ナチュログ管理画面 エコロジーライフ エコロジーライフ 北海道・東北 アウトドア&フィッシングナチュラムアウトドア用品お買い得情報
ブログ作成はコチラ
あなたもナチュログでアウトドア生活を綴ってみませんか?
プロフィール
guitarbird
guitarbird
ゴジュウカラは、木の幹を下向きに歩ける唯一の鳥。 
ゴジュウカラを見習うと、違った視点が得られるかも・・・
僕が最も好きな鳥です。
これは北海道の亜種シロハラゴジュウカラ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 20人
Information
アウトドア用品の
ご購入なら!

QRコード
QRCODE


日本に生まれてよかった


鳥の名前と季節を追って


手軽な歳時記、改訂版


丸谷才一エッセイ傑作選


シェイクスピアに親しもう


4人は何を言ったのか


身の周りにある「遺産」


植物のすごさよ



友人著、「見る」とは・・・



写真による野鳥図鑑



これは使える!



野鳥の本のリンク



俳句の本のリンク



草思社の応援リンク



ちくま文庫のリンク


2014年02月13日

AQUALUNG ジェスロ・タル

いつものように
写真へのコメントも
大歓迎です!


最近、いろいろ事情がありまして、
ほとんど遠出外出が出来ない状況になっており、
だから音楽記事、アルバム紹介記事を連発しております。
まあ、遠征などで上げたくても上げられない時もあるので、
こういう時があってもいいのかな、とは思っていますが・・・

01
AQUALUNG ジェスロ・タル

ジェスロ・タルは大好きです!
ロック界の「奇人変人怪人」イアン・アンダーソンは、
片手を頭の上に上げてCの字を作るように曲げ、片足も上げて曲げ、
「シェー」のポーズをとってフルートを弾く姿がトレードマーク。
そもそもロックにおいて、メインのメンバーがフルートということからして、
このバンドの人を喰ったユニークさが分かろうというものです。

バンドの音楽の変遷を簡単にまとめると、
1968年デビュー、初期の頃はほとんどブルーズバンドでしたが、
元々持っていた要素でもあるトラッド色をしだいに強めます。
また、J.S.バッハの曲を原曲としたBourreがヒットしたように
クラシックの素養も強く持っていました。
さらに70年代に入ってから、プログレッシヴ・ロックの要素も
大胆に取り入れて、70年代前半にひとつのスタイルが完成し、
バンドは人気面でも創作面でも絶頂期を迎えました。
そして70年代中頃からは、一度完成したスタイルを
再び分解するかのような音楽を展開し、曲の時間も短くもなり、
バラエティに富んだ音を聴かせるようになりました。
もちろん、曲のポップさは一貫して失わずに。

と、今はこうして書くことは出来るのですが、僕も以前は、
あまりにも「ユニーク」で、まあはっきり、避けていましたね(笑)。
僕がリアルタイムで洋楽を聴き始めた1980年代にはもう、
彼らは過去の人というイメージがあって、名前は知っていたけど、
「ああ、なんか変な人ね・・・」というくらいのものでした。
声はダミ声、音楽もよくいえばアーシー、つまり地味だしで、
若い頃は、あまりぱっとしないようなイメージを持っていました。

僕は、いつも言う、ヒットチャート中心に聴いてきた人間でしたが、
過去の年間チャートには彼らのアルバムが何枚か入っていて、しかも
レギュラーチャートで1位になったアルバムもあることが分かり、
そのことが、僕が持っていた彼らのイメージからみると不思議でした。
そして、その不思議は少しずつ、小さな興味の積み重ねとなりました。

30歳を過ぎてからようやく、僕もタルを聴き始めました。
そして、僕がタルで最初に聴いたアルバムが、これでした。
直接のきっかけは、1999年に、ドイツのヘヴィメタルバンド
ハロウィンが発表したカバーアルバムの中で、
タルのLocomotive Breathを演っていて、これがなかなかカッコよく、
その曲が入ったアルバムがどれかと調べたところこれで、
どうやらそれがタルの最高傑作であるらしいと分かって買いました。

聴いてみると、不思議に思った部分が一発で氷解しました。

02 うちの裏の家の庭に現れた雪猫
AQUALUNG ジェスロ・タル

確かに音的には、派手さもきらびやかさもないですが、
フルートのユニークな響きなど、印象的な音作りに心を奪われました。
しかも、かなりしたたかな人たちのようで、
どういうものが受けるかをよく研究していることが感じ取れ、
一瞬で心を鷲づかみにするよなポップさやインパクトはないけど、
1回聴けば必ず心に引っかかって、それがじわじわとツボを攻める、
独自の世界を構築し追及してゆくバンド、そんなことを感じました。

その基盤になっているのは、
自分たちの音楽はあくまでもエンターテイメントである
という意識であることが、このアルバムを聴いて見えてきた部分でした。
地味でよく分からない人たちというイメージが強ければ強いほど、
このアルバムのエンターテイメント性が、逆に、
驚きと称賛を持って受け入れられると思います。
そうです、これは立派なエンターテイメント作品で、
地味とは正反対にあるものだったです。
その辺のギャップというかミスマッチ感覚がまた面白いですが、
その辺が「人を喰った」人たちたるゆえんでしょう。

そしてこれはいわゆる「コンセプト・アルバム」でもあり、
全体の流れがとてもうまく練られていて、素晴らしい。
このアルバムは実際に英国のどこかの町が舞台のようで、
どの曲も、いかにも英国的イディオム満載です。
といって、僕は英国には行ったことがないので、それはあくまでも
想像と疑似体験を通して感じたことにすぎないのですが・・・
このアルバムを聴くと、とりわけ英国に行きたくなります(笑)。
まあそれはともかく、コンセプトアルバムなだけに、
「ああ、アルバム聴いたぁ」という充実感は高い1枚ですね。

ジェスロ・タルの魅力の側面を語るもう一つの話があります。
1988年のグラミー賞
「ハードロック・ヘヴィメタル部門」が創設された際に、
最初に受賞したバンドがこのジェスロ・タルでしたが、
当時、へヴィメタルを聴く人は「なんで・・・???」という反応でした。
だけど、そう感じさせる部分がないかというとそうでもなく、
ブリティッシュ・ハードロックとは直でつながる音作りだし、
ブラック・サバスのGtトニー・アイオミが、サバス結成前に、
1週間だけタルのメンバーだったことがあって、その模様が、
ローリング・ストーンズが主催し、ジョン・レノンも参加した
『ロックンロール・サーカス』に収められていたり、
アイアン・メイデンのBsスティーヴ・ハリス
影響を受けたアーティストのひとりに挙げていたり、そして
ハロウィンがカバーしていたりと、ヘヴィメタル系とのつがなりも深く、
そうした人たちに訴える音を出しているバンドではあるでしょう。


03 うちにあるMOTHER GOOSEの本とタル
AQUALUNG ジェスロ・タル


Tr1:Aqualung
曲を聴いて、沖縄の海でダイビング・・・
なんて、さらさら想像できないと思います(笑)。
歌詞を読んでも、ダイビングや海はと関係なく、
公園でひとり寂しく時間を過ごす・・・というような歌です。
重苦しさに穴をあけて新鮮な空気を吸いたい、という比喩かな。
中間部はテンポを落としてトラッド風にじわじわと攻めつつ、
再びテンポアップして軽快に進む部分はカッコいいですね。
1曲目からまさにブルーズ+トラッドの独自の雰囲気をたたえつつ、
ハードさもあり、展開の多彩さと曲の長さはプログレの影響大で、
彼らの音楽をダイジェストした、名曲といっていい曲。


Tr2:Cross-Eyed Mary
フェイドインしながら静かに始まったところを
強烈なギターリフで打ち破ってイアンが歌い出す、
これは音的にはハードロックのとてもカッコいい曲。
ただし、僕が最初に聴いた時には、抽象的表現ですが、
前の曲で乗った波にそのまま乗っかって進むのではなく、
敢えて別のもっと強い波を待って乗り換えるみたいな、
ちょっと「すかした」部分が彼らの面目躍如だな、と感じました。
Aqualungという単語が歌詞に入っているように、
前の曲の続きのような曲でもあり、アルバムを俯瞰した曲。
そうそう、紹介が遅れましたが、
Gtのマーティン・バレは、目立たないけど、
というかイアンだけが目立つようにしているんでしょうけど(笑)、
手堅い中にもアグレッシブさを失わない部分があって、
僕が大好きなギタリストの1人です。


Tr3:Cheap Day Return
インストの1分少々しかないつなぎのトラッド風小品。


Tr4:Mother Goose
アコースティック弾き語りの後ろでフルートが小躍りする、
跳ねたリズムのちょっとかわいらしい曲。
それもそのはず、「マザー・グース」
でも、直接的にマザーグースの話から取っているのではないようで、
そういう楽しさ、寓意を基に言葉遊びしつつ情景描写している感じ。
いかにも英国小市民的な曲ですが、そういうのが好きなんです。
トラッド風小品が多い中、この曲はそれ系では目玉でしょう。
朝の雰囲気、サンドイッチが食べたくなってくる(笑)。


Tr5:Wond'ring Aloud
前の曲から続いたやはり2分ないトラッド風小品。
こちらは歌もあって、小声でぶつぶつ歌っていますが、
意外なことに(笑)、恋の喜びを軽く歌っています。
ここまでの歌詞がある4曲中3曲にSunという単語が出てきますが、
それがみな、「英国の冷たい太陽」っぽい感じがします。
行ったことはないけど・・・


Tr6:Up To Me
LPではA面の最後、ここでまた音が重くなります。
フルートとベースによる明確なブルーズ風のリフがあって、
これがカッコよく、気持ちをぐいぐいと前に押してくれますが、
前の曲が緩かっただけにこの効果は満点。
曲の並べ方にメリハリがあるのは、アルバムとして素晴らしい。
それにしても、フルートという一見すると「ロックではない」楽器が、
実はこんなにもロックしているなんて、と、ちょっと驚く佳曲。


04 蒸気機関車の絵が入ったメモ帳とタル・・・
AQUALUNG ジェスロ・タル


Tr7:My God
そういえば教会にいるような雰囲気。
ハンマーで叩きつけるような重たいギターリフに、
なんといっても聴きどころは、中間部のフルートのソロ。
掛け声のようなある種不気味なコーラスをバックに繰り広げられ、
イアンは、フルートを吹きながら自分でも掛け声を出していて、
ちょっと危なくて恐い、スリリングな展開に引き込まれます。
フルートソロの途中に、クリスマスソングでおなじみの
God Rest Ye, Merry Gentlemanの旋律も織り込まれています。
ああ、そうか、Godつながりか・・・(笑)・・・
ある意味このアルバムの白眉ですね。


Tr8:Hymn 43
そして実際に「賛美歌43番」とくる流れがいい。
雰囲気がぱっと明るくなり、リフを刻むギターも少し軽い音に。
そのリフがTr6に似ているのは、トータルアルバムとしての意識でしょう。
しかし賛美歌だけど熱唱しているのがまた面白い。


Tr9:Slipstream
イントロなしに優しげに歌い始める1分強のトラッド小品。
これも朝の雰囲気、というか、このアルバムは、
重い曲でもみんな朝の雰囲気がします。
しかも、まだ多くの人が寝ている朝の時間帯。


Tr10:Locomotive Breath
邦題「蒸気機関車のあえぎ」。
ロックの「てっちゃんソング」の筆頭格でしょうね(笑)。
タルの中でも屈指の名曲、人気曲。
シングルとしてもTop10入りするヒットになりました。
いかにも力強く前進するようなギターリフに導かれる曲、
そしてギターをミュートして出す「カッカッ」という音は、
まさに蒸気機関車のイメージにぴったり!
そうそうこの「カッカッ」というギターの音も、Tr8で一度伏線として
出てきている辺り、やはりかなり練られていますね。
まあ、こういう曲があるだけでもうれしいんですが(笑)。
タルはそれと、このように、言葉の感覚が独特で面白いですね!


Tr11:Wind Up
ラストは、前の曲の余韻を受け、ピアノで静かに始まり、
イアンがつぶやくように囁くように告白するように歌い出す。
なんだか思わせぶりだなと聴いていると楽器が少しずつ増え、
エレクトリック・ギターのフレーズを契機にアップテンポになり、
アルバムでもいちばんのノリの中で曲がぐいぐい進む。
そして最後はまた放り投げるように静かにピアノと歌で締める。
いかにもショーの最後という感じの開放感ある曲で、ノリ的には、
ドリフのコントの最後にかかる音楽っぽい感じもします(笑)。
この曲こそ、この人たちはへそ曲がりなだけじゃない、
そりゃ確かに見てくれはそうだけど(笑)、基本としては、
ちゃんとエンターテイメント性を考えている人たちなんだと気づき、
「この人たちの音楽は聴きやすい」と感じた曲でした。
予定調和というのは、ロックの中にも確かにあるんですよね。
それを否定すると、音楽の楽しさは半減するかもしれないことは、
この曲を聴いた気持ちよさが証明してくれていると思います。
だけどやっぱり、この終わり方は、癖になるなぁ(笑)。

なお、現行のリマスター盤には、
6「曲」のボーナストラックが入っていますが、
それらのボーナスもこのアルバムのイメージが踏襲されていて、
特にTr12:Lick Your Fingers Cleanは、
最初はボーナスだと分からないくらいTr11とうまくつながっています。

ただ、ただし・・・



このアルバム、現在のリマスター盤には、
とても大きな不満があります。
Tr14に、イアン・アンダーソンのインタビューが入っているんです。
CDなので飛ばして聴けばいいのでしょうけど、でも僕は、
一度かけたら飛ばしたくない性分だし、うちの連装CDで
ずっとかけ続ける場合はそれがちょっと邪魔になります。
しかも、最後じゃないのがまた引っかかります。

それと、音が異様に小さいのも、通しで聴くとつらい部分ですが、
これはさほど問題でもないでしょうか。

ジェスロ・タルという名前は何かというと、
17世紀から18世紀にかけてを生きた英国の農政学者の名前です。
これまた変わったところから名前をつけてますよね(笑)。
しかし、彼らの音楽を聴いてみると、その名前に込めた思いが
なんとなく透けて見えるのがまた面白いです。

ちなみに、ジャケットの不思議なおじさんの絵は、
その農政学者でもイアン・アンダーソンでもなく、
「公園にいたただのおじさん」だそうで・・・

ひとつ余談を。
僕は、1996年に刊行されたロックのディスコグラフィーの本を
傍らに常に置いていて、それを見ながら記事も書いていますが、
その本は、個人名については、ファミリーネーム順で並んでいます。
Bob Dylanは「B」ではなく「D」のところにあるという具合に。
ある日、Jethro Tullをその本で探している時に、
バンド名が個人名なので、「T」のところを探していて、
何度探しても該当する部分にないので、あれ、おかしいな・・・
と思ったら、この場合は別にメンバーの名前でもないし、
素直に「J」を探せばいいんだ、と気づきました(笑)。

そうそう、Jethro Tullも略すと「JT」になりますが、
それではJames Taylorと区別がつかなくなるので、
僕はタルと呼んで書いています(笑)。
というか、それがファンの間では一般的だと思いますが・・・(笑)。

ジェスロ・タルは、凝りだすと止まらないですよ!






同じカテゴリー(ロックC-J)の記事画像
LOUD HAILER ジェフ・ベックの新譜
AUGUST エリック・クラプトン
HEARTBEAT CITY カーズ
THE MAN WHO SOLD THE WORLD デヴィッド・ボウイ
LODGER デヴィッド・ボウイ
TRUTH ジェフ・ベック
AFTER HOURS ゲイリー・ムーア
NATURAL HISTORY JDサウザー
BORN AND RAISED ジョン・メイヤーの新譜
同じカテゴリー(ロックC-J)の記事
 LOUD HAILER ジェフ・ベックの新譜 (2016-10-22 20:29)
 AUGUST エリック・クラプトン (2016-09-23 21:29)
 HEARTBEAT CITY カーズ (2016-07-14 21:09)
 THE MAN WHO SOLD THE WORLD デヴィッド・ボウイ (2016-03-17 19:29)
 LODGER デヴィッド・ボウイ (2016-03-04 20:29)
 TRUTH ジェフ・ベック (2015-01-25 00:31)
 AFTER HOURS ゲイリー・ムーア (2014-08-13 19:59)
 NATURAL HISTORY JDサウザー (2014-06-27 19:54)
 BORN AND RAISED ジョン・メイヤーの新譜 (2014-06-01 20:54)

Posted by guitarbird at 22:29 │ロックC-J

削除
AQUALUNG ジェスロ・タル