01
週末企画(?!)、後編、早速行きます。
C面
Tr1:
Birthday
J:アルバム「ザ・ビートルズ」の他のすべての曲と同じで、
この曲もインドで作った。
ぼくたちはまずMANTRAの祈りを捧げてから、
山の中に腰をかけ、ろくでもないヴェジタリアン・フードを食べた。
この手の曲を書く時間がたっぷりあった。
ポールが誕生日をテーマにした曲を書きたくなって、作ったんだ。
この曲自体は、くずみたいなもんだが、
ひとつだけ面白いサウンドが入っている。
ピアノの音をギター・アンプを通して、
ちょっとトレモロをかけてみたんだ。
おそらく、当時そんなことをやったのは
この曲がはじめてなんじゃないかな。
G:ポールは1日か2日しかインドにいなかったはずなので、
これはその貴重な時間に作られた1曲ということですね。
ジョンはビートルズの音楽的貢献をはっきりと認識していて、
音についての自負心を感じるコメントが時折みられます。
ギターにはエリック・クラプトンも参加。
女性コーラスはヨーコとジョージの妻のパティ。
そうです、パティとは、Layla、まさに彼女のことですね。
エリックは恋い焦がれた女性とレコードで共演してたんだなあ。
Tr2:
Yer Blues
J:インドで書いた。いつもと同じ内容。
インドで神に近づこうと努力したけど、
自殺したい気分になってしまった。
G:1968年当時英国で吹き荒れていたブルーズロックの嵐を
ビートルズなりにおちょくった本格的ホワイトブルーズ。
しかも、「当事者」のひとりのエリック・クラプトンが参加、
まったくもって手の込んだことをやるものです(笑)。
歌詞の中の"Dylan's Mr. Jones"とは、ボブ・ディランの名盤で
多分ジョンも好きだったHIGHWAY 61 REVISITED収録の
Ballad Of A Thin Manの登場人物のことだと思われますが、
僕はこの曲を初めて聴いてから10年ほどでディランのそれを
聴いて、ああこの曲か、と妙に感激したものです。
これももっと話したいけど、個人的なことはここまでに(笑)。
Tr3:
Mother Nature's Son
G:ポールの曲、大好きだけど残念ながらジョンのコメントはなし。
ポールは「アコースティック小品」のこつを、このアルバムで
つかんだのでしょうね、これは特にギターの音色とフレーズがいい。
なお、この曲はニルソンがカヴァーしましたが、ニルソンは後に
ジョンの飲み友達になってプロデュースも引き受けたというのは
なんだか面白い因縁だと思います。
Tr4:
Everybody's Got Something To Hide
Except Me And My Monkey
G:ジョンの曲だけどコメントなし。
ビートルズでいちばん曲名が長い曲だけど、よく聴くと、歌では
"except for me and..."と"for"が入っていて、もう既にあまりにも
長いので曲名では単語ひとつカットしたのかなって(笑)。
ちなみに"except"の"for"が入るか入らないかの違いは、
高校時代に英語の授業で習いました。
ジョンはファンクっぽいものが元々好きだったようですね。
パーカッションがどことなくトロピカルな雰囲気なのは興味深い。
そして最後のほうに入るポールのベースが悶絶もののカッコよさ。
Tr5:
Sexy Sadie
J:大賢者(マハリシ)からインスピレーションを受けた曲。
ぼくたちが荷物をまとめてインドを発とうとしていた時にできた。
ぼくは彼を「セクシー・セイディ」と呼んでいた。
ぼくはこう言ったんだ。
「マハリシ、君はぼくに何をしたんだい?
ぼくをコケにしたんだね・・・」
こんな旅立ちならいいなと思ってたのとは、
だいぶ違っていたからね。
G:ジョンはインドで過ごしているうちに、マハリシのよくない面が
見えてしまい、最後の頃には失望していたということ。
間奏もなく歌い継ぐジョンには鬼気迫るものがあります。
Tr6:
Helter Skelter
J:全部ポールだ。
チャールズ・マンソン関係の曲は、ジョージのPiggiesと
ポールが英国のフェアグラウンドについて歌ったものが
中心になっていた。
それ以外の何とも関連がない。
とくにぼくに関係があるなんてことは一番ありえないことだ。
G:チャールズ・マンソンはアメリカの猟奇殺人犯で、女優の
シャロン・テイトを殺害したことなどで話題になりましたが、
そのマンソンが、この曲を聞いて殺人を後押しされたと感じた、と、
話していたことがジョンの発言の背景になっています。
でも正直、それでもジョンが言うことは僕にはすべては理解できません。
もっとビートルズ以外の時代背景を学ぶ必要があるかもしれない。
ポールはポピュラー音楽を作っているだけあって、これといい、
ギデオンといい、周りで起こっていることにとにかく関心が高くて
なんでもすぐに歌にしてしまっていて、時にはそれが、
よからぬことにもつながっていったようですね。
曲の最後にリンゴが「指にまめができちまったぜ」と叫びます。
Tr7:
Long, Long, Long
(Harrison)
G:ジョージの抒情性たっぷりの曲。
02 なんだか分からないけど妙な写真のハウ
D面
Tr8:
Revolution 1
J:あの歌は2度録音したよ。
ビートルズが、互いに対して、非常にピリピリしだしたときでね。
ぼくはスローなテンポのやつをやって、これを
シングル盤で出したかったんだ。
ヴェトナムについて、そして革命についてのビートルズの
立場をはっきりさせるメッセージとしてだったんだけどね。
ビートルズが演奏旅行に出た時にヴェトナムとか戦争について
何かをしゃべることは、何年もの間、エプスタインから
止められていたんだよ。
ヴェトナム戦争についてぼくらに質問することも許さなかったんだ。
でも、ある演奏旅行の時に、ぼくが、
「戦争についての質問には答えることにするよ。
無視できないじゃないか」って言ったんだ。
ビートルズが何かを言うべきだと心から思ったんだ。
Revolutionの1回目の録音のとき、ジョージとポールは反抗的で、
テンポが遅すぎるって言ったのさ。
まあ、ヒットするレコードかどういうものかという細かい
議論に入るんだけどね。
けれども、結果的にヒットしてゴールド・レコードになろうが、
失敗して「木のレコード」になろうが、ビートルズなら、
Revolutionをゆっくりとしたテンポの、
わかりやすいシングル盤として出せたんだよ。
でも、ヨーコのことだとか、ぼくが、1、2年のんびりしてた後で、
初期のころみたいにまた創造性を発揮して、
目立ってきたことなんかで、みんなカッカしてたんだな。
林檎を積んだ車をひっくりかえしたみたいに、
大混乱をきたしてたんだ。
ぼくがまた目覚めたのが、みんなには我慢できなかったのさ。
PB:ヨーコの感化ですか?
J:ぼくのなかで生まれたものはみんな
ヨーコに感化されてできたものなんだ。
ヨーコの感化が直接歌を生んだというんじゃなくて、
ヨーコがぼくに大きな感化を与えてくれたんだ。
Revoutionに盛り込んだメッセージはぼくのものさ。
あの歌詞は今でも通用するよ。
今でも政治についてはああいう風に感じているんだ。
ぼくはプランを見たいんだ。(中略)
暴力を志すなら、ぼくは除外してくれ、
花をかざすのでなければ、ぼくがバリケードの上に立つなんて
思わないでくれだよ。
G:この曲には2つのヴァージョンがあり、別の曲として数えられ、
テンポアップしたヴァージョンはHey JudeのB面として、
ジョンの願い通りにシングルとしてリリースされました。
そちらは単独で
記事を上げたのでこちらをご覧ください。
ここでのジョンは割と過激なことを言ってますね。
ジョンの運命に影響を与えたのではないかと勘繰るほどに・・・
エプスタインとはビートルズを売り出したマネージャーであり、
この前年に亡くなったブライアン・エブスタインのことですが、
ジョンは特に彼と仲がよくまた一目置いていたようです。
そのエプがいなくなって、ジョンは過激な発言をするようになった。
それと、ヒットするかどうかの細かい議論、ジョンとポールと
ジョージのその話をぜひ聞いてみたいですね、興味大あり(笑)。
この曲はスタジオにベッドを持ち込んでジョンが寝ながら
録音したという割と知られた逸話が残っています。
Tr9:
Honey Pie
G:ポールお得意のディキシーランド・スタイルの曲で、
ジョン曰く、ぼくには想像すらできないタイプの曲。
Tr10:
Savoy Truffle
(Harrison)
G:ジョージのジャジーでへヴィなグルメソング。
Tr11:
Cry Baby Cry
G:ジョンのメッセージ色が濃い曲だけど、意外なことに
コメントがありませんでした、インタビュアーの聞き忘れかな。
この曲も"Tea"が出てきて、飲食物をイメージする言葉が
出てくる曲が続くのは、単なる偶然とは思えない。
曲がブレイクして最後にそれまでまったく出てこなかった
旋律が出てくるのがはっとさせられてものすごく効果的だけど、
それはポールが歌っているので、そこだけポールが作った
と考えるのが自然のような気がします。
Tr12:
Revolution 9
J:アルバムの中のRevolutionはテンポが遅く、えんえんと続く。
そこからフェイドアウトの部分を取り出した。
単に曲を積み重ねるだけの事なら、、今では、
ディスコのレコードなどでよくやっている。
でも、ぼくは、オリジナルのRevolutionの基本リズムの上に、
約20本のループ(環状の音源テープ)をのせた。
このループはEMIのこれまでの作品群を使わせてもらった。
つまり、クラシック音楽を切りきざんで、
いろいろなサイズのループを作った。
そして、エンジニアに、No.9, No.9, No.9という声をとらせた。
そのそれぞれ違った音の切れ端とノイズを
全部重ねて編集したんだ。
たった1インチ位のから、1ヤードもあるループに
スタッフが取り組んだ。機械は10台ほど使った。
ぼくはそのループをみんな送り込みライヴでミックスした。
気に入るまで何回もやったのさ。
実験をくりかえす間、ヨーコがずっとそばにいて
どのループを選ぶか決めた。
この曲は彼女の影響のもとでできたとぼくは思っている。
彼女の叫び声やうなり声だけではなく彼女の言葉のはしばしや、
話す時の声や息づかい、そしてこれまでなかった表現を
すべて聴いてぼくは思った。
こりゃすごい、ぼくはその気になったぞって。
そこで曲を作りたくなったんだ。
この曲に、ぼくは自分のこれまでの全作品の
半分にかけた時間以上を費やした。
これは一種のモンタージュだった。
G:この「曲」についてはファンの間でも喧々諤々・・・
僕は、アルバムで聴いていると、それなり以上に好きですが。
しかしそれにしても天才の周りにいる人は大変だなって(笑)。
エンジニアにはアラン・パーソンズは既にもういたのかな。
Tr13:
Good Night
J:これはジュリアンのために書いた。
Beautiful Boyがショーンのためだったのと同じ。
これをぼくはリンゴ・スターにやった。
ぼくにはおそらく凝りすぎだったんじゃないかな。
(少年4人少女4人のバック・コーラスが入っている)。
G:この曲は美しいですよ。
前の曲の後に出てくるので余計に・・・(笑)・・・
リンゴが歌うことになったのをジョンは照れ隠し的にぞんざいな
言いかたをしているけど、でも、曲を書いたところで、この曲の
雰囲気にはリンゴの声がぴったりだと直感したのでしょうね。
ビートルズの魅力は「良心」だとポールが言っていたけど、
まさにそれをよく表している曲だと思います。
いかがでしたか!
2日間に渡ってお読みいただきありがとうございます。
ビートルズの記事を上げるのは、自分自身としても、
自分とビートルズの関わり合いを見つめ直す機会になります。
他のいろんな音楽を、僕は多分、普通より多く聴いているけれど、
それはビートルズが確固たる基礎土台を築いてくれたからです。
最後に犬たちをもう1枚。
車を止めて僕が外で人と話している時に、
車の中で待つ犬たちを、ストロボを使って撮りました。
まあ、それだけの写真なんですけどね(笑)。
03