01
NEW Paul McCartney
NEW ポール・マッカートニー (2013)
ポール・マッカートニーの新譜の記事です。
漸く上げることができました。
先に短く結論をいうと、このアルバムは、
FLAMING PIEより後ではいちばんいい!
いい意味でまったく「普通に」楽しめるアルバムです。
さらには、ポール・マッカートニーの長年のファンとして、
この新作は、久しぶりに、ポールのファンではない人にも
胸を張っておすすめできる1枚でもあります。
ポールのアルバムは、FPの後はどこか狙い過ぎを感じていて、
もっと「素直に」やればいいのにとずっと不満であり、さらには
前作ではスタンダードを歌ったことで、ポールはもう
「普通の」アルバムを作らないのかなと不安を感じていました。
(ただ、そのKISSES ON THE BOTTOMはなかなかいいけれど)。
そんなマイナスの思いを一気に解消してくれた快心作です。
もっとも、新曲が入った新しいスタジオ録音のアルバムという点で
2作前のMEMORY ALMOST FULLはよかった。
ポールも「普通に」戻りたいんだな、というのは感じられる一方で、
意趣を凝らして前に進もうとする意欲に少し引っかかるものがあった、
というのがそのアルバムでした。
しかし一方、僕はそれを聴いた時に、ポールは近々、もう一度
ほんとうに素晴らしいアルバムを出してくれるに違いないと思った。
だからこの新作は、期待に応えてくれたという感が強い。
ただ、近々がもう5年も経っているのは、じらされました(笑)。
アルバムリリースの情報は突然やって来た感がありましたね。
来日公演も、11月来日で7月に発表、4か月というのは
僕が最近行った洋楽コンサートでは最も間が短かったと思う。
思えばその直前に小林克也さんが「ベストヒットUSA」内で、
来日公演があるかもしれませんと特集の際にこぼしていたのですが、
まさか、と思ったので、虚を突かれた感がしました。
その上での新譜、日本人にとっては来日公演のあいさつ代わりで、
ポールも粋なことをしてくれるなあ、と。
NEWというタイトルがいいですね。
裏の裏は表みたいな感じで意表をついているけれど、敢えて
その言葉を選ぶポールの言語感覚は衰えていないと分かり、
音楽を聴く前にそこに感動しました。
"New"と入ったアルバムはたくさんあるけれど、
NEWだけのアルバムタイトルって思いつかないよな、
と弟と話していました。
ただ、僕は新譜の情報をFacebookで知ったのですが、
最初は、ツアーか何かの新しい情報だと思いました。
まさかそれが、待ち焦がれた新曲のスタジオアルバムの新譜だなんて。
ううん、やっぱりポールは言葉で遊ぶのがお好きなようで。
音楽は、よく言われているようにビートルズっぽい音。
それは否定しようがありません。
ポールは近年はアメリカでのコンサートを精力的にこなしていますが、
多くの人が待ち望んだものは結局それだったと、分かった、というか
素直にそれを認めることができた、ということなのでしょう。
或いは、それができたのがNEWな気持ち、ということなのか。
今回は複数の人がポールと組んでプロデュースをしていますが、
その中にジャイルズ・マーティンGiles Martinの名前が。
そう、あの「大先生」ジョージ・マーティンの息子さんで、
音楽的な面以上にその名前があるのはうれしくなりますね。
なんて、やっぱり単純(笑)。
また、アデルとの仕事で今や旬な人ともいえるプロデューサー
ポール・エプワース Paul EpworthもTr1、4などに参加。
マーク・ロンソン Mark Ronsonはエイミー・ワインハウスとの
仕事をポールが気に入っていたようで起用されたようです。
エイミーは、悲しい最期を迎えてしまいましたが、僕はまだ
聴いていないので、これから聴いてゆきたいとまた思いました。
もうひとり、イーサン・ジョンズ Ethan Johnsは、ザ・フーや
イーグルスなどを手がけたあのグリン・ジョンズの息子さんで、
やはりロックファンにはうれしい名前ではあります。
みなビートルズ以降に生まれた、ビートルズをリアルタイムで
知らない世代ですが、ビートルズっぽいけどビートルズよりも新しい、
おそらくポールが主導しているだろうけど、でも意外と、若い人の
感性に任せている部分も感じられる、そこもNEWなのでしょう。
なお、僕は国内盤を買って聴いているので、この記事は
国内盤に基づいて書き進めてゆきます。
02 今朝のA公園の紅葉散撮その1
Tr1:Save Us
1980年代の洋楽をカヴァーした歌謡曲のような音の響き。
アップテンポだけどマイナー調でちょっと重たい曲で始まるのは、
意表を突かれた感じだけど、意欲の表れとも取れます。
そしてやはりポールはポールなりに今の社会を危惧している、
という意識が重たい響きにもつながっているのでしょう。
ともあれつかみは上々、いやそれ以上。
Tr2:Alligator
2曲目に来ても少し重たくてほの暗い雰囲気。
基本はアコースティックだけど、装飾音が極めて人工的な響きで、
Bメロのポールの声も電気処理がされてゆらゆらと流れてゆく。
全体としてはうまくまとまっている、これが新しい感覚なのか。
ビートルズっぽいというアタマで聴くと、最初の2曲ははっとします。
アリゲーター、もちろん英国にはいない、アメリカを意識したものかな。
どうもよく分からなくて歌詞を読むと、心を抑圧された生活を送る人が、
自分の気持ちを解放してくれる人を求めている、といった内容で、
アリゲーターは鎖につながれ自由を求める者の象徴のようです。
アリゲーター以外はポールにしては珍しいくらいに、ロックでは
手垢まみれの表現が多投されている、これもNEWなのか。
歌詞で興味深いのは、誰か話し相手がいてほしいけれど、
あまり深い話ではなくてもいい、という心の在り方で、
その辺の人との距離感はスターらしいと僕は思いました。
歌い始めに大きく息継ぎの音が入るのは緊迫感が伝わるし、
歌のつなぎの部分に入る低音のギターも同様。
Tr3:On My Way To Work
仕事に向かう道のバスの中で見たことを描写した曲。
アコースティック路線の中でドラムスの低音がよく響く、
でもどこかのんびりとした、しかしちょっぴり切ない曲。
室内楽風のストリングス、そろそろビートルズらしくなってきたかな。
"Upper deck"と歌詞にあるので例のロンドンの2階建てバスか、
でも"green"とあるので、よくあるあのロンドンバスとは違うのかな。
雑誌を買ってかわいい女性の写真を見るというくだりがあるのが
僕はちょっと驚きました、。
ポールは小市民的感覚が持ち味だけど、歌詞に歌われる内容が
即物的ではなく、固有名詞があまり出てこない。
たまにPenny LaneやRock Showのような曲はあるけれど、
誰もが感じる言葉を選んで表すのがポールの歌詞の特徴。
それがこれ、でもそもそもポールはどこかで働いたことがないはずで、
仕事に向かう道ということ自体にリアリティがあまりない。
もちろんスタジオに行くなどでポールにはポールの生活感としての
リアリティはあるのだろうけど、9時5時で働く人のものとは違う。
しかし、そういうことはあくまでも理屈付けであって、これはこれで
すんなりと受け入れられるのがポールの歌詞の持つ普遍性。
周りの客が降りてひとりになると君のことを思うというのは、
なるほどと思う部分でもあります。
ところで、歌詞によれば、バスの中でたばこを吸っているんだけど、
英国のバスは(いまだに)たばこを吸ってもいいのかな?
日本より喫煙には厳しいだろうから、どうなんだろう。
それとも若い頃の回想かもしれない、切ない恋愛ものだから。
と思ったところで、A Day In The Lifeのポールが歌う部分の歌詞に
「2階に上がりたばこ(のようなもの)を吸って夢の世界に入ってあ~」
というくだりがあることを思い出し、そういうことかとひとり合点。
この曲でも"dream"が歌われていることだし、これはあくまでも
歌の世界であると納得しながら聴くことにしますか(笑)。
余談、バスが舞台である歌詞を読んで、ロッド・スチュワートが
大ヒットさせたSome Guys Have All The Luckを連想しました。
でもそれは、元々アメリカ人のパスウェイダーズの曲だから
バスはきっと2階建てではないだろうけれど、でもロッドが歌うと
やっぱり2階建てバスを思い出したから不思議ですね。
Tr4:Queenie Eye
ありていに言えばSGT.PEPPER'Sを彷彿とさせる曲。
静かに始まるイントロ、途中のブレイクなど編曲も凝っていて、
ここで漸くビートルズらしさが加速してきたか。
この曲のビデオクリップの話題を「めざましテレビ」で見ましたが、
ジョニー・デップと昔の恋人のケイト・モスが10何年振りに
顔を合わせたと、いかにもワイドショー的な取り上げ方でしたが、
でも、ポールもそれは考えてのことだったのだろうな、
そういう庶民感覚は持った人だからな、と妙に納得しました。
あびぃ・ロード・スタジオで収録された
曲名Queenie Eye"をWikipediaで調べると、サビで歌われる
”Queenie eye, Queenie eye, who's gonna ball?"
として項目が設けられていて、子どもの遊び歌だと分かりました。
ボールを持って4人かそれ以上で遊ぶというものですが、
日本でいう「ずいずいずっころばし」とかその類のものかな。
僕はロックを通して世界のいろいろなことを知ったけれど、これは
そうした若い頃を思い起こさせてもくれる、まさに子ども歌。
ポップな曲であることもあって、素直に気持ちが入りやすい曲で、
早くもよく口ずさむ曲になりました。
どうでもいい余談だけど、"Shadow of a doubt"という歌詞が、
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのそういう曲を思い出し、
うれしくなってしまうのでした(あ、ほんとに関係ないか・・・)
Tr5:Early Days
アコースティックギター基調のゆったりとした曲。
タイトルの通り若い頃を懐かしんで回想する内容で、
"local record shop"という言葉が、ロックンロールに夢中になり
ジョンと出会い、バンドを組んで、という流れを思い出します。
さらには、UNPLUGGEDに入っていたポールが初めて書いた曲、
I Lost My Little Girlにつながるものを感じるし、当時のポールは
カントリーというかアコースティックな響きの曲にひかれていたんだな、
ということが思い起こされます。
ポールお得意の「アコースティックの小品(こしな)」系の曲だけど、
でも「小」という感じではないかな、内容も意味が大きいし。
いずれにせよ、ポールのアコースティック路線は味わいがあっていい。
03
Tr6:New
「めざましテレビ」でこの曲を初めて聴いた時は(少しだけでしたが)、
フレンチポップ風でもありPenny Laneの雰囲気かな、と思いました。
実際にCDで聴くと、ハープシコードの音がGood Day Sunshine、と、
ビートルズを意識させられるのが楽しくてしょうがなくなる。
曲が長くないのもそういう感覚にさせられる部分。
ところで、ポールの声について、僕は常々、衰えてきたと話しています。
残念だけど、人間だから仕方ない、受け入れるしかない。
でも、本格的ではないけれどファルセット歌うこの曲を聴いて、
微妙な切なさがあるこの曲はこの声だからこそ、と感じました。
今の自分の声に合った曲を作ってしまうポールはさすが。
そして僕は、今日から、ポールの声が「衰えた」というのをやめます。
ポールの声が「緩くなった」と言うべきかな、と思いまして。
最後、演奏が終わってハミングのコーラスが残るのも印象深い。
Tr7:Appriciate
ポールは時々、サウンドに異様にこだわる曲を作りますね。
歌としての曲の良さよりはサウンドの面白さを狙ったものですが、
変名でハウスやクラブっぽい音楽をやったことをうまく消化し
自分らしく表しているこれさすがの出来。
さらにいえば、僕は大好きだけど人気があまりない86年のアルバム
PRESS TO PLAYの大実験も無駄ではなかったのかな、と。
僕としては89年のFLOWERS IN THE DIRT収録の大好きな曲
Ou Est Le Soleil?を彷彿とさせてくれるのがうれしい。
「感謝」という割には遊び心が勝っている、それもポールらしい。
Tr8:Everybody Out There
今回のポールのツアー名の"Out There"はこの曲から来たのか。
この曲の正々堂々とした強さ、潔さ、ファンはこれを求めていた。
そこがうれしくもあり、思わず涙ぐんでしまう部分でもある。
ロックという音楽のど真ん中にいるのがビートルズであり、
ポール・マッカートニーという人であることを自ら証明した曲。
ポールの新譜が出ると聞いて、実は、がっかりするのは嫌だから、
あまり期待しないようにしようとする僕がいましたが、実際に聴いて、
まさかこんな素晴らしい曲が入っていたなんて、と思いました。
あ、でもそんなことを言えば、お前はほんとうに信じてゐたのか、
などと言われるかもしれないけれど・・・
まあ僕の思いなんてどうでもいいくらいこれは素晴らしい曲で、
90年代以降のポールでも最高の部類の曲だと断言。
最後の叫びは、「緩くなった声」だからこその切迫感があって、
「誰かいるか!?」と呼びかけられると、黙ってついていくしかない。
それでよかったんだ、と、ひとつの確信を得られました。
コンサートへの気持ちも煽られるというものです(笑)。
最後はラジオの電波のような音で終わるのも、
ポールの思いが伝わってきます。
Tr9:Hosanna
I'm Only Sleepingの最後のテープ逆回転の続きのような
音で始まる、全体的に逆回転風の変わった響きの曲。
そしてほのかにラテンの風味を感じるけれど、
「ホザーナ」というあまり聞かない名前がそう感じさせるのかな。
ポールはその「緩い声」で、ゆったりと、ねっとりと歌う。
なんとなく猫みたいな感じがしないでもないかな・・・
最後もテープの逆回転風の音で終わるんだけど、僕はこれ、
ジョージ・ハリスンのWhen We Was Fabを思い出しました。
Tr10:I Can Bet
小走りする感じが心地よいミディアムテンポのロックンロール。
作り込んだといよりはささっと書いてできた感じの曲で、
そこが小気味よさとポール一流のユーモアとして表されている。
このアルバムはどこをどう聴いても、さすがとしか言いようがない。
サビでポールの歌を追いかける低音のリフがいい。
素軽い曲のまま終わるのかと思いつつ最後まで聴くと、
またちょっとした音の遊びが入るのが楽しい。
04
Tr11:Looking At Her
打ち込み系風のファルセットを交えたバラード。
路線的にはTr7の流れで歌としての曲を強化した感じだけど、
やっぱり細かい音の使い方のセンスが素晴らしくて楽しい。
間奏がガットギターというのも、作り込み系の音ばかりではない、
それをさらりとやってしまうのには唸らされます。
音楽家は歳をとると「才能が枯れた」などとよく言われるし、
ボブ・ディランのように自らそう言う人もいるけれど、でも、
センスは幾つになっても変わらないのだと実感。
それは、人間として生きていく上での励みにもなりますね。
結局のところ、信ずるものは自らの感覚である、と。
Tr12:Road
ちょっとセンチメンタルなマイナー調の曲。
僕としてはFLOWERS...のWe've Got Marriedを思い出した。
(最初の東京ドーム公演でまるで受けなかったあの曲)。
そういう曲でサビの細かな低音のドラムスとそれを受ける
ピアノの低音の音が強調されているのは、音世界が
より広く感じられ、曲が劇的に流れて行く。
ところで、歌詞にある"Heading For The Light"というくだり、
トラヴェリング・ウィルベリーズのジョージ・ハリスンが歌った曲を
思い出す、という話は次の曲に続きます。
Tr13:Turned Out
ここから3曲は国内盤ボーナストラック扱いの曲ですが、
弟が買った海外限定盤には13から15までは収録されています。
この曲はなんとなくジョージ・ハリスン風と感じてしまう。
エレクトリックギターの重たいけれど鋭く刺さってくる音を
中心としたイントロもそうだけど、歌に入る直前のギターの
スライド奏法がフレーズ、音色、入り方、うねうねした歌メロ、
ああジョージだっ!
曲全体もGONE TROPPOからトラヴェリング・ウィルベリーズ
までの80年代のジョージっぽい感じが強い。
というのはファンの勝手な思い込みに違いないのだろうけど、
そう思わせてくれるのはうれしい限り。
ボーナストラックというのはもったいない気がする。
Tr14:Get Me Out Of Here
これを聴いていた弟がひとこと。
「ラム(=Ram Onのこと)のセルフパクリか!?」
トラッドというか民謡調のアコースティックギターの
跳ね踊るようなリズムに乗り、思いっきり気を抜いて歌うポール。
その声もRam Onのようなエフェクトをかけているのだから、
偶然の一致とは思えない部分があります。
声にエフェクトをかけているのは、コーラスにはかけてないのが
より効果的に響いてきて、もうこの台詞は飽きたでしょうけど(笑)、
もうさすがとしか言いようがないセンスの良さ。
ところで「セルフパクリ」って言葉、同じアーティストの昔の曲に
似ているという意味で、我が家ではよく使いますが、
一般にはどうなのでしょうかね・・・!?・・・
もちろんそこには愛情が込められてこそ、なのですが。
まあしかし、そういう曲だからこれはボーナスなのだと妙に納得。
Tr15:Struggle
この曲は国内盤のみ収録。
もう1曲あった、サウンドに異様にこだわる曲。
これもファルセットを交えて歌っていますが、サウンドにこだわる
にはファルセットが効果的だとあらためてよく分かりました。
そうですよね、ローリング・ストーンズだってEmotional Rescue
を初めて聴いた時に何某かのショックを受けましたから。
ただ、ファルセットは、スモーキー・ロビンソンは別として、
ロック側の人はたまにやるから効果的ともいえるんだけど、
今回のポールはひとつのアルバムに何曲も入っていても
くどいともあざといとも感じないのは、ポール自身としても
それが今の自分らしいと感じているのかもしれない。
それにしてもこのサウンドは面白い。
しかし、イントロから流れ続ける旋律がどこかしら
教会音楽的なものを感じさせ、曲に重みを与えており、
アコーディオンのような楽器の重たい旋律はヨーロッパ的でもある。
でもやっぱり、この曲は作り込み過ぎかな。
国内盤だけのボーナスというのも、まあそうだろうなあ、と。
最後のほうで演説調に語るのも、らしくないといえばそうかも。
Tr16:(Untitled)
サウンドに凝った楽しい曲が終わり、少し長い間(ま)の後、
荘重な響きのピアノの音で始まるもの悲しげなバラード。
曲名が表記されていないシークレットトラックということだけど、
これは海外限定盤にも入っていたので、海外通常盤
12曲入りでも最後に入っているのかもしれない。
僕はそれはまだ買っていないのだけど、東京に行った時に
買って東京の家で聴くつもりだから、その時に分かります。
東京で買うのは、家からこのCDを持って行かなくて済むから。
それはともかく、歌詞を追ってゆくと、過去を回想するような
内容でもあり、「恐い」とも歌っていて、ついには"die"も。
直接的にはただのレトリックであり、「君に何かを言うのが恐い」
という意味なんだけど、でもやはりこの曲は「死」を意識してしまう。
前々作のMEMORY...でも、これよりは少し明るい曲調だけど、
やはり荘重なThe End Of The Roadが本編最後に入っていて、
しかしそれは「僕が死んだらこうしてほしい」と歌っていて、
それを聴いた僕は驚き、かなりのショックを受けました。
ポールがそんなことを言う人だったなんて、と。
ジョンのように内面の弱さは見せない、それだったら
強がりを言い続ける人というイメージだったから。
ただ、それも小市民的感覚なのだと思えば納得できるけれど、
(僕だってまだ40歳代だけど死は意識している)、
やっぱり強くあってほしいと、今はまだ思っています。
でも、今回この曲が入っているのは、ある意味、やっぱり、とも。
前の曲との間(ま)が長くて意味深でもありますね。
もちろん、次のアルバムも作る自信があるからこその一種の
ジョークだと、今の僕は思いたいですね。
リンクは左が国内盤、中が海外限定盤、右が海外通常盤。
通常盤はジャケットが赤が基調というのも、買いたくなる(笑)。
CDについて、10月14日全世界同日発売でした。
10月14日は日本では体育の日で祝日ですが、もしかして
その3日前の金曜日に入荷しやしないかと淡い期待を抱き、
今回は郊外型書店で予約することにしました。
そうじゃなくても国内盤は発売日前日に売り出すものであり、
予約を受けた店員も前日の朝には店にありますと言いました。
ところが、後日、電話がきて、今回はアーティスト側の意向で
14日にならないと売ることができないと言われました。
ほんとうにすべての店でそうされたのかは分からないけれど、
それもまたポール側の意気込みだとは思いました。
ただ、予約した店は0時閉店だけど、もしそれが1時とか2時まで
やっている店なら、日付が変わったら買えたのかな。
ボジョレ・ヌーボーみたいに0時になったら一斉に買う、とか(笑)。
まあしかし、今回はほんとうにそれだけ楽しみにしていて
期待に違わない、いや期待していなかったのだから最高にいい
アルバムを届けてくれたのはうれしい限りです。
ただ、冷静に聴くと、やっぱりところどころ作り込み過ぎかなと
思わないでもないんだけど、それがポールのNEWであると
すんなりと受け入られるのは、やっぱりポールだなと思う。
全体のサウンドは、アルバムのアートワークからなんとなく
イメージしていた、というのもありましたし。
さて、東京公演のチケットですが、無事に取れました。
一部のかたにはご心配をおかけしておりました、すいません。
コンサートではビートルズの曲が多いという話ですね。
それはそれでうれしいけれど、でも、天邪鬼の僕は、
この新作からも何曲かやってほしい、ビートルズ解散以降の曲も
たくさん聴きたい、というのが本音です。
ああでも、Martha My Dearは演奏してほしいなあ(笑)。
せっかくマーサと名付けたことだし。
でも最後はハウの写真にて(笑)。
06