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2008年11月28日

OUR BRIGHT FUTURE トレイシー・チャップマン

いつものように
写真へのコメントも
大歓迎です!


新譜の記事の場合、本来は風景写真はなしにしていますが、
これは結構長くなったので、閑話休題的に写真を織り込みました。

01 今回はなぜかポーラが紹介
OUR BRIGHT FUTURE トレイシー・チャップマン

OUR BRIGHT FUTURE Tracy Chapman
アワ・ブライト・フューチャー トレイシー・チャップマン 
released in 2008

彼女の音楽スタイルを、
ひとことで何といえばいいか、いまだに分かりません。

演奏形態としては、アコースティック・ギターを基調とした
バンド時に弾き語りという、まあ、フォークですね。
しかし、そこに絡んでくる感情がこもったヴォーカルは、
ブルーズというか、ソウルというか。
そして思い出した、そういえば以前はドレッドヘアだったし。
まあ、だから、「演奏はフォーク、歌はソウル」
これがいちばん近くて分かりやすいかと思います。
僕は「広義のロック」としてずっと接してきていました。
ちなみにCD店では、ROCK/POPSのところにあって、
SOUL/R&Bのところには置いてないですね。

1988年のデビュー作からのFast Car
当時いきなり大ヒットしましたが、僕は最初は聴きませんでした。
はっきり、当時は、その声、暗いというか影や憂いがあるというか、
その声が苦手で、ほとんど拒否反応に近かったです。
しかも、当時は「救いようがない」と感じたその暗い曲が
どうして大ヒットしたのかが理解できず、不思議でもありました。
今思うと、僕もとんでもない思い上がりです(笑)。
そんなわけで最初の3枚は、リリースされたという報に接し、
時々MTVやラジオで耳にしていた程度でした。

しかし、4枚目NEW BEGINNINGに収録されてヒットした
Give Me One ReasonをMTVで観て聴いて、変わりました。
これも今思うと、これほどガラリと変われるのか、お前ほんと
主義も節操もないなと言われても仕方ないくらいに(笑)。
その曲は、単純なブルーズ形式の、きわめてシンプルな曲。
そこに僕は、ボブ・ディランとの共通性を見出したのです。
いつも言いますが、ディランは本質的にはロックです。
そして、単純なブルーズ形式の曲がたくさんあります。
しかも、歌に「心」を感じるところまで、ディランと同じに感じました。
もちろん、真似とかそういう意味ではなく、核が同じということで、
つまり彼女も本質的にはロックなのではないかと思いました。
その1曲で僕は、彼女に尊敬の念を抱きましたし、
不思議なもので(現金なものかも!?)、曲が大好きになると、
苦手だったはずの声も、ぐっと心に響いてきました。
その声が苦手だったのは、若い頃はまだ(今もですが・・・)
ヒットチャートで上位に来るような売れ線ばかり聴いていた中で、
彼女の、あまりにも人の「心」にストレートに伝わってくる歌い方、
あまりにも心のひだの裏にまで入り込んでくる歌声に、
どう対処したららよいのか分からずに戸惑ったのかもしれません。

よく知らない人なのに、どうしてそこまで人の心に入ってくるのか、
そこが不安だったり、恐かったのかもしれないです。
よく考えると、拒否反応を示したということは、
プラスでもマイナスでも、それだけ何かが伝わっていたわけであり、
何も感じなかったらそんな反応も起こり得ないし、
マイナスだったものをプラスに変換するのは、
ゼロから何かを起こすよりも案外簡単なのかもしれない、
そんなことも思いました。

02 本もやっぱりポーラが・・・(笑)
OUR BRIGHT FUTURE トレイシー・チャップマン

今月、彼女の新作が出るのと機を同じくして読んだ本があります。

魂(ソウル)のゆくえ ピーター・バラカン アルテスパグリッシング

写真02の右の本ですが、あのピーター・バラカンさんが、
ソウル・ミュージックを分かりやすく説明してくれている本です。
僕は、これが最初に新潮文庫から出た時に読んでいたのですが、
それはもう20年近く前、内容はほとんど忘れていました。
しかも、最近ソウルに凝りだしたので、読み直そうかと思ったところ、
その本が家の中で行方不明になっていることも分かりました。
しかし、調べると、新装版として他の版元から出ていることが分かり、
買って、ちょうど東京に行く時に持って行き、東京で読了しました。

この本が、まさにグッドタイミングでした。
最後に、バラカンさんが、こんなことを書いています。

音楽で感情をストレートに表現することを仮にソウルと呼ぶなら、
(中略)さまざまな国の音楽をはじめ、世界のあらゆる国に
ソウルは元気に存在していることは言うまでもありません。
ここではレゲェとアフリカの音楽に絞って取り上げましたが、
日本ならたとえば青森県の津軽地方の音楽などは、
フィーリング的にソウルやブルーズに驚くほど近いものだと思います。


これを読んであらためてトレイシー・チャップマンを聴くと、
彼女の、あまりにも人の「心」にストレートに伝わってくる歌声は、
ソウル以外のなにものでもないと気づきます。

しかも、「売り物=作り物ではないソウル」。
なおこれ、それが悪いと言っているわけではなく、
ジャンルとしての「ソウルミュージック」ではない、という意味ですが、
しかし、いわゆる「ソウルシンガー」の中でも、
ここまでソウルが伝わってくる人も稀ではないかというくらいに、
伝えたいことを本当に心の底から表わしている声。
しかも、彼女には、それを最もうまくよく伝える方法として、
いたってシンプルなフォークソングというかたちがふさわしい。
こうして、「ソウルなフォーク」という音世界が誕生したのでしょう。

さらについ先日、そうですCDを6枚買った日、
タワレコでもう1冊の興味深い本を見つけて買いました。

こだわりアメリカン・ルーツ・ミュージック事典 先駆者60人の足跡
鈴木カツ NHK出版生活人新書


写真02の左の本、鈴木カツさんは
フォークを中心とした音楽評論家ですが、
この本のタタキ文句の一部紹介すると

様々な音楽がごった煮のようにして出来上がったアメリカ音楽。
その幅広く、奥深いルーツを1冊で概観できる。


さらに著者の言葉にも少し触れると

本書から、
魅力たっぷりなルーツ・ミュージシャンのエッセンスを感じて欲しい。
そしてアメリカン・ミュージックの発展は、
様々なジャンルのクロスオーバーから
成り立っていることも知って欲しい。


この本で紹介されている人、
フランク・シナトラ、ベニー・グッドマン、ナット・キング・コール、
ウィリー・ネルソン、、ビリー・ホリディ、ルイ・アームストロング、
エルヴィス・プレスリー、サム・クック、チャック・ベリー、
レイ・チャールズ、マディ・ウォーターズ、アレサ・フランクリン、
ハンク・ウィリアムス、ジョニー・キャッシュ、ボブ・ディラン

といった有名な人から、
レターメン、ムーン・マリガン、ビル・モンロー、
カーター・ファミリー、クラレンス・ホワイト、ザ・ウィーヴァーズ

といった、
僕が名前しか知らない、或いは名前すら聞いたことがない人まで、
様々なジャンルから、現在のアメリカ音楽の基礎もしくは
それが成り立っている要素の根幹を築いた人たちを
ひとりあたり5ページという短い中で簡潔に説明し、
おすすめディスクも紹介しています。

なお、この2冊の本のリンクは、巻末にまとめて施してました。

03 夕方の斜光がさす笹の森
OUR BRIGHT FUTURE トレイシー・チャップマン

そして僕は、
そうだ、僕はそうしたアメリカ音楽こそが大好きなんだ、
という思いを新たにしている今日この頃です。

トレイシー・チャップマンに戻って、
先ほど「ひと言で表す」と書きましたが、そもそもアメリカ音楽は、
2つ以上の要素から成り立っているものがほとんどであるので、
「ひと言」で表すのは不可能であり、
または仮にひと言で表すなら、その音楽の持っている面で
いちばんよく分かる要素を抽出して語っているにすぎず、
その人の音楽の本質に触れていることには必ずしもならない、
ということに気づかされます。
実際、CD店に行くと、時々店によって扱いが違う人もいますし。

あ、まだ話が戻っていなかったですね(笑)。
というわけで、まとめにもなんにもなっていないのを承知で
あえて言わせていただくと、トレイシー・チャップマンはまさに
そうした複合的なアメリカ音楽を体現している人のひとりだ、
ということが出来るかと思います。
そして、その部分がまさに魅力であるとも。
便宜上のジャンル分けの必要性は認めても、そして、
その人の音楽の成り立ちを考える上でジャンルは重要であっても、
いざ聴く音楽そのものには、ジャンルはあまり関係がない、

そんなところではないでしょうか。
だから、トレイシー・チャップマンはトレイシー・チャップマン。

そこから先については、まだ僕も勉強してゆく身であって、
ひとまず今回はここで終わりとして、曲紹介に行きましょうか。
なお、曲は全曲、彼女がひとりで書いています。

04 或る夜明け
OUR BRIGHT FUTURE トレイシー・チャップマン

Tr1:Sing For You
思わせぶりなカウントから曲が始まります。
この曲を最初に聴いた時、「おっ、明るいな」と感じました。
後で考えると、この曲だけが明るい可能性もあったのですが、
その時は、きっとこのアルバムは明るいんだろうなと直感し、
そしてまたこのアルバムが素晴らしいことも一発で見えました。
アルバムの1曲目の重要性を改めて感じます。
とても優しくてちょっと照れたように聞こえるハミングがいい感じ。
そうか、僕たちのために歌ってくれているのか。


Tr2:I Did It All
ディキシーランド・スタイルの曲。
アメリカ音楽はまだ勉強したての僕も、これは、
ポール・マッカートニーが得意だったので分かります(笑)。
クラリネットも入って、まさにWhen I'm Sixty-Fourの雰囲気。
曲の後半(Bメロ)は雰囲気が少し暗くなるのも同じですが、
そういえばビートルズHoney Pieもそうだったし、
これはこのスタイルのひとつの定型なのかもしれないですね。
ゆったりした気分になれる曲。


Tr3:Save Us All
シンプルなフォークソング。
そこにカントリー風のスライドギターが絡んできて
ほんわかと明るい雰囲気。
こういう曲名で明るい曲だと、ほんとに救われますね。


Tr4:Our Bright Future
ここで、少し陰りがある、切実なメッセージソングが出てくる。
「明るい未来」が待っているからといって楽観視はいけない、
ということかな。
僕がずっと抱いてきた彼女のイメージの曲ですね。


Tr5:For A Dream
It's all rightと繰り返す部分が印象的な優しい曲。
これやTr9をはじめとして、今回のアルバムは
歌メロのフックがとにかく印象的。


Tr6:Thinking Of You
今回初めての、タイトルがきわめて個人的な言葉の曲。
歌の中ではStop thinking of youと歌っているけど、
曲名にはStopがついていないのは、揺れる気持ちなのかなぁ・・・
でも歌詞にはNever stop thinkingともあるし・・・
(その気持ちはよぉく分かりますが・・・)
粘ついたシャッフルの、重たいというより切ない曲。


Tr7:A Theory
彼女は、言葉に対して忠実な人だと感じます。
明るい雰囲気の中、言葉を次々と繰り出してゆく楽しげな曲。


Tr8:Conditional
前の曲の続きのようにいきなり歌い出す。
歌メロが流れていく感じがいい曲。
Stay with me stay with mi right or wrongという部分、いいなぁ。
ほんとに、伝えたいことが素直に伝わってきます。


Tr9:Something To See
ほんとに今回のアルバムはみな明るい雰囲気。
なんだかそう書くと、彼女はそんなに暗いのか、と思われそうですが、
もちろん曲ごとに見ると明るい曲はこれまでも普通にありました。
でも、アルバムに1曲か2曲、すごく重くて暗い曲がある、
というパターンがこのところ続いたのが、
今回はそれがない、というくらいの感じです、念のため。
控え目にサポートするエレクトリック・ギターがまたいい響き。


Tr10:The First Person On Earth
今回は彼女のカウントから始まる曲が多くて、これもそうですが、
彼女をはじめミュージシャンの心意気を感じます。
こういう歌詞の曲に接すると、直接の関係はないにしても、
やはりアメリカでは聖書が生活の中にあることを感じます。
この曲しかし、聴いてゆくと、途中から
FirstだったのがLastに代わってゆき、あれっと。
「貴方がfirst and last・・・それだけ大切な人」
僕はこれを聴いて、そう解釈しました。
また、ManではなくPersonであるのが、時代も感じますし、
男女の関係なく、歌詞が普遍性を獲得していると思います。
ゆったりとしたワルツに心が酔います。


Tr11:Spring
最後はバンド演奏ではなく、弾き語り。
最後にどっしりと、いつもの重さとほの暗さがある、
何か引きずられるような曲が控えていました。
そしてアルバムは静かに終わります。



このジャケット、大胆なアートワークで印象的。
普通なら、写真のほうを大きくしそうなものを・・・(笑)。

今回のアルバムは全体的に明るい雰囲気で、
実際にマイナーキィの曲も少ないてす。
重たいけど、暖かくてほっとするというのが
トレイシー・チャップマンを聴いていつも感じることですが、
それはもちろん、今回もまったく変わっていません。
シングルで中ヒット以上しそうな曲こそないですが、
曲の水準はとても高く、全曲、ぐっと胸に響いてきます。
聴きやすい、というのは少し違うかもしれないですが、
音楽に向き合って心で聴くことの楽しさは実感できます。
心に響く音楽とは、まさにこのことですね!

音楽的な面で特筆すべきこととしては、数曲を除き、
ドラムスはかのプロ中のプロスティーヴ・ガッドが担当しています。
ちなみにスティーヴ・ガッドは、
「僕が死ぬ時にはこの曲を流して欲しい」曲
ポール・マッカートニーTake It Away
に参加している人でもあります。

そして、ひとつとっても残念なこと。
このアルバム、11曲、すぐに終わってしまいます。
もっと聴いていたいという気持ちをさかなでするかのように・・・
最後が弾き語りというのが、むしろ劇的に響いてきますし。
なんとも罪つくりなアルバムです(笑)。

とまあ今年は、ニール・ダイアモンドとトレイシー・チャップマン、
アコースティック基調の、「心」がしっかりと伝わる人の
傑作アルバムを2枚も聴けた、よい年でした。

05 まだ残っていたススキ
OUR BRIGHT FUTURE トレイシー・チャップマン

ところで最後に余談。
「魂(ソウル)のゆくえ」に、面白い記述があったので付記します。
「ワールド・ミュージック」についてです。

こうした非西欧の音楽は、いまでは「ワールド・ミュージック」
というジャンルに括られるようになっています。
この「ワールド・ミュージック」という言葉は、1987年に
ロンドンのパブでの話し合いの結果、英語圏以外の音楽を
レコード店に並べるときの対策として生まれたもので、
音楽の呼び方としては当時あまり感心しませんでした。


文脈としてこれは、バラカンさんが、
最近は自分は「ワールド・ミュージック」を聴くのが好きで、
その言い方には最初は違和感があったけど、
今では人にそうして話すことに抵抗が少なくなった、
という中から出てきた部分です。
なお、引用部分の前半には「非西欧」と書いてありますが、
シャンソンやカンツォーネなども「ワールド」に含まれるのは、
CD店に行かれるかたはよくご存じかと思います。

とここでふと思いました。
トレイシー・チャップマンが出てきたのが1988年。
それは、「ワールド・ミュージック」という定義が出来た翌年。
彼女は英語の歌だけど、人々が聴く音楽の多様化が始まった頃に
ひとつのジャンルでは語りきれないアーティストが出てきたのは、
時代の符合だったのかもしれません。

それは、「ソウル」についてのバラカンさんの考えとも
一致するものでありますし、さらにいえば、英語ということで、
レコード店における本来の(便宜上の)分類とは違いますが、
彼女は、「アメリカのワールド・ミュージック」、そう表現しても
あながち的外れではないような気がしてきました(笑)。

 







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Posted by guitarbird at 20:29 │ロックQ-Z

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