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2013年11月30日

WARREN ZEVON ウォーレン・ジヴォン

01
WARREN ZEVON ウォーレン・ジヴォン

WARREN ZEVON Warren Zevon
ウォーレン・ジヴォン
 (1976)

本日は、僕のここひと月の「ピックアップ・アーティスト」です。
ほんとうに大好きになりました。

いきなり本題の前に、Warren Zevonは、日本では
ウォーレン・ジヴォン」と表記されていますが、
僕はどうも、「ジ」ヴォンというのは、かなり抵抗があります。
本来の発音により近い音のカタカナで表記すれば
ズィ」ーヴォンになるはずで、僕は話す時はそう言っています。
ただ、日本のレコード会社が表記をそうと決めたようなので、
かなり不承不承でも、ここでは「ジヴォン」と書くことにします。
でも、せめて、「ジーヴォン」にしてくれていれば、
「ウォーレン・ジーヴォン」と伸びる音が2つ入って、
リズム感と語呂がよかったのになあ。
でもそれじゃ「じーさん」みたいでだめなのかな、まさか・・・(笑)・・・

僕がウォーレン・ジヴォンを知ったのは、浪人生の頃。
映画「ハスラー2」のサントラTHE COLOR OF MONEYに1曲、
Werewolves Of Londonを提供していて、そこで知りました。
僕はまだ10代、これはほんとの最後の頃に買ったLPで、
エリック・クラプトンの主題歌目当てでしたが、今見返すと、
ドン・ヘンリー、ロバート・パーマー、ウィリー・ディクソン、
マーク・ノップラー、B.B.キング、ロビー・ロバートソンと、
かなり渋いメンバーのサントラですね、僕は若すぎたかな(笑)。
僕はでも、ウォーレン・ジヴォンのその曲は覚えておらず、
面白い響きの名前だけをそこで覚えました。
それにしても当時、ビリヤードが流行りましたよね。
僕も友だちに連れられてよく行きました。

20代はウォーレン・ジヴォンの音楽を聴くこともなく過ぎました。
彼とクリス・レアのイメージがだぶっていたくらいでしたから・・・
30歳でリンダ・ロンシュタット Linda Ronstadtのベスト盤を買い、
そこに入っていたPoor Poor Pitiful Me
作曲家としての出世作だと知り、その時ほとんど初めて
彼の曲をそれと意識して聴きました。

しかし、彼自身の音楽は相変わらず聴かないまま21世紀に入り、
ジヴォンがガンに侵され闘病生活を送っていると報じられました。
多くの仲間の力を借りてアルバムTHE WINDをなんとか録音し、
ボブ・ディラン Bob DylanKnocking On Heaven's Door
を歌い、彼らしいユーモアを表現したとして話題になりました。
そのアルバムは本当に最後となり、その年、2003年に逝去しました。
僕はその報に接しても、やはり何か遠いことのように感じていて、
聴こうと思えないまま時間が経ちました。

僕は彼に、偏屈な人というイメージがあり、
それが彼を近寄りがたいものにさせていました。
ジヴォンは大いに売れたという話を聞いたことがないので、
ポップさがあまりなく、個性が強すぎて玄人好みの音なのかなと思い、
どちらかといえば僕が苦手な音楽そうだ、というのもありました。
どちらもまあ勝手な思い込みと決めつけですが・・・

それが今年、ついに機会が訪れました。
きっかけはまあいってみれば大したことはないのですが、
WARNER系アーティストの(チープな)紙ジャケ5枚組の中に、
ウォーレン・ジヴォンのもあり、モノとしてそれが欲しくなりました。

02 
WARREN ZEVON ウォーレン・ジヴォン

これがその(チープな)紙ジャケ5枚組。
買ってから、1976年のアルバムをプロデュースしたのが
かのジャクソン・ブラウン Jackson Browneであり、
ジヴォンのアルバムのリリースに尽力していたらしいことが分かり、
そうと知ると、そういう傾向の人物であり音楽であるのかなと
想像できるようになり、期待が高まりました。
そしてついに買って聴くと、これが
予想外にとってもよかったのです。


実際に聴くと、まずは、確かにまっすぐではないけれど(笑)、
偏屈ということはなく、予想よりはずっと素直な音楽だと感じました。
音の響きに気持ちよさがあって、それはまったくイメージと反対でした。
曲も鼻歌で口ずさめる曲がいくつも見つかったくらいに、
僕が思っていたよりもずっとポップでした。
売れるかどうかは音楽そのものの問題だけではなく、
時代や境遇などに左右される部分もあるかと思いますが、
これは売れていてもおかしくない音楽だと思いました。
曲が良い証拠というか、僕は曲を覚えるのが遅いのですが、
僕はこの5枚組の最初の3枚を並行して聴き進めていて、
その3枚とも曲を覚えてとても気に入ったくらいですから。

ただ、声は多少クセがあって、すっと入っていけるものではないかな。
微妙にハスキーでばしっと鋭く響いてこない平らな響きの声で、
声だけで人をひきつけてやまないという感じではないかな。
しかし聴きにくいわけではなく、プラスになる要素が少ないだけで、
その点では安心して聴ける声だとは思います。
それと、もっとカッコつけた歌い方をする人だと思ったら、
割と自然に歌っていたのはまた意外でした。

今回は、1976年のセルフタイトルのアルバムを聴いてゆきます。
ジヴォンは1969年に一度アルバムを出していたようですが、
その後は不遇をかこっていたのか、次のこのアルバムを出すまで
7年を要してしまいました。
だからこのアルバムは、自身の名前を冠して心機一転、
再出発を誓ったアルバムという位置づけなのでしょう。

このアルバムは、ボーナス音源を集めたディスクがついた2枚組の
2-CD'S COLLECTOR'S EDITIONが出ていますが、
このボーナス音源の多くはデモ音源のマニア向けのものであり、
今回はそれには触れずにアルバム本編のことだけを話します。

アルバム全体のさらっとした印象と感想としては、
物語を感じさせる音作り、ということです。
ただ気持ちを歌っている以上に、歌が物語そのものであったり、
そうした気持ちに至るまでの物語を描き出しているように感じます。
また、自分の気持ちだけを描くよりは、第三者的視点であったり、
他人を観察することで感じることを歌った曲が多いようであり、
そこもまた物語を感じさせる部分ですが、それは、
所謂「シンガー・ソングライター」の流れとは違う響きに感じます。
曲や音作りや歌い方は劇的で派手というわけではないのですが、
その分自然に響いて、すっと心に入ってきます。
ユーモアがある人だなということは節々に感じます。
繰り返しますが、決して偏屈ではありません(笑)。
僕は今、誤解して聴いてこなかったことを申し訳なく思っています。

ブックレットには、ジャクソン・ブラウンがこのアルバムを
プロデュースすることになったいきさつが紹介されています。
ジヴォンは、1975年までにロックスターになる夢を諦めかけ、
スペインに渡ってナイトクラブで歌う生活を始めるつもりでいました。
そのことを知ったジャクソン・ブラウンはジヴォンに手紙を送りましたが、
そこにはこう書かれていました(翻訳は引用者による)。
「ウォーレン、諦めるのは早すぎるよ。
うちにおいでよ。
レコーディングの契約を見つけてあげるよ」

ジャクソン・ブラウンはレコード会社にも重要な人だったのでしょう。
これがきっかけで、ジヴォンは同じASYLUMレーベルから
レコードを出すことができた、ということのようです。
いい話ですね、手紙というのが特に心を打たれました。

このアルバムは、ジャクソン・ブラウンが携わっているだけあって、
西海岸系のゲストが多数参加して彼を盛り上げていますが、
これだけゲストが豪華で凄いアルバムはどれくらいあるのか、
というくらいの凄さです。
ギターのワディ・ワクテル Waddy Wachtelは全曲に、
デヴィッド・リンドリー David LindleyはTr1、2、4、5、7、9に
バンジョーやスライドギター、
ベースのボブ・グローブ Bob GlaubはTr1、2、4-7、9-11にと、
ジャクソン・ブラウンに近い人が活躍しています。
そのジャクソン・ブラウン自身はTr2、3、10、11に、コーラスや
ギター、ピアノなどで参加し、曲に応じた色を出しています。
他の僕が知っている人については、曲ごとに触れてゆきます。

曲はすべてウォーレン・ジヴォンひとりが書いています。
(All songs written by Warren Zevon)

03 観覧車と札幌市電
WARREN ZEVON ウォーレン・ジヴォン

Tr1:Frank And Jesse James
いかにも物語を綴る雰囲気のピアノがいい感じに揺れています。
曲はアメリカ開拓時代のアウトローヒーローに題をとったもので、
いわば西部劇の世界。
僕はよく知らなくて、申し訳ないので内容には触れられないけど、
タイトルを見ただけで物語を想像できますね。
この曲には、エヴァリー・ブラザース Everly Brothers
フィル・エヴァリー Phil Everlyがコーラスで参加(Tr4にも)。


Tr2:Mama Couldn't Be Persuaded
駆け足のような切れのいい軽快なギターが印象的な楽しい曲。
ギャンブル好きの男にまつわる小話のようなこの曲、コーラスに、
ジャクソン・ブラウンとJ.D.サウザー J.D.Southerが参加。
コーラスもヨーデル風のヴォーカルも面白い。
ジヴォンの音楽は「普通のアメリカンロック」という感じで、
カントリーの影響も見え隠れ、この曲は特にそうですが、でも
カントリーでもブルーズでもなんでも、影響はあっても、
あくまでも自分の色で音を出しきっているのが聴きやすい部分です。


Tr3:Backs Turned Looking Down The Path
ミドルテンポの落ち着いたノスタルジックな響きの曲。
この曲にはギターで、フリートウッド・マック Fleetwood Mac
リンジー・バッキンガム Lindsey Buckinghamが参加。
ジャクソン・ブラウンのアコースティック・ギターによる
スライド奏法は、かなりとってもいい響きです。


Tr4:Hasten Down The Wind
カントリーブルーズ風のたおやかなバラード。
デヴィッド・リンドリーのスライドギターは、
ジャクソン・ブラウンの名作を思い出させます。
ところで、ジヴォンの遺作のタイトルはTHE WINDでしたが、
風というのは彼の人生のひとつの象徴だったのかもしれません。


Tr5:Poor Poor Pitiful Me
リンダ・ロンシュタットで初めて聴いて知ったこの曲は、
リンダが意外と落ち着いた感じで聴かせているのに対して、
なんだか焦ったような力強いロックンロールになっています。
この曲の歌詞にも"Jesse James"が出てきますが、
ジヴォンはよっぽど好きで崇めていたのでしょうね。
ただ、この歌の内容はSMに関するものだという話です。
途中の演奏がブレイクして喋りが残った部分の後でまた起こる
ギターが「ドレミファソラシド」と弾いているのが面白い。
リンダ・ロンシュタットのバージョンには確か
"Yokohama"って歌詞があったけど、こちらにはないので、
リンダは歌詞をいじったということなのでしょうね。
この曲にはリンジー・バッキンガムがコーラスで参加。
また、クレジットが明記されていないのですが、
女性のコーラスの声が聞こえるのは、誰だろう・・・


Tr6:The French Inhaler
ふたたびゆったりとしたバラード。
この曲にはコーラスで、イーグルス The Eaglesの2人、
グレン・フライ Glenn Freyドン・ヘンリー Don Henleyが参加、
その2人のコーラスのつけかたはイーグルスそのもの。

04 すすきの電停はまるで白い芋虫
WARREN ZEVON ウォーレン・ジヴォン

Tr7:Mohammed's Radio
ノスタルジックな響きがしみてきます、いい雰囲気です。
彼が仮装行列を見ていてヒントを得たのだそうです。
僕は最初は曲名を見ないで聴いていたのですが
"More hammers radio"って何だろう、
ラジオを壊すのかなと勝手に思っていました。
この曲には、かつてジョン・レノンの「飲み友だち」だった(笑)、
ボビー・キーズ Bobby Keysがサックスで(Tr10も)、
また、フリートウッド・マックのリンジー・バッキンガムと
スティーヴィー・ニックス Stevie Nicksが揃ってコーラスで参加。
なお、ニックスの名前はここではStephanieと記されています。


Tr8:I'll Sleep When I'm Dead
慌ててスライドバーを上げたようにフェイドインして始まり、
ピアノの低音とベースとドラムスが重たく打ちつけ、ジヴォンが
怒ったように、何かをつきつけるように煽って歌う面白い曲。
ちょっとだけハードロック風、ギターも低音で攻めています。
歌とギターのコール&レスポンスも面白い。


Tr9:Carmelita
メキシコというか、スペインの香りと響き。
歌詞にもマリアッチ=Mariachiと出てきます。
ギターの響きがとってもいいですが、もちろんというか演奏は
デヴィッド・リンドリー、彼はほんとにスペインが好きなんだ(笑)。
そういえば同時期のジャクソン・ブラウンのLinda Palomaも、
同様にメキシコースペイン趣味なのは偶然かな、面白い。
グレン・フライがギターとコーラスで参加、いい味つけ。
ギターのまろやかな響きに包まれる優しい曲。


Tr10:Join Me In L.A.
ソウルフルな響きの、ぴんと張り詰めた緊迫感があるほの暗い曲。
このアルバムの中ではその響きは異質ともいえます。
ジヴォンのヴォーカルはまるでソウルではないけど、
ここでは他よりもカッコつけて歌っています。
しかしこの曲、女性コーラスが恐い。
この世とあの世の間の音のような響きというか、
心はないけど魂だけはあるみたいな、ある種冷淡な響きです。
或いは、周りを壁で囲まれてだんだんと迫ってくる感じ。
その恐いコーラスは、ボニー・レイット Bonnie Raitt
ローズマリー・バトラー Rosemary Butlerによるもの。
ボニーの温かい声が好きなので、この「隠し芸」は意外でした。
印象には残る曲です、とっても。


Tr11:Desperados Under The Eaves
物語の最後は、ゆったりとしたバラード風の曲ですが、
途中から海のようにダイナミックなコーラスが広がり、
ジヴォンもその旋律をハミングしながら、感動的な終幕を迎えます。
この旋律は素晴らしく、聴く度に僕は口ずさみ、勇気づけられます。
太平洋のことを歌っていますが、その旋律はどことなく
スコットランドをも感じさせる、トラッド風の響きを持っています。
僕のこのアルバムのベストチューンはこれですね。
この曲は、ビーチ・ボーイズ The Beach Boys
カール・ウィルソン Carl Wilsonがコーラスで参加し、
JBやJ.D.も参加する最後の感動的なコーラス隊の指揮もしています。
この曲を聴くに及んで僕はもう、
ジヴォンを「偏屈な人」とは思わなくなりました(笑)。

 

Amazonのリンク、左はこのアルバムの2枚組、
右は件の(チープな)紙ジャケ5枚組のものです。

ジャケットの彼は眼鏡を決めた、ニヒルな伊達男風。
なんて表現は今でもまだ通じるのだろうか・・・
ダンディ、これも死語なのかな(笑)。
ともかく、粋なスタイルでちょっとカッコつけているけど、
多くのミュージシャン仲間に支えられていた彼は、
人懐っこさも魅力だったのかもしれません。

それにしても今年は最初から最後まで
ジャクソン・ブラウンにお世話になった年だな、と(笑)。
正直言えば、1年前まではそれほど好きじゃなかった
ジャクソン・ブラウンも、今はすっかり生活の一部になっています。

ウォーレン・ジヴォンのアルバムは
まだこの5枚しか持っていないのですが、
これからまた買って聴き進めてゆきます。

でも、CDはまだすべてが手に入るのかな、怪しそうだな・・・

03 はっきり行って露出オーバーの写真ですが・・・
WARREN ZEVON ウォーレン・ジヴォン

今日は朝の記事も札幌市電のササラ電車だったので、
この記事でも札幌市電の写真を使いました。

ウォーレン・ジヴォンの場合、なんとなく、
自然よりは街の写真のほうが合うかと思いました。






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Posted by guitarbird at 21:35 │ロックQ-Z

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