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2016年11月28日

今月の読書2016年11月号

01
今月の読書2016年11月号

今月の読書の記事。

先月はお休み、2カ月振り。
といって今月は劇的に増えているということもなく4冊

ではいきます。


☆1冊目


新・風景ガイド 美瑛・富良野
高橋真澄
北海道新聞社


富良野美瑛撮影旅行の際に"Woman"が持って来た本で、
道中僕もぱらぱらと目を通していましたが、写真がきれいな上に
場所のガイドとして非常に有用なので僕も買い求めました。
高橋真澄さんは「青い池」を発見し広めた人だそうです。

ところで、この本は「美瑛・富良野」となっていますが、
僕は昔から「富良野美瑛」と言って書いてきたので、
この語順に最初はなじめませんでした。
高橋さんが美瑛在住だからというのもあるのでしょうけど、
実際に撮影に行ってみて、写真という観点でいえば、
美瑛の方が撮影地が多いのでそうなるのかなと納得しました。

あとは何度も行って撮るだけです。
まあ、時々行って撮るだけであればいい写真が撮れる
チャンスに恵まれる確率が低いことは分かっているのですが。



☆2冊目


外来種は本当に悪者か?
フレッド・ピアス/藤井留美(訳)
草思社


タイトルを見てはっと思われる方も多いかもしれない。
この問題は僕にとっても身近で考えさせられる部分があり、
本書の存在を知ってすぐに買い求めました。
読んでみてやはりいろいろと考えさせられました。
そもそも「外来種は自然なのか?」という考えが、
在来種を保全する活動などを行う側の人、ひいては
多くの人々の間にはあるのではないかと。
本書でまず紹介されるのは、南太平洋のアセンション島。
イメージだけでいえば「原始の自然」が残っている場所、
となるかもしれないですが、実はアセンション島は人間の手で
元々あった自然のほとんどが壊され、そこを利用する人間が
持ち込んだ外来の樹木が森をなすほどに育った場所なのです。
アフリカでもアマゾンでも、世界には「原始の自然」なんて
実はほとんどない、というのも著者の主張であって、実際に
そうした形跡が調査で見つかる場所もあるのだという。
ここでまず「外来種は悪者」という考えが揺らぎます。
英国の火力発電所の跡では、発電に使われた石炭の灰の山に
新たな「自然」が回復し、そこにも「外来種」が定着する一方、
「在来種」の希少な昆虫なども見られるようになった。
これは「外来種」がはげ山から「自然」を作り上げたことにより
「在来種」の生息にも適する環境になったことによるもの。
さらには、「在来種」といっても適応力が強い動植物は、
元々あった自然が壊された時に希少種=弱い種を押しのけて
入り込んで占領してしまうということもあって、「悪者」は
「外来種」だけではないという事例も紹介される。
そうですよね、例えばですが、知床半島では今キク科の
「在来種」ハンゴンソウが増えているそうですが、これは、
エゾシカが食べない植物であるために、餌とする他の植物が
減ったりなくなったところに入り込むことにより起った現象。
そもそも「外来種」といっても、人間活動に伴って入ってきたものは、
カヌーで海を渡っていた太古の時代からあったわけで、
人間がいる以上必ず発生するものだ、だからこれからは
「ニューワイルド」として外来種も受け入れていけるのではないか、
というのが著者の主張です。
と書いて、それをすんなりと受け入れられる人は多くないのでは。
僕もやっぱり、少なからぬ抵抗があります。
しかし著者の主張は、自然を、「種」という小さな枠ではなく、
地球上の環境として捉えて初めて理解できるのかもしれない。
「外来種」ではあっても「地球外」ではないのだから。
読み易い文章で内容も事例報告と解説がほとんどですが、
読み終わって残るものが大きく、考えさせられる1冊でした。



☆3冊目


快楽としての読書 日本篇
丸谷才一
ちくま文庫


久し振りの丸谷才一。
この本を読了するまで足かけ5カ月かかりました。
6月に病院の待ち時間で読み始め、いつものように
ゆっくりと読み進め、途中ひと月ほどまったく読まず、
10月に入ってまた読み進めて最後までたどり着きました。
すごい本。
本人は一言も触れていないけれど、日本に本格的な
書評なるものが定着したのは丸谷才一さんの功績が大きい。
最初に道をつけたのは週刊朝日だったが、そこに参加した
丸谷さんが、英国の書評を参考に文芸ジャンルとして
確立させるべくペンを走らせていたことが解説で紹介されていて、
あらためてすごい人だけど謙虚な人だったのだと分かりました。
いつも意識しているわけではないジャンルの本でも
読んでみたいと思わされる、これが書評なのでしょう。
また「評」であるからには「批評」も忘れてはならない。
丸谷さんは気に入った本でもよくない点を挙げてゆく。
批判の仕方が納得させられる。

本書の帯にはこのようなことが書かれています。

***

小説、エッセーから詩歌、批評、辞書や絵本まで、
読めば本屋さんまで走りたくなる
花やかな読書案内
決定版! 自選書評集


***

「はなやか」に「華」ではなく「花」という漢字を使っているのが、
謙虚な丸谷さんのイメージにつながる。
吉田秀和の『このディスクがいい*25選』があるのも嬉しい。

僕が読んだことがある本は5冊しかなかった。
後半では「書架」のコーナーとしてその5冊を紹介します。

やっぱり僕は丸谷さんの文章が大好き。
これはまだ「海外編」「ミステリー編」とあるので、
続けてどちらかを読み始めるつもりです。
読了はまた少し先になるでしょうけれど。



☆4冊目


俳句、はじめました
岸本葉子
角川ソフィア文庫


NHK教育、いや今はEテレというのか、ともかく
NHK「俳句講座」の司会を務める岸本葉子が、
自らが俳句を始めた頃の顛末を書き綴った1冊。
エッセイストの岸本さんはかつてテレビの取材で俳句に触れ、
自分でも詠むようになり、番組の司会を務めるようになった。
本書は岸本さんが句会に参加した様子を具に綴っていて、
どこがだめだったか、どういうことがよかったかといった体験が
説明されていて初心者の僕には(もう2年経っているけれど)
目から鱗、とっても親切な人であり本だと思いました。
中でも、句会で発表した句を推敲する過程が書かれていて、
この言葉だとイメージが違う、助詞ひとつでも捉え方が違う、
などなど、興味深いことが次々と書かれていたのがよかった。
しかし僕との絡みでいえば、やっぱり句会に参加して
他の人の評をいただくことでもっと前に進めるのだろうな
ということが分かり、やはり句会に参加しなければ、と。
俳句の技法を教えるものではないけれど、俳句の在り方など、
とっても勉強になる1冊であり、恥を忍んでこの本を著してくれた
岸本葉子さんに感謝の念を抱きました。
角川ソフィア文庫から出ている意味がよく分かりました。
しかし今この本がAmazonで新刊が買えないっていったい・・・
最近ほんとうに本の「寿命」が短いですね。


02
今月の読書2016年11月号

続いて【guitarbirdの書架より】
丸谷さんの本で取り上げられていた5冊。



★1冊目


母なる自然のおっぱい
池澤夏樹
(新潮社)

この本を僕は単行本で読みました、もう20年くらい前。
今は紙の本は出ておらずKindle版のリンクになります。

本書の書評で丸谷さんは書名についてこう書いています。
なお、「さういふ」というのは、池澤夏樹さんが理系の大学を
出た小説家であることを指しています。

***

『母なる自然のおっぱい』は、
さういふ小説家の書いた自然と人間の研究で、
昔なら『自然と人間』といふ題になるところだ。
それなのに冗談ぽい題にする。
ふざけるのは、言ふまでもなく、
その自然が環境汚染で失はれようとして、
しかもそれを悲憤慷慨する手は効果がないと
わかつてゐるからだ。


***

この本で印象深かった話は、富士山が日本一高い山という話。
たまたま火山で目立つ場所にあるので高いことが分かるが、
もしかすると北アルプスなど他の場所に富士山よりも高い
山があったなら、近年まで分からなかったのではないか、ということ。
久し振り読んでみたくなってきました。



★2冊目


私家版日本語文法
井上ひさし
新潮文庫


この本は「今月の読書2012年4月号」で取り上げています。
(そうかこのシリーズもう4年以上やっていたのか・・・)

この書評は最後のひと段落を引用します。

***

さうさう、言ひ落としたが、
国文法の時間と大違ひのところがもう一つあった。
文法の話だけではすまなくなり、日本語論、言語論、
日本人論にまで発展してしまふことである。
(中略)
その点でも『私家版日本語文法』は
文法教室への痛烈な批判となつてゐる。


***



★3冊目


日本語の起源 新版
大野晋
岩波新書


日本語の起源はタミル語であるという説を唱えるこの本。
丸谷さんはここでは細かく例を挙げて説明しています。



★4冊目


磯野家の謎
東京サザエさん学会

この本は流行りましたよね。
ここからの派生でゴジラとかウルトラマンとか
フィクションを実生活に当てはめた本も出たりして。
丸谷さんはこれを「学術的な遊び」として楽しみながら
評しています。
英国のシャーロック・ホームズに関して「ホームズ学」が
あることから話を引っ張ってきて、こう書いています。

***

同種の遊びが成立するためには、全国民的に親しまれてゐる、
長い長いテクストが必要である。
その点、サザエさん漫画といふ対象を発見した
岩松研吉郎とその友人たちは賢かった。
いや、サザエさん漫画に対する愛情のせいで、ごく自然に、
ホームズ学と似たものを成立させたのかもしれないけれど。


***



★5冊目


装丁物語
和田誠
白水社


丸谷さんの本のイラストを手掛けてきた和田誠のこの本が
最後に紹介されているのは本としてすわりがいい。
単純に著者の五十音順に並んでいるだけなのですが、
ここには編集者の意図が見え隠れしている気もします。
この本はいつか「書架」のコーナーで紹介したいと思っていたのが、
今回このようなかたちでできて僕もよかったです。

この本の書評では冒頭部分をぜひとも紹介したい。

***

よく言はれることだが、日本美のあり方は西洋の場合と違ふ。
向うは純粋な藝術性を求めるのに対して、
こちらは生活化された藝術、藝術化された生活を喜ぶ。
(中略)
わたしたちの国においては美術と工藝のあひだに境界がなく、
藝術家はデザイナーを兼ねてゐた。
(中略)
そして今、わたしたちの生活を最も自然な形で藝術化してゐるのは
本の装丁だらう。


***

まさに。
読書とは、本を読むことのみならず、本を持つことの喜び、
読み終わった本を飾る楽しみまで込みで趣味といえるのでは。
だからやっぱり本は本としてあり続けてほしいですね。
電子書籍やネットを否定するものではないけれど。


03
今月の読書2016年11月号

来月はもう師走。
記事が上げられないということはないように読み進めたいですね。







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この記事へのコメント
今晩は。
まぁ先月末はおやすみも、新たに「woman」さんとの写真も楽しみになりましたので(笑)

「書を捨てよ、街に出よう!」なんて本もありましたが、さしずめ「書は待てよ、丸山に登ろう!」かなと?

しかし、俳句は自然と出るようになりましたね。

私もやっぱり歳時記を買わねば。

今読んでるのは、
「魚と日本人 食と職の経済学」濱田武士 岩波新書 この手の本はあまり読まないも、魚も結構好きなもので。

従兄弟が買ってくれた「Boat Fishing」12月号 。広島が本社の釣り雑誌で、実は先月のもいか釣りの初日、雨が降ってなければ私達も写真に載ってたはず?でしたが、4ページさいて社長夫婦のホリデーハウスを中心とした釣りを楽しんでる姿が出てました。

小説は、高知県出身の作家 志水辰夫の
「引かれた者でござい」 時代物シリーズも又楽し。
テレビの「鬼平犯科帳」が終了との事で、予約録画しました。
単行本もそろそろ読もうと思っています。
Posted by matsu at 2016年11月29日 01:32
matsuさん、こんばんわ
あ、いや別に書を捨てたわけではないのですが・・・
私が読むのが異様に遅いだけです(笑)。
実際のところ丸谷さんのこれは読むのに時間がかかり、
先月終わらなかったのでなんとしても今月はと思いました。

俳句ですが、歳時記は私もまだ買って勉強したいですね。
岸本葉子さんの本を読んで私に何が欠けているかが分かりました。
結局のところもっと読まなければ、ということでした。

「魚と日本人」は以前読んだことがあるような気がします、
と思って調べたら新刊ですね、読んだこともちろんないですが、
それはいずれ読みたいです。

雑誌にご友人夫妻が出ていたんですね、よかったですね。
広島の雑誌というのは地域ネタが新鮮そうでいいですね。

志水辰夫は高知出身だったんですね。
友だちが大好きで私も数冊読んだことがありますが、
そこから先に進まぬまま今に至っています。
東京にいた書店の周りでよく歩いていたそうですが、
私は見たことがない、というかお顔を知らないので、
もしかして擦れ違っていた可能性大です(笑)。
小説はそろそろ何か読みたいです。
Posted by guitarbirdguitarbird at 2016年11月29日 18:04
こんにちは。2ヶ月ぶりでしたか。また参考にさせていただきます。
Posted by 多摩NTの住人 at 2016年11月29日 19:55
多摩NTの住人さん、こんばんわ
読書はやはり楽しいですね。
Posted by guitarbirdguitarbird at 2016年11月29日 23:23

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今月の読書2016年11月号