雨を見たかい クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル

guitarbird

2016年08月01日 21:21

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Have You Ever Seen The Rain Creedence Clearwater Revival
雨を見たかい クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル
(1970)

今日は1曲のお話。

Have You Ever Seen The Rain  
クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル

先ずは曲から。





 Have You Ever Seen The Rain
 Creedence Clearwater Revival
 (1970)


BS-TBSで毎週水曜23時から
「SONG TO SOUL ~ One piece of the eternyty 永遠の1曲」
という番組が放送されています。
主に洋楽の名曲にまつわる逸話とそのアーティストの活動を
短くまとめた、見応え聴き応え歌い応え(?)のある番組です。

詳しくはこちらのリンクからどうぞ。

僕が録画で観ているのは再放送分ですが、
先日、「雨を見たかい」が放送されました。

曲についてもはや多くを語る必要はないでしょう。
日本で洋楽を聴くある年齢層以上の人なら知らない人はいないのでは、
というくらいに有名、「洋楽」という言葉を象徴する曲のひとつでしょう。

1970年に発売されたクリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル
6枚目のアルバムPENDULUMから71年1月にシングルカットされ
ビルボード最高8位を記録した曲。


番組ではベースのスチュ・クックとドラムスのダグ・クリフォードが、
曲やクリーデンスについて語っていました。
なぜジョン・フォガティではないのかと思う反面、
ジョン・フォガティではないから聞けた話もあって、
僕は興味深く観ていました。
2人はクリーデンスの基になるバンドの創設メンバーで、
中学のクラスメイト。
中学で最初、苗字が近いので隣りになり話していると
お互いにロックンロールが大好きでレコードを集めていることを知って
仲良くなったのだという。

 
番組でも特に興味深かったのが、取材陣のある質問でした。

「雨を見たかい」は日本ではベトナム戦争の反戦歌として
知られているが、それは本当か?

彼らの答えは「それは聞いたことがない」

「雨を見たかい」は、雨をナパーム弾に喩えた
ベトナム戦争反戦歌であることはずっと言われてきていて、
今ではそれが定着しているように思います。

彼らは、1作前の同じ雨をテーマにしたWho'll Stop The Rainこそが
雨の隠喩を用いた反ベトナム戦争反ニクソンのメッセージソングだと
話していましたが、こちらは違うと。

Have You Ever Seen The Rainは、バンド内に生じた亀裂が
もうどうしようもなくなってしまい、バンドの解散を意識し始めたことを、
晴れ(よい状態)と雨=悪い状態の間で
揺れ動く心の隠喩として表したものだという。
そもそもこれが収録されたアルバムのタイトル
"pendulum"は「振り子」ですからね、なるほどと思いました。

僕も最初に聴いた時、明るいようで何か陰りのようなものがある
不思議な歌だと感じたものでした。

亀裂の原因は、ジョンとトム・フォガティ兄弟の仲違い。
兄のトムはもっと歌いたかったらしく、実際トムはこの曲が
シングルカットされた1971年1月に脱退しています。

バンドは当時、レコード会社とももめていましたが、
ジョン・フォガティが連れて来たマネージャーが
「ビートルズを解散に追い込んだ男」アラン・クライン。
番組を観ながら僕は、彼の名前が出た瞬間、思わず苦笑い・・・

というのが、この曲の実際の「意味」だったようです。





ところがですね、実は僕、この曲を最初
「干ばつにあえぐ農民が雨乞いする曲」と解釈していたのです。
それはおそらく、クリーデンスが「南部出身」を装っていたことに
釣られたのだと思う。
見事に引っかかりましたね、まだ10代だったし(笑)。

なぜそう感じたのか。
歌詞を僕が訳したものをみてあらためて考えます。

***

 「嵐の前の静けさ」って昔からいうけれど
 そうだね、そんなことよくあるよね

 その後は天気雨になるみたいだけれど
 ううん、でも、お日様が水のように降り注いでいるよね

 君は雨を見たことがあるのかい?
 雨ってどんなものか知っている?
 晴れた日ばかりが続いているけれど

 昨日も何日か前も太陽がかげり雨がひどかったね
 だけどさ、もうずっとそうだった気もしてきたよ

 これからもずっと四季を通して降り注ぐんだろうね
 そうそう、もう雨はやまないんじゃないかって思う


***

訳の「四季」というのは"circles"に僕があてた言葉で、
真意は違うかもしれません。

特に僕が思ったのは最後のヴァース

"Here forever on it goes, through the circles fast and slow
  I know, it can't stop I wonder"

雨乞いをしても雨が降らなくてどうしようもなくなり、雨の幻覚を見た、
夢の中で雨を降らせてしまったのではないかと。
人間、うまくゆかないと笑ってしまうこともある。
やるせなさ、どうしようもない心情を描いたのだと僕は感じたのです。
 
僕はこの曲を19歳の時に初めて聴き、このように思い、
それから3年くらいして「ベトナム戦争の反戦歌」であると
言われていることを知りました。
その時は、なるほどそういう手があったかと唸らされたものです。

だから僕の解釈を読んで、こいつバカじゃないか、
と思われる方も多いかもしれない。

でも、僕はいまだにこの曲を聴くと、最初に聴いて
解釈した風景が頭の中に浮かんできます。
それは決してベトナム戦争ではない、南部の「コットンフィールズ」、
もちろん実際に見たことはない映画か何かで見た風景ですが。

番組では、スチュ・クックがジョン・フォガティの歌に対して
次のように説明していました。

「曖昧な表現を上手く使うので聴き手の解釈が広がる」

まさにそれが僕の身に起った、ただそれだけのことだと思います。

曲ができるきっかけとなった思いは間違いなくあるに違いない、
それが人間だから。
でも、一度曲として表現されると、聴き手に解釈が委ねられる。
そこが楽しみだと僕はずっと思ってポピュラーソングを聴いてきました。

だから、間違っていると言われても気にしません(笑)。


02


ところで、番組に出ていたスチュ・クックとダグ・クリフォードは現在、
Creedence Clearwater Revisitedというバンドで
C.C.R.の曲をコンサートで演奏し、人気を博しているのだそうです。
知らなかった、しかも16年前から、
ダグ曰く「4年しか活動しなかったC.C.R.の4倍の長さ」。
 
メンバーは、
 ダグ・クリフォード (Ds)
 スチュ・クック (Bs, Backing Vocal)
 カート・グリフィ (Lead Guitar)
 スティーヴ・「ザ・キャプテン」・ガナー (Gt,Key, Harmonica, etc)
 ジョン・「ブルドッグ」・トリスタオ (Vocal, Gt)
 
番組ではこの曲のライヴが一部演奏されていました。

ヴォーカルの「ブルドッグ」さんはその名の通りスキンヘッドの大男で、
ジョン・フォガティと同じだけ高い声が出せましたが、
高音は少し金切声系でメタルも歌えるのではないかと思いました。
名前が同じ「ジョン」なのは偶然なのかな。

番組で紹介されていたライヴ映像は、"I know"の後に
シンコペーションで「ジャン」とひとつギターを入れることと、
サビでオリジナルにはないスチュのコーラスも入っていることなど、
ちょっとしたことだけど斬新なアレンジでよかった。

僕がアメリカ人で地元の街に来るならぜひ行ってみたいと
素直に思いましたね。





 Have You Ever Seen The Rain
 Creedence Clearwater Revisited

クリーデンス・クリアウォーター・リヴィジッティドのライヴ。


この曲について語りたいことは雨ほどにたくさんある。
 
今日はしかし話題をテレビ番組に絞って、この辺で終わります。
大好きな曲だから間違いなくまた記事にしたいと思う。

 
BS-TBSは「吉田類の酒場放浪記」もあるし(今ちょうどOAですね)、
洋楽が好きなスタッフが多いのかもしれないですね。
そういうところがあるのは嬉しいものです。


最後は3ショット。

03


君たちは今日雨を見たかい?

降ってたみたいだけど、家の中にいたからワカンナイ。


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