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2013年11月20日

JOHN WESLEY HARDING ボブ・ディラン

01
JOHN WESLEY HARDING ボブ・ディラン

JOHN WESLEY HARDING Bob Dylan
ジョン・ウェスリー・ハーディング ボブ・ディラン
 (1967)

ボブ・ディランのモノーラル時代のアルバムを
紙ジャケットで再現して集めたボックスセットが出ました。
ディランは、アルバムの数が膨大ともいえるほど多いので、
何か、何でもいいからきっかけがある度に記事にしていますが、
今回はそのボックスセットの中から、これを選びました。

02
JOHN WESLEY HARDING ボブ・ディラン

こちらがそのボックスセットと内容物。
デビューアルバムからこのアルバムまでの8枚が
紙ジャケット仕様で収められていますが、その紙ジャケットは、
同じSONY/BMG系の例のちゃちな5枚組のものとは違い、
厚紙でひとまわり大きく作られており、ダブルジャケットも再現、
CDを入れる紙も入って、しっかりとした作りになっています。
また、写真満載の資料のブックレットが別に箱の中に入っています。

ボブ・ディランはロックへの影響が大きい人であり、
自らもロックを築き上げてきた偉大な人物であるのは、
いまさら説明不要でしょう。
60年代のアルバムはみな時代を写す鏡であり、
時代を作ったロックのマスターピースとなっていて、
いわば次元が違う存在であったのではないでしょうか。

そのディランは、いつ頃から「時代の人」ではなく
「普通の大スター」になったのだろう。
リアルタイムでディランを経験していない僕が、
本や映像などで後から接したロックの歴史を基に考えると、
なんとなくこの辺りかな、というのが僕なりに見えてきました。
それがこのアルバムです。

ディランは、前作である1966年の2枚組の大作
BLONDE ON BLONDEで時代を統括し、
バイク事故による怪我の後でベスト盤を出し、次の局面に進みました。
そもそも、アーティストが2枚組アルバムを出すというのは、
次の局面に向かうという意味があることが多いように思います。
ビートルズは、1968年、自らが設立したレコード会社Appleから
通称「ホワイトアルバム」をリリースした後、
思惑がすれ違うようになり、解散に向かって進み始めました。
ピンク・フロイドは、1979年のTHE WALLで、映画にまで発展する
壮大なコンセプトアルバムを制作した後、
余り物を集めたようなアルバムを出してバンドが割れました。
逆の例としては、プリンスの場合、1999で世の中にも受け入れられ、
次作とそれを基にした映画の大ヒット、大ブレイクにつながりました。
ローリング・ストーンズのようにその後も勢いが続いた例もありますが、
2枚組アルバムがアーティストに何かが起こる兆しであったことは
ままあるのではないかと思います。
そしてボブ・ディランの場合は「時代の看板を下ろした」
単なる偶然だと思うのですが、2枚組の後に事故で活動できなくなり、
契約の関係か何かでベスト盤を出して休止していた、
その間に「時代が変わった」というのは、うん、考えると、
偶然以上の時代の符号のような気もします。

ここで、ディランに影響を受けた人の代表として
ジョン・レノンの話を、例のインタビュー本から紹介します。
音楽が時代を規定するものなのかという話の流れで、
ディランに話が及んだ際の部分を引用します。

PB:あなたはボブ・ディランのファンでしたか?
JL:違う。
HIGHWAY 61 REVISITEDとBLONDE ON BLONDEのあと、
ディランの音楽を両耳で聴くのをやめたんだ。
そのころですら、ジョージがぼくに聴かせようとしたから、
聴いてただけなんだ。


「両耳で聴くのをやめた」というのは比喩として分かりやすい。
僕がジョンのこの言葉に影響を受けたのは間違いないですが、
しかし、ジョンも時代の空気を感じていたのかもしれません。
だって、ジョンもその時代に生きて感じていた人でしたから。
ただし、ジョンがディランを大好きで影響を受けていたことは、
他の書籍などでもよく知られていることではありますが、
このインタビューはジョンが復活直後の意気込みがある頃のもので、
自信も戻り、他の人を崇める気分でもなかったのかもしれません。

もちろん、ここから後のアルバムが良くないと言うつもりはありません。
ディランがソングライターとして脂が乗ってきたのは、
むしろこの後のことかもしれないですし。
ただ、時代との関わり、時代の空気の反映、影響力という点で、
このアルバムは少し緩くなっているのを感じます。
このアルバムが「時代の音」から少し離れたと感じるのは、
本人の意欲や意志が反映されているのかもしれないですね。

そう思ってこのアルバムのステレオのリマスター盤を手に取ると、
帯の役割をするシールに、こんなことが書いてあるのに気づきました。
「ロックのアルバムとして初めてルーツに戻ったアルバム」
つまり、
過去の音楽を自分なりに解釈して新しい形で呈示するのではなく、
「過去に戻って再現した」ということなのだと思います。
ディランが時代を作ってきたのは、新しい形で呈示するからであり、
60年代においてはそこに意味があったのでしょう。
そしてだからこのアルバムは、「過去に戻った」という点で、
ディランが自らの意志で「時代の看板を下ろした」という解釈も、
正解ではなくてもあまり遠くないのかな、とも思います。
実際、ディランの次のアルバムはカントリー色が濃くなっていて、
いわば「既成の音」の中で表現していますし。
さらにこのアルバムは、ルーツに戻ったことの影響で、
エレクトリック・ギターをあまり使っていないのが、音自体も古くさい、
新しいものではないと感じさせる部分かもしれません。
ベースは普通にエレクトリックのもを使っているのですが、
とってもシンプルに響いてくるアルバムです。
ただ、ディランは、「過去に戻ることが新しい」ということを
言いたかったのかもしれないですね。
そうだとすれば逆に、時代が早すぎたのかもしれません。

しかし、いい曲を書く人という点では、
まだまだ影響力は強かったのでしょうか。
ここには、ジミ・ヘンドリックスのカバーで有名になった
All Along The Watchtowerが入っていますが、
ジミのバージョンは、ディランの過去に戻った「古くさい」曲を、
時代の寵児だったジミの手により「時代の音」に焼き直された、
というところだと思います、面白いですね。

このアルバムは逆に、時代の看板を下ろしたがゆえに、
むしろ肩肘張らずに気楽に聴けてそれなり以上に満足できる、
そんなアルバムだと思います。
僕も最初に聴いて、といってもう20代前半でしたが、
これは素直にいいなと思いましたから。
そしてこれは、「フォーク歌手ボブ・ディラン」
というイメージには合う1枚であるとも思います。
もちろんそれだけでとうてい語りきれる人ではないのですが、
フォークの面がよく出たアルバムではあるでしょうね。

このアルバムの曲はすべてボブ・ディランひとりが書いています。
(All songs written by Bob Dylan)


03 何の塔だろう・・・屯田の朝の風景
JOHN WESLEY HARDING ボブ・ディラン

Tr1:John Wesley Harding
西部劇の物語に見たてたアルバムのテーマ曲ですが、
ほんとうにテレビドラマのテーマ曲のような軽くてつかみがいい曲。
タイトルを歌う部分は耳につきついつい口ずさんでしまいます。


Tr2:As I Went Out One Morning
ミドルテンポの少し悲しい曲。
ベースが小気味よくメロディアス鳴ってよく目立ちます。
そうか、伝統的なフォークのスタイルだけど
ベースが目立つというのが新機軸なのかな。


Tr3:I Dreamed I Saw St. Augustine
静かに語りかけてくる、安らぎを求めるような曲。
この記事はいつもの洋書BOB DYLAN LYRICS 1962-1985で
歌詞を読みながら書いていますが、この曲については、
宗教的な背景など、日本人の僕にはあまり分かりませんでした。


Tr4:All Along The Watchtower
「見張り塔からずっと」
ジミ・ヘンドリックス Jimi Hendrixの曲として、より有名でしょう。
彼はこの翌年にカバーしているので、余計にそういう印象が強いかも。
何かの危機がすぐそばにあるけど気づかないことに
警鐘を鳴らしている緊張感あふれるメッセージソング。
時代の人ではなくなっても、名曲を生み出す勢いは
まだまだあったということでしょうね。


Tr5:The Ballad Of Frankie Lee And Judas Priest
打って変わってのどかな雰囲気のこの曲は、
曲名からも分かる通り、正統派フォークバラード。
ところで、ヘヴィ・メタルの中のヘヴィ・メタルと呼ばれる
「メタルゴッド」ことジューダス・プリースト Judas Priest
この曲からそのバンド名をとったということで、
メタルマニアがいるわが家においてこの曲はとても存在感があります。
ディランはメタルにまで影響を与えているのですね。
ジューダス・プリーストは、フリートウッド・マックやジョーン・バエズの
曲もカバーしていて、意外とといってはなんですが、
音楽的背景が広いことがうかがい知れ、そう考えると
ディランから影響を受けているのも納得できるところでしょう。
でもこの曲は歌詞が長くて件の本でも足掛け4頁ありますが、
だからとてもじゃないけど覚えて歌えません(笑)。


Tr6:Drifter's Escape
4小節の同じ歌メロをずっと繰り返してたまにハーモニカを入れるだけ。
展開しないのかなと思ったらフェイドアウトして、はい終わり。
アルバムの中にこういう曲があるとかえって面白い。


04 幌見峠の送電線の鉄塔
JOHN WESLEY HARDING ボブ・ディラン


Tr7:Dear Landlord
歌い出しは甘くて優しい雰囲気なのに、
後半になると何かに追われたかのような切迫感に襲われる曲。
神への祈りが通じないのかな・・・
その歌い出しは耳に粘りつく印象的な旋律。


Tr8:I Am A Lonesome Hobo
2曲目と同じ感じのベースが張り切るちょっと暗い曲。
ディランにはよくあるモチーフの曲ですが、だから僕は、
他のアーティストの曲でも、Hoboという単語を聞くと
反射的にディランを思い出してしまいます(笑)。


Tr9:I Pitty The Poor Immigrant
どうすることもできない虚しさがじわっとしみ出てくる曲。
こういう曲での説得力は唯一無二であり、
ディランの歌詞の言葉の強さを感じます。


Tr10:The Wicked Messenger
この曲も歌詞の真意や背景を読み解けなかったです。
曲は何かに怒ったような、焦っているような歌い方。
ベースの動きがギターと歌を重たくサポートしていい感じ。
叩きつけるようなギターの印象的なフレーズ。


Tr11:Down Along The Cove
ここでエレクトリック・ギターが出てきて
カッティングなどの味付けをしていますが、でもやはり目立たない。
間奏のハーモニカの後ろでソロらしきものを弾き始めたところで、
今度はピアノの音が大きく入ってきて隠れてしまう。
エレクトリック・ギターがまったくゼロではないというのは、
それを排除するつもりはまったくなく、逆に言えば、
このアルバムは、アコースティック・ギターで演奏することに
必然性をより強く感じていただけなのかもしれません。
ただ、ここまできてどうせなら1曲も入れないでほしかった
なんて言ってはいけないのでしょうかね(笑)。


Tr12:I'll Be Your Baby Tonight
アルバム最後にラブソングの名曲が控えていました。
ディランの中でもとりわけ素直で優しい響きの曲ですが、
こうした曲は、作ったというより出来た、或いはそれ以上に、
形にならずにさまよっていたものをディランが捕まえて音にした、
そんな感じできわめて自然に響いてきます。
ハワイアンのような響きのスライドギターがまたいい感じ。
これはいいですね、とってもいい、素晴らしい、素敵な曲。
このアルバムでは、つらいこと、虚しいことを聴いてきましたが、
最後にこの曲があると思うと、それらも忘れて癒されます。
もちろんそれらの曲が良くないというのではないですが、
アルバムというのは、すべてが印象深い曲であると疲れますし、
それがアルバムの流れというものだと思います。
この曲が最後にあるとないとでは、印象が百倍違います。
いいアルバムを聴いたなって、心から思えます。





今日のAmazonのランク、左のモノーラルボックス輸入盤が2031位、
リンクは施していないですがその国内盤が1651位、
一方で右のステレオ輸入盤が44809位。
ボックスは割と動いていますね、さすがです。
そして下の段のリンクは同時に出たモノーラル録音のベスト盤で
こちらは1204位。

名曲があって、間を雰囲気がいい曲が埋めて、
その流れがとってもいいアルバムだと思います。
力を抜いて聴くと、フォークソングの魅力に浸れる1枚ですね。
ディラン自身も、そろそろ俺の音楽を力を抜いて聴いてほしい、
と思いながら作っていたのかもしれないですし。

さて、ディランのアルバムはあと何枚あるんだ(笑)。

このところ、ビートルズやジョン、ポール、ディランにZepと
特に大好きなアーティストのアルバム記事が多くなっています。
それらの幾つかはリマスター盤が出るなどの理由があるのですが、
しかし、考えてみるとここは個人のBLOGであるので、
特に大好きなアーティストばかりを取り上げるのは、
かえって自然なことなのだ、と自己弁護する今日この頃です(笑)。






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Posted by guitarbird at 20:29 │ロックA-B

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