2016年06月02日
ポール・マッカートニーの新しいベスト盤になぜこの曲が入らないのか
01

ポール・マッカートニーの新しいベスト盤
PURE McCARTNEY
発売まであと1週間と1日となりました。
今回は前祝(!?)として、このような記事をあげます。
まあ普通は収録されている曲について語りそうなものですが、
そこは生来のへそ曲がりの僕ということで(笑)。
ベスト盤について、あの曲が入っていないのはどうか、
といった意見や考えそして思いによく接します。
選曲や編集が素晴らしくそれ自体満足でもあの曲は欲しかったという
意見や、あの曲がないのはおかしいといった批判的なものまで。
中傷に近い不愉快な声もあるでしょうけれど、基本的に僕は、
そうした様々な考えに接するのも音楽の楽しみのひとつと思います。
というのは僕のここでの戯言に対する言い訳かな・・・
ともあれこれは、ベスト盤のリリースが発表され曲目を見た時、
そこになかった曲はなぜなのかを考えてまとめた雑文です。
主にシングルカットされた曲ですが、どうかお気軽に
(あまり腹を立てずに)お読みくだされば幸いです。
なお、PURE McCARTNEYは2枚組39曲盤と
4枚組67曲入りがリリースされますが、
4枚組にも入っていない曲を対象としています。
(2枚組の曲はすべて4枚組にも収められています)。
02

【2016年6月17日追加補足】
★
C Moon
(シングル発売)
(1972)
この曲が入っていない!!!
実はCDが届いて聴いて「あれっ?」と思い、気づきました。
というのも、これは当然入っているものと思い込んでいて、
最初にリストを見た時にろくに確認しなかったのでした。
今更ながら驚きですね。
1987年のベスト盤ALL THE BESTに入っていて、僕はそのCDで
初めて聴いたのですが、ポールの音楽の奥深さを知った
思い入れの強い曲、今回落とされたのは残念でなりません。
しかし、今にしてポールがこれを選ばなかったその心境も
気になってきました。
そして僕の悪い癖、外されたとなるとより好きになってきました(笑)。
★
Wonderful Chrstmastime
(シングル発売)
(1979)
これは入らないだろうなと、予想通りでした。
ベスト盤でもALL THE BESTやEMI時代最後だった
2枚組WINGSPANにも入っていなかったし、
EMIから出ていたBACK TO THE EGGリイシュー盤と
現行UniversalのMcCARTNEY IIにボーナストラックとして
ひっそりと収録されているだけ。
6月リリースのベスト盤にクリスマスソングはそぐわない
といってしまえば簡単ですが、この曲、なぜか、
と一応つけますが、なぜかあまり人気がないですよね。
僕はクリスマスアルバムを100枚近く持っていますが、
この曲のカヴァーはシカゴしかない(いいカヴァーですが)。
ジョンとヨーコのHappy X'mas (War Is Over)が
10以上のカヴァーがあるのとは対照的。
もしかしてポールはいまだにジョンと張り合っているのではないか、
一方で勝ち目がない闘いはしたくない、だから引き下がろう・・・
なんてのは邪推に過ぎるでしょうけど、でもこの曲は、
良くも悪くもポールの「小市民」的な部分が強く出た曲であり、
ベスト盤で聴くのは違うかなあ、と思わなくもない。
最後の盛り上がりが、ほんとうに家族か仲のいい2家族くらいの
小さなパーティで盛り上がっている雰囲気が感じられ、
それはそれで時期に聴くと涙が出そうにはなるんですけどね。
うん、だからこれは個人で楽しもう。
★
Take It Away
TUG OF WAR
(1982)
これはねぇ、入っていないのが残念でならない。
ジョンのことがあった後に出たTUG OF WARからの曲で、
シングルカットされTop10ヒットにもなった曲なのですが、
やはりジョンのことのつらさを思い出してしまうのかなぁ。
リンゴ・スターとスティーヴ・ガッドのツインドラムスが印象的で、
僕が死ぬ瞬間に聴いていたい曲として以前記事にしましたが、
今回、ベスト盤に入らなかったことで、へそ曲がりの僕は、
ポール・マッカートニーで2番目に好きな曲はこれ、
と言うことにします(笑)。
(1番目も後で出てきます)。
★
Ballroom Dancing
TUG OF WAR
(1982)
この曲はポールのシングルカットしなかった曲の中でも
屈指の人気曲とずっと思ってきたので、僕としては
これが入っていないのは意外中の意外でした。
ただ、それはあくまでもこのアルバムを同時代で聴いた者の
感想にすぎないのかもしれないですが(それは分かってます)。
ただ、TUG...は昨年リマスター・リイシュー盤が出たばかりで、
ポールの頭の中でひとまず完結しているのかもしれない。
いや、違う、Wanderlustは2枚組にも収録されている・・・
★
So Bad
PIPES OF PEACE
(1983)
ポール・マッカートニーほど名曲傑作ヒット曲が多い人であれば、
それらすべてを1枚や2枚で入らず、どれかを落とさなければならない。
となると、落とされた曲にこれが選ばれたのは仕方がないかな。
同じPIPES OF PEACEから他に2曲入っていることだし、
これについては理解も納得もできます。
僕がリアルタイムで初めて買って聴いたアルバムの曲であり、
思い入れは深いのですが、それは人により年代によりでしょうから。
当時、すごくいい曲だけどヒットチャートで上位にくることは
想像できなかった、そんな曲でもあり、根拠はないけれど、
それが時代の感覚だったのだと今にして思います。
★
Spies Like Us
(シングル発売)
(1985)
ダン・エイクロイドとチェヴィー・チェイス主演の
映画『スパイ・ライク・アス』のテーマ曲としてリリースされたこの曲は、
現時点でポール最後のビルボード誌Top10ヒット曲、と書くと
入っていないのは不思議ですが、でもこれ、ポール自身
不振で落ち込んでいた時期のアルバイトみたいなものだから、
ポールとしても抹殺させたいのかな、と思わなくもない。
そうであるなら入っていないのもまあ納得できます。
曲としても軽いノリでアレンジもあまり凝っていなくて、
ベスト盤の中で聴くと浮いてしまうサウンドかもしれないし。
★
Once Upon A Long Ago
ALL THE BEST
(1987)
ポール2枚目のベスト盤ALL THE BESTのための新曲であり、
シングルカットもされたほの暗いバラード。
ポール自身落ち込んでいたのではなかろうかというくらいに
湿り気のあるメランコリックな曲で、当時の僕はそれを
「ポールらしい」と感じましたが、それからポールの過去と
その後の作品をたくさん聴きすすめるに及んで、
実は「ポールらしくない」曲かもしれない、と今は思わなくもない。
この曲のポールは珍しく「弱い」ですよね。
低迷期の当時は自信を失っていたことが察せられる。
今の自信満々なポールには似合わない。
4枚組にPressこそ入っているものの、Spies...ともども
ポールはあの低迷期をなかったことにしたいのかもしれない。
でもアニメの主題歌として提供したWe All Stand Togetherは
入っているのが、ポールの人間性の複雑なところですかね。
★
My Brave Face
FLOWERS IN THE DIRT
(1989)
ポールが「アーティスト」として華麗なる復活を遂げた89年作
FLOWERS IN THE DIRTからの最初のシングル曲。
ビルボードでもスマッシュヒット(25位)になり、ベスト盤に
入っていてもよさそうなものですが、でもこれがないのは分かります。
エルヴィス・コステロとの共作だからというと、ひとつは
権利関係の問題を考えると入れられないのかもしれない。
しかしそれ以上に今回のベスト盤は、ポール・マッカートニーという
稀代のポップス作曲家の集大成であり、他の著名な作曲家が
絡んだ曲は入れたくないという矜持があっても不思議はない。
厳密にいえばリンダとの共作はありますが、それは問題じゃないし。
もうひとついうなら、この曲のBメロのいかにもコステロらしい
うねうねした歌メロは、ポールのベスト盤に入れるとなると、
単純に音として雰囲気が合わない、と僕は感じます。
★
This One
FLOWERS IN THE DIRT
(1989)
これが最大の謎。
...DIRTからの2枚目のシングルでしたが94位と予想外に低かった、
というのはひとつ考えられますが、しかしそれよりなにより、
今回のアルバムにはなんと...DIRTから1曲も入っていない。
...DIRTはこの秋にリマスター・リイシュー盤が出るので、
それらはそっちで聴いてくれ、とでもいうのかな・・・
リマスター作業が間に合っていないという技術的な問題があるのか、
と思ったけどアルバムがまだのMy LoveやArrow Through Me、
Pressなどは「2016リマスター」と謳っていて、ベスト盤用に先に
数曲リマスター処理するのは難しくないはず。
この曲には超個人的な想い出(失恋)があるんですよね。
僕はそれまでWanderlustをポールのいちばん好きな曲と
言ってきましたが、それは今回収められたので、今日この瞬間から
ポール・マッカートニーでいちばん好きな曲を
This Oneと言うことにする、宣言します!!
まあ、ベスト盤で聴かれることないので、独占欲が強い僕には
かえってよかったかもしれないですね(笑)。
ところで、...DIRTから1曲も入っていないことについて、
もうひとつ考えたの可能性が「父の死」。
実際、そのアルバムには亡くなられたお父さんに捧げた曲
Motor Of Loveや、お父さんの言葉を歌にしたPut It Thereが
入っている、そういう頃でしたから。
★
Hope Of Deliverance
OFF THE GROUND
(1993)
この曲はアルバムともども出た時から思い入れが激しくて、
前のベスト盤でもこれが落とされて悲しかったのですが、
今回期待したところ、やはりというか、なかった。
歌メロも演奏もいいしアコースティックな雰囲気もいいのに・・・
ポール自身が嫌いなのかな。
僕は、ええ、ますますこの曲への思い入れが深くなりました。
それにしてもこのアルバムは人気がない、らしい。
やはりなかったことにしたいのかもしれないと思ったけれど、
でもここから1曲地味めな曲Winedark Open Seeが
入っているんですよね。
★
Young Boy
FLAMING PIE
(1997)
これがねぇ、悲しいね。
弟が当時最初に聴いた時、この曲がヒットしないのであれば、
もうヒットチャートにはついてゆけないと「名言」を吐きましたが、
その通りヒットしなかった、時代が変わったことを感じましたね。
このアルバムのすぐ後にリンダさんが亡くなり、やっぱり
そこが心の中で引っかかったのかなと思ったのですが、
よく見ると4枚組にはここからなんと8曲も収録されている。
そうなると逆にリンダさんに捧げられているようにも感じられますが、
落とす曲がよりによってこれなのか、というのが理解できない・・・
売れ線狙いすぎたと反省しているのかな。
ちょっとだけ言わせてもらえば、何もここから8曲も入れなくても、
3曲にしてあと4、5曲ここで取り上げた曲を入れたても
よかったのではないかなあ、と・・・
まあ、ポールが考えて決めたことですから。
いや、「考えて」はいなかったかもだけど・・・
★
Coming Up (Live)
(シングル発売)
(1980)
おまけ。
Coming Upはポール・マッカートニー7曲目のNo.1ヒット曲で、
もちろん2枚組にもスタジオヴァージョンが収録されていますが、
アメリカではライヴヴァージョンがラジオで多く流れたことで、
No.1になったのはライヴヴァージョンということになっています。
その関係で、ポール2枚目のベスト盤ALL THE BESTでは、
US盤にはライヴ、その他はスタジオヴァージョンが収録されました。
僕は当時、収録曲が違うので両方買ったのですが、
ライヴかどうかは明記されておらず、買って聴いて気づきました。
そこで思うのは、今度のベスト盤でもUS盤にのみ
ライヴヴァージョンが収録されるのだろうか、ということ。
ないでしょうね、おそらく。
McCARTNEY IIにボーナストラックとして収録されたことだし。
ちなみに僕は、ライヴよりスタジオの方が好きです。
口髭にハーフシャドウのジャケット写真、
ポールの自信がみなぎっていますね。
最初は「?」でしたが、もう慣れ、
むしろいいと思うようになってきました。
ポール・マッカートニーは近年のツアーが盛り上がっているのに、
こんな偉大なソングライターのベスト盤が出ていない現状はおかしい
と僕はずっと思っていましたし、そういう人は結構多いのでは。
今回のベスト盤は、そうした声を受けたかたちなのでしょう。
コンサートで盛り上がった1985やHere Todayが入っているのが
そのことの象徴と考えますが、だから、コンサートで演奏されなかった
上記の曲が入っていないのは、まあ、分かる部分もあります。
しかし今回はあくまでもポールの「気まま」な選曲ということで、
今の気分はこうなのかなと思うのもまた楽しいかもしれない。
しれないけれど、ベスト盤は今後も残るものだから・・・
という思いもありますね。
ともあれ、来週、CDが家に届くのが楽しみです!
最後は今日夕方の3ショット。
03


ポール・マッカートニーの新しいベスト盤
PURE McCARTNEY
発売まであと1週間と1日となりました。
今回は前祝(!?)として、このような記事をあげます。
まあ普通は収録されている曲について語りそうなものですが、
そこは生来のへそ曲がりの僕ということで(笑)。
ベスト盤について、あの曲が入っていないのはどうか、
といった意見や考えそして思いによく接します。
選曲や編集が素晴らしくそれ自体満足でもあの曲は欲しかったという
意見や、あの曲がないのはおかしいといった批判的なものまで。
中傷に近い不愉快な声もあるでしょうけれど、基本的に僕は、
そうした様々な考えに接するのも音楽の楽しみのひとつと思います。
というのは僕のここでの戯言に対する言い訳かな・・・
ともあれこれは、ベスト盤のリリースが発表され曲目を見た時、
そこになかった曲はなぜなのかを考えてまとめた雑文です。
主にシングルカットされた曲ですが、どうかお気軽に
(あまり腹を立てずに)お読みくだされば幸いです。
なお、PURE McCARTNEYは2枚組39曲盤と
4枚組67曲入りがリリースされますが、
4枚組にも入っていない曲を対象としています。
(2枚組の曲はすべて4枚組にも収められています)。
02

【2016年6月17日追加補足】
★
C Moon
(シングル発売)
(1972)
この曲が入っていない!!!
実はCDが届いて聴いて「あれっ?」と思い、気づきました。
というのも、これは当然入っているものと思い込んでいて、
最初にリストを見た時にろくに確認しなかったのでした。
今更ながら驚きですね。
1987年のベスト盤ALL THE BESTに入っていて、僕はそのCDで
初めて聴いたのですが、ポールの音楽の奥深さを知った
思い入れの強い曲、今回落とされたのは残念でなりません。
しかし、今にしてポールがこれを選ばなかったその心境も
気になってきました。
そして僕の悪い癖、外されたとなるとより好きになってきました(笑)。
★
Wonderful Chrstmastime
(シングル発売)
(1979)
これは入らないだろうなと、予想通りでした。
ベスト盤でもALL THE BESTやEMI時代最後だった
2枚組WINGSPANにも入っていなかったし、
EMIから出ていたBACK TO THE EGGリイシュー盤と
現行UniversalのMcCARTNEY IIにボーナストラックとして
ひっそりと収録されているだけ。
6月リリースのベスト盤にクリスマスソングはそぐわない
といってしまえば簡単ですが、この曲、なぜか、
と一応つけますが、なぜかあまり人気がないですよね。
僕はクリスマスアルバムを100枚近く持っていますが、
この曲のカヴァーはシカゴしかない(いいカヴァーですが)。
ジョンとヨーコのHappy X'mas (War Is Over)が
10以上のカヴァーがあるのとは対照的。
もしかしてポールはいまだにジョンと張り合っているのではないか、
一方で勝ち目がない闘いはしたくない、だから引き下がろう・・・
なんてのは邪推に過ぎるでしょうけど、でもこの曲は、
良くも悪くもポールの「小市民」的な部分が強く出た曲であり、
ベスト盤で聴くのは違うかなあ、と思わなくもない。
最後の盛り上がりが、ほんとうに家族か仲のいい2家族くらいの
小さなパーティで盛り上がっている雰囲気が感じられ、
それはそれで時期に聴くと涙が出そうにはなるんですけどね。
うん、だからこれは個人で楽しもう。
★
Take It Away
TUG OF WAR
(1982)
これはねぇ、入っていないのが残念でならない。
ジョンのことがあった後に出たTUG OF WARからの曲で、
シングルカットされTop10ヒットにもなった曲なのですが、
やはりジョンのことのつらさを思い出してしまうのかなぁ。
リンゴ・スターとスティーヴ・ガッドのツインドラムスが印象的で、
僕が死ぬ瞬間に聴いていたい曲として以前記事にしましたが、
今回、ベスト盤に入らなかったことで、へそ曲がりの僕は、
ポール・マッカートニーで2番目に好きな曲はこれ、
と言うことにします(笑)。
(1番目も後で出てきます)。
★
Ballroom Dancing
TUG OF WAR
(1982)
この曲はポールのシングルカットしなかった曲の中でも
屈指の人気曲とずっと思ってきたので、僕としては
これが入っていないのは意外中の意外でした。
ただ、それはあくまでもこのアルバムを同時代で聴いた者の
感想にすぎないのかもしれないですが(それは分かってます)。
ただ、TUG...は昨年リマスター・リイシュー盤が出たばかりで、
ポールの頭の中でひとまず完結しているのかもしれない。
いや、違う、Wanderlustは2枚組にも収録されている・・・
★
So Bad
PIPES OF PEACE
(1983)
ポール・マッカートニーほど名曲傑作ヒット曲が多い人であれば、
それらすべてを1枚や2枚で入らず、どれかを落とさなければならない。
となると、落とされた曲にこれが選ばれたのは仕方がないかな。
同じPIPES OF PEACEから他に2曲入っていることだし、
これについては理解も納得もできます。
僕がリアルタイムで初めて買って聴いたアルバムの曲であり、
思い入れは深いのですが、それは人により年代によりでしょうから。
当時、すごくいい曲だけどヒットチャートで上位にくることは
想像できなかった、そんな曲でもあり、根拠はないけれど、
それが時代の感覚だったのだと今にして思います。
★
Spies Like Us
(シングル発売)
(1985)
ダン・エイクロイドとチェヴィー・チェイス主演の
映画『スパイ・ライク・アス』のテーマ曲としてリリースされたこの曲は、
現時点でポール最後のビルボード誌Top10ヒット曲、と書くと
入っていないのは不思議ですが、でもこれ、ポール自身
不振で落ち込んでいた時期のアルバイトみたいなものだから、
ポールとしても抹殺させたいのかな、と思わなくもない。
そうであるなら入っていないのもまあ納得できます。
曲としても軽いノリでアレンジもあまり凝っていなくて、
ベスト盤の中で聴くと浮いてしまうサウンドかもしれないし。
★
Once Upon A Long Ago
ALL THE BEST
(1987)
ポール2枚目のベスト盤ALL THE BESTのための新曲であり、
シングルカットもされたほの暗いバラード。
ポール自身落ち込んでいたのではなかろうかというくらいに
湿り気のあるメランコリックな曲で、当時の僕はそれを
「ポールらしい」と感じましたが、それからポールの過去と
その後の作品をたくさん聴きすすめるに及んで、
実は「ポールらしくない」曲かもしれない、と今は思わなくもない。
この曲のポールは珍しく「弱い」ですよね。
低迷期の当時は自信を失っていたことが察せられる。
今の自信満々なポールには似合わない。
4枚組にPressこそ入っているものの、Spies...ともども
ポールはあの低迷期をなかったことにしたいのかもしれない。
でもアニメの主題歌として提供したWe All Stand Togetherは
入っているのが、ポールの人間性の複雑なところですかね。
★
My Brave Face
FLOWERS IN THE DIRT
(1989)
ポールが「アーティスト」として華麗なる復活を遂げた89年作
FLOWERS IN THE DIRTからの最初のシングル曲。
ビルボードでもスマッシュヒット(25位)になり、ベスト盤に
入っていてもよさそうなものですが、でもこれがないのは分かります。
エルヴィス・コステロとの共作だからというと、ひとつは
権利関係の問題を考えると入れられないのかもしれない。
しかしそれ以上に今回のベスト盤は、ポール・マッカートニーという
稀代のポップス作曲家の集大成であり、他の著名な作曲家が
絡んだ曲は入れたくないという矜持があっても不思議はない。
厳密にいえばリンダとの共作はありますが、それは問題じゃないし。
もうひとついうなら、この曲のBメロのいかにもコステロらしい
うねうねした歌メロは、ポールのベスト盤に入れるとなると、
単純に音として雰囲気が合わない、と僕は感じます。
★
This One
FLOWERS IN THE DIRT
(1989)
これが最大の謎。
...DIRTからの2枚目のシングルでしたが94位と予想外に低かった、
というのはひとつ考えられますが、しかしそれよりなにより、
今回のアルバムにはなんと...DIRTから1曲も入っていない。
...DIRTはこの秋にリマスター・リイシュー盤が出るので、
それらはそっちで聴いてくれ、とでもいうのかな・・・
リマスター作業が間に合っていないという技術的な問題があるのか、
と思ったけどアルバムがまだのMy LoveやArrow Through Me、
Pressなどは「2016リマスター」と謳っていて、ベスト盤用に先に
数曲リマスター処理するのは難しくないはず。
この曲には超個人的な想い出(失恋)があるんですよね。
僕はそれまでWanderlustをポールのいちばん好きな曲と
言ってきましたが、それは今回収められたので、今日この瞬間から
ポール・マッカートニーでいちばん好きな曲を
This Oneと言うことにする、宣言します!!
まあ、ベスト盤で聴かれることないので、独占欲が強い僕には
かえってよかったかもしれないですね(笑)。
ところで、...DIRTから1曲も入っていないことについて、
もうひとつ考えたの可能性が「父の死」。
実際、そのアルバムには亡くなられたお父さんに捧げた曲
Motor Of Loveや、お父さんの言葉を歌にしたPut It Thereが
入っている、そういう頃でしたから。
★
Hope Of Deliverance
OFF THE GROUND
(1993)
この曲はアルバムともども出た時から思い入れが激しくて、
前のベスト盤でもこれが落とされて悲しかったのですが、
今回期待したところ、やはりというか、なかった。
歌メロも演奏もいいしアコースティックな雰囲気もいいのに・・・
ポール自身が嫌いなのかな。
僕は、ええ、ますますこの曲への思い入れが深くなりました。
それにしてもこのアルバムは人気がない、らしい。
やはりなかったことにしたいのかもしれないと思ったけれど、
でもここから1曲地味めな曲Winedark Open Seeが
入っているんですよね。
★
Young Boy
FLAMING PIE
(1997)
これがねぇ、悲しいね。
弟が当時最初に聴いた時、この曲がヒットしないのであれば、
もうヒットチャートにはついてゆけないと「名言」を吐きましたが、
その通りヒットしなかった、時代が変わったことを感じましたね。
このアルバムのすぐ後にリンダさんが亡くなり、やっぱり
そこが心の中で引っかかったのかなと思ったのですが、
よく見ると4枚組にはここからなんと8曲も収録されている。
そうなると逆にリンダさんに捧げられているようにも感じられますが、
落とす曲がよりによってこれなのか、というのが理解できない・・・
売れ線狙いすぎたと反省しているのかな。
ちょっとだけ言わせてもらえば、何もここから8曲も入れなくても、
3曲にしてあと4、5曲ここで取り上げた曲を入れたても
よかったのではないかなあ、と・・・
まあ、ポールが考えて決めたことですから。
いや、「考えて」はいなかったかもだけど・・・
★
Coming Up (Live)
(シングル発売)
(1980)
おまけ。
Coming Upはポール・マッカートニー7曲目のNo.1ヒット曲で、
もちろん2枚組にもスタジオヴァージョンが収録されていますが、
アメリカではライヴヴァージョンがラジオで多く流れたことで、
No.1になったのはライヴヴァージョンということになっています。
その関係で、ポール2枚目のベスト盤ALL THE BESTでは、
US盤にはライヴ、その他はスタジオヴァージョンが収録されました。
僕は当時、収録曲が違うので両方買ったのですが、
ライヴかどうかは明記されておらず、買って聴いて気づきました。
そこで思うのは、今度のベスト盤でもUS盤にのみ
ライヴヴァージョンが収録されるのだろうか、ということ。
ないでしょうね、おそらく。
McCARTNEY IIにボーナストラックとして収録されたことだし。
ちなみに僕は、ライヴよりスタジオの方が好きです。
口髭にハーフシャドウのジャケット写真、
ポールの自信がみなぎっていますね。
最初は「?」でしたが、もう慣れ、
むしろいいと思うようになってきました。
ポール・マッカートニーは近年のツアーが盛り上がっているのに、
こんな偉大なソングライターのベスト盤が出ていない現状はおかしい
と僕はずっと思っていましたし、そういう人は結構多いのでは。
今回のベスト盤は、そうした声を受けたかたちなのでしょう。
コンサートで盛り上がった1985やHere Todayが入っているのが
そのことの象徴と考えますが、だから、コンサートで演奏されなかった
上記の曲が入っていないのは、まあ、分かる部分もあります。
しかし今回はあくまでもポールの「気まま」な選曲ということで、
今の気分はこうなのかなと思うのもまた楽しいかもしれない。
しれないけれど、ベスト盤は今後も残るものだから・・・
という思いもありますね。
ともあれ、来週、CDが家に届くのが楽しみです!
最後は今日夕方の3ショット。
03

Posted by guitarbird at 19:30
│Paul
この記事へのコメント
こんばんは。
ベスト盤の選曲は常に議論の的ですね。
ポールの場合"WINGSPAN"の時も微妙な
選曲がありましたからね。
ヒット曲と歴史と言うお題ではありましたが。
(つまり毎回気ままな選曲な訳ですね)。
確かに"Young Boy”がいないのは残念。
アルバムタイトル曲よりずっと出来が
良い、愛着の湧く名曲だと思いますが。
ちょっと不思議なのは
"Venus&Mars ~Rock Show"が
2枚組に入っていないこと。
私ならディスク2のラストに置いて、
またディスク1のトップに戻るような
感じにしたいところですが。
地味な曲では"Bluebird"。
素晴らしくPaulな曲ですが。何故落選?
そして、「アイルランドに平和を」。
時代的に合わないからか、
いつも冷や飯食いの扱いではないですか。
しかし、この曲Paulの「やっちまったぜ!」
的な魅力が詰まったいい作品だと思います。
当時熱く感動したティーンも多かったはず。
私もその一人。
無かったことにしないで、
もっと大事にして欲しい曲です。
ベスト盤の選曲は常に議論の的ですね。
ポールの場合"WINGSPAN"の時も微妙な
選曲がありましたからね。
ヒット曲と歴史と言うお題ではありましたが。
(つまり毎回気ままな選曲な訳ですね)。
確かに"Young Boy”がいないのは残念。
アルバムタイトル曲よりずっと出来が
良い、愛着の湧く名曲だと思いますが。
ちょっと不思議なのは
"Venus&Mars ~Rock Show"が
2枚組に入っていないこと。
私ならディスク2のラストに置いて、
またディスク1のトップに戻るような
感じにしたいところですが。
地味な曲では"Bluebird"。
素晴らしくPaulな曲ですが。何故落選?
そして、「アイルランドに平和を」。
時代的に合わないからか、
いつも冷や飯食いの扱いではないですか。
しかし、この曲Paulの「やっちまったぜ!」
的な魅力が詰まったいい作品だと思います。
当時熱く感動したティーンも多かったはず。
私もその一人。
無かったことにしないで、
もっと大事にして欲しい曲です。
Posted by ミグの父 at 2016年06月02日 21:05
ミグの父さん、こんにちわ
人それぞれだから当然誰からも文句が出ないベスト盤というのは
あり得ないでしょうけど、ポールの新しいベスト盤ほど
言いたいことが多いものもまた少ない気もします・・・
WINGSPANで私はDaytime Nigthime Sufferingが
入っていたのが、なんとも唸らされましたが
、
今回は「残念ながら」入ってないですね。
Young Boy、そうですまさに「愛着のわく」曲ですね、
とてもいい言葉だと思いました。
選ばれなかったのは謎中の謎です。
Venus & Mars - Rock Showは単に長いので、
2枚組には入らなかったのかなと思いましたが、でも
メドレーだからといって倍も長くはないのでなんとかならなかったのか
とは思います。
BluebirdはBAND...から曲が多過ぎになるからでしょうかね。
ベスト盤慣れしてない1985の上にVandebiltまで入っているし。
(あ、今思い出した1曲書き足します)。
「アイルランドに平和を」は、私は後追いだったので、
ポールでもこんな曲を歌ってたんだって驚きでした。
(ちなみに高校時代に中古で買ったドーナツ盤持ってます)。
でもポールの音楽性を知るにもいいですよね。
ただ、今のポールはその「やっちまったぜ」感を
素直には受け入れられないのかもしれない、と思ったり。
あと今はもう「大人」だから波風立てたくないのかもですが。
(ポール本人がというよりは取り巻きの人が・・・)
ベスト盤には確かに今まで収められたことがなく、次出るとしても
WILD LIFEのボーナストラックに収まるのでしょうね。
そういう意味ではポールでもっとも冷遇されたシングル曲ですね。
でも今回のお話で出た当時のことが少しでも分かりました。
お話をご紹介いただきありがとうございます。
人それぞれだから当然誰からも文句が出ないベスト盤というのは
あり得ないでしょうけど、ポールの新しいベスト盤ほど
言いたいことが多いものもまた少ない気もします・・・
WINGSPANで私はDaytime Nigthime Sufferingが
入っていたのが、なんとも唸らされましたが
、
今回は「残念ながら」入ってないですね。
Young Boy、そうですまさに「愛着のわく」曲ですね、
とてもいい言葉だと思いました。
選ばれなかったのは謎中の謎です。
Venus & Mars - Rock Showは単に長いので、
2枚組には入らなかったのかなと思いましたが、でも
メドレーだからといって倍も長くはないのでなんとかならなかったのか
とは思います。
BluebirdはBAND...から曲が多過ぎになるからでしょうかね。
ベスト盤慣れしてない1985の上にVandebiltまで入っているし。
(あ、今思い出した1曲書き足します)。
「アイルランドに平和を」は、私は後追いだったので、
ポールでもこんな曲を歌ってたんだって驚きでした。
(ちなみに高校時代に中古で買ったドーナツ盤持ってます)。
でもポールの音楽性を知るにもいいですよね。
ただ、今のポールはその「やっちまったぜ」感を
素直には受け入れられないのかもしれない、と思ったり。
あと今はもう「大人」だから波風立てたくないのかもですが。
(ポール本人がというよりは取り巻きの人が・・・)
ベスト盤には確かに今まで収められたことがなく、次出るとしても
WILD LIFEのボーナストラックに収まるのでしょうね。
そういう意味ではポールでもっとも冷遇されたシングル曲ですね。
でも今回のお話で出た当時のことが少しでも分かりました。
お話をご紹介いただきありがとうございます。
Posted by guitarbird
at 2016年06月03日 13:23
