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毎年お正月恒例、干支で洋楽の話をする記事です。
今年は
未年、
羊にまつわるものを集めてみました。
なお、昨年までの記事は以下のリンクからどうぞ。
2014年「午年」の記事
2013年「巳年」の記事
2012年「辰年」の記事
2011年「卯年」の記事
2010年「寅年」の記事
では行きます。
◎
その1:ジャケット編
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☆1点目
RAM
Paul & Linda McCartney
(1971)
もう既に今年の記事に出てきていますが、
ロックで羊といえば先ず出てくるのがこれ!
ポール&リンダ・マッカートニー名義、ポール2枚目のソロRAM。
ジャケットでもポールが羊の角をつかんで立ち、田舎生活を
満喫している様子を表そうとしています。
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この羊、写真が大きいLPのものを写して拡大してみました。
品種を調べるとどうやら
「スコティッシュブラックフェイス」のようです。
日本ではほとんど見ないですね。
顔が黒いサフォーク種と、顔が白いコリデール種が、
こちらではよく見る品種かな。
余談ですが
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ジョン・レノンがアルバムIMAGINEの中に
ポールのこのジャケットをおちょくった写真を載せています。
当時の2人の関係を考えると、笑うに笑えないですね。
しかもこのジョン、はっきりいってダサい・・・
さ、次、次
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☆2点目
LOOK HEAR?
10cc
(1980)
10ccのこのアルバム、曲名に羊が出てくるもんはなく、どうやら
内容とはひとまず関係ないようですが、ジャケットには羊の姿が。
海辺でベッドに乗せられているというのはシュールですね。
ちなみにこれこそコリデール種かな。
ところで、僕は10ccはどうも苦手というか、この音楽を
どう聴いていいか分からないですね、まだ早いのかな。
☆3点目
THE JETHRO TULL CHRISTMAS ALBUM
Jethro Tull
(2008)
ジェスロ・タルのクリスマスアルバムに羊がいますよ。
どこかというと、左下を拡大した写真を
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イアン・アンダーソンと思しき片足を上げてフルートを吹く男の後ろに
羊の群れがついてきていますね。
ははあ、彼は牧羊犬だったのか(笑)。
なんとも心温まるアルバム。
◎
その2:曲名編
☆4点目
Ram On / Ram On (Reprise)
Paul & Linda McCartney
RAM
(1971)
再び登場
ポール&リンダ・マッカートニー。
アルバムのタイトルトラックともいえるこの曲。
軽快なウクレレのリズムに乗った、しかしどこかもの悲しい響き。
ポールお得意、A面とB面に同じモチーフが2回出てきますが、
後者"Reprise"の方は後半に曲が展開し、2作後のアルバムに
収められたBig Barn Bedの原型になっています。
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☆5点目
Mary Had A Little Lamb
Paul & Linda McCartney
(1972)
また
ポール&リンダ・マッカートニー、「メリーさんの羊」の
ナーサリー・ライムを自分たちなりにアレンジした童謡。
ドーナツ盤のレーベルにも絵があしらわれています。
この曲はCD化されておらず、それに気づいてから
中古レコードで探して買い求めました。
RAMの2012年リマスター盤にも収録されておらず、B面の
Oh Woman Oh Whyはそこに収録されたため、
ポールとリンダのこの曲は今のところ幻の1曲となっています。
ところで、"ram"も"lamb"も日本語では「ラム」になりますが、
"ram"は「大人の牡羊」、"lamb"は「子羊」。
しかも同じポールが両方歌っているから話は複雑ですね。
ジンギスカンは"lamb"の方でしょう("ram"も店によりあるのかな?)
ところでまた別の余談。
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このシングルにはもうひとつ、ロバの絵も添えられていますが、
そうか、昨年の「午年」の時には気づかなかった・・・
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☆6点目
Mary Had A Litthe Lamb
Stevie Ray Vaugham & Double Trouble
TEXAS FLOOD
(1983)
スティーヴィー・レイ・ヴォーン&ダブル・トラブルにも
「メリーさんの羊」があります。
ただしこちらは童謡ではなくドブルーズ。
ところで、このアルバム久しぶりに聴いたのですが、
やっぱり僕はブルーズが好きなようで、今年1枚目の
はまったCDとなり、昨日今日で4回くらい聴いています。
☆7点目
Sheep
Pink Floyd
ANIMALS
(1977)
ピンク・フロイドが動物たちをテーマにとったアルバムから。
オーウェルの有名な「動物農場」がヒントにあるのでしょう。
まあ動物たちといっても豚、犬、羊だけですが、この羊は、
ディスコ調のリズムにのった、ノリは軽快、響きは重たい曲。
ちなみにPigs On The Wingという曲がある通り、ジャケットでは
ロンドンのバタシー発電所の上を「羽が生えた豚」が飛んでいます。
この豚は後に彼らのシンボルにもなりましたね。
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☆8点目
Black Sheep Of The Family
Rainbow
RITCHIE BLACKMORE'S RAINBOW
(1975)
リッチー・ブラックモアズ・レインボーのデビュー作からの1曲。
「家族の中の黒い羊」、このタイトルの言葉を英国では、
「のけもの」「変わり者」といった意味の慣用句として
よく使われるようです。
☆9点目
Shepherd Moons
Enya
SHEPHERD MOONS
(1991)
エンヤのアルバムタイトルにもなっているこの曲。
"shepherd"=シェパード、犬名としても有名ですが、「羊飼い」。
"sheep"+"herd"(群れ)が合わさった単語だと思われます。
まあ、厳密にいえば羊は出てこないけれど、これはいいですよね。
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☆10点目
The Lamb Lies Down On Broadway
Genesis
THE LAMB LIES DOWN ON BROADWAY
(1974)
ジェネシスのピーター・ガブリエル在籍時最後のアルバムにして
彼らの一つの頂点ともいえる2枚組大作アルバム。
邦題「幻惑のブロードウェイ」、原題になぜか"lamb"が出てくる。
ああそういえばそうだった、と、昨年この記事の準備を進める際に
ふと気づいて入れました。
歌詞を読むと、ブロードウェイの舞台に羊がいる、というくだりがあり、
そんなところに羊がいるのは場違いだという記述もありますが、
どうやら、初心者、田舎者もしくは外国人(彼らは英国人)を
比喩的に表したものだと思われます。
あるいはブロードウェイ自体が壮大なセットであり、
子羊はうぶな者、という意味かもしれない。
ところで、このアルバムは正直、よく聴き込んだとは言い難く、
これまでの人生で30回は聴いてないだろうというくらいなので、
せっかく未年だからこれから少し聴いてみようかな、と、今は思います。
◎
その3:「山羊」が友情出演
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☆11点目
PET SOUNDS
The Beach Boys
(1966)
ヒツジもヤギも鯨偶蹄目ウシ科ヤギ亜科、亜科レベルまで同じ。
体の大きさも、どちらも生贄にされるなど、似た点が多い、
ということで、山羊にも友情出演していただきました。
ヤギのジャケットといえば、
ビーチ・ボーイズのこれですよね。
よく見直しましたが、やはりすべて山羊で、羊はいませんでした(笑)。
☆12点目
GOATS HEAD SOUP
The Rolling Stones
(1973)
ヤギでもうひとつ有名なのは、タイトルにヤギが入った
ローリング・ストーンズ「山羊の頭のスープ」
裏ジャケットに実際に山羊の頭が鍋に入れられている写真が
ありますが、正月早々ちょっと薄気味悪くて、遠慮しておきました。
◎
その4:歌詞編
☆13点目
Heart Of The Country
Paul & Linda McCartney
RAM
(1971)
こりずに
ポール&リンダ・マッカートニーのRAMから。
まあ、牡羊をコンセプトにしたアルバムだから、仕方ない。
この曲の2番の歌い出しはこうです。
"I want a horse, I want a sheep"
田舎生活らしいくだりをポールが甘い声で歌います。
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☆14点目
Bad Boys
Whitesnake
WHITESNAKE
(1987)
ホワイトスネイクの大ヒットアルバム2曲目の2番に
"I'm a black sheep of a family"というくだりがあります。
同じ英国人、やはりこの例えが出てきますね。
しかもどちらもハードロック系というのが。
☆15点目
Moon Over Bourbon Street
Sting
THE DREAM OF THE BLUE TURTLES
(1985)
スティングのこの曲にはこんなくだりが。
"I was trapped in this life like an innocent lamb"
子羊のようにこんな生活に囚われてしまった。
"Bourbon Street"はニューオーリンズの有名な通り。
「こんな生活」とは、歌詞の主人公がスティング自身だとすれば、
ジャズという音楽のとりこになった、と解釈できます。
最初に歌詞を見た時、スティングが子羊ってイメージ合わない、
と可笑しかったものですが、しかしよく読むと、この曲の歌詞には
オカルト的恐さも感じられます。
恐さを克服するのに、バーボンでも飲みますかね(笑)。
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☆16点目
Hey Bulldog
The Beatles
YELLOW SUBMARINE
(1969)
ビートルズのこの曲、ジョンが"Sheep dog"と歌い始める。
でも、それで「牧羊犬」という意味だから、厳密にいえば、
歌詞の中に羊は出てこないんですけどね・・・
だけど"shepherd"はOKだったし、しかもこの曲は歌い出しで
ちゃんと"sheep"と言って、ここはよしとしていただけますか。
☆17点目
PAUL IS LIVE
Paul McCartney
(1993)
一度羊の道を外れてしまったので、さらに続けるとして
ポール・マッカートニーのライヴ盤のジャケット写真には
「オールド・イングリッシュ・シープドッグ」が。
ポールが曲名にとったMarthaかJet、どちらか忘れましたが、
確かその名前の犬がこの犬種だったかと。
しかし僕は、どこかで見覚えがあるこの図、自らやファンを
おちょくったようなこのジャケットが大嫌いなのでした・・・
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☆18点目
Good Morning Good Morning
The Beatles
SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND
(1967)
最後はおまけ、ビートルズのこの曲。
コーダの部分でいろいろな動物のSEが入っていますが、
2'13"辺りに馬のいななきが入り、その声が消えきらないうちに
2'15"辺りから、右チャンネルのみに羊の声が入ります。
SEだから歌詞ではないのですが、でもその部分も鳴き真似を
口ずさむのであれば歌詞と言えなくもないか(笑)。
ところで、羊の鳴き声は日本では「メエ」と言われて書かれますが、
英語では"maa"、あまり変わらないんですね。
または"baa"、これはヤギも同じ鳴き方のようです。
【2015年1月3日追加】
大事な曲を忘れていたことに今朝気づきました!!
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☆19点目
Man Gave Names To All The Animals
Bob Dylan
SLOW TRAIN COMING
(1977)
ボブ・ディランのこれを忘れるなんて、恥ずかしい限り・・・
「人がすべての動物に名前を与えた」というこの曲、
何種類かの動物を挙げてその名前の由来を
どこかもの悲しいレゲェに乗せて説いたもので、
その中に"sheep"羊も出てきます。
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この曲をジム・アルノスキーが絵本化したものから、羊のページ。
歌詞はこうです。
Next animal that he did meet
Had wool on his back and hooves on his feet
Eating grass on a mountainside so steep
"Ah,think I'll call it a SHEEP."
「彼が次に出会った動物は
背中に羊毛、足に蹄を有していた
山のとても急な斜面で草を食べていた
「ああ、それは羊っていうんだね」
それにしてもこんな大事な曲を忘れていたなんて・・・
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いかがでしたか!
ラムズの被り物と眠そうな子羊、いや、ハウ。
結局半分くらいがビートルズ関係という感じがしないでもないですが、
羊の場合は欧米人には固定のイメージが強すぎて逆に、
あまり使われないのかもしれない、とも思いました。
未年の今年も、未年だからといって特に変わることもなく、
通常通り音楽の話もしてゆきたいと思います。
最後は今日の犬たち。
ちょっと露出オーヴァーかな・・・あ、写真の露出が、ですが。
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