01
BLUE AND LONESOME
Rolling Stones
ブルー・アンド・ロンサム
ローリング・ストーンズ
(2016)
ローリング・ストーンズの新譜の話をします。
昨年12月にリリースされたBLUE AND LONESOME
あのストーンズが原点に立ち返ってブルーズのカヴァーをやる。
大きな期待を持って迎えられました。
まあ僕もその口のひとりではありましたが。
リリースされるともう絶賛の嵐。
このアルバムをいいと言わなければロックを聴いてはいけない。
とでもいいたいような勢いであったと、僕は感じていました。
「ローリング・ストーン」誌ではリリース後間もないというのに、
2016年ロックアルバム選上位に入っていて少々驚いたり。
まあ、RS誌はその名前からして当然でしょうけれど、でも
そうした雰囲気がネットで意見を書く人の間に漂っていた、
そんな感じを受けました。
そのことに対して批判するつもりも毛頭ありません。
ただ、僕はそう感じて、少しばかり恐かったのです。
しかし、次に書くことは多少批判めいているかもしれない、
という覚悟で続けます。
このアルバムをいいと思い、ブルーズが分からないと
ロックという音楽は分からないし聴いてはいけない。
そんな意識が見え隠れしてやいなかったかな、と、
これはあくまでも僕が感じたことですが。
僕はブルーズは好きです。
数年前からCDを買って聴くようになりました。
僕はブルーズを分かろうとして聴いていました。
ええ、カッコつけたかった部分もあったでしょう。
僕自身が、ブルーズを分からなければロックが分からない、
と思っていた節もありました。
でも、結局、僕にはブルーズは分からなかった。
もちろんこの人はブルーズだ、この音楽はブルーズっぽい
というのは頭では分かります。
でも、体、感覚では分からないし体現できない。
僕はバンドなど人前で演奏しない人間ではあり、
外国に行ったことがない日本人だからか、ブルーズの感覚が
頭ではなく体でなんて分かるはずがない。
ブルーズを歌うなんてできるわけがない。
じゃあ、ブルーズが「分かる」ってどういうことだ?
ここで「分かる」(わかる)という言葉を
「新明解国語辞典第7版」(三省堂)で引いてみると
わかる
未解決(未確認)の事柄について、推理・推論をめぐらしたり
適切な情報を拠りどころにしたり 実際に経験したりして、
確信の持てる(客観性のある)判断が下せる状態になる。
結構難しいですね(笑)。
僕が引っかかったのは「実際に経験したりして」の一文。
上記のように外国にも行ったことがないしバンドなど
人前で演奏したり歌ったりしたこともないので、
僕にはこの部分が欠けています。
この説明では書かれている全てが必須条件ではないと
受け取れますが、でもないよりはあった方がいいのでしょう。
だからやっぱり僕はブルーズは「分からない」。
昨年前半までの僕なら、そこである種の危機感を抱いたでしょう。
ブルーズが分からなきゃロックは分からないぜ。
だからこのアルバムは何が何でも分からなきゃいけないんだ。
僕自身ブルーズが分からないと認めたくなかったのもありました。
でも、今はもう音楽に対してある部分冷めたので、
それで焦ったりなんてことにはならなくなりました。
冷めたというか、冷静に聴けるようになったと
ここは前向きに解釈して先に進めます。
僕は結局ブルーズは分からなかったけれど、
ブルーズを聴くのは大好きになりました。
それまでの自分からすれば意外なほどに。
その結果が、ブルーズに「凝る」のではなく、
ブルーズを「ただ聴くのが楽しい」という境地に達しました。
境地というのも大袈裟か、今日の僕は大袈裟過ぎるかな(笑)。
あ、と思ったけど、60枚CDラックをブルーズ専用にして
それが埋まるほど買って聴いたので、凝ったといえばそうかな、
前言お詫びして訂正した方がいいかもしれない。
02
しばし休憩。
フィッシュアイレンズ=魚眼レンズを使うようになって、
今日が初めてのアルバム記事、ということで撮ってみました。
四角いはずのCDが線が曲がって写るのが面白い。
次もまたやってみよう。
閑話休題(長い閑話だった)。
ローリング・ストーンズのBLUE AND LONESOME
僕は、「普通にとてもいい」くらいに気に入りました。
もう少しいうと「予想していたよりはよかった」。
僕がそう感じたのは、単なるブルーズのコピーではなく、
もうこれはローリング・ストーンズでしかないと感じられたから。
全体のサウンド、チャーリー・ワッツのドラムスの感覚、
ギターの音色と入り方、そしてミック・ジャガーのヴォーカルまで、
僕には「ローリング・ストーンズにしか」聴こえませんでした。
特にミックのヴォーカルは最初に聴いた時(もう3か月前か)、
こりゃブルーズではなくどう聴いてもミックじゃないか
とスピーカーに向かって話しかけそうになったくらい。
ブルーズだと思って聴くとこれはある種滑稽な歌い方じゃない?
4曲目All Of Your Loveの最初"All"と叫ぶところなんか、もう。
6曲目"I was talking to the policeman"と歌うところの
声の軋みや刻み方もミックらしいし。
BLUE AND LONESOMEというアルバムタイトルが
そもそもストーンズらしいイディオムで、
僕は最初に聞いて笑ってしまいました。
(バカにするという意味では決してありません、念のため)。
ミック自身ももしかしてブルーズらしく歌わなくていい
と思えるようになったのではないか。
ミック自身の変化というより、世の中が受け入れるようになった、
ということなのかもしれないと思いました。
時々聴いています、1週間に2回くらいかな。
1月中盤からひと月「クラシック月間」には聴かなかったけれど、
その後やっぱりこれは好きだと思い直しそれくらい聴いてます。
僕にとっては根詰めて聴くものではないけれど、
時々聴くとかなりいい、という感じのアルバムです。
さてここで収録曲。
根詰めて聴いていないのでいつものように
各曲について具には書けません、悪しからず。
1曲目:Just Your Fool
2曲目:Commit A Crime
3曲目:Blue And Lonesome
4曲目:All Of Your Love
5曲目:I Gotta Go
6曲目:Everybody Knows About My Good Thing
7曲目:Ride'em On Down
8曲目:Hate To See You Go
9曲目:Hoo Doo Blues
10曲目:Little Rain
11曲目:Just Like I Treat You
12曲目:I Can't Quit You Baby
僕が知っていたのはたった1曲、12曲目。
レッド・ツェッペリンがアルバムで演奏しているからですが
(1枚目とCODA)、でもあれは最後が"Babe"だったから
これは同じ曲ではないのかな、と思ったり。
まあ僕のブルーズなんてそんなものです。
ただ、ですね、知らない古くていい曲を教えてくれるという点では
やっぱりローリング・ストーンズはロックであり続けている、
というのは嬉しいし心強いですね。
事実この中で新たに気に入った曲もあるし。
結局のところ、これはローリング・ストーンズだからいいのです。
僕はローリング・ストーンズが大好きなのだから、
という身も蓋もないことが今日の結論。
ただし、ブルーズが分からない人間だと自覚した今は、
ストーンズのどこが好きかも分からなくなったのですが・・・
ではアルバムから1曲。
☆
Hate To See You Go
Rolling Stones
(2016)
ところで、ストーンズのこのアルバムに対して感じたことに
デジャヴ感覚があることに気づきました。
ポール・マッカートニーのNEWが新譜で出た時。
やはりRS誌でその年のTop10以内に選ばれていました。
Top50のほとんどは若手であったのに、です。
(ジョン・フォガティもTop10に入っていたのは嬉しかったですが)。
若い聴き手に対してロックを作り上げてきた人だから、
これは聴いておきなさいという教示的な意味もあるのかな、と。
そしてやっぱり、そういう時代になったのかな。
音楽(に限らずだけど)の趣味が多様化し、
ネット上では、「思想」というと大袈裟かもだけど、
核となり拠り所となる考えが求められている。
僕みたいに、「分からないけどこれは好き」という思いは、
レコード盤に静電気で寄ってくる塵みたいなものであり、
戯言に過ぎないのかもしれないですね。
そしてこの記事は、僕のブルーズが分からないという恨み節、
でもありますかね。
まあそれでも、僕は基本、「わかる・わからない」よりは
「好きかどうか」で音楽の話を文章にしている人間だし、
ブルーズが分からない以上好きかどうかを書くしかできないので、
これからもそんな戯言記事を上げてゆこうとは思います。
繰り返し、音楽への愛情は薄れていませんからね。
最後は今朝の3ショットにて。
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