RECKONING R.E.M.

guitarbird

2013年11月27日 22:54

いつものように
写真など音楽に関係ない書き込みも
大歓迎です!


デラックス・エディションが出ると
それまで取り上げていなかったアルバムを紹介する
ということがこのところ多くなっていて、
また近々それがある予定です。
まあ、聴き直すにはいい機会ですから。

01


RECKONING R.E.M.
レコニング R.E.M.
 released in 1984

R.E.M.の最新のライヴアルバムがとても気に入った!
ということは既にこちらの記事で熱く語りました。
ほんと気に入ったんですよ!
2時間半あっていつも聴き切れるわけではないのが唯一の欠点、
というくらいに大好きです(笑)。

その記事において、「前期」が本格的に好きになった勢いで、
「前期」のアルバムも近々記事にすると宣言していました。
今回は、それ、2ndアルバムのRECKONING
このアルバムのデラックス・エディション2枚組が出ました。
というのはもう6月、5か月も前のことですが、
その間はいろいろと忙しくて記事が先送りになっていました。
でもまあ、結果として、当時はライヴ盤が出ることは知らなくて、
そのライヴ盤の後になったので、よかったのでしょうね(笑)。
なお、1stアルバムの
MURMURのDEが昨年11月に出ていますが(記事こちら)、
今後も、3rd、4thと続いてリリースされるのか、楽しみです。

これは、1984年の彼らの2枚目のアルバムですが、
1984年、僕は高校2年生、既にロック人間と化していましたが、
このアルバムのことは、まったく何も覚えていません。
それどころかR.E.M.というバンドですら当時は知りませんでした。
彼らを知ったのは、1986年に、The One I Loveがヒットし、
ベストヒットUSAなどMTV番組で取り上げられてからのこと。
最初は、特に日本での扱いは小さかったのでしょうかね。
僕はあまり積極的に雑誌の情報を集めるほうでもなかったし、
レコード店でアルバムを見て印象に残ったということもありません。
思い出が何もなく、ゆえにあまり話せることもなくて、だから今回、
曲紹介までの間が異様に短くなってしまいました(笑)。

もちろんそれは仕方ないことですし、無理に長くする必要もないですが、
でも、いくらなんでもそれでは僕としてもつまらないので、今回は、
ギタリストとしてのピーター・バックの魅力に着目してみました。

ピーター・バックというギタリストは、
リードギターでぐいぐいと引っ張って目立とうとする
ギターヒーロー的な「バカテク」(もう死語か)ギタリストとは程遠い、
演奏のバックでこそ活きるタイプのギタリストです。
その点、ザ・ポリスアンディ・サマーズと同じタイプですが、
でも、アンディはそれはそれとしてテクニックも優れています。
あ、いや、もちろんピーターが下手だというつもりはないのですが、
でも、ピーター・バックのギターワークには、
アンディ・サマーズのような緻密に聴こえるという感じはなく、
アドリブとまではいかないですが、曲の流れや感興に応じて、
積極的にいろいろな音を出す工夫に長けていて、

そこが、ただ上手いだけの人よりも親近感を覚える部分です。
なお、アンディの緻密に聴こえるプレイもすごいと心底思いますが、
僕は、こういうタイプは好きだからそうじゃないものは好きじゃない、
とはならない、何でも貪欲に好きになるタイプです、念のため。
話は戻って、ピーターは主に
リッケンバッカーのギターを使っていましたが、
リッケンバッカーといえばやはり思い出すのがジョン・レノン
ピーターは、まさにジョンから「アイディアと創意工夫」を受け継ぎ
或いはジョン以上に表情豊かに聴かせるギタリストでしょう。
そんなピーターのギターワークは、人間的な魅力が溢れていて、
とにかく聴いていて楽しくなるものです。
武道館のコンサートで実際に見た時も、曲の間のMCで
マイケル・スタイプがメンバーを紹介する際に、ピーターが
メンバーに応じてちょっとしたテーマ曲をギターで入れていたように
飄々としつつ小さな笑顔は欠かせない、ユーモアたっぷりな人。
僕は、好きなギタリストのひとりには必ず
ピーター・バックの名前を挙げるくらいですが、ここでは、
ピーターのギターワークに注目して聴いてゆきます。


02 11/25、ウトナイ湖にまだホオジロがいてちょっと驚き



Tr1:Harborcoat
ビル・ベリーの軽快なドラムスから始まる、
いかにもアルバム1曲目という軽快なR&Rでスタート。
アップテンポだけどサビは音を伸ばすという独特のスタイル、
そしてサビのコーラスもなんだか合ってないように感じるのは、
彼らの人を食ったところが早くも全開。
よく聴くと当時流行っていたスカで、ピーターのギターも
時々あざといくらいにスカを強調した裏打ちになります。
最初からいい感じでギターが鳴っています。


Tr2:7 Chinese Bros.
童謡みたいに歌うギターフレーズのイントロから心を掴まれます。
実は僕は、ライヴ盤を買うまで、この曲はタイトルを知らなかったので、
まったく中国風とは思っていなかったのですが、それもそのはず、
演奏も旋律も決して中国風には感じないです(負け惜しみじゃなく)。
そういえばデヴィッド・ボウイChina Girlも、イントロくらいでしたね、
中国風かなぁ、と感じさせる部分は・・・
ヴァースの部分はイントロのフレーズがそのまま演奏され、
サビでアルペジオに展開、さらに間奏では低音弦のリフと、
小刻みに曲の進行に合わせていろいろな音を聴かせる、
これはピーターのプレイの一つの典型ですね。


Tr3:So. Central Rain
こちらはイントロからアルペジオ。
しかしこれは歌が始まるとギターの音がぐっと小さくなりますが、
他の曲ではそこまでは小さくならないのがまた面白いところ。
サビのSorryというところはとにかく印象的、少しじわっと系の曲。
最後のマイケル・スタイプの叫びは、ちょっと苦しそう。


Tr4:Pretty Persuasion
最新のLIVEでは見せ場だった、彼らの代表曲のひとつ。
この曲もギターの聴かせどころは満載で、イントロが先ず
高音で大きな音のアルペジオによる激しく攻撃的なフレーズ。
サビではザクザクと鋭く刻み込みスリリングな音を出し、
ヴァースとサビのつなぎの部分のほの暗い部分では
とろぉんとしたコードを奏で、ますます曲に表情がつきます。
イントロにハーモニカがスパイス程度に入っているのも面白い。
全般的にフラストレイションのようなものを感じる響き、
R.E.M.一流の「上滑りするロックンロール」の代表曲。


Tr5:Time After Time (Annelise)
最初に聴いて、R.E.M.も「普通の」バラードを書くんだ、と驚いた曲。
逆にいえばR.E.M.らしい「ひねり」がないともいえますが、
しかしこれは名曲といってよく、曲の力が外野の声をねじ伏せます。
じわっと聴かせるバラードで、マイケル・スタイプの声がしみてきます。
ピーターのギターは、イントロでジャーンとコードを奏でる際に、
弦のブリッジに近い側を弾いて固い音をだしているように聞こえ、
それがなんだか気持ちを引きずっているように感じます。
曲の前半は単音をずっと奏でるだけですが、
それにさえも表情がついていて引き込まれます。
そしてサビではアルペジオを少し入れますが、ピーターは、
強引にアルペジオを入れるのが好きみたいです(笑)。
ともあれ、前期の名曲のひとつでしょう。


03 ギンドロ=ウラジロハコヤナギの葉は裏が銀色



Tr6:Second Guessing
いつも僕がいう「照れ隠し」、深刻なバラードの後の軽い曲。
ギターもヴォーカルも楽しげに跳ねてますが、この曲では、
マイク・ミルズのベースの浮くような高音の連続がまた印象的。
しかし僕は最初に聴いた時、この曲のさびの
「ぶうぅ~ふぅ~ふぅ~」と唸るだけというのはいかがなものか、
と思ったものですが、後になって僕は、
マイケルは、無邪気さをうまく表現できるヴォーカリスト
だと思うようになりました。
そしてもちろん今はこの無邪気さが大好きです。
これは最新ライヴではより印象的に聴こえてくる曲。


Tr7:Letter Never Sent
この曲は小躍りするようなギターリフによるイントロで始まり、
マイケルが歌い始めて少しして「ふぅ~ふぅ」という掛け声とともに
またザクザクとコードを刻んでゆき、アルペジオも入り、
いろいろな音を聴かせ、やはりピーターの芸の広さや深さを感じます。
ミドルテンポの曲全体もわくわくしながら物語を紡いでゆくような
楽しい雰囲気に包まれています。
送られなかった手紙には、何が書いてあったのかな(笑)。


Tr8:Camera
これもじわっとしみてくるバラードではありますが、
Tr5と違って明確な歌メロよりは雰囲気で聴かせる曲。
サビもじわっとそれなりに盛り上がる感じですが、
マイケルの頼りなげなヴォーカルに喝を入れて支えるような
強いギターがまたとても印象的です。
そして引っ張るだけ引っ張り、最後はあっさりと終わる・・・
と思ったところで突然ラテン調のジャムセッション風の音と、
マイケルのとぼけた声が入り、やはり「照れ隠し」、
これはロックには欠かせないものだと分かります。


Tr9:(Don't Go Back To) Rockville
サビがとにかく印象的な作りとしてはシンプルな曲。
ホンキートンク調のピアノがすっとぼけた感じでいい味わい。
この曲はピアノが主で、ギターはアコースティックによるコードの副、
だからつなぎの部分にだけ出てくるエレクトリックギターの
ちょっとしたフレーズがまた印象的です。
そのピアノはマイク・ミルズの仕事で、さらにこの曲では
マイクのコーラスが他の曲よりも大きく聴こえますが、
多分これは、マイクが中心となって作曲したものでしょう。
というのも、マイクは後に時々リードヴォーカルをとるようになりますが、
それらはだいたいこのような、ストレートであまりひねりがなく、
ちょっと以上にカントリー調の曲だからです。
ビートルズGood NightキッスGod Of Thunder
クイーンRadio Ga-Gaのような例外も多くありますが、
複数の作曲者がいるバンドでは、リードヴォーカルをとる人が
その曲を作曲したと考えてよいと思います。
ともあれこれは彼らも好きなようで、ライヴでもよく演奏される、
前期の代表曲のひとつに挙げられる曲です。


Tr10:Little America
これはまた明確な旋律を持つギターリフで始まり、
歌が始まってもギターはそのメロディを奏で続け、やはり芸が細かい。
歌メロにおっそろしく抑揚がないのは、人を食った彼ららしいところで、
この無邪気さともども、彼らにしか出せない味。
まあだから、鼻歌には向かない曲、と断言しますが(笑)。
そしてこれも一度終わって、謎のジャムセッション風の音と、
くぐもったマイケルの声がフェイドインして復活します。
遊び心も満点ですね。


 

左が今回のデラックス・エディション、右が通常盤のリンク。

とまあ、終わってみれば、彼らの代表曲が3曲ある
充実したアルバムであることは分かりました。

DEの2枚目、肝心のボーナスディスクの内容は、
完全な未発表音源である当時のライヴが収録されています。
ファンにはうれしいですね。
曲目を書き出しました。

LIVE AT THE ARAGON BALLROOM
CHIKAGO, IL, JULY 7, 1984
Femme Fatale
Radio Free Europe
Gardening At Night
9-9
Windout
Letter Never Sent
Driver 8
So. Central Rain
7 Chinese Bros.
Harborcoat
Hyena
Pretty Persuasion
Little America
Second Guessing
(Don't Go Back To) Rockville

もちろんこのアルバム、前のアルバムからの曲が中心ですが、
次のアルバムの収録曲も積極的に演奏していて、
若い頃の意気込みと勢いを感じますね。

発掘音源ということで、今年のライヴ盤とは出来は違います。
まあ、年代が違うので当たり前でしょうけれど、
新しいライヴのほうが当然聴かせるのがうまくなっています。
ライヴ盤は、一応、コンサートの模様を録音してはいますが、
なんらかの手を施して売れるようにしている、ということでしょう。
でもそれがいけないとは僕は決していいません。
聴いていて気持ちよい質の高い音楽を提供するのは、
プロの、しかも売れっ子のバンドであれば当たり前でしょうから。
まあそれでも、ここすごい、ここ面白い、といったことや、
上手くなるのと引き換えに失った「若さ」がありますし、
ファンにはそれなり以上に楽しめるライヴではあります。

04 CDの一部が隠れたためにアウトテイクになった写真


ところでこのジャケットですが、多分、なのだと思います。
でも僕は、買ってすぐの頃は暫く、
人間の腸を絵にしたものだと思っていて、
さすがは人を食った彼ららしいと・・・

でも、よく考えると、蛇でも十分、ですかね(笑)。

いずれにせよ、お世辞にも
あまりきれいとは言えない絵ですかね・・・

それと、アルバムタイトルRECKONINGとは、
「勘定、予測」という意味ですが、
何を予測したのでしょうかね・・・
この単語はこのアルバムで初めて聞いて知りました。


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