And Your Bird Can Sing ザ・ビートルズ

guitarbird

2017年01月09日 22:54

01


And Your Bird Can Sing
The Beatles
(1966)
The Beatles 49/213 

ビートルズ213曲の記事です。

酉年最初は2日に予告した通り"bird"の曲から。

And Your Bird Can Singはビートルズ7枚目のアルバム
REVOLVERのB面2(=CD9)曲目として
1966年8月5日に世に出ました。
主な作曲者はジョン・レノン、ヴォーカルもジョン。

とここでいつもならYou-Tube映像を貼り付けるのですが、
なんと、この曲のオリジナル音源を使った映像が
ひとつも上がっていないことに気づきました。
そんなことってあるの?
なぜかANTHOLOGYに上がっているアウトテイクばかり。
残念ながら曲を紹介することができません。

いつもの『ビートルズ・レコーディング・セッションズ』から、
今回は引用ではなく要約にて。

この曲は1966年4月20日(水)に最初に録音されました。
印象的なギターリフは最初から取り入れられているものの、
その日に録音されたものはボツとなりました。
翌週4月26日(火)、よりハードにポップにというジョンの
指示により曲が改良され、レコードで聴く音が完成しました。

ジョン・レノンの言葉は紹介されていません、残念。

さて、この曲についてまずは音楽面から。

これっていったいハードロックなの?
僕がビートルズを聴き始めた頃はヘヴィメタル人気が
高まってきていて、クラスにも何人もヘヴィメタルに
「転向」する人がいて、ハードなロックというものが
より身近な存在になってきていた頃でした。
それでこの曲も、かの有名なHelter-Skelterと並んで、
ビートルズの中でもハードなロックとしてメタル好きの
クラスメートが着目していました。

でも、これ、ハードロックじゃないでしょ。
言った先か否定していますが。
音がハードめのロックとはいえますが、
「ハードロック」と言い切ってしまうには何かが足りない。
Wikipediaを見ても"Power Pop""Psychedelic Pop"とあり、
決して"Hard Rock"とは書かれていません。
(そうか90年代に一時期もてはやされた「パワーポップ」は
この頃まで遡るのか、というのはまた別の話)。

なんだろう。
ひとつは曲、歌としての軽さかな。
もうひとつは、そうですね、「ハードロック」というと
何某かの様式のようなものがあると思いますが、
これは「ただの」ロックンロール、という感じがします。

それでも昔、アルバイト先のビートルズを聴かない同僚に、
ビートルズのハードめの曲を46分テープに録音してと
頼まれた際にこの曲は入れました。
Helter...の他に入れたのはDay Tripper、Hold Me Tight、
Revolution、Yer Blues、Don't Let Me Down、Hey Bulldog、
I've Got A Feeling、One After 909辺りだったと記憶しています。

そもそもこの曲、何というか、煮詰まってないですよね。
単純なロックンロールといってしまえば聞こえはいいですが、
展開があるわけでもなく、淡々と進んで終わる。
アルバムの中の曲としてはいいけれどそれ以上ではない。
当時は多忙を極めていてとにかくアルバムの曲の数を
揃えなければならない、という状況が透けて見えます。
もしABBEY ROADの頃にこの曲が作られていたなら、
メドレーの1曲に落ち着いたのではないか、と。

断っておきますが僕はこの曲は大好きですよ。
結果としてアレンジ等々これはこれでいいと思うし、
アルバムとして聴くのであれば、すべての曲に力が入っていると、
通しで聴くと疲れてしまうから、こういうのがあってもいいし。
中途半端さを逆手にとってまるで途中で切れるような
曲の終わらせ方もさすがアイディア集団と思うし。

そしてもちろんこの曲は単独で聴いてギターサウンドに浸る、
ギターリフを自分で弾いて楽しむにはとてもいいですね。
ポールのベースも印象的なラインが出てきて目立つのがいい。

日本語のウィキペディアを見ると、ポール・マッカートニーと
ジョージ・ハリスンがエピフォン・カジノのツインで弾いている
とありますが、この曲はもう少し後から使い始める
ギブソンSGで弾いたらより映えるのではと昔から思っています。
音もですが、ステージで弾くならSGのシェイプは見栄えがする。

歌でいえば、最後のヴァースだけに入るポールのコーラス、
というよりカウンターの歌メロがスリリングで気持ちがいい。
そこにしか使わないというセンスも最高だし。
と書いてそういえばこの曲、AとBからなる曲構成ですが、
サビといえる部分がないといえばない、あるといえば
曲名を歌うAということになるのかな。
その辺も曲にひねりがない、単純と感じる部分ですね。

曲についてはこの辺で。


02 そして君の鳥は緑色


しかし、バーダーとしてこの曲での注目は以下のくだり。

You say you've seen seven wonders
And your bird is green
But you can't see me, you can't see me

君は世界の七不思議を見てきたという
そして君の鳥は緑色だね
だけど君には僕は見えない、見ることができないんだよ

緑色の鳥ね。
七不思議並に不思議ということかな。
そして君には見えない僕は七不思議以上の不思議であると。

でもそういえば緑色の鳥って少ない。
札幌で身近に見られる緑色の鳥を挙げてみます。
カワラヒワ
マヒワ
アオジ
メジロ
キクイタダキ
ヤマゲラ
カワセミ
アオバト
マガモ
通年で数えて200種以上見られる中で、
緑色の鳥はこれだけ、確かに少ない。
まあそれを言うなら青い鳥だって少ないのですが、
青い鳥はそれはそれとして愛でられているので、
緑色の鳥というのはやはり不思議な存在かもしれない。
しかも緑色といっても、カワラヒワは濃い「モスグリーン」だし、
マヒワは黄色が目立って緑色の部分は少ないし、
アオジは雄の頭部だけモスグリーン、マガモも雄の頭部が緑色。
緑色の鳥といえるのはメジロ、キクイタダキ、ヤマゲラ、
カワセミそしてアオバトといったところか。

でも、この歌詞から想像される鳥はいわゆる「小鳥」、
きれいな声で歌うあまり大きくない鳥ではないでしょうか。
それに合致するのはメジロとキクイタダキ。
ただ、キクイタダキは囀りはするけれど
「歌う」というほど元気がいい囀りではない。
ということで、日本でいうならこの緑色の鳥はメジロ、
といことになりますかね。

ただ、でも、メジロは"green"という「緑色」でもないか。
ここで言われる緑色の鳥というのは、
もっと濃い緑色の不思議なイメージが僕にはあります。
そもそもメジロは江戸時代(もっと前かもしれない)から
鳴き声と姿が愛でられている鳥だから、
英国の英語の歌に出てくるというのはイメージ違う気がします。

英国にはそんな鳥がいるの?

今ここに、英国の野鳥図鑑を取り出してみます。
高校時代だからもう30年以上前、洋書売り場で見つけて
買ったもので、冒頭写真に写っているものです。
日本とヨーロッパは共通して見られる種類がアメリカよりも多く、
種まで日本と同じ鳥をこの図鑑にも多く見つけることができます。
この図鑑を見てもやはり、小さな鳥で緑色のものは少ない。
カワラヒワに似た近縁種、マヒワ、キクイタダキ、カワセミ、くらい。
日本には基本的にいないシジュウカラ科のアオガラは
緑というより青です(これはこれで目を引きそうですが)。
というわけで、英国でも緑色の鳥はあまり普通にはいないようです。

じゃあ緑の鳥は何って考えてみると、いました、インコの仲間。
東京23区西南部を中心として辺りでは、かご抜けして野生化した
外来種ワカケホンセイインコなどのインコ類が見られます。
これが全身鮮やかな緑色、日本にはいないタイプの色合いで
飛んでいると目を引き、何だか不思議な感じがするのです。
外来種が普通に街中にいるということ以上に、その色が。
緑色の鳥というのはエキゾティックなイメージにつながるのかも。
絵みたい、童話やファンタジーに出てきそうなイメージ。
でも実際には鮮やかな緑色の鳥なんて身の回りにはいない。
だからジョンも歌詞の中で鳥を緑色にしてみた。

なんて、うだうだと考え過ぎかな(そうに違いない)。
ジョンは(疲れていたせいもあって)ただ単に次に出てくる
"me"と韻を踏むために"green"を選んだだけかもしれないし。

鳥について歌ったこの曲、2回目のBメロにはこんなくだりが
"When your bird is broken"
なんかちょっとかわいそう、と昔は思ったものでした。

しかしそもそもこの曲、どうして"And"なんだろう。
最初に聴いた時にそこがまず不思議でした。

とまあ、アルバムの中の1曲でもこれだけ楽しめるのは
さすがビートルズですね。

ところで、もしかしてジョンは日本に来て
メジロが至る所にいるのを見て驚いたかもしれないですね。
しかもメジロはきれいに歌う鳥だから。


というわけで、今回の213曲の記事は
最後まで大幅に脱線したまま終わります。


02




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