2016年03月31日
今月の読書2016年3月号
01

月末、読書の記事です。
今月は4冊。
併読が多く、読了に至った本が意外と少なかった。
では早速。
☆1冊目
動物行動の観察入門
マリアン・S・ドーキンス/黒沢玲子(訳)
新揚社
今月の1冊目はやや専門書的な本。
動物の行動は実験では確かめられない。
実験ができないことは科学ではない。
故に動物行動学は科学としての価値が低い。
世間、そして一部の科学者の間にはそう思われる向きもあるけれど、
そんなことはない、という立場、そして科学であることを証明し、
より科学としての質を高めることを目的とした動物行動観察の
方法論を述べた本。
あくまでも考え方を説いていくもので、例として多くの動物の
行動科学に関する話は入っていますが、その事例の結果を
紹介していないものも多く、ゆえに動物の行動そのものに
興味があるのであれば、この本は少し違います。
ただ、僕も、意外と楽しみながら読み進められましたが、
それは、自分の観察に照らし合わせて考えることができたから。
僕の場合、科学というほどでは確かにないかもしれないけれど、
日々野鳥やその他動物を観察して考えることがあるわけで、
その行動の意味を考えること、そしてそれを実証するには
自分は何をしていけばいいのかの道筋が見えました。
それ以前に、観察により行動を解明してきた人々の、
なんと粘り強いことか、そこは見習っても僕には無理かも・・・
ひとつだけ面白い話を紹介すると、象は上り坂をなるべく
避けて行動し移動しているという報告事例。
象は大きいので、上り坂を登ると1日30分余計に餌を
食べなければ体がもたないのだという。
そうかやはり象は象で大変なのだとあらためて分かりました。
著者のマリアン・S・ドーキンスはあの「利己的な遺伝子」の
ドーキンス博士の元妻で、動物行動学の教授。
ところで、僕が気になったのがこの書名。
「動物行動の観察入門」て、語呂が悪くないですか?
僕はそう感じます。
「の」の前と後が8音ずつでリズムが悪いというか。
まあどうでもいいことですが、僕はそこが引っかかりました。
☆2冊目
あなたの俳句はなぜ佳作どまりなのか
辻桃子
新潮文庫
今月の俳句の本、初心に帰って再読。
ちょうど2年前、積読だった辻桃子のこの本を読み、
自分でも俳句をやってみようと(ようやく)思い立った。
俳句は作り続けてはいるけれど、今は自分なりに
方向性が見えなくなっていると感じている。
そこであらためて読んでみた、というわけ。
2年も経つとこの齢、だいぶ忘れていますね。
そもそも最初に頭に入っていなかっただけかもしれないけれど、
あれだけ印象が強かったのに、驚くほど忘れていた。
だから余計に勉強になった、といえば救われるかな。
ひとつ気づいたのは、「客観写生」の力。
僕も、「俳句は写真と同じなのか」と気づいて始めたのに、
いつしかそのことを忘れ、足りない頭で考えるようになってしまった。
僕の現状はそこだと気づかされました。
こういう本、この本に出会ってよかったとあらためて思いもしました。
この本は辻桃子さんが主宰する結社「童子」に投稿された句が
例句として挙げられていて、著名な俳人の句はない。
良い句はよいと書き、そうでない句は添削もしていて、
俳句を作ることの勉強になります。
その中で今回いちばん響いてきた俳句はこれ。
秋祭り面を売るひと強面(こはおもて) 冨井千枝子
そう、俳句はユーモアだというのも辻桃子さんの主張です。
ところで、この本のリンクをAmazonで探したところ、
文庫版は絶版扱いになっているようで、古本しかなかった。
逆に単行本の方が新刊がまだ流通しているのは、
やはり文庫では物足りないと辻桃子さんが考えたのかな。
断定はできないけれど、そうだとすれば気持ちは分かります。
あらためて単行本を買い直そうかとも思いました。
☆3冊目
007 カジノ・ロワイヤル
イアン・フレミング/井上一夫(訳)
創元推理文庫
先月紹介した丸谷才一『快楽としてのミステリー』において、
007やイアン・フレミングが何度も触れられていたのを受け、
ジェームス・ボンドもの第1作のこれを読んでみました。
実は僕、007映画はショーン・コネリーの最初2本しか観たことがなく、
ポールが歌う『死ぬのは奴らだ』すら観ていないのですが、
興味としては昔から持ち続けていて、ようやく読んだといった感じ。
ちなみに表題作『カジノ・ロワイヤル』は当初映画化の権利を
他のシリーズを制作したチームが買い取ることができなかったので、
シリーズとは別にジョン・ヒューストン監督で映画化されていましたが、
僕はその経緯を知らなかったのでここで説明され納得しました。
この本、読んでみてあまりに意外で少々驚きました。
アクションものではない。
爆発や拷問などアクション的な要素は多分にあるのですが、
映画のようにアクション自体を売り物にはしていない。
むしろ、ジェームス・ボンドなる人物がいかにしてスパイになったか、
その心の成長を追った物語であって、杉江松恋氏の解説では
「一般小説」的な色が濃いと書かれていました。
或いは、ボンドが、任務のカムフラージュのために本部から
派遣された女性に恋してしまう物語。
「ミステリ」か「一般小説」かというのは実は丸谷さんの件の本でも
執拗なほどに語られていた部分であり、本書の解説者も
丸谷さん同様にグレアム・グリーンを引き合いに出していて、
なるほど丸谷さんのこだわりはそこにあったのだと再認識しました。
また、丸谷さんが、ボンドがおいしそうに食事するシーンがあり、
池波正太郎はそこからヒントを得たのではないかと推察していた件、
確かにこの本にも食事のシーンは何度か出てきた他、ボンドが
新しいカクテルを考案したシーンもあって、なるほどと。
話自体は、読んでいる間から「アクションではないのか」という思いが
ずっと付きまとっていたのですが、それを抜きにすれば面白い。
読みながらショーン・コネリーをどうしても思い浮かべてしまうけれど、
それはボンドのキャラクターが頭の中に固定されて読み易い、
ということにもなるのでしょう。
シリーズ2作目以降はもっとアクション色が強いのか、
少なくともあと1冊は近いうちに読んでみたいと思いました。
☆4冊目
桜
勝木俊雄
岩波新書
今月はもう1冊再読、桜の本。
しかもちょうど1年前、刊行直後に読んだばかりの本。
昨年読んだ際には、書かれていることすべて覚えたいとの
意気込みで読んでいましたが、もちろんそんなわけはなく、
今回たった1年なのに「発見」が多々ありました。
ええ、わざわざ買う本だから再読するのが本来の姿だよな、
と自己弁護しながら読んでいました(笑)。
それにしてもあらためて、研究に基づく科学的側面と、
日本人がいかに桜が好きかという文化的側面を、
両方くんで読ませるこの本にあらためて感服しました。
今回は特に、北海道では見られない桜、オオシマザクラ、
ヤマザクラ、マメザクラ、エドヒガンへの興味が高まり、
特にエドヒガンの環境省に登録されている巨樹を見てみたい、
という思いを強くしました。
枝垂桜はエドヒガンの品種もしくは栽培品種であり、
福島県の有名な枝垂桜もエドヒガンであるとのことですが、
そういえば市内に枝垂桜が植えられている公園があるので、
今年はまずその花を見に行かなければと。
だけどやっぱりエドヒガンというのが栽培品種ではなく、
野生種としての名前というのは、まだなじめない・・・
逆にいえばいい名前が付けられた桜、といえるでしょう。
また、ソメイヨシノはクローンだから実がならないと言われているが、
そうではなく実がなるという話を読んで、A公園にも数本ある
ソメイヨシノにエゾヤマザクラ(オオヤマザクラ)の花粉を
受粉させたら実がなるのだろうか、実験してみたいとも思いました。
本州では今週末に桜の見頃を迎えるところが多いようですが、
あらためて、いつか、桜が満開になると分かった時に
東京に行ってもう一度満開の桜を見てみたいとも思いました。
そしてもちろんこちらの桜もあとひと月、楽しみです。
この本はこの先毎年のように、すべてではなくても部分的に
読み返すことになるでしょうけれど、こういう一生の付き合いになる
本との出会いもまた嬉しいものですね。
◇
guitarbirdの書架より。
☆
猫の鳥談義
四代目 江戸家猫八
文一総合出版
四代目江戸家猫八師匠が亡くなられたとの報に接しました。
享年66、進行性胃がんとのことで、大変残念です。
一昨年の10月にこの本を知り買って読んでいて、続編や
他の鳥に関する本を著されないのかと待っていたので、余計に。
この本を読んでから、鳥を見ていて猫八師匠を思い出すことが
増えましたが、これからはそれでもまた寂しい思いをするだろうなあ。
本州以南の大部分ではもうウグイスが鳴いていると思いますが、
こちらでは鴬が囀る前に亡くなられたということになります。
ご冥福をお祈りします。
☆
刑事コロンボ レインコートのすべて
マーク・ダヴィッドジアグ/岩井田雅行・あずまゆか(訳)
角川書店
「刑事コロンボ」が実は大好きで、2月からこちら
時間がある時にDVDで観直しています。
そこで10年以上前に買ったこの本を再び引っ張り出し、
観た話については読み返して理解を深めています。
犯人が最初に分かり刑事が謎を解いてゆく(例外あり)
「倒叙式」ミステリであるコロンボは、
最初の10分に集中して観るのがコツですね。
ここはお茶を飲むのも我慢してしっかりと観ないと、
最後にコロンボの推理の見事さが分からなくなる。
画面に集中するにはやっぱり吹き替え。
というより、小池朝雄さんの「話芸」を楽しむテレビ映画ですね。
コロンボは、オリジナルシリーズの45話は一度は観ていますが、
あらためて見るとこれは裁判で負けるのではないだろうか、
という危うい推理で犯人が自白したという話もあったり、
殺人を隠す方法が意外と単純だったりと、再発見が多々あり、
やっぱり面白いシリーズだなあと。
ただ、コロンボは前期は75分版、後期は90分版で制作
されましたが、この著者は90分版はおしなべて冗長だと
書いていて、実際に観てそんなに気になるのかなあと、
本に対してはそこだけちょっと同意しかねる部分ですね。
まあそれは置いて、本としても楽しめる1冊です。
◇
続いて「積読」を2冊。
☆
刑事コロンボ 完全捜査ブック
町田暁雄(監修)/えのころ公房(絵)
宝島社
先のコロンボの本はもう絶版なのですが、
他にコロンボの本がないかと探して買ったのがこの本。
昨年出たばかりの本ですが、知らなかった。
こちらはコロンボの好きな食べ物からロスの犯罪マップまで、
徹底的に分析しイラストで表したヴィジュアル本で、
石田太郎さん、田口計さんや銀河万丈さんなど吹き替えに
携わった俳優さんたちのインタビューも充実。
吹き替えは何話は誰という細かいデータも揃えています。
文章と少ない写真で綴る角川の本とは対照的。
ただ、僕が観ていない新シリーズにも及んでいるのですが、
それは逆にこれから観てゆこうと思いました。
☆
四季のうた ー微笑む宇宙
長谷川櫂
中公文庫
辻桃子さんの本を再読し、もっと俳句を読まなければと
思っていたところで書店の新刊平台で見つけ即購入。
俳句では先月ここで紹介した本が宣言通り読むことができず、
たまっているので、これは再来月かな。
さて、今日で3月も終わり。
年度替わりですね。
僕の場合、大晦日と元日よりも変わるものが大きいです。
春が来る、ということもあるし。
02


月末、読書の記事です。
今月は4冊。
併読が多く、読了に至った本が意外と少なかった。
では早速。
☆1冊目
動物行動の観察入門
マリアン・S・ドーキンス/黒沢玲子(訳)
新揚社
今月の1冊目はやや専門書的な本。
動物の行動は実験では確かめられない。
実験ができないことは科学ではない。
故に動物行動学は科学としての価値が低い。
世間、そして一部の科学者の間にはそう思われる向きもあるけれど、
そんなことはない、という立場、そして科学であることを証明し、
より科学としての質を高めることを目的とした動物行動観察の
方法論を述べた本。
あくまでも考え方を説いていくもので、例として多くの動物の
行動科学に関する話は入っていますが、その事例の結果を
紹介していないものも多く、ゆえに動物の行動そのものに
興味があるのであれば、この本は少し違います。
ただ、僕も、意外と楽しみながら読み進められましたが、
それは、自分の観察に照らし合わせて考えることができたから。
僕の場合、科学というほどでは確かにないかもしれないけれど、
日々野鳥やその他動物を観察して考えることがあるわけで、
その行動の意味を考えること、そしてそれを実証するには
自分は何をしていけばいいのかの道筋が見えました。
それ以前に、観察により行動を解明してきた人々の、
なんと粘り強いことか、そこは見習っても僕には無理かも・・・
ひとつだけ面白い話を紹介すると、象は上り坂をなるべく
避けて行動し移動しているという報告事例。
象は大きいので、上り坂を登ると1日30分余計に餌を
食べなければ体がもたないのだという。
そうかやはり象は象で大変なのだとあらためて分かりました。
著者のマリアン・S・ドーキンスはあの「利己的な遺伝子」の
ドーキンス博士の元妻で、動物行動学の教授。
ところで、僕が気になったのがこの書名。
「動物行動の観察入門」て、語呂が悪くないですか?
僕はそう感じます。
「の」の前と後が8音ずつでリズムが悪いというか。
まあどうでもいいことですが、僕はそこが引っかかりました。
☆2冊目
あなたの俳句はなぜ佳作どまりなのか
辻桃子
新潮文庫
今月の俳句の本、初心に帰って再読。
ちょうど2年前、積読だった辻桃子のこの本を読み、
自分でも俳句をやってみようと(ようやく)思い立った。
俳句は作り続けてはいるけれど、今は自分なりに
方向性が見えなくなっていると感じている。
そこであらためて読んでみた、というわけ。
2年も経つとこの齢、だいぶ忘れていますね。
そもそも最初に頭に入っていなかっただけかもしれないけれど、
あれだけ印象が強かったのに、驚くほど忘れていた。
だから余計に勉強になった、といえば救われるかな。
ひとつ気づいたのは、「客観写生」の力。
僕も、「俳句は写真と同じなのか」と気づいて始めたのに、
いつしかそのことを忘れ、足りない頭で考えるようになってしまった。
僕の現状はそこだと気づかされました。
こういう本、この本に出会ってよかったとあらためて思いもしました。
この本は辻桃子さんが主宰する結社「童子」に投稿された句が
例句として挙げられていて、著名な俳人の句はない。
良い句はよいと書き、そうでない句は添削もしていて、
俳句を作ることの勉強になります。
その中で今回いちばん響いてきた俳句はこれ。
秋祭り面を売るひと強面(こはおもて) 冨井千枝子
そう、俳句はユーモアだというのも辻桃子さんの主張です。
ところで、この本のリンクをAmazonで探したところ、
文庫版は絶版扱いになっているようで、古本しかなかった。
逆に単行本の方が新刊がまだ流通しているのは、
やはり文庫では物足りないと辻桃子さんが考えたのかな。
断定はできないけれど、そうだとすれば気持ちは分かります。
あらためて単行本を買い直そうかとも思いました。
☆3冊目
007 カジノ・ロワイヤル
イアン・フレミング/井上一夫(訳)
創元推理文庫
先月紹介した丸谷才一『快楽としてのミステリー』において、
007やイアン・フレミングが何度も触れられていたのを受け、
ジェームス・ボンドもの第1作のこれを読んでみました。
実は僕、007映画はショーン・コネリーの最初2本しか観たことがなく、
ポールが歌う『死ぬのは奴らだ』すら観ていないのですが、
興味としては昔から持ち続けていて、ようやく読んだといった感じ。
ちなみに表題作『カジノ・ロワイヤル』は当初映画化の権利を
他のシリーズを制作したチームが買い取ることができなかったので、
シリーズとは別にジョン・ヒューストン監督で映画化されていましたが、
僕はその経緯を知らなかったのでここで説明され納得しました。
この本、読んでみてあまりに意外で少々驚きました。
アクションものではない。
爆発や拷問などアクション的な要素は多分にあるのですが、
映画のようにアクション自体を売り物にはしていない。
むしろ、ジェームス・ボンドなる人物がいかにしてスパイになったか、
その心の成長を追った物語であって、杉江松恋氏の解説では
「一般小説」的な色が濃いと書かれていました。
或いは、ボンドが、任務のカムフラージュのために本部から
派遣された女性に恋してしまう物語。
「ミステリ」か「一般小説」かというのは実は丸谷さんの件の本でも
執拗なほどに語られていた部分であり、本書の解説者も
丸谷さん同様にグレアム・グリーンを引き合いに出していて、
なるほど丸谷さんのこだわりはそこにあったのだと再認識しました。
また、丸谷さんが、ボンドがおいしそうに食事するシーンがあり、
池波正太郎はそこからヒントを得たのではないかと推察していた件、
確かにこの本にも食事のシーンは何度か出てきた他、ボンドが
新しいカクテルを考案したシーンもあって、なるほどと。
話自体は、読んでいる間から「アクションではないのか」という思いが
ずっと付きまとっていたのですが、それを抜きにすれば面白い。
読みながらショーン・コネリーをどうしても思い浮かべてしまうけれど、
それはボンドのキャラクターが頭の中に固定されて読み易い、
ということにもなるのでしょう。
シリーズ2作目以降はもっとアクション色が強いのか、
少なくともあと1冊は近いうちに読んでみたいと思いました。
☆4冊目
桜
勝木俊雄
岩波新書
今月はもう1冊再読、桜の本。
しかもちょうど1年前、刊行直後に読んだばかりの本。
昨年読んだ際には、書かれていることすべて覚えたいとの
意気込みで読んでいましたが、もちろんそんなわけはなく、
今回たった1年なのに「発見」が多々ありました。
ええ、わざわざ買う本だから再読するのが本来の姿だよな、
と自己弁護しながら読んでいました(笑)。
それにしてもあらためて、研究に基づく科学的側面と、
日本人がいかに桜が好きかという文化的側面を、
両方くんで読ませるこの本にあらためて感服しました。
今回は特に、北海道では見られない桜、オオシマザクラ、
ヤマザクラ、マメザクラ、エドヒガンへの興味が高まり、
特にエドヒガンの環境省に登録されている巨樹を見てみたい、
という思いを強くしました。
枝垂桜はエドヒガンの品種もしくは栽培品種であり、
福島県の有名な枝垂桜もエドヒガンであるとのことですが、
そういえば市内に枝垂桜が植えられている公園があるので、
今年はまずその花を見に行かなければと。
だけどやっぱりエドヒガンというのが栽培品種ではなく、
野生種としての名前というのは、まだなじめない・・・
逆にいえばいい名前が付けられた桜、といえるでしょう。
また、ソメイヨシノはクローンだから実がならないと言われているが、
そうではなく実がなるという話を読んで、A公園にも数本ある
ソメイヨシノにエゾヤマザクラ(オオヤマザクラ)の花粉を
受粉させたら実がなるのだろうか、実験してみたいとも思いました。
本州では今週末に桜の見頃を迎えるところが多いようですが、
あらためて、いつか、桜が満開になると分かった時に
東京に行ってもう一度満開の桜を見てみたいとも思いました。
そしてもちろんこちらの桜もあとひと月、楽しみです。
この本はこの先毎年のように、すべてではなくても部分的に
読み返すことになるでしょうけれど、こういう一生の付き合いになる
本との出会いもまた嬉しいものですね。
◇
guitarbirdの書架より。
☆
猫の鳥談義
四代目 江戸家猫八
文一総合出版
四代目江戸家猫八師匠が亡くなられたとの報に接しました。
享年66、進行性胃がんとのことで、大変残念です。
一昨年の10月にこの本を知り買って読んでいて、続編や
他の鳥に関する本を著されないのかと待っていたので、余計に。
この本を読んでから、鳥を見ていて猫八師匠を思い出すことが
増えましたが、これからはそれでもまた寂しい思いをするだろうなあ。
本州以南の大部分ではもうウグイスが鳴いていると思いますが、
こちらでは鴬が囀る前に亡くなられたということになります。
ご冥福をお祈りします。
☆
刑事コロンボ レインコートのすべて
マーク・ダヴィッドジアグ/岩井田雅行・あずまゆか(訳)
角川書店
「刑事コロンボ」が実は大好きで、2月からこちら
時間がある時にDVDで観直しています。
そこで10年以上前に買ったこの本を再び引っ張り出し、
観た話については読み返して理解を深めています。
犯人が最初に分かり刑事が謎を解いてゆく(例外あり)
「倒叙式」ミステリであるコロンボは、
最初の10分に集中して観るのがコツですね。
ここはお茶を飲むのも我慢してしっかりと観ないと、
最後にコロンボの推理の見事さが分からなくなる。
画面に集中するにはやっぱり吹き替え。
というより、小池朝雄さんの「話芸」を楽しむテレビ映画ですね。
コロンボは、オリジナルシリーズの45話は一度は観ていますが、
あらためて見るとこれは裁判で負けるのではないだろうか、
という危うい推理で犯人が自白したという話もあったり、
殺人を隠す方法が意外と単純だったりと、再発見が多々あり、
やっぱり面白いシリーズだなあと。
ただ、コロンボは前期は75分版、後期は90分版で制作
されましたが、この著者は90分版はおしなべて冗長だと
書いていて、実際に観てそんなに気になるのかなあと、
本に対してはそこだけちょっと同意しかねる部分ですね。
まあそれは置いて、本としても楽しめる1冊です。
◇
続いて「積読」を2冊。
☆
刑事コロンボ 完全捜査ブック
町田暁雄(監修)/えのころ公房(絵)
宝島社
先のコロンボの本はもう絶版なのですが、
他にコロンボの本がないかと探して買ったのがこの本。
昨年出たばかりの本ですが、知らなかった。
こちらはコロンボの好きな食べ物からロスの犯罪マップまで、
徹底的に分析しイラストで表したヴィジュアル本で、
石田太郎さん、田口計さんや銀河万丈さんなど吹き替えに
携わった俳優さんたちのインタビューも充実。
吹き替えは何話は誰という細かいデータも揃えています。
文章と少ない写真で綴る角川の本とは対照的。
ただ、僕が観ていない新シリーズにも及んでいるのですが、
それは逆にこれから観てゆこうと思いました。
☆
四季のうた ー微笑む宇宙
長谷川櫂
中公文庫
辻桃子さんの本を再読し、もっと俳句を読まなければと
思っていたところで書店の新刊平台で見つけ即購入。
俳句では先月ここで紹介した本が宣言通り読むことができず、
たまっているので、これは再来月かな。
さて、今日で3月も終わり。
年度替わりですね。
僕の場合、大晦日と元日よりも変わるものが大きいです。
春が来る、ということもあるし。
02

Posted by guitarbird at 18:54
│本・書籍・雑誌
この記事へのコメント
こんばんは。
私も読みました。
「カジノ・ロワイヤル」。中学時代に。
水曜ロードショー(と、記憶しています)で
見て、あまりにコネリー作品と毛色が違う
ので驚きました。
雑誌で、本来お洒落なボンド・シリーズらしさが
コネリー版には皆無なので、
じゃあ我々が。
と言う経緯を読んで興味を持ちました。
確か、監督も4人ほどクレジットされていたと。
そして、何といってもあのテーマ音楽。
FMでエア・チェックして繰り返し聴きました。
ここが一番お洒落だったような気がします。
私も読みました。
「カジノ・ロワイヤル」。中学時代に。
水曜ロードショー(と、記憶しています)で
見て、あまりにコネリー作品と毛色が違う
ので驚きました。
雑誌で、本来お洒落なボンド・シリーズらしさが
コネリー版には皆無なので、
じゃあ我々が。
と言う経緯を読んで興味を持ちました。
確か、監督も4人ほどクレジットされていたと。
そして、何といってもあのテーマ音楽。
FMでエア・チェックして繰り返し聴きました。
ここが一番お洒落だったような気がします。
Posted by ミグの父 at 2016年03月31日 23:06
007と刑事コロンボの原作は、出来れば読んでみたいですね!
外国ミステリー作家にも興味があります。
今好んで読んでるのが堂場瞬一で、彼の100冊近い本は、外国ミステリーのにほひがしてて、誰が好きなのか気になります。
池波正太郎の真田太平記は、最終章10-12 いよいよ終わりですが、面白いです。
大阪四天王寺近くに、真田幸村の神社もあるのは、太田和彦氏の番組で知ってましたが次回かな?
あとは鬼平犯科帳を読む楽しみを残してます。
今日のニュースで、ポールのベストアルバムが六月に発売予定とか。楽しみですね(^^♪ギタバさん!
貴君は曲が多いほうを購入されるんでしょうが(笑)?
外国ミステリー作家にも興味があります。
今好んで読んでるのが堂場瞬一で、彼の100冊近い本は、外国ミステリーのにほひがしてて、誰が好きなのか気になります。
池波正太郎の真田太平記は、最終章10-12 いよいよ終わりですが、面白いです。
大阪四天王寺近くに、真田幸村の神社もあるのは、太田和彦氏の番組で知ってましたが次回かな?
あとは鬼平犯科帳を読む楽しみを残してます。
今日のニュースで、ポールのベストアルバムが六月に発売予定とか。楽しみですね(^^♪ギタバさん!
貴君は曲が多いほうを購入されるんでしょうが(笑)?
Posted by matsu at 2016年04月01日 12:51
ミグの父さん、こんにちわ
「カジノ・ロワイヤル」読まれたのですね。
私が買ったのは新版ですが、Amazonで探す時に
旧版のカヴァー写真も見ました。
「カジノ・ロワイヤル」実は観たことがないのです。
家にDVDがあるのでいつか観ようとずっと思っています。
そして「カジノ・ロワイヤル」はダイエル・クレイグでも
リメイクというか新たに撮られましたね。
昔は映画番組ありましたよね。
毎週チェックしていて、ビデオデッキをわが家で買ってからは
録画して観ることも増えました。
それらの番組に映画の楽しさを教わった気がします。
今回小説を読んで、ようやく少し007に近づけた気がしました。
「カジノ・ロワイヤル」読まれたのですね。
私が買ったのは新版ですが、Amazonで探す時に
旧版のカヴァー写真も見ました。
「カジノ・ロワイヤル」実は観たことがないのです。
家にDVDがあるのでいつか観ようとずっと思っています。
そして「カジノ・ロワイヤル」はダイエル・クレイグでも
リメイクというか新たに撮られましたね。
昔は映画番組ありましたよね。
毎週チェックしていて、ビデオデッキをわが家で買ってからは
録画して観ることも増えました。
それらの番組に映画の楽しさを教わった気がします。
今回小説を読んで、ようやく少し007に近づけた気がしました。
Posted by guitarbird
at 2016年04月01日 17:47

matsuさん、こんばんわ
あ、いや、コロンボはやっぱり吹き替えで観るのが私は好きですね。
本として読むと頭の中であの声に変換して読み進めるだろうから、
きっと疲れてしまいそうです(笑)。
堂場瞬一という人は知らないのですが、海外ミステリーの影響を
受けているのが分かる人なのですね。
海外ミステリーは以前ならハヤカワ文庫でガイド本的な本が
出ていて私もよく買っていたのですが、いつしか自分が読む
傾向が固まって来てそれ以外にはあまり興味がなくなりました。
だから私も2000年以降に人気になった人のは分かりません。
映画もそうですが、ううん、やっぱり私は今の基準でいえば
「古い」作品が好きであり、一度読んだ本や観た映画を
また観たいと思うことが増えたようです(笑)。
池波正太郎はいつか読みたいです。
ポールのベスト盤の話は知りませんでした。
情報ありがとうございます。
ポールは実は、あれほどの人なのに、レコード版権が
Universalに移ってからベスト盤が出ていないという
異様な状態が続いていたので、いつか出るとは予想していました。
あ、いや、コロンボはやっぱり吹き替えで観るのが私は好きですね。
本として読むと頭の中であの声に変換して読み進めるだろうから、
きっと疲れてしまいそうです(笑)。
堂場瞬一という人は知らないのですが、海外ミステリーの影響を
受けているのが分かる人なのですね。
海外ミステリーは以前ならハヤカワ文庫でガイド本的な本が
出ていて私もよく買っていたのですが、いつしか自分が読む
傾向が固まって来てそれ以外にはあまり興味がなくなりました。
だから私も2000年以降に人気になった人のは分かりません。
映画もそうですが、ううん、やっぱり私は今の基準でいえば
「古い」作品が好きであり、一度読んだ本や観た映画を
また観たいと思うことが増えたようです(笑)。
池波正太郎はいつか読みたいです。
ポールのベスト盤の話は知りませんでした。
情報ありがとうございます。
ポールは実は、あれほどの人なのに、レコード版権が
Universalに移ってからベスト盤が出ていないという
異様な状態が続いていたので、いつか出るとは予想していました。
Posted by guitarbird
at 2016年04月01日 17:53

こんにちは。毎回、楽しみにしている企画です。「桜」は私も読みました。刑事コロンボは懐かしいですね。ワイン好きの私は「別れのワイン」が好きでした。
Posted by 多摩NTの住人 at 2016年04月02日 18:22
こんにちは。毎回、楽しみにしている企画です。「桜」は私も読みました。刑事コロンボは懐かしいですね。ワイン好きの私は「別れのワイン」が好きでした。
Posted by 多摩NTの住人 at 2016年04月02日 18:23
多摩NTの住人さん、こんばんわ
コロンボ「別れのワイン」いいですよね。
先月DVDで観直しましたが、ラストシーンが好きです。
桜の本はまた来年も読みたくなると思います。
コロンボ「別れのワイン」いいですよね。
先月DVDで観直しましたが、ラストシーンが好きです。
桜の本はまた来年も読みたくなると思います。
Posted by guitarbird
at 2016年04月02日 19:49
