ナチュログ管理画面 エコロジーライフ エコロジーライフ 北海道・東北 アウトドア&フィッシングナチュラムアウトドア用品お買い得情報
ブログ作成はコチラ
あなたもナチュログでアウトドア生活を綴ってみませんか?
プロフィール
guitarbird
guitarbird
ゴジュウカラは、木の幹を下向きに歩ける唯一の鳥。 
ゴジュウカラを見習うと、違った視点が得られるかも・・・
僕が最も好きな鳥です。
これは北海道の亜種シロハラゴジュウカラ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 23人
Information
アウトドア用品の
ご購入なら!

QRコード
QRCODE


日本に生まれてよかった


鳥の名前と季節を追って


手軽な歳時記、改訂版


丸谷才一エッセイ傑作選


シェイクスピアに親しもう


4人は何を言ったのか


身の周りにある「遺産」


植物のすごさよ



友人著、「見る」とは・・・



写真による野鳥図鑑



これは使える!



野鳥の本のリンク



俳句の本のリンク



草思社の応援リンク



ちくま文庫のリンク


2014年09月02日

MUSWELL HILLBILLIES ザ・キンクス

いつものように
写真へのコメントも
大歓迎です!


「それらしい」風景写真を集めました。


01
MUSWELL HILLBILLIES ザ・キンクス

MUSWELL HILLBILLIES The Kinks released in 1971
マスウェル・ヒルビリーズ ザ・キンクス

ザ・キンクス
彼らについて話すと長くなり、それだけで記事数本分になるので、
ここではいきなり本題に入ります。
なおこれは、それまでのパイレコードから離れ、
メジャーのRCAに移った第1弾アルバムであります。

このアルバムは、
「英国小市民の代表」のようなレイ・デイヴィスが、
憧れのアメリカ音楽、細かくいえば、
カントリー音楽=ヒルビリーを
自分たちなりに消化し体現しようという
ひとつのコンセプトの下に制作されました。
テーマは、「英国の下町とアメリカのカントリーを結ぶ」、です。


音楽評論家に評価が高い音楽(アルバム)の傾向のひとつとして、
アメリカの音楽を深く追求し、
ぎこちないながらも、自分たちの色で表したもの

というのは、確かにあると考えます。
それは、売れた、売れないは直接的な問題ではありません。
例えば、ザ・ローリング・ストーンズの最高傑作アルバムは、
EXILE ON MAIN ST. 「メイン・ストリートのならず者」
であるという意見には多く接しますし、また、
ザ・バンドは、バンド自体がそういう存在であって、
ミュージシャンにも聴き手にも一目置かれています。
ビートルズの通称「ホワイトアルバム」も、アメリカだけに限らず、
「西洋音楽の博物館」と称されて評価が高かったようですし。
キンクスのこのアルバム、「マスヒリ」も、
キンクスの最高傑作と帯に書いてありますが、
これは多分にその点に依るのでしょう。

評論家の意見は、必ずしも大衆の趣向とは一致しないことは、
もはや僕などが書かなくても、半ば「常識」となっていますよね。
むしろ評論家というものは、本人そして受け手双方の意識の中に、
大衆受けするものを嫌ってこそ、みたいな部分はあります。
ただ、ここでは評論家がどうこうではないので先を急ぐと、
アメリカ音楽を深く追求し自分たちの色で表現したものの評価が高い
という点に関しては、僕も、それとほぼ同じ意見の持ち主であります。

僕にとってやはり、アメリカの最大の魅力は「音楽」であり、
全米各地に多種多様な音楽が展開されて根付き、
オペラでさえも大衆に受け入れられるという音楽好きの国には
敬意すら抱いています。

02 農村風景、足寄町
MUSWELL HILLBILLIES ザ・キンクス

この「マスヒリ」は、レイ・デイヴィス
アメリカ音楽への長年の憧憬を具現化したものです。

しかし、高邁な思想で眉間にシワを寄せて研究分析し
求道的姿勢で忠実に再現してゆくといったものではなく、
感じたことをたどたどしくても自分でやってみるという心意気。
しかもそれを、英国小市民の代表のようなレイがやることで、
エリック・クラプトンが「本物の」ブルーズをやってしまったような
「戸惑い」みたいなものは、感じません。
アメリカには行ったことがない僕には、
ほんとに本気でアメリカ音楽そのものをやってしまうよりも
むしろ、リアルにストレートに伝わってきますし、
またそこが、価値がある素晴らしいアルバムだと思います。

英国の下町のパブとアメリカをつなげるというテーマも、
素直に思いが伝わり、遊びも余裕も感じられます。

サウンド的には、アコースティックギターを基調とし、
スライドギター、バンジョー、ブラスと、
いかにもアメリカを感じさせるものとなっています。

何よりこのアルバムは曲が素晴らしく、
どの曲もみな、鼻歌には最高です!
また、英国のパブを舞台にしているだけあって、
全体的に、ほろ酔い加減というか、
いい感じでお酒が入った、楽しげな雰囲気に満たされています。
ただ、悪酔いしたり、酒が招く悲惨さも、あるにはありますが・・・
とにかく、酒をモチーフにしたこのアルバム、痛快でもあります。
もちろん、酒を飲まない人でも、気持ちよさは伝わってくるでしょう。
思わずニヤリとしてしまう
ユーモアをウィットに富んだ歌詞も相変わらず。

さて。
これを記事にしようと思いついてから時間が経っているのは、
記事を書き進めてゆくうちに、最初の僕の意向通りのことを書く力が
今の僕にはないことに気づかされたからです。
具体的にいえば、この曲はアメリカのどんな音楽の影響、
ということを具さに触れていこうと思っていたのです。
しかし、それが出来ないと分かり、最初は、
本を読んだりして勉強してから書き進めようと考えました。
しかし、そんな取ってつけたようなことをしても意味がないので、
記事にするのをやめようかとも思ったのですが、
大好きなアルバムだし、CDを聴いて気持も盛り上がってるし、
やはり記事にはしたいと・・・
だったら、今まで通りに、僕がこう思ってこう感じた、
それを書き綴ってゆけばいいじゃないか、と割り切れるまで
ひと月近くかかった、というのが真相です。
アメリカの音楽は、まだまだもっともっと勉強しないと・・・


03 斜里岳とディーゼルカー、斜里町
MUSWELL HILLBILLIES ザ・キンクス


Tr1:20th Century Man
★佳曲★
アコースティックギターの思わせぶりなイントロ出だしに続き、
軽快なカッティングで軽やかにアルバムがスタート。
アップテンポな曲の中にある、微妙なテンポの揺れが、
まるで酒で脳を刺激されるかのような、心地よい響き。


Tr2:Acute Schizophrenia Paranoia Blues
カントリーとブルーズがつながっていることが分かる曲。
間の抜けたような歌い方をサポートする
やはり間の抜けたようなブラスとスライドギターが、いい味。


Tr3:Holiday
★佳曲★
まさに、休日にバーでピアノを囲んで和やかに語らい合う雰囲気。
ホンキートンク調のピアノがまた盛り上げています。
このアルバムの数ある素晴らしい点のひとつは、
曲の世界が、決してスーパースターのものではない、
庶民の視点で描かれていることでしょう。


Tr4:Skin & Bone
★佳曲★
シンコペーションが印象的なほのぼのとした軽快な曲。
手を前後に揺すって踊りたくなる(笑)。
サビの歌詞にあるbutter scorn、いちど英国で食べてみたいなぁ・・・
そうした感覚は英国のものだけど、それをアメリカの音になじませ、
まさにこのアルバムのコンセプトを言い表す曲。


Tr5:Alcohol
★GB★秘宝★
間違いなく、僕がキンクスでいちばん好きな曲!
ディキシーランド風の、とろっとしたマイナー調の曲からは、
酒にまつわる人生の悲哀がストレートに伝わってきます。
なんといっても、サビの部分の歌詞と歌メロが最高にいい!
Oh, demon alcohol
Sad memories I can't recall
いつも言うロックの醍醐味、旋律とリズムと語呂の絡みが最高!
1回のサビでその歌詞の部分が2回出てきますが、
レイ自身もきっと、この部分は大のお気に入りなんだろうなあ。
このサビ、まさに自分で歌って自分で酔います(笑)。
都合が悪いことは酒のせいにしてしまう人間の弱さ・・・
それにしても、酒を飲んで
何か(彼女に対して)やらかしたんでしょうかね。
そんな悲哀が伝わってくる一方で、
どこかに確かにユーモアを偲ばせ、決して悲観的にはならない。
個人的に言わせてもらえば、レイ・デイヴィスの表現芸術の傑作!
ライヴでは、もっとダレた雰囲気で歌っています。
酒の名前がいっぱい出てくるのも楽しいですし。
そして歌詞にskid rowという「見なれた」言葉が出てきますが、
これは、「ドヤ街」という意味。
僕は今まで、いろんな曲をおすすめしてきましたが、
この曲ほど、とにかく聴いてもらいたい曲もなかったかも(笑)。



04 とある川、南富良野町
MUSWELL HILLBILLIES ザ・キンクス


Tr6:Complicated Life
★佳曲★
サビの ♪だりらりらぁ~らぁ~ だぁりらりらぁ~らぁ~
という部分がとにかく印象的。
レイのヴォーカルもたるくて、この緩さがたまらない!
ラストは、ニュー・オルリンズの葬送のマーチのような
なんとも言えない雰囲気で盛り上がります。
まるで、「複雑怪奇な人生」から送り出すかのように・・・
あ、葬送といっても、ニュー・オルリンズの葬送は、
最後は明るい曲で締めくくるのが習わしのようなのですが。


Tr7:Here Comes The People In Grey
軽快なホンキートンクのブギーは、
僕がいつも言うところのフェイセズ風パブ・ロック。
このアルバムのコンセプトにはぴったりの音。
そういえばこのアルバムには、意図的か偶然か、
弟のデイヴ・デイヴィスがメインヴォーカルの曲がないですが、
その分デイヴはこの曲でコーラスに張り切っています。


Tr8:Have A Cuppa Tea
★佳曲★
二日酔いの朝にお茶を・・・
たまには酒ではなくてお茶を・・・
いかにも「英国小市民」代表のキンクスらしい小品。
「ハレルヤッ!」というサビもまた印象的。


Tr9:Holloway Jail
アメリカには刑務所をモチーフとした曲が多いんですが、
その辺が、アメリカへの憧憬を形にしたところでしょうか。
ジョニー・キャッシュを敬愛してやまないレイの思いも伝わります。
このへんの分かりやすさがまた、このアルバムの聴きやすさ。
アルバムの中でいちばん重たい曲ではあります。


Tr10:Oklahoma U.S.A.
そしてこうくるし(笑)。
賛美歌のような雰囲気で、
アメリカへの思いを、しみじみと、たっぷりと語る。
アコーディオンの響きが、郷愁を誘います。


Tr11:Uncle Son
もいっちょ緩い曲。
スライドギターが泣かせる、思いっきりカントリーブルーズ風。
オルガンもまた効果的。



05 シラカンバ林に挟まれた峠道、日高町
MUSWELL HILLBILLIES ザ・キンクス


Tr12:Muswell Hillbilly
★佳曲★
そして本編最後にタイトル曲が控える。
ただし、アルバムタイトルは複数形なのが、曲は単数形、
このへんの芸の細かさにも、ニヤリとさせられます。
曲の途中から始まるような歌メロが印象的で、
しかも基本的にはその歌メロを延々と繰り返すだけという、
人を食ったような、とにかく明るく楽しい曲。
それでいてじわっとしみてきて、なぜかほんのりと涙を誘います。
キンクスは、ザ・フーに先んじてロック・オペラを考えただけあって、
アルバムの流れとして、ここで締めますよという雰囲気の作り方、
上手いのひとことですね。
このアルバム、地味ながらもベースの貢献度が高いですが、
この曲はとりわけベースラインが素晴らしい。

ここからはボーナストラック。

Tr13:Mountain Woman
レイ・デイヴィス本人がどう思うかは分からないけど、
僕は、この2曲もアルバムとして捉えています。
これがないと寂しい、アンコールのようなものです。
小気味よく切れがいいアップテンポの曲に、ちょっと泣きが入った
レイ・デイヴィス節がふんだんに織り込まれています。


Tr14:Kentucky Moon
ボーナスの最後までコテコテのタイトルで攻めまくり。
もう、その世界に浸るより道はないですね(笑)。
歌詞にもアメリカの地名がたくさん出てくるし。
このボーナストラックの2曲、
なぜ当時未発表だったのか不思議なほど素晴らしいですが、
それは、LPという時間の制約があったからかもしれません。



まとめ、「ブルーグラス」との兼ね合いについて。
僕も、最初にこのアルバムを聴いた頃は(まだ数年前ですが)、
カントリーだなぁ、と「思い込んで」いたのですが、
最近は、「カントリーではない」、と思うようになりました。
全体の雰囲気は、確かにカントリーっぽくはあります。
しかし、カントリーも含めたアメリカ音楽全体への憧憬
ということに気づくのに、少し時間がかかりました。
それは、「英国とヒルビリーをつなぐ」というコンセプトに
騙されていたのかもしれません。
しかし、騙されたと書くと、
当のレイ・デイヴィスはほくそ笑んでいるかもしれません。
いいんです、それもまたロックですから(笑)。

そして、どれだけアメリカ風を装ってみても、
やっぱり中を貫くのは、確かに英国人の感覚であり、
それを強く感じるところが、このアルバムの素晴らしさですね。


酒が好きでロックが好きな人には、
これ以上のアルバムはない、という感じです。

そして、僕が好きな1970年代の全ロックのアルバムで、
間違いなく上位5指に入るくらい、大好きなアルバムです。




今回、この記事を上げることにしたもうひとつの理由が、
遠征で撮った風景写真がある程度たまってきていて、
それを使いたいから、というのもありました。
とりわけ「カントリー」にこだわった風景写真。
といって、いつもと同じような風景写真かも、ですが(笑)、
しかしこのアルバムは、とりわけ北海道に合うように思います。

06 農村風景、富良野市
MUSWELL HILLBILLIES ザ・キンクス






同じカテゴリー(ロックK-P)の記事画像
EARTH ニール・ヤング+ザ・プロミス・オヴ・リアル
CROSSEYED HEART キース・リチャーズ新譜
IN THROUGH THE OUT DOOR レッド・ツェッペリン
DARK SIDE OF THE MOON ピンク・フロイド
レッド・ツェッペリンSHM-CDボックス
UNPLUGGED ニール・ヤング
A LETTER HOME ニール・ヤングの新譜
THE ROYAL SESSIONS ポール・ロジャース
HARVEST ニール・ヤング
同じカテゴリー(ロックK-P)の記事
 EARTH ニール・ヤング+ザ・プロミス・オヴ・リアル (2016-08-17 22:29)
 CROSSEYED HEART キース・リチャーズ新譜 (2015-11-10 19:54)
 IN THROUGH THE OUT DOOR レッド・ツェッペリン (2015-08-09 20:29)
 DARK SIDE OF THE MOON ピンク・フロイド (2014-09-30 06:29)
 レッド・ツェッペリンSHM-CDボックス (2014-09-27 21:29)
 UNPLUGGED ニール・ヤング (2014-08-25 21:02)
 A LETTER HOME ニール・ヤングの新譜 (2014-06-13 21:29)
 THE ROYAL SESSIONS ポール・ロジャース (2014-02-11 21:29)
 HARVEST ニール・ヤング (2014-01-08 20:29)

Posted by guitarbird at 20:29 │ロックK-P

削除
MUSWELL HILLBILLIES ザ・キンクス