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今月の読書です。
今月も結局4冊しか読めませんでした。
しかも1冊は写真集、1冊は図版、と。
☆1冊目
シマエナガちゃん
小原玲(写真)
講談社
シマエナガの写真集が初めて出たというので購入しました。
亜種シマエナガは日本では北海道にのみ生息するエナガの亜種、
という話はここでは何度もしてきましたが、写真集が初というのは
意外な気もします。
ところで、これを購入したのにはわけがあります。
昨年12月から、A公園でシマエナガを撮りたいけどどこにいるの?
と質問する人が急に増えたんです。
シマエナガが数年前からネット上で人気であるのはもちろん
知っていましたが、昨年からの動きは顕著なもので、
他に何かきっかけがあるのかもしれないと漠然と思っていたところ、
この写真集が出たことを知り合点がいきました。
しかも道内ではなくあの最大手講談社から全国に出ている本で、
テレビでも取り上げられて話題が広まったのだということです。
さらには、この写真種のカメラマンの方がA公園にいらしている
と聞いて、それではということで購入したしだい。
その小原さん、僕は姿は見ましたが、話はしませんでした。
内容についてはシマエナガがイタヤカエデの樹液のつららを
すすろうとしたり、幼鳥が枝に横並びになったりとかわいらしいし、
シマエナガの生態を捉えたものとして勉強にもなります。
こういう写真を撮るのはやっぱり粘っていないとできないわけで、
根気のない僕には撮れない、うん、それは思いましたね正直に。
それにしても若者がテレビを観なくなったと言われている今、
それ以上の年代にはまだまだテレビの影響力は大きいと
あらためて今回分かりました。
そうなんです、昨年11月以降、「シマエナガいますか?」
と聞かれるようになったのです。
それまでは「エナガいますか?」だったのですが。
シマエナガ、もうすっかりおなじみの鳥になったようです。
☆2冊目
「アレの名前大百科」
みうらじゅん(監修)
PHP文庫
この本については先に
記事(こちら)で紹介しました。
もちろん読了しましたが、まとめの意味でもう一度取り上げます。
覚えましたよ「クロージャー」、重宝しています、
この本に出てきた物でいちばんよく使っています。
「ツイストタイ」もその次によく使いますね。
街中で見るものもこの本のおかげで「アレ」ではなく
ずいぶんと名前で言えるようになってきました。
ここで復習問題。
Q:ガソリンスタンドの給油装置がある少し高くなった場所を
何というでしょう?
A:アイランド
島、そのままですね。
☆3冊目
広重名所江戸百景 望月義也コレクション
合同出版
神田地区で弁当屋を営んでいた望月義也氏が、
平成10年に店を閉め、念願であった広重「名所江戸百景」の
浮世絵収集を始め、1点ずつ初摺を揃えていたところで
全点揃いが古書市場に出て集めることができた。
それを1冊にまとめたのがこの本。
縦長の四六判ほどの本1ページに図版が1点と大きくは
ないですが、全108景を1冊で見られしかも2000円で
お釣りがくるというコストパフォーマンスの高い1冊。
より多くの人の目に触れてもらいたいという望月氏の思いが、
合同出版55周年と相まってこの本を作らせたのでしょう。
僕がこの本を買ったきっかけは、テレビ東京系番組
「Youは何しに日本へ?」でした。
僕がたまたま観た(といって録画ですが)の回では、
「広重江戸名所百景」に魅せられた若いイタリア男性が、
現在の日本で広重の絵を今風に解釈するとどう見えるか
という独自の視点で東京の街並みの写真を撮るという話。
その人は東京でミュージシャンをしている友人の家に泊まり込んで
東京を歩き回り、ひとつずつ、1枚ずつ、フィルムカメラで
写真を撮っていく。
当然1回や2回では終わらない。
今回もあと15景ほどを残しての帰国となりましたが、
そのアイディアを応援したいのと、その視点に興味があり、
ネットで探すとこの素晴らしい本が見つかったというわけ。
いずれ日本で個展を開きたいとのことで、そうなればぜひ行きたい。
さてこの本、地名としてはよく知っている場所が多く
出てくるわけですが、その昔の姿を見せてくれることで、
当時の人々の生活や景色などに想像が及び膨らみます。
中でも35景「真乳山の三谷堀夜景」が印象的でした。
現在では「真乳山」は「待乳山」、「三谷」は「山谷」と
表記されますが、僕が小学生時代に生活していた辺り。
「待乳山聖天」の近くの隅田公園で野球をしていましたが、
自転車で通る度に面白い名前だなと思っていました。
そしてこの辺りは吉原の近く、広重の絵には花魁。
今と昔がつながりました。
一方、101景にはそのもの「よし原日本堤」もあって、
今はもうない「堤」が広重の絵には確かにある。
どうしてこんな地名何だろうって思っていたことを思い出し、
懐かしくもなりました。
46景「昌平橋聖堂神田川」、これは僕が東京にいた頃、
御茶ノ水駅から坂を下って昌平橋の横を通って
秋葉原でCDを見て帰宅していたことを思い出した。
今ではJRの高架の陰に収まる目立たない橋ですが、
江戸名所のひとつであったことも分かりました。
古地図とはまた違う昔をしのぶ本。
これはほんとうによい買い物でした。
そして、このコレクションは神田古書店街の浮世絵の店で
入手したとのことですが、神田神保町界隈も
懐かしく思い出しました。
☆4冊目
夏井いつきの365日季語手帖
夏井いつき
マルコボ・コム
先月紹介した「赤ペン先生」夏井さんの本、読みました。
時節に合わせた季語使った句を毎日1句ずつ紹介。
同じ季語が二度使われることもあれば無季の句もあって、
取り上げ方に工夫を凝らしていて楽しめます。
例句を読むだけでも楽しいし勉強になりますが、
初心者向きということで有名な句を取っているのも安心感がある。
例えば
春風や闘志抱きて丘に立つ 高浜虚子
菜の花や月は東に日は西に 与謝蕪村
花の雲鐘は上野か浅草か 松尾芭蕉
付属の専用ハガキで投句して「才能アリ」と夏井さんに言われると
来年度版のこの本の閉じ込みで紹介されるというから、
やってみるかな、と思う人も多いでしょうね。
僕もちょっとだけ思いましたが、でもその場合ここに句を載せると
未発表の作品ではなくなるのかな、どうなんだろう、
商業誌とか公式HPでなければいいのかな。
俳句を楽しむ人が増えてほしいというのが夏井さんの
かねてからの思いですが、それがかない形となった1冊。
それがこの本でしょう。
そうそう、僕はまだそれほど齢をとったとは思っていないのですが、
この本は季語が大きな文字で記されているのがありがたいです。
はい、探しやすいから、ですよ、一応(笑)。
なお、
「洋楽における「マイフレンド」問題」の記事(こちら)で
触れた「実践 日本人の英語」は読了できなかったので、
来月あらためて述べさせていただきます。
(読了できると見越しての記事だったのですが・・・)
続いて未読の本。
そうだ、このコーナーにタイトルをつけようか、題して
【積読候補といわないで】
☆
別れの挨拶
丸谷才一
集英社文庫
3月に出た丸谷さんのこの本、帯の背に「最後の新刊」と。
寂しいですね、書名からしても。
書評を主なものとしていますが、裏表紙の紹介文を書き出すと、
読書の快楽がここにある。
作家、翻訳家、評論家として半世紀以上に亘って執筆、
研究を続けた知の巨人が、その叡智を未来に託した
最後のエッセイ集。
読みたい。
でも、読むともう終わり、次はない。
寂しいですね。
☆
ブラウン神父の無心
G.K. チェスタトン/南條竹則・ 坂本あおい (翻訳)
ちくま文庫
ええ、はい、「候補」ではなくもう立派な「積読」です。
もう5年以上。
英国ミステリの傑作で、創元推理文庫から出ているものは
「ブラウン神父の無知」として知られていますが、
僕は読んだことがなく、5年前に書店でこれを見つけ、
大好きなちくま文庫から出ているならと買ったのでした。
これが不思議、読みたいという気持ちは低レベルでも
常に持ち続けている。
あとはちょっとしたきっかけと時間だけ、ですかね。
ミステリも久し振りだし、読めるといいなぁ(いつか・・・)
そして
【guitarbirdの書架より】
☆
桜
勝木 俊雄
岩波新書
桜の季節、こちらではまだ始まっていませんが、東京も今年は
遅いようで、なんでも4月2日が満開の予想なのだとか。
まだ間に合う。
僕は今年もまたこの本が読みたくなってきた。
一昨年新刊として買って読み、昨年再読し、今年と
これで3年連続この本を紹介していることになります。
文化面も抑えていますが、何より樹木として、植物として、
生物としての桜に焦点を当てた画期的な1冊。
もう名著といっていい、と僕は勝手に思っています。
☆
日本野鳥歳時記
大橋弘一
ナツメ社
そしていよいよ北海道も夏鳥がやって来る季節!
そこであらためてこの本を紹介。
鳥の名前の由来をきれいな写真とともに紹介しつつ、
「歳時記」というだけあって俳句や和歌も紹介されている
とても充実した1冊。
ところで、この本を以前ここで取り上げたのは「つい最近」
と思っていたのですが、見直すと昨年の1月、
もう1年以上前のことだったんだ・・・つくづく、早いなあ。
来月は5冊を目指します。
何もそんな肩肘張らなくても、気楽に読めるだけ読めば
いいのではないかと言われるかもしれないですが、
でもやっぱり本好きとしては目標を掲げたいものなのです、はい。
最後は4日前の3ショット。
02
01、02、どちらも斜光で撮っていますが、
結果として似たイメージの写真になってしまいました。
こういう季節だ、ということは言えるのですが。