ナチュログ管理画面 エコロジーライフ エコロジーライフ 北海道・東北 アウトドア&フィッシングナチュラムアウトドア用品お買い得情報
ブログ作成はコチラ
あなたもナチュログでアウトドア生活を綴ってみませんか?
プロフィール
guitarbird
guitarbird
ゴジュウカラは、木の幹を下向きに歩ける唯一の鳥。 
ゴジュウカラを見習うと、違った視点が得られるかも・・・
僕が最も好きな鳥です。
これは北海道の亜種シロハラゴジュウカラ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 23人
Information
アウトドア用品の
ご購入なら!

QRコード
QRCODE


日本に生まれてよかった


鳥の名前と季節を追って


手軽な歳時記、改訂版


丸谷才一エッセイ傑作選


シェイクスピアに親しもう


4人は何を言ったのか


身の周りにある「遺産」


植物のすごさよ



友人著、「見る」とは・・・



写真による野鳥図鑑



これは使える!



野鳥の本のリンク



俳句の本のリンク



草思社の応援リンク



ちくま文庫のリンク


2013年05月03日

ノラ・ジョーンズの新譜が出た

01
ノラ・ジョーンズの新譜が出た

LITTLE BROKEN HEARTS Norah Jones
リトル・ブロークン・ハーツ ノラ・ジョーンズ
 (2012)

ノラ・ジョーンズの新譜が出ました。

今年1月にカントリー系のプロジェクト・バンドの
ザ・リトル・ウィリーズが出たばかりで、3月にこの新譜が出るとの
情報に接した聞いた時は、もう出るのと驚き、かつ大歓迎でした。

このアルバムは国内盤先行発売で、僕は、
発売日の前日に買って聴いていたのですが、記事は結局、
世界的なリリースの日よりも後になってしまいました。

戸惑い、みたいなものが僕にあったのです。

戸惑ったのは、このアルバムのノラの声。
今回のアルバムはノラの声がエコーなど電気的に処理されていて、
素直に彼女の素晴らしい声を味わえないのが
聴覚的な部分で抵抗があって戸惑いにつながりました。
声だけなら、ザ・リトル・ウィリーズの2枚目のほうが、
ナチュラルな声を楽しむことができてずっといいです。
でも、今回はプロデューサーを変えて心機一転を図ったようで、
その声にはきっと何かの意図があるはずだから、今回はこの声に
慣れるしかないのかなと、4日目くらいに漸く思えるようになりました。
もちろんこの声だって好きなものは好きだから(笑)。
なお、そのプロデューサー、デインジャー・マウスという人は
僕は今まで知らない人だったので、それについては何も言えません、
あしからずご了承ください。

今回の新譜に際しては、ノラは日本のテレビ番組にも
インタビューでよく出ており、僕は「めざましテレビ」で見ました。
ノラの話によれば、今回のアルバムは「失恋」を歌った曲ばかりで、
それは実生活で大きな別れを体験したからだということ。
別れを体験して人間的に前に進めた、と語っていたのは
救われる部分ですが、でもやっぱりファンとしては気になりますよね。

僕がもうひとつ戸惑ったのが、ノラのその発言でした。
アルバムタイトルは「小さな傷心」、もちろん失恋関係であろうことは
予想していましたが、僕はテレビでノラを見る前に聴いており、
その過程ではそれほど深刻なものだとは思っていなかったのです。
聴いた印象は、むしろ明るいじゃないかって。

しかし、ノラ自身がそういうのだから、そう思って聴き始めると、
いろいろなことを考えるに至りました。 
もちろん音楽だから、暴露本ではないから、実際に思ったことが
そのまま歌になっているわけではないだろうけど、でも一方で
音楽は人が作るものだから、反映はされているに違いないはず。

まず思ったのは、ノラ・ジョーンズという人は基本的には
芯が(とても)強くてしっかりと生きている人だということ。
アルバムの曲を聴くと、いくらかメランコリックだったり、
いくらかだるかったり、いくらか重そう、いくらかつらそう、
とは感じるんだけど、でもそれもみな「いくらか」で、
基本はどちらかというとむしろしっかりしています。


ノラ・ジョーンズはシンガーソングライターで、
僕は「広義」のシンガーソングライターと
「狭義」のシンガーソングライターということをよく言います。
「広義」でいえばジョン・レノンもポール・マッカートニーも
フレディ・マーキュリーもマイケル・ジャクソンも含まれるわけですが、
「狭義」でいえばジョニ・ミッチェルなど
1970年代にブームを巻き起こした人たち及びその音楽を指し、
その音楽は音楽聴きの人の間ではある程度以上統一した
イメージがあると思います。
ノラ・ジョーンズは「狭義」的な香りが強い人だとずっと思っていたけど、
このアルバムを聴いて、ノラは、シンガーソングライターよりは
ポップスターの面が強い人なのかなと思うに至りました。
人生でも最大級の別れを経験したような人が、
「狭義」のシンガーソングライターであれば、「いくらか」ではなく、
もっと本格的にメランコリックだったり重かったりするのではないか、と。
でも、このアルバムの曲はどれも切迫感がある響きでもないし、
憂鬱というほどまでもいっていないように感じます。
これは、人前で自分の姿をさらけ出すよりは、
いつもと同じように振る舞うほうを選びたいという姿勢が感じられ、
それは「狭義」のシンガーソングライターの姿ではなく、
あくまでもポップスターの姿勢であると感じました。
そしてまた、ある種の気高さを忘れない人でもあるのでしょう。

02 3日振りのA公園では桜が咲いていました
ノラ・ジョーンズの新譜が出た

もうひとつ感じたのは、ノラは大きな別れを体験して、
意外と大丈夫な自分に気づいたのかもしれない。
もしかして、悲しいことよりもそれによって得られたことのほうが
大きかったのかなって。
つまりノラは、自分の強さを再発見したのでしょう。

だから「小さな」ブロークン・ハーツなんだ。
ノラのインタビューを見て暫くの間は、「小さな」とは単に強がりだと
解釈していたんだけど、聴いてゆくうちに、「小さな」というのは
強がりでもなんでもなく、自分の感情に向き合ったところで
自然と浮かんだ言葉だったのだと思いました。
「小さな」ブロークン・ハーツであれば、強がることによって
弱い部分を見せたくないというよりは、少し弱い部分を見せたい
という思いが音楽に反映されているようにも感じられます。
なんていうといやらしく感じられるかもすが、これは、狙っているとか、
なにがしかの下心とか、打算的という意味で言っているのではなく、
音楽を通して表現している人だから、自分が体験したこと、
自分さえしっかりしていれば大丈夫という思いを音楽を通して
広く多くの人と共有したいという単純な表現者としての欲求、
そういう意味で言っています。

ここまできてようやく、ノラの声が今回は違うことに、
どうやら納得できました。
現実の体験があまりにも強烈だっただけに、今まで通りに歌うと
それが素直に出てしまうのが恐かったのかもしれない。
その体験により、ポップスターとしての意識が強まった、
その心の流れのひとつじゃないかなと。

それを自然にできるノラは、やはり多くの人々に見守られている
ポップスターとしての意識がしっかりしている人なんだ、
というのがひとまずの僕の結論。
そして僕はポップソング人間であり、表現者の個人的な思いを
生のまま音楽を通して触れるのは苦手なほうの人間なので、
ノラの新譜を聴いて、むしろ僕の心が近づいたように感じました。

なんて、よくよく考えると、ひとりの女性が別れを体験したというのに、
ありもしないかもしれないことを勝手に想像してこんなこと言って、
僕も冷たい人間だなってふと思った。
一方で、歌詞や音楽を勝手に解釈するのもロックの楽しみと
僕は思っているわけだけど、ノラ・ジョーンズという人は
それを許してくれる度量の広い人なんだな、ということも思いました。

音楽的な面ももちろん話すと、ノラ・ジョーンズは割と
ルーツが見えるロウな感覚の曲が多かったと思うんだど、
今回のアルバムはかなり消化吸収のいい、どういう音楽とは
ひとことではいえないポップソング集になっています。
それはまるで彼女が出てくる前の1990年代的な響きで、僕が
MTVをよく観ていた時代だから、ちょっと懐かしい感じもしました。
60年代70年代の音楽が一度復興してさらに分解再構築された、
いい意味で何でもありの音楽、それが1990年代。
そうか、1990年代でも懐かしいんだな(笑)。
ノラの出現によって、音楽の時間がルーツの側に
振り戻されたわけですが、今回はノラのほうがそこから進んで
自らが振り戻す前に戻った感覚があるのは、面白いといえば面白い、
不思議な部分ですね。
これは、彼女の考えや姿勢が変わったというよりは、
プロデューサーが変わったことが大きいのかもしれない。
まあ逆にいえば、何かを変えたいから
プロデューサーを変えたのかもしれないけれど。

03 国内盤にはポストカードがついていてうれしかった
ノラ・ジョーンズの新譜が出た

Tr1:Good Morning
イントロに使われているピアノの曲が、サティだったかな、
クラシックの曲だけど誰のなんという曲か思い出せません。
ともかく軽やかで明るい朝を迎えたというイメージで始まり、
朝もやの中、まだ起きたくないという気持ちときれいな空気を
浴びたいという思いが交錯したような、ほんと爽やかな曲。


Tr2:Say Goodbye
と思っていると、ゆらゆらとした音のメランコリックな曲が。
この曲は普通に失恋した感じで歌うともう壮絶になりそうなところ、
なぜかノラはむしろ爽やかに聴こえるように歌っていて、
この曲を聴いて僕は上述のようなことを感じました。
サビのゆらゆらした旋律を受けて絞り出すように"goodbye"と
言っても、それが夢か幻の中のことにしか聴こえません。
やっぱり強がりなのかな。
でも、これは生の声ではなくこの響きだからそう感じるわけで、
そこまで分かってようやく今回のノラの声に納得しました。
リズムが複雑でなかなか面白いサウンドで、曲としては、
僕が選ぶ今回のアルバムのベストチューンかな。


Tr3:Little Broken Hearts
この中では割とルーツが見えるブルーズっぽい曲で、それは
曲自体がというよりは曲を通して表現されるものが、という意味。
ほの暗くて重たい響きだけど、僕はこれは好きな感じで、
他の人が歌うともっと迫ってくる感じが出るのではないかな。
あくまでもノラはポップスターだから。
ゆらゆらしたギターの響きが曲にとってもよくあってます。


Tr4:She's 22
ううん、これは、別れた相手の新しい恋人が22歳という意味かな・・・
"Does she make you happy ?"と歌うのは嫌味といえば嫌味だけど
怨念がましくなくて、むしろ突き放している感じがします。


Tr5:Take It Back
メランコリックな曲が続くのは当たり前といえば当たり前だけど、
どの曲も必ずそれを乗り越えるという意思を感じます。
この曲はサイケの影響が出てるかな。


Tr6:After The Fall
これは南部的な響きが感じられるけど、ルーツ的な部分が
薄まっているのはギターのゆらゆらした響きにも要因がありそう。
いずれにせよいろんな音楽を消化吸収し昇華している
ノラ・ジョーンズならではという響きではありますね。


Tr7:4 Broken Hearts
ついに4人とも傷心・・・
やはり押し殺した重たい響きで曲が進むんだけど、
Bメロで急に明るく展開するのがなかなかいい。
なんとなく、レッド・ツェッペリンのスローな曲の雰囲気も。
しかしこうした曲が続いてもやはり不思議と気持ちに
重たくのしかかってくる感じがしなくて、なんでだろう、
ほんと、むしろ爽やかともいえる不思議な音楽。


04 風で落ちた桜の花はブロークン・ハーツか
ノラ・ジョーンズの新譜が出た

Tr8:Travelin' On
やはり旅を続けて前に進むしかないのか。
フォーキッシュな響きの中にチェロの音色がいい感じ。


Tr9:Out On The Road
少し引き気味のギターのアルペジオに乗って歌うノラの声が、
このアルバムではいちばん生に近い感じの響き。
少しテンポアップしたけど、まだ完全回復とまではいかない。


Tr10:Happy Pills
しかしここで突然明るい曲が。
アヒルの鳴き声みたいなコーラスが入って、ほのぼのとした
というよりもちょっと間の抜けた響きのアップテンポの曲。
でもこれは素直にとってもいい。
こういう曲も歌いたかったというノラの思いも声に出ています。
"Please just let me go now!"と歌っているけれどそれは、
相手にというよりは(それじゃストーカーまがいになるし・・・)
自分の心の中でけじめをつけたいということであり、
そうすることができるのが「ハッピーな薬」、なのでしょうね。


Tr11:Miriam
もうここまで来ると邪推のオンパレード(笑)、これは新しい誰か?
とろっとした曲だけど、前曲を受け明るく救われた気分になります。
地に足が着いた感じの広々とした響き。


Tr12:All A Dream
と思っていたところ、結局は元に、2曲目から9曲目までの
ふさぎ込んだような世界に戻ってしまいました。
前の2曲が夢だったのかといいたいのか、そうではなく、
ふさぎ込んだ世界が夢であればといいたいのか。
なんて、今回のアルバムはもう勝手に解釈しまくりですが、
ポップスターでもやっぱり人の子、それは同じですね。
そう思えるところがこのアルバムのいいところであるし、
本人も肯定的なメッセージを伝えたいのでしょうね。


Tr13:I Don't Wanna Hear Another Sound
日本盤ボーナストラックのこの曲にも触れます。
僕がボーナストラックを取り上げる時はそれがアルバムに、
合っているか流れを壊していないと感じる時だけど、
これはサウンドは同じ感じでも歯切れがよくて、
中に入れるとちょっと浮ついた感じがするかな、むしろ
最後にあってアンコール的にはいい曲かなと思いました。
ノラの声が他よりは生に近いのも、ボーナスだからかな。




強烈な曲はないんだけど、みんなじわっといい曲で、
もはや戸惑いもなく普通に聴いています。

と、書いてきて、最後にもうひとつ気づきました。

ノラが音楽以外の場所で、これは失恋の歌を集めたアルバム
と発言したのは、一種の「呪文」のようなものだと。
やっぱり聴き手は、マスメディアを通して触れた本人の言葉を
意識しないはずもなく、ノラがそういうならそうなんだと思ってしまう、
僕のような単純な人間は特に(笑)。
でも実際は心の強さを歌っているわけで、ノラの発言は、
自らの音楽の解釈の幅を広げたいという意図があったのかもしれない。
うまい、さすが世界的な歌手、そう思いました、もちろんほめ言葉として。
僕はいとも簡単に「ノラの呪文」にひっかかってしまいました(笑)。
でも今はそれがうれしいですね。



今朝は3日振りにA公園に行くと、桜が咲いていました。
3日前にはまだ兆しの兆しくらいだったのが、早いですね。
なんでも旭川では昨日、桜の開花と満開が同じ日だったのだとか。
たかが3日、でも春の3日、ですね。

ただ、曇っていたので写真を撮るにはあまり気のりしなかった。
とはいえせっかくの桜の前で、犬たちもポーズをとってほしかった。
まあ、撮影者がそんな気分だから、伝わったのかな(笑)。

05
ノラ・ジョーンズの新譜が出た






同じカテゴリー(ロックK-P)の記事画像
EARTH ニール・ヤング+ザ・プロミス・オヴ・リアル
CROSSEYED HEART キース・リチャーズ新譜
IN THROUGH THE OUT DOOR レッド・ツェッペリン
DARK SIDE OF THE MOON ピンク・フロイド
レッド・ツェッペリンSHM-CDボックス
MUSWELL HILLBILLIES ザ・キンクス
UNPLUGGED ニール・ヤング
A LETTER HOME ニール・ヤングの新譜
THE ROYAL SESSIONS ポール・ロジャース
同じカテゴリー(ロックK-P)の記事
 EARTH ニール・ヤング+ザ・プロミス・オヴ・リアル (2016-08-17 22:29)
 CROSSEYED HEART キース・リチャーズ新譜 (2015-11-10 19:54)
 IN THROUGH THE OUT DOOR レッド・ツェッペリン (2015-08-09 20:29)
 DARK SIDE OF THE MOON ピンク・フロイド (2014-09-30 06:29)
 レッド・ツェッペリンSHM-CDボックス (2014-09-27 21:29)
 MUSWELL HILLBILLIES ザ・キンクス (2014-09-02 20:29)
 UNPLUGGED ニール・ヤング (2014-08-25 21:02)
 A LETTER HOME ニール・ヤングの新譜 (2014-06-13 21:29)
 THE ROYAL SESSIONS ポール・ロジャース (2014-02-11 21:29)

Posted by guitarbird at 19:54 │ロックK-P

削除
ノラ・ジョーンズの新譜が出た