好きな「歌」が多いためであって、
必ずしもヴォーカリストとしてどうかという問題だけではありません。
しかし、歌メロを作るのはヴォーカリストの仕事の場合も多いので、
やっぱりヴォーカリストとしてもジョーリンのほうが好きなのかな。
ジョーリンは確かにカッコいいけど、映像で見る服のセンスに
少々、多少、難があるような気が・・・(笑)。
03 ポーラが尻尾を振っている

このアルバムの話をしましょう。
僕は最初、弟に、とにかくいいからといって「聴かされ」ました。
当時、パープルは聴いていましたが、
レインボーはまったく聴いていませんでした。
正直言います。
最初に聴いた時に、これほどの「拒否反応」を示したアルバムは、
それまでも、そしてそれからもなかったかもしれません。
とにかく、「なんだろう、これは・・・」と、戸惑いました。
あまりにも「もの暗い」雰囲気だったからであり、しかも、
一聴して、すべての曲がそんな雰囲気に支配されていて、
そこに戸惑った、そしてそれ以上の反応を示したのでしょう。
大袈裟に言えば、「どうにも逃れられない悩みを抱えてしまった」
そんな心境に陥ったのです。
でも、普通なら、それでまったく聴かなくなるものかもしれませんが、
しかしレインボーは、弟に強力にすすめられていたので、
それからも、「嫌だな」と思いながらも何度か聴きました。
「嫌だな」と思いながらも聴くというのも、普通は違うかもしれません。
僕は、ロックを少し「求道的」に捉えすぎているのかもしれません。
しかし僕は、ロックに関しては、
人が良いというものが自分は良くないと感じるのはなぜか、
それがどうして(そんなに)良いと言われているのか、
それをどうしても突き止めたい
という人間なので、「嫌」でも聴くことは結構あります。
それは自分の「感情」には正直ではないかもしれないですが、
悲しいかな、僕は、そういう人間なのです・・・(笑)。
そして補足、僕が今は「大好き」と言っているアルバムは
ほんとうに100%そう思っていて、それに偽りはありません。
でも、その中にも、かつてあまり好きではなかったアルバムは数多あり、
そういう聴き方をしてきたからこそ、もちろんすべてではないけど、
より多くの良いアルバムに出会えたのであって、だからそれでよかった、
と僕自身は思っています。
あくまでも、個人の聴き方の問題だと思ってください。
04 車も雪にくるまれて・・・

さて、このアルバムは、聴いてゆくうちに、
その「もの暗い」部分が良いと感じるようになったんです。
僕は、気持の振れ幅も大きい人間なのかもしれません(笑)。
この寂寥感、このどうしようもないくらいなロマンティックさ、
ナイーヴでメランコリックな世界。
このアルバムの音世界は、そこに凝縮されています。
そして、このアルバムについては、
それ以上はあまり書くことが思い浮かびません。
思い浮かばないのは、じゃあ良くないんじゃないか、
と思われるかもしれないですが、僕には時として、
曲でもアルバムでも、大好きなのにそういうことがままあります。
レインボーやリッチー・ブラックモアが、
ハードロック或いはヘヴィメタルという枠で語られる音楽である
というイメージで聴くと、これはかなり違います。
そして僕自身も、もっと強い、もっと(いい意味で)荒い音楽を期待し、
それとは違ったので、拒否反応を起こしただけなのでしょう。
実際、僕は弟の影響でHR/HM系も結構聴いていますが、
こんな独特の「音世界」を持つHR/HM系のアルバム、
他には思いつきません。
レインボー自身でも、曲や演奏の「感じ」は似ていても、
「音世界」に関しては、このアルバムだけ違います。
そして、僕がこれまで聴いてきた全ロックのアルバムでも、
これだけ独特の「音世界」を持ったアルバムは、
そうざらにはないでしょう。
音楽的な面で、リッチー以外で特筆すべきは、
キーボードのデイヴ・ローゼンタールの繰り出す音、
こんなにも情緒豊かで雰囲気を持ったキーボードはない、
と言えるくらいの素晴らしい仕事をしています。
05 アイーダは前に進むのを躊躇する・・・

Tr1:Stranded
ドキュメンタリー番組のテーマ曲のような緊張感あるギターでスタート。
このアルバムは最初の数秒で全体が見えるタイプで、
この世界がそのまま展開されてゆくことを予感させますね。
サビの部分の歌メロをサポートするギターフレーズが秀逸で、
巧いギタリストってやっぱり、ソロだけではなく、
バッキングのプレイも巧いということを再認識します。
Tr2:Can't Let You Go
レインボー後期の名曲、名バラード。
ジョーリンの歌心がよく伝わってきます。
自分で歌っていてもいい歌だなと思いますし(笑)。
レインボーには、哀愁系というか、
昭和の歌謡曲っぽい曲が結構ありますが、
これなんかその代表例のひとつでしょうね。
日本で大いに受け理由のひとつも、それだと思います。
なお、この曲のビデオクリップを後に見たのですが、
ジョーリンが吸血鬼になって夜を徘徊するという物語仕立てで、
彼らもそんなことやってたんだ、と、MTV時代を感じましたね(笑)。
Tr3:Fool For The Night
ハードだけどロマンティックな曲の代表。
サビの前の部分の、やはり歌メロをサポートするギターが
ロマンティックな雰囲気を盛り上げています。
歌メロもいいし、歌い方もいいし、言うことないですね。
Tr4:Fire Dance
軽快な曲調にほの暗い歌メロ、メランコリックな狂おしい曲。
タイトルのイメージ通り、そしてさらに想像を掻き立てる。
もうこの世界に足を踏み入れたら抜け出せない・・・
やっぱり、ジョーリンの声だから出来た音世界でしょうね。
Tr5:Anybody There
このアルバム、LPでいうA面B面に1曲ずつ
インストゥルメンタル曲が入っていますが、これはその1曲目。
といいつつ、ヴォーカルがなくても同じ音世界だなぁ(笑)。
ゆったりとしていて、つなぎ以上に聴きどころがある曲。
06 雪が降るとおなじみ「ナナカマドの綿帽子」

Tr6:Desperate Heart
リッチーは後年、トラッド路線に進んで良い作品を残しますが、
後から振り返ると、その下地がよく見える曲。
トラッド風の軽やかなアコースティックギターのイントロで始まり、
ジョーリンの声がぐいぐいと引っ張り、キーボードがタイミングよく入り、
それを手堅くまとめている。
トラッドとロックがかなり高次元で融合した、隠れた名曲だと思います。
Tr7:Street Of Dreams
もう1曲の後期の名曲、名バラード。
このアルバムの邦題は、この曲名になっているくらいですから。
Tr2と同じといえば同じような雰囲気で、正直いえば、
最初の頃はどっちがどっちか分からなかったんですが(笑)、
名曲が2曲も入っていることからも、充実ぶりがうかがえます。
ちなみに、どっちが好きかでよく弟ともめます(笑)。
ロマンティックな曲ですが、やり過ぎていないのがまた味があります。
この曲のビデオクリップは、若い男性が主人公で、
姿を消してしまった彼女が夢の中で呼んでいるというものですが、
最後にちょっとしたオチがあって彼女が救わるという、
やはり物語仕立てになっています。
Tr8:Drinking With The Devil
うんうん、確かに悪酔いしてる(笑)。
アルバムではいちばん素軽いロックンロール。
でもやっぱり、どこか陰りと湿り気と重さが。
カッコいい曲ではあります。
Tr9:Snowman
この曲があるので、このアルバムは冬に紹介したいと思いました。
これはインストの2曲目、確かにほの暗さはあるんだけど、
ほのぼのとした、雪なのに暖かいイメージの曲。
僕は最初にこれを聴いた時、
へえ、リッチーってこんなことも出来るんだ、と、いたく感激し、
それまでよりも3段階くらいリッチーへの敬意が増しました。
インスト2曲も充実していますし、だからキーボードが重要でもあります。
これからの時期にはぐっとくる曲ですね。
Tr10:Make Your Move
ラストもほの暗いながらも素軽いロックンロールで、Tr8と似た曲。
リッチーのアルバムには、よい意味で気が抜けた
素軽くポップなロックンロール系の曲が意外と多いのですが、
このアルバムの場合は、この2曲の意味も大きいのではないかと。
前にも書きましたが、こういう言い方もなんですが、この曲はまあ、
好きな人には申し訳ないですが、それほど好きではありません。
でも、アルバムのすべてが名曲だとかえって疲れてしまいますし、
流れの中にメリハリがあるからこそアルバムとして聴けるのであって、
だからこうした曲は、それはそれで存在意義はあると僕は考えます。
このアルバムについては、このラストがあまりにもあっさりしているので、
逆にすぐにまた聴きたくもなりますし(笑)。
※CDのジャケット写真

BENT OUT OF SHAPE レインボー リンクはこちら
Amazonのこの商品・国内通常盤のリンクにはなぜか写真がないので、
今回、写真だけはうちにある同内容の輸入盤のものを使いました。
なお、この写真と01の写真では
ジャケットのアートワークが微妙に違いますが、
01のものは、最近出たSHM-CD盤です、ご了承ください。
このアルバムのジャケットは素晴らしいですね。
僕が好きなジャケット上位50枚に余裕で入ると思います。
さて、このアルバムをこのタイミングで紹介した理由が
もうひとつあるんです。
ビリー・ジョエル東京公演が終わったばかりですが、
そのコンサートに参加していたミュージシャンのうち、
キーボードのデイヴ・ローゼンタールと
ドラムスのチャック・バーギの2人が、
この時点でのレインボーのメンバーであり、
もちろんこのアルバムにも参加しているからです。
この2人は前回の日本ツアーで、僕が札幌ドームで観た時にも
参加していたので、ビリーにも重要なメンバーということですね。
なお余談、ここでの2人の苗字のカタカナ表記は、
日本での一般的なものにならいましたが、
ビリーは、「ローゼンタール」Rosenthalを「ローゼンソル」、
「バーギ」Burgiを「バージ」を発音していました。
こう書くと、ビリーと近いものがあるのかな、
そういえばビリーのハードな面の曲に近い感じがするかも・・・
と思うかどうかは、聴く方次第です、念のため(笑)。
しかし、僕がこのアルバムをより大好きになった理由は
お分かりになるかと思います(笑)。
音楽は、それ自身のみならず、それを取り巻く事実、
例えば友達が好きだからといった付加価値があるのも、
また楽しい部分ですよね。
07 ハウと雪の上の落ち葉、まるで「立ち会い」・・・

雪の季節が始まりました。
写真へのコメントも
大歓迎です
今日は先に写真のことを説明すると、
今朝起きて、札幌は一面の雪の世界に様変わりしていて、
その様子を何枚か撮影したのですが、
ただそのダイジェストだけで記事を上げるのではなく、
かねてから、雪が降ってから上げようと思っていた音楽記事に
雪景色の写真を練り込んでみた、というしだいです。
01 ただしこの写真だけ撮影はひと月ほど前、ペンタックスにて

BENT OUT OF SHAPE Rainbow
ストリート・オブ・ドリームス レインボー released in 1983
以前、りるっちさんの虹の記事において
自分は紫時代より虹時代のほうが好きですね。
確かに自分の名前を入れておられました(笑)。
Posted by GBKT at 2008年07月29日 17:19
>虹時代のほうが
えーーっ?!そうなのですか?
んーなんかぎたばさんがよいというと
よさそげだから、聞いてみようかなぁ。
Posted by りるっち at 2008年07月29日 19:28
あ、では、煽るつもりではないですが(笑)、
近々、虹のアルバム記事を上げます。
Posted by GBKT at 2008年07月29日 21:10
>あ、では
楽しみにお待ちしております♪
Posted by りるっち at 2008年07月29日 21:28
というやりとりをしていましたが、
それからもう4か月近くが経っているんですね。
でも、決して忘れていたわけではなく、
その時にすぐにこの記事を上げることを決めていたのですが、
これを上げる時期を待っていたというのが真相です。
その理由は、曲紹介のほうで話します。
02 庭のミズナラも葉の残りが僅か・・・

リッチー・ブラックモアはおそらく、
ハードロック/ヘヴィメタル界では最も偉大な人でしょうね。
ただ、そのことを話してゆくと記事が10個あっても足りないし、
100個書ける人も世の中にはたくさんいらっしゃるでしょうから、
ここでは、僕がそう思っている、ということだけお伝えします。
リッチー・ブラックモアは、もちろんすべて好きな方も多いですが、
ディープ・パープル時代とレインボー時代、
どちらが好きかでも割と分かれるのではないかと思います。
僕はレインボー派です。
パープルが嫌いなわけではなく、もちろん全アルバム聴いてますが、
思い入れというか、それはレインボーのほうがはるかに上です。
どうしてかなと考えると、これはあくまでも僕個人の感じ方ですが、
レインボーのほうが「歌」として親しみやすいから、です。
パープルの曲は「まず演奏がありそして歌がある」一方で、
レインボーは「歌と演奏が対等に近い位置にある」、そんな感じ。
「歌」が好きな僕は、だからレインボーのほうによりひかれるし、
実際、レインボーの曲はよく口ずさんでいます。
繰り返しですが、これはあくまでも僕が感じることです。
レインボーはさらに、ヴォーカルによる好みの違いもあるようです。
スタジオアルバム1から3枚目がロニー・ジェイムス・ディオ、
4枚目がグラハム・ボネット、5から7枚目がジョー・リン・ターナー。
でもやっぱり、正統派で、メタル界ではいちばん巧いと言われている
ディオがいちばん人気があるのかな、そうだろうなぁ。
ただ、ジョーリンは当時はアイドル的な人気もあったようで、
同じバンドだけど毛色が違うのは興味深いところです。
僕はジョーリンの時代のほうが好きですが、しかしこれは、
その時代のほうが僕が好きな「歌」が多いためであって、
必ずしもヴォーカリストとしてどうかという問題だけではありません。
しかし、歌メロを作るのはヴォーカリストの仕事の場合も多いので、
やっぱりヴォーカリストとしてもジョーリンのほうが好きなのかな。
ジョーリンは確かにカッコいいけど、映像で見る服のセンスに
少々、多少、難があるような気が・・・(笑)。
03 ポーラが尻尾を振っている

このアルバムの話をしましょう。
僕は最初、弟に、とにかくいいからといって「聴かされ」ました。
当時、パープルは聴いていましたが、
レインボーはまったく聴いていませんでした。
正直言います。
最初に聴いた時に、これほどの「拒否反応」を示したアルバムは、
それまでも、そしてそれからもなかったかもしれません。
とにかく、「なんだろう、これは・・・」と、戸惑いました。
あまりにも「もの暗い」雰囲気だったからであり、しかも、
一聴して、すべての曲がそんな雰囲気に支配されていて、
そこに戸惑った、そしてそれ以上の反応を示したのでしょう。
大袈裟に言えば、「どうにも逃れられない悩みを抱えてしまった」
そんな心境に陥ったのです。
でも、普通なら、それでまったく聴かなくなるものかもしれませんが、
しかしレインボーは、弟に強力にすすめられていたので、
それからも、「嫌だな」と思いながらも何度か聴きました。
「嫌だな」と思いながらも聴くというのも、普通は違うかもしれません。
僕は、ロックを少し「求道的」に捉えすぎているのかもしれません。
しかし僕は、ロックに関しては、
人が良いというものが自分は良くないと感じるのはなぜか、
それがどうして(そんなに)良いと言われているのか、
それをどうしても突き止めたい
という人間なので、「嫌」でも聴くことは結構あります。
それは自分の「感情」には正直ではないかもしれないですが、
悲しいかな、僕は、そういう人間なのです・・・(笑)。
そして補足、僕が今は「大好き」と言っているアルバムは
ほんとうに100%そう思っていて、それに偽りはありません。
でも、その中にも、かつてあまり好きではなかったアルバムは数多あり、
そういう聴き方をしてきたからこそ、もちろんすべてではないけど、
より多くの良いアルバムに出会えたのであって、だからそれでよかった、
と僕自身は思っています。
あくまでも、個人の聴き方の問題だと思ってください。
04 車も雪にくるまれて・・・

さて、このアルバムは、聴いてゆくうちに、
その「もの暗い」部分が良いと感じるようになったんです。
僕は、気持の振れ幅も大きい人間なのかもしれません(笑)。
この寂寥感、このどうしようもないくらいなロマンティックさ、
ナイーヴでメランコリックな世界。
このアルバムの音世界は、そこに凝縮されています。
そして、このアルバムについては、
それ以上はあまり書くことが思い浮かびません。
思い浮かばないのは、じゃあ良くないんじゃないか、
と思われるかもしれないですが、僕には時として、
曲でもアルバムでも、大好きなのにそういうことがままあります。
レインボーやリッチー・ブラックモアが、
ハードロック或いはヘヴィメタルという枠で語られる音楽である
というイメージで聴くと、これはかなり違います。
そして僕自身も、もっと強い、もっと(いい意味で)荒い音楽を期待し、
それとは違ったので、拒否反応を起こしただけなのでしょう。
実際、僕は弟の影響でHR/HM系も結構聴いていますが、
こんな独特の「音世界」を持つHR/HM系のアルバム、
他には思いつきません。
レインボー自身でも、曲や演奏の「感じ」は似ていても、
「音世界」に関しては、このアルバムだけ違います。
そして、僕がこれまで聴いてきた全ロックのアルバムでも、
これだけ独特の「音世界」を持ったアルバムは、
そうざらにはないでしょう。
音楽的な面で、リッチー以外で特筆すべきは、
キーボードのデイヴ・ローゼンタールの繰り出す音、
こんなにも情緒豊かで雰囲気を持ったキーボードはない、
と言えるくらいの素晴らしい仕事をしています。
05 アイーダは前に進むのを躊躇する・・・

Tr1:Stranded
ドキュメンタリー番組のテーマ曲のような緊張感あるギターでスタート。
このアルバムは最初の数秒で全体が見えるタイプで、
この世界がそのまま展開されてゆくことを予感させますね。
サビの部分の歌メロをサポートするギターフレーズが秀逸で、
巧いギタリストってやっぱり、ソロだけではなく、
バッキングのプレイも巧いということを再認識します。
Tr2:Can't Let You Go
レインボー後期の名曲、名バラード。
ジョーリンの歌心がよく伝わってきます。
自分で歌っていてもいい歌だなと思いますし(笑)。
レインボーには、哀愁系というか、
昭和の歌謡曲っぽい曲が結構ありますが、
これなんかその代表例のひとつでしょうね。
日本で大いに受け理由のひとつも、それだと思います。
なお、この曲のビデオクリップを後に見たのですが、
ジョーリンが吸血鬼になって夜を徘徊するという物語仕立てで、
彼らもそんなことやってたんだ、と、MTV時代を感じましたね(笑)。
Tr3:Fool For The Night
ハードだけどロマンティックな曲の代表。
サビの前の部分の、やはり歌メロをサポートするギターが
ロマンティックな雰囲気を盛り上げています。
歌メロもいいし、歌い方もいいし、言うことないですね。
Tr4:Fire Dance
軽快な曲調にほの暗い歌メロ、メランコリックな狂おしい曲。
タイトルのイメージ通り、そしてさらに想像を掻き立てる。
もうこの世界に足を踏み入れたら抜け出せない・・・
やっぱり、ジョーリンの声だから出来た音世界でしょうね。
Tr5:Anybody There
このアルバム、LPでいうA面B面に1曲ずつ
インストゥルメンタル曲が入っていますが、これはその1曲目。
といいつつ、ヴォーカルがなくても同じ音世界だなぁ(笑)。
ゆったりとしていて、つなぎ以上に聴きどころがある曲。
06 雪が降るとおなじみ「ナナカマドの綿帽子」

Tr6:Desperate Heart
リッチーは後年、トラッド路線に進んで良い作品を残しますが、
後から振り返ると、その下地がよく見える曲。
トラッド風の軽やかなアコースティックギターのイントロで始まり、
ジョーリンの声がぐいぐいと引っ張り、キーボードがタイミングよく入り、
それを手堅くまとめている。
トラッドとロックがかなり高次元で融合した、隠れた名曲だと思います。
Tr7:Street Of Dreams
もう1曲の後期の名曲、名バラード。
このアルバムの邦題は、この曲名になっているくらいですから。
Tr2と同じといえば同じような雰囲気で、正直いえば、
最初の頃はどっちがどっちか分からなかったんですが(笑)、
名曲が2曲も入っていることからも、充実ぶりがうかがえます。
ちなみに、どっちが好きかでよく弟ともめます(笑)。
ロマンティックな曲ですが、やり過ぎていないのがまた味があります。
この曲のビデオクリップは、若い男性が主人公で、
姿を消してしまった彼女が夢の中で呼んでいるというものですが、
最後にちょっとしたオチがあって彼女が救わるという、
やはり物語仕立てになっています。
Tr8:Drinking With The Devil
うんうん、確かに悪酔いしてる(笑)。
アルバムではいちばん素軽いロックンロール。
でもやっぱり、どこか陰りと湿り気と重さが。
カッコいい曲ではあります。
Tr9:Snowman
この曲があるので、このアルバムは冬に紹介したいと思いました。
これはインストの2曲目、確かにほの暗さはあるんだけど、
ほのぼのとした、雪なのに暖かいイメージの曲。
僕は最初にこれを聴いた時、
へえ、リッチーってこんなことも出来るんだ、と、いたく感激し、
それまでよりも3段階くらいリッチーへの敬意が増しました。
インスト2曲も充実していますし、だからキーボードが重要でもあります。
これからの時期にはぐっとくる曲ですね。
Tr10:Make Your Move
ラストもほの暗いながらも素軽いロックンロールで、Tr8と似た曲。
リッチーのアルバムには、よい意味で気が抜けた
素軽くポップなロックンロール系の曲が意外と多いのですが、
このアルバムの場合は、この2曲の意味も大きいのではないかと。
前にも書きましたが、こういう言い方もなんですが、この曲はまあ、
好きな人には申し訳ないですが、それほど好きではありません。
でも、アルバムのすべてが名曲だとかえって疲れてしまいますし、
流れの中にメリハリがあるからこそアルバムとして聴けるのであって、
だからこうした曲は、それはそれで存在意義はあると僕は考えます。
このアルバムについては、このラストがあまりにもあっさりしているので、
逆にすぐにまた聴きたくもなりますし(笑)。
※CDのジャケット写真

BENT OUT OF SHAPE レインボー リンクはこちら
Amazonのこの商品・国内通常盤のリンクにはなぜか写真がないので、
今回、写真だけはうちにある同内容の輸入盤のものを使いました。
なお、この写真と01の写真では
ジャケットのアートワークが微妙に違いますが、
01のものは、最近出たSHM-CD盤です、ご了承ください。
このアルバムのジャケットは素晴らしいですね。
僕が好きなジャケット上位50枚に余裕で入ると思います。
さて、このアルバムをこのタイミングで紹介した理由が
もうひとつあるんです。
ビリー・ジョエル東京公演が終わったばかりですが、
そのコンサートに参加していたミュージシャンのうち、
キーボードのデイヴ・ローゼンタールと
ドラムスのチャック・バーギの2人が、
この時点でのレインボーのメンバーであり、
もちろんこのアルバムにも参加しているからです。
この2人は前回の日本ツアーで、僕が札幌ドームで観た時にも
参加していたので、ビリーにも重要なメンバーということですね。
なお余談、ここでの2人の苗字のカタカナ表記は、
日本での一般的なものにならいましたが、
ビリーは、「ローゼンタール」Rosenthalを「ローゼンソル」、
「バーギ」Burgiを「バージ」を発音していました。
こう書くと、ビリーと近いものがあるのかな、
そういえばビリーのハードな面の曲に近い感じがするかも・・・
と思うかどうかは、聴く方次第です、念のため(笑)。
しかし、僕がこのアルバムをより大好きになった理由は
お分かりになるかと思います(笑)。
音楽は、それ自身のみならず、それを取り巻く事実、
例えば友達が好きだからといった付加価値があるのも、
また楽しい部分ですよね。
07 ハウと雪の上の落ち葉、まるで「立ち会い」・・・

雪の季節が始まりました。
Posted by guitarbird at 21:29
│ロックQ-Z