最近買った新譜CDをさらりと2016年6月

guitarbird

2016年06月24日 17:54

01



最近買って聴いているCDの記事です。
4月以降新録音による新譜アルバムが多く出たので、
今回は新譜に絞りました。

7枚+1枚(点)、早速いきます。



☆1枚目


FALLEN ANGELS
Bob Dylan
(2016)


ボブ・ディランのスタンダードシリーズ第2弾。
基本的に前作の延長で、ほぼ一発録りなのだそうです。
前作SHADOWS IN THE NIGHTよりは曲が小粒かな。
今のディランの気持ちがどこに向いているかが分かりますが、
これを聴いて僕はこう思いました。
「ディランさん、もう好きにして、こっちはついていくだけ!」
ディランは基本的に今歌いたい歌を歌いたい風に歌うだけ。
実はそれは昔からまったく変わっていない。
歌う対象としての曲のえり好みが時代により違うだけ。
それがオリジナルかスタンダードかも関係ない。
四捨五入してついに80の男がいまだに気持ちを失っていない。
もうそれだけで素晴らしいのではないですかね。
弟が行った東京公演では「枯葉」も歌ったそうですが、
こうなったら次は何を歌ってくれるか楽しみでしょうがない。
音楽的にどうこうというのは今回敢えて話すのをやめ、
とにかくボブ・ディランは素晴らしい、とだけ言って終わりますね。



☆2枚目


I STILL DO
Eric Clapton
(2016)


エリック・クラプトンの新作は意外と短い間隔で出ました。
このアルバムはひとこと「悪くない」。
この「悪くない」という言葉はちょっとしたさじ加減で
いかようにも解釈できますが、今回はいい意味で使っています。
多分今のエリックは、いいアルバムを作ろうとは
はなから考えていないのではないか。
もはや自分にはそいう役割は求められていない。
いい演奏が録音できていい曲があればそれ以上は望まない。
偶然かどうかJOURNEYMANという素晴らしい「アルバム」を
作ってしまったエリックに対して、アルバム至上主義者の僕は、
その後のエリックのそこに引っかかっていたのですが
僕が間違っていたと今回気づきました。
(その間のREPTILEはアルバムとしても大好きですが)。
でもクラプトンはもう既にロックに対して多大なる貢献をした、
好きなようにやればいいんじゃないか。
好きなようにやったエリックのブルージーな音楽は、僕も
理屈を超えて好きだから、もうそれ以上を求めるものでもない。
そう、この音がいいのです。
もうひとつ、エリックくらいになれば、新譜で元気な姿に
接したところで旧譜をまた引っ張り出して聴けばいい。
新譜は今の姿を伝えると同時にその人の作品に触れ直す
という意味もまた重要なのだと気づきました。
当たり前ですよね、新譜が出ると旧譜もまた売れるわけだし。
僕は今、たまたま最近でたクリームのオリジナルアルバムの
リマスター盤ボックスセットでクリームを、コンサートに行って
やはり影響を受けた弟が買ったLaylaの40周年ボックスセットで
デレク&ザ・ドミノズを、そして70年代RSOのベスト盤
TIME PIECESをまた引っ張り出してきて聴いています。
新作もCDプレイヤーに入りっ放しなので聴いてますが、
エリックとしてもそういう聴き方をされるのは嬉しいのでは、
と勝手ながら思っています・・・勝手すぎか(笑)。
だって、このアルバムでエリック自身が
「俺はまだやる」と宣言しているのだから、
その気持ちは受け止めたいですよね。



☆3枚目


2
MUDCRUTCH
(2016)


マッドクラッチのは先に記事を上げたので、
ご興味がある方はこちらをご覧ください。

ひとつだけ書き足し。
2曲目Dreams Of Flyingがとってもとっても気に入りました。
今年出会った新曲では多分一番好きになるだろうというくらいに。
CD聴き終ると必ず何度もこの曲を口ずさんでいます。



☆4枚目


STRANGER TO STRANGER
Paul Simon
(2016)


今回はその上ポール・サイモンまで!
今までのこの記事でいちばんの豪華メンバーでしょう。
ソロ13作目の今作は、アフリカ的要素がまた濃くなった印象。
リズム的な部分、和音の取り方、ちょっと変わった裏メロなど、
ここにきてまたこれ、結局、音楽家としてのポール・サイモンにとって
アフリカ音楽とは帰る場所なのかもしれない。
代表的なのが7曲目Proof Of Love、
アコースティックギターによるアフリカ的なアルペジオに
ほの暗い雰囲気、メッセージ性の高い歌詞で、
このギターの音だけでも聴き入ってしまう。
ここまで来るとこれがポール・サイモンらしいといか言いようがない。
そこから後はインストゥルメンタル部分を中心とした小品が並び、
決して派手に盛り上げない自然体のアコースティックギターサウンド。
大きな名を成したミュージシャンのなかで、これほどまでに
自分の音楽性が途中で変わった人もそうはいないのでは。
しかしよくよく考えると、若い頃にアメリカの音楽を追い求めた中で
ルーツを辿ってアフリカにたどり着いたのはある意味必然ともいえ、
そこがポール・サイモンのメッセージだと考えれば納得できます。
何より彼の優しい音楽にまだ触れられるのは嬉しいですね。
僕の場合は連装CDプレイヤーに入れているわけですが、
最初にこれを聴きたい、というよりは、他のCDからの流れで
これが出てくるとほっとする、そんな感じです、いい意味で。

ところで、一昨年から昨年にかけてスティングとジョイントツアーを
行っていたポール・サイモン、結局日本には来なかった。
オーストラリアとニュージーランドにはきていたのですが、
やっぱりそこからが遠かったのかな。
ギャラが高すぎたのかもしれないけれど・・・残念。



☆5枚目


THE HEART SPEAKS IN WHISPERS
Corinne Bailey Rae
(2016)


コリーヌ・ベイリー・レイはノラ・ジョーンズの後に出て来た
ジャズっぽいコケティッシュな女性ヴォーカルの一人、大きく括れば。
1枚目はジャズっぽさが濃かったですが、今作はそこまでではない。
まあアデルよりはうんとジャズですが、彼女の場合、
「けだるさ」がジャズっぽさと直結していた部分があったのでしょう。
4作目のこれ、ひとことでいえば「年齢不詳の不思議ちゃん」。
彼女は1979年生まれ、そうかノラ・ジョーンズと同い年か、
ついでにいえば僕の一回り下の同じ干支ですが、
歌い手のことを考えずに歌を聴いてその世界に想像を巡らすと、
日本でいえば女子大生の恋愛話のような雰囲気。
大学に通っていないとしても20代前半の女性を想像させる。
僕自身の経験ではそんなもの(伝聞としても)遠い昔話ですが(笑)、
だからそれは僕が昔経験した時代のものかもしれない、
もしかして今はそういう話の年代が上がっているのかな。
いや、そんなことはない、やっぱりどう聴いても20代前半。
そう思わされてしまうというのは逆に彼女が仕掛けたことかもですが、
そうだとすればなかなかの役者といえるでしょう。
結局女性はその頃の心を大切にしたいということなのかな。
まあ男性もそうかもしれないですが(きっとそうでしょう)。
今回はちょっとしたフック=仕掛けが印象的な曲が多く、
1曲目表題曲はまず「ささやき」コーラスがフェイドインしてきて、
「わーうおーうおーうおうl」というサビのスキャットに包まれ、
中間部で弾けてしまう。
7曲Horse Print Dressの「うぅっうぅっ」という
かわいらしい声のフレーズも耳について離れない。
(馬のプリントのドレスってどんな服だろう・・・!?・・・)
その他、ヴァースでささやきサビで弾ける曲が多いのは
決して偶然ではないはず。
「心がささやきかける」というタイトル通り思いを紡いでゆく。
最初は個人的な部分が強すぎると感じたのですが、
音楽としては面白いし良質なもので結局のところ気に入っています。
が、でもやっぱり、これは聴きたい気分を選ぶ音楽かな。
そういう話を受け止められる精神的余力があると素晴らしいけれど、
何の気なしに聴くのはできないし、連装CDプレイヤーで流れても
その時の気分に合わないで変えることも多いCDではありますね。



☆6枚目


TAKE ME TO THE ALLEY
Gregory Porter
(2016)


グレゴリー・ポーターはBLUE NOTEから出ているように、
ジャンルとすればジャズヴォーカルなのでしょうけど、
実際はR&Bシンガーという方がよりしっくりきます。
僕は「ベストヒットUSA」で前作LIQUID SPIRITからの曲を
観て聴いて気に入りCDを買ったところ、それからすぐになんと
ヴァン・モリソンがDUETSに招いてThe Eternal Kansas Cityを
共演したことで応援するようになった、そんな人。
ヴァンさんに見初められたほどの人なんだ、と、
まあ僕も単純ですが(笑)、単純ついでにいえば、新譜が出ると聞き、
ヴァン・モリソンとの共演はないかと勝手に期待しすぐ予約。
入っていなかったのですが、まあそれは仕方ない。

今回聴いて、ひとつ分かりました。
ジャズヴォーカルは本来、歌い手が気持ちよく歌い、
その姿と声を好きな人が聴いて気持ちよくなるものだろう。
このアルバムでは1曲目Holding Onからまさにそんな響き。
つまり、好きかどうかの分岐点が早くも1曲目で現れる。
不特定多数の人に向けた良い意味でも良くない意味でも無機質な
メッセージを含んだポップソングとは違う。
だから本来は歌い手がより近しく感じられる小さい会場で映える。
これ実はひとつ前のコリーヌ・ベイリー・レイとも共通するのですが、
最初は個人的な部分が強く出過ぎていると感じてやや抵抗があった。
僕は逆、はじまりがビートルズという人間だから、より多くの人が聴く
ポップソングから自分だけの思いを見つけ出すのが好きだから。

でも、買った以上は何回も繰り返し聴くわけで、聴いてゆくうちに
僕もこの人がより好きになって来たのを感じました。
そうなると不思議なもので、それまでは曲もまあまあというくらいに
感じていたのが、これいい、こっちの曲もいいじゃん、となりました。
やはりじわじわと魅力が伝わるのはただのポップソングではない。
しかしその上で売れなければならないのだから大変でしょうけど、
こういう人が売れるようになったのはやっぱり、90年代以降、
音楽を聴く人の趣味がより多様化したことを感じますね。
5曲目Consequence Of Loveが僕はいちばん気に入った。
明るいようで少し裏に入っていく歌メロが絶品で、先述の
マッドクラッチにつづいて今年出会った中では特に好きな曲に。
7曲目More Than A Womanの女性を見つめる優しさは、
僕が慣れ親しんだポップソングの枠をはみ出していて、最初は
聴いていてこちらが恥ずかしくなったけれど、うん、それもあり。
今作は「希望へのアレイ」という邦題がついていますが、
3曲目表題曲はまさに「小さな希望」が散らばる路地をうまく表現。
じっくりと向かい合いたい音楽を求めている人にはおすすめですが、
CDを1から数回聴いて判断する人には向いていません。
これは軽く聴けない、じっくりと聴き込みたい1枚ですね。



☆7枚目


BEETHOVEN : MISSA SOLEMNIS
Nikolaus Harnoncourt (condt.)
Concentus Musicus Wien
(2016)


ロック、(一応は)ジャズときて最後はクラシック。
ニコラウス・アーノンクール。
"THE LAST RECORDING"とのシールが
スリップケースを覆うビニールに貼られていますが、
2015年夏に人前で演奏した最後の演奏が収められています。
最後の曲が「荘厳ミサ曲」。
偶然なのだろうか。
いや偶然に違いない。
2月に出たベートーヴェン交響曲4&5番のライナーノーツに、
ベートーヴェン交響曲のチックルス(全集)は終わらせるつもりで
臨んでいたことが書かれていたし。
しかし、結果として自らを送る曲であり演奏となってしまったのは、
感慨深いものがありますね。
僕は実はクラシックの宗教合唱曲が大好きなのです。
言葉の意味は分からないしクリスチャンでもないけれど(無宗教)、
気持ちの清らかさ、純粋さはどの宗教であっても、
人間である以上変わらないはず。
これは休みの日にゆっくりと聴きたいですね。
そしてあらためてニコラウス・アーノンクールという
偉大なる指揮者への感謝と尊敬の念が強くなりました。



☆おまけの8枚目


PURE McCARTNEY
Paul McCartney
(2016)


ポール・マッカートニーのUniversal初のベスト盤、
新曲はないけれどやっぱり入れておかなければ。
これが出た意味は大きいですからね。
そして今回は、それまでのベスト盤には入っていなかった曲を
聴き直して新たな発見があったことも楽しかった。
同じ曲でも聴き方聴かれ方で解釈は違ってくる。
これもまた音楽の興味深いところです。

ところで今回また一つ気づきました。
Junior's Farmも入っていない。
これもポールのベスト盤では裏人気的な曲でしたが、
C Moonともども70年代のそうした曲を今回落としたのは、
ポール・マッカートニーという人はやっぱり面白い、と。


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ポーラ隠れキャラシリーズ第2弾・・・

いかがでしたか。

さて、まさに今日届いたばかりで聴いていない新譜や
まだ出ていない予約中の新譜もあり、リイシュー盤もあるなど、
CDの話題に事欠かないので、それらは新譜旧譜まとめて
7月にまた記事を上げることにしました。

最後は今朝の3ショットにて。


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