今月の読書2015年12月号

guitarbird

2015年12月29日 18:29

01


今日はポーラ自ら車の外に出ました!

読書の記事です。

今月は5冊、1冊は「読んだ」とはいえないものですが。
では早速



☆1冊目


フィールドガイド日本の野鳥 増補改訂新版
高野伸二
公益財団法人 日本野鳥の会


日本野鳥の会の野鳥図鑑であるこの本。
僕は中学時代に買ったハードカバーのを持っていますが、
改訂版が今年6月に出ていたことをつい最近知り、購入しました。
この本を著した高野伸二氏は30年以上前に亡くなっているのですが、
日本野鳥の会としては、この図鑑の素晴らしさを伝えてゆくために、
情報を更新し今の時代に合わせて出してゆくことにしたのだそうで、
今の版は後続の人の思いが詰まった1冊となっています。
新たに確認された種などは絵も含めて情報が加えられており、
元々が古いからといってもそこは今に対応しています。
この図鑑の良いところはなんといってもその絵にあります。
しかし、Amazonのレビューでは、「絵でがっかり」というものがあり、
そうかそういう考え方もあるんだ、と。
図鑑は必ずしも写真の方がいいとは限らない、というのが僕の考え。
写真の場合、撮影した時の光線状態(これ大きな要素)や角度により、
実際に目で見たものと写真が同じ色には見えないことが多々ありますが、
図鑑の写真と、実際に見たり姿や自分で撮影した写真の鳥が
「まったく同じ」に見えないと、初心者の人は特に
それが同じ鳥と断定できない場合も生じてきます。
写真のワナというか。
その点絵はイメージの一般化を人間の頭の中で行ったものであるので、
イメージとして伝わりやすくなる、と考えます。
オオルリの色なんて角度や光の当たり加減でかなり違って見えるし、
図鑑的な角度できれいに撮影できることも少ないですし。
もちろん、きれいな写真を見るのも図鑑の楽しみだから、その辺は
個人の好みによりますが、ひとつだけ言えるのは
「写真は絶対ではない」ということ。
この本はもちろんというかすべて読み切ったわけではないですが、
敢えてここで取り上げることにしました。
新しく加わった項目は僕も少しずつ読んでいます。
そしてこの本を買ってから実際に見た鳥の項目も。



☆2冊目


意味がなければスイングはない
村上春樹
文春文庫


こちらは既に記事にしました、詳しくはこちらをご覧ください。
なお、その記事の補足として、シューベルト・ピアノソナタD850、
アルフレート・ブレンデルのものはまだCDプレイヤーに入っており、
毎日のように聴いています。
どんな曲かようやく覚えました、やはり構造的に難しいのかな、
でもその難しさが面白さであると感じられるようになってきました。
よく聴くと印象的なフレーズも多いのですが、D850の場合は、
短い印象的なフレーズが散らばっているという感じです。
ウディ・ガスリーDUST BOWL BALLADSは思いの他気に入り、
クリスマスアルバムを聴いていた期間をはさんでまた聴いています。
この明るさが逆に事実の重たさを強調しているように感じます。
何より歌として歌メロがいいものばかりです。



☆3冊目


その道のプロに聞く生きものの持ちかた
松橋利光
大和書房


この本はネットで見つけてすぐに買いました。
生きもの好きとしてわくわくする本。
内容はその通りで、犬、猫からウサギやハムスター、フェレットなど
割と身近なペットから、カブトムシ、クワガタ、など身近な昆虫、
野山のカエルやヘビ、そしてペットのサソリやタランチュラなどなど、
接する機会が多い生きものの持ちかたを写真で説明する本。
持ちかたを学ぶのは、ペットとして愛情を持って接することの他に、
例えば車やテントの中に昆虫などある生き物が入り込んできた時に、
それをうまくつかんで対処するためにも覚えておくといいという。
なるほど、そういう視点もあるのかと。
プロというのはペットショップ店員、獣医さんなど。
でも、正直、持ちたくないものも扱っています。
ナメクジもそのひとつで、同類のカタツムリは殻を軽く持てばいいけれど、
ナメクジはどうするか? 結局割りばしでつまむのがベストだそうで、
そう聞くと少しほっとしますかね(笑)。
ではゴキブリ・・・知らなかったのですが、マダガスカルオオゴキブリ
というペットとして流通しているゴキブリがあるそうな。
でもそれ写真を見ると三葉虫みたいで、翅が退化しており、
あの翅がテカリがない分ゴキブリという感じはしない。
飼うのはさすがにだけど、一度実物を見てみたいと思いました。
で、家に出てくるゴキブリ、家族が嫌がる中でお父さんとしての
威厳を示すためとしてここでは話していますが、両手で上下から
優しく包んで持つ、その際に手の中にいるのはゴキブリではなく、
他の昆虫と思う、とのことでした。
ううん・・・
カブトムシは僕も小さい頃に飼っていたことがありますが、
そうそう、前の長い角と後ろの短い角の間に指を入れると
挟まれて痛かったことを思い出しました。
つつかれたり引っかかれたり噛まれたりといった危険を
細かく説明しているのは「実用書」らしい親切なところですが、
痛さの表現が控えめなところにもまたユーモアを感じます。
そう、これ、冗談と本気の間を行ったり来たりする、
そのユーモアが本として秀逸な部分でもあります。
今年買った本の「ユーモア賞」を送りたいですね。
この本は面白いのでA公園「森の家」で閲覧用に置いておこう。
ところで、うちのポーラは抱っこされると嫌がります。
足が地に着いていないと落ち着かないのかな。
マーサは普通に抱っこされるのが好きです。
ハウは、ううん、病院で抱き上げて診察台にのせたことはあるけれど、
「抱っこ」したことはないなあ(笑)。



☆4冊目


金子兜太の俳句入門
金子兜太
角川ソフィア文庫


今月の俳句の本はこれ。
入門の本は基本を確認できるのでいい。
まだ初期だから少しあけて別の本を読むと基礎が積み上がってなおいい。
でも、そろそろ、入門書を読むのは「逃げ」のような気もしてきました。
同じことが何度も出てくることも分かって来たし。
例えば、「俳句」と呼ばれるようになったのは子規からだから、
まだ100年と少ししか経っていない、、とか。
一方で単純に読書好きとしては、俳句入門書は本として面白いので、
まだまだ他を見つけて読んでゆきたい。
「逃げ」一辺倒ではなく攻めとしても読んでゆこうとも思う。
金子兜太は幾つかの句を他の本で接してきましたが、
ひねり具合がいいなと思いながら読んでいました。
今度は句集を読んでみよう。



☆5冊目


お食辞解
金田一秀穂
文春文庫


以前購入したことを紹介した本、読みました。
手を付けるまで長かったけど、読み始めたら1週間でした。
え、1週間が早いのかって・・・(笑)。
これは辞書のような形式だから、少しずつ読み進めていました。
これが面白い、非常に面白い。
金田一秀穂はお察しの通り日本語学者金田一春彦の息子であり、
祖父は金田一京助というお家柄、家族のことも時々触れられています。
短い文を積み重ねてゆく軽妙で洒脱な文章にまず引かれます。
各項目最後は落語のようにきちんとオチをつけているのもいい。
時々毒気があって、さらっと社会風刺しているのもいい。
例えば、「ロール・ケーキ」の話、元々あまりおいしいものとは
思っていなかったが、最近は流行っている、でも衣服と同じような
流行りが洋菓子にもあるのはどうなんだろう、「ティラミス」が出てきて
そういう流れが出来、「スウィーツ」と呼ばれるようになった、
でも今のロールケーキの流行りは「軽い」、といった具合。
本の構成として、この手のものは「か」「さ」「た」の項目が多い一方
後ろに行くほど少なくなっていくものですが、これは
「あ」から「ら」までほぼ均等にあるのがなんだか嬉しい。
なぜ嬉しいかって、僕は名前も苗字も「ま」行だから(笑)。
いちばん印象的だったのは「にんじん」の話。
日本ではにんじんは子どもが嫌いな野菜の上位に入るものだけど、
アメリカでは逆で子どもが好きな野菜の上位であるらしいという。
金田一さん個人の体験談として、アメリカに住んでいた時、
子どもたちのお弁当の中に煮たにんじんがごろっと入っていて、
サンドウィッチなどの後にそれをおいしそうに食べるのだという。
アメリカでは「キャロットケーキ」なるものもあるし、甘い物という
認識もあって子どもたちはにんじんが好きなのだろう、という。
なるほどね。
僕も実は10代の頃はにんじんの中の方の臭みが苦手で、
よく煮たり細かくしたものしか食べられなかったけれど、
今はスティックでも大丈夫だし、毎日夕食で何かに使っています。
他に紹介したいのは「マヨネーズ」について、「マヨラー」には
食生活の貧しさ、料理に興味を示さないものぐさな人の香りがする、と。
これも毒がある表現ですが、なるほどと大きく膝を打ちました。
もひとつ、「わさび」について、外国人に、日本の「わび」「寂び」とは
「わさび」を食べた時の感覚なのかと聞かれ、なんだか近いように
感じてしまうと書いている点も妙に納得しました。
そして金田一さんがこの本で強く訴えているのは、食べるということは、
大脳の働きであって、味覚の上に、視覚、情報、思い出などが
絡まっておいしいと感じるものだということ。
この本は読み進めている間ほんとうに楽しくてしょうがなく、途中から
早く読み終わるのがなんだかもったいなくなってきました。
願わくば続編、もしくは食ではなく他のテーマでこの「辞典」を
続けていただければなあ、と思いましたね。
いや、ひとまず食の続編が、やっぱり希望ですね。
この本は日本語と食への意識が強い人には絶対のおすすめです。


02


青空はカラーの方がいいな。


続いて、新たに購入したもの、12月といえばという3冊(点)を。





文庫手帳2016
安野光雅
ちくま文庫


毎年買っている文庫手帳。
毎年、コンサートにこれを持って行ってセットリスト書き込んでいますが、
2016年版には誰のリストが書き込まれるのかな・・・
ところでこれ、著者があって、安野光雅なんですね、絵ですけど、でも
その絵が好きで買うのだから当たり前のことか。





天文年鑑 スターウォッチング完全ガイド 2016年版
藤井旭
誠文堂新光社


こちらも12月に毎年、といって一昨年から買い求めているもの。
来年は3月9日に全国で部分月食が見られますが、
今年ほど大きな「天体ショー」はないかな、ざっと見たところ。





【ヒロシのひめくり】まいにちネガティブ。
前向きじゃなくても生きていける
ヒロシ
自由国民社

ヒロシは「笑点」で出てくると大笑いするんだけど・・・
「消えそうな芸人」ランキングからも消えたと自虐的に書いていたり、
なんだか逆に楽しそうなので買ってみました。
まだ見ていないのですが楽しみ。


【guitarbirdの書架から】

今月はちょっと変わった1冊を。



コンサイス英英辞典
三省堂


Facebookで英語の記事を読むことが増えました。
もちろん僕は英語の語彙力が乏しいので、机の横に
英語の辞書をいつも置いておこうかな、と思い始めていました。
それが先日、本が集まった棚(本棚ではない)を片付けていたところ、
この本が出てきました。
懐かしい、30年近く前、大学生になった頃に買ったものだ。
ケースに入ったままで暗い場所にずっとあったせいか割ときれいで、
せっかくだからこれを使うことにしました。
新たに買わずに済んで節約にもなりましたし、何だか得した気分。
英英辞典といってもこれ、短く日本語が添えられているんですよね。
だから説明の文章が分からなくてまたそれを引くという
「堂々巡り」もなくて便利、ちょっと見るにはちょうどいい。
ただ、そういう中途半端なものだから、版が重ねられなかったのかな。
今はもう出ていないし、古本でも3桁で安いもの。
家の中にはまだまだいい本が眠っているかもしれない(笑)。



03


ハウだけカラスから目が離せない・・・

正月休みが入る来月はもう1、2冊増やしたい。
でも、休みだからこそかえって早く時が過ぎてしまうんですよね・・・

来月はきっと小林信彦んさんのシリーズ新刊文庫を読むと思います。
先月読んで久し振りにやっぱり面白くて気持ちが盛り上がりましたが、
他のを読むことなくその気持ちを置き去りにしているので、
出たらすぐに読めそうです。

ところで、年末だから読書の記事も今年のTop6とか考えましたが、
この時期何でもかんでもそれは飽きるかと思い、読書の記事では
「年度末」、つまり3月にTop6なりを紹介することにしました。
率直に言って、主に心の準備をしていなかったからなのですが・・・(笑)。


最後も3ショット。

04


立ち上がったマーサ、背景と同化して顔がよく見えない・・・(笑)。





あなたにおススメの記事
関連記事