01
If I Fell
The Beatles
A HARD DAY'S NIGHT
恋におちたら
ザ・ビートルズ
(1964)
今日もまた1曲の話です、お付き合いください。
ビートルズは先頃Penny Laneの記事を上げてまだ間もないですが、
この曲も数日前に突然思い出して今よく口ずさんでいる曲。
まあそういうのをすべて記事にしていたら毎日1曲の記事、
ということになりかねないのですが、でも、そうだ、この先、
ビートルズの213曲をすべて記事にしてゆこう、と思い立ちました。
数えたところ今まで19曲の記事を上げています、意外と少ないな。
いつBLOGをやめるか分からないですが(現時点でまったく未定)、
やめるまでにあと194曲を上げてゆくことに、しました、と断言。
今回はこの曲。
If I Fellは、ビートルズ初の主演映画A HARD DAY'S NIGHTの
挿入歌として同名アルバムに収録、1964年7月10日に世に出ました。
ところで、この映画は昔『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』
という邦題でしたが、今は『ハード・デイズ・ナイト』になっていますね。
僕は、うん、やっぱり、『ハード・デイズ・ナイト』はなじめない。
なぜ「ア」がないの???
「ア」があるから言葉にリズムが出て発語するのも気持ちがいいのに・・・
新しい邦題をつけた人の言語感覚を疑います。
僕はいまだに「ヤァヤァヤァ」と言っているので、この記事でも
「ヤァヤァヤァ」と書かせていただきます。
話は逸れました。
この曲について、いつものように先ずは
『ビートルズ・レコーディング・セッション』から。
いつものように引用者は改行その他適宜表記変更を行っています。
***
◎1964年2月27日
If I FellはThis Boyを発展させた曲と見なしていいだろう。
コード進行も、ジョンとポールのハーモニーも、かなり込み入っている。
このハーモニーは2人の要望により、1台のマイクで録音された。
15テイク録るうちに、曲がだんだん練りあがってくる。
ジョージ・マーティンのアドバイスを受けて、
第3テイクからドラム・サウンドがヘヴィになり、
第11テイクではオープニングにジョンのパンチの利いた
アコースティックギター、エンディングにジョージの
ハードなリードギターが加えられた。
このテイクの後、ジョージ・マーティンが
「こんな感じにしたいんだろう?」と尋ねているのに対し、
第14テイクの最後にはジョンの「ケツがモゾモゾしちゃう」
という声が入っている。
この曲は第15テイクをもってレコーディングを完了した。
***
その後、1964年6月9日にモノ・ミックス、同6月22日に
モノ及びステレオミックスが作成され、リリースに至ります。
録音は1日で終わったんですね。
結構凝った曲ですが、録音していくうちに練り上げられていった、
というところに彼らの才能のリアルさを感じます。
続いて『ジョン・レノン・プレイボーイ・インタビュー』より。
***
ちゃんとしたバラードを書いてみようという最初の試みだった。
In My Lifeがバラードとしては最初だけど、
この曲も同じようなコード進行になっている。
DからDm、Emとただくりかえす、あの手のやつさ。
これは半自伝的な曲だ。
歌の中に出てくるその女とのね。
-でも"Cyn"のことじゃない。(注)
50年代風のイントロがついている(歌う)。
ポールが真ん中の8小節を助けてくれたと思うんだ。
ぼくもセンチメンタルなラヴ・バラード、
つまらない恋の曲を書いたんだってことさ、その昔にはね。
(注) "Cyn"はジョンの最初の妻シンシアのこと。
***
興味深い話ですね。
ジョンは、単にテンポが遅い恋の歌を「バラード」とはみなしておらず、
「バラード」にはそれなりの決め事がある、という認識があったのでしょう。
あれだけの曲を作った人だから、そうした音楽的な細かいことにも、
意外とというか、意識をはっきりと持っていたわけですね。
「つまらない恋の曲」というのは、曲がつまらないのではなく、
ジョンは他のラヴソングについても「つまらない」と形容しているので、
ただのラヴソングはこのインタビューの頃には好きではなかったのかな。
遅くなりましたが、ここで曲です。
「ヤァヤァヤァ」からのシーンですね。
リンゴ・スターが、自分のドラムスをテレビ局のスタッフが勝手に触り、
怒りだして機嫌を損ねたのを見たジョンが、慰めるために
ギター、ギブソンJ160Eを持って近寄り、この曲を歌い出す。
リンゴは最初は怪訝そうな顔つきでドラムスの前に座るものの、
ジョンのイントロが終わると演奏を始め、にこやかな顔になる。
楽器を構えていたポール・マッカートニーとジョージ・ハリスンも演奏に
加わり、周りは曲とは別にテレビ放送の準備が進んでいる。
ポールはヘフナー、ジョージはリッケンバッカー360-12。
途中ジョージがアンプに寄りかかって倒してしまうのはハプニングか。
録音の過程でドラムスが強くなったとありましたが、そんな曲のシーンで
リンゴが中心になっているのは偶然ではないのかな、と。
このシーンを観ていると、また映画を観たくなってきました。
間違いなく、僕が今までいちばん回数多く観た映画ですね。
そしてこのシーンではもうひとつ、ポールの動き、身のこなし、
今年のコンサートでもまったく変わっていなかった、
ということを思い出してまた別の感動がありました。
02
僕がこの曲を知ったのは中2の頃の「ビートルズ・イヤー」。
映画よりも先にレコードで聴きました。
当時一緒に熱心にビートルズを聴いていた今は栃木にいる親友が、
このアルバムがとにかくいいというので、早めにLPを買うことに。
ちょうどその頃、モノラル盤のLPが出た頃で、モノ盤を先に買いました。
If I Fellは、変わった響きの曲だなあと最初から強く思いました。
驚いた、といった方がいいかもしれない。
僕はそれまでたくさん音楽を聴いてきたわけではなかったけれど、
ユニークなコーラス、変なコーラス、と最初は思ったものです。
ジョンの歌い出しの部分が曲の中で1回しか出てこないのが
最初からなんだか不思議でした。
間奏もなしに次々と展開しつつ歌い継ぐのは、バラードでテンポは
速くないにもかかわらず、むしろ急いているように感じました。
もちろんすぐに歌詞を覚えて真似して口ずさむようになりました。
ビートルズの曲の常として、1番はジョン、2番はポール、という具合い。
この曲はジョンがひとりで歌い出すので必然的に1番はジョンですね。
でも、僕は音感が良くないので、最初はジョンのパートの音が
とりにくくて苦労しました。
ジョンの曲なのに、「なのに」というのは語弊があるかもですが、
なのにポールの歌メロの方を主旋律と感じてしまう。
高い音だから耳につきやすい、とういことなのかな。
しかも僕はこの曲のジョンのいちばん低い声が出せなくて、
ジョンのパートを歌う時はごまかしています、今でも(笑)。
しかもですね、感情たっぷりに(ロックとしてロックなりにですが)
歌っている内容というのが、If I Fell、英語文法的にいえば
「仮定法過去」、起っていない、起こりえないことを話している。
もし仮に僕が君に恋をするならこうこうこうなるだろうね。
だけどそれはないよ、と。
字義通りに受け止めてしまえば、「嫌みな奴」ですよねジョンは・・・
しかしこれ、そう言って焦らして彼女の気持ちを揺さぶっている、
むしろ頑固なのは彼女の方で、その気持ちを何とか動かしたい
と捉えればラヴソング以外の何物でもない、と気づきます。
ジョンがへそ曲がりで真っ直ぐに言えないだけで(笑)。
詩人としてのジョン・レノンのセンスを感じますね。
シンプルなようで凝っていて深い、不思議な響きの曲ですね。
永遠に終わらなそうなところ最後強引に終わらせている感じもします。
そうでもしないとほんとうにずっと歌っているのでは。
しかも、ビートルズの中でもこういう響きは他にはない。
ジョンが話で触れたIn My Lifeはもっと曲として整っている。
コーラスが印象的な曲はビートルズには多いけれど、
際立って個性的な曲だと思います。
アルバムと映画DVDのリンク。
DVDて今新品が流通していないんですね、驚いた。
なお、01に写っているのは、通常ステレオ盤、日本盤、US盤で、
US盤にはビートルズの曲以外は映画音楽が収められています。
で、今気づいた。
日本盤のジャケットはまさにこの曲の演奏シーンから
写真がとられているようですね。
単なる偶然なのですが、この曲の記事にこれを使ってよかったです。
ちなみに、今は栃木にいる親友が中学時代持っていたのは日本盤LPで、
僕は普通のフィルム風のジャケットが好きなのではじめからそれを
買いましたが、今となっては日本盤LPも買っておけばよかった、と。
さて、213曲記事に上げると宣言、残りあと193曲となりました。
しかし、待てよ。
仮に週に1曲上げ続けたとしても、4年近くかかるのか。
週に1曲だと、BLOGを見てくださる方からするとかなりの頻度、かな。
ビートルズの曲だけ取り上げるわけでもないし。
まあ、気負わずに、できるだけ上げてゆこうと思います。
ただ、ジョンの曲以外は引用が少なくなるかな。
レコーディング・セッションの方は全曲あるので大丈夫ですが。
最後は今朝の3ショット、A公園にて。
03