2014年03月25日
Starman デヴィッド・ボウイ
今日はアルバムではなく、1曲紹介。
最近気づいた、きわめて「BLOG的」な1曲を。
あるテレビ番組がきっかけで記事にしようと思っていたところ、
昨日、また別の出来事により、その思いを強くしたものです。
01

Starman David Bowie released in 1972
スターマン デヴィッド・ボウイ
from THE RISE AND FALL OF ZIGGY STARDUST
THE SPIDERS FROM MARS
アルバム『ジギー・スターダスト』収録、written by David Bowie
There's a Starman waiting in the sky
He'd like to come and meet us
But he think he'll blow our minds
◇
先週の金曜、3月20日の22時から、NHK総合で、
FM放送40年を記念した番組が放送されていました。
いつものように夜9時の「ニュースウォッチ」の後
チャンネルがそのままになっていたのですが、
始まったその番組が面白そうで、観ることにしました。
The Alfeeがゲスト、司会は小野文恵アナウンサー。
番組はその通り、FM放送の歴史と魅力を、音楽と映像と、
視聴者のおたよりを交えながら振り返ってゆくものでした。
今、NHKで調べると、正式な番組名は
プレミアム10 「FM40年記念番組 FMに愛を込めて」
ちなみにその帯番組はそれが最終回だったようです。
最初は、今はラジカセが見直されているという話題で、
スタジオに置かれていたラジカセが、僕が中高生時代に使っていた、
SONYのラジカセ「エナジー」、まさしくそれでした。
スピーカーの直径がLPレコードより少し小さいくらいの、
大型の、当時のSONYのラジカセの上級機種で、
両親に頼み込んで買ってもらったもの。
そのラジカセで僕は、LPをカセットテープに録音して聴いていて、
まさに今の僕の基礎を築いたものだっただけに、懐かしかった。
そのラジカセ、今はもう、うちにはないのです。
FM雑誌の紹介、これがまた懐かしい。
父が『FMファン』を購読していたので、僕が物心がついた頃から
それはうちにあり、休刊になるまで買い続けていました。
FMファンは当初はクラシックとジャズを聴く人向きでしたが、
僕が聴くようになった頃から洋楽の情報も増えていました。
何より、「ビルボード」誌のチャートが載っていたので、
やはり、僕の音楽観の礎となったのがFMファンでもありました。
そしてなんといっても、FMといえば「エアチェック」。
今となっては、言葉自体が懐かしい響きですが、実際、番組では、
その言葉は知らなかったけど、自分は今同じことをしています、
という二十歳の視聴者からのおたよりも紹介していました。
僕ももちろんエアチェックは、高2まではよくしていましたが、
直接オンエア時にカセットに録るのではなく、一度番組全体を
より音質が良い、父のオープンリールテープに録音して、
そこからカセットに落していました。
これだと出だしが欠けるということもなく、やり直しもできましたし、
何よりオープンリールにタイマーで録音することにより、
カセットに落す作業が時間を選ばなくなって便利でした。
オープンリールテープ・デッキもまた、懐かしいですね。
ただ、番組では、FM誌の番組表を切り取って、
カセットテープのケースに入れていた話も紹介していましたが、
僕はものぐさなので(笑)、それはしませんでした。
しかし、高2の時に、我が家では初めてビデオを、
SONYの、もちろんβのビデオデッキを購入し、
ほぼ同時にテレビ朝日系で土日深夜に「MTV」が始まったので、
既にあった「ベストヒットUSA」と合わせて
ビデオクリップを録画して観て音楽を聴くことが楽しくなり、
エアチェックに取って代わりました。
そのことを僕は「ビデオチェック」と呼んでいました(笑)。
それと僕は、聴きたかったら買うのが基本でもあったので、
エアチェックは割と早くに卒業していました。
ここまで太字で表したものだけでも、懐かしい言葉のオンパレード。
もう一度それらを羅列すると、
ラジカセ、カセットテープ、LP、FM誌、FMファン、
エアチェック、オープンリールテープ、βのビデオデッキ、
MTV番組、ベストヒットUSA
番組ではさらに、アルフィーの3人が
何曲かをスタジオライヴで演奏していて、自身の曲の他、洋楽では
サイモン&ガーファンクルのThe Boxerと、
クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングのTeach Your Children
を演奏していました。
前者は有名な曲ですが、後者について、僕は前々から、
この曲が「意外と知られている」ことが不思議でした。
しかし、番組での曲紹介で、この曲が
映画『小さな恋のメロディ』の挿入歌だったことを知って納得。
ビー・ジーズの有名なMelody FairとFirst Of Mayも
その映画で使われた曲ですね。
たまたま観たのですが、とってもよい番組でした。
実は、その番組の翌日は、朝6時に家を出て
苫前にオジロワシを見に行ったわけですが、
結局は最後まで観ていて、寝るのが遅くなりました・・・
余談、僕は大学時代、渋谷のタワーレコードの初代の店で、
アルフィーの坂崎幸之助さんを見かけたことがあります。
ほんとにテレビで見るまんまの人で驚きました(笑)。
◇
さて、番組のまとめをしてしまったところで、この先、
この話は、デヴィッド・ボウイにどうつながってゆくのか・・・
番組に戻ると、視聴者のこんなおたよりが紹介されていました。
「FMを聞いていて、自分が好きな曲がリクエストでかかると
自分と同じ気持ちで曲を聞いている人がいるんだなぁと思い、
さらにそれをかけてくれたDJの人とも一体感のようなものを得られ
それが好きでした」
知らない人どうしが、同じ時間に同じ体験をしていることによる
小さな感動、ということです。
そこで僕が思い浮かべたのが、
デヴィッド・ボウイのStarmanでした。
02 以前に洋書バーゲンで見つけたこのアルバムの楽譜

Starmanは、1970年代の名盤ZIGGY STARDUSTに収録。
これ、もちろんいつものように条件は付きますが(笑)、
僕が好きな1970年代のアルバム十指に間違いなく入ります。
いつか記事にするので、アルバムについてはここでは触れません。
曲は、
12弦も交えたアコースティックギターの軽やかなイントロで始まり、
Aの部分は弾き語り風にひとつの物語が語られ、
Bの部分ではエレクトリックギターが入って盛り上がります。
コーダの部分の「ら~ら~ら~らら~」というハミングが印象的。
フェイドアウト部分に遠慮がちに出てくるギターソロが、
短い割には情緒的に多くを物語っています。
全体的に明るい響きのミドルテンポの佳曲です。
先日、イーグルスのNew Kid In Townを記事にした際に、
その曲は1970年代でいちばん好きな曲と書きましたが、
この曲も、十指に入るくらい大好きで、思い入れが強い曲です。
では、どんなことを歌っているのか。
アルバムは、タイトルの通り、ボウイが自身を宇宙人になぞらえ、
宇宙から来たバンドが地球を征服するというSF仕立てですが、
それをダイジェストする曲のひとつ。
要約すると、こんな感じです。
私(10代少年か少女)はなかなか眠れなくて、
夜中にラジオを聞いていたら、突然ラジオの音が消えて、
別の何か変な音、宇宙の波のような音が聞こえてきた。
それは、スターマンが地球にやって来て空の上で待っていた音。
これを誰かに知らせなきゃと思って君に電話したんだ。
するとなんとびっくり、君もその音を聞いていたんだね!
スターマンは光を合図に地上に降りてくるんだって。
サビ(B)の部分では、スターマンは、自分が地上に降りると、
人々の心がぶっ飛んでしまうのではないかと懸念しているけど、
ロックンロールを聴いていれば大丈夫だ、とも歌っています。
ここでのスターマンは、さまざまな「誘惑の象徴」と解釈できます。
直接的には、「音楽の誘惑」。
誰もが聴いたことがない音楽で驚かせてやろう
というボウイの意気込みを表わし、もっと大きくみると、
ロックというものが世の中を席巻した様子も表わしているのでしょう。
さらにいえば、ボウイが若い頃にラジオで、
ビートルズやローリング・ストーンズやボブ・ディランを聴いて、
それこそ「ぶっ飛んだ」思い出も重ね合わせているのかもしれません。
もうひとつは、「思春期に親の目を逃れてすることの誘惑」。
思春期になって得られた「夜は自分の時間だ」という感覚。
夜に世界を広げてくれたものは、かつてはやはり、ラジオや音楽。
歌詞には大人の影がまるで見えず、曲も若々しさに溢れています。
まあそれは、クスリの比喩だととれなくもないのですが、
悪いことをする、というよりは、未知の体験をする楽しさ、
みたいなものをより強く感じる曲ではあります。
しかし、僕が、この曲でさらに感動したのが、
「人と人との一体感」でした。
それはまさに、先ほどのFMの番組のことで紹介した、
「どこかで誰かが同じことを思っている」という部分です。
夜の夜中に、どこかの誰かと同じ音を聴いていた感動。
その感動を誰かに伝えて、さらには共有したい。
この曲の場合は直接的に友達に電話をかけていますが、
でも、友達でもなければ、夜の夜中にひとりで何かを思っていても、
誰かとその思いを共有することは難しいでしょう。
電話をかけたというのは、現実のこととして提示しないと
話が広がらないからであり、だから実は、
電話をかけたというのも、空想上のことなのかもしれません。
まあそれはともかく、
人々の思いをつなぐものが、ラジオであり、DJであり、歌である。
そして、BLOGである。
◇
NHKの番組を観た翌日は遠出をしたことは話しました。
車の運転をするので、やっぱりどうしても6時間半は眠りたい。
5時過ぎに起きるとすれば、23時前には寝なければならない。
しかし、この番組を観ていて寝るのが遅くなり、さらには、
「遠足の前の子どもの心境」で、4時前には目が覚めてしまいました。
先に断っておきますが、幸いなことにその日、
途中で運転ができなくなるほど眠くはなりませんでした。
起きてすぐにナチュログを見たところ、
柴犬テツさんの記事が上がっているのを見つけて読みました。
すると、柴犬テツさんも、釣りに行けるのがうれしくて、
まるで子どものように早く起きてしまった、と書いておられました。
まったく同じですね!
うれしくなって私もすぐに書き込みをして、さらには
柴犬テツさんからもすぐに私のところに書き込みをいただき、
朝の4時から会話が成立していました(笑)。
Starmanの頃はもちろんインターネットなどあるはずもなく、
この歌詞のように仲がいい友達に電話でもかけない限りは、
同じことを思った人がいたとしても、それを確かめられないし、
ゆえに、見ず知らずの人と共感するなんてあり得なかった。
ラジオのリクエストは、そしてDJは、そんな時代には、
「人との一体感」を得られる貴重な場面だったのではないでしょうか。
だけど今は、ネットがあり、BLOGがある。
たまたま寝る前に観たテレビの番組で思っていた「一体感」が、
朝に目覚めると、まさに自分の身に、まったく同じことが起こっていた、
その楽しさ、うれしさ。
僕がこの曲を記事にしようと思ったのは、その時でした。
そしてさらに昨日はもうひとつ、大きな出来事が。
そうですもちろんWBC日本の優勝です。
昨日は、そのことを記事で上げておられるかたがたくさんいらして、
それぞれに書き込みをしてうれしさを共有していました。
僕はまた、BLOGがあることで、人の思いが見えやすくなり、
人と人がつながりやすくなった、そんな素晴らしさを思いました。
そして、この曲の歌詞の素晴らしさも再認識しました。
先見の明、とまではいいませんが、
そういう「散らばった」思いというものは確かにあること、そして
共感を得られるにはどうすればいいのだろうという思いが、
ボウイにこの曲を作らせたのかもしれません。
リンクは、左が、オリジナルアルバムの「ジギスタ」、
右が、近年出たベストアルバムの日本盤。
以前、コアなボウイのファンだという人の前で、
僕はこの曲がボウイではいちばん好きだと話したところ
この曲は向こうでは無視されていて、日本でしか人気がない曲だ
と、まるで嘲笑されるように言われたことがあります。
僕は、デヴィッド・ボウイは、ひと通りは聴いていて、
これを筆頭に大好きなアルバムも複数ありますが、
でも、大ファンというほどではありません。
しかし僕は、この曲が日本でしか人気がないということに、
別のあることとの奇妙な符号を感じています。
それは、
世界中のBLOGの3~4割が日本語で書かれているほど
日本人はBLOGが好きである、ということ。
だからこの曲はやっぱり、日本人の多くが持っている、
感動を他の人と共有したいという感覚には合うんだなぁ、と。
曲自体もやはり、ネガティヴな要素がまるでない、
元気づけられる明るく前向きな曲で、楽しい気分になれます。
僕はこれを、BLOGのテーマ曲としたい思いです(笑)。
最後に、この記事を書くきっかけを与えてくれた
柴犬テツさん、あらためて、ありがとうございます!
またどんどん大きな魚を釣ってください!
そしてあらためて、
WBC日本優勝おめでとう、ありがとう!
だけど、明日からはもう
レギュラーシーズンの態勢に入るんだな。
最近気づいた、きわめて「BLOG的」な1曲を。
あるテレビ番組がきっかけで記事にしようと思っていたところ、
昨日、また別の出来事により、その思いを強くしたものです。
01

Starman David Bowie released in 1972
スターマン デヴィッド・ボウイ
from THE RISE AND FALL OF ZIGGY STARDUST
THE SPIDERS FROM MARS
アルバム『ジギー・スターダスト』収録、written by David Bowie
There's a Starman waiting in the sky
He'd like to come and meet us
But he think he'll blow our minds
◇
先週の金曜、3月20日の22時から、NHK総合で、
FM放送40年を記念した番組が放送されていました。
いつものように夜9時の「ニュースウォッチ」の後
チャンネルがそのままになっていたのですが、
始まったその番組が面白そうで、観ることにしました。
The Alfeeがゲスト、司会は小野文恵アナウンサー。
番組はその通り、FM放送の歴史と魅力を、音楽と映像と、
視聴者のおたよりを交えながら振り返ってゆくものでした。
今、NHKで調べると、正式な番組名は
プレミアム10 「FM40年記念番組 FMに愛を込めて」
ちなみにその帯番組はそれが最終回だったようです。
最初は、今はラジカセが見直されているという話題で、
スタジオに置かれていたラジカセが、僕が中高生時代に使っていた、
SONYのラジカセ「エナジー」、まさしくそれでした。
スピーカーの直径がLPレコードより少し小さいくらいの、
大型の、当時のSONYのラジカセの上級機種で、
両親に頼み込んで買ってもらったもの。
そのラジカセで僕は、LPをカセットテープに録音して聴いていて、
まさに今の僕の基礎を築いたものだっただけに、懐かしかった。
そのラジカセ、今はもう、うちにはないのです。
FM雑誌の紹介、これがまた懐かしい。
父が『FMファン』を購読していたので、僕が物心がついた頃から
それはうちにあり、休刊になるまで買い続けていました。
FMファンは当初はクラシックとジャズを聴く人向きでしたが、
僕が聴くようになった頃から洋楽の情報も増えていました。
何より、「ビルボード」誌のチャートが載っていたので、
やはり、僕の音楽観の礎となったのがFMファンでもありました。
そしてなんといっても、FMといえば「エアチェック」。
今となっては、言葉自体が懐かしい響きですが、実際、番組では、
その言葉は知らなかったけど、自分は今同じことをしています、
という二十歳の視聴者からのおたよりも紹介していました。
僕ももちろんエアチェックは、高2まではよくしていましたが、
直接オンエア時にカセットに録るのではなく、一度番組全体を
より音質が良い、父のオープンリールテープに録音して、
そこからカセットに落していました。
これだと出だしが欠けるということもなく、やり直しもできましたし、
何よりオープンリールにタイマーで録音することにより、
カセットに落す作業が時間を選ばなくなって便利でした。
オープンリールテープ・デッキもまた、懐かしいですね。
ただ、番組では、FM誌の番組表を切り取って、
カセットテープのケースに入れていた話も紹介していましたが、
僕はものぐさなので(笑)、それはしませんでした。
しかし、高2の時に、我が家では初めてビデオを、
SONYの、もちろんβのビデオデッキを購入し、
ほぼ同時にテレビ朝日系で土日深夜に「MTV」が始まったので、
既にあった「ベストヒットUSA」と合わせて
ビデオクリップを録画して観て音楽を聴くことが楽しくなり、
エアチェックに取って代わりました。
そのことを僕は「ビデオチェック」と呼んでいました(笑)。
それと僕は、聴きたかったら買うのが基本でもあったので、
エアチェックは割と早くに卒業していました。
ここまで太字で表したものだけでも、懐かしい言葉のオンパレード。
もう一度それらを羅列すると、
ラジカセ、カセットテープ、LP、FM誌、FMファン、
エアチェック、オープンリールテープ、βのビデオデッキ、
MTV番組、ベストヒットUSA
番組ではさらに、アルフィーの3人が
何曲かをスタジオライヴで演奏していて、自身の曲の他、洋楽では
サイモン&ガーファンクルのThe Boxerと、
クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングのTeach Your Children
を演奏していました。
前者は有名な曲ですが、後者について、僕は前々から、
この曲が「意外と知られている」ことが不思議でした。
しかし、番組での曲紹介で、この曲が
映画『小さな恋のメロディ』の挿入歌だったことを知って納得。
ビー・ジーズの有名なMelody FairとFirst Of Mayも
その映画で使われた曲ですね。
たまたま観たのですが、とってもよい番組でした。
実は、その番組の翌日は、朝6時に家を出て
苫前にオジロワシを見に行ったわけですが、
結局は最後まで観ていて、寝るのが遅くなりました・・・
余談、僕は大学時代、渋谷のタワーレコードの初代の店で、
アルフィーの坂崎幸之助さんを見かけたことがあります。
ほんとにテレビで見るまんまの人で驚きました(笑)。
◇
さて、番組のまとめをしてしまったところで、この先、
この話は、デヴィッド・ボウイにどうつながってゆくのか・・・
番組に戻ると、視聴者のこんなおたよりが紹介されていました。
「FMを聞いていて、自分が好きな曲がリクエストでかかると
自分と同じ気持ちで曲を聞いている人がいるんだなぁと思い、
さらにそれをかけてくれたDJの人とも一体感のようなものを得られ
それが好きでした」
知らない人どうしが、同じ時間に同じ体験をしていることによる
小さな感動、ということです。
そこで僕が思い浮かべたのが、
デヴィッド・ボウイのStarmanでした。
02 以前に洋書バーゲンで見つけたこのアルバムの楽譜

Starmanは、1970年代の名盤ZIGGY STARDUSTに収録。
これ、もちろんいつものように条件は付きますが(笑)、
僕が好きな1970年代のアルバム十指に間違いなく入ります。
いつか記事にするので、アルバムについてはここでは触れません。
曲は、
12弦も交えたアコースティックギターの軽やかなイントロで始まり、
Aの部分は弾き語り風にひとつの物語が語られ、
Bの部分ではエレクトリックギターが入って盛り上がります。
コーダの部分の「ら~ら~ら~らら~」というハミングが印象的。
フェイドアウト部分に遠慮がちに出てくるギターソロが、
短い割には情緒的に多くを物語っています。
全体的に明るい響きのミドルテンポの佳曲です。
先日、イーグルスのNew Kid In Townを記事にした際に、
その曲は1970年代でいちばん好きな曲と書きましたが、
この曲も、十指に入るくらい大好きで、思い入れが強い曲です。
では、どんなことを歌っているのか。
アルバムは、タイトルの通り、ボウイが自身を宇宙人になぞらえ、
宇宙から来たバンドが地球を征服するというSF仕立てですが、
それをダイジェストする曲のひとつ。
要約すると、こんな感じです。
私(10代少年か少女)はなかなか眠れなくて、
夜中にラジオを聞いていたら、突然ラジオの音が消えて、
別の何か変な音、宇宙の波のような音が聞こえてきた。
それは、スターマンが地球にやって来て空の上で待っていた音。
これを誰かに知らせなきゃと思って君に電話したんだ。
するとなんとびっくり、君もその音を聞いていたんだね!
スターマンは光を合図に地上に降りてくるんだって。
サビ(B)の部分では、スターマンは、自分が地上に降りると、
人々の心がぶっ飛んでしまうのではないかと懸念しているけど、
ロックンロールを聴いていれば大丈夫だ、とも歌っています。
ここでのスターマンは、さまざまな「誘惑の象徴」と解釈できます。
直接的には、「音楽の誘惑」。
誰もが聴いたことがない音楽で驚かせてやろう
というボウイの意気込みを表わし、もっと大きくみると、
ロックというものが世の中を席巻した様子も表わしているのでしょう。
さらにいえば、ボウイが若い頃にラジオで、
ビートルズやローリング・ストーンズやボブ・ディランを聴いて、
それこそ「ぶっ飛んだ」思い出も重ね合わせているのかもしれません。
もうひとつは、「思春期に親の目を逃れてすることの誘惑」。
思春期になって得られた「夜は自分の時間だ」という感覚。
夜に世界を広げてくれたものは、かつてはやはり、ラジオや音楽。
歌詞には大人の影がまるで見えず、曲も若々しさに溢れています。
まあそれは、クスリの比喩だととれなくもないのですが、
悪いことをする、というよりは、未知の体験をする楽しさ、
みたいなものをより強く感じる曲ではあります。
しかし、僕が、この曲でさらに感動したのが、
「人と人との一体感」でした。
それはまさに、先ほどのFMの番組のことで紹介した、
「どこかで誰かが同じことを思っている」という部分です。
夜の夜中に、どこかの誰かと同じ音を聴いていた感動。
その感動を誰かに伝えて、さらには共有したい。
この曲の場合は直接的に友達に電話をかけていますが、
でも、友達でもなければ、夜の夜中にひとりで何かを思っていても、
誰かとその思いを共有することは難しいでしょう。
電話をかけたというのは、現実のこととして提示しないと
話が広がらないからであり、だから実は、
電話をかけたというのも、空想上のことなのかもしれません。
まあそれはともかく、
人々の思いをつなぐものが、ラジオであり、DJであり、歌である。
そして、BLOGである。
◇
NHKの番組を観た翌日は遠出をしたことは話しました。
車の運転をするので、やっぱりどうしても6時間半は眠りたい。
5時過ぎに起きるとすれば、23時前には寝なければならない。
しかし、この番組を観ていて寝るのが遅くなり、さらには、
「遠足の前の子どもの心境」で、4時前には目が覚めてしまいました。
先に断っておきますが、幸いなことにその日、
途中で運転ができなくなるほど眠くはなりませんでした。
起きてすぐにナチュログを見たところ、
柴犬テツさんの記事が上がっているのを見つけて読みました。
すると、柴犬テツさんも、釣りに行けるのがうれしくて、
まるで子どものように早く起きてしまった、と書いておられました。
まったく同じですね!
うれしくなって私もすぐに書き込みをして、さらには
柴犬テツさんからもすぐに私のところに書き込みをいただき、
朝の4時から会話が成立していました(笑)。
Starmanの頃はもちろんインターネットなどあるはずもなく、
この歌詞のように仲がいい友達に電話でもかけない限りは、
同じことを思った人がいたとしても、それを確かめられないし、
ゆえに、見ず知らずの人と共感するなんてあり得なかった。
ラジオのリクエストは、そしてDJは、そんな時代には、
「人との一体感」を得られる貴重な場面だったのではないでしょうか。
だけど今は、ネットがあり、BLOGがある。
たまたま寝る前に観たテレビの番組で思っていた「一体感」が、
朝に目覚めると、まさに自分の身に、まったく同じことが起こっていた、
その楽しさ、うれしさ。
僕がこの曲を記事にしようと思ったのは、その時でした。
そしてさらに昨日はもうひとつ、大きな出来事が。
そうですもちろんWBC日本の優勝です。
昨日は、そのことを記事で上げておられるかたがたくさんいらして、
それぞれに書き込みをしてうれしさを共有していました。
僕はまた、BLOGがあることで、人の思いが見えやすくなり、
人と人がつながりやすくなった、そんな素晴らしさを思いました。
そして、この曲の歌詞の素晴らしさも再認識しました。
先見の明、とまではいいませんが、
そういう「散らばった」思いというものは確かにあること、そして
共感を得られるにはどうすればいいのだろうという思いが、
ボウイにこの曲を作らせたのかもしれません。
リンクは、左が、オリジナルアルバムの「ジギスタ」、
右が、近年出たベストアルバムの日本盤。
以前、コアなボウイのファンだという人の前で、
僕はこの曲がボウイではいちばん好きだと話したところ
この曲は向こうでは無視されていて、日本でしか人気がない曲だ
と、まるで嘲笑されるように言われたことがあります。
僕は、デヴィッド・ボウイは、ひと通りは聴いていて、
これを筆頭に大好きなアルバムも複数ありますが、
でも、大ファンというほどではありません。
しかし僕は、この曲が日本でしか人気がないということに、
別のあることとの奇妙な符号を感じています。
それは、
世界中のBLOGの3~4割が日本語で書かれているほど
日本人はBLOGが好きである、ということ。
だからこの曲はやっぱり、日本人の多くが持っている、
感動を他の人と共有したいという感覚には合うんだなぁ、と。
曲自体もやはり、ネガティヴな要素がまるでない、
元気づけられる明るく前向きな曲で、楽しい気分になれます。
僕はこれを、BLOGのテーマ曲としたい思いです(笑)。
最後に、この記事を書くきっかけを与えてくれた
柴犬テツさん、あらためて、ありがとうございます!
またどんどん大きな魚を釣ってください!
そしてあらためて、
WBC日本優勝おめでとう、ありがとう!
だけど、明日からはもう
レギュラーシーズンの態勢に入るんだな。
Posted by guitarbird at 23:29
│洋楽名曲集