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ゴジュウカラは、木の幹を下向きに歩ける唯一の鳥。 
ゴジュウカラを見習うと、違った視点が得られるかも・・・
僕が最も好きな鳥です。
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2014年03月20日

平凡社『日本の野鳥650』

01
平凡社『日本の野鳥650』


野鳥愛好家(またはバーダー)必携の図鑑
平凡社『日本の野鳥590』がこの度、内容を大幅に刷新、
『日本の野鳥650』
真木広造(写真)/大西敏一・五百澤日丸(解説)

として新たに刊行されました。

この図鑑は、おなじみの鳥から、今まで日本国内において野外で
一度でも観察された記録がある鳥はほぼすべて載っています。
ただ、コジュケイやドバトそれにガビチョウなど、外来種として
日本に定着した鳥は、「外来種」の項目にまとめられています。
(そうですドバトは野鳥ではないのです)。
他、「検討種」として、情報の確度が低い種も取り上げられています。

590が刊行されたのが2000年秋。
今回は数字で見る通り60種ほど増えたわけですが、
日本のバーダーが質量ともに向上した結果、その間に
新たに確認された鳥が増えたのがその主な理由です。

この図鑑がすごいのは、すべての鳥を写真で紹介しており、
その上、それを真木広造氏ひとりが撮影していること。

中には、対馬にかつて生息し絶滅したと考えられるキツツキ科の
キタタキや、北海道にいると言われている同じくキツツキ科の
ミユビゲラの写真もありますが、それら撮影困難(不可能)な鳥は、
海外に出向いて同じ種の写真を撮って載せています。
ミユビゲラはいつか見たいですが(海外では普通にいる地域がある)、
キタタキを写真で見ると、絶滅したことの意味を考えさせられます。
その他、日本で一度しか記録がない迷鳥など、海外の写真も
多いですが、海外に撮りに行く情熱自体が敬服ものです。

写真の枚数が増え、よりその鳥の特徴が分かりやすくなったことに加え、
そもそも鳥の写真集としても楽しめます。


02 新版650と旧版590
平凡社『日本の野鳥650』

今回の刷新においてはしかし、もっと大きな変化があります。
鳥の並び順が大きく変わりました。
2012年に『日本鳥類目録第7版』が発表されたことが背景としてあり、
前述の補足ですが、第7版では633種が載せられており、
その12年前に発表された第6版の542種から増えています。

この本は分類系統順に鳥が登場するように編集されています。
おおまかにいえば、進化の過程で早く分岐した科から登場するものです。
しかし近年、DNA分析など新たな研究が進んだ結果、
それまでの目、科、属などの分類体系が見直され、
大きく変わるものが出てきました。

例えば、ハヤブサは6版ではタカ目だったものが、
7版ではハヤブサ目に独立しました。
590では同じ目であるタカの後に載っており、通常は「猛禽」として
ひとくくりで捉えるものなので、それが当たり前だと思っていましたが、
目が変わったことで間に別の目の鳥が入った結果、
図鑑としては少々見にくくなったのは否定できません。
なお、ミサゴもタカ科からミサゴ科に独立しましたが、こちらは
目は変わっていないため、タカ科の前に続いて載っています。

ツグミ科がヒタキ科に吸収されました。
ただ、ツグミ科に関しては僕が高校時代に買った日本野鳥の会の
図鑑では「ヒタキ科ツグミ亜科」だったので、いわば戻ったわけで、
これはまあまだ納得しやすい部分ではあります。
ただ、オオルリとコルリはヒタキ科とツグミ科で科が違うんです、
という野鳥観察会の時の格好のネタが話せなくなりました(笑)。


03 話が長いのでハウで閑話休題・・・
平凡社『日本の野鳥650』

いちばん変わったのは旧ウグイス科。
キクイタダキ科、ウグイス科、ムシクイ科、ズグロムシクイ科、
センニュウ科、セッカ科6つに分かれました。
しかも、、見直しによりウグイス科とムシクイ科の間にエナガ科が、
ムシクイ科とセンニュウ科の間にメジロ科が入り込み、
それまでの一つの科がいわば分断されたかたちになりました。
キクイタダキに至っては、ウグイス科のかなり前になり、間に
ヒヨドリ科、ツバメ科、ヒバリ科そしてシジュウカラ科といった
おなじみの科が複数入り込んできて、こうなると逆に、
どうして今まで同じ科だったのかが不思議に思えてなりません。
まあでも、キクイタダキはほんとうにウグイス科なのかと思っていた
部分も多々あったので、これに関してはすぐに納得できました。

これは慣れるまで大変そうで、ウグイスとセンダイムシクイが
別の科というのは、いまだにかなり違和感があります。
また、セッカ科が出来たことにより、センニュウ科に入れられた
オオセッカとは別の科になりページも少し離れました。
旧ウグイス科は図鑑の中でも大所帯のほうでしたが、この結果、
新ウグイス科はウグイスとヤブサメ、たった2つになってしまいました。
名前が出たので触れると、小笠原諸島固有の鳥であるメグロは
旧ミツスイ科だったものが新たにメジロ科に組み入れられました。
だから、ムシクイとセンニュウの間にメグロが出てきたことで
余計に驚きました。

鳥の並び順が変わったことは、知識や情報という面以上に、
図鑑の中での並びが変わった、これに慣れることが大変です。
590ではアビがいちばん最初に出てくる鳥でしたが、
650ではエゾライチョウが冒頭を飾ることになりました。
でも、北海道民として、これはなんとなくうれしいですね(笑)。
(広島県の人ごめんなさい、アビは広島県の鳥)。
それはともかく、590では、どの鳥のページはどの辺りと
感覚で覚えていてページを開いていたのですが、
それを覚え込むのをやり直さなけれならなくなりました。
感覚をやり直すということは、ひたずら本のページをめくらなければ、と。

それにしても、最後がカラスじゃないのは違和感があります。
カラスが最後に構えていると、なんというか、落ち着く感じがしました。
650ではスズメ目カエデチョウ科のシマキンパラが最後です。
ただこれは、南西諸島に留鳥として生息していますが、それが
飼い鳥のカゴ脱けか自然分布の広がりかは定かではない、とのこと。

そうそう、分類体系が見直されたことにより、スズメが
スズメ目ハタオリドリ科からスズメ目スズメ科に変わりました。
でもこれは、そのほうがいいですよね。
だって、スズメ目って目があるのにスズメ科がないのは、
なんだかちょっと奇妙だなと思っていましたから。

分類体系が変わったことが今、野鳥愛好家の間に混乱を招いており、
なにもここまでと意見する人もいるのですが、それが指針である以上、
覚えて慣れていくしかないですね。

植物でも同様のことになっていますが、植物の方が種数が膨大であり、
種によっては差異がごくわずかしかないため、鳥より大変でしょうけど。


04 いつものハシブトガラ・・・
平凡社『日本の野鳥650』


僕にとって最も身近な変更は、「オオムシクイ」なる「新種」ができたこと。
「オオムシクイ」は旧ウグイス科の「メボソムシクイ」から
新ムシクイ科の種として独立したものです。
以前の図鑑では「メボソムシクイ」の中に幾つかのタイプがあり、
北海道で見られるものは、5月下旬に南から渡って来て少し滞在し、
さらに北の大陸に渡って繁殖、しかし一部が知床などでも繁殖する
「メボソムシクイのひとつのタイプ」と紹介されていました。
また、本州四国九州の高山で繁殖する夏鳥で北海道には来ないタイプは、
囀りや幾つかの体の特徴それに行動様式が違うので、
別種ではないかという説もあると紹介されていましたが、今回、
北海道に来るものが「オオムシクイ」と分かれて「新種」となったわけです。
「メボソムシクイ」という種は北海道に来ないタイプの名前になりました。

オオムシクイ、旧メボソムシクイは、もう木々の葉が出きった頃に
やって来るので、今までまともな写真が撮れていません。
今年こそは、と、図鑑を見ながら意気込んでいます。
(だから写真がないのでハシブトガラとアカゲラですいません・・・)


05 いつものアカゲラ雄・・・
平凡社『日本の野鳥650』


ところで余談。
オオムシクイの部分でひとつ気になる記述がありました。
あ、これは戯言の範疇であり、書いた方に対して文句だとか
そんな大それたことを言うつもりはなく、軽く読んでいただくとして、
オオムシクイの鳴き声をこの図鑑ではこう記されています。
「ジジロジジロ・・・」「チチロチチロ・・・」と3拍子
「ジジロ」鳴きは時期になると街中の公園でも聞かれるほどこちらでは
おなじみですが、この「3拍子」、僕は「3連符」だと思います。

オオムシクイの「ジジロ」という鳴き声は「ジ」「ジ」「ロ」が長さが
同じで音と音の間隔も同じだから、確かに3拍子ではあります。
でも、僕は「ジジロ」ひとつまとまりが1拍の3連符と解釈しています。
つまり「ジジロジジロジジロジジロ」で4拍の4拍子ということ。
3連符は、本来8分音符「♪」が2つで4分音符「♩」ひとつの1拍に
なるところを、「♪」3つを「♩」ひとつの1拍として数えるリズムで、
昔のR&Bに多く、テンポが遅いと12/8拍子と記されることもあります。
3連符で最も分かりやすい例が、ビートルズのAll My Loving、
ジョン・レノンが弾くあの有名なリズムギターのリズムですね。
つまり、オオムシクイはAll My Lovingの伴奏をしているのです(笑)。

それはともかく、「ジジロ」がもし3拍子だとすれば、オオムシクイは
2秒で12拍以上打っているので、♩=360、1分間で360という
とんでもなくテンポが速い曲になってしまいます。
僕はそんな曲は聴いたことがないです。
だから、「3連符」と僕は呼んでいます。
まあでも、感覚的に「3拍子」でも分かります、というか
そのほうが分かりやすいでしょうね。

なんて、結局は鳥の話題にビートルズを出したかっただけじゃないか、
と言われれば、否定しようがないかな・・・
まあ「自然と音楽を愛する者」なのでどうかお許しを。

ちなみにヒガラの囀りは「ツツピー」と書きますが、「ツツ」が「♬」で半拍、
「ピー」が「♪」で半拍、つまり「ツツピー」で「♬ ♪」つうまり「♩」分の1拍、
1小節で「ツツピー」を4回、が僕のテンポです。




650が出版されたことを知ったのは、東京にいた時でした。

まちの小さな書店の社長をしている友だちと会う約束をしましたが、
仕事で神田神保町に出てくるというので、そこで会うことにしました。
前半は仕事に付き合わされることになったのですが、取次と呼ばれる
本の問屋にそれがあるのを見つけ、でも一般人は買えないので、
友だちに買ってもらいました。
友だちは書店だから、卸価格で買えるのです。
つまり、安く買えたということ。
ただ僕は、この本はきっと1冊は売れるだろうから店に置いてみて
と進言し、友だちはもう1冊買って店に置くことにしました。
売れたかな・・・売れなかったら僕が買い取りしなきゃならないかな・・・

ついでにいえば、590を買ったのは、めったに行かない西友の
市内のある店の書店でした。
当時はまだコーチャンフォーもなく、街の書店にもあまり行かなかったので、
その本が出ているのは知らなかったのですが、せっかく見つけたのだから
とそこで買いました。
とまあ、このシリーズは買ったことそのものが思い出になっていますね(笑)。


野鳥がお好きな方は、ぜひ一家に1冊!!


06
平凡社『日本の野鳥650』








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この記事へのコメント
「590」の方は買わなかったのですが、この「650」は私も買おうと思っています。
真木さんってスゴイ野鳥フォトグラファーですね。写真を見ているだけでも楽しめる図鑑です。
野鳥の新分類について、私の鳥仲間の中には「認めない」と言っている頑固なベテランバーダーもいて、「鳥学会がまだ根拠を示していないのはけしからん」と憤慨しています。
そうは言っても、これからは新分類に慣れるしかないですね。
ほとんどのバーダーがまだ混乱している最中でしょう。
Posted by fagus06 at 2014年03月21日 08:15
fagus06さん、こんにちわ
650ぜひお買い求めください。
消費税増税前に・・・(笑)・・・
真木さんの情熱はほんとうにすごいですね。
この本にある本人の言葉の中からもそれを感じました。
私はミユビゲラ見てみたいですが、でも、見てみたい、
というだけだから情熱はないに等しい・・・
分類については、やはりfagusさんのお仲間でも
認めないという方がいらっしゃるんですね。
でも、もうこちらが何を言ってもそれに従うしか
ないのですよね、公文書などもそれになるでしょうし。
そのうち、オオタカとノスリも別の科になるかも、
などと妄想が膨らんでしまいます(笑)。
Posted by guitarbirdguitarbird at 2014年03月21日 13:09
guitarbirdさん、おはようございます。

実はこの記事も気になりつつ・・・先日からちょこちょこ読ませて頂きまして。 今朝全編読めました。 (いつも遅くてすみません・・。)

ひとりの写真家の方が国内外、鳥を追い求めて完成させただなんてすごい熱意ですね。
こういう方って・・・鳥以外にもそこで出会った感動的な景色や鳥以外に例えば花などの被写体も収めているんでしょうかね・・?
と、鳥に関係ないそんなことを考えてしまいました。
だって・・・せっかくあっちこっちに出かけたならば、勿体ないですよね。 (笑)
だとしたら、鳥以外でも写真集が作れそうだなー、なんて・・。
また余計なことを考えてしまいました。

東京のお知り合い・・・
その後、この本が売れていると良いですね。
つい最近東京においでになられた時に進言してみられたのでしょうか・・・。
きっと売れますよ!! ^^
野鳥のファンって多そうな気がするので・・。

03のハウは登場のタイミングといい、表情といい、ナイス!ですね~。 (笑)

今年も良い鳥の写真が撮れますように・・・!!

では。
Posted by はるちゃん at 2014年03月22日 06:19
はるちゃんさん、こんばんわ
いえいえ、いつもお読みいただきありがとうございます。

この図鑑はひとまずこれがあれば鳥のことが分かるので、
マニアのみならず一家に一冊お薦めしています(笑)。
なんて、実際、でも、写真を見るだけでもきれいですよ。
図鑑は写真がいいかイラストのほうがいいかとよく
話題になりますが、これは写真だからこその1冊です。

友だちの本屋さんは、自然系がほとんど売れないというので、
あまりそれ系を仕入れないという循環になっているようで、
私としてはだから敢えて1冊置いてみてほしいと言いました。
でも、実際のところ自然科学系の本は売れる割合が
だいぶ低いのではと思います。
でも野鳥のファンは確かに多そうだし、この本は新しくて
話題性があるので1冊は売れると思います。
そうだ、友だちに聞いてみよう。
あと、自分はやっぱり書店に未練があるのかな、とも
その友だちと歩いていて思いました(笑)。

鳥の写真、応援ありがとうございます。
今日は天気があまりよくなくて、そこそこの「そ」くらいしか
撮れなかったのですが、時間がある日にそういうのは
なんだかもどかしいですね(笑)。
Posted by guitarbirdguitarbird at 2014年03月22日 19:53

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